Q&Aコラム

COLUMN

「第二次出入国在留管理基本計画」を行政書士が解説〜外国人政策の厳格化が外国人と企業に与える影響〜

1.データで見る現状:413万人時代に突入した在留外国人 新計画の文書では、近年の在留外国人数の大幅な増加が具体的なデータで示されています。 外国人入国者数の急増:2025年の外国人入国者数は約4,243万人に達し、過去最高を記録しました。 在留外国人の現状:2025年末時点での在留外国人数は約413万人(日本の総人口の3.35%、前年から0.31%増)に達しました。国籍・地域別では中国(約93万人)が全体の22.6%を占め、次いでベトナム、韓国、フィリピン、ネパールと続きます。 就労目的の在留資格の増加:専門的・技術的分野で就労する中長期在留者は増加傾向にあり、2025年末時点で「技術・人文知識・国際業務」が約47.6万人、「特定技能」が約39.0万人に達しています。 永住者の増加:一定の要件を満たした「永住者」の数も一貫して増加しており、2025年末時点で約94.7万人と、在留外国人全体の23.0%を占めています。 急増する申請に対する「迅速な審査」と、実態に即した「適正な管理」の重要性が、かつてないほど高まっています。 2.第二次出入国在留管理基本計画の「5つの重要ポイント」 新計画に盛り込まれた数多くの施策の中から、企業や外国人の皆様の実務に直結する変更点を5つに絞って詳しく解説します。 ポイント1:在留管理のDX推進とマイナンバー情報の連携 入管は「入管DX(デジタルトランスフォーメーション)」を強力に推し進めています。その目玉として、2026年6月から在留カードとマイナンバーカードを一体化した「特定在留カード等」の運用が開始されました(詳しくは【2026年6月】特定在留カードで在留更新の「二度手間」を解消!入管のあとに市役所へ行く必要がなくなる本当のメリットをご参照ください)。 さらに、2027年からは「公共サービスメッシュ」(行政機関同士がデータを安全にやり取りするためのネットワークシステム)を活用した、マイナンバーによる情報連携がスタートする予定です。これにより、国民健康保険料、国民年金保険料、地方税などの納付情報が入管に提供され、在留審査に活用されます。各種手続きのオンライン化や手数料のキャッシュレス決済も進められており、優良な企業・外国人にとっては利便性が大きく向上します。 ポイント2:永住許可制度の「適正化(厳格化)」 永住許可を受けた後でも、公租公課(税金や社会保険料)の支払いなどの義務を適正に履行しない事案が確認されたため、2024年の法改正でルールが厳格化されました(詳しくは【2027年4月法改正】永住権取り消しの新基準とは?対処法を行政書士が解説をご参照ください)。故意に公租公課を支払っていないと判断されると永住資格が取り消される可能性があります。 ただ、永住資格の取り消しについては、対象者や家族に与える影響が大きいため、今後、具体的な取消事例などを示したガイドラインが作成・周知され、予見可能性と透明性が高められます。 また、これから永住審査はより厳格に運用される方針です。永住者が社会に適応して安定した生活を送れるよう、一定水準以上の日本語能力を有していることや、日本のルールを学ぶ学習プログラムの受講を条件とすることも含め、永住ガイドライン上の独立生計要件や国益要件等の見直しが検討される予定です(詳しくは永住許可要件が厳格化へ!年収・厚生年金30年水準・遡及適用のポイントと対策を行政書士が解説をご参照ください)。 ポイント3:「経営・管理」「技術・人文知識・国際業務」「留学」の実態調査と審査適正化 これらの在留資格において、制度の趣旨と異なる活動を行う事案への対策として、実態把握の強化と厳格な審査が行われます。 「経営・管理」ビザ:事業実態のない事案を防ぐため、2025年10月に上陸許可基準等が見直されました。資本金・出資総額の要件が改められたほか、経営者の経歴(職歴・学歴)や常勤職員の雇用義務などが新設されています(詳しくは【2025.10.16~】経営管理ビザの許可基準が厳格化!資本金3,000万円に|行政書士が解説をご参照ください)。今後は実態調査等を通じた、より厳格な審査・処分が行われます。 「技術・人文知識・国際業務」ビザ:専門的な知識を要しない現場の単純業務に従事させるといった不適切な事案に対し、実態を把握した上で、受入れ機関(企業)の責任や指導の在り方を含めて厳正な措置が講じられます。また、従事可能な業務範囲に係る案内の充実を含めた運用の改善もなされる予定です。 留学生のアルバイト(資格外活動):週28時間の上限違反を防ぐため、2026年4月から日本語教育機関と連携した実態把握・指導が開始されています。マイナンバーの情報連携に合わせて所得情報も活用し、複数のアルバイト先を掛け持ちしているケースも正確に把握されるようになります。 さらに、ワーキングホリデーやインターンシップなど多様な活動が含まれる「特定活動」ビザ(詳しくは在留資格「特定活動」とは?種類一覧から要件・最新動向まで行政書士が徹底解説!をご参照ください)についても、運用状況を精査した上で制度の在り方が再検討される予定です。自社の従業員が「特定活動」で在留している場合、今後の制度変更の動向を注視しておく必要があります。 ポイント4:育成就労制度の運用開始(2027年4月〜) 「技能実習制度」が発展的に解消され、人材育成と人材確保を目的とする「育成就労制度」に切り替わります(2027年4月運用開始に向け準備中、詳しくは育成就労の外部監査人は誰に頼む?外部役員廃止の注意点と第一綜合グループを選ぶメリットをご参照ください)。 悪質な送出機関や監理支援機関の排除を徹底するための二国間取決め(MOC)の作成や、外国人育成就労機構を含む支援・保護体制の整備が進められます。今後は地域協議会の設置・活用や地方公共団体の関与が促され、地方の受入れ企業に対する配慮施策も実施される予定です。 また、外国人の受入れ状況や転籍状況等を国が継続的かつ的確に把握し、特定の分野や地域への過度な集中を防ぐため、必要に応じて受入れの停止や受入れ見込数の再設定などを不断に検討し、適正な運用が確保されるとしています。 ポイント5:水際対策・不法滞在者対策の強化と難民等への適切な保護・支援 新計画では、「2030年に訪日外国人旅行者数6,000万人」という政府目標を見据え、安全・安心な社会を実現するため、入国前(水際)から出国・送還に至る各段階での対策を抜本的に強化することが示されています。…

