2022.04.01 仲野 翔悟 技能実習特定技能ビザ日本語職種移行育成就労 【育成就労制度対応】「特定技能」業務区分と「技能実習」移行職種の関係性を行政書士が解説 1.特定技能の業務区分とは 特定技能ビザは、日本の深刻な人手不足に対応するため、「生産性の向上や国内人材確保のための取組を行ってもなお人材確保が困難な産業上の分野」に限って即戦力の外国人を受け入れる制度です。令和8年1月の閣議決定で、受入れ対象は全19分野にまで拡大されています。 特定技能のそれぞれの分野では、外国人が実際に日本国内で従事することができる具体的な仕事内容として「業務区分」が設定されています。特定技能外国人は、自らが試験や技能実習良好修了によって要件を満たした「特定の業務区分」の仕事にしか従事することが認められていません。 また、同じ分野内であっても、複数の業務区分が定められている分野(後述する「工業製品製造業」の17区分、「建設」の3区分など)において、要件を満たしていない他の業務区分の仕事に従事させた場合、資格外活動等の入管法違反(不法就労助長罪など)に問われる重大な法的リスクがありますので、企業実務においては受入れ時の契約・業務管理に厳格な確認が求められます(詳しくは不法就労助長罪とは?罰則や企業がすべきことを専門家が解説!もご参照ください)。 一方で、技能実習2号を良好に修了した移行職種が、特定技能の業務区分に対応している場合には、試験を受けずに特定技能ビザ取得のための技能要件を満たします。 2.技能実習(育成就労)の移行職種とは 技能実習の移行職種とは、技能実習2号または3号への移行が認められる職種のことです。 特定技能ビザの取得要件のひとつに「技能実習2号を良好に修了」があり、特定技能の業務区分に対応する職種にて、技能実習を2年10ヶ月以上の期間修了した外国人は、当該業務区分の特定技能ビザ取得をする際に、改めて試験などを受験する必要はありません。 一方で、移行職種でない職種(1年目の技能実習1号のみで終了する活動)で技能実習ビザを取得した場合は、技能実習1号(1年間)のみの技能実習が認められるため、修了しても特定技能ビザ取得のための要件を満たすことはできません。 また、移行職種は3年間の技能実習が修了する前に、専門級の技能試験(実技試験のみ可)の受験が義務である点も特徴です。 但し、専門級の技能試験(実技試験のみ可)に合格できなかった場合でも、評価調書を作成することで特定技能の技能要件を満たすことができる点には注意が必要です。 新制度「育成就労制度」開始に伴う実務上の変更点 2027年4月1日より、従来の技能実習制度に代わり、特定技能1号へのステップアップを前提とした「育成就労制度」が開始されます。育成就労修了生(3年間)が特定技能1号へ移行する際の実務ルールは、現行の技能実習制度から以下のように厳格化されます。 試験合格の原則義務化:これまでの「不合格でも評価調書で救済移行」できる特別ルートは完全に廃止され、育成就労生が特定技能1号に移行するためには「育成就労評価試験(専門級)または技能検定3級相当の実技試験」への合格が原則義務化されます。 日本語能力水準の確認義務化:育成就労終了時に、日本語教育の参照枠A2相当以上(日本語能力試験N4やJFT-Basic等)の試験等に合格し、能力を客観的に証明することが必須要件となります。 本人意向による転籍(転職)の解禁:技能実習では原則不可だった「自己都合による転籍」が、同一産業分野内において「1年から2年」の制限期間を経過し、かつ日本語(A1相当以上)及び技能の一定基準を満たしていれば正式に認められるようになります。 3.「特定技能」業務区分と「技能実習(育成就労)」移行職種の関係性 19分野それぞれの業務区分を紹介していきます。 技能実習の職種と作業が空欄の業務区分については、対応する移行職種がないため、特定技能ビザ申請のために必ず特定技能の技能試験合格が必須となります。 日本語能力に関して、2026年現在は、以下の業務区分に移行(分野や業務区分の変更)する場合は、原則として通常(A2.2相当)より一段高い「日本語教育の参照枠 B1相当以上」の語学能力の証明が義務付けられています。 