特定技能ビザコラム

COLUMN

【2026年3月末最新データ】特定技能の「受入見込数」と「充足率」を徹底解説!採用計画の重要ポイント

1. 特定技能制度の「受入見込数」とは? 特定技能制度の意義は、人材を確保することが困難な状況にあるため外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野(特定産業分野)において、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れていく仕組みを構築することにあります。 制度の適正な運用を図るため、政府は「基本方針」および「分野別運用方針」を策定しており、この分野別運用方針の中で、原則として5年ごとに各分野の「受入見込数」が定められます。この受入見込数は、単なる目標値ではなく「外国人受入れの上限数」として厳格に運用される数字です。 (1)特定技能1号全体の受入見込数と2026年3月末時点での充足率 令和6年(2024年)3月の分野別運用方針の設定において、各産業分野における人手不足の状況が改めて精査されました。政府の方針として、単に人手不足だからといって安易に外国人を受け入れるのではなく、各分野において更なる生産性の向上や国内人材確保の取組みを行うことが強く求められています。 その結果、令和11年(2029年)3月末までの5年間を対象とした特定技能1号全体の受入見込数は805,700人と設定されました。そして、最新のデータ(令和8年3月末速報値)によると、特定技能1号全体の在留外国人数は404,527人となっています。受入見込数に対する全体の「充足率」は50.2%となり、制度全体としてはおおむね順調なペースで受入れが進んでいると言えます。 (2)「育成就労」の受け入れ見込み数 ちなみに、従来の技能実習制度に代わり2027年4月から新たに運用開始予定の「育成就労制度」においても、特定技能制度と同様に受入見込数が設定されました。全17分野で合計426,200人の上限が設けられています。育成就労制度は、原則3年間の就労を通じて「特定技能1号水準」の技能を持つ人材を育成することを目的としています。つまり、育成就労は、特定技能へ移行して長く活躍してもらうための「前段階(育成期間)」として明確に位置づけられた制度なのです。 これにより、特定技能1号の805,700人と合わせて、政府は2029年3月末までの5年間で合計1,231,900人の外国人材を受け入れる計画を立てたことになります。特定技能へのステップアップを前提としたこの巨大な育成・受入れ枠の動向は、今後の採用計画において注視していく必要があります。 2. 受入充足率が高い分野トップ3 特定技能1号全体の充足率は約50%ですが、産業分野別に見ると採用の進み具合には大きなばらつきが生じています。特に以下の3分野は充足率が非常に高く、今後の動向に最大限の警戒が必要です。 産業分野 受入見込数 在留外国人数 充足率 状況 警戒 (トップ3) 【停止中】外食業 50,000人 47,714人 95.4% 一時的な交付停止措置中 飲食料品製造業 133,500人 96,367人 72.2% 在留数は全分野で最多 建設 76,000人 51,055人 67.2% JAC加入やCCUS登録が必要 やや警戒(50%超) 介護 126,900人 74,745人 58.9%…

