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オーバーステイ(不法滞在)とは?解消方法を徹底解説

1.オーバーステイとは? オーバーステイとは、在留期間を過ぎた外国人がそのまま日本に留まっている状態を指します。どんな事情があったとしても、在留期間が1日でも越えてしまうとオーバーステイ(不法滞在)になります。 また、オーバーステイは違法になるため、逮捕されたり強制送還の対象となってしまいます。 オーバーステイには大きく不法入国で在留するタイプと在留期間を超えて滞在するタイプの2つが存在します。 それぞれのタイプについて、くわしく見ていきましょう。 ①不法入国で在留 1つ目は、有効なパスポート等を所持しないで日本に入国する「不法入国」で在留するものを指します。不法入国でのオーバーステイが発覚した場合、悪質とみなされたり強制送還されたりする可能性が高いです。 強制送還をされると、以降は日本に入国しにくくなったり、入国拒否期間が設定されたりします。 不法入国の場合はできるだけ早く、適切な対処が必要です。 ②在留期間を超えて滞在 2つ目は、在留期間を超えて滞在してしまうもので、よく見られるタイプです。 短期間の滞在を目的としている 中長期在留者がうっかり期限を超過している 変更・更新手続きを怠っている 上記のいずれの類型であっても、滞在期間を超えている状態でこちらも違法であることに変わりはありません。 そのため、強制送還の可能性はありますが、気付いてからできるだけ早く誠意的な対応を行えば在留資格を得られる可能性が少しだけあがります。 オーバーステイ状態に気付いたら、専門家へ相談して今後の対処法を相談しましょう。 2.オーバーステイの解消方法 1日でも在留期間を過ぎてしまうと、オーバーステイになり、違法な状態になってしまいます。オーバーステイ状態と気が付いた場合、素早い対応が必要になります。 仮に在留期間を過ぎた際には、素早く誠意を持った対応をすることを心がけましょう。 ここでは3つの解消方法を紹介します。 ①退去強制処分 退去強制処分は、強制的に国外に退去させるものであり、できれば避けたい解消方法です。ただ、退去強制処分は、オーバーステイを隠して放置し続けた場合の処分になるため、正確には解消方法とは言えないでしょう。 退去強制処分を受けると1度目で5年間、2度目以降で10年の上陸拒否となります。上陸拒否期間が経過した場合、必ず日本に再入国できるわけではありません。 オーバーステイなどの違反経歴は在留資格の審査の際にチェックされます。その審査結果によっては上陸拒否期間が終わっていたとしても再入国ができない可能性があります。 ②出国命令制度(母国に一定期間帰国する) 出国命令制度は、自分で在留期間を超えている事に気付き、警察や出入国在留管理局へ出頭した場合に利用できる解消方法です。出国命令制度で一度日本を出た場合、上陸拒否期間は1年になります。 退去強制処分の場合と同様に、上陸拒否期間が経過したからといって必ず日本に再入国できるわけではありません。ただ、退去強制処分よりも再入国できる可能性は高いです。 出国命令制度を利用する際には、以下の条件を満たす必要があります。 自ら警察や出入国在留管理局局に出頭し、速やかに帰国する意思がある オーバーステイ以外の退去強制事由に該当しない 日本国内にて犯罪行為が理由の懲役や禁固刑を受けていない 過去に退去強制処分や出国命令を受けていない 速やかに日本から出国することが見込まれる すべての要件を満たしていれば、出国命令制度の対象者としての認定を受けられる可能性があり、認定されれば入管に収容される心配はありません。認定を受けるまでの期間は2週間〜1ヶ月程度かかります。 ③在留特別許可を受ける 在留特別許可とは、日本から退去強制で出国する方を対象に特別に認められる在留許可です。 本来は退去強制事由に該当する場合でも、日本人と結婚していたり日本国籍を持つ子どもがいたりといった特別な事情がある場合に例外的に日本に滞在できます。違反調査の中でどうしても日本を出国できない事情がある場合に限り認められるものです。 簡単に許可が下りるものではなく、個別条件などによって異なりますが、以下の条件に当てはまれば許可が下りる可能性があります。 日本人と結婚している・日本国籍を持つ子どもの親などの特別な事情がある…

就労ビザのカテゴリーとは?仕組みや対象,区分について解説!