自動車運送業分野:バス運転者、タクシー運転者 鉄道分野:運輸係員(駅員、車掌、運転士など) したがって、たとえ技能実習2号を良好に修了した外国人であっても、上記の「B1要件」が課される業務区分へ分野変更・移行を行う場合には、改めて日本語試験等への合格が必要となるため、注意が必要です。 また、前述の通り、技能実習制度は2027年4月より「育成就労制度」に移行し、試験合格が義務化されます。転籍も可能になりますが、分野ごとに制限期間が「1年」と「2年」に分かれています。この制限期間が短い場合は、人材の定着に向けた社内環境の整備がこれまで以上に重要になります。 このような転籍制限期間の違いなどは【育成就労開始後の注意点】にて記載しておりますので、是非ご確認ください。 (1)介護分野 身体介護や付随する業務に従事する分野です。 介護職種の技能実習2号を良好に修了した外国人は、介護分野の介護(身体介護等)の業務に従事するための特定技能ビザを取得できます。 技能実習2号修了者以外は、介護技能評価試験の合格と日本語能力試験N4または国際交流基金日本語基礎テストA2レベル以上の結果に加えて、「介護日本語評価試験」に合格することで特定技能ビザの取得要件を満たせます。 詳しくは介護分野の特定技能ビザの活用方法|要件・必要書類・訪問介護の解禁まで解説をご参照ください。 【育成就労開始後の注意点】 転籍制限期間:2年 特定技能(業務区分) 技能実習(職種) 技能実習(作業)…
2022.03.01 仲野 翔悟 特定技能ビザ日本語転職の要件 【特定技能ビザ】特定技能外国人の転職:条件・必要書類・手続き方法を徹底解説 1.特定技能外国人が転職できる要件 まず始めに,特定技能外国人が転職できる要件について紹介します。 1-1技能要件 特定技能外国人は,要件さえ満たせば,特定技能の他分野への転職も認められています。 転職を希望する場合は,必ず転職先の「分野・業務区分」で求められる技能要件を満たしている必要があるため,事前に必要な技能要件については,確認をしておくことが肝要です。 例えば,農業分野で特定技能ビザを取得して就労していた外国人が,宿泊業分野へ転職する場合は,事前に宿泊業の特定技能の技能試験に合格している必要があります。 また,製造業分野など,分野内に複数の業務区分が設置されている場合は,業務区分ごとに特定技能の技能試験が設置されています。 そのため,同じ分野内でも他の業務区分の業務へ従事,または転職する場合は原則として特定技能の技能試験に合格する必要がある点は,誤解が多いところになりますので,注意が必要です。 加えて,介護分野へ転職する際には,介護分野における日本語能力を証明するために「介護日本語評価試験」についても合格しておく必要がある点は,留意して下さい。 1-2在留期間 特定技能(1号)ビザでは,外国人が日本で在留可能な期間は,最長5年間と定められています。 最長5年間の在留期間に関しては,転職前に特定技能ビザにて就労していた期間も含まれます。 そのため,特定技能外国人と締結する雇用契約の期間を決定する際には,残りの在留可能期間を確認しておく必要があります。 なお,既に残りの在留期間が数ヶ月のみのような場合は,転職先で就労するためのビザの切り替えができない可能性もある点には注意が必要です。 2.入管への必要な届出手続き 2-1特定技能外国人 在留資格変更許可申請(ビザ切り替え申請手続き) 〇在留資格変更許可申請(ビザ切り替え申請手続き) 特定技能外国人が転職をする場合は,特定技能ビザの切り替え申請をする必要があります。 申請には多くの書類を準備・作成する必要があり,1ヶ月以上の審査期間も想定する必要があるため,早めの準備が必要です。 また,転職先の機関にて特定技能外国人として就労できるのは,特定技能ビザの切り替え申請後,新しい特定技能ビザを取得してからとなります。 この点,間違いがないようにしてください。 なお,特定技能外国人が同じ受入れ機関で就労を継続しながら,従事する業務区分を変更・追加する場合は,「特定技能所属機関による特定技能雇用契約に係る届出」の提出のみで 足りる点は,誤解が多いところになりますので、注意が必要です。 特定技能ビザの切り替え方法について詳しい内容は,特定技能ビザ 切り替え のページをご確認ください。 