【令和8年3月末速報値】特定技能1号が40万人を突破!分野別人数とこれからの外国人材採用のポイント

1. 【令和8年3月末速報値】特定技能在留外国人数の現状 国内人材の確保がますます困難になる中、特定技能制度を活用して即戦力となる外国人材を受け入れる企業は業種を問わず増えています。まずは、令和8年3月末時点の最新データから、日本における外国人材の受入れ状況の全体像を把握しておきましょう。 (1)特定技能1号は「404,527人」まで増加 特定技能制度の利用は年々右肩上がりで増加しており、令和8年3月末現在の速報値では、特定技能1号の在留外国人数は404,527人(令和7年末時点では382,341人)に達しました。また、より熟練した技能を要し、家族帯同や在留期間の更新に上限がない「特定技能2号」についても12,420人(令和7年末時点では7,955人)となっており、外国人材の長期的な定着が着実に進んでいます。 (2)分野別人数ランキング:どの業界で採用が進んでいるのか? 2026年現在、特にどの業界で特定技能外国人が活躍しているのでしょうか。特定技能1号において、人数の多い上位5分野は以下の通りです。 順位 産業分野名 特定技能1号 在留外国人数 1 飲食料品製造業 96,367人 2 介護 74,745人 3 工業製品製造業 59,038人 4 建設 51,055人 5 農業 39,950人 これら上位の業界では、すでに多くの企業が外国人材を事業運営の「貴重な戦力」として位置づけており、他社に先んじた人材獲得競争が激化しています。 2. 令和8年追加の「新規分野」の動向とトレンド 特定技能制度の大きな特徴は、経済情勢や人手不足の状況に合わせて柔軟に対象分野が追加される点にあります。直近の令和8年1月の閣議決定でも新たな分野の追加が発表され、大きな話題を呼びました。この章では、新たに追加された分野の2026年最新の受入れ数データと、これから本格化する新規分野の動向について述べます。 (1)自動車運送業や林業などの最新状況 2024年に追加が閣議決定された自動車運送業(333人)、鉄道(59人)、木材産業(34人)、林業(8人)など、新たな分野ですでに受入れの実績が出始めています。 特定技能「自動車運送業」については、特定技能「自動車運送業」と特定活動55号を徹底解説!採用フローや注意点は?で詳しく解説しています。ぜひご参照ください。 (2)これから始まる「特定技能1号のみ」の3分野 2026年1月の閣議決定ではさらに、特定技能1号に「リネンサプライ」「物流倉庫」「資源循環」の3分野が新規に追加されました。これらの新分野については、各分野の省庁による独自の追加ルール(上乗せ基準)が正式に定められ、準備が整い次第、運用が開始される予定であり、速報値でも在留者数が0人ですが、今後の動向に大きな注目が集まっています。 新規分野での在留資格申請は、行政側の審査要領や運用ルールも手探りの部分が多く、入管の審査官も慎重に審査を行います。「必要書類の不備」や「要件の解釈違い」によって、予期せぬ不許可や度重なる追加資料要求となり、採用計画が大幅に遅れるケースが発生しやすいのが実務上の盲点です。 これら新規分野での採用は、早期の情報収集と専門家による綿密な要件確認が成功の鍵を握ります。 3.…

特定技能1号への移行準備のための特定活動ビザとは?

1.在留資格「特定技能」とは? 在留資格「特定技能」とは,2018年に成立した改正出入国管理法により創設され,2019年から受け入れ可能となった外国人労働者向けの在留資格です。 具体的には,人材が不足している産業などに即戦力となり得る外国人労働者を受け入れることを目的とした在留資格のことです。 在留資格「特定技能」は「特定技能1号」と「特定技能2号」の2つの在留資格に分かれていて,それぞれ特定の分野が受け入れ対象となっています。 1-1.特定技能1号 「特定技能1号」とは,「特定産業分野に属するために特相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人」向けの在留資格です。 「特定技能1号」の特徴は,以下になります。 在留期間:通算で上限5年(1年,6か月または4か月ごとの更新) 技能水準:各特定分野の試験などで確認(技能実習2号を修了した外国人や,資格更新時には試験などが免除される) 日本語能力水準:日本語能力を試験などで確認(技能実習2号を修了した外国人や,在留期間更新時には試験などが免除される) 家族の帯同:海外在住の家族の帯同は基本的に認められない 特定技能1号の受け入れ対象特定産業分野は,以下12分野です。 介護 ビルクリーニング業 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業 建設業 造船・舶用工業 自動車整備業 航空業 宿泊業 農業 漁業 飲食料品製造業 外食業 1-2.特定技能1号と2号との比較 特定技能1号と特定技能2号とは,在留期間,技能水準,家族の帯同,日本語能力水準試験の有無などが異なります。 特定技能2号を取得するためには,特定技能1号から移行しなければなりません。 また,特定技能2号の分野は現状「建設業」と「造船・舶用工業」の2分野しかありませんが,今後拡大予定です。 特定技能1号と2号との違いの詳細について,もっと詳しく知りたい方は以下のコラムをご参照ください。 >>特定技能1号と2号の違いは? 2.在留資格「特定技能1号」に変更申請をする場合の必要書類 在留資格「技能実習」や「留学」などから在留資格「特定技能1号」に変更するには,申請までの準備に時間がかかると言われています。 実際に必要な提出書類は,申請人に関する必要書類,所属機関に関する必要書類,特定産業分野に関する必要書類に分かれます。 申請人に関する必要書類は以下です。 在留資格変更許可申請書 特定技能外国人の報酬に関する説明書 (賃金規定に基づき報酬を決定した場合は賃金規定も添付要) 特定技能雇用契約書の写し 雇用条件書の写し…