1.就労ビザのカテゴリーの仕組み 出入国在留管理庁は,外国人を雇用する会社等の規模によって,「カテゴリー1」から「カテゴリー4」まで4つのカテゴリーに分類しています。 「カテゴリー1」の代表格は,上場企業です。 「カテゴリー4」は,開業したばかりの新設会社などが該当します。 この2つを比較すると,カテゴリー1の企業は上場企業であることから,社会的な信用性もあり,また事業の安定性や継続性も高いと考えられます。 その一方で,カテゴリー4は,開業したばかり会社なので,外国人材を雇用するといっても,事業の安定性や継続性に疑念を抱かれやすくなります。 就労ビザで会社側をカテゴリー分けしたのは,このように規模の異なる会社を一律の基準で審査することが不合理と考えられたことが背景にあります。 その結果,カテゴリー1は就労ビザの際の入管への提出書類を簡素化し,在留期間については,最長の「5年」が取得しやすい運用が取られています。 それに対してカテゴリー4については,入管への提出書類の簡素化の措置はなく,在留期間についても原則として「1年」が付与される運用が取られています。 2.就労ビザでカテゴリーの対象になるものは? 就労ビザには,活動内容によってさまざまな種類があります。このなかで雇用する企業(=所属機関)のカテゴリー区分があるのは,現在,以下の6種類です。 ①高度専門職 ②経営・管理 ③研究 ④技術・人文知識・国際業務 ⑤企業内転勤 ⑥技能 上記の就労ビザを申請する場合には,所属機関がカテゴリー1~4のうちどれに該当するのか事前に確認しましょう。 3.所属機関のカテゴリー区分 それでは,就労ビザにおける所属機関のカテゴリーについて,それぞれ見ていきましょう。 外国人材を雇用される側の企業ご担当者様においては,自社がどのカテゴリーに属しているかを知ることで,ビザ申請の際に入管へ提出する書類が明らかになります。 (1)カテゴリー1 出入国在留管理庁では,以下のいずれかに該当する場合に「カテゴリー1」として取り扱うこととしています。 日本の証券取引所に上場している企業 保険業を営む相互会社 日本又は外国の国・地方公共団体 独立行政法人 特殊法人,認可法人 日本の国,地方公共団体の公益法人 法人税法別表第1に掲げる公共法人 高度専門職省令第1条第1項各号の表の特別加算の項の中欄イ又はロの対象企業 (イノベーション創出企業) 一定の条件を満たす企業等 「一定の条件を満たす企業等」とは 一定の条件を満たす企業等とは,関係省庁の各種認定制度で認定を受けた企業のことを指します。 対象となる制度について,省庁ごとにまとめましたのでご覧ください。 管轄官庁 認定制度 認定者 以下の認定を受けているもの…

研修ビザとは?|許可要件や注意点を専門行政書士が解説!