2-2受入れ機関 受入れ機関は次の4つの届出を,入管へ提出する必要があります。 特定技能所属機関による受入れ困難に係る届出 特定技能所属機関による特定技能雇用契約に係る届出 特定技能所属機関による支援計画変更に係る届出 特定技能所属機関による支援委託契約に係る届出 〇特定技能所属機関による受入れ困難に係る届出 受入れ機関または特定技能外国人の都合により,特定技能外国人の受入れ継続が困難となった際に提出義務のある書類です。 受入れ継続が困難となった日から14日以内に入管へ提出する義務があり,特定技能外国人が転職する場合は,次の内容について入管へ報告します。 転職する特定技能外国人の情報 転職理由 特定技能外国人の現状…
2022.02.21 仲野 翔悟 特定技能ビザ日本語特定技能1号特定技能2号飲食料品製造業 特定技能「飲食料品製造業」とは?1号・2号の違い・協議会加入要件・試験概要を行政書士が解説 1.特定技能「飲食料品製造業」について まずは、飲食料品製造業分野における特定技能1号・2号それぞれの業務内容や要件について解説します。 (1)従事可能な業務内容 特定技能1号と2号では、現場で果たす役割や従事する業務の範囲が異なります。 特定技能1号: 指導者の指示を理解し、または自らの判断により、飲食料品(酒類を除く)の製造・加工および安全衛生の確保に関する作業に従事します。 特定技能2号: 1号の業務(製造・加工および安全衛生確保)に加え、複数の技能者(技能実習生・アルバイト・1号等)を指導しながら作業に従事し、工程全体を管理する業務(管理業務の補助・ライン長や班長等の役職)に従事します。 以下の表は、特定技能1号において認められている業務区分と、従来の技能実習制度における職種・作業の対比です。 令和9年(2027年)4月1日以降は「飲食料品製造業」と「水産加工業」の2つの業務区分に再編されます(令和9年3月31日までは従来の「飲食料品製造業全般」として経過措置が適用されます)。 特定技能(業務区分) 技能実習(職種) 技能実習(作業) 飲食料品製造業 / 水産加工業(飲食料品製造全般)(畜産食料品製造業、水産食料品製造業、野菜缶詰・果実缶詰・農産保存食料品製造業、調味料製造業,糖類製造業、精穀・精粉業、パン・菓子製造業、動植物油脂製造業,その他の食料品製造業,清涼飲料製造業、茶・コーヒー製造業(清涼飲料を除く)、製氷業、菓子小売業(製造小売)、パン小売業(製造小売)、豆腐・かまぼこ等加工食品小売業) 缶詰巻締 缶詰巻締 食鳥処理加工業 食鳥処理加工 加熱性水産加工 食品製造業 節類製造 加熱乾製品製造 調味加工品製造 くん製品製造 非加熱性水産加工 食品製造業 塩蔵品製造 乾製品製造 発酵食品製造 水産練り製品製造 かまぼこ製品製造 牛豚食肉処理加工 業 牛豚部分肉製造 ハム・ソーセージ・ ベーコン製造 ハム・ソーセージ・ ベーコン製造…
2022.02.15 仲野 翔悟 特定技能ビザ日本語特定技能1号特定技能2号建設業 建設業の特定技能ビザとは?受け入れ機関の要件・業務区分・2号へのキャリアパスを行政書士が解説 1.建設業での特定技能ビザ取得状況 まずは、建設業での特定技能ビザ取得状況について紹介します。 2019年に特定技能制度が施行された際に比べて、建設分野における特定技能外国人の受入れは大幅に進展しています。 入管が公表した最新データ(令和8年6月末時点・速報値)によると、建設分野の特定技能1号外国人の在留者数は直近1年間で8,533人増加し、52,132人に達しています(令和11年3月までの受入れ見込み数は76,000人で充足率は68.6%)。 また、熟練した技能を要する特定技能2号についても3,000名を超える外国人が在留しており、1号からのステップアップや長期就労の仕組みが定着しつつあります。 2.特定技能で従事可能な3つの業務区分(技能実習との対応関係) かつての建設分野は19業務区分に分かれていましたが、大きく「土木」「建築」「ライフライン・設備」の三つに再編されました。同じ区分内であれば、他の業務を行うことが可能です。 次の表では、技能実習と特定技能それぞれの制度で従事可能な業務を紹介しています。 特定技能(業務区分) 技能実習(職種) 技能実習(作業) 土木 型枠施工 型枠工事 鉄筋施工 鉄筋組立て とび とび 石材施工 石材加工 石張り コンクリート圧送施工 コンクリート圧送工事 ウェルポイント施工 ウェルポイント工事 建設機械施工 押土・整地 積込み 掘削 締固め さく井 パーカッション式さく井工事 ロータリー式さく井工事 建築 建築大工 大工工事 型枠施工 型枠工事 鉄筋施工 鉄筋組立て…
