2023.03.28 行政書士法人第一綜合事務所 配偶者ビザ結婚ビザ海外在住国際結婚日本人の配偶者等日本語 海外在住夫婦が配偶者ビザを取得するための5つのポイント 1.海外在住者が取得する配偶者ビザとは? 海外在住の夫婦が日本に入国して生活をするためには、「日本人の配偶者等」の在留資格(配偶者ビザ)が必要です。 日本人の配偶者等のビザを取得できるのは、日本人の配偶者、日本人の子として出生した人、日本人の特別養子です。 また、日本人の配偶者とは、婚姻が法律上有効に成立していることが条件で、婚約者や恋人は該当しません。 日本人の配偶者等のビザの在留期間は、6か月、1年、3年、5年になります。 2.海外在住の夫婦が配偶者ビザを申請する際に注意すること 本チャプターでは,お客様からご質問の多い事項について解説を記載しています。 ①入管への配偶者ビザ申請は誰が行う? 配偶者ビザ申請は,日本にいる日本人配偶者が入管に申請するのが一般的です。 では,海外在住のご夫婦の場合,入管への配偶者ビザ申請は一体だれが行うのでしょうか。 海外在住の夫婦が配偶者ビザ申請をするには,日本人配偶者が先に帰国しなければならないのでしょうか。 ご相談の方から頻繁にご質問をいただく内容です。 実は,海外在住のままでも,配偶者ビザ申請を行う方法はあります。 具体的には,日本にいる親族(6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族)に協力をしてもらう方法です。 上記の方法を取れば,日本人配偶者が先に帰国することなく,入管での手続きを進めることが可能です。 なお,配偶者ビザの申請を行政書士へ依頼することで,日本の親族がわざわざ入管へ出向く必要もありません。 ②日本での所得がない場合にはどうすれば良い? 海外に生活拠点がある場合,日本で所得がない方も決して珍しくはありません。 日本に所得がない場合には,配偶者ビザの許可は取得できないのでしょうか。 過去の裁判例では,経済的な基盤があまりにも欠如している場合には,そもそも配偶者ビザで日本において生活をすること自体に,疑義が生じる可能性があると判示しています。 そのため,入管の審査では経済的な基盤について,慎重に審査がされます。 他方で,日本での所得がない場合であっても,以下のようなケースは多くの許可事例があります。 海外での継続的な収入が見込めるケース 同居の親族から支援が見込まれるケース 日本での勤務先確保などによって定期収入が見込まれるケース 日本で生活するだけの十分な預貯金があるケース 日本での生活基盤の判断は,お客様によって個別の判断をする必要があります。 個別判断をご用命の際には,行政書士法人第一綜合事務所までお問い合わせください。 ③日本の必要書類は誰に集めてもらえれば良い? 海外在住のご夫婦が配偶者ビザを申請する場合には,上記で見たとおり,日本にいるご親族に住民票,戸籍謄本,所得課税証明書や納税証明書などの書類収集をお願いしなければいけません。 高齢の両親には依頼しにくい… 兄弟にお願いしたけれど,なかなか無理を言えなくて… そのようなお悩みをお持ちの方は少なくないようです。 ご安心ください! 当社では,日本にいるご親族に極力ご負担をお掛けしないよう,全て当社にて公文書をご準備いたします。 そのため,ご親族の方へのご負担はお掛けしません。 なお,海外在住のお客様とは,EMSなどの国際郵便の手段を用いて,書類のやり取りを行います。 ④配偶者ビザはどのような行政書士へ依頼するべき? 海外在住のご夫婦の場合,実際に行政書士と面談することもできません。 また,複数の行政書士事務所との調整も思うように進まないことも多いかと思います。…
2023.03.11 行政書士法人第一綜合事務所 フィリピン人配偶者ビザ結婚ビザ国際結婚手続き日本語 フィリピン人との国際結婚手続きの流れとは?必要書類も紹介 1.国際結婚の手続きは日本とフィリピンどっちが先? 国際結婚をする場合、自身と配偶者のどちらの国でも手続きが必要です。 国によって、結婚の決まり事や手続きが異なりますが、フィリピン人と結婚する場合はどうなのでしょう? 実は、婚姻関係を成立させるだけであれば、日本とフィリピンのどちらが先でも結果は変わりません。しかし、順番によって手続きの早さが変わるケースがあります。 ここでは、「早く手続きを完了させる」ために必要な条件や、手続きの順番によって異なるメリットやデメリットを説明します。 ①早く手続が完了する順番は、フィリピン人配偶者の滞在場所で変わる 手続きの早さは、フィリピン人配偶者の滞在場所によって変わります。 一般的には、以下のような順番で行うと国際結婚の手続きをスムーズに行うことができます。 フィリピン人配偶者が日本に滞在している場合:日本で先に手続きを行う フィリピン配偶者がフィリピンに滞在している:フィリピンで先に手続きを行う お二人で窓口に出向いて、国際結婚手続きを行わなければならないことが多いです。 そのため、フィリピン人配偶者が居住している国で先に手続きを行うのがスムーズでしょう。 しかし、事情はそれぞれ異なるため、一概には言えません。 自分たちに合った方法を検討したい方は、国際結婚手続きを専門とする行政書士に相談するのがおすすめです。 行政書士法人第一綜合事務所では無料相談を承っていますので、ぜひ下記フォームからお問い合わせください。 無料相談のお問い合わせ先 ②日本で先に国際結婚手続きをするメリット・デメリット フィリピン人との国際結婚手続きを日本で先に手続きをする場合の、メリットとデメリットを解説します。 (1)メリット 手続きがシンプルかつスムーズ 配偶者ビザへの変更申請が、婚姻成立後すぐにできる フィリピン人との国際結婚手続きを日本で先に手続きをする最大のメリットは、日本国内で手続きが完結するということ。日本の市町村役場と、フィリピン大使館・領事館の2カ所を往復するだけなので、住居地によっては移動の負担も少なくて済みます。 また、フィリピン人配偶者が日本に滞在している場合、婚姻成立後、すぐに配偶者ビザへの変更申請を行うことができます。 なお、フィリピン人配偶者がフィリピンに居住している場合でも、スムーズに行けば、1回の訪日短期滞在(観光ビザ)で婚姻手続きから配偶者ビザの取得まで可能です。 >>観光ビザから配偶者ビザへの変更 はコチラ (2)デメリット 短期滞在で一時来日をして手続きする場合、事前に現地日本公館で「90日の短期滞在ビザ」を取得する必要がある 短期滞在で一時来日をして手続きする場合、スケジュールにタイムリミットがある フィリピン国籍者は、日本へビザなしで渡航することが認められていません。そのため、フィリピン人配偶者の入国前に、事前に90日の短期滞在ビザを取得する必要があります。 90日の短期滞在ビザとは、日本人配偶者が「招へい人」としてフィリピン人を招聘する「短期滞在ビザ」で90日の在留期限を付与されたもののことです。 15日や30日の短期滞在ビザでは、婚姻手続きの完結に日数が不足したり、その後の配偶者ビザ変更の際にマイナスの影響がありますので、注意しましょう。 ③フィリピンで先に国際結婚手続きをするメリット・デメリット フィリピンで先に国際結婚手続きをする場合の、メリットとデメリットを解説します。 (1)メリット フィリピン人配偶者のビザを取得する必要がない フィリピン人配偶者が滞在している場合は、書類を揃えやすい フィリピン人配偶者を日本に招く必要がないため、短期滞在ビザを日本で取得する必要がありません。 また、フィリピン人配偶者がフィリピンに滞在している場合は現地で準備する書類が多いので、先にフィリピンで手続きを行うのがスムーズです。…
2023.03.03 行政書士法人第一綜合事務所 結婚ビザ国際結婚日本人の配偶者等不許可不交付日本語配偶者ビザ 配偶者ビザの再申請の方法 1.配偶者ビザの審査はどのように行われる? 配偶者ビザとは,日本人もしくは永住者等と婚姻関係にある外国籍の配偶者の方に対し,一定の要件を満たす場合に日本への在留を認めるビザです。 ですから配偶者ビザは結婚すれば必ず認められるわけではありません。 入管は,関係法令をはじめ,ビザの申請人から提出された資料に沿って審査を行います。 入管の審査には,全国統一の基準である「審査要領」があります。 審査要領に則った基準が「審査基準」と呼ばれます。 入管の審査基準をクリアすれば,配偶者ビザの許可の可能性は高くなります。 逆に言えば審査基準に当てはまらなければ配偶者ビザが認められないことになります。 もっとも,この審査要領には,私たちが見られる公開審査要領と,見ることのできない非公開審査要領と言われるものがあります。 そして,非公開審査要領の方に,配偶者ビザ許可の審査ポイントが多く記載されています。 ですから,配偶者ビザの再申請には,この審査要領を読み解く力が必要不可欠です。 しかしながら,審査要領のほとんどは黒塗りになっていますので,弊社が考えるポイントを挙げてみます。 それは「実体ある婚姻生活」と「日本での生活の安定性」です。 入管の審査で重要なのは ①法的に「婚姻」関係にあるか? 内縁関係の配偶者は配偶者ビザの対象には含まれません。また,原則として日本人と配偶者の母国双方の法律に照らして婚姻が成立しているかも問われます。 「法の適用に関する通則法」24条では,「婚姻の成立は、各当事者につき、その本国法による」と定められています。同条3項では「当事者の一方の本国法に適合する方式は、有効とする」。「ただし、日本において婚姻が挙行された場合において、当事者の一方が日本人であるときは、この限りでない」とあります。つまり,外国籍の配偶者の国の法律をもって「婚姻」は成立するが,「日本で」夫婦として生活する場合は,日本の法律で婚姻が成立しなければ,日本では結婚した夫婦とは言えないということです。 従って,双方の国で法的に婚姻が成立していなければ日本では無条件に配偶者ビザは許可されないことになります。 ②実質的に「互いに協力・扶助し合い,社会通念上の夫婦の共同生活を営むという婚姻の実態が伴っているか」が問われます(平成14年最高裁判決)。 一言で言えば,継続性をもって「ほんとに夫婦として暮らすの?」ということが問われるのです。 ③日本で安定した生活が送れるか? 配偶者ビザにおいては,継続的に夫婦生活が送ることが求められますが,夫婦として共同生活を送るには,当然生活費となるお金が必要です。 したがって,どのようにして夫婦の生活費を賄うのかが審査において問われることになります。 実務上は細かな判断基準があります。詳しくは以下のコラムをご覧ください。 配偶者ビザ 不許可 はコチラ 2.配偶者ビザが認められなかった場合の再申請までの道のり 「配偶者ビザを申請したのに認められなくてがっかりです。再申請すれば許可が取れますか?」と,よくご相談を頂きます。 このようなご相談に対して,私達はすぐに回答することができません。 それは,お客様がなぜ,配偶者ビザの許可が認められなかったのか,理由が明確になっていないからです。 配偶者ビザの許可が認められなかったとしたら,必ず理由があります。 最初に行うことは「なぜ入管は配偶者ビザを認めなかったのか」という理由の把握です。 まずは配偶者ビザの申請を行った入管に出向き,配偶者ビザが認められなかった理由を尋ねて明らかにする必要があります。 法務省は「入国・在留に係る処分にあたっての留意事項」(平成16年10月1日・法務省管在5964号)という通達を出しています。 一部を抜粋しますと,「不利益処分を行うに当たっては,法令の定めるいずれの要件に適合しないかを明示しなければならない」との記載があります。 つまり入管は,不利益処分(本コラムの場合は配偶者ビザを許可しなかったこと)について理由を説明する義務があるのです。 しかし,入管への聴取には何点か注意事項があります。 ①入管への理由聴取は原則1度しかできない。 入管での理由聴取は申請を行った入管局で対面にて行います。電話やメールでの問い合わせは一切できません。…