介護分野の特定技能ビザの活用方法

1. 特定技能の介護とは? 特定技能ビザは12分野において取得が認められており,特に介護は政府が最も特定技能ビザ取得を推進している分野のひとつです。 従来ある介護分野での就労が可能な「技能実習」や「EPA」と違い,特定技能では転職が可能であり,介護技能評価試験などに合格することで特定技能ビザを取得できます。 そのため,他分野で就労していた元技能実習生などが試験に合格をして,介護職に転職するケースも見られるようになりました。 今後も介護分野の特定技能ビザは高いニーズがあると予想されます。 2.介護分野での特定技能ビザ取得状況 特定技能ビザが施行された2019年に,日本政府は今後5年間で,約6万人の外国人を介護分野の特定技能ビザで受入れすると発表しており,12分野の中で介護分野が最多です。 しかし,2022年6月末に入管庁から公表された数字を見ると,特定技能外国人の介護分野での受入れ人数は約1万人に留まっています。 新型コロナウイルス感染症の影響などで,直近では介護分野の特定技能外国人の数は予想を下回るペースで推移しておりましたが,日本の生産年齢人口の減少を考慮すると,介護分野での特定技能ビザが今後増加していくことは間違いありません。 3.介護分野の特定技能ビザ取得要件 介護分野で特定技能ビザを取得するには,特定技能ビザを希望する外国人と受入れ機関のそれぞれが満たさなければならない要件があります。 3-1.外国人の主な要件 介護分野で特定技能ビザを取得するために外国人が満たすべき要件を紹介します。 ➀技能実習2号を良好に修了 介護分野において技能実習を2年10ヶ月以上修了した外国人については,技能実習2号を良好に修了した外国人として,介護分野の特定技能ビザ申請をすることができます。 技能実習を2年10ヶ月以上修了した上で,介護技能実習評価試験の専門級(実技試験のみ可)の合格証明書を特定技能ビザ申請の際に提出すると,技能実習2号を良好に修了したとみなされます。 仮に,介護技能実習評価試験の専門級に合格できなかった場合でも,技能実習中の実習評価について,受入れ機関と監理団体に評価調書を発行してもらうことで,技能実習2号を良好に修了したとみなされます。 ②技能試験と日本語試験に合格 介護技能評価試験,介護日本語評価試験,および日本語能力検定N4以上に合格(国際交流基金日本語基礎テスト合格を含む)することで,介護分野の特定技能ビザ申請をすることができます。 特に,介護分野では,日本語能力検定N4以上に加えて「介護日本語評価試験」の受験も必須である点は,他分野と異なるため注意が必要です。 そのため,既に他職種の「技能実習2号を良好に修了者」が介護分野で特定技能ビザを取得するためには,「介護技能評価試験」と「介護日本語評価試験」の合格が必要となります。 介護分野での最新の試験情報については,【特定技能ビザの試験内容】全12分野の解説もご確認ください。 ③介護福祉士養成施設を修了 介護福祉士養成施設を修了した場合でも,介護分野の特定技能ビザ申請をすることができます。 介護福祉施設に通う期間については,入学前の学歴によっても期間が変わります。 ④EPA介護福祉士候補者として在留期間(4年間)満了 EPA介護福祉士候補者として在留期間を満了した場合には,介護分野の特定技能ビザ申請をすることができます。 在留期間の満了をしていない場合でも,EPA介護福祉士候補者として就労・研修を3年10ヶ月以上修了し,直近の介護福祉士試験の結果で5割以上の点数をとることができれば,介護分野の特定技能ビザ申請が可能です。 ただし,EPA介護福祉士候補者は,フィリピン,インドネシア,ベトナムと日本が締結している経済連携協定に基づいて日本の介護施設で就労・研修をしながら介護福祉士の資格を目指す制度であるため,上記3ヶ国の外国人のみが該当します。 3-2.受入れ機関の主な要件 介護分野で特定技能ビザの外国人を雇用したい機関は,主に下記の受入れ要件を満たす必要があります。 ①介護の特定技能協議会への加入 初めて介護分野で特定技能外国人を受入れ後,4ヶ月以内に介護分野の特定技能協議会へ加入する必要があります。 介護分野の特定技能協議会は,厚生労働省が運営しており厚生労働省のホームページの案内に従い,加入手続きを行う必要があります。 加入手続きの主な流れは次のとおりです。…

【登録支援機関の総まとめ】行政書士の解説!

