行政書士法人第一綜合事務所

【特定技能ビザ】全14分野の試験内容

我が国の労働人口を背景として,今後,特定技能ビザ取得のための試験受験者は増えていくことが予想されます。
その理由は,現状,新型コロナウイルス感染症の影響により,特定技能試験の延期や母国での試験に合格しても,外国人が日本へ入国できない状態が続いているからです。
また,特定技能ビザを取得している外国人は,日本政府が当初,予定していたよりも大幅に少ないため,今後,特定技能試験の受験を推進していくと考えられます。
本記事では,特定技能ビザの取得のための試験について,全14分野それぞれの内容を紹介します。

1. 特定技能ビザの試験

1-1 特定技能ビザ(1号)

特定技能の14分野では,特定技能ビザ(1号)を取得するための,日本語基準と技能基準が設けられており,技能基準については,分野・職種ごとに独自の試験も用意されています。

また,2021年4月1日以降は,短期滞在ビザで在留している外国人を含む,適正なビザで在留している全ての外国人に国内で実施される,日本語試験と技能試験の受験資格が認められています。

1-1-1 日本語試験

特定技能ビザ(1号)取得のための日本語能力を証明できる試験は「日本語能力試験」と「国際交流基金日本語基礎テスト」の2つです。
それぞれ,日本語能力試験はN4以上,国際交流基金日本語基礎テストはA2レベル程度の結果が求められます。

日本語能力試験(JLPT) 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)
管轄機関 ・国際交流基金
・財団法人日本国際教育支援協会
・国際交流基金
実施日程 毎年7月と12月の計2回 国内外で毎月実施
実施国 日本と海外25か国
※2021年7月実施データ
日本と海外6か国
※2021年9・10月実施データ
直近の国内試験合格率 N4合格率48.3%
※2021年7月実施データ
A2レベル程度
※総合得点と判定基準で評価のため合否なし
試験方法 多肢選択式 多肢選択式

介護分野に限り,上記の日本語試験に加え,介護日本語評価試験に合格する必要があります。

介護日本語評価試験
管轄機関 厚生労働省
実施日程 国内外で毎月実施
実施国 日本と海外7か国
(フィリピン,カンボジア,ネパール,インドネシア,モンゴル,タイ,ミャンマー)
直近の国内試験合格率 83.9%
※2021年10月実施データ
試験方法 多肢選択式

1-1-2 技能試験

〇介護分野
試験実施回数・実施国がともに多く,学科試験・実技試験ともにコンピューター上で問題に解答する(CBT方式)のため,実質的な実技試験はありません。実施頻度の多さからも,日本政府が介護分野での外国人雇用に尽力していることが伺えます。

実施日程 国内外で毎月実施
管轄機関 厚生労働省
実施国 日本と海外7か国
(フィリピン,カンボジア,ネパール,インドネシア,モンゴル,タイ,ミャンマー)
※2021年10月実施データ
直近の国内試験合格率 65.4%
※2021年10月実施データ
試験方法 学科試験:多肢選択式
実技試験:判断等試験

参照:厚生労働省(介護分野における特定技能外国人の受入れについて)

〇ビルクリーニング
試験の実施頻度は多くありませんが,合格率が高く,試験に合格しやすい分野と言えます。

実施日程 国内は年2回程度実施,海外試験は不定期
管轄機関 公益社団法人ビルメンテナンス協会
実施国 日本と海外3か国(インドネシア,ミャンマー,フィリピン)
直近の国内試験合格率 73.9%
※2021年4・5月実施データ
試験方法 学科試験:多肢選択式
実技試験:多肢選択式,作業試験式

参照:公益社団法人ビルメンテナンス協会(特定技能)

〇製造業3分野(素形材産業分野/産業機械製造業分野/電気・電子情報関連産業分野)
国内の試験では,受験者数・合格率ともに一桁の職種も多い印象です。
現在は,特定活動ビザ(雇用維持支援・元技能実習生対象)を取得して,試験の合格を目指しながら,就労している外国人もいますが,試験合格の難易度は高いと思われます。
※製造業3分野へ特定活動ビザ(雇用維持支援・元技能実習生対象)を使って転職できるのは,技能実習で製造業3分野の職種で実習を行っていた外国人に限ります。