2023.02.14 行政書士法人第一綜合事務所 配偶者ビザ結婚ビザ国際結婚日本人の配偶者等不許可交際歴日本語 配偶者ビザの不許可理由と対応策 1.配偶者ビザとは? 配偶者ビザとは,日本人の方又は永住者の方と国際結婚した方が,一定の要件を満たす場合に認められるビザです。 しかし,配偶者ビザは結婚をしたからといって必ず認められるビザではありません。 配偶者ビザの審査ポイントは,大きく分ければ, ①交際の信憑性と②夫婦の世帯収入の安定性です。 以下,配偶者ビザが不許可となる理由を,①交際に関する不許可理由と②収入に関する不許可理由に分けて説明します。 2.配偶者ビザが不許可となる理由~交際に関すること~ 2-1.交際歴が短い 配偶者ビザを取得するためには,交際を経て,その関係が結婚にまで昇華したということを書面で立証していく必要があります。 自分たちは偽装結婚ではないから大丈夫!と考えられる方も多いのですが,交際歴が短い場合には,入管からあらぬ嫌疑を抱かれ,配偶者ビザが不許可になってしまうケースもあります。 では,どれくらいの交際歴が適正なのかという問いには,仮に身近なご友人が国際結婚をする場合,その交際歴で結婚をして大丈夫?と不安を感じるようであれば,配偶者ビザの不許可リスクは高まるとお考え下さい。 そのような場合には,通常よりも高度な婚姻実体の立証が必要となります。 2-2.年齢差が大きい 本来は,愛があれば年の差は関係ないはずです。 しかし,年の差婚の場合には,類型的に見ると日本人側が騙されてしまっている場合があり,入管もそういった事例を認識しています。 そのため,年の差婚で配偶者ビザを取得するためには,通常よりも慎重かつ丁寧な書面を作成し,夫婦としての実体を立証する必要があります。 2-3.コミュニケーションが取れていない 近時の配偶者ビザの審査で,入管が特に気にしているのが夫婦のコミュニケーションです。というのも,アプリを使ってコミュニケーションを図るケースや通訳者が別にいるケースは,夫婦のコミュニケーション不足から起きるトラブルも少なくないからです。 配偶者ビザの許可,不許可に関わらず,夫婦共通のコミュニケーション言語を持つことは,今後の夫婦関係はもちろんのこと,外国人配偶者の日本での生活を考えると非常に重要です。 2-4.親族が国際結婚をしたことを知らない 親,兄弟姉妹など,親族が結婚した事実を知らない場合には,配偶者ビザの不許可リスクが高まります。 実際,入管に提出する質問書という書類でも,親族が結婚の事実を知っているか否かは問われており,交際の信憑性を左右する一つの要素になっています。 そのため,両親に結婚を反対されていながらも結婚をしたケースなどでは,その経緯を丁寧に説明し,その他の交際実態の立証に注力することによって,真正婚であることを明らかにしていく必要があります。 2-5.一方の国でしか結婚をしていない 国際結婚は,当事者の双方の国籍国での手続きが完了していなければなりません。 そのため,一方国でのみ結婚を成立させた状態では,完全には国際結婚手続きを履践したとはいえず,婚姻の信憑性の判断において,不許可となる可能性があります。 「法務省における法令適用事前確認手続」(※注1)によれば,一方の国でしか結婚をしていない場合は,配偶者ビザが必ず不許可になるとは記載していないものの,相手国の婚姻証明書が提出されないことに起因して,婚姻実体の立証が不十分となることはあり得るとしています。 (※注1)法令適用事前確認手続とは,民間企業等が,実現しようとする自己の事業活動に係る具体的行為に関して,その行為が特定の法令の規定の適用対象となるかどうかをあらかじめその規定を所管する行政機関に確認し,その機関が回答を行うとともに,その回答を公表するものです(出典:法務省における法令適用事前確認手続~法務省におけるノーアクションレター制度について~)。 他方,日本人と外国人の結婚において,外国側の手続きが何らかの理由で履行できない場合であっても,婚姻届が受理され日本側の手続きを履行している場合には,入管に説明書を提出すれば,配偶者ビザの許可が下りる可能性はあります。 2-6.交際期間が前婚と重なっている 入管審査は,警察と同じく民事不介入であるため,たとえ交際期間が前婚と重なっている場合でも,配偶者ビザの審査上は問題ないとも考えられます。 確かに,入管の審査は,不貞行為の有無を明らかにする事を目的にするものではありません。しかし,社会通念で判断する入管審査においては,前婚期間中の交際は,信憑性がないと判断される可能性があります。 そのため,仮に前婚の婚姻関係が実質的に破綻をしていたのであればその具体的事実を,また前婚が破綻はしていなかった場合であっても,どのような経緯で交際を開始し,前婚が離婚に至り,そして再婚にまで至ったのかを明らかにする必要があります。 2-7.インターネットで出会っている 情報通信網の発達もあり,国際結婚の局面においても,出会いの形は多様化しています。それに伴い,偽装結婚の手口も,複雑かつ巧妙化しているのが現状です。 これらの状況に鑑み,出会いの経緯については,入管は特に慎重な審査をしています。インターネットで男女が出会うことは決して悪いことではありませんが,配偶者ビザの入管審査では通常よりも高いレベルで,婚姻に至るまでの経緯を明確にする必要があります。 2-8.結婚紹介所を介して出会っている 上記のインターネットで出会っている場合と同様,結婚紹介所を介して出会っている場合も交際の実態に嫌疑を抱かれやすく,配偶者ビザが不許可となりやすい一類型と言えます。…