【2027年4月法改正】永住権取り消しの新基準とは?対処法を行政書士が解説

1.【現行制度】2026年現在でも「永住資格」が取り消されるケースとは? このコラムで取り扱う取り消し制度は、2024年(令和6年)6月14日に成立した改正入管法(令和6年法律第60号)による「永住許可制度の適正化」の一環です。その後、2025年(令和7年)10月1日に公布された政令(令和7年政令第340号)により、施行日が2027年(令和9年)4月1日と正式に確定いたしました。そのため、新基準が適用されるのはこの施行日以降となります。 この法改正のニュースが大々的に報じられたため、「これまでは永住資格は絶対に取り消されなかったのに、2027年4月の改正から初めて取り消されるようになる」と誤解されている方が少なくありません。しかし、それは事実ではありません。2026年現行の入管法においても、永住資格が取り消されるケース、あるいは「退去強制(強制送還)」となって日本から出国しなければならないケースは定められています。 まずは、2026年現在のルールを整理しておきましょう。現行法で在留資格(永住権を含む)が取り消される(または退去強制となる)代表的なケースは以下の通りです。 取り消し・退去強制の事由 具体的なケース 不正な手段での許可取得 偽造書類の提出など、偽りその他不正の手段で永住許可を受けた場合 住居地届出の違反 引っ越しをした日から90日以内に新住居地の届出を怠った場合や、虚偽の住居地を届け出た場合(正当な理由がある場合を除く) 重大な犯罪等(退去強制) 1年を超える実刑(拘禁刑)に処せられた場合や、薬物犯罪で有罪判決を受けた場合など 2026年現行法の在留資格取り消しについては、在留資格取消しが不安な方へ。日本で暮らし続けるための具体的な対策もご参照ください。 住居地の届出忘れには現行法でも要注意 実務上、意外と多いのが「引っ越し後の住居地届出(市区町村の役所等での手続き)の遅れ」です。「仕事が忙しくてつい忘れていた」「手続きが必要だとは知らなかった」という理由で90日を過ぎてしまうケースがあります。しかし、入管法上、正当な理由なく90日以内に新住居地を届け出ないと、現行法であっても在留資格の取り消し対象となる可能性があります。引っ越しをした際は、必ず速やかに手続きを行う習慣をつけましょう。 2.【2027年4月施行】入管法改正で何が変わる?追加される取り消し事由の詳細 それでは、2027年4月から施行される改正入管法において、具体的にどのような「取り消し事由」が追加されるのでしょうか。 まず背景として、永住者は在留期間の更新手続き(ビザの更新)がないため、一部の悪質なケースにおいて、「永住許可を申請する時だけ公租公課(税金、年金、健康保険などの公的負担金)をまとめて支払い、許可された後は支払わない」といった、制度の趣旨に反する事態が発生していました。そこで、法務大臣による適切な在留管理を行うために、以下の2つの取り消し事由が新たに追加されることになったのです。 (1)故意による公租公課の未納・入管法上の義務違反 改正法では、入管法に規定される義務を正当な理由なく遵守しなかった場合や、公租公課を「故意に支払わない」場合が、新たな取り消し事由となります。ここでいう「故意に」とは、支払う義務があることを十分に分かっており、かつ支払う能力(お金)があるにもかかわらず、あえて支払いを無視するような悪質なケースを指します。 また、「事後的に払えば問題ないだろう」と安易に考えるのは危険です。滞納処分(給与や預貯金の差押えなど)によって結果的に公租公課が徴収されたとしても、「故意に支払わなかった」という事実は変わらないため、取り消しなどの対象になり得るとされています。 (2)特定の刑罰法令違反による拘禁刑 改正法では、窃盗、詐欺、恐喝、傷害などの一定の刑罰法令違反によって「拘禁刑」に処せられた場合も、新たに取り消しの対象となります。2026年現行法では主に「無期又は1年を超える拘禁刑(実刑)」などが退去強制の対象でしたが、改正法では、たとえ1年以下の拘禁刑であったとしても、特定の犯罪であれば「永住資格の取り消し」の対象となるようにルールが厳格化されます。 すべての犯罪が対象になるわけではありません 「交通違反をしただけで永住権がなくなるのでは?」と心配される方がいますが、今回追加されるのは窃盗や詐欺などの故意に行う犯罪(故意犯)が中心です。過失による交通事故を起こして処罰された場合や、道路交通法違反で「罰金刑」で済んだような場合は、この新しい取り消し事由の対象とはなりません。とはいえ、法令を遵守して生活することが大前提であることは言うまでもありません。 3.万が一、取り消し事由に該当してしまったらどうなる? 「もし税金の滞納などで取り消し事由に該当してしまったら、すぐに母国へ強制送還されて、日本での生活がすべて終わってしまうのか?」とパニックになる方もいらっしゃるでしょう。しかし、万が一該当した場合でも、いくつかの救済措置や適正な手続きのステップが用意されています。 (1)適正な手続き(事実調査と意見聴取)の実施 いきなり取り消されることはありません。法務大臣(入国審査官等)により、違反事実の調査が行われ、対象となっている本人から意見や言い分を聞く機会(意見聴取)が必ず与えられます。この場で、代理人を通じて意見を述べたり、未納に至った事情の証拠を提出したりすることができます。 (2)日本への定着性の配慮 国会での議論を経て、改正法の附則第25条には「永住者の在留資格をもって在留する外国人の適正な在留を確保する観点から、これまでの公租公課の支払い状況や、現在の生活状況など、その外国人の置かれている状況に十分配慮する」という趣旨の規定が盛り込まれました。長く日本で生活しており本国に帰る場所がないといった事情も含め、取り消しの対象となるかどうかは慎重に判断されます。 (3)「定住者」等への変更と再申請の道 審査の結果、「永住者」としては不適当と判断された場合でも、ただちに強制送還されるとは限りません。引き続き日本に在留することが適当でないと認める場合(今後も支払う意思が明らかな場合など)を除き、「定住者」などの別の在留資格への変更が認められる仕組みになっています。そして、「定住者」等に変更された後であっても、その後公的義務が適正に履行されていることなどが確認できれば、再度、永住許可を受けることも可能です。 このように、最悪の事態を避けるための制度的配慮は存在しています。だからこそ、もしトラブルを抱えてしまった場合は、一人で抱え込んだり隠したりせず、すぐに専門家に相談して正しい対応をとることが重要です。 4.よくある質問を専門家が徹底解消!(Q&A) 法律が厳格化されるというニュースは独り歩きしやすく、誤解からくる不安を抱えている方も多いでしょう。ここでは、入管が公表している「永住許可制度の適正化Q&A(外部リンク)」資料等をもとに、永住権取り消しに関わる疑問にお答えします。…