実施日程 国内外で年数回実施(職種ごとにも異なる)
管轄機関 経済産業省が選定した機関
実施国 日本と海外3か国(インドネシア,タイ,フィリピン)
直近の国内試験合格率 職種ごとに大きく異なる
試験方法 学科試験:〇×式
実技試験:多肢選択式
※溶接職種のみ制作等作業試験も有り

参照:経済産業省(製造分野特定技能1号評価試験)

〇建設分野
国内試験を受験する場合は,受験地と職種に注意する必要があります。
希望受験地で必ずしも希望職種の試験が実施されるとは限らず,試験も不定期で実施されるため,希望職種の受験者募集があれば,遠方でもすぐに申込することを推奨します。

実施日程 国内外にて不定期実施,海外では2021年3月に初めて実施(職種ごとにも異なる)
管轄機関 一般社団法人建設技能人材機構
実施国 日本と海外2か国(フィリピン,ベトナム)
直近の国内試験合格率 職種ごとに大きく異なる
試験方法 学科試験:〇×式,多肢選択式
実技試験:職種ごとに作業試験,判断試験など

参照:建設技能人材機構(建設分野特定技能1号評価試験情報と申込み)

〇造船・舶用工業分野
国内試験では,試験監督者が受験申請者の希望地へ派遣されて実施されますが,溶接職種のみ,集合試験も実施されています。

実施日程 国内試験は,受験者申請者の希望地で実施。海外は不定期。
管轄機関 一般財団法人日本海事協会
実施国 日本と海外2か国(フィリピン,インドネシア)
直近の国内試験合格率 100%
※2021年8月実施データ(職種未公表)
試験方法 学科試験:〇×式,多肢選択式
実技試験:実技試験:職種ごとに作業試験,判断試験など

参照:一般財団法人日本海事協会(造船・舶用工業分野特定技能1号試験)

〇航空分野
航空機整備職種の試験は,2019年10月にモンゴルで実施され後は,国内外で一度も実施されていません。

実施日程 国内外にて不定期実施
管轄機関 公益社団法人日本航空技術協会
実施国 日本と海外2か国(フィリピン,モンゴル)
直近の国内試験合格率 36.4%
※2021年8月実施データ(空港グランドハンドリング職種)
試験方法 学科試験:〇×式,多肢選択式
実技試験:記述式,多肢選択式

参照:公益社団法人日本航空技術協会(試験案内)

〇宿泊分野
国内での試験実施がほとんどで,海外では,2019年10月にミャンマーで一度実施されたのみです。

実施日程 国内外にて不定期実施
管轄機関 一般社団法人宿泊業技能試験センター
実施国 日本,ミャンマー
直近の国内試験合格率 59.53%
※2021年11月実施データ
試験方法 学科試験:〇×式
実技試験:口頭による判断等試験

参照:一般社団法人宿泊業技能試験センター(特定技能測定試験について)

〇農業分野
試験実施回数が多く,実施国も多い分野です。合格率も非常に高いため,新型コロナウイルス感染症の影響で帰国困難な外国人が,試験に合格し,異業種から転職するケースも多い印象です。

実施日程 国内外で毎月実施
管轄機関 一般社団法人全国農業会議所
実施国 日本と海外7か国
(フィリピン,インドネシア,カンボジア,タイ,ミャンマー,ネパール,モンゴル)
直近の国内試験合格率 耕種農業:88.29%,畜産農業:97.18%
※2021年10月実施データ
試験方法 学科試験:多肢選択式
実技試験:多肢選択式

参照:一般社団法人全国農業会議所(農業技能測定試験)

〇漁業分野
試験実施国,実施回数ともに非常に少ない分野です。

実施日程 国内外で不定期実施
管轄機関 一般社団法人大日本水産会
実施国 日本とインドネシア
直近の国内試験合格率 漁業:66.66%
養殖業:45.94%
※2021年3月実施データ
試験方法 学科試験:真偽式
実技試験:多肢選択式