2023.01.26 行政書士法人第一綜合事務所 国際結婚日本人の配偶者等技能実習日本語配偶者ビザ結婚ビザ 技能実習生と結婚して配偶者ビザを取る方法 1.技能実習制度とは? ここ最近,新聞やテレビの報道等から“技能実習”という言葉を耳にする機会が増えているのではないでしょうか。 しかし,具体的にどのような制度なのかをご存じの方は少ない印象です。 では,技能実習制度とは,どのような制度なのでしょうか。 厚生労働省のホームページによると, 「我が国が先進国としての役割を果たしつつ国際社会との調和ある発展を図っていくため,技能,技術又は知識の開発途上国等への移転を図り,開発途上国等の経済発展を担う「人づくり」に協力することを目的としております。」と記載されています。 わかりやすく言うと,技能実習生には日本で技能・技術・知識を学んでもらい,日本で学んだ技能等を母国に持ち帰って,母国の経済発展を担ってもらうことが技能実習制度の趣旨ということです。 そのため,技能実習ビザは一般的な就労ビザとは異なり,技能実習過程を修了した後は母国へ帰り,学んだ技術や知識を教えたり,移転させる必要があるのです。 このような事情から,技能実習ビザは,技術の移転を願う送出機関と呼ばれるところや,その外国人の受け入れに協力してくれる日本の監理団体,実習実施機関など,様々な機関との関わりが強いビザということができます。 そして,配偶者ビザとの関係で重要な視点は,技能実習ビザは母国へ帰国することを想定しているということです。 技能実習ビザから他のビザへの変更が難しいと言われるのは,前記の通り技能実習ビザが母国への帰国を前提としているからなのです。 2.増加する技能実習生との国際結婚 2022年6月末に公表された出入国在留管理庁の統計によると,日本には技能実習生が32万人以上いると示されています。 参照:法務省 出入国在留管理庁 厚生労働省 人材開発統括官 技能実習ビザは,最も多い永住ビザに次ぐ在留人数です。 そして,技能実習生の国別の内訳を見ていくと,ベトナムが半数以上を占め,次にインドネシア,中国,フィリピンの順となっています。 参照:法務省 出入国在留管理庁 厚生労働省 人材開発統括官 本ページをご覧いただいている方の中にも,職場や取引先で外国人の方々を見かけたり接する機会は少なからずあるのではないでしょうか。 コロナ禍にあっても,なお在留人数の多さを誇る技能実習ビザ。 上記の在留データからもわかるとおり,技能実習生と日本人が出会い,結婚をするという事例が増えていることは容易に想像することができます。 一方で,何とか日本に残りたいという思いから,配偶者ビザを得るための便法として,国際結婚という手段を選ぶ技能実習生がいるのも事実です。 もちろん,このような真意に基づかない国際結婚は認められるべきではありません。 入管側もどんな在留資格であろうと,このような違法な在留を認めるべきではないと,目を光らせて審査しています。 次のチャプターでは,技能実習生が国際結婚して配偶者ビザへ変更する場合や一度帰国した元技能実習生が配偶者ビザを取得する場合, どのような点に気を付けて準備を進めていくべきか具体的に見ていきましょう。 3.技能実習生と結婚しても配偶者ビザに変更できない? 上記の1.技能実習制度とは?で説明した通り,技能実習生は母国へ帰ることが予定されています。 そのため,原則的には入管は技能実習ビザから他のビザへの変更を想定していません。 しかし,技能実習ビザからのビザ変更を入管は一律不許可にしているのかというと,そういう訳でもないのです。 例えば,技能実習生もしくはその配偶者が妊娠している場合や,すでに子どもを出産している場合など,夫婦(家族)の実体を総合的に判断し,法務大臣の裁量のもと技能実習ビザから配偶者ビザへの在留資格変更許可が認められる可能性があるのです。 では,どのようなケースで技能実習生からのビザ変更が認められているのか,場面分けをして具体的に見ていきましょう。 【技能実習中の場合】 技能実習中の場合には,先に説明した監理団体や実習実施機関において,母国での技術移転が難しくなることを背景に,在留資格変更許可申請に際して,技能実習ビザから配偶者ビザに変更することについて同意書を求められるのが一般的です。 場合によっては,海外の送出機関からの同意書を求められることもあります。…