1. 登録支援機関とは? 登録支援機関とは,特定技能制度で義務付けられている特定技能外国人への支援業務を受入れ機関からの委託を受けて実施する機関です。 登録支援機関は,特定技能外国人の日本での生活をサポートすることを主な業務としています。 登録支援機関の登録が認められた機関は,既に日本全国で,7,500件以上(2022年10月時点)あり,個人事業主でも登録が認められることから,登録支援機関の数は現在でも増え続けています。 2.登録支援機関は儲かる? 正しい知識をもち上手に運用をすることで,登録支援機関としての業務で大きな利益を出している機関もあります。 ただし,登録支援機関の業務の多くは,日本語レベルが高いとは言えない外国人労働者の日本での生活サポートをすることであるため,多くの手間暇がかかり簡単な業務ではありません。 そのため,上手に運用している登録支援機関は,少ない数の受入れ機関(事務所近辺だとなお良い)に,1社あたり数十人~数百人など多くの外国人を受入れする機関と契約をしている場合が多いと言えるでしょう。 事故や怪我などの突発的な対応も支援業務のひとつであるため,遠方にある受入れ機関の支援や数人程度の受入れ機関と多く契約することは,支援業務を遂行する上で大きな負担となるため,あまりお勧めできません。 また,既に技能実習生などの受入れ実績が豊富な機関であれば,そのノウハウを生かして,登録支援機関となることも可能です。 登録支援機関は技能実習生とは違い,株式会社でも許可取得ができるため,グループ企業の支援業務を担う登録支援機関設立や,関係先の特定技能外国人を支援する目的でも要件さえ満たせば許可を得ることができます。 このように,登録支援機関としての業務は,単に利益を得るためだけでなく,支援業務を通じて関係先との距離を縮めることもできるため,金銭的な利益以外のメリットを得ることもできるのではないでしょうか。 3.登録支援機関が行う支援内容とは? 登録支援機関に実施義務のある特定技能外国人への支援内容は次のとおりです。 事前ガイダンス 出入国の際の送迎 住居確保・生活に必要な契約支援 生活オリエンテーション 公的手続きへの同行 日本語学習の機会提供 相談・苦情への対応 日本人との交流促進 転職支援(受入れ機関都合での解雇時) 定期面談・行政機関への通報 一見難しく見えますが,技能実習生を受入れしたことのある機関であれば既に馴染の多い内容も多いのではないでしょうか。 内容は主に,特定技能外国人が日本で生活するのに困らないためのサポートであるため,ガイダンスなど母国語の通訳が必要な支援もありますが,送迎や公的手続きのサポートなど基本的には,専門的な知識を要する支援でないものが多いです。 4.登録支援機関の登録要件は? 登録支援機関の登録認定を得るためには,最低でも次の要件を全て満たしている必要があります。 支援責任者及び1名以上の支援担当者を選任していること 以下のいずれかに該当すること ・登録支援機関になろうとする個人又は団体が,2年以内に中長期在留者の受入れ実績があること ・登録支援機関になろうとする個人又は団体が,2年以内に報酬を得る目的で,業として,外国人に関する各種相談業務に従事した経験を有すること ・選任された支援担当者が,過去5年間に2年以上中長期在留者の生活相談業務に従事した経験を有すること ・上記のほか,登録支援機関になろうとする個人又は団体が,これらと同程度に支援業務を適正に実施できると認められていること 1年以内に責めに帰すべき事由により特定技能外国人又は技能実習生の行方不明者を発生させていないこと 支援の費用を直接又は間接的に外国人本人に負担させないこと 刑罰法令違反による罰則(5年以内に出入国又は労働に関する法令により罰せられたなど)を受けていないこと 5年以内に出入国又は労働に関する法令に関し著しく不正又は不当な行為を行っていないこと 上記をわかりやすく説明すると,下記の内容となります。…