1.研修ビザとは 研修ビザは,外国人を日本に「研修生」として招き,日本で修得した知識や技術および技能を本国で活用してもらうことを目的としています。諸外国の経済や産業の発展に寄与するという国際協力,国際貢献として推進されているビザです。 研修ビザは,あくまでも日本の技術を修得して本国へ持ち帰るためのビザであり,日本で就労するためのビザでありません。 そのため,労働力を確保するための手段としてこの研修ビザを利用することはできません。 2.研修ビザに該当する職種は? 研修ビザの活動内容(在留資格該当性)は,「本邦の公私の機関により受け入れられて行う技術,技能又は知識を修得する活動」と定められています。 では,研修ビザで招いた外国人材は,「技術,技能又は知識を修得する活動」であればどのような内容の研修であっても良いのでしょうか? 事例を見ながら,検証していきましょう。 【事例】 申請人(30歳)は本国で医師免許を取得しており,申請人の本国では未だ取り入れられていない最先端の手術方法(手術支援ロボットを使用)を日本の医療機関で採用している場合,この医療機関は1年間の研修予定で,申請人を研修ビザで招へいすることができるのか。 【事例検証】 研修ビザには「上陸基準省令」が定められていますので,在留資格該当性のみならず上陸基準省令に適合しているかどうかも検証する必要があります。 研修ビザの上陸基準省令は,以下のように定められています。 ①「申請人が修得しようとする技術,技能又は知識が同一の作業の反復のみによって修得できるものではないこと」 ⇒同じ作業を反復して行えば修得できてしまうものであると,研修目的として扱われません。いわゆる単純作業と呼ばれるものは研修ビザには該当しません。 ②「申請人が18歳以上であり,かつ,国籍又は住所を有する国に帰国後本邦において修得した技能等を要する業務に従事することが予定されていること」 ⇒日本で修得した技術や知識を本国に持ち帰って活用することを目的としているため,研修スケジュールを明らかにし,滞在年数も示す必要があります。 入管法では,研修期間について具体的な定めはありませんが,実務上では研修期間が2年を超える場合,許可のハードルが高くなります。 ③「申請人が住所を有する地域において修得することが不可能又は困難である技術,技能又は知識を修得しようとすること」 ⇒日本で修得しようとする技術や知識等が,申請人の本国でも簡単に修得できるものである場合は,申請人を招へいする必要性が乏しいと判断されます。 事例に沿って,上陸基準省令に適合しているか確認していきましょう。 ①については,最先端の手術方法(手術支援ロボット)が専門知識および過去の経験を活かして修得する技術であることが立証できれば,適合します。 ②については,1年間の研修スケジュールを具体的に示すことで適合します。 ③については,「申請人の本国で未だ取り入れられていない技術である」という事実と,申請人を招へいする日本の医療機関での最先端の手術支援ロボットを使用した実績を立証することができれば適合します。 今回の事例では,研修ビザの活動内容と上陸基準省令の観点から,申請人を研修ビザで招へいすることは十分可能であると判断できます。 実際に研修ビザを申請するにあたっては,その他の事情もしっかり確認する必要があります。 3.研修ビザの理解に不可欠!実務研修と非実務研修とは? 研修には,実際の業務を行う「実務研修」と,座学や見学が中心の「非実務研修」の大きく2つに分けられます。 このうち,研修ビザでは「非実務研修」を想定しており,「実務研修」については国や地方公共団体,国際機関,独立行政法人など一部の機関が運営する事業で限定的に認められているにすぎません。 また,これらの認められた機関であっても,研修の内容に実務研修を取り入れる場合は,研修全体の3分の2以下とすることが定められています。 一般企業が研修ビザで外国人を呼び寄せる場合,研修内容に「実務研修」を一切含むことができない点に注意してください。 【実務研修】 商品を生産もしくは販売する業務,または対価を得て役務の提供を行う業務に従事することで,技術等を修得する研修。 【非実務研修】 修得する技術について,見学や座学,短期間の体験によって修得する研修。 見学の例:現場見学 座学の例:日本語教育,生活指導,安全教育 短期間の体験の例:試作品の作成 研修内容が実務研修と非実務研修のどちらに該当するのか?はとても重要なことです。 実務研修を含む場合,上陸基準省令に適合しているか等の検討する事項が増え,慎重にビザ申請手続きを進める必要があります。…

留学ビザから就労ビザへの変更手続き|許可要件や許可率,注意点を解説!

1.就労ビザとは? 外国人が日本で生活するためには,在留資格(ビザ)が必要です。 ビザは外国人が日本で行う活動内容に応じて分類されており,日本で働くためのビザも,働く内容に応じて複数用意されています。(これら働くためのビザの総称として,このコラムでは「就労ビザ」と表現しています。)。 留学生が日本で就職するためには,「留学ビザ」から「就労ビザ」へのビザの種類を変更する必要があります。 2.留学ビザから就労ビザへの変更申請が許可されるための要件 留学ビザから就労ビザへの変更申請が許可されるためには,以下の4つの要件が必要です。 ①入管法が規定している業務内容に当てはまること(在留資格該当性) 留学生が学校を卒業さえすれば,どのような業務内容の仕事でもできるわけではなく,専門的技術や知識を必要とする業務や外国人特有の感性が求められる業務に当てはまる必要があります。 いわゆるホワイトカラーの職種,ITエンジニア,翻訳・通訳の業務が代表的な仕事ですが,実務上は可否の判断が難しいものもあるため,慎重に確認することが求められます。 就労ビザの観点からは,どのような会社に就職するかが重要なのではなく,どのような業務内容なのかがとても重要です。 留学生の皆さんは,「業種」だけではなく,「業務内容」をしっかり確認して,就職活動をするようにしてください。 ②学歴や職歴,保有する資格などの基準に適合していること(上陸許可基準適合性) 業務に必要な知識に関連する科目を専攻して,大学や専門学校を卒業していることが必要です。 専攻科目とこれから従事する業務との関連性については,後ほど7(2)で入管が公表する事例をご紹介します。 ③素行が悪くないこと 留学ビザから就労ビザへの変更が許可されるためには,素行が悪くないことが求められています。 この点については,「6.留学生が就労ビザ申請をする際に注意すること」で詳しくご説明します。 ④入管法で決められた届出をおこなっていること 入管法では,「住居地の変更届」をはじめ,外国人に届出義務を課しています。 在留カードの住居地以外の記載事項に変更があった場合も届出が必要です。 留学生の皆さんは,どのようなケースで何の届出が必要なのかを知っておく必要があります。 3.留学ビザから就労ビザへの変更申請の流れ 「応募先の企業から採用内定をもらったが,就労ビザの手続きは自分で行うように言われた」という留学生からのお問い合わせや,「会社で初めて外国人留学生を採用することになったが,その後の手続きの流れがわからない」といった企業の人事担当者の方からのご相談が当社に寄せられます。 留学ビザから就労ビザの変更申請においては,内定のタイミングに合わせて以下の2通りに分けて対応するようにしましょう。 3-1.卒業時点で内定している場合 4月入社予定の新卒内定者を例に,留学ビザから就労ビザへの変更申請の流れと注意点をご紹介します。 ① 採用内定 ・留学生と企業の双方で必要書類を準備  ※就労ビザへの変更が許可されるまでは,正社員としての勤務はできません。 ② 12月~ 出入国在留管理局へ在留資格変更許可申請 ・留学生の居住地または勤務予定先の住所を管轄する入管局へ申請  ※勤務予定先の所在地を管轄する入管へ申請する場合は,勤務予定先の従業員が申請取次資格を保有している必要があります。 ・留学生または申請取次者が書類を提出  ※企業の担当者が代理人として申請書類を提出することはできません。 ・入管より資料の追加提出要請があれば,準備をして提出 ③ 1月~…