2022.02.03 仲野 翔悟 必要書類特定技能ビザ日本語期間更新 【特定技能ビザ】期間更新の必要書類と注意点 1.「特定技能ビザ」期間更新手続きの流れ まずは,特定技能ビザを更新する際の手続きの流れについて紹介します。 ➀必要書類の準備 特定技能ビザの期間更新の申請は,保有しているビザ有効期限の3ヶ月前から行うことができます。 申請に必要な書類の中には,役所などで取得する書類もあり,それらは3ヶ月の有効期限があります。 そのため,申請予定日に合わせて計画的に特定技能ビザの期間更新の準備を進める必要があります。 ②入管へのビザ申請 必要書類を全て揃えたら,本人・代理人または申請等取次者の資格をもつ行政書士などが,入管またはオンラインにて特定技能ビザ更新の申請を行います。 申請した際には受理票が発行されます。 受理票は,審査状況の照会などに必要となるので大切に保管して下さい。 ➂審査終了の通知 申請する入管の場所や申請の混雑状況にもよりますが,2週間から1ヶ月程度の審査期間を経て,審査終了の通知が届きます。 審査終了の通知は,「入管へ申請した場合ははがき」で,「オンラインで申請した場合はメール」にて届きます。 ④特定技能ビザの受け取り 入管で申請した場合は,申請した入管へ出向いて,新しい在留カードの受け取りをします。 その際に,次のものを持参して下さい。 現在保有の特定技能ビザの在留カード原本 パスポート原本 指定書 手数料納付書(4000円の印紙を貼付したもの) 受理票 通知はがき オンライン申請の場合は,保有している在留カードを「東京出入国在留管理局在留管理情報部門オンライン申請手続班」へ郵送することで,新しい在留カードを郵送にて受け取ることができます。 郵送する際には,次のものを同封して下さい。 現在保有の特定技能ビザの在留カード原本 指定書 手数料納付書(4000円の印紙を貼付したもの) 新しい在留カードを受け取るための返信用封筒 2.「特定技能ビザ」外国人の必要書類 特定技能ビザの期間更新するための必要書類を紹介していきます。 申請書 特定技能外国人の人定情報や申請内容などを記載する書類です。 特定技能外国人の報酬に関する説明書 特定技能外国人が受け取る報酬額が適正であることを証明する書類です。 報酬の算出根拠などの内容を中心に記載します。 特定技能雇用契約書の写し 雇用条件書の写し 受入れ機関と特定技能外国人が合意した契約書の写しを提出します。 個人住民税の課税証明書 取得できる最新年度のものが必要です。…
2022.01.26 仲野 翔悟 特定技能ビザ日本語特定技能1号特定技能2号漁業分野 特定技能の漁業分野で外国人を雇用するには?基準・雇用形態・試験概要を解説 1.特定技能「漁業分野」の対象業務 まずは、特定技能の漁業について、業務区分からご紹介していきます。 (1)業務区分 特定技能の漁業分野には、次の表のとおり「漁業」と「養殖業」の2つの業務区分があります。 それぞれに対応する技能実習制度の職種・作業で、「技能実習2号を良好に修了」した外国人は、漁業技能測定試験の合格をしなくても、特定技能ビザを取得する要件を満たします。 また、特定技能制度は、技能実習制度と違い「漁業」の業務区分が作業ごとに分けられていません。 そのため、例えば「漁船漁業職種・かつお一本釣り漁業作業」の技能実習を修了した外国人が漁業の特定技能ビザを取得した場合は、技能実習中は従事できなかった他の作業への従事も可能となります。 特定技能制度(業務区分) 技能実習制度(職種) 技能実習制度(作業) 漁業(漁具の製作・補修、水産動植物の探索、漁具・漁労機械の操作、水産動植物の採捕、漁獲物の処理・保蔵、安全衛生の確保等) 漁船漁業 ・かつお一本釣り漁業・延縄漁業・いか釣り漁業・まき網漁業・ひき網漁業・さし網漁業・定置網漁業・かに・えびかご漁業・棒受網漁業 養殖業(養殖資材の製作・補修・管理、養殖水産動植物の育成管理、養殖水産動植物の収穫(穫)・処理、安全衛生の確保等) 養殖業 ほたてがい・まがき養殖 (2) 付随できる関連業務 どちらの業務区分においても、同じ職場の日本人従業員が通常行う業務に、付随的に従事することは関連業務として認められています。 