【特定技能ビザの試験内容】全12分野の解説

1. 特定技能ビザの試験 1-1 特定技能ビザ(1号) 特定技能の12分野では,特定技能ビザ(1号)を取得するための,日本語基準と技能基準が設けられており,技能基準については,分野・職種ごとに独自の試験も用意されています。 1-1-1 日本語試験 特定技能ビザ(1号)取得のための日本語能力を証明できる試験は「日本語能力試験」と「国際交流基金日本語基礎テスト」の2つです。 それぞれ,日本語能力試験はN4以上,国際交流基金日本語基礎テストはA2レベル程度の結果が求められます。 日本語能力試験(JLPT) 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic) 管轄機関 ・国際交流基金 ・財団法人日本国際教育支援協会 ・国際交流基金 実施日程 毎年7月と12月の計2回 国内外で毎月実施 実施国 日本と海外68か国 ※2021年12月実施データ 日本と海外10か国 ※2022年10月実施データ 直近の国内試験合格率 N4合格率43.4% ※2021年12月実施データ A2レベル程度 ※総合得点と判定基準で評価のため合否なし 試験方法 多肢選択式 多肢選択式 介護分野に限り,上記の日本語試験に加え,介護日本語評価試験に合格する必要があります。 介護日本語評価試験 管轄機関 厚生労働省 実施日程 国内外で毎月実施 実施国 日本と海外10か国 (ミャンマー,フィリピン,カンボジア,ネパール,インドネシア,モンゴル,タイ,インド,スリランカ,ウズベキスタン)…

特定技能と技能実習の8つの違い!メリット・デメリットも含め徹底解説

1. 特定技能とは? 特定技能とは,2019年に施行された外国人労働者を受入れするための制度です。 従来では,外国人労働者の受入れを認める制度がなかった日本において,初めて外国人労働者の受入れを認める制度として施行されました。 受入れ可能な業種は人手不足と認められた全12業種で,最長5年の在留が可能な「特定技能1号」と,一部業種でのみ認められている実質無期限の在留が可能な「特定技能2号」があります。 現在,特定技能2号で在留している外国人はわずか2名ですが,特定技能2号の適応業種拡大や試験の整備などにより,今後は特定技能2号の要件を満たして就労する外国人も増えることが予想されます。 2.特定技能と技能実習の違いとは? ここからは,特定技能と技能実習の違いについて解説していきます。 ①特定技能と技能実習の目的 特定技能制度 技能実習制度 生産性向上や国内人材を確保するための施策などを行っても,なお人材不足が深刻な業種の労働力を,一定の専門性・技能をもつ外国人材によって補う 先進国としての役割を果たすため,技能,技術・知識の移転を通して発展途上国の経済発展に協力する 表のとおり,2つの制度の目的は全く異なります。 比較すると特定技能制度の目的の方が,多くの受入れ機関が,外国人を受入れしたい目的と合致するのではないでしょうか。 特定技能では,受入れする外国人を労働者として扱うことが認められているのに対して, 技能実習制度は,あくまでも技能実習を通して,技能等を外国人に習得させるのが目的であるため,労働者として扱うことは認められていません。 そのため,技能実習制度では,認可を受けた「技能実習計画」に沿った活動のみが認められており,従事させる作業まで細かく規定されています。 ②登録支援機関と監理団体(組合)の違い 登録支援機関 監理団体(組合) 特定技能制度で定められた外国人への支援業務を自社で実施できない受入れ機関の代わりに,支援業務をする機関 入国前後のフォローや,受入れ機関への監査や訪問などを通して,技能実習の適正な運用実現をする機関 それぞれの機関の役割は大きく異なります。 登録支援機関は,特定技能外国人に対する支援業務をする機関であるのに対して,監理団体の業務は,技能実習生の支援だけではありません。 監査や訪問を通して受入れ機関が技能実習法に基づいた適正な制度運用をしているか否かを確認・指導する機関としての役割も担います。 また,登録支援機関は,全国に約7,500あるのに対して,監理団体は約3,600の機関が登録されています。 理由としては,登録支援機関は,個人事業主でも許可を得ることができ,許可要件も比較的簡易であるのに対して,監理団体は許可要件が厳格で,非営利団体のみに許可が与えられるためです。 加えて,監理団体が登録支援機関の許可を同時に取得することは認められているため,2つの許可をもつ監理団体も少なくありません。 このように登録支援機関と監理団体では,外国人支援をするという面では,共通点もありますが,実際には異なる点が多いです。 ③受入れ可能な業種と職種 特定技能制度 技能実習制度 特定技能制度で認められた12業種とそれぞれの業種で認められた職種で就労可能 技能実習制度で認められた158の作業のいずれかで技能実習可能 特定技能制度では,人手不足が深刻であると認められた12業種での特定技能外国人の 受入れが認められており,業種ごとに設定された業務区分(職種)の技能要件を満たした外国人が特定技能外国人としての就労をすることができます。 他方で,技能実習制度では,86職種・158の作業に従事可能な業務が分けられており,基本的には,技能実習生は1つの作業への従事のみが認められます。 加えて,技能実習生に関しては従事可能な作業内容が詳細に定められており,特定技能と比べて業務内容の自由度が低く,試験準備などのために受入れ後の手間暇も多くかかると言えます。 ④人材の質…

