特定技能のビルクリーニング分野で外国人を雇用するには?業務内容・受け入れ要件・試験概要まで解説

外国人の雇用が可能なビザが少ないビルクリーニング業では、特定技能制度をきっかけとして、外国人の雇用を考え始めた企業も多いのではないでしょうか。
本コラムでは、ビルクリーニング業の特定技能について、その業務範囲、受け入れ要件、技能試験の情報を中心に入管業務専門の行政書士が解説します。
最後まで読んで頂くことで、ビルクリーニング業で特定技能外国人を雇用する際の判断材料にして頂けると思いますので、お付き合いください。
Index
1.ビルクリーニングでの特定技能ビザ取得状況
政府が定める特定技能1号のビルクリーニング分野の受入れ見込数(上限)は、令和11年3月末までで32,200人と設定されています。
制度開始初期は受け入れが進まない時期もありましたが、2026年現在では受け入れ態勢の整備が進み、在留外国人数は着実に増加しています。入管の公表データによると、ビルクリーニング分野における特定技能外国人の数は以下のとおりです。
- 特定技能1号:9,202人(令和8年3月末時点速報値)
- 特定技能2号:18人(令和8年3月末時点速報値)
今後もこの分野での受け入れは拡大していくことが見込まれます。
2.「特定技能」ビルクリーニングの業務内容
(1)特定技能1号の業務
ビルクリーニング業では、特定技能外国人が、建築物内部の清掃業務全般(床・天井・内壁・トイレ・洗面所等)に従事することが認められています。
また、関連業務として、次のような業務にも従事することが認められます。
- 資機材倉庫の整備作業
- 建物外部洗浄作業(外壁、屋上等。ただし高所作業を伴う窓ガラス外壁清掃作業は除く)
- 客室整備作業(ベッドメイク含む)
- 建築物内外の植栽管理作業(灌水作業等)
- 資機材の運搬作業(他の現場に移動する場合等)
なお、上記業務に住宅内部の清掃を目的として従事することはできず、関連業務に従事する割合が清掃業務を超えることも認められません。
(2)特定技能2号の業務
特定技能2号での業務内容は、「建築物内部の清掃に、複数の作業員を指導しながら従事し、現場を管理する業務及び同業務の計画作成、進行管理その他のマネジメント業務」となっています。1号よりも高度な業務です。
3.「特定技能」ビルクリーニングの受け入れ企業が守るべき要件と協議会への加入
特定技能外国人を受け入れる企業(特定技能所属機関)には、法令遵守や適切な労働環境の確保が求められます。雇用形態は直接雇用に限られます。
(1) 協議会への加入義務
受け入れ企業は、厚生労働省が設置する「ビルクリーニング分野特定技能協議会」の構成員になる必要があります。
加入手続きは、入管への申請を行う前に完了させておく必要があります。在留資格の申請時に協議会の構成員であることを証明する書類の提出が求められますので、採用が決まり次第、余裕を持って加入手続きを進めることが重要です。
また、協議会の目的達成のために、次の事項について協議または情報共有を行うとしており、協議会員は必要に応じて、協議会からの要請に協力する必要があります。
- 特定技能外国人の受入れに係る制度の趣旨や優良事例の周知
- 受入れに係る人権上の問題等への対応
- 特定技能所属機関等に対する法令遵守の啓発
- 特定技能所属機関の倒産時等における特定技能外国人に対する転職支援(特定技能所属機関が支援義務を果たせない場合における情報提供等の必要な協力)
- 就業構造の変化や経済情勢の変化に関する情報の把握・分析
- 地域別の人手不足の状況の把握・分析
- 前号を踏まえた大都市圏等への集中回避に係る対応策の検討・調整(看過しがたい偏在が生じた場合の協議会による大都市圏等での受入れの自粛要請や大都市圏等の特定技能所属機関による特定技能外国人引抜きの自粛要請等を含む。)
- 特定技能所属機関に対する構成員であることの証明
- 円滑かつ適正な受入れのために必要なその他の情報、課題等の共有・協議等
- 上記事項に掲げるもののほか、上記の目的を達成するために必要なこと
参照:厚生労働省(ビルクリーニング分野特定技能協議会設置要綱)(外部リンク)
(2) 登録要件
なお、特定技能外国人を受入れする企業は、建築物衛生法に基づき、都道府県知事から「建築物清掃業」または「建築物環境衛生総合管理業」の登録もしている必要がある点について注意してください。
4.「特定技能」ビルクリーニングの外国人側の要件
外国人が、ビルクリーニング業で特定技能ビザを取得するためには、以下の要件を満たす必要があります。
(1) 特定技能1号の要件
①技能試験と日本語試験の合格
- 技能基準:「ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験」に合格
- 日本語基準:「日本語能力試験(JLPT)N4以上」または「国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)」に合格(「日本語教育の参照枠」A2相当以上)
②技能実習2号の良好な修了
ビルクリーニング職種で「技能実習2号」を良好に修了した外国人は、技能試験・日本語試験が免除されます。
(2) 特定技能2号の要件
特定技能2号を取得するには、以下の試験合格と実務経験の両方を満たす必要があります。
〇技能基準
「ビルクリーニング分野特定技能2号評価試験」または「技能検定1級(ビルクリーニング)」に合格していること。
〇実務経験
特定建築物または建築物清掃業等の登録営業所が扱う建築物(住宅を除く)において、複数の作業員を指導しながら従事し、現場を管理する者としての実務経験(2年以上)があること。
5.「特定技能」ビルクリーニングの技能試験
ビルクリーニング業の技能試験は、日本と海外各国(海外開催は特定技能1号試験のみ)で実施されており、公益社団法人全国ビルメンテナンス協会(外部リンク)のサイトより試験概要などの確認をすることができます。
申し込みは、試験実施委託先であるピアソンVUE社の公式サイト(外部リンク)よりオンラインで行います。
アカウントを作成し、テストセンターの空席状況から希望の会場・日時を選択して申し込みます。受験料の支払いも予約時にオンラインで完了させます。
(1) 特定技能1号評価試験
特定技能1号評価試験は、日本国内および海外各国のテストセンターにてCBT方式で通年実施されています。
〇受験資格
試験日において17歳以上(インドネシア国籍は18歳以上)、日本国内受験の場合は在留資格を有すること
〇試験内容
| 試験名 | 問題数 | 試験時間 | 配点 | 基準点 |
| 学科試験 (真偽、選択問題) |
20問 | 20分 | 40点 | 満点の60%以上 |
| 実技試験 (真偽、選択、並替問題) |
30問 | 30分 | 60点 | 満点の60%以上 |
2つの試験で、それぞれ60%以上の点数とることで合格することができます。
〇合格率
2026年7月16日~7月31日の期間において、合格率は71.4%(受験者数:921人・合格者数:658人)となっています。
〇受験手数料
日本国内:4,400円(税込)、海外:30USドル
〇学習教材
全国ビルメンテナンス協会の公式サイト(外部リンク)にて、多言語対応の電子学習テキスト「目指せ!ビルクリーニング特定技能評価試験」が無料で公開されています。
(2) 特定技能2号評価試験
2号評価試験は、現場責任者・指導管理者としての知識や管理能力を問う高難度の試験です。
〇受験資格
2年以上の現場管理実務経験と、在留資格の保持が必要です。
〇試験形式
ペーパー試験(学科・実技とも日本語・漢字ルビあり)
〇試験内容
| 試験名 | 問題数 | 試験時間 | 配点 | 基準点 |
| 学科試験 (現場責任者として必要な身につけるべき知識を問う真偽、組み合わせ及び多肢択一による試験) |
50問 | 60分 | 100点 | 65点 |
| 実技試験 (現場責任者として必要な清掃業務、業務管理、人材管理及び財務管理の能力を問う、多肢択一、並び替え、論述及び計算による試験) |
10問 | 90分 | 100点 | 65点 |
〇合格率
2026年6月26日に実施された試験において、合格率は15.4%(受験者数:117名・合格者数:18名)となっています。
〇受験手数料
16,500円(税込)
〇試験会場
原則として東京・大阪の会場で実施されます。
6.ビルクリーニング業で特定技能外国人を雇用するメリット
(1)長期的なキャリアプランが立てやすい
特定技能1号ビザでは、最長で5年間の就労が認められています。
また、技能実習に代わり2027年4月から始まる「育成就労制度」では、通算3年間の就労を通じて特定技能1号水準の技能を修得します。育成就労(3年間)を修了し、特定技能1号(最長5年)へ移行することで、通算で最長8年間の就労が可能となります。
さらに、現場管理等の実務経験を積み特定技能2号を取得することで、在留期間の更新上限がなくなり、将来的な永住許可申請の道も開けます。これにより、現場リーダーやマネジメント層としての定着が期待できます。
(2)日本語能力が高い
技能実習2号を良好に修了した外国人は、約3年間以上は日本での実務経験があるため、現場での作業能力や日本語でのコミュニケーション能力の高い人材が多いです。
また、試験の合格を経て、特定技能ビザを取得し、初めて来日する外国人の場合でも、特定技能1号の基準である日本語能力試験N4は取得しているため、ある程度の日本語能力は担保されています。
基本的な指示理解や会話に支障はないでしょう。
(3)従事可能な業務の自由度が高い
従来、ビルクリーニング業で、就労する外国人の多くが保持していた技能実習ビザでは、ビザ取得時に許可を得た技能実習計画で認められた作業内容のみへの従事しか認められておらず、業務範囲も限られていました。
一方で、特定技能ビザでは、清掃業務を主たる業務としている必要はありますが、関連業務として、技能実習よりも広い範囲の業務に従事することが可能です。
7.ビルクリーニング分野の特定技能ビザまとめ
本コラムでは、ビルクリーニング業の内容や特定技能ビザの要件を満たすための、技能試験について紹介をしました。
ビルクリーニング分野における特定技能制度は、特定技能1号試験のCBT化による受験機会の拡大や、特定技能2号による現場管理者のキャリアパス構築など、外国人労働者・受け入れ企業の双方が長期的に活躍できる環境が整備されてきています。
人材不足が深刻なビルクリーニング業では、今後、外国人の雇用はいっそう重要になるでしょう。
この機会に、本コラムの内容も参考にして、特定技能2号取得を見据えた外国人雇用形態を実現することをお勧めします。
また、行政書士法人第一綜合事務所では、これまで数多くの特定技能ビザ申請を行ってまいりました。
既に特定技能外国人を受け入れている場合のみならず、新たに受け入れる場合についても、お客様のご希望をお伺いしながら最善策をご提案しております。
ご相談は無料で承っておりますので、ご気軽にお問い合わせください。