ラオス人と国際結婚する手続きの流れとは?注意点についても紹介

1.ラオス人と国際結婚する場合は日本で先に手続きをすることがお勧め 国際結婚に関する手続きは,自分の国と相手の国のどちらを先に行っても良いのですが,ラオス人と国際結婚する場合は,特別な事情がない限り日本で先に結婚手続きをすることをおすすめします。 ラオスは住んでいる地域や個人の状況によって,結婚手続きの流れや必要な書類の種類,申請の要件などが大きく変わります。結婚手続きがとても煩雑になり,完了するまで数か月~1年程度かかってしまう可能性もあります。 このことから,まずは日本で先に結婚手続きを行うことをおすすめします。 2.ラオス人と日本で先に国際結婚の手続きをする流れ まずは,日本で先に国際結婚をする手続きの流れを紹介します。 主な流れは以下の通りです。 1. ラオスの役所で必要書類を取得 2. 日本の市区町村:婚姻手続き 3. 日本の外務省で婚姻書類の公印確認手続き 4. 日本にあるラオス大使館へ報告的届出の提出 5. 日本の入管局で配偶者ビザの取得 手続きの流れを詳しく見ていきましょう。 ①ラオスの役所で書類取得 まずは,ラオス本国の役所から,ラオス人の「出生証明書」と「独身証明書」を取得してください。 出生証明書と独身証明書は,ラオスの公用語であるラオ語で記載されています。 日本の役所に提出するために,日本語の翻訳文を作成する必要があります。 日本語の翻訳文はどなたが作成してもかまいません。スマートフォンのアプリなどを使って,自分たちで翻訳しても問題ありません。 ②日本の市区町村で婚姻手続き ラオスの役所から必要書類を取得し日本語の翻訳文も準備できたら,日本の市区町村で婚姻の手続きを行います。 婚姻届を提出する際に必要となる書類は,以下の通りです。 日本人側の必要書類 婚姻届 運転免許証やマイナンバーカードなどの本人確認書類 戸籍全部事項証明書(=戸籍謄本)※本籍地以外の市区町村で手続きする場合 ラオス人側の必要書類 ラオスの役所で取得した独身証明書と,その日本語翻訳文 ラオスの役所で取得した出生証明書と,その日本語翻訳文 申述書とその日本語翻訳文 ※注1 パスポート 在留カード ※交付されている場合 ※注1:日本人が外国人と婚姻手続きを行う場合,外国人側の書類として「婚姻要件具備証明書」ラオス人側の必要書類である「申述書」は,日本の市区町村でフォーマットを用意しています。そちらを事前に取得しておきましょう。 なお,申述書には下記の内容が記載されている必要があります。…