2022.11.17 行政書士法人第一綜合事務所 名前日本語配偶者ビザ結婚ビザ国際結婚日本人の配偶者等 国際結婚をした場合の名前はどうなる? 1.国際結婚における名前のルール 日本の民法第750条には「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。」と規定されているため,日本の氏に関する考え方は,夫婦同姓が原則となっています。 ところが,国際結婚となれば事情が少々変わります。 なぜなら,氏に関する実務において,国際結婚の場合には,氏は夫婦それぞれに関する問題と考えられており,当事者の国籍国の法律によって判断されるべきとされているからです。 そうすると,日本人の氏については,「夫又は妻の氏を称する。」(民法第750条)ことになりそうですが,この民法第750条の対象は,日本人同士の婚姻のみであり,外国人・日本人間の婚姻には適用されず,日本人の氏は変わらないとされています。 したがって,国際結婚の場合は,夫婦別姓が原則となるのです。 2.国際結婚した場合の名前の決め方に関する手続きとは? 上記1で記載した通り,国際結婚の名前について夫婦別姓が原則となります, そのため,外国人の方と氏を一緒にしようと思うと,日本人同士の結婚のように,婚姻届の提出だけでは夫もしくは妻の氏に自動的に変更はされず,決められた手続きを踏む必要があります。 こちらの手続きについて,①日本人が外国人の氏を名乗るケースと,②外国人が日本人の氏を名乗るケースの2パターンが考えられます。 どちらの方法を選択しても,配偶者の方と同じ氏になるという点で結果は同じですが,手続きの内容はまるで違うので注意が必要です。 ①日本人が外国人の苗字を名乗るケース このケースですと,日本人と外国人が結婚しても,国際結婚では夫婦別性が原則ですので,しかるべき手続きを踏まなければ,外国人の氏に変更することが出来ません。 このしかるべき手続きとは,婚姻届をご覧になられた方ならご存じかと思いますが,婚姻届にある「氏」の欄で夫または妻のどちらかを選択するというものではありません。 実は,この手続きは戸籍法第107条第1項,第2項に規定があります。 戸籍法第107条第1項,第2項の内容を簡単にご説明すると,ポイントになるのは国際結婚の日から6ヶ月以内かどうかです。 日本人が国際結婚の日から6ヶ月を経過してから外国人の氏に変更を希望した場合,家庭裁判所の許可を得て変更の届出をしなければなりません。 しかし,日本人が国際結婚の日から6ヶ月以内に外国人の氏に変更を希望した場合,家庭裁判所の許可を得ることなく変更の届け出をすることが出来ます。 どちらが手続きとして簡単かと言えば,家庭裁判所の許可が不要となる国際結婚の日から6ヶ月以内に変更の届出をする方ですよね。 そのため,日本人が外国人の氏にされることをご希望の場合は,是非とも「6ヶ月以内」というキーワードを覚えておいてください。 ②外国人が日本人の苗字を名乗るケース このケースの場合,先述した通り,氏は夫婦それぞれに関する問題と考えられており,当事者の国籍国の法律によって判断されるべきとされているため,戸籍法上に根拠規定はありません。 国の制度によっては,日本人と外国人の氏を合わせた複合氏(例えば,クルム伊達公子さん)を名乗れたりしますが,今回は外国人が日本人と同じ苗字になるケースについてフォーカスすると,夫婦別姓を採用している国の場合は,そもそも婚姻によって氏を変更する制度が存在しないため,日本人と結婚しても日本人の氏に変更することは出来ないのが一般的です。 他方,婚姻によって氏を変更することが出来る国は,その国の手続きに従って氏を変更することが出来ます。 では,婚姻によって氏を変更することが出来る国で,本国法に則り外国人が日本人の氏と同じになったからといって,日本人の戸籍に,氏の変更の事実が自動的に反映されるかというとそんなことはなく,戸籍上も外国人の氏を日本人と同じにしようとすると,戸籍の記載事項を変更する旨の申し出を市町村役場にし,戸籍の訂正をする必要があります。 この訂正手続きについて,行政機関内で通達が存在します。 その内容を簡単に要約すると,外国人が日本人と国際結婚をし,外国人が日本人の氏に変更した場合,外国人の本国における権限を有する役所発行した氏の変更が明らかな身分証明書を市町村役場に日本人が提出し,その変更の申出をすることによって,外国人の氏を変更することが出来るというものです。 この「氏の変更が明らかな身分証明書」とは,例えば変更した氏の記載のある外国人のパスポートのコピーなどで証明することができます。 実際に当社で対応をしたケースにおいても,多くの役所で外国人の変更後の氏が記載されたパスポートで手続きをする事が出来ています。 なお,氏の変更に必要となる書類は各市町村役場によって違いますので,事前にご確認されることをお勧め致します。 3.国際結婚したけど離婚した場合の名前はどうなるの? 次は,残念ながら結婚生活が順風満帆とは言えず,離婚した場合に,離婚後の氏がどうなるかということについてご説明します。 外国人の氏の変更は本国法によるので,ここでは,日本人の氏について,外国人の氏から変更するための手続きにフォーカスします。 結論として,離婚した場合は氏を元に戻すことが出来ます。 しかし,国際結婚のとき同様,離婚したらといって自動的に氏が変更されるのではなく,しかるべき手続きを踏む必要があります。 そして,そのしかるべき手続きを判断するにあたり,実は氏の変更手続きの方法が重要となります。 離婚による氏の変更は戸籍法第107条第3項に規定があります。 こちらの条文の内容を簡単にご説明すると,戸籍法第107条第2項で氏の変更をした日本人は,離婚の日もしくは外国人が死亡した日(以下「離婚等の日」といいます。)から3ヶ月以内であれば,家庭裁判所の許可を得ることなく変更の届出をすることが出来ますが,戸籍法第107条第2項で氏の変更をしなかった日本人,及び,離婚の日もしくは外国人が死亡した日から3ヶ月を経過した日本人は,家庭裁判所の許可を得なければ氏の変更を届出ることが出来ないということになります。 ここでポイントとなるのは「戸籍法第107条第2項(裁判所許可を得ない氏の変更届)」と「3ヶ月以内」です。 例えば,「山田 …