【2026年最新データ】永住申請の許可率は約50%?半分近くが不許可になる理由と一発許可のための対策を専門家が解説

1. 【2026年最新】直近の永住許可率と審査実数の推移 まずは、2026年に入ってから発表された直近4ヶ月間の永住申請における審査結果のデータを見てみましょう。実際にどれだけの人が申請し、どのくらいの割合で許可されているのかが明確になります。また、もっと前の永住許可状況について知りたい方は永住ビザ申請の許可率・不許可率!最新データを解析!もご参照ください。 表1:2026年1月から2026年4月の永住許可数の推移 審査月 (2026年) 審査結果が 出た総数(既済) 許可された数 (許可) 永住許可率 不許可・その他 1月 6,302件 2,938件 46.6% 3,364件 2月 6,388件 3,158件 49.4% 3,230件 3月 6,921件 3,680件 53.2% 3,241件 4月 5,620件 3,053件 54.3% 2,567件 表2:2026年1月~4月の4か月間の通算データ 申請の種類 総審査数 許可された数 許可率 在留期間更新…

【2026年3月末最新データ】特定技能の「受入見込数」と「充足率」を徹底解説!採用計画の重要ポイント

1. 特定技能制度の「受入見込数」とは? 特定技能制度の意義は、人材を確保することが困難な状況にあるため外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野(特定産業分野)において、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れていく仕組みを構築することにあります。 制度の適正な運用を図るため、政府は「基本方針」および「分野別運用方針」を策定しており、この分野別運用方針の中で、原則として5年ごとに各分野の「受入見込数」が定められます。この受入見込数は、単なる目標値ではなく「外国人受入れの上限数」として厳格に運用される数字です。 (1)特定技能1号全体の受入見込数と2026年3月末時点での充足率 令和6年(2024年)3月の分野別運用方針の設定において、各産業分野における人手不足の状況が改めて精査されました。政府の方針として、単に人手不足だからといって安易に外国人を受け入れるのではなく、各分野において更なる生産性の向上や国内人材確保の取組みを行うことが強く求められています。 その結果、令和11年(2029年)3月末までの5年間を対象とした特定技能1号全体の受入見込数は805,700人と設定されました。そして、最新のデータ(令和8年3月末速報値)によると、特定技能1号全体の在留外国人数は404,527人となっています。受入見込数に対する全体の「充足率」は50.2%となり、制度全体としてはおおむね順調なペースで受入れが進んでいると言えます。 (2)「育成就労」の受け入れ見込み数 ちなみに、従来の技能実習制度に代わり2027年4月から新たに運用開始予定の「育成就労制度」においても、特定技能制度と同様に受入見込数が設定されました。全17分野で合計426,200人の上限が設けられています。育成就労制度は、原則3年間の就労を通じて「特定技能1号水準」の技能を持つ人材を育成することを目的としています。つまり、育成就労は、特定技能へ移行して長く活躍してもらうための「前段階(育成期間)」として明確に位置づけられた制度なのです。 これにより、特定技能1号の805,700人と合わせて、政府は2029年3月末までの5年間で合計1,231,900人の外国人材を受け入れる計画を立てたことになります。特定技能へのステップアップを前提としたこの巨大な育成・受入れ枠の動向は、今後の採用計画において注視していく必要があります。 2. 受入充足率が高い分野トップ3 特定技能1号全体の充足率は約50%ですが、産業分野別に見ると採用の進み具合には大きなばらつきが生じています。特に以下の3分野は充足率が非常に高く、今後の動向に最大限の警戒が必要です。 産業分野 受入見込数 在留外国人数 充足率 状況 警戒 (トップ3) 【停止中】外食業 50,000人 47,714人 95.4% 一時的な交付停止措置中 飲食料品製造業 133,500人 96,367人 72.2% 在留数は全分野で最多 建設 76,000人 51,055人 67.2% JAC加入やCCUS登録が必要 やや警戒(50%超) 介護 126,900人 74,745人 58.9%…