カンボジア人と国際結婚する手続きの流れとは?婚姻要件についても紹介

1.カンボジア人と日本先行で国際結婚をする手続きの流れ まずは、,日本先行で国際結婚をする手続きの流れを紹介します。 先に日本側の婚姻手続きを行い,その後にカンボジア側の婚姻手続きを行うパターンです。 主な流れは以下の通りです。 1. カンボジア本国で必要書類の取得 2. 日本の市区町村で婚姻の手続き 3. カンボジア本国へ渡航し婚姻登録の手続き 4. 日本の入管局へ配偶者ビザの申請 外国側の婚姻手続きは,日本にある大使館で行える国も多いのですが,カンボジアは日本にある大使館で手続きをすることができません。このため,カンボジア本国へ向かい手続きをする必要があります。 カンボジア国内での手続きには時間と手間がかかるため,早くて3ヶ月,遅いと1年かかることもあります。 配偶者ビザの取得などを検討している場合は,早めに手続きを進めることをおすすめします。 次に,流れについて詳しく見ていきましょう。 ①カンボジア本国にて必要書類の取得 まずはカンボジア本国へ向かい,必要書類の取得と取得した書類の認証手続きを行います。 カンボジア本国の役所で,カンボジア人側の「出生証明書」と「独身証明書」を取得してください。 この出生証明書・独身証明書はクメール語で記載されているため,日本語の翻訳文も作成します。 次に,カンボジア外務省にて,取得した出生証明書・独身証明書とそれぞれの日本語翻訳文を認証してもらいます。 カンボジア本国で取得する書類はこれでOKです。 ②市区町村で婚姻の手続きを行う カンボジア本国での必要書類が取得できたら,日本の市区町村にて婚姻の手続きを行います。 カンボジア人と日本人それぞれの必要書類は以下の通りです。 カンボジア人側の必要書類 独身証明書と日本語翻訳 出生証明書と日本語翻訳 パスポート 在留カード ※交付されている場合 日本人側の必要書類 婚姻届 戸籍全部事項証明書(=戸籍謄本)※本籍地以外の市区町村へ提出する場合 市区町村で用意している「申述書」 提出する市区町村によっては,上記以外の書類も必要になる場合があります。 あらかじめ市区町村の戸籍担当者に確認しておくことをおすすめします。 大都市やカンボジア人が多く住んでいる地域の市区町村であれば,必要書類についてすぐに教えてもらえるでしょう。 ただ,カンボジア人との国際結婚に慣れていない市区町村も多くあります。その場合,必要書類の案内が数日後になる可能性があります。 必要書類が無事に提出できれば,1週間程度で戸籍謄本に結婚した旨が記載されます。日本側の婚姻手続きは,これで完了です。…

帰化申請の条件7つを徹底解説

1. 帰化申請とは 帰化申請とは,国籍を変更する手続きを言います。 言い換えると,「日本人になるための手続き」です。 帰化申請が許可されれば日本人となるので,日本の戸籍を持ち,ビザを更新することなく日本に住み続けられます。 また,世界でもトップクラスの信用度を誇る日本のパスポートを持つこともできます。 ただし,これからご紹介する帰化の条件が満たされていれば,必ず帰化が許可されるということではありません。これらの条件は,帰化が認められるための最小限の条件であり,帰化を許可するかどうかは,法務大臣の裁量で決定されます。 また,日本では二重国籍を認めていないので,帰化が許可されると,母国の国籍は失うことになります。 帰化に必要となる7つの条件については,日本国民と特別な血縁関係等があれば条件の一部が緩和されるように例外的なケースもあります。 この例外的なケースについても可能な限り触れていきますので,ご確認ください。 では帰化の条件をご紹介します。 2.帰化申請7つの条件 帰化をするための条件は,国籍法に明記されており,条文上は6つあります。 しかし,実は条文では明記されていない条件が1つあります。 それは,日本語能力の条件です。 日本人となるのですから,日本語の読み書きができて,かつ,日本語でコミュニケーションが図れることが必要だとされています。 この日本語能力の条件も含めて,「7つの条件」となります。 では,この基本となる帰化申請の「7つの条件」について見ていきましょう。 ① 住所条件(国籍法第5条第1項第1号) 1つ目の条件として,申請時点で引き続き5年以上日本に住んでいる必要があります。 この条件は,日本人となるためには,日本との結び付きが強くなければならないという理由から必要とされています。 ここで重要なのは,「引き続き」という部分です。 合理的な理由のない長期出国がある場合や在留資格が途切れてしまった場合には,引き続きとはならず,年数のカウントががリセットされてしまいます。 1回の出国で3ヶ月以上,年間で合計180日以上の出国がある場合は,長期出国と見なされる可能性が高いです。 なお,合理的な理由のない長期出国の具体例として,プライベートでの海外旅行が挙げられます。他方,合理的な理由のある長期出国の具体例としては,仕事での海外出張が挙げられます。 この場合ですと,海外出張が会社から命令であることがわかる資料(出張の辞令書など)を提出することで,合理的な出国であると認められる場合もあります。 また,就労系の在留資格を持っている方は,3年以上就労していることが必要となります。 ここでいう就労とは,正社員や契約社員という雇用形態で判断するのではなく,フルタイムで働いているかどうかが重要となります。 そのため,アルバイトやパートでの就労期間はカウントされません。 住所条件として,引き続き5年以上日本に住んでいる必要があり,就労系の在留資格を持っている方は3年以上就労していることが必要になりますが,これには例外規定が存在します。 下記の「3.帰化申請の条件の例外パターン5選」をご覧ください。 原則の住所条件に当てはまらなくても,例外のパターンに当てはまれば帰化できる可能性があるのです。 ちなみに,「住所」とは適法なものでなければなりません。 例えば,不法滞在者が日本で生活をしていても,ここでいう住所条件を満たしているとは,認められません。 ② 能力条件(国籍法第5条第1項第2号) 2つ目の条件は,「能力条件」と呼ばれ,帰化を希望する申請人自身に行為能力があることが必要とされています。行為能力とは法律用語のひとつで,簡単に言うと「法律行為を単独で確定的に有効に行うことができる能力」のことです。…