認められる関連業務例は、次のとおりです。 〇漁業 漁具の積込み・積下し、漁獲物の水揚げ、漁労機械の点検、船体の補修及び自家原料を使用した製造・加工・出荷・販売等 〇養殖業 梱包・出荷及び自家原料を使用した製造・加工・出荷・販売等 主たる業務(操業や養殖作業など)を行わず、「関連業務のみ」に専ら従事させることは認められていません。 2.外国人本人と受入れ機関の要件 (1)外国人本人の要件 特定技能1号 年齢: 18歳以上であること 技能・日本語基準: 「1号漁業技能測定試験」および「日本語能力試験(N4以上またはJFT-Basic A2相当)」の合格 試験免除: 漁業分野の「技能実習2号を良好に修了」した外国人は、技能・日本語試験ともに免除されます 特定技能2号(熟練した技能を持つ人材) 試験基準: 「2号漁業技能測定試験」および「日本語能力試験(N3以上)」の合格 実務経験要件: 現場で操業・養殖を指揮監督する者を補佐、または他の作業員を指導・管理した2年以上の実務経験が必要です…
2022.01.24 仲野 翔悟 特定技能ビザ日本語特定技能1号特定技能2号ビルクリーニング分野 特定技能のビルクリーニング分野で外国人を雇用するには?業務内容・受け入れ要件・試験概要まで解説 1.ビルクリーニングでの特定技能ビザ取得状況 政府が定める特定技能1号のビルクリーニング分野の受入れ見込数(上限)は、令和11年3月末までで32,200人と設定されています。 制度開始初期は受け入れが進まない時期もありましたが、2026年現在では受け入れ態勢の整備が進み、在留外国人数は着実に増加しています。入管の公表データによると、ビルクリーニング分野における特定技能外国人の数は以下のとおりです。 特定技能1号:9,202人(令和8年3月末時点速報値) 特定技能2号:18人(令和8年3月末時点速報値) 今後もこの分野での受け入れは拡大していくことが見込まれます。 2.「特定技能」ビルクリーニングの業務内容 (1)特定技能1号の業務 ビルクリーニング業では、特定技能外国人が、建築物内部の清掃業務全般(床・天井・内壁・トイレ・洗面所等)に従事することが認められています。 また、関連業務として、次のような業務にも従事することが認められます。 資機材倉庫の整備作業 建物外部洗浄作業(外壁、屋上等。ただし高所作業を伴う窓ガラス外壁清掃作業は除く) 客室整備作業(ベッドメイク含む) 建築物内外の植栽管理作業(灌水作業等) 資機材の運搬作業(他の現場に移動する場合等) なお、上記業務に住宅内部の清掃を目的として従事することはできず、関連業務に従事する割合が清掃業務を超えることも認められません。 (2)特定技能2号の業務 特定技能2号での業務内容は、「建築物内部の清掃に、複数の作業員を指導しながら従事し、現場を管理する業務及び同業務の計画作成、進行管理その他のマネジメント業務」となっています。1号よりも高度な業務です。 3.「特定技能」ビルクリーニングの受け入れ企業が守るべき要件と協議会への加入 特定技能外国人を受け入れる企業(特定技能所属機関)には、法令遵守や適切な労働環境の確保が求められます。雇用形態は直接雇用に限られます。 (1) 協議会への加入義務 受け入れ企業は、厚生労働省が設置する「ビルクリーニング分野特定技能協議会」の構成員になる必要があります。 加入手続きは、入管への申請を行う前に完了させておく必要があります。在留資格の申請時に協議会の構成員であることを証明する書類の提出が求められますので、採用が決まり次第、余裕を持って加入手続きを進めることが重要です。 また、協議会の目的達成のために、次の事項について協議または情報共有を行うとしており、協議会員は必要に応じて、協議会からの要請に協力する必要があります。 