2022.11.07 行政書士法人第一綜合事務所 配偶者ビザ結婚ビザ国際結婚手続きベトナム人日本語 ベトナム人との国際結婚手続き 1.国際結婚とは? 国際結婚とは,その人が国籍を持つ国(日本人であれば日本ですね)以外の国(本稿ではベトナム)での結婚手続きが発生する結婚のことを言います。 ざっくり言うと,日本で日本人同士がする結婚以外の婚姻はすべて国際結婚なのです。 日本とベトナムのように国籍が違う人同士の結婚のほか,例えば日本人同士が海外で結婚すること,外国人同士が日本で結婚することも国際結婚の一類型です。 ①国際結婚の成立のために必要なこと 国際結婚の成立には,原則として各当事者の国籍国の法律で結婚が有効であることが必要です。 結婚に関する法律(婚姻条件)は世界各国で異なります。 ですから,ある国の法律で結婚が認められても,別の国の法律では認められないということも起こってしまうのです。 日本人同士が日本で結婚する時には,日本の役所は双方の戸籍に記載された情報から「双方が日本の法律上婚姻要件を満たしているか否か?」が判断できます。 しかし,例えば日本人とベトナム人が結婚する場合,あるいは日本で外国人同士が結婚手続きをする場合など,日本の役所では「あなたは婚姻要件を満たしていますか?」と確認をすることができません。 外国籍の方の婚姻届が提出されるたびに,日本の役所がその国の法律を調べて婚姻条件を満たしているか審査するなどということは現実的ではありませんよね? そこで必要になるのが,その国の政府が発効する「婚姻要件具備証明書」です。 簡単に言えば,ある国の法的な婚姻条件に照らし「この人は結婚できますよ」(婚姻できる年齢に達していること,独身であることなど)と証明する書類です。 発行国によっては「独身証明書」などと言われることもありますが,独身であるだけでなく,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていることが明らかになるものであれば,基本的には婚姻要件具備証明書と考えていただいて差支えありません。 国際結婚手続きのポイントは,結婚手続きをする国が自分の国籍国ではない方が,この婚姻要件具備証明書を取得しなければならないことです。 もっとも,婚姻要件具備証明書が発行されない国もありますので,国際結婚手続きを進める場合,婚姻要件具備証明書の発行可否は事前に確認することをおすすめいたします。 もう一点,日本人同士が日本で結婚する場合は,婚姻届が受理されれば自動的に双方の戸籍に「二人は結婚した」ということが記載され,法的に婚姻関係にあることが証明されます。 しかし国際結婚の場合,日本で結婚が法的に成立したとしても,日本の役所がそのことを外国の役所に通知して法的に処理されることはありません。逆も同じです。 ですから,特に国際結婚を考えている二人の片方もしくは両方が,結婚後は手続きをした国以外で暮らすことを考えているのであれば,ある国で国際結婚手続きをしたら,もう一方の国に「私達は結婚しました」と届け出る必要があります。 これが国際結婚手続きのもう一つのポイントです。 ②日本,ベトナム 婚姻要件の違い では,ベトナム人の婚姻要件はどうなっているのか? ベトナムの婚姻要件は 婚姻可能な年齢=男性満20歳以上,女性が満18歳以上。年齢によって父母の同意が求められることはありません 結婚の目的が問われます。ベトナム出国などを目的とした偽装結婚は禁止です 同性婚・既婚者との結婚はできません 再婚禁止期間の定めはありません などです。 日本と異なる点もありますので,参考にしてください。 例えば,ベトナムの法律には再婚禁止期間の定めはありません。 ただし,日本で婚姻手続きを行う場合は,日本の民法の再婚禁止期間が適用され,前婚の解消又は取消の日から100日を経過していることが要件とされています。 もっとも,ベトナム人女性が妊娠していないという医師の診断書を提出することによって100日を経過していない場合でも結婚することができます。 ③日本,ベトナム どちらを先にするべき? 日本人とベトナム人が結婚を考えている場合,日本とベトナム,どちらの国で先に手続きをすればよいのか? それが国際結婚を考えるお二人の関心事でしょう。 基本的には, 配偶者となるベトナム人がすでに日本で生活している場合先に日本→ベトナムで手続き 配偶者となるベトナム人がベトナムで生活している場合先にベトナム→日本で手続き…
2022.10.14 行政書士法人第一綜合事務所 上陸拒否日本語配偶者ビザ結婚ビザ国際結婚日本人の配偶者等上陸特別許可 上陸特別許可を専門行政書士が解説 1.上陸特別許可についての入管法の規定 外国人が日本に上陸しようとする場合,上陸しようとする空港または海港で必ず上陸審査を受けて上陸許可を受けなければなりません。上陸許可の要件は大きく分けて4つ法定されており(入管法7条1項),そのなかの一つに上陸拒否事由に該当していないことが定められています。 Aさんの場合,入管法第5条第1項9号ロの上陸拒否事由に該当するため,5年間日本への上陸を拒否されることになります。上陸拒否事由には,代表的なものとして薬物事犯,売春防止法違反,1年以上の懲役刑の有罪判決(執行猶予付判決を含む)を受けたことなどが定められています。 (参考条文) ・入管法第7条第1項4号 入国審査官は,前条第二項の申請があつたときは,当該外国人が次の各号…に掲げる上陸のための条件に適合しているかどうかを審査しなければならない。 四 当該外国人が第五条第一項各号のいずれにも該当しないこと(以下略) ・入管法第5条第1項9号ロ 次の各号のいずれかに該当する外国人は,本邦に上陸することができない。 九 次のイからニまでに掲げる者で,それぞれ当該イからニまでに定める期間を経過していないもの ロ 第二十四条各号…のいずれかに該当して本邦からの退去を強制された者で,その退 去の日前に本邦からの退去を強制されたこと…のないもの 退去した日から五年 もっとも,上陸拒否事由に該当する場合でも,法務大臣が相当と認める場合には,上陸を許可することができるとされています。