家族滞在ビザの要件や取得方法を解説! 外国人が家族を呼ぶには?

1.家族滞在ビザとは? 家族滞在ビザは,家族関係にあれば誰でも取得できるわけではありません。 以下の要件を満たした場合に認められる在留資格です。 (1)認められるのは「配偶者と子」のみ 家族滞在ビザとは,「教授」,「芸術」,「宗教」,「報道」,「経営・経営管理」,「法律・会計業務」,「医療」,「研究」,「教育」,「技術・人文知識・国際業務」,「企業内転勤」,「興行」,「技能」,「文化活動」,「留学」,「高度専門職」,「介護」,「特定技能2号」のいずれかの在留資格を取得した方の扶養を受ける配偶者又は子に付与される在留資格です。 「家族滞在」という言葉から,親を本国から呼びたいというご相談をよくいただきますが,家族滞在ビザを取得できるのは,配偶者とお子様に限定されています。そのため,親を本国から呼び寄せたい場合には,家族滞在ビザの射程外となってしまいます。 扶養者の両親を本国から呼ぶことができる可能性のあるビザは,扶養者が「高度専門職」の在留資格を取得している場合,もしくは例外的な措置として告示外の特定活動の在留資格で呼ぶ場合(老親扶養ビザ)に限定されています。 >>老親扶養ビザ の詳細についてはこちら 高度専門職で親を呼び寄せる以外には,残念ながら親を呼ぶためのビザは原則として日本に存在しないとご理解下さい。 (2)家族滞在ビザ取得の要件 配偶者やお子様を家族滞在ビザで呼び寄せるには,以下の取得要件を満たす必要があります。 ① 扶養者が扶養の意思と扶養能力を有すること ② 扶養を受ける側の配偶者または子が扶養を受ける必要があり,又は現に扶養を受けていること ここでいう配偶者には,夫婦間の婚姻が日本の法律上有効に存続している必要があり,いわゆる内縁関係や外国で有効に成立した同性婚,パートナーシップは含まれません。 そして,ここでいう子には,実子の他に養子も含みます。また,未成年者に限られず,成人に達した子も対象になります。とはいえ,子が成人している場合には注意を要します。その理由として,子が成人している,あるいは成人年齢に近接している場合には,扶養を受ける必要性が薄弱と判断されてしまう可能性があるからです。 そのため,18歳以上の稼働年齢に達した子の家族滞在ビザの申請の場合は,来日の目的や扶養を受ける必要性を明確にする資料を提出するのが好ましいと言えるでしょう。 2.家族滞在ビザでは働けない? 家族滞在ビザは,就労活動が原則禁止されています。 例外として,資格外活動許可(いわゆるアルバイトの許可のことです。)を取得することによって,18歳以上で週28時間以内での就労活動が認められています。 資格外活動許可を取得せずに,家族滞在ビザで就労をしてしまうと資格外活動罪(入管法第24条4号イ,入管法第73条)に問われる可能性がありますので,就労活動をする場合には,必ず資格外活動許可を取得するようにしてください。 家族滞在ビザの資格外活動許可は,留学ビザと同様に,包括的なアルバイトの許可です。そのため,特定の就労先が決まっていない段階でも取得することができます。アルバイトやパートで働きたい場合は,就業先が決まってから資格外活動の許可を取得するのではなく,うっかり忘れを防止するためにも,あらかじめ資格外活動許可を取得しておくことをお勧めします。 3.家族滞在ビザで在留中の子どもが大きくなったら? 子どもが成長し,独立した生計を立てることができるようになれば,親の扶養を受ける必要がなくなるため,家族滞在ビザには該当しなくなります。しかし,幼い頃に来日し,日本で教育を受け,長年日本で暮らしてきた子が,本国への帰国を余儀なくされるのは人道的な観点から好ましくありません。 そこで,日本で義務教育の大半を受け,日本の高校を卒業している場合(おおむね高校卒業までの10年以上の在学歴が必要となります。)には,日本への定着性の高さに鑑み,定住者ビザへの変更許可がされるケースがあります。 この定住者ビザは,あらかじめ法務省告示で定められているものではありませんが,近時の法務省の傾向としては,比較的容易に取得できる傾向にあります。 4.家族滞在ビザの扶養者が在留資格該当性を喪失した場合はどうなる? 家族滞在ビザの扶養者が離職などの事情で在留資格を喪失した場合には,家族滞在ビザで在留する配偶者やお子様も,その在留資格に該当しなくなります。なぜなら,家族滞在ビザは,本体者である扶養者が在留資格を有することを前提とするからです。 また,家族滞在ビザの扶養者が永住許可を受けた場合にも,その配偶者やお子様は家族滞在ビザの在留資格該当性を喪失することになります。その理由は,家族滞在ビザの対象となる扶養者の在留資格の種別には,1(1)の通り永住者の在留資格は含まれていないからです。この場合,配偶者の方は永住者の配偶者等のビザとなり,お子様は永住者の配偶者等のビザもしくは定住者ビザへの変更申請を速やかに行う必要があります。 家族滞在ビザの扶養者が永住許可を取得したい場合には,速やかにご家族の在留資格変更許可申請を入管で行うようにして下さい。 5.家族滞在ビザを取得するメリット 日本で就労する外国人が,家族を呼び寄せてその家族が家族滞在ビザを取得すると,職場に定着しやすくなるメリットがあります。 現在,日本の就労ビザを取得している外国人で国籍で多いのは,ベトナム,フィリピン,インドネシアなどの出身者です。これらの国は,家族重視の国民性であるため,家族が一緒に暮らすことを希望しています。 したがって,日本で働く外国人は,いずれは本国から家族を呼び寄せたいと考えている方が多い傾向です。 企業の人事担当の方は,外国人従業員から「家族を呼びたい」という希望を聞いた場合には,ぜひ積極的に協力をしてあげてください。 6.家族滞在ビザ取得のための必要書類 家族滞在ビザを取得する際に,原則として必要となる書類は以下の通りです。…

