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【入管法改正】企業内転勤2号ビザとは?新設されるビザを行政書士がレポート

そもそも「企業内転勤」ビザとは? 「企業内転勤」ビザは就労ビザのひとつで,海外にある会社から日本国内にある会社へ,期間を定めて転勤や出向する外国人向けに用意されているものです。 「企業内」とありますが,同一企業に限定されているわけではなく,議決権20%を保有する「関連会社」への出向でも,この企業内転勤ビザの対象となります。 転勤して行う業務は,「技術・人文知識・国際業務」ビザと同様の業務を行うこととされており,ホワイトカラーの業務内容に限定されます。 詳しくは,企業内転勤ビザとは? をご覧ください。 修行のための転勤は対象外 企業内転勤ビザは,たとえ100%子会社であっても,技術や知識を習得するための,いわゆる「修行」を目的とした転勤は対象外となっています。 例えば,地方の生産拠点で勤務している従業員を本社の別部門に異動させて,研修やOJTを通して技能を習得してもらい,一定期間後に元の生産拠点に帰任するということは,ある程度規模が大きい企業であれば珍しくありません。 海外に生産拠点を置く日本企業でも,従業員教育の一環としてこのような転勤をさせたいニーズは多くあります。 しかし,これまでの企業内転勤ビザでは,想定されていませんでした。 研修ビザはあるけれど… 外国人を日本へ呼び寄せて研修を受けてもらうためのビザとして「研修」ビザがありますが,この研修ビザで想定している研修は,従業員ではなく部外者を一定期間招き入れて,あれこれ教えてあげます!というものです。 開発途上国などの人たちが,日本の先端技術を学びに来るためのビザをイメージしてもらうとわかりやすいかと思います。 技能を学んで本国に持ち帰ることが目的なので,研修に参加しても報酬(給与)は発生しませんし,プログラムの一環として実際に業務に携わることもできません。転勤して一定期間修行する目的では使いにくい(使えない)のです。 待望の「企業内転勤2号」ビザとは? 改正によって新たに追加された「2号」ビザでは,技能などを習得することを目的に,講習を受けて実際にその技能を使った業務を行うとことが可能になりました。 【入管法別表第一の二】 改正前 改正後 本邦に本店,支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が本邦にある事業所に期間を定めて転勤して当該事業所において行うこの表の技術・人文知識・国際業務の項の下欄に掲げる活動 一 本邦に本店,支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が本邦にある事業所に期間を定めて転勤して当該事業所において行うこの表の技術・人文知識・国際業務の項の下欄に掲げる活動   二 本邦に本店,支店その他の事業所のある公私の機関(当該機関の事業の規模,本邦の事業所における受入れ体制等が技能,技術又は知識(以下この号及び四の表の研修の項の下欄において「技能等」という。)を適正に修得させることができるものとして法務省令で定める基準に適合するものに限る。)の外国にある事業所の職員が,技能等を修得するため,本邦にある事業所に期間を定めて転勤して当該事業所において講習を受け,及び技能等に係る業務に従事する活動(前号に掲げる活動及びこの表の育成就労の項の下欄に掲げる活動を除く。) 改正入管法で新たに規定された活動内容を見る限り,修行目的での転勤に使えそうです! 詳しく見てみましょう。 ◆誰が?◆ 本邦に本店,支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員 ⇒「本邦に本店,支店その他の事業所のある公私の機関」は,「法務省令で定める基準に適合するものに限る」とされており,事業規模や受け入れ体制について基準が設定されるようです。研修を担当する従業員の名簿,組織図,研修場所の写真など,受け入れ体制に関する資料の提出を求められることが予想されます。 ◆何のために?◆ 技能,技術又は知識を修得するため ⇒修行目的にできる部分です。どのような技能,技術または知識を修得するのか,どうやって修得するのか,研修カリキュラムや計画表などが重要な指標になるでしょう。 ◆どんな活動ができる?◆ 本邦にある事業所に期間を定めて転勤して当該事業所において講習を受け,及び技能等に係る業務に従事する活動 (前号に掲げる活動及びこの表の育成就労の項の下欄に掲げる活動を除く) ⇒業務しながら技能等を修得できるようになるので,これもまた修行目的にできる部分です。業務に従事することができない「研修」ビザと大きく異なる点はここです。 なお,技能等の修得を目指しながら業務に従事する活動は「育成就労」ビザと似ていますが,育成就労ビザの活動内容と重複する部分は,企業内転勤2号ビザの対象外となります。…

外国人のスポーツ選手やコーチの在留資格(就労ビザ)とは?

スポーツ選手はプロかどうかでビザの種類が変わる 外国人スポーツ選手は,プロ選手なのかどうかでビザの種類が変わります。 選手の種類 報酬 該当するビザ ①プロ契約しているスポーツ選手 あり:興行収入 興行(基準2号) ②企業などの実業団に所属する選手 あり:給与収入 特定活動(告示6号) ③上記①②以外の選手 なし 短期滞在 ここで言う「プロかどうか」は,技術レベルの話ではありません。 お金を稼ぐのかどうか,稼ぐならどうやって稼ぐのか?という話です。 上記①②③について,詳しくみていきましょう。 ①プロ契約しているスポーツ選手=興行ビザ(基準2号) プロスポーツ選手とは,企業や団体とプロ契約を結び,プロチームに所属してチケットやスポンサーから興行収入を得ている選手のことです。 興行ビザを取得するにあたって,プロとしての実績は特になくてもかまいませんが,報酬額は日本人が契約する場合と同等以上でないといけません。 興行ビザに該当する例としては,日本のプロ野球選手,Jリーグに所属するプロサッカー選手,Bリーグに所属するプロバスケットボール選手,ゴルフトーナメントに出場するプロゴルファーなどです。 【興行(基準2号)ビザの取得要件】 報酬額が日本人の場合と同等以上であること。 興行ビザについては,別コラム 興行ビザのポイントを徹底解説! もぜひお読みください。 ②企業などの実業団に所属する選手=特定活動ビザ(告示6号) 実業団チームに所属して活動する選手のことです。企業の広告塔として,契約先企業から選手に報酬が支払われる場合は,興行ビザではなく「特定活動(告示6号)」ビザになります。 【特定活動(告示6号)ビザの取得要件】 本邦の公私の機関内のクラブチームが,興行を事業の目的とせず,自社の宣伝や技術を競う目的で行うスポーツの試合に参加させるために契約(雇用)したものであること。 クラブチームの所属機関が,スポーツの試合を事業として行っていないこと。 オリンピックや世界選手権など国際的な大会に出場経験があること。 日本の公私の機関に雇用され,月額25万円以上の報酬を受けること。 ③それ以外の選手=短期滞在ビザ 賞金がない大会に出場するために,短期間だけ日本に滞在する場合は,興行ビザや特定活動ビザではなく「短期滞在」ビザで十分足りることもあります。 短期滞在ビザは海外にある日本国大使館・領事館での申請となります。賞金や報酬が発生する場合は,短期滞在ビザでは来日できない点に注意が必要です。 監督やコーチなどの指導者は「技能」ビザになる 選手ではなく,監督やコーチなどの指導者は「技能」ビザが必要です。 ただし,活動内容によっては選手同様に「興行」ビザが必要になるケースもあります。ますは「技能」ビザのケースから見ていきましょう。 指導者の「技能」ビザ取得要件…

高度専門職ビザの取得条件とは?ポイント制度,優遇措置,1号と2号の違いを解説!

1.高度専門職ビザとは? 1-1.高度専門職ビザとは? 高度専門職ビザは,経済成長や新たな需要と雇用の創造に資することが期待される高度な能力や資質を有する外国人(高度外国人材)の受入れを促進するために2015年に創設されました。 高度外国人材を積極的に受け入れるために,高度専門職ビザには,在留期間「5年」(高度専門職2号に該当すると「無期限」)の付与や複合的な在留活動が許容されるなどの優遇措置があります。 また,高度専門職ビザの入国・在留手続は優先的に処理されるため,受入れ企業側にとってもメリットがあります。 以下の表をご覧ください。 出入国在留管理庁が発表した報道資料によると,令和4年6月末末時点で3万4,726人の外国人が高度専門職ビザで在留しているとされています。 高度専門職ビザを保有する外国人数の動向は,我が国の経済的発展の観点からも注目すべき指標と言っても過言ではありません。 1-2.高度専門職1号 高度専門職ビザは,「高度専門職1号」と「高度専門職2号」に大別されます。 そして,高度専門職1号は活動内容に応じて,さらにイ・ロ・ハに分類されます。 高度専門職1号に該当する職種と具体例は,以下の通りです。 高度専門職1号イ 高度学術研究と呼ばれ,日本の公的機関や民間企業等との契約に基づいて行う研究,研究の指導または教育をする活動が該当します。 具体的には,大学等の教育機関で教育をする活動や,民間企業の研究所で研究をする活動がこれに当たります。 また,これらの活動と併せて,教育や研究の成果を活かして事業を立ち上げ自ら事業経営をすることも可能です。 高度専門職1号ロ 高度専門・技術と呼ばれ,日本の公的機関や民間企業等との契約に基づいて行う自然科学または人文科学の分野に属する知識または技術を要する業務に従事する活動が該当します。 具体的には,所属する企業において,技術者として製品開発業務に従事する活動,企画立案業務,ITエンジニアとしての活動などの専門的な職種がこれに当たります。 また,これらの活動と併せて,関連する事業を立ち上げ自ら事業経営をすることも可能です。 技術・人文知識・国際業務ビザの活動内容と重なる部分が多いですが,技術・人文知識・国際業務ビザのうち国際業務に該当する活動は高度専門職1号ロには該当しないため注意が必要です。 高度専門職1号ハ 高度経営・管理と呼ばれ,日本の公的機関や民間企業等において事業の経営を行いまたは管理に従事する活動が該当します。 具体的には,会社の経営や,弁護士事務所・税理士事務所などを経営・管理する活動がこれに当たります。 また,これらの活動と併せて,活動内容と関連する会社や事業所を立ち上げ,自ら事業経営することも可能です。 上記のように,高度専門職1号は他のビザとは異なり,複合的な在留活動が許容されている点に特徴があります。 また,在留期間は現行の制度で最長の「5年」が一律に付与されます。 これは安定的に高度外国人材を雇用する企業側にとってもメリットとなります。 1-3.高度専門職2号 高度専門職2号は,高度専門職1号で3年以上活動を行っていた方が対象になります。 高度専門職1号の活動と併せてほとんどすべての就労活動を行うことができます。 具体的には,高度専門職1号イ・ロ・ハのいずれか,またはこれらの複数の活動と併せて以下のビザで認められる活動も行うことができます。 ※「教授」,「芸術」,「宗教」,「報道」,「法律・会計業務」,「医療」,「教育」,「技術・人文知識・国際業務」,「介護」,「興行」,「技能」,「特定技能2号」のビザに対応する活動 高度専門職2号のビザの在留期間は,高度専門職ビザに該当する活動を行っている限りにおいて「無期限」です。 また,複数のビザにまたがる活動ができる点に特徴があります。 1-4.高度専門職ビザの1号と2号の違い 高度専門職1号の場合,在留期間は「5年」です。 一方,高度専門職2号の在留期間は「無期限」となります。 在留期間が無期限となる結果,以降の在留期間の更新許可を受ける必要がなくなります。 また,高度専門職1号の場合,主となる活動と併せて,これと関連する事業の経営活動を自ら行うことが認められます。…

技術・人文知識・国際業務ビザ申請の必要書類を徹底解説【認定・更新・変更】

就労ビザ「技術・人文知識・国際業務」とは? 技術・人文知識・国際業務ビザは,就労ビザのなかでも最も代表的なものです。 いわゆる「ホワイトカラー」と呼ばれる仕事を行うための就労ビザです。名称が長いので,「技人国(ギジンコク)」と省略して呼ばれることもあります。 この技術・人文知識・国際業務ビザを取得するには,大きく分けて「本人」「会社」「職務内容」の3つに関する要件を満たす必要があります。 本人側の要件 原則として,大学を卒業し学士の学位があること。 もしくは日本の専門学校を卒業し,専門士の学位を取得していること。会社側の要件 事業の安定性,継続性があること。職務内容の要件 自然科学や人文科学の分野に属する技術若しくは知識を要する業務,又は外国の文化に基盤を有する思考若しくは感受性を必要とする業務であること。 技術・人文知識・国際業務の詳細については,別コラム「【技術人文知識国際業務ビザ】人事担当者向けコラム」もお読みください。 技術・人文知識・国際業務ビザの申請手続きについて 技術・人文知識・国際業務ビザの申請ができるのは, 本人 本人を採用する企業や団体 取次資格のある行政書士など です。 申請からビザの取得までにかかる期間は,認定申請では約1か月~3か月,変更・更新申請では約2週間~1か月です。申請が増える1~2月あたりでは,審査期間がこれよりも長くなる場合もあります。 また,申請内容によって,手続きの流れや審査のポイントが異なります。 ここからは,申請手続きごとにポイントを解説していきます。 【認定】在留資格認定証明書交付申請 認定申請は,以下の手順でおこないます。 ①仕事の内容の照合 ②雇用契約書の作成と締結 ③就労ビザの申請 まず,日本で行う仕事が,技術・人文知識・国際業務に該当する仕事内容なのかどうかを確認します。 また,自身の学歴や職歴が,日本で行う仕事内容と関連するかどうかの検証も忘れてはいけません。 続いて,入社予定の日本の企業と雇用契約を締結します。 入管は雇用契約の内容も確認します。 業務内容の記載や報酬額が,労働関係法令から見て問題がないか検証する必要があります。 そして,上記で示した必要書類を集め,就労ビザの申請をします。 1~3か月程度待てば,就労ビザが取得できます。 【変更】在留資格変更許可申請 技術・人文知識・国際業務ビザへの変更申請で,一番多いケースとしては留学生からの変更です。 留学生からの変更申請の場合,技術・人文知識・国際業務ビザの要件を確認することだけでなく,留学生として在学していた学校での成績や,アルバイトに従事していた時間も審査対象になりますので,ご注意ください。 【更新】在留期間更新許可申請 ビザの更新手続きは,在留期間が満了する3か月前から行うことができます。 転職せず,職種も変わらない場合は,他に素行等の問題がなければ基本的に更新が可能です。 転職をした場合は,入管法第19条の16に定めるとおり,14日以内に入管へ転職の届出を行う必要があります。…

特定技能1号と2号の違いとは?行政書士が解説

1.特定技能ビザとは? 前述の通り,特定技能ビザは人手不足が深刻な「建設」「農業」「介護」など12分野(14業種)の労働力を確保するために創設されたものです。 就労ビザには他にも種類がありますが,特定技能ビザは就労できる業務内容の範囲が他の就労ビザよりも広く,単純労働を含めることができる点が大きな特徴です。 特定技能2号ビザは,1号よりも高度な技能を持っていることが認められた方向けのビザです。1号にはない,いわゆる「特典」があることが特徴です。 特定技能ビザの対象となる12分野を表にまとめました。 特定技能1号(12分野) 特定技能2号(11分野)【改正版】 介護 (2号ではなく,「介護」ビザへ移行) 外食業 外食業 宿泊 宿泊 飲食料品製造業 飲食料品製造業 自動車整備 自動車整備 航空 航空 農業 農業 ビルクリーニング ビルクリーニング 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業 建設 建設 造船・船用工業 造船・船用工業 漁業 漁業 これまで,特定技能2号は「建設」と「造船・船用工業分野の溶接区分」のみが対象でしたが,2023年6月9日に他の分野にも拡大されることが閣議決定されました。現在,改正法案成立に向けて進んでいます。 なお,「介護」分野については,特定技能2号ではなく既存の「介護」ビザへ移行できることにしました。 このコラムでは,改正後の内容で解説しています。 2.特定技能1号と特定技能2号の違い ここからは,特定技能1号と2号の違いについて解説していきます。 まずは,主な違いを表にまとめましたので見比べてみてください。   特定技能1号…

N1特定活動ビザ(特定活動46号)の解決事例をご紹介します!

1.N1特定活動ビザでどんな仕事ができるの? そもそも,N1特定活動ビザでは,具体的にどのような仕事ができるのでしょうか? 結論から言うと,N1特定活動ビザでは,今まで「技術・人文知識・国際業務」で認められてこなかった,現業メインでのフルタイム就業が可能になります。 これは,N1特定活動ビザの最大のメリットであると言えます。 では,具体的にはどのような業務に従事することが出来るのか。 詳細な説明に先立ち,まずはN1特定活動ビザで従事可能な活動の大枠を捉えましょう。 N1特定活動ビザで従事可能な業務について,出入国在留管理庁公表のガイドラインでは次のように記載されています。 「日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務」 「日本語を用いた円滑な意思疎通を要する業務」とは,単に雇用主等からの作業指示を理解し,自らの作業を行うだけの受動的な業務では足りず,いわゆる「翻訳・通訳」の要素のある業務や,自ら第三者へ働きかける際に必要となる日本語能力が求められ,他者との双方向のコミュニケーションを要する業務であることを意味します。 つまり,高い日本語能力を用いて他者とコミュニケーションをすることを基礎にして成り立つ業務であり,代表的なものとして接客業が挙げられます。 これによって,これまで技術・人文知識・国際業務の在留資格では従事困難であった接客業や小売業の現場での在留資格取得が可能になりました。 ただし,N1特定活動ビザであれば,無制限に現業に従事できるという訳ではありません。N1特定活動ビザの業務には,大学や専門学校などで修得した広い知識と応用的な能力などを活用するものでなければいけません。 これは,従事しようとする業務内容に,技術・人文知識・国際業務の在留資格の対象となる学術上の素養等を背景とする一定水準以上の業務が含まれていること,又は,今後そのような業務に従事することが見込まれることを意味します。 したがって,技術・人文知識・国際業務のように一定水準以上の業務をメイン業務とする必要はないものの,全くの単純作業のみに従事することはN1特定活動ビザでも認められず,業務の一部は一定の専門性を要する業務でなければならないということです。 もっとも,今後一定水準以上の業務に従事することが見込まれる場合でも良いとなっていますので,例えば,入社当初はレストランのホールスタッフとして採用し,ゆくゆくはお店の経理も任せるようにするといった場合も可能になります。 上記の前提を踏まえて,ガイドラインに記載の具体例をご紹介します。 ア 飲食店に採用され,店舗において外国人客に対する通訳を兼ねた接客業務を行う もの(それに併せて,日本人に対する接客を行うことを含む。)。 ※ 厨房での皿洗いや清掃にのみ従事することは認められません。イ 工場のラインにおいて,日本人従業員から受けた作業指示を技能実習生や他の外 国人従業員に対し外国語で伝達・指導しつつ,自らもラインに入って業務を行うもの。 ※ ラインで指示された作業にのみ従事することは認められません。ウ 小売店において,仕入れや商品企画等と併せ,通訳を兼ねた外国人客に対する接 客販売業務を行うもの(それに併せて,日本人に対する接客販売業務を行うことを含む。)。 ※ 商品の陳列や店舗の清掃にのみ従事することは認められません。 エ ホテルや旅館において,翻訳業務を兼ねた外国語によるホームページの開設,更新作業を行うものや,外国人客への通訳(案内),他の外国人従業員への指導を兼ねたベルスタッフやドアマンとして接客を行うもの(それに併せて,日本人に対する接客を行うことを含む。)。 ※ 客室の清掃にのみ従事することは認められません。 オ タクシー会社に採用され,観光客(集客)のための企画・立案を行いつつ,自ら通訳を兼ねた観光案内を行うタクシードライバーとして活動するもの(それに併せて,通常のタクシードライバーとして乗務することを含む。)。 ※ 車両の整備や清掃のみに従事することは認められません。 カ 介護施設において,外国人従業員や技能実習生への指導を行いながら,外国人利用者を含む利用者との間の意思疎通を図り,介護業務に従事するもの。 ※…

製造業で外国人を雇用する際の就労ビザとは?在留資格のプロが解説

製造業で働くことができる就労ビザは4種類 製造業で働くことができる就労ビザは,以下の通り4種類あります。 就労ビザの種類 単純作業の可否 就労できる年数 技術・人文知識・国際業務 できない 制限なし 特定活動46号(通称:N1特活) 一部できる 制限なし 特定技能 一部できる 最長5年※1 技能実習※2 一部できる 3~5年 【制度変更が閣議決定されています】 ※1:特定技能ビザは,1号から2号へ変更することで,年数の制限なく就労できるようになります。 ※2:技能実習制度は廃止され,新たに「育成就労」制度が導入されます。 4種類それぞれの就労ビザについて,見ていきましょう。 (1)技術・人文知識・国際業務ビザ 「技術・人文知識・国際業務」ビザは,大学や専門学校などで学んだ高度な専門的知識と技術を活かした仕事を行うための就労ビザです。 【技術・人文知識・国際業務ビザの主な要件】 以下の,①又は②の要件を満たす必要があります。 ①日本または海外の大学または大学院を卒業・修了して学位を取得している ②日本の専門学校を卒業して「専門士」または「高度専門士」の学位を取得している 技術・人文知識・国際業務ビザは就労ビザの代表格とも言えるビザですが,製造業の場合は職種が限定されるので注意が必要です。 たとえば工場で勤務する場合,生産管理や設計,研究開発などいわゆる「ホワイトカラー」と言われる業務内容であれば,技術・人文知識・国際業務ビザを取得することができるでしょう。一方で,組み立てや溶接作業,流れ作業が業務の大半である場合は技術・人文知識・国際業務ビザの取得はかなり難しくなります。 なお,これまで専門学校卒業生は,在学中の専攻分野と業務内容との関連性が厳格に判断されてきましたが,2024年以降は大卒者と同様に柔軟に判断されるようになるため,就労しやすくなります。 (2)特定活動46号(N1特活)ビザ 特定活動告示46号ビザは,大学で修得した幅広い知識と,高いレベルの日本語能力を活用した仕事をするために用意された就労ビザです。このビザでは,いわゆる単純作業を行うこともできますが,一定レベル以上の知識や日本語力を必要とする業務であることが必要です。日本語でのコミュニケーションが不要で黙々と一人で作業を行うような業務内容では,ビザの取得は難しいでしょう。 【OK例】レストランで外国人客へ通訳しながらフロア接客 【NG例】工場で会話などコミュニケーションを必要としないライン作業 【特定活動46号ビザの主な要件】 以下の,①及び②の要件を満たす必要があります。 ①学歴として,以下A,B,Cいずれかに該当する場合 A:日本の4年制大学または大学院を卒業・修了して,学位を取得 B:認定専修学校専門課程を修了して「高度専門士」の学位を取得 C:短大または高等専門学校を卒業後,大学の単位をとって「学士」の学位を取得…

就労ビザの種類とは?外国人が日本で働く方法について行政書士が解説

日本の就労ビザは19種類ある【仕事内容の違いに注目】 就労ビザとは,外国人が日本で働くことを目的とした在留資格の総称で,働く内容=就労活動によって19種類に分けられています。どんな仕事でもできるオールマイティな「就労」ビザというものはありません。 どの就労ビザに該当するかは,どのような仕事をするのか,就労活動の内容に応じて判断する必要があります。 本チャプターでは,就労ビザの種類と該当する職種,許可される在留期間について解説していきますので,就労ビザの該当性の判断にお役立てください。 それでは,19種類の就労ビザを解説していきます。 (1)外交ビザ 外交ビザは,日本と諸外国の外交関係を維持・発展するために設けられた就労ビザです。 一般的にはあまり馴染みがないかもしれませんが,外国政府の大使,公使,総領事,代表団構成員等及びその家族の方などが該当します。 また,外交ビザは一般的な就労ビザのように,「1年」や「3年」といった在留期間が具体的に定められているわけではなく,外交活動を行う期間中は継続して在留が認められているのが特徴です。 (2)公用ビザ 公用ビザは,日本と諸外国との友好関係を維持・発展させることを目的に設けられた就労ビザです。 (1)の外交ビザ同様,一般的にはあまり馴染みがないと思います。 外国政府の大使館・領事館の職員,国際機関等から公の用務で派遣される方及びその家族の方などが該当します。 在留期間は,5年,3年,1年,3月,30日又は15日と定められています。 (3)教授ビザ 教授ビザは,学術研究の向上発展を目的に,大学の教授などを外国から受け入れるために設けられた就労ビザです。 大学の教員等を対象とする就労ビザで,大学の教授,准教授,講師,助手などの方が該当します。 もっとも,教授ビザは就労ビザの一種と位置づけられていますので,たとえ教授職にあったとしても,収入を得ずに大学等で研究や教育活動をする場合には,教授ビザには該当しません。 この場合には,「文化活動」ビザに該当することになるので,注意が必要です。 在留期間は,5年,3年,1年,3月と定められています。 (4)芸術ビザ 芸術ビザは,芸術分野を通じて,国際交流を図ることを目的に設けられた就労ビザです。 その名のとおり芸術家を対象とする就労ビザで,作曲家,作詞家,画家,彫刻家,工芸家,写真家などの方が該当します。 芸術ビザは就労ビザの一種であるため,収入を伴わない芸術活動をおこなう場合には,芸術ビザではなく文化活動ビザに該当することになります。 在留期間は,5年,3年,1年又は3月と定められています。 (5)宗教ビザ 宗教ビザは,外国の宗教団体から派遣される宗教家を受け入れるために設けられた就労ビザです。 僧侶,司教,宣教師等の宗教家の方が該当します。 在留期間は,5年,3年,1年又は3月と定められています。 (6)報道ビザ 報道ビザは,外国の報道機関から派遣される特派員等を受け入れるために設けられた就労ビザです。 新聞記者,雑誌記者,編集者,報道カメラマン,アナウンサーの方などが該当します。 なお,日本の報道機関との契約に基づき報道活動をおこなう場合には,報道ビザではなく「技術・人文知識・国際業務」ビザに該当することになるので注意が必要です。報道ビザの在留期間は,5年,3年,1年又は3月と定められています。 (7)高度専門職ビザ 高度専門職ビザは,高度外国人材の受入れを促進するため,高度外国人材に対しポイント制を活用した出入国管理上の優遇措置を講ずるために設けられた就労ビザです。 「高度学術研究活動」,「高度専門・技術活動」,「高度経営・管理活動」の3つに分類され,それぞれの特性に応じて,「学歴」,「職歴」,「年収」などの項目ごとにポイント制を設けています。 このポイントの合計点数が一定の点数以上に達した場合,出入国管理上の優遇措置を受けることができるというメリットがあります。 具体的な優遇措置は次の通りです。 【高度専門職1号でポイントが70点以上の場合】 ①複合的な在留活動の許容…

【2025年大阪・関西万博】外国人の関係者向けビザ「特定活動13号・14号」を国際行政書士が解説

1.大阪・関西万博の関係者のための「特定活動」ビザとは? 冒頭でも触れたとおり,この特定活動ビザは,2025年の大阪・関西万博に関連する業務に従事する外国人スタッフと,そのご家族が日本に滞在するためのビザです。特定活動ビザには活動内容によって様々な種類があり,その内容は法務省の「告示」で定められています。今回の万博関係者用の特定活動ビザは,「告示13号」「告示14号」で定められています。 ざっくり説明すると,告示13号が関係者本人向け,告示14号がそのご家族向け,という分類になっています。 それぞれ詳しく見ていきましょう。 ①特定活動(告示13号)ビザの対象になる方 特定活動(告示13号) 令和7年に開催される2025年日本国際博覧会(大阪・関西万博)の関係者であって、公益社団法人2025年日本国際博覧会協会が適当と認めるものが、当該博覧会に係る事業に従事する活動 特定活動13号ビザの対象となるのは,万博の企画,準備,運営およびイベント終了後の後片付けに携わる人です。公式のパートナー企業,後援者や出展者など,万博に直接関連する業務を行う個人や団体が含まれます。 「当該博覧会に係る事業に従事する活動」と指定されていますので,それ以外の活動は認められていません。 ②特定活動(告示14号)ビザの対象になる方 特定活動(告示14号) 前号に掲げる活動を指定されて在留する者の配偶者又は子として行う日常的な活動 特定活動14号ビザの対象となるのは,特定活動13号ビザのご家族(配偶者,子ども)の方です。 告示に『配偶者又は子』とありますので,「親」や「兄弟姉妹」を特定活動14号ビザで呼び寄せることはできません。 2.ビザ申請の代理人になれるのは誰? 万博関係者の外国人を日本へ呼び寄せる「在留資格認定証明書交付申請」は,日本国内にある出入国在留管理局で行います。ご本人は海外にいるので,誰かがご本人に代わってこの申請手続きを行う必要があります。 ご本人に代わってビザ申請できる「代理人」も,告示で定められています。 特定活動13号ビザ申請の代理人になれる人 ①博覧会協会の職員 ②大阪・関西万博の関係者であって,博覧会協会が適当と認めるもの 特定活動14号ビザ申請の代理人になれる人 ①13号対象者 ②博覧会協会の職員 ③大阪・関西万博の関係者であって,博覧会協会が適当と認めるもの 万博関係者の方であれば代理人として申請できますが,用意する書類や手続きが簡略化されるわけではありません。 これまでビザ申請手続きをしたことがない場合は,準備に時間と工数がかかってしまうことも予想されます。 早めのご準備をおすすめいたします。 大阪・関西万博での申請スキーム 今回の大阪・関西万博関連ビザについては,万博協会にて申請を行うスキームが用意されています。 関係者のみなさまにおかれましては,万博協会の窓口へお問い合わせください。 3.大阪・関西万博のための「特定活動ビザ」:まとめ 以上が万博関係者のための特定活動ビザについての解説でした。今回の万博では,万博協会がビザ申請を行うスキームとなるため,当社にて直接サポートすることはございませんが,大阪・関西万博の応援の一環として,情報提供させていただきました。 海外の関係者の申請情報の取りまとめ等については,サポートしておりますのでご用命ございましたらご遠慮なくお問い合わせください。 行政書士法人第一綜合事務所では,2025年大阪・関西万博を応援しています。…

就労ビザは専門学校卒業でも取得できる?国際行政書士が解説!

自由に働ける外国人と,自由に働けない外国人がいる 日本に住む外国人は,就労活動が「制限されている人」と「制限されていない人」がいます。これは,持っているビザ(在留資格)によって決まっていて,留学ビザで在留している外国人は「制限されている人」に該当します。 就労活動が制限されていない人 ※在留カードに「就労制限なし」と記載されています。 ・日本人の配偶者等 ・永住者 ・永住者の配偶者等 ・定住者 …など。 就労活動が制限されている人 ・上記以外の在留資格で日本に在留している場合 就労活動が制限されている人は,就労活動が行える就労ビザに変更する必要があります。 就労ビザは,仕事の内容によって細かく分類されており,社員として働く外国人の大半が取得している就労ビザ「技術・人文知識・国際業務」には,学歴の要件があります。 >>就労ビザ 種類 はこちらをご覧ください。 就労ビザを取得するために必要な学歴とは? 会社員として働く外国人の大半が取得している就労ビザ「技術・人文知識・国際業務」で,取得に必要となる学歴要件について確認していきましょう。 技術・人文知識・国際業務ビザを取得するには,以下の学校を卒業または修了している必要があります。 【日本にある学校】大学院,大学,短期大学,専門学校(専修学校) 【海外にある学校】大学院,大学,短期大学 海外にある専門学校は,就労ビザ申請の学歴としては見られないことに注意が必要です。 卒業または修了していることの証として,学位を取得していることが必要です。 大学院:博士,修士 大学:学士 短期大学:短期大学士(旧「準学士」) 専門学校:高度専門士,専門士 上記いずれかの学位を取得していない場合は,卒業という扱いになりません。 日本にはたくさんの専門学校がありますが,たとえ卒業していても「専門士」または「高度専門士」の学位を取得していないと,技術・人文知識・国際業務ビザの学歴要件は満たしません。 最終学歴が「専門学校卒」の場合は,学位の取得についてもしっかり確認しましょう。 専門学校の「専門士」と「高度専門士」の違いは? 専門学校で取得できる「専門士」と「高度専門士」の違いについて解説しておきます。 専門士 以下①②③をすべて満たした課程で,文部科学大臣が認めた専門学校の修了者 ①修業年限が2年以上 ②総授業時数が1,700 単位時間( 62 単位)以上…