【令和8年3月末速報値】特定技能1号が40万人を突破!分野別人数とこれからの外国人材採用のポイント

1. 【令和8年3月末速報値】特定技能在留外国人数の現状 国内人材の確保がますます困難になる中、特定技能制度を活用して即戦力となる外国人材を受け入れる企業は業種を問わず増えています。まずは、令和8年3月末時点の最新データから、日本における外国人材の受入れ状況の全体像を把握しておきましょう。 (1)特定技能1号は「404,527人」まで増加 特定技能制度の利用は年々右肩上がりで増加しており、令和8年3月末現在の速報値では、特定技能1号の在留外国人数は404,527人(令和7年末時点では382,341人)に達しました。また、より熟練した技能を要し、家族帯同や在留期間の更新に上限がない「特定技能2号」についても12,420人(令和7年末時点では7,955人)となっており、外国人材の長期的な定着が着実に進んでいます。 (2)分野別人数ランキング:どの業界で採用が進んでいるのか? 2026年現在、特にどの業界で特定技能外国人が活躍しているのでしょうか。特定技能1号において、人数の多い上位5分野は以下の通りです。 順位 産業分野名 特定技能1号 在留外国人数 1 飲食料品製造業 96,367人 2 介護 74,745人 3 工業製品製造業 59,038人 4 建設 51,055人 5 農業 39,950人 これら上位の業界では、すでに多くの企業が外国人材を事業運営の「貴重な戦力」として位置づけており、他社に先んじた人材獲得競争が激化しています。 2. 令和8年追加の「新規分野」の動向とトレンド 特定技能制度の大きな特徴は、経済情勢や人手不足の状況に合わせて柔軟に対象分野が追加される点にあります。直近の令和8年1月の閣議決定でも新たな分野の追加が発表され、大きな話題を呼びました。この章では、新たに追加された分野の2026年最新の受入れ数データと、これから本格化する新規分野の動向について述べます。 (1)自動車運送業や林業などの最新状況 2024年に追加が閣議決定された自動車運送業(333人)、鉄道(59人)、木材産業(34人)、林業(8人)など、新たな分野ですでに受入れの実績が出始めています。 特定技能「自動車運送業」については、特定技能「自動車運送業」と特定活動55号を徹底解説!採用フローや注意点は?で詳しく解説しています。ぜひご参照ください。 (2)これから始まる「特定技能1号のみ」の3分野 2026年1月の閣議決定ではさらに、特定技能1号に「リネンサプライ」「物流倉庫」「資源循環」の3分野が新規に追加されました。これらの新分野については、各分野の省庁による独自の追加ルール(上乗せ基準)が正式に定められ、準備が整い次第、運用が開始される予定であり、速報値でも在留者数が0人ですが、今後の動向に大きな注目が集まっています。 新規分野での在留資格申請は、行政側の審査要領や運用ルールも手探りの部分が多く、入管の審査官も慎重に審査を行います。「必要書類の不備」や「要件の解釈違い」によって、予期せぬ不許可や度重なる追加資料要求となり、採用計画が大幅に遅れるケースが発生しやすいのが実務上の盲点です。 これら新規分野での採用は、早期の情報収集と専門家による綿密な要件確認が成功の鍵を握ります。 3.…