法務大臣の裁決の特例として,入管法では以下のように定められています。 (参考条文) 入管法第12条第1項 法務大臣は,前条第三項の裁決に当たって,異議の申出が理由がないと認める場合でも,当該外国人が次の各号のいずれかに該当するときは,その者の上陸を特別に許可することができる。 一 再入国の許可を受けているとき。 二 人身取引等により他人の支配下に置かれて本邦に入ったものであるとき。 三 その他法務大臣が特別に上陸を許可すべき事情があると認めるとき。 実務上,もっとも多く上陸特別許可が認められる類型が,3号の「法務大臣が特別に上陸を許可すべき事情があると認めるとき」です。 このように,入管法は上陸を認めることができない事由を定める一方で,特例として上陸を認める場合があることを定め,個別の事案で救済を図っているのです。 上陸拒否事由については,入管法の上陸拒否事由とは? で解説していますので,ご参照ください。 それでは,次のチャプターで,どのような場合に上陸特別許可が認められているか見ていきましょう。 2.上陸特別許可が認められるケース では,どのような場合に,上陸特別許可が認められるのでしょうか。 上陸拒否事由を定めておきながら,あまりにも広く特例を認めてしまうと,上陸拒否事由を定めた意味がありません。そこで,実務上は,人道上配慮すべき特別な事情がある場合に限り特例を認めるという,かなり限定的な運用がされています。しかも,この要件を満たしていれば特例を認めるというように要件が法定されているわけではなく,法務大臣の相当広範な裁量によって決定されます。 ただ,入管当局も上陸特別許可の運用を明確にするために,毎年1度,許可事例と不許可事例を公表しており,また,実務運用の積み重ねによってある程度の基準が明らかになってきています。それが以下の4つの基準です。 ①日本人,特別永住者,永住者,定住者と法的に婚姻が成立しており,婚姻の信憑性の立証が十分になされていること ②在留資格認定証明書交付時において,婚姻後1年以上が経過していること ③在留資格認定証明書交付時において,退去強制後2年以上経過していること ④執行猶予付き有罪判決を受けた後に退去強制された場合は,執行猶予期間をおおむね経過していること…
2022.08.29 行政書士法人第一綜合事務所 配偶者ビザ結婚ビザ国際結婚日本人の配偶者等所得日本語 配偶者ビザの申請で必要になる収入はいくら? 1.配偶者ビザ申請で収入が審査される理由 入管が配偶者ビザで審査する項目は,大きく分けると①婚姻の実体と②夫婦生活を送るための収入の有無の2つと言われています。 ①については,夫婦が結婚するまでの経緯や,結婚後の生活などを総合的に判断し,夫婦として同居し助け合いながら生活しているかの信憑性が判断されます。 詳しくは,配偶者ビザが不許可になる理由で解説していますので,ご覧ください。 ②については,ご夫婦の収入や資産状況を総合的に判断し,申請人(外国人配偶者)が日本に上陸後,公共の負担になることなく生活できるかということが判断されます。 なぜ,このような点が審査されるのかというと,配偶者ビザは日本に長期間在留するためのビザですので,その間,日本で生活するだけの収入(経済力)があるかを確認する必要があるからです。 そのため,「年収○○万円以上じゃないとダメ」という明確な基準はなく,各家庭の生活状況に即して判断されます。 なお,一概に収入と言っても給与や年金,不動産収入など種類があります。 収入面以外の配偶者ビザの申請方法については,配偶者ビザ申請 で詳しく記載していますので参考にしてみてください。 2.配偶者ビザ申請で収入として見てもらえるものは? それでは,入管が配偶者ビザの審査において,収入として見てくれるものを詳しく見てみましょう。 ① 給与収入・営業所得 給与は,皆さんが思うように勤務先から支給されるお給料のことです。 会社役員の方であれば役員報酬を指しますし,個人事業主の方であれば確定申告書B第一表の営業等利益を指します。 こちらを証明するには,一般的に直近年度の所得課税証明書を使用しますが,時期によっては源泉徴収票などで代用することもあります。 この給与収入について重要なことは,外国の給与であっても,外国で申告し,証明書等が取得できるのであれば入管は配偶者ビザの審査において収入として見てくれるということです。 例えば,外国にある会社でのリモートワークにより給与が支給されるのであれば,配偶者ビザで必要となる収入の基準をクリアする可能性は十分あります。 ② 預金 預金についても,日本だけに限定はされずに,海外でお持ちのものも含まれます。 預金を証明するためには,ひと昔前であれば銀行から残高証明書などを発行してもらっていました。 しかし,現在はネットバンク等が普及し,インターネット上で口座情報を確認出来るようになったため,口座情報が表示されている画面のスクリーンショットなどでも証明できるようになっています。 ③ その他 ①②の他には,年金や不動産収入のような定期的な収入や持ち家や有価証券などの資産も,生計基盤を形成する1つの要素として考慮してもらえます。 しかし,資産の中でも株式などの証券は上がり下がりがあるものなので,不安定な資産ということで,給与収入や預金に比べると評価はされません。 このように,入管は様々なものを収入として見てくれますが,実は審査するうえで,優先順位が存在します。 その優先順位は,先程紹介した順番(①→②→③)になります。 