国際結婚手続きの流れは?必要書類と注意点も解説

1.国際結婚の手続きで必要な書類 国際結婚の手続きを日本で行う場合に,基本的に必要となる書類は以下の4つです。 婚姻届 パスポート 戸籍謄本 婚姻要件具備証明書 外国で国際結婚の手続きを行う場合は、必要となる書類が異なりますので、手続きを行う国に従って下さい。 それでは、日本で国際結婚の手続きを行う場合にどんな書類なのか、詳しく紹介します。 ①婚姻届 まず必要となるのは、婚姻届です。 こちらは、市役所の窓口や法務省のホームページでダウンロードできる婚姻届で,日本人同士で結婚する際に記載するものと同じものになります。 日本人側は日本語で日本人同士の結婚と同様に記入します。 外国人側の指名や父母名はカタカナで記入し、アルファベットでの表記は避けてください。 最後の署名欄は各自直筆で記入し、それ以外の欄は代筆でも問題ありません。 外国方式で国際結婚手続きを行う場合には、外国人のサインは不要です。 また、婚姻届けには押印する場所がありますが、印鑑がない場合は直筆の署名を行ってください。 婚姻届の証人2名は日本に住民票があれば日本人でも外国人でも構いません。 ②パスポート パスポートは外国籍の相手のみで、国籍を証明するために必要です。 顔写真があるページのコピーとそのパスポートの日本語訳を提出します。 提出する書類は必ず、日本語訳されたものを用意してください。 日本語訳は自分たちで行う方法もありますが、必ず翻訳者の氏名と住所を文末に記入してください。 また、婚姻届の提出には本人確認書類の提示が必要になります。 婚姻届を提出する際には、日本国籍があってもマイナンバーカードなどの本人確認書類を用意しておいてください。 ③戸籍謄本 戸籍謄本は日本国籍がある方のうち、本籍地がある市区町村以外で婚姻届を提出する際に必要です。 例として、東京都世田谷区に本籍地がある方が世田谷区役所に婚姻届を提出する場合は戸籍謄本は不要です。 しかし、東京都世田谷区に本籍地がある方が世田谷区役所以外の自治体で婚姻届を提出する場合には戸籍謄本を婚姻届と一緒に提出します。 ただし、戸籍法の改正により、2024年以降は本籍地以外の自治体で婚姻届を提出する場合でも戸籍謄本の提出は不要になります。 ④婚姻要件具備証明書 日本人同士の結婚と国際結婚で大きく違う点が、婚姻要件具備証明書です。 婚姻要件具備証明書とは、外国籍の相手が独身であることや婚姻適齢にあることなどの婚姻要件を満たしていることを示す書類です。 婚姻要件は国によって異なります。 婚姻要件具備証明書の提出によって、「母国の婚姻に関する要件を満たしており日本での婚姻に問題がない」と証明してくれます。 婚姻要件具備証明書は在日大使館か領事館に請求してください。 請求する際に、身分証明書のみが必要な場合と出生証明書や独身証明書が必要な場合もあるため、あらかじめ在日大使館や領事館に確認しておきましょう。 また、婚姻要件具備証明書はペルーやインドなど一部の国では発行されない場合があります。 その場合は、婚姻要件具備証明書がない旨の申述書と独身証明書など別の書類で代用します。 2.国際結婚の手続きの流れ 次に国際結婚の手続きの流れを紹介します。…