特定技能ビザで永住は?家族は呼べる?就労ビザとの違い(在留期間・転職)を比較解説

1.特定技能ビザとは 特定技能ビザとは,2019年に新設された就労ビザのひとつで,人手不足が深刻な12分野で一定の専門性や技能をもつ即戦力外国人の受入れを認めたビザです。 特定技能ビザには,1号と2号がありますが現在のところ,特定技能ビザで日本に在留している外国人の全てが特定技能(1号)ビザを取得しています。 なお,特定技能(2号)ビザは,建設と造船・舶用工業の2分野で将来的に,ビザの発行が開始されることが決定しています。 特定技能ビザで認められている12分野は次のとおりです。 特定技能(1号)ビザ 介護分野 ビルクリーニング分野 建設分野 素形材産業分野 産業機械製造業分野 電気・電子情報関連産業分野 飲食料品製造業分野 外食業分野 造船・舶用工業分野 自動車整備分野 航空分野 宿泊分野 農業分野 漁業分野 就労ビザについては,就労ビザの取得方法 に詳しく記載していますのでご覧ください。 2.特定技能ビザと就労ビザの違い 今回は,就労ビザの中でも,外国人数の多い「技術・人文知識・国際業務(技人国)ビザ」を取り上げて,特定技能ビザとの6つの違いについて見ていきます。 ①在留期間 特定技能ビザ 就労ビザ(技人国) 最長5年 ※特定技能(2号)ビザは実質無期限 実質無期限 〇特定技能ビザ 特定技能ビザでは,4ヶ月,6ヶ月,1年のいずれかの期間の在留期間が与えられますが,在留できるのは最大5年間と定められています。 ただし,特定技能(2号)ビザでは回数制限なしでビザの期間更新が認められることが決まっていますので,今後,特定技能(1号)ビザから特定技能(2号)へのビザ変更も増加することが予想されます。 〇就労ビザ(技人国) 就労ビザ(技人国)では,3ヶ月,1年,3年,5年のいずれかの期間の在留期間が与えられ,入管法上の問題が無ければ,回数制限なしでビザの期間更新が認められます。 ②外国人の要件 特定技能ビザ 就労ビザ(技人国) 日本語能力と各分野・業務区分で定められた技能要件を満たす必要がある。…