特定技能外国人の受入れに係る制度の趣旨や優良事例の周知 受入れに係る人権上の問題等への対応 特定技能所属機関等に対する法令遵守の啓発 特定技能所属機関の倒産時等における特定技能外国人に対する転職支援(特定技能所属機関が支援義務を果たせない場合における情報提供等の必要な協力) 就業構造の変化や経済情勢の変化に関する情報の把握・分析 地域別の人手不足の状況の把握・分析 前号を踏まえた大都市圏等への集中回避に係る対応策の検討・調整(看過しがたい偏在が生じた場合の協議会による大都市圏等での受入れの自粛要請や大都市圏等の特定技能所属機関による特定技能外国人引抜きの自粛要請等を含む。) 特定技能所属機関に対する構成員であることの証明 円滑かつ適正な受入れのために必要なその他の情報、課題等の共有・協議等 上記事項に掲げるもののほか、上記の目的を達成するために必要なこと 参照:厚生労働省(ビルクリーニング分野特定技能協議会設置要綱)(外部リンク) (2) 登録要件…
2022.01.14 仲野 翔悟 特定技能ビザ日本語特定技能1号特定技能2号農業分野派遣 農業で特定技能外国人を雇うには?受け入れ要件から試験の概要・合格率、雇用形態まで解 1.農業分野の特定技能ビザについて 特定技能制度の開始当初、農業分野では最長5年の在留に限られる「特定技能1号」のみが運用されていました。しかし制度改定により、熟練した技能を持つ方向けの「特定技能2号」が導入され、農業分野でも無制限の在留期間更新や家族の帯同が可能となりました。 これにより、事業者には「通算5年の壁を越えた長期雇用」や「将来像を提示することによる定着率向上」という大きなメリットが生まれています。今後の外国人採用では、2027年4月から開始される新制度「育成就労」から特定技能1号、さらに現場の指導者・管理者を目指す「特定技能2号」へと至る一貫したキャリアパスを見据え、初期段階から育成・定着の体制を整えておくことがこれまで以上に重要となっています。 それでは、特定技能制度での農業の業務区分や雇用形態について見ていきましょう。 2.農業分野の業務区分と受け入れ方式 (1)業務区分 特定技能「農業」の業務区分は、次の表のとおり「耕種農業全般」と「畜産農業全般」の2つのみです。 対応する技能実習制度の作業で技能実習2号を良好に修了した外国人については、特定技能ビザを取得するための要件を満たすため、新たに農業技能評価試験を受験する必要はありません。 特定技能制度(業務区分) 技能実習制度(作業名) 耕種農業全般 (栽培管理、農産物の集出荷、選別等の業務) 施設園芸 畑作・野菜 果樹 畜産農業全般 (飼養管理、畜産物の集出荷、選別等の業務) 養豚 養鶏 酪農 特定技能外国人が就労する際には、許可を取得した業務区分に含まれる業務への従事のみが認められるため、例えば、耕種農業全般に従事する特定技能外国人が、畜産農業の業務に携わることは認められていません。 なお、特定技能の2つの業務区分のどちらで就労する場合でも、関連業務として、運搬業務、販売業務、冬季の除雪作業などに付随的に従事させることは認められています。 (2)雇用形態 農業は作物の収穫期など、時期によって必要な人員が大きく変わる特殊性があります。特定技能制度では、事業者のニーズに合わせて主に3つの方法で外国人を雇用することが可能です。 ①通年雇用(直接雇用) 一般的な雇用形態として、1年以上の雇用契約を結び、年間を通して自社で就労してもらう方法です。熟練度を高めやすく、長期的な戦略に基づいて人材を確保できます。 ②繁忙期・季節限定雇用(直接雇用の期間設定) 特定技能ビザは、技能実習と異なり、受入れ機関と外国人の双方が合意すれば雇用契約期間を自由に設定できます。 そのため、「収穫期の3ヶ月間だけ雇用する」といった契約を結ぶことが可能です。繁忙期以外の期間は母国へ一時帰国してもらうか、繁忙期と閑散期が逆になる他の農家と連携して時期をずらしながら雇用をリレーしていく運用も行われています。 ③派遣での雇用 特定技能制度では原則として直接雇用が義務付けられていますが、農業分野(および漁業分野)では例外的に「派遣」での受け入れが認められています。人材派遣会社が雇用主となり、繁忙期を迎えた複数の農家へ外国人を派遣で手配する仕組みです。直接雇用に比べ費用は高くなる傾向がありますが、登録支援機関の許可を取得している派遣会社もあるため、特定技能外国人への支援業務も含めて依頼することで、労務管理や手続きの手間を大幅に軽減できるメリットがあります。 ④請負での雇用 JAなどが請負業者となり、複数の請負現場にて、特定技能外国人を就労させるような受入れの方法も可能です。請負業者と外国人の間で締結するため、請負業者が繁忙期の違う複数の請負現場と請負契約を締結していれば、就業場所が変更となった場合でも、新たに特定技能ビザの切り替え申請をする必要はなく、入管庁への就業場所変更の届出等のみで就労を継続させることができます。 3.農業分野の受け入れ要件 (1)外国人本人の要件 技能試験と日本語試験に合格 農業の技能を証明するための農業技能評価試験と日本語能力試験N4以上、または国際交流基金日本語基礎テストA2レベル程度の結果を取得することで、農業の特定技能ビザ申請のための要件を満たすことができます。 技能実習2号を良好に修了 農業の該当職種にて、技能実習2号を良好に修了した外国人については、技能試験や日本語試験を受験せずに、特定技能ビザの申請をすることができます。 (2)受入れ機関の主な要件…
2022.01.07 仲野 翔悟 切り替え方法特定技能ビザ日本語 特定技能ビザへの切り替え方法と注意点 1. 留学ビザから特定技能(1号)ビザへの切り替え 本チャプターでは,留学ビザから特定技能(1号)ビザへの切り替えを見ていきましょう。 1-1 外国人の要件 〇技能試験と日本語試験に合格 特定技能ビザへ切り替えをするためには,技能試験と日本語試験の合格が必要です。 技能試験については,それぞれの分野で区分ごとに設定された試験に,合格する必要があります。 日本語試験については,全分野共通で,日本語能力検定N4以上に合格または国際交流基金日本語基礎テストA2レベル程度の結果を取得することで,要件を満たすことができます。 詳しい内容は,【特定技能ビザ】全14分野の試験内容をご確認ください。 〇納税・納付義務の履行 特定技能ビザへの切り替え申請をする時点で,納期が到来している税金については,全て完納している必要があります。 留学生については,次の4つの税金について、納付状況の確認できる資料の提出が必要な点について留意してください。 なお,租税条約等により免税を受けていた場合には,その旨示す必要があります。 所得税 住民税 国民健康保険(税) 国民年金の保険料 1-2 注意点 〇引き続き家族帯同が可能 留学ビザを保持する外国人には,一定の要件の下で,家族滞在ビザが認められています。 他方で,特定技能(1号)ビザの外国人は,家族の帯同が認められていません。 では,留学ビザから特定技能(1号)ビザに切り替えた場合には,家族滞在ビザは失効してしまうのでしょうか。 留学ビザから特定技能(1号)ビザに切り替えた場合には,実は家族も「家族滞在ビザ」から「特定活動ビザ」に切り替えて,引き続き日本に在留することが認められています。 〇確定申告が必要な場合 外国人留学生は,日本での学費や生活費を稼ぐために,複数のアルバイトを掛け持ちしているケースも少なくありません。 そのような場合には,確定申告を済ませておく必要があります。 加えて,それぞれのアルバイト先から,源泉徴収票の取得をしておく必要もあるので,紛失してしまった場合などには,早めの再発行依頼をしておく必要があります。 〇留学中のアルバイト時間数 外国人留学生は,入管庁より,資格外活動許可を取得することで,原則,週28時間以内のアルバイトが認められています。 学則により定める長期休業期間中は,週40時間までのアルバイトが認められる場合もありますが,いずれの場合でも,上限の時間数を厳守している必要があります。 特定技能ビザを申請する際に,上限を超えた時間数のアルバイトをしていたことが発覚した場合は,特定技能ビザの取得ができなくなる可能性がありますので注意してください。 2.技能実習ビザから特定技能(1号)ビザへの切り替え 技能実習生が特定技能(1号)ビザを取得するための要件は,留学生と同様に試験に合格する方法もありますが,「技能実習2号を良好に修了した」という実績でも要件を満たすことができます。 2-1 外国人の要件 〇技能試験と日本語試験に合格…