配偶者ビザを申請するには?必要書類や注意点について解説

1.配偶者ビザとは? 配偶者ビザとは,外国人の方が日本人の配偶者とともに日本で暮らしていくために必要なビザのことを言います。 正式には「日本の配偶者等」と言いますが,多くの場合「配偶者ビザ」または「結婚ビザ」などと呼ばれています。 外国人配偶者の居住地が,海外,日本,どちらのケースでも配偶者ビザの申請は可能です。 ただし外国人配偶者が海外,日本のどちらに居住しているかによって,配偶者ビザの申請の種別が異なります。 2.配偶者が海外に居住している場合の申請方法 配偶者が海外に居住している場合は,「在留資格認定証明書交付申請」を行う必要があります。 在留資格認定証明書交付申請とは,海外に居住している外国人配偶者を日本に呼び寄せるための申請のことをいいます。 申請の流れは以下のとおりです。 ①入管に配偶者ビザを申請する ②入管において審査を受ける ③入管から審査結果が送付される ④配偶者に在留資格認定証明書を郵送する ⑤在外日本大使館で配偶者ビザの交付を受ける ⑥3カ月以内に日本に来日する それぞれ順番に解説します。 ①入管に配偶者ビザを申請する まずは,入管に在留資格認定証明書交付申請を行います。 申請先は,申請代理人の住所地を管轄する入管です。 誰でも配偶者ビザを申請できるわけではなく,申請できる人は以下のように決められています。 日本にいる外国人配偶者の親族 行政書士,弁護士 上記の「行政書士,弁護士」とは,申請取次研修および試験を経て,地方出入国在留管理局長に届け出た行政書士または弁護士のみが対象です。 なお,行政書士法人第一綜合事務所には,複数の申請取次行政書士が在籍しています。 ②入管において審査を受ける 申請後,入管にて配偶者ビザの審査が行われます。 入管での審査は込み具合により変動しますが,概ね完了するまでに1カ月~3カ月程度かかります。 そのため,お子様の学校の都合等で入国日が決まっている場合には,計画的にスケジュールすることが肝要です。 ③入管から審査結果が送付される 配偶者ビザの審査が終わったら,以下のうちどちらかの書類が入管から送られてきます。 在留資格認定証明書 在留資格認定証明書不交付決定通知書 送られてきたのが「在留資格認定証明書」だった場合,配偶者ビザ取得のための最初のステップをクリアしたということになります。 一方,送られてきたのが「在留資格認定証明書不交付決定通知書」だった場合は,残念ながら配偶者ビザの申請許可が下りなかったということです。 このように,送られてくる書類によって大きく結果は異なります。 なお,配偶者ビザの申請が不許可になってしまったときの対処法については,以下のコラムにて解説しています。 今回は不許可になってしまったものの,再申請に挑みたいという方はぜひご覧ください。 >>配偶者ビザ 再申請の方法