参照:一般社団法人大日本水産会(在留資格「特定技能」漁業技能測定試験について)

〇飲食料品製造業分野
入管庁より,公表されたデータによると,2021年9月末時点,飲食料品製造業分野で就労している特定技能外国人は,14分野全体の36.1%を占めています。
そのため,国内受験希望者も多く,試験申込を希望しても,応募ができない場合もあり,且つ国内受験者は事前に,「マイページ登録」をして審査を受ける必要があるので,余裕をもって準備する必要があります。

実施日程 国内外で不定期実施
管轄機関 一般社団法人外国人食品産業技能評価機構
実施国 日本と海外5か国(ネパール,インドネシア,カンボジア,タイ,フィリピン)
直近の国内試験合格率 79.5%
※2021年10月実施データ
試験方法 学科試験:三者択一方式
実技試験:三者択一方式

参照:一般社団法人外国人食品産業技能評価機構(特定技能1号技能測定試験)

〇外食分野
外食分野は,従来より,外国人雇用の需要が高い分野ですが,技能実習生2号を良好に修了することで,特定技能ビザ(1号)の技能基準を満たすのが,「医療・福祉施設給食製造職種」の技能実習生のみであるため、試験受験の需要が高い分野です。
国内受験希望者は飲食料品製造業と同様に,事前に「マイページ登録」をして審査を受ける必要があります。

実施日程 国内外で不定期実施
管轄機関 一般社団法人外国人食品産業技能評価機構
実施国 日本と海外5か国(ネパール,インドネシア,カンボジア,タイ,フィリピン)
直近の国内試験合格率 56.3%
※2021年10月実施データ
試験方法 学科試験:三者択一方式
実技試験:三者択一方式

参照:一般社団法人外国人食品産業技能評価機構(特定技能1号技能測定試験)

〇自動車整備分野
開催国が少なく,2021年9月末時点での,特定技能外国人の在留数も466名に留まっています。

実施日程 日本とフィリピンで毎月実施
管轄機関 一般社団法人日本自動車整備振興会連合会
実施国 日本とフィリピン
直近の国内試験合格率 57.98%
※2021年度実施データ
試験方法 学科試験:〇×式
実技試験:判断等試験

参照:一般社団法人日本自動車整備振興会連合会(特定技能評価試験)

1-2 特定技能ビザ(2号)

特定技能ビザ(2号)の対象分野は,造船・舶用工業分野と建設分野のみでしたが,2022年度以降に,介護分野を除く,13分野が対象となる見込みです。
※介護分野については,すでに「介護ビザ」という,無期限更新・家族帯同可能なビザがあるため,対象外となる様です。

しかし,特定技能ビザ(2号)を取得するための試験内容については,詳細が公表されていません。

公表されている,建設分野についての情報では,日本語試験は無く,特定技能2号評価試験,または技能検定1級に合格すれば,特定技能ビザ(2号)取得の権利が得られるとされています。

1-3 まとめ:【特定技能ビザ】全14分野の試験内容

本記事では,特定技能ビザを取得するための試験についてご紹介しました。

技能試験に関しては,分野ごとに管轄機関があり,試験実施国,実施日程なども,大きく異なります。

その上,新型コロナウイルス感染症の影響で,技能試験の整備が遅れ,試験実施が実現していない国もあるのが現状です。

現在は,受験者数が伸び悩んでいますが,特定技能ビザ(2号)が13分野で対象となることが見込まれる中で,今後,将来を見越して,国内外の受験者が増えることが予想されます。

試験の日程情報などは,本記事で紹介した管轄機関のホームページで公表される情報を随時確認していく必要があります。

分野によっては,申し込みの人数や実施回数が少ない場合もあるので,現在,特定活動ビザ(雇用維持支援)で在留している外国人などは,ビザの期間内に試験に合格し,特定技能ビザ(1号)を取得するためには,前もって計画を立てることが肝要です。