経営管理ビザから永住権を取得する5つのポイント|新基準と不許可リスクを解説

1.永住権を取得するための要件とは? はじめに、永住権を取得するための原則的な要件を確認しておきましょう。永住権の要件は、入管法22条と、入管庁が公表している「永住許可に関するガイドライン」によって規定されています。後者に関しては、2026年7月現時点で最新のガイドラインについてのコラム令和8年2月24日に改訂の「永住許可に関するガイドライン」を行政書士が解説!審査厳格化への具体的な対策もぜひご参照ください。 【要件1】素行が善良であること 1つ目の要件は「素行善良要件」と呼ばれ、日常生活において法律を守り、社会的に非難されることのない生活を営んでいることが必要です。身近なものでは「交通違反」がありますが、1~2回程度の軽微なものであれば影響しませんが、繰り返し違反を行っている場合は「素行不良」となってしまうので注意が必要です。 【要件2】独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること 2つ目の要件は「独立生計要件」と呼ばれ、永住権の申請をする方が自分で生計を立てるための収入源を持っていること、または、その方と同居している家族が世帯全体の生活を支えられるほどの収入源を持っていることが必要になります。 【要件3】その者の永住が日本国の利益に合すると認められること 3つ目の要件は「国益適合要件」と呼ばれ、永住権を申請する方が日本に永住することで、日本にとってプラスになるかということです。 原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。 罰金刑や拘禁刑などを受けていないこと。公的義務を適正に履行していること。 現に有している在留資格について、入管法に規定されている最長の在留期間をもって在留していること。 現に有している在留資格について、法務省令で定める上陸許可基準等に適合していること。 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。 などがあります。 永住権については、【2026年最新】永住権の条件と必要書類・申請の流れを完全解説!でも詳しく解説しています。ぜひお読みください。 2.経営管理ビザから永住権を取得するための5つのポイント 続いて、経営管理ビザならではのポイントを5つ解説します。永住許可申請をする直前のタイミングでは準備できないものもありますので、今から準備するつもりでご確認ください。 (1)【重要】経営管理ビザの新基準への適合 入管法の改正(2025年10月16日施行)により、経営管理ビザの許可基準とともに、経営管理ビザからの永住許可審査も厳格化されました。 新基準への適合が必須 施行日以降、経営管理ビザから永住権を申請する場合、改正後の経営管理ビザの許可基準(資本金3,000万円以上、常勤職員1名の雇用、日本語能力要件等)を満たしていることが永住許可の前提条件となります。新基準に関して、詳しくは【2025.10.16~】経営管理ビザの許可基準が厳格化!資本金3,000万円に|行政書士が解説をご参照ください。 更新時の経過措置は永住申請には適用されない ビザの更新(在留期間更新許可申請)については施行から3年間の経過措置(猶予期間)が設けられていますが、永住許可申請にはこの猶予が適用されません。 そのため、旧基準(資本金500万円等)のまま更新を継続できている状態であっても、新基準を満たしていなければ永住申請は不許可となる点に注意が必要です。 (2)役員報酬が年間300万円以上あること(目安) 年収について明確な金額の基準はありませんが、就労系の在留資格からの永住申請の場合は、最低でも年収300万円は必要だと言われています。経営管理ビザで会社を経営している方の場合は、役員報酬が収入源となりますので、役員報酬を年間300万円以上(月間25万円以上)に設定しておくことが望ましいでしょう。 役員報酬はいつでも変更できるわけではありません。会社の決算状況にもよりますが、ゆくゆく永住権を希望されているのであれば、永住権申請が可能な時期(原則、在留10年以上、かつ、就労資格または居住資格を取得した日から5年以上)の5年以上前から役員報酬を年間300万円以上に設定しておいたほうが良いでしょう。 (3)経常損益が黒字であること 会社には法人格があり、法律上は経営者=会社ではありません。そのため、経営者である申請人個人が永住権申請を行う際に、会社の経営状況の良し悪しは本来関係がないはずです。しかし、経営者の役員報酬は、会社の財務状況によって大きく左右されるのが一般的です。財務状況が悪くなれば、役員報酬を引き下げて欠損を圧縮することがあり得ます。最悪の場合、役員を解任されることもあり得るわけです。 そこで、経営管理ビザからの永住権申請の場合は、安定した収入を確保できているかどうかという観点から、申請人が経営する会社の安定性・継続性も審査対象とされています。 会社の財務状況が債務超過(負債が資産を超えていること)にある場合には、経営者である申請人個人が安定した収入を確保できているとは言えません。また、債務超過にはなくとも、欠損が連続している場合には、これも役員報酬を引き下げられる可能性が高いため、安定収入の確保の観点から問題視される傾向にあります。直近2事業年度は経常損益が黒字で回っていることが望ましいでしょう。 (4)会社として社会保険に正しく加入していること 申請人である経営者個人の納税状況は当然ですが、永住権の審査においては会社の納税状況も審査対象になります。特に近年は、社会保険の加入の有無、社会保険料の適正納付は厳格に審査されています。 会社は社会保険(厚生年金保険および健康保険)の強制適用事業所とされ、役員一人だけの従業員がいない会社でも社会保険に加入する義務があります。また、社会保険料は労使折半とされ、会社が保険料の半分を負担しなければなりません。…

国際結婚後の名字(苗字)の手続きはどうなる?変更期限や子どもの氏、ダブルネームは?行政書士が解説します!