【特定技能ビザ】「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野」分野統合後の変更点と注意点

1.「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野」統合の背景 従来は,3分野に分かれていた素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野は,受入れ上限数に達した統合前分野での受入れ再実現や,手続きの簡素化を主な理由として統合されました。 特定技能外国人の受入れが認められている12分野では,それぞれ受入れ上限数が設定されており,統合前にあった「産業機械製造業分野」で設定されていた特定技能外国人の受入れ上限数(5,250人)が,2022年2月末時点で人数超過しました。 人数超過の結果として,産業機械製造業分野では,一時的に,国外にいる外国人に対しての特定技能ビザ交付が停止される措置がとられました。 加えて,統合前の製造業3分野では,同じ就業場所でも複数の分野で特定技能外国人の受入れをする場合には,分野ごとに協議会加入手続きが必要であった点や,協議会加入手続きが煩雑であるなどの意見もあり,分野統合の実現を後押しする要因となりました。 元々は,3つの分野に分かれていた「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野」を統合することで,製造業3分野それぞれの受入れ上限数も合算され,現在では,統合前に産業機械製造業分野に該当していた受入れ機関でも,再度,特定技能外国人の受け入れが可能となりました。 2.「素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野」統合後の変更点 製造業3分野の分野統合後の主な変更点について紹介します。 2-1.受入れ分野と業務の対応関係 統合前には,製造業3分野のそれぞれで,受入れ可能な特定技能外国人の業務区分が設定されていました。 他方で,統合後の現在では業務区分についても統合されたため,結果として,統合前には受入れが認められなかった業務区分の技能をもつ,特定技能外国人の受入れが可能となった受入れ機関もあることになります。 統合後に,素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業分野で受入れ可能となった業務区分は次の表の通りです。 受入れ可能となった業務区分 鋳造 鍛造 ダイカスト 機械加工 金属プレス加工 鉄工 工場板金 めっき アルミニウム陽極酸化処理 仕上げ 機械検査 機械保全 電子機器組立 プリント配線板製造 プラスチック成形 電気機器組立て 溶接 工業包装 塗装     それぞれの業務区分の技能要件を満たす特定技能外国人であれば,受入れが可能です。 また,統合前には,特定技能外国人が就労する分野を変更する場合には,仮に就労先に変更が無かった場合でも,新たに特定技能ビザの切り替えをする必要があったため,複数の分野に該当していた製造業の受入れ機関は,手続き上の手間が大幅に削減されています。 2-2.特定技能外国人の受入れ上限数 統合前には,製造業3分野での特定技能外国人の受入れ上限数は,次の通りに設定されていました。 素形材産業分野 産業機械製造業分野…

ネパールの二国間協定の誓約事項と受入れフロー

1.特定技能の二国間協定とは ネパールと日本の間で締結された特定技能の二国間協定は,特定技能外国人の保護や特定技能制度の適正な運用を実現するために締結されました。 2.二国間で共有される主な情報内容 二国間協定で共有される内容は次の通りです。 特定技能外国人や家族・親族の金銭や財産の管理 契約不履行時などの違約金に関する約束 特定技能外国人に対する人権侵害 特定技能ビザ取得時の不正な手続き 特定技能外国人からの不当な手数料の徴収 特定技能外国人を保護するための事項を中心に,特定技能ビザを取得する際の手続き上の不正についても情報共有されます。 また,特定技能外国人の受入れ後は,受入れ機関が四半期ごとに賃金台帳などを添付した報告書を入管へ提出する義務があるなど,労働法についても日本人従業員以上に保護されています。 そのため,入管法やその他の法律に違反する行為が発覚した場合は,二国間で情報共有され特定技能外国人の受入れができなくなる可能性もある点には注意して下さい。 3.二国間で協議される主な内容 二国間協定では,次の内容について協議されることが誓約されています。 二国間の政策実施・変更に関する事項 採用プロセスや費用負担に関する事項 特定技能制度の手続きに関する審査 特定技能制度に関わる機関に関する事項 特定技能試験の実施に関する事項 特定技能制度の適正な運用を継続して実現するために,上記の内容を中心に随時協議されることが誓約されています。 協議される内容については,採用プロセスや手続きに関する事項から,特定技能試験に関する事項まで特定技能制度全般にかかわる内容が協議されます。 4.二国間の特定技能試験に関する誓約 二国間協定で誓約された特定技能試験についての誓約事項は次の通りです。 日本政府からの各種要請に可能な限り応じる 技能・日本語試験の適正な実施 試験などの不正を行った情報を共有 ネパール国内での特定技能の技能試験や日本語試験の実施に関して,日本政府からの要請などがあった場合の協力や,両国内で実施される試験での不正を防止するための情報共有をすることが誓約されています。 なお,ネパール国内では介護を含む4業種の技能試験の技能試験が実施されています。 5.特定技能外国人の受入れフロー(呼び寄せ) 特定技能外国人を呼び寄せする際の,受入れフローは次の通りです。 ①採用する人材の選定 ②雇用契約の締結 ③特定技能ビザの取得 ④在ネパール日本大使館での手続き ⑤健康診断・オリエンテーション受講 ⑥海外労働保険等への加入手続き ⑦海外労働許可証の取得 ⑧日本へ入国・就労開始 ①採用する人材の選定 技能実習2号以上を良好に修了した人材や,特定技能の技能試験や日本語試験に合格した人材の中から採用する人材の選定をします。…