なぜ,このような優先順位が存在するかというと,中長期的に日本で生活するためには,預金などのように目減りするものではなく,定期的な収入がある方が良いと考えられているからです。 そのため,配偶者ビザの取得を考えられる方は,まずは,給与を始めとする定期的な収入があるか確認することをお勧めします。 3.配偶者ビザ申請における収入の判断方法 それでは,上記のように数多くある収入を,入管はどのように取り扱っているのでしょうか。 結論からいうと,配偶者ビザの審査において入管は申請人と同居する世帯構成員全員の合計収入で判断しています。 そのため,極端な話をしてしまえば,夫婦共に無職で収入がない場合でも,日本人配偶者の両親に収入があり,同居出来るのであれば,配偶者ビザ申請における収入要件を満たす可能性はあります。 ただし,世帯全員の合計収入を見たときに,世帯全員を養うことが出来ないような収入額では,配偶者ビザ申請を取得することが出来ない可能性が高まるということです。…
2022.03.15 行政書士法人第一綜合事務所 配偶者ビザ結婚ビザ国際結婚手続き日本語台湾人 台湾人との国際結婚手続きを専門行政書士が解説! 1.国際結婚手続きの用語解説 本稿では,国際結婚手続きにおける専門用語を解説していきます。 以降の内容をご参照いただくにあたり必要となる前提知識ですので,ご一読の上,次の稿に進んでください。 ①国際結婚の成立とは? 国際結婚が有効に成立するには,双方の国籍国(本事例でいうと日本と台湾)において,法的に有効な婚姻関係にあることが原則必要とされています。 日本で先に結婚手続きを行うことを日本方式と言い,台湾で先に結婚手続きを行うことを台湾方式と言います。 ②婚姻要件具備証明書とは? 外国人が,日本方式の婚姻を有効に成立させるためには,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件(婚姻できる年齢に達していること,独身であることなど)を満たしていることが必要とされています。 もっとも,日本の市区町村役場で,外国人配偶者の国籍国の法律を全て審査することは現実的ではありません。 そこで,国際結婚実務においては,相手国が発給した婚姻要件具備証明書を提出することによって,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていると判断することにしているのです。発行国によっては,独身証明書などと言われることがありますが,独身であることのみならず,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていることが明らかになるものであれば,基本的には婚姻要件具備証明書と考えていただいて差支えありません。 なお,婚姻要件具備証明書を発行する条件や必要書類は,国によって異なり,そもそも婚姻要件具備証明書を発行していない国もあります。婚姻要件具備証明書を発行していない国の方との国際結婚においては,他の書類によって外国人配偶者が国籍国の法律に従って婚姻の成立要件を満たしていることを疎明することになります。比較的事例の多い国であれば,先例に従って判断されるのが戸籍実務ですが,事例の少ない国や先例のない国になると,相手国の法律から調査しなければならないこともあり,そうなると婚姻届を提出してから正式に受理されるまでに時間を要することもあります。 2.台湾人との国際結婚手続きで注意すること 台湾人と日本人との国際結婚手続きの際,ご注意いただきたい事項を下記に記載いたします。 ①婚姻要件具備証明書について 台湾は婚姻要件具備証明書が発行される国です。 日本方式で婚姻する際には,市区町村役場に婚姻要件具備証明書を原則提出しなければなりません。 ②台湾の領事事務について 1972年に日本国政府が中華人民共和国との国交を成立させましたが,台湾(中華民国)とは国としての国交を行っていないため,日本に台湾の大使館や領事館は存在しません。 もっとも,在日台湾人の領事事務を取り扱う機関が存在し,台北駐日経済文化弁事処という機関が在日台湾人の領事事務を取り扱っており,婚姻に際して在日台湾人の婚姻要件具備証明書の発行手続きを行っています。 また同様に,台湾に日本の大使館や領事館も存在しません。 在台湾日本人の領事事務は,日本台湾交流協会という機関が取り扱っています。 ③婚姻可能な年齢について 台湾人の婚姻可能な年齢は,男性は18歳以上,女性は16歳以上と法定されています。 ただし,未成年者(20歳未満)が婚姻をするには,法定代理人の同意を得なければならないとされています。 もっとも,法改正により2023年1月1日以降は,成人年齢が18歳に引き下げられ,婚姻可能な年齢も男女とも18歳になります。 ④再婚禁止期間について 台湾の民法には,再婚禁止期間は定められていません。 もっとも,日本法では女性は離婚後100日間の再婚禁止期間があり(妊娠していないことの医師の証明書を提出すれば離婚後100日未満でも禁止されません),この規定は台湾人女性との婚姻にも適用されます。 3.国際結婚手続きにおける必要書類(日本方式) 本題の国際結婚手続きについて解説していきます。 ここからは,日本人と台湾人が日本方式で婚姻をおこなう場合の必要書類を記載します。 ①台湾人配偶者の婚姻要件具備証明書の取得 まずは,日本にある台北駐日経済文化弁事処にて,台湾人配偶者の婚姻要件具備証明書を取得しましょう。 東京の本部の他に,札幌,横浜,大阪,福岡,那覇に分処があります。 <台湾人の方にご準備いただく書類> ・台湾の戸籍謄本 ・パスポート ・証明写真 なお,この後の手続きで必要になりますので,台湾の戸籍謄本を3通は用意しておきましょう。 ②日本の市区町村役場への婚姻届提出…