1.国際結婚における名前のルール 日本の民法第750条には「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。」と規定されているため、日本の名字に関する考え方は、夫婦同姓が原則となっています。 ところが、この規定は外国人と日本人との婚姻には適用されないことをご存知でしょうか?外国人と結婚した場合、日本人の名字は変わらずに夫婦別姓が原則となるのです。 国際結婚の場合においては「名字は夫婦それぞれに関する問題で、それぞれの国の法律によって判断されるべき」と考えられているからです。 2.国際結婚した場合の名前の決め方に関する手続きとは? 1章で記載した通り、国際結婚の名前について夫婦別姓が原則となります。 そのため、外国人の方と一緒の名字にしようと思うと、日本人同士の結婚のように、婚姻届に記入して提出するだけでは自動的に変更はされず、決められた手続きを踏む必要があります。 こちらの手続きについて、以下①②の2パターンに分けて見ていきましょう。 ①日本人が外国人の名字を名乗るケース ②外国人が日本人の名字を名乗るケース どちらの方法を選択しても、配偶者の方と同じ氏になるという点で結果はほぼ同じですが、手続きの内容はまるで違うので注意が必要です。 (1)日本人が外国人の名字を名乗るケース まずは日本人が外国人の名字を名乗るケースについて解説します。 日本人:名前を変える(外国人と同じ名字にする) 外国人:名前は変えない このケースですと、日本人と外国人が結婚しても、国際結婚では夫婦別性が原則ですので、婚姻届を出すだけでは、外国人の名字に変更することができません。 婚姻後6か月以内に、本籍地または住所地の市区町村役場へ「氏の変更届」を提出します。その際に必要となる書類は以下の通りです。 【必要書類】 氏の変更届 戸籍謄本(本籍地以外の役所で手続きをする場合は必要) 身分証明書 印鑑 ※市区町村によって必要書類が異なる場合があるため、事前に役所へご確認ください。 これで受理されれば、日本人の名字が変わります。 婚姻後6か月を超えたら変更できない? 婚姻から6か月経過してから「氏の変更届」を提出する場合は、事前に家庭裁判所へ申し立てを行って変更許可を取る必要があります。許可が取れたら、「確定通知書」の交付申請を行い、交付された「確定通知書」も持参して市区町村役場で「氏の変更届」手続きを行います。 6か月を超えると手続きが増え、最終的に変更できるまで時間もかかります。結婚を機に夫婦同姓にしたいと考えている方は、6か月以内に届出することをおすすめします。 【参考】家庭裁判所へ申し立てを行う際の必要書類 申立人の戸籍謄本 氏の変更の理由を証する資料(なぜ名前を変更するのか、理由が分かるものです) 収入印紙800円分 ※家庭裁判所によって必要書類が異なる場合があります。事前にご確認ください。 ご自身の管轄地はこちら(外部リンク)から調べられます。 (2)外国人が日本人の名字を名乗るケース 続いて、外国人が日本人の名字を名乗るケースについて解説していきます。 日本人:名前は変えない 外国人:名前を変える(日本人と同じ名字にする) このケースの場合、先述した通り、名字は夫婦それぞれに関する問題と考えられており、当事者の国籍国の法律によって判断されるべきとされているため、戸籍法上に根拠規定はありません。…

高度人材ポイント制・特別高度人材(J-Skip)での永住申請とは?最短1年で取得する条件を解説

1.「高度人材」「特別高度人材」とは? はじめに、出入国在留管理庁が定める「高度人材」の定義をご紹介します。 「国内の資本・労働とは補完関係にあり、代替することが出来ない良質な人材」 「我が国の産業にイノベーションをもたらすとともに、日本人との切磋琢磨を通じて 専門的・技術的な労働市場の発展を促し、我が国労働市場の効率性を高めることが期待される人材」 (平成21年5月29日高度人材受入推進会議報告書より) この定義を端的にまとめると、 『新しいアイデアやスキルによって、日本経済を発展させることのできる優秀な人材』 と、言い換えることができます。 高度人材には大きく3つのジャンルが用意されており、各ジャンルでの評価項目も異なるため、ご自身がどれに当てはまるかによって、満たすべきポイントの配点やJ-Skipの年収・学歴基準が異なります。 ①高度学術研究分野 研究、研究の指導又は教育をする活動する活動(例:大学教授など) ⇒「高度専門職1号イ」(J-Skip:年収2,000万円以上+修士号等) ②高度専門・技術分野 知識又は技術を要する業務に従事する活動又は教育をする活動する活動(例:ITエンジニアなど) ⇒「高度専門職1号ロ」(J-Skip:年収2,000万円以上+修士号または職歴10年以上) ③高度経営・管理分野 事業の経営を行い又は管理に従事する活動(例:会社経営者など) ⇒「高度専門職1号ハ」(J-Skip:年収4,000万円以上+職歴5年以上) 高度人材として認定されるためには、入管が定めるポイント計算表で計算を行った結果、一定以上のポイントを有することが必要になります。ポイントの加算方法は3つのジャンルで異なります。 (1)高度人材ポイント制について では、実際に高度人材として認定されるためにはどのようにすればいいのでしょうか。 それは、ポイント計算表において「70点」以上のポイントを達成することが一つの条件となります。 詳しくは、以下のコラムで解説していますのでお読みください。 詳しくは高度専門職ビザの取得条件とは?ポイント制度,優遇措置,1号と2号の違いを解説!をご参照ください。 上記のコラムで解説した通り、「学歴」、「職歴」、「年収」、「日本語能力」など項目ごとにポイントが設定されており、各項目を満たすことでポイントが積み重なります。 そして、高度人材として認定されるためには、まず「70点」を目指していくことになります。 (2)特別高度人材(J-Skip)について 高度人材には、前述の「ポイント制」を利用するルートのほかに、新たに「特別高度人材」というルートが設けられました。 特別高度人材とは、「特に高度の専門的な能力を有する人材として、法務省令で定める基準に適合する者」のことを指します。 通常の高度人材は、学歴や職歴、年収などの項目ごとにポイントを計算し、前述のように合計70点以上を目指す必要があります。しかし、この「特別高度人材」は、煩雑なポイント計算を行うことなく、以下の「学歴又は職歴」と「年収」の水準を満たすだけで「高度専門職(1号)」が付与されます。 【高度学術研究活動】および【高度専門・技術活動】(大学教授や研究者、企業で働く技術者など) 修士号以上を取得しており、かつ、年収2,000万円以上であること または、職歴が10年以上あり、かつ、年収2,000万円以上であること 【高度経営・管理活動】(企業の経営者など) 職歴が5年以上あり、かつ、年収4,000万円以上であること (3)通常ルートとJ-Skipで何が変わる?優遇措置について 高度人材(ポイント制)または特別高度人材として認められた場合、入管から以下の優遇措置が与えられます。…