2021.12.28 仲野 翔悟 就労ビザ特定技能ビザ日本語宿泊業旅館育成就労 宿泊業で特定技能外国人を雇用する要件と注意点を行政書士が解説 1.「宿泊業」特定技能外国人の要件 まずは、どのような外国人が特定技能ビザを取得できるか見ていきましょう。 宿泊業で、特定技能ビザを取得するためには、外国人が、技能試験と日本語試験に合格する必要があります。 それぞれ、宿泊業技能測定試験、および日本語試験(日本語能力検定N4以上、または国際交流基金日本語基礎テスト)の受験が必要です。 なお、宿泊業にて、技能実習2号を良好に修了した外国人については、日本語試験及び宿泊業技能測定試験の両方が免除されます。 (1)試験について 〇宿泊分野特定技能1号評価試験 宿泊業技能測定試験の国内試験は、受験日に17歳以上で、有効なビザをもつ全ての外国人に受験資格があり、宿泊業技能測定試験の管轄機関である、「一般社団法人宿泊業技能試験センター」公式サイト(外部リンク)より、受験申込をする必要があります(電話・メール等での申込は不可)。 事前に登録をして、申し込み可能な受験日に登録し、7,700円の受験料を支払うことで、受験可能となります。 試験形式 学科試験および実技試験(CBT方式またはペーパーテスト方式による判断等試験)で構成されます。 出題内容 学科試験(原則3肢選択式・約30問):「フロント業務」「企画・広報業務」「接客業務」「レストランサービス業務」の4業務に関する基礎・現場知識のほか、「安全衛生」や一般的な「接遇マナー(心構え、身だしなみ、言葉遣い、立居振る舞い)」から出題されます。 実技試験: 「フロント業務」「接客業務」「レストランサービス業務」の3業務に関し、利用者の求めに応じた適切な対応ができるかが評価されます。 合格基準 学科試験・実技試験のそれぞれで正答率65%以上で合格となります。 試験合格後、宿泊業での就職先が内定した場合は、外国人と、受入れ企業の双方が、一般社団法人宿泊業技能試験センターへ申請することで、合格証明書を取得することができます。 申請承認後、受入れ企業が、1名につき、12,100円の発行手数料を支払った後に、合格証明書が受入れ企業に送付されます。 合格証明書は、入管庁へ特定技能ビザの申請をする際の提出必須書類のため、必ず取得する必要があります。 〇日本語試験 日本語試験については、国内外で年に2回のみ開催される日本語能力検定でN4以上に合格、若しくは、毎月開催の国際交流基金日本語基礎テストでA2レベル程度の結果を取得する必要があります。 国際交流基金日本語基礎テストは、開催頻度が多く、受験結果も5営業日以内に知ることができるため、特定技能ビザ申請の計画を立てやすいです。 また、不合格の際の再受験の機会も多いため、特定技能ビザの申請要件を満たすためには、国際交流基金日本語基礎テストの受験をお勧めします。 なお、前述の通り、日本語試験の要件について、宿泊業を含む全ての業種で「技能実習生2号を良好に修了」した外国人は、一定の日本語能力があると見なされるため、宿泊業での特定技能ビザを申請するにあたり、日本語試験の要件は免除されます。 特定技能ビザの試験については、【特定技能ビザ】全12分野の試験内容のページもご確認ください。 (2)特定技能2号について 宿泊業は、「特定技能2号」の対象分野となっています。特定技能2号ビザを取得できれば、実質無期限の就労や、家族帯同が可能となります。 宿泊分野で「特定技能2号」を取得するには、以下の要件を満たす必要があります。 実務経験:宿泊施設において、複数の従業員を指導しながら宿泊サービスを提供する業務に2年以上の実務経験を有すること(受入企業による証明が必要)。 技能試験への合格:一般社団法人宿泊業技能試験センターが実施する「宿泊分野特定技能2号評価試験」に合格すること。 2.「宿泊業」受入れ企業の要件 要件➀「宿泊業特定技能協議会」へ加入 特定技能外国人を受け入れる宿泊事業者は、「宿泊業特定技能協議会」への加入が義務付けられています。従来は雇用開始後の加入も認められていましたが、2024年6月15日以降は、在留資格の申請時に協議会の構成員であることを証明する書類の提出が求められます。そのため、外国人材の採用・ビザ申請の手続きを開始する段階で、あらかじめ協議会への加入手続きを進めておく必要があります。 宿泊業の特定技能協議会への加入は、観光庁公式サイト…