2026.09.29 冨田 祐貴 特定技能ビザ特定技能1号木材産業分野 木材産業分野における特定技能1号の受入れ要件・業務内容、試験概要、注意点を行政書士が解説 1. 木材産業分野の受入れ要件 木材産業分野で特定技能外国人を受け入れるためには、企業(特定技能所属機関)および受け入れる事業所が、法令ならびに分野固有の上乗せ基準をすべて満たしている必要があります。 また、木材産業分野における特定技能1号の受入れ見込数は、令和10年度末までの5年間で最大4,500人と定められています。令和8年6月末時点の速報値で在留数はまだ74人ですが、受入れ枠に限りがある点も留意しておきましょう。 (1)受入れ機関が満たすべき要件 ① 対象業種の該当性(日本標準産業分類) 受け入れを行う事業所(工場や作業所等)は、日本標準産業分類に基づく以下のいずれかの対象業種を行っていることが必須条件です。 小分類121:製材業、木製品製造業(細分類1211 一般製材業、細分類1212 単板〈ベニヤ〉製造業、細分類1213 木材チップ製造業、細分類1219 その他の特殊製材業) 細分類1222:合板製造業(単板積層材〈LVL〉製造業を含む) 細分類1223:集成材製造業 細分類1224:建築用木製組立材料製造業(プレカット製造業) 細分類1227:銘木製造業 細分類1228:床板製造業 造作材製造業・建具製造業(細分類1221)、パーティクルボード製造業(細分類1225)、繊維板製造業(細分類1226)、木製家具製造業(中分類13)などは特定技能の対象外です。 ただし、事業の一部で対象業種に該当する製品(プレカット材や合板など)を製造・加工している場合は、その製造工程に限り受入れが可能です。 ② 雇用形態 特定技能外国人との契約は直接雇用に限られます。派遣雇用による受入れは一切認められていません。 ③ 法令遵守 過去1年以内に特定技能外国人と同種の業務に従事する労働者を会社都合で離職(非自発的離職・整理解雇など)させていないことや、雇用主側の理由で行方不明者を発生させていないこと、労働・社会保険・租税関係法令を遵守していることなどが求められます。 (2)木材産業特定技能協議会への事前加入 木材産業分野では、特定技能外国人を適正に受け入れ・保護するための枠組みとして、林野庁が事務局を務める「木材産業特定技能協議会」が設置されています。受入れ企業は、入管へ申請を行う前に、事業所ごとに協議会へ加入しなければなりません。 ① 協議会加入の手順 協議会への入会申請を行うには、分野固有の追加要件である「労働安全対策(作業安全規範)の点検」をクリアする必要があります。 具体的には、手続きは以下のステップで進めます。 STEP 1:安全規範の取組状況確認申請(全木連への申請) 木材産業は製造業の中でも労働災害発生率が高い分野です。そのため、農林水産省が定めた「農林水産業・食品産業の作業安全のための規範(個別規範:木材産業)」のチェックシートに基づき、事業所ごとの安全対策状況を点検・記入します。これにエビデンス資料(写真や安全診断の実施証拠など)を添付し、一般社団法人全国木材組合連合会(全木連)に提出します。適切に取り組まれていると認められると、全木連から「確認証」が交付されます。 点検項目の例 チェック 点検項目 点検内容 ☐…
2026.09.29 冨田 祐貴 特定技能1号特定技能2号航空分野空港グランドハンドリング航空機整備特定技能ビザ 航空分野における特定技能外国人の受入要件・業務内容・試験内容、注意点を解説 1.航空分野の受け入れ要件 特定技能外国人を採用・受入・雇用するためには、「受入企業(特定技能所属機関)に求められる基準」「外国人本人に求められる基準」、そして航空分野特有の「航空分野特定技能協議会への加入・協力義務」のすべてを満たす必要があります。 (1)受入企業の要件 特定技能外国人を受け入れる企業(特定技能所属機関)は、一般的な労働法令や社会保険関係法令の遵守に加え、航空分野特有の厳格な要件(告示基準)をクリアしなければなりません。 ① 事業者・事業場に関する要件(業務区分別) 航空分野では、業務区分(空港グランドハンドリング/航空機整備)ごとに受入企業が備えるべき許認可や事業場要件が明確に規定されています。 空港グランドハンドリング区分の場合 空港管理規則(昭和27年運輸省令第44号)第12条第1項若しくは第12条の2第1項の承認を受けた者(航空法第100条第1項の許可を受けた者を含む)、同規則第13条第1項の承認を受けた者、又はこれらに準ずる条例・規則等に基づき空港管理者により営業を行うことを認められた事業者であって、空港グランドハンドリングを営む者であること。 成田空港での特例措置: 国家戦略特別区域航空物流外国人材活用事業として、空港敷地外の保税蔵置場又は総合保税地域において空港グランドハンドリング(貨物取扱業務に限る)を行う事業者については、上記の空港管理規則に基づく営業承認要件の適用除外を受けます。ただしその場合は、千葉県及び成田国際空港株式会社が設置する「成田国際空港に関する国家戦略特別区域航空物流外国人材活用協議会」等の構成員に加入している必要があります。 航空機整備区分の場合 航空法(昭和27年法律第231号)第20条第1項第3号、第4号若しくは第7号の能力について同項の国土交通大臣の認定を受けた者(いわゆる「認定事業場」)、又は当該認定事業者から業務の委託を受けた者であること。 ② 雇用契約および待遇に関する要件 日本人と同等以上の報酬額: 特定技能外国人の報酬額は、同じ業務に従事する日本人従業員と同等以上でなければなりません。 直接雇用の原則(派遣不可): 航空分野における特定技能外国人の受入形態は、「直接雇用」のみ認められています。派遣形態による受入や、自社で雇用した特定技能外国人を他社へ派遣することは固く禁止されています。 在籍型出向の例外受入: 一方で、航空分野では密接な企業間での教育・研修や技能向上を目的として「在籍型出向」形態による受入が認められています。 「在籍型出向」とは 外国人が元の会社(出向元)と雇用関係を保ったまま、グループ会社や協力会社などの別の会社(出向先)に出向して勤務する形態です。 ただし、出向期間中の所定内賃金等の待遇を出向元と同等以上に維持・向上すること、出向期間(1号の場合は1年につき通算4か月を超えない範囲)の事前確認、出向元・出向先双方が適切に把握されていること等の厳しい条件が課されます。また、事前に入管・国土交通省への届出が必要となります。 ③ 適切な支援体制および法令遵守要件 1年以内に同種業務に従事する労働者を非自発的離職させていないこと、及び自社の責めに帰すべき事由による行方不明者を発生させていないこと。 1号特定技能外国人に対する「1号特定技能外国人支援計画」を作成し、事前ガイダンス、出送迎、住居確保、生活オリエンテーション、日本語学習機会の提供、定期面談(3か月に1回以上)等の支援を適切に実施すること。支援の全部を「登録支援機関」に委託することも可能です。 (2)「航空分野特定技能協議会」について 特定技能外国人を受け入れる企業(及び支援を委託される登録支援機関)にとって重要な法的要件が、「航空分野特定技能協議会」への事前加入および協力義務です。 ①航空分野特定技能協議会の目的と概要 航空分野特定技能協議会は、特定技能外国人の適正な受入及び保護を図ること、並びに各地域の特定技能所属機関が必要な特定技能外国人を受け入れられるよう、構成員相互の連絡や必要措置を講じることを目的に国土交通省によって設置されています。 ②航空分野特定技能協議会の活動内容 航空分野特定技能協議会規約の第3条において、以下のような活動内容が定められています。 受入制度の趣旨や優良事例の周知 受入に係る人権上の問題等への対応策の検討 特定技能所属機関及び登録支援機関に対する法令遵守の啓発 倒産時等における特定技能外国人への転職支援 就業構造や経済情勢の変化に関する情報の把握・分析 地域別の人手不足状況の把握・分析…
2026.09.29 冨田 祐貴 特定技能ビザ特定技能1号特定技能2号造船・舶用工業 造船・舶用工業分野で外国人を雇用する要件・業務内容・試験内容を行政書士が解説 1.造船・舶用工業分野の要件 造船・舶用工業分野で特定技能外国人を受け入れる企業(特定技能所属機関)は、出入国管理及び難民認定法(入管法)や特定技能基準省令に基づく全分野共通の要件に加え、国土交通省の告示により定められた本分野固有の基準を厳格に満たす必要があります。 (1) 特定技能所属機関(受入企業)に求められる主な要件 受入企業は、単に雇用契約を結ぶだけでなく、自社および契約内容が法令基準に適合していることを証明しなければなりません。主に以下の4点と、次章で述べる「協議会への事前加入」が満たすべき要件となります。 ① 造船・舶用工業分野に係る事業者であることの確認 受入企業は、造船法第6条第1項の事業を営む者、小型船造船業法第2条第1項に規定する小型船造船業を営む者、あるいはその他の造船・舶用工業分野に係る事業を営む者であることが求められます。在留資格の申請前に、国土交通省海事局船舶産業課から「造船・舶用工業分野に係る事業を営む者であること」の確認を受け、確認通知書を取得する必要があります。 ② 雇用形態と労働条件の基準 直接雇用の限定: 特定技能外国人の雇用形態は「直接雇用」に限られます。労働者派遣事業者からの派遣受入や他社への派遣は一切認められていません。 日本人と同等以上の報酬待遇: 報酬額は、同じ業務に従事する日本人労働者と同等以上でなければなりません。また、外国人であることを理由とした差別的取扱いの禁止、所定労働時間の日本人と同等化、一時帰国希望時の有給休暇取得保障が義務付けられています。 法令遵守と適正な履行体制: 過去5年以内に労働法規や出入国関連法令の違反がないこと、過去1年以内に同種業務の日本人労働者を会社都合退職(非自発的離職)させていないこと、受入企業の責に帰すべき行方不明者を発生させていないことが求められます。また、報酬の支払いは預貯金口座への振込等で行う必要があります。 ③ 支援体制の整備と支援計画の策定(特定技能1号) 受入企業は、1号特定技能外国人が日本で安定的・円滑に生活・就労できるよう、「1号特定技能外国人支援計画」を作成し、実施しなければなりません。支援内容は、入国前の生活情報提供、入出国時の送迎、住居確保の支援・保証人の手配、生活オリエンテーションの実施、公的手続の同行、日本語学習機会の提供、定期面談の実施など10項目に及びます。受入企業自らが支援を行う場合は、過去2年間に中長期在留者(就労資格)の受入・管理実績があること等の条件を満たす必要があります。自社での支援体制構築が困難な場合は、入管に登録された「登録支援機関」へ支援計画の全部の実施を委託することが可能です(詳しくは【登録支援機関の総まとめ】行政書士の解説!をご参照ください)。 ④ 共生施策への協力(市区町村への「協力確認書」提出) 地域社会における外国人との共生を推進するため、受入企業は特定技能外国人が活動する事業所および居住地が属する市区町村に対し「協力確認書」を提出し、自治体が実施する防災、ゴミ出しルール、地域イベント等の共生施策に協力する旨を在留諸申請時に申告する必要があります。 (2) 「造船・舶用工業分野特定技能協議会」について 造船・舶用工業分野で特定技能外国人を受け入れる企業および登録支援機関には、「造船・舶用工業分野特定技能協議会(以下、協議会)」への加入と、協議会に対する必要な協力が義務付けられています。加入や協力を行わない場合、特定技能外国人の受入手続を行うことができません。 ① 協議会の設置目的と位置付け 協議会は、国土交通省海事局船舶産業課を事務局として設置された機関です。その目的は、構成員相互の緊密な連携と情報共有を図り、造船・舶用工業の実情に応じた特定技能および育成就労制度の適正な実施、ならびに外国人の保護に資する取組を推進することにあります。 ② 協議会の主な活動内容 協議会規約第3条に基づき、以下の活動が行われています。 制度趣旨・優良事例の周知と人権問題への対応: 制度の適正運用のための情報周知や、受入に伴う人権上の課題・予防策の検討。 法令遵守の啓発と公租公課納付の推進: 受入企業に対する労働・入管法令の遵守啓発、および外国人労働者・受入企業双方に対する税金・社会保険料(公租公課)の納付啓発。 倒産時等の転職支援: 受入企業が倒産等により雇用を継続できなくなった際、企業自らが支援義務を果たせない場合において、協議会が連携して情報提供や転職支援の協力を行う。 大都市圏等への集中回避・過度な引き抜きの防止(重要):…
2026.08.31 冨田 祐貴 特定活動9号特定活動12号文化活動短期滞在インターンシップビザ海外大学生 海外からのインターン生受け入れ:4つのビザ(特定活動9号・12号・文化活動・短期滞在)の違いと選び方を解説 1. インターンシップにおけるビザ選択チャート 自社のインターンシップ計画に合わせて、以下のチャートで必要なビザをご確認ください。 4つのビザの比較一覧表 在留資格の種類 報酬(給与) 滞在期間 主な特徴・対象 特定活動9号 あり 90日超〜1年以内 大学の単位・教育課程と連動した本格的な有償受入れ 特定活動12号 あり 3ヶ月以内 大学の夏季休暇等を利用した有償受入れ(サマージョブ) 文化活動 なし 90日超 学術・文化的な実習を無償で行う長期受入れ 短期滞在 なし 90日以内 90日以内の無償就労体験 2. 「実費支給」は「報酬(給与)」になる? ビザ選びで企業様が混乱しやすいのが、「交通費や住居費を企業が負担する場合、有償扱いになるのか?」という点です。 交通費、住居費、食費などの実際の費用を補填する「実費弁償」は「報酬」には当たりません。 実費のみ支給する場合⇒法的には「無償」扱いとなり、「短期滞在」または「文化活動」ビザの対象となります。 実費以外に手当を支給する場合⇒法的に「有償(報酬あり)」扱いとなり、「特定活動9号」または「特定活動12号」の取得が必須となります。 3. 4つのビザの特徴とメリット・注意点 ① 特定活動9号:有償/1年以内 海外大学生の有償受入れで代表的なビザです。 メリット:最長で1年間、自社の戦力として本格的な実習・業務に携わってもらえる。 注意点:大学との直接契約や明確な実習計画、指導員の配置など、入管の「インターンシップガイドライン」に基づく厳格な受入体制の構築が必要です。 詳しくはインターンシップビザ「特定活動9号」取得ガイド|受入条件・ガイドライン・必要書類を行政書士が解説をご参照ください。…
2026.08.24 依田 隼弥 特定技能ビザ技術・人文知識・国際業務宿泊業ホテル旅館就労ビザ 宿泊業の外国人雇用ガイド:ビザの違い・できる仕事・注意点を行政書士が徹底解説 1.宿泊業で外国人を雇用することはできる? 結論から申し上げますと、ホテルや旅館などの宿泊施設で外国人労働者を雇用することは十分に可能です。 ただし、注意が必要なのは、「ホテルならどの在留資格でも雇える」「フロントなら誰でも大丈夫」という単純な話ではない点です。 外国人を雇用する際は、必ず「外国人本人の在留資格」×「任せる業務内容」×「施設の営業許可」の3つが法的に適合しているかを確認しなければなりません。 自社で任せたい仕事に応じて、検討すべき主な在留資格は以下の通りです。 任せたい主な業務内容の例 検討すべき主な在留資格 ポイント 外国語を使ったフロント・企画・広報 技術・人文知識・国際業務/特定技能1号・2号/特定活動46号(N1特定活動)/ 特定活動9号(インターンシップ) 学歴・職歴や専門性を活かす仕事 接客全般・レストランサービス・館内業務 特定技能1号・2号/特定活動46号(N1特定活動)/特定活動9号(インターンシップ) 現場のマルチタスクに対応可能 客室清掃・ベッドメイキング中心 身分系ビザ/資格外活動(留学生等) 就労ビザ(技人国・特定技能)では専任不可 複数の従業員をまとめる管理・指導業務 技術・人文知識・国際業務/ 特定技能2号/特定活動46号(N1特定活動) 熟練した技能や実務経験が必要 それぞれ3章で詳しく解説します。 2.宿泊業で外国人が「できる仕事」と「できない仕事」 (1)任せられる主な業務ラインナップ 適切な在留資格を取得することで、以下のような幅広い業務を任せることができます。 フロント・レセプション業務 企画・広報・マーケティング 通訳・翻訳業務 接客・案内・ベルスタッフ レストラン・宴会場でのサービス提供 施設管理・安全衛生管理など (2)ホテル・旅館で「客室清掃・ベッドメイキング」のみを任せられる? 採用現場で最も多い誤解のひとつが「清掃作業」に関する取り扱いです。 「技術・人文知識・国際業務」の場合 客室清掃やベッドメイキングなどの単純作業・現場作業を専任で行わせることは認められません。 「特定技能(宿泊)」の場合 客室清掃は「関連業務(付随的業務)」として行うことは許可されていますが、「客室清掃のみ」を専任で行わせる雇用は認められません。フロントや接客などの「主たる業務」を行う中で、付随的に清掃を行う必要があります。 客室清掃のみを専任で任せたい場合は、就労制限のない「身分系ビザ(永住者や日本人の配偶者等)」を持つ外国人か、留学生等の「資格外活動許可(週28時間以内)」を得ているアルバイトを雇用する必要があります(次章で詳しく解説します)。 3.宿泊業で活用できる主な在留資格(ビザ)の種類…
2026.07.09 冨田 祐貴 Q&A特定技能ビザ育成就労 【2026年3月末最新データ】特定技能の「受入見込数」と「充足率」を徹底解説!採用計画の重要ポイント 1. 特定技能制度の「受入見込数」とは? 特定技能制度の意義は、人材を確保することが困難な状況にあるため外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野(特定産業分野)において、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れていく仕組みを構築することにあります。 制度の適正な運用を図るため、政府は「基本方針」および「分野別運用方針」を策定しており、この分野別運用方針の中で、原則として5年ごとに各分野の「受入見込数」が定められます。この受入見込数は、単なる目標値ではなく「外国人受入れの上限数」として厳格に運用される数字です。 (1)特定技能1号全体の受入見込数と2026年3月末時点での充足率 令和6年(2024年)3月の分野別運用方針の設定において、各産業分野における人手不足の状況が改めて精査されました。政府の方針として、単に人手不足だからといって安易に外国人を受け入れるのではなく、各分野において更なる生産性の向上や国内人材確保の取組みを行うことが強く求められています。 その結果、令和11年(2029年)3月末までの5年間を対象とした特定技能1号全体の受入見込数は805,700人と設定されました。そして、最新のデータ(令和8年3月末速報値)によると、特定技能1号全体の在留外国人数は404,527人となっています。受入見込数に対する全体の「充足率」は50.2%となり、制度全体としてはおおむね順調なペースで受入れが進んでいると言えます。 (2)「育成就労」の受け入れ見込み数 ちなみに、従来の技能実習制度に代わり2027年4月から新たに運用開始予定の「育成就労制度」においても、特定技能制度と同様に受入見込数が設定されました。全17分野で合計426,200人の上限が設けられています。育成就労制度は、原則3年間の就労を通じて「特定技能1号水準」の技能を持つ人材を育成することを目的としています。つまり、育成就労は、特定技能へ移行して長く活躍してもらうための「前段階(育成期間)」として明確に位置づけられた制度なのです。 これにより、特定技能1号の805,700人と合わせて、政府は2029年3月末までの5年間で合計1,231,900人の外国人材を受け入れる計画を立てたことになります。特定技能へのステップアップを前提としたこの巨大な育成・受入れ枠の動向は、今後の採用計画において注視していく必要があります。 2. 受入充足率が高い分野トップ3 特定技能1号全体の充足率は約50%ですが、産業分野別に見ると採用の進み具合には大きなばらつきが生じています。特に以下の3分野は充足率が非常に高く、今後の動向に最大限の警戒が必要です。 産業分野 受入見込数 在留外国人数 充足率 状況 警戒 (トップ3) 【停止中】外食業 50,000人 47,714人 95.4% 一時的な交付停止措置中 飲食料品製造業 133,500人 96,367人 72.2% 在留数は全分野で最多 建設 76,000人 51,055人 67.2% JAC加入やCCUS登録が必要 やや警戒(50%超) 介護 126,900人 74,745人 58.9%…
2026.07.09 冨田 祐貴 Q&A特定技能ビザ育成就労 【令和8年3月末速報値】特定技能1号が40万人を突破!分野別人数とこれからの外国人材採用のポイント 1. 【令和8年3月末速報値】特定技能在留外国人数の現状 国内人材の確保がますます困難になる中、特定技能制度を活用して即戦力となる外国人材を受け入れる企業は業種を問わず増えています。まずは、令和8年3月末時点の最新データから、日本における外国人材の受入れ状況の全体像を把握しておきましょう。 (1)特定技能1号は「404,527人」まで増加 特定技能制度の利用は年々右肩上がりで増加しており、令和8年3月末現在の速報値では、特定技能1号の在留外国人数は404,527人(令和7年末時点では382,341人)に達しました。また、より熟練した技能を要し、家族帯同や在留期間の更新に上限がない「特定技能2号」についても12,420人(令和7年末時点では7,955人)となっており、外国人材の長期的な定着が着実に進んでいます。 (2)分野別人数ランキング:どの業界で採用が進んでいるのか? 2026年現在、特にどの業界で特定技能外国人が活躍しているのでしょうか。特定技能1号において、人数の多い上位5分野は以下の通りです。 順位 産業分野名 特定技能1号 在留外国人数 1 飲食料品製造業 96,367人 2 介護 74,745人 3 工業製品製造業 59,038人 4 建設 51,055人 5 農業 39,950人 これら上位の業界では、すでに多くの企業が外国人材を事業運営の「貴重な戦力」として位置づけており、他社に先んじた人材獲得競争が激化しています。 2. 令和8年追加の「新規分野」の動向とトレンド 特定技能制度の大きな特徴は、経済情勢や人手不足の状況に合わせて柔軟に対象分野が追加される点にあります。直近の令和8年1月の閣議決定でも新たな分野の追加が発表され、大きな話題を呼びました。この章では、新たに追加された分野の2026年最新の受入れ数データと、これから本格化する新規分野の動向について述べます。 (1)自動車運送業や林業などの最新状況 2024年に追加が閣議決定された自動車運送業(333人)、鉄道(59人)、木材産業(34人)、林業(8人)など、新たな分野ですでに受入れの実績が出始めています。 特定技能「自動車運送業」については、特定技能「自動車運送業」と特定活動55号を徹底解説!採用フローや注意点は?で詳しく解説しています。ぜひご参照ください。 (2)これから始まる「特定技能1号のみ」の3分野 2026年1月の閣議決定ではさらに、特定技能1号に「リネンサプライ」「物流倉庫」「資源循環」の3分野が新規に追加されました。これらの新分野については、各分野の省庁による独自の追加ルール(上乗せ基準)が正式に定められ、準備が整い次第、運用が開始される予定であり、速報値でも在留者数が0人ですが、今後の動向に大きな注目が集まっています。 新規分野での在留資格申請は、行政側の審査要領や運用ルールも手探りの部分が多く、入管の審査官も慎重に審査を行います。「必要書類の不備」や「要件の解釈違い」によって、予期せぬ不許可や度重なる追加資料要求となり、採用計画が大幅に遅れるケースが発生しやすいのが実務上の盲点です。 これら新規分野での採用は、早期の情報収集と専門家による綿密な要件確認が成功の鍵を握ります。 3.…
2026.06.19 冨田 祐貴 特定活動ビザ就労ビザ 在留資格「特定活動」とは?種類一覧から要件・最新動向まで行政書士が徹底解説! 1. 入管法改正と「特定活動」の在り方 台湾や韓国をはじめとするアジア近隣国、さらには欧米諸国との外国人材獲得競争が激化する中、日本の入管法も大きな転換点を迎えています。2027年には現行の技能実習制度に代わり、就労を通じた人材育成と確保を目的とした「育成就労制度」が開始されます(詳しくは育成就労の外部監査人は誰に頼む?外部役員廃止の注意点と第一綜合グループを選ぶメリットをご参照ください。)。 このように周辺の制度が変わる中、他の在留資格に当てはまらない活動を柔軟にカバーできる「特定活動」の在留資格は、制度の歪みを埋める「受け皿」や、新しい在留資格へのスムーズな移行を支える「架け橋」として、かつて以上に重要な役割を担うようになっています。 近年でも、社会情勢の変化や国家的な一大プロジェクトの始動に合わせて以下のように在留資格が新設されています。 未来創造人材(51号):2023年4月新設…優秀な海外大学を卒業した者が就職活動や起業準備を行う活動 >>未来創造人材制度(J-Find)がわかるコラムをご参照ください。 デジタルノマド(53号):2024年4月新設…海外の企業等に所属しながら日本でリモートワークを行う活動 特定自動車運送業準備(55号):2024年12月新設…自動車運送業分野で特定技能への変更を目指し、講習や指導を受ける活動 >>特定技能「自動車運送業」と特定活動55号を徹底解説!採用フローや注意点は?をご参照ください。 令和9年国際園芸博覧会関係者(56号):2025年5月新設…2027年に横浜で開催される国際園芸博覧会の運営等に関わる活動 これらの動向からも分かるように、国は「特定活動」の枠組みを使って柔軟に制度を新設し、新たな人材の確保を図っています。 2.在留資格「特定活動」の特徴と基本ルール (1) 法務省「告示」による規定と各「号」の独立性 「特定活動」は、国会での審議が必要な「法律(入管法)」の本文ではなく、法務省の判断でスピーディーに新設・変更ができる「告示」というルールでその多くが定められています(前述したような最新情勢に対応したビザが次々と誕生するのもこのためです)。 そして、この「1号」から「57号」(2026年6月時点)まである一つ一つの「号」は、便宜上同じ「特定活動」ですが、実質的にはすべて要件も活動内容も異なる「独立した個別の在留資格」としての性質を持っています。 そのため、「特定活動のビザを持っていれば日本でどんな仕事でもできる」というわけではなく、指定された「号」のルールにそれぞれ縛られる点に注意が必要です。ただし、特定活動のすべてがこの「号」に当てはまるわけではなく、中には例外的な人道配慮などから個別に認められる「告示外」の枠組みもあります。 (2)「特定活動」の2つの枠組み:告示特定活動と告示外特定活動 「特定活動」は、大きく以下の2つの枠組みに分かれており、それぞれ「海外から呼び寄せられるか」などの基本ルールが異なります。 1. 告示特定活動 あらかじめ法務大臣が「告示」として定めている活動です。50種類以上の告示が存在し、あらかじめ要件が明確に定められています。こちらは、海外から新しく外国人を呼び寄せる手続き(在留資格認定証明書交付申請)の対象となります。 2. 告示外特定活動 告示には指定されていないものの、特別な事情により法務大臣が個別に許可するものです。例えば、難民認定手続中の滞在や、退去強制手続中における特別な事情による在留特別許可のほか、実務の現場で多く活用されている「特定技能1号への移行準備(詳しくは特定技能1号への移行準備のための特定活動ビザとは?をご参照ください)」を目的とした臨時の救済措置がこれに該当します。過去の判例や行政の裁量基準に対する深い知見が不可欠な領域です。 原則として「海外からの呼び寄せ手続き」はできません。基本的には、すでに日本に滞在している外国人が、国内で別の在留資格から切り替えることで取得するものであることに注意が必要です。 国際情勢と連動する「告示外特定活動」 この「告示外特定活動」の実例として、近年実務に大きな影響を与えているのが「本国情勢を踏まえた在留ミャンマー人への緊急避難措置」です。日本政府は人道的配慮から、政情不安により帰国困難となったミャンマー人に対し、個別に「特定活動(就労可)」への変更を認めてきました。しかし、技能実習生が実習先を意図的に抜け出して申請するような「制度の誤用・濫用」が見受けられたため、入管は運用を大きく見直し、厳格な適正化を行っています。 具体的には、技能実習を修了していない(在留期間が残っている)ミャンマー人が、自己都合(本人の責めに帰すべき事情)で実習を離脱した場合は、特定活動への変更を原則認めない方針へと舵を切りました。これには「人道支援の枠組みではあるが、安易な就労目的の切り替えは許さない」という入管の強い姿勢が現れており、受入れ企業や監理団体にとっても実務において重要な動向となっています。 また、こうした人道配慮による告示外特定活動はミャンマーに留まりません。ウクライナからの避難民は、2022年の開戦当時、「特定活動」への変更を認める措置が取られました(2026年現在は特定の条件を満たした場合「定住者」への変更も可能になっています)。ガザ地区の情勢緊迫化に関しては、在留パレスチナ人に対し、本国情勢が落ち着くまでの個別的な人道配慮として、就労可能な「特定活動」への変更が認められ始めています。 このように、「告示外特定活動」は、国際情勢の緊迫化に合わせた「最後の砦」としての運用が続いています。…
2026.05.08 依田 隼弥 特定技能自動車運送業特定活動55号 特定技能「自動車運送業」と特定活動55号を徹底解説!採用フローや注意点は? 1. なぜ特定技能「自動車運送業」と「特定活動55号」が必要なのか 日本の経済を支える物流(トラック)と、地域住民の足となる旅客(タクシー・バス)。それらの担い手であるドライバーの有効求人倍率は全産業平均を大きく上回り続けています。 (1)「2024年問題」と外国人材への期待 2024年4月から、トラックドライバー等の時間外労働に年960時間の上限が適用されました。これにより、1人のドライバーが運べる荷物の量が減少し、さらなる人員確保が急務となっています。この課題に対し、政府は「特定技能」の対象に自動車運送業を追加することを決定しました。 (2)免許制度という「最大の壁」を突破するための「特定活動55号」 他分野(外食や建設など)の特定技能と決定的に異なるのは、「日本の公道を運転するためには、日本の運転免許が必要」という点です。「入国してから日本の運転免許を取得するまでの空白期間」を埋めるために設計されたのが、「特定活動55号」なのです。 ちなみに、「国際運転免許証」を持っていたとしても運転できるのは自家用車のみで、仕事に使うことはできません。この「特定活動55号」期間中に日本の運転免許を正式に取得することが、特定技能としてプロのドライバーの道を歩むための、避けては通れない必須条件となります。 2. 特定技能「自動車運送業」の3つの区分と業務内容 自動車運送業の特定技能1号には、大きく分けて3つの区分が存在します。それぞれの業務内容と、求められる役割を整理します。 (1)トラック区分(貨物自動車運送事業) 主に積載量や用途に応じたトラックを運転し、貨物を輸送する業務です。 主な業務: 運転業務、荷役作業(積み降ろし)、荷受人との連絡調整。 期待される役割: 物流センター間の長距離輸送や、ラストワンマイルの配送。 (2)タクシー区分(一般乗用旅客自動車運送事業) タクシーを運転し、乗客を目的地まで運ぶ業務です。 主な業務: 旅客の運送、接客、代金決済、車両の清掃。 期待される役割: 観光客対応や、移動困難な高齢者のサポート。 (3)バス区分(一般乗合旅客・一般貸切旅客自動車運送事業) 路線バスや観光バスを運転し、多数の旅客を運送する業務です。 主な業務: 旅客の運送、車内安全の確保、観光案内(付随業務)。 期待される役割: 地域の路線維持や、インバウンド観光需要への対応。 3. 特定活動55号と特定技能1号の違い この2つはセットで運用されますが、法的性質やできる業務は全く異なります。まずは以下の比較表で、その違いを正確に把握してください。 比較項目 特定活動55号(準備期間) 特定技能1号(就労期間) 正式名称 特定自動車運送業準備活動 特定技能1号(自動車運送業) 主な目的 日本の運転免許取得・研修…
2026.05.07 渡邉 直斗 特定技能育成就労監査人 育成就労の外部監査人は誰に頼む?外部役員廃止の注意点と第一綜合グループを選ぶメリット 1. 技能実習から「育成就労」へ:何が変わるのか? 技能実習制度が「国際貢献」を掲げていたのに対し、新設される育成就労制度は「人材確保・育成」に主眼を置いています。この大転換に伴い、監理・支援体制の「透明性」がこれまで以上に厳格に審査されます。 最大の変更点は、監理支援機関(現:監理団体)における外部役員の廃止と外部監査人の完全義務化です。 項目 技能実習制度(旧) 育成就労制度(新) 監督体制の選択肢 「外部役員」または「外部監査人」 「外部監査人」のみ(必須) 外部役員の扱い 認められていた 認められない (中立性欠如とみなされる) 主な目的 形式的な適正運営の確認 実効性のある中立・独立した監視 新制度の許可申請(国の事前登録申請受付は2026年9月、JITCOの施行日前申請受付は2026年4月15日より開始)において、監理支援機関は新たに外部監査人を設置しなければ許可を受けることができません。 (1)「本人意向の転籍」の解禁と監理支援機関の責任強化 もう一つの大きな変更点が「転籍ルールの緩和」です。「転籍」とは、いわゆる転職のことで、外国人材が現在の受入れ企業(勤務先)を変更して別の企業に移ることを指します。原則としてこの「転籍」が認められなかった技能実習制度と異なり、育成就労制度では、以下の要件を満たせば「本人意向による転籍(同一業務区分内)」が可能になります。 同一機関での就労期間: 1〜2年(分野ごとに設定)を超えていること (分野ごとの転籍制限期間について、詳しくは【育成就労制度対応】「特定技能」業務区分と「技能実習」移行職種の関係性を行政書士が解説をご参照ください) 試験要件: 技能検定試験(基礎級等)および一定水準以上の日本語試験(A1〜A2相当等)に合格していること 転籍先の適正性: 転籍先企業が適切な要件を満たしていること 転籍が柔軟になることで外国人材の権利が保護される反面、受入れ企業間での人材引き抜きトラブルや、労働環境を巡る不満が生じやすくなるリスクも孕んでいます。監理支援機関はこれまで以上に企業と外国人材の間に立ち、適切なサポートを行うことが求められます。こうした支援体制が適正に機能しているかを客観的に評価し、行政に報告するのが、他ならぬ「外部監査人」なのです。 (2)育成就労期間と認定基準の厳格化 育成就労制度における就労期間は原則として「3年以内」と定められています。2026年8月5日更新の運用要領では、人材育成の観点から「3年を6か月以上下回る計画(2年6か月未満の計画)」については、適正な育成を行えるものと認められず、認定を受けられない可能性がある旨が明文化されました。 また、外国人が従事する業務の範囲に関して、現行の技能実習制度にある「関連業務」や「周辺業務」といった複雑な区分は整理され、「必須業務(業務時間全体の1/3以上)」および「安全衛生業務(業務時間全体の1/10以上)」に充てるべき時間割合が厳格に管理されます。これに伴い、外部監査人には、計画通りの業務割合で実務が行われているかを現場で厳格に監査することが求められます。 (3) 特定技能制度とのシームレスな接続とキャリアパス 従来の技能実習制度が「国際貢献」を建前としていたのに対し、育成就労制度は「特定技能1号へスムーズに移行できる日本国内での人材の育成」を目的として位置付けられています。 育成就労で3年間の就労・育成を修了し、一定の技能試験(特定技能1号評価試験等)および日本語試験(A2相当等)に合格することで、追加の試験を受けずに「特定技能1号」への在留資格変更が可能となります。 これにより、受入れ企業には、単なる現場作業の管理だけでなく、「特定技能を見据えた長期的な人材育成計画とキャリア支援」を主導することがこれまで以上に求められます 2. 育成就労における「外部監査人」の役割…