永住権とは?帰化との違いや取得条件を行政書士が解説

1.永住権とは 永住ビザは、在留期間や在留活動の制限なしに日本に在留し続けることができる在留資格です。 永住ビザを取得するためには、入管で「永住許可申請」を行い、法務大臣の許可を得る必要があります。 日本で安定した生活を送りたい外国人のみなさんにとっては魅力的な制度ですが、誰でも簡単に取得できるわけではありません。出入国在留管理庁の統計データによると、2026年の永住ビザ許可率(1月~4月)は約51%で、申請しても2人に1人は不許可になっています。永住の許可率の動向について詳しくは【2026年最新データ】永住申請の許可率は約50%?半分近くが不許可になる理由と一発許可のための対策を専門家が解説もご参照ください。 日本での永住権を与えるかどうかを決める重要な手続きなので、通常のビザ申請とは違う様々な要件があり、審査も入念に行われます。永住権を取得したいと考えている方は、しっかりと準備をしたうえで申請に臨みましょう。 2.永住権を取得する4つのメリット 永住権は、在留資格の中で最も取得するのが難しいビザです。 しかしながら、取得するメリットが数多くあります。 以下は、永住権を取得するメリットになります。 (1)在留期間の更新手続きからの解放 在留期間の更新申請から解放されることが、永住ビザの最大のメリットに挙げられます。 在留資格にはそれぞれに在留期間が定められており、最長で5年とされています。 ビザが満了した場合にはビザの更新が必要ですが、更新や変更しなかった場合には帰国を選ばなければなりません。 永住権(正確には在留資格「永住者」)も在留資格の一種ですが、永住ビザの在留期間は無期限とされています。 そのため、永住権を取得すれば、在留期間の更新申請を今後行う必要はなくなり、在留期限を気にする必要もなくなります。 外国人にとって、ビザは命の次に大切なものと言われており、ビザ更新の度に不安に駆られるものです。永住権を取得して、ビザ更新の不安から解放されることは、最大のメリットと言えるのではないでしょうか。 (2)活動制限がなくなる 在留資格にはそれぞれに活動内容が定められており、その活動を継続していなければなりません。 定められた活動を一定期間行っていない場合は、在留資格を取り消される可能性があります。 この場合、他の在留資格に変更する必要があり、変更できない場合は帰国を余儀なくされます。 【例/就労系の在留資格を持っている方】 就労系の在留資格は、日本で就労活動をするためのものです。現在の会社を退職した場合、すぐに次の転職先を探す必要があります。一定期間以上、仕事をしていない期間があると、在留資格の取り消し対象となります。 【例/配偶者系の在留資格を持っている方】 配偶者と配偶者系の在留資格は、離婚又は死別などで配偶者ではなくなった場合、再婚して配偶者となるか、他の在留資格に変更する必要があります。どちらもできない場合は、帰国するしかありません。 永住権には、このような活動制限がありません。 つまり、永住権を取得すれば、状況の変化が起こっても在留資格を変更する必要がありません。仕事内容を気にせずに転職先を自由に選べますし、離婚しても永住ビザが取り消されることもありません。 日本での活動制限がなくなることで、これからの人生の選択肢が大きく広がることになります。 (3)在留特別許可が認められやすくなる あまり知られていませんが、永住権をお持ちの方は、在留特別許可が認められやすくなります。 在留特別許可とは、犯罪等により退去強制事由に該当する場合、本来は日本を退去されるべきではあるものの、法務大臣の裁決により特別に在留を認めるものです。 永住権を取得している場合は、在留特別許可を下すべきかどうかの場面において有利な事情として斟酌されます。 【入管法 第五十条】 法務大臣は、外国人が退去強制対象者に該当する場合であつても、次の各号のいずれかに該当するときは、当該外国人からの申請により又は職権で、法務省令で定めるところにより、当該外国人の在留を特別に許可することができる。ただし、当該外国人が無期若しくは一年を超える拘禁刑に処せられた者(刑の全部の執行猶予の言渡しを受けた者及び刑の一部の執行猶予の言渡しを受けた者であつてその刑のうち執行が猶予されなかつた部分の期間が一年以下のものを除く。)又は第二十四条第三号の二、第三号の三若しくは第四号ハ若しくはオからヨまでのいずれかに該当する者である場合は、本邦への在留を許可しないことが人道上の配慮に欠けると認められる特別の事情があると認めるときに限る。 一 永住許可を受けているとき。 二 かつて日本国民として本邦に本籍を有したことがあるとき。…

医療滞在ビザとは?取得のための要件や流れ,必要書類,同伴者についても解説

1.医療滞在ビザとは? 医療滞在ビザは,簡単に説明すれば,日本に相当期間滞在して,医療を受けるためのビザです。 医療滞在ビザの許可を得れば,特定活動ビザの在留カードと、医療を受ける目的で日本に滞在できる旨の「指定書」が交付されることになります。 このように,厳密に言えば「医療滞在」という名前のビザはなく,「特定活動」というビザの中に医療滞在目的のビザがあるのです。 なお,ワーキング・ホリデーやインターンシップなど聞きなれたビザも,「特定活動」ビザの一種です。 ①医療を受けるための短期滞在ビザについて 日本で医療を受けるためのビザは,実は医療滞在ビザだけではありません。 観光ビザという名前で認識されている方も多いと思いますが,「短期滞在」ビザも治療目的での日本における滞在を認めています。 以下,出入国管理及び難民認定法別表第一の三の「短期滞在」ビザの内容となりますので,ご確認ください。 本邦に短期間滞在して行う観光,保養,スポーツ,親族の訪問,見学,講習又は会合への参加,業務連絡その他これらに類似する活動 このように日本で医療を受けるためのビザには,「医療滞在」ビザと「短期滞在」ビザがあるところ,この2つのビザの主な違いは,日本での在留期間(日本に滞在できる期間)です。 つまり,希望する在留期間が90日を超える場合には「医療滞在」ビザを,90日以内の場合には「短期滞在」ビザを検討することになります。 なお,「短期滞在」ビザには,有効期間内(短期滞在査証発給から3ヶ月)に一度だけ来日可能な1次ビザ(シングルビザ)と有効期限内(最大3年)であれば何度でも来日可能な数次ビザ(マルチビザ)があるところ,医療機関が必要と判断した場合には,数次ビザ(1回の滞在期間は最大90日です)を申請できます。 ただし,この数次ビザを申請する際には,医師による「治療予定表」の提出が必要となります。 2.医療滞在ビザの要件 ここまでの説明で,日本での予定する治療期間により,検討すべきビザが異なることをご理解いただけたと思います。 そこで,本チャプターでは,短期滞在ビザよりも要件が厳格な医療滞在ビザの要件を説明します。 まず,医療滞在ビザの根拠となる規定(特定活動告示25号)をご確認ください。 本邦に相当期間滞在して,病院又は診療所に入院し疾病又は傷害について医療を受ける活動および当該入院の前後に当該疾病又は傷害について継続して医療を受ける活動 この規定から医療滞在ビザの要件を読み取ることができるところ,その要件は大きく分けると以下の3つに分解できます。 ア.本邦での活動が「病院又は診療所に入院し疾病又は傷害について医療を受ける活動」,及び「当該入院の前後に当該疾病又は傷害について継続して医療を受ける活動」であること このように医療滞在ビザの対象になる活動は,病院又は診療所に入院して医療を受ける活動です(前段)。そのため,ホテルや知人宅に滞在して病院に通院するだけでは,医療滞在ビザは許可されません。 また,相当期間入院した後に,継続治療のために退院後も通院を続ける場合には,この退院後の医療を受ける活動も医療滞在ビザの活動に含まれます(後段)。 「継続して医療を受ける活動」とは,入院前・入院中・退院後の一連の医療が連続的・継続的に行われることを意味し,医療の連続性が要求されます。 この医療の連続性は,医師の診断書により判断されます。 例えば,抗がん剤治療のために入院していたケースで,退院後も予後観察のために通院する場合には医療の連続性がありますが,全く関係のない事故で傷害を負って治療を受ける場合には医療の連続性は否定されるでしょう。 「疾病又は傷害」には,出産も含まれます。 そのため,外国人が日本で出産する場合にも,(他の在留資格に該当しない場合には)医療滞在ビザが検討対象になります。 なお,治療を受けるための「短期滞在」ビザの場合には,入院までは求められていませんので,入院を予定していない場合は,短期滞在ビザを検討すべきです。 イ.「本邦に相当期間滞在」すること 「相当期間」とは,90日を超える期間を意味します。 なお,日本での治療に要する期間は,医師の診断書から判断されます。 上述したように,90日以内に治療を終える場合には,「短期滞在」ビザの対象となります。 ウ.日本での滞在費用および治療費を支弁する能力を有すること こちらが医療滞在ビザの最後の要件となるところ,注意をしていただきたいポイントがあります。 それは,医療滞在ビザで滞在される方は,「国民健康保険」に加入できず,「健康保険の被扶養者」になることもできないという点です。 これは,医療滞在ビザがあくまでも医療のために一時的に日本に滞在することを目的とするものであり,日本に居住することを目的としていないためです。 公的医療保険は居住国で賄うべきというのが,日本の医療保険制度の建前なのです。 なお,一般的には民間医療保険に加入することが多いでしょう。 このように健康保険に加入できず医療費が自己負担にとなるため,医療滞在ビザの要件として,医療費を含む日本での一切の滞在費用を支弁する能力が求められるのです。…