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永住ビザの要件を解説!必要書類や審査期間などのポイントを掲載

1.永住ビザとは? 永住ビザとは,安定的,長期的に日本に滞在するビザのことを言います。 永住ビザを取得した外国人は,日本に無期限に滞在することができるようになります。 また,永住ビザを取得することで就労制限が無くなり,これまで以上に日本で幅広い活動をすることができるようになります。 良いこと尽くめの永住ビザですが,永住ビザを取得するためには多くの要件を満たす必要があります。 2.永住ビザの原則的な要件 永住ビザの要件は,入管法22条2項と,入管庁が公表している「永住許可に関するガイドライン」によって規定されています。 (入管法22条2項) 法務大臣は,その者が次の各号に適合し,かつ,その者の永住が日本国の利益に合すると認めたときに限り,これを許可することが出来る。ただし,その者が日本人,永住許可を受けている者又は特別永住者の配偶者又は子である場合においては,次の各号に適合することを要しない。 一 素行が善良であること 二 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること。 これらを読み解くと,永住ビザの要件は,①「素行が善良であること」,②「独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」,③永住申請者の「永住が日本国の利益に合する」と認められることの3つに分けることができます。 そして,これらの永住ビザの要件は,それぞれ次のように省略して呼ばれます。 ①素行善良要件 ②独立生計要件 ③国益適合要件 永住ビザを取得するメリットの一つとして,無期限の在留が可能ということは触れました。入管側も今後無期限に日本に在留をする方の審査となるので,今まで以上に慎重に審査を進めます。 以下,ガイドラインの内容も踏まえ,それぞれの永住ビザの要件と実務上の運用について解説します。 ①永住ビザの要件①「素行善良要件」 「素行善良要件」とは,法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいることを指します。 分かりやすく言い換えるとすると,普段の生活の中で,人に迷惑をかけずに生活していますか?ということです。 具体的には, 日本の法律に違反して,懲役,禁錮又は罰金刑を受けていないこと。 過去の在留の中で多数回の交通違反をしていないこと。 留学生や家族滞在等のビザの方が入管から資格外活動の許可を得て仕事をしていること,あるいはオーバーワークをしていないこと。 等があげられます。 この他にも,素行善良要件のケースはたくさん考えられますが,実際にはケースバイケースで判断されるため,明確な基準は存在しません。 もっとも,素行善良要件は高いハードルを課すものではありません。 この素行善良要件については,日常生活において法律に違反するような行動をしていなければ,特に心配する必要はありません。 ②永住ビザの要件②「独立生計要件」 「独立生計要件」とは,日常生活において公共の負担にならず,その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれることを意味します。 つまり,永住者として自立して生活することができる能力をチェックするための要件です。 具体的には,永住ビザの申請する方が自分で生計を立てるための収入源を持っていること, または,その方と同居している家族が世帯全体の生活を支えられるほどの収入源を持っていることです。 独立生計要件を考える上で重要となるのは,年収と対象期間の2つです。 年収について,入管は明確な基準は公表していませんが2人世帯までであれば300万円以上,3人世帯の場合は350万円以上,4人世帯の場合は400万円以上の年収が許可・不許可を分けるボーダーラインとされています。 独立生計要件は世帯の年収で審査されるため,同居している家族の中で,申請人以外にも収入を得ている家族がいる場合は,そのご家族の収入は永住ビザの審査対象となります。 なお,家族滞在ビザの方の年収は含まれない傾向が強いため,世帯の年収で申請を考える際には注意が必要です。…

配偶者ビザの不許可理由と対応策

1.配偶者ビザが不許可となる理由~交際に関すること~ 1-1.交際歴が短い 配偶者ビザを取得するためには,交際を経て,その関係が結婚にまで昇華したということを書面で立証していく必要があります。 自分たちは偽装結婚ではないから大丈夫!と考えられる方も多いのですが,交際歴が短い場合には,入管からあらぬ嫌疑を抱かれ,配偶者ビザが不許可になってしまうケースもあります。 では,どれくらいの交際歴が適正なのかという問いには,仮に身近なご友人が国際結婚をする場合,その交際歴で結婚をして大丈夫?と不安を感じるようであれば,配偶者ビザの不許可リスクは高まるとお考え下さい。 そのような場合には,通常よりも高度な婚姻実体の立証が必要となります。 1-2.年齢差が大きい 本来は,愛があれば年の差は関係ないはずです。 しかし,年の差婚の場合には,類型的に見ると日本人側が騙されてしまっている場合があり,入管もそういった事例を認識しています。 そのため,年の差婚で配偶者ビザを取得するためには,通常よりも慎重かつ丁寧な書面を作成し,夫婦としての実体を立証する必要があります。 1-3.コミュニケーションが取れていない 近時の配偶者ビザの審査で,入管が特に気にしているのが夫婦のコミュニケーションです。というのも,アプリを使ってコミュニケーションを図るケースや通訳者が別にいるケースは,夫婦のコミュニケーション不足から起きるトラブルも少なくないからです。 配偶者ビザの許可,不許可に関わらず,夫婦共通のコミュニケーション言語を持つことは,今後の夫婦関係はもちろんのこと,外国人配偶者の日本での生活を考えると非常に重要です。 1-4.親族が国際結婚をしたことを知らない 親,兄弟姉妹など,親族が結婚した事実を知らない場合には,配偶者ビザの不許可リスクが高まります。 実際,入管に提出する質問書という書類でも,親族が結婚の事実を知っているか否かは問われており,交際の信憑性を左右する一つの要素になっています。 そのため,両親に結婚を反対されていながらも結婚をしたケースなどでは,その経緯を丁寧に説明し,その他の交際実態の立証に注力することによって,真正婚であることを明らかにしていく必要があります。 1-5.一方の国でしか結婚をしていない 国際結婚は,当事者の双方の国籍国での手続きが完了していなければなりません。 そのため,一方国でのみ結婚を成立させた状態では,完全には国際結婚手続きを履践したとはいえず,婚姻の信憑性の判断において,不許可となる可能性があります。 「法務省における法令適用事前確認手続」(※注1)によれば,一方の国でしか結婚をしていない場合は,配偶者ビザが必ず不許可になるとは記載していないものの,相手国の婚姻証明書が提出されないことに起因して,婚姻実体の立証が不十分となることはあり得るとしています。 (※注1)法令適用事前確認手続とは,民間企業等が,実現しようとする自己の事業活動に係る具体的行為に関して,その行為が特定の法令の規定の適用対象となるかどうかをあらかじめその規定を所管する行政機関に確認し,その機関が回答を行うとともに,その回答を公表するものです(出典:法務省における法令適用事前確認手続~法務省におけるノーアクションレター制度について~)。 他方,日本人と外国人の結婚において,外国側の手続きが何らかの理由で履行できない場合であっても,婚姻届が受理され日本側の手続きを履行している場合には,入管に説明書を提出すれば,配偶者ビザの許可が下りる可能性はあります。 1-6.交際期間が前婚と重なっている 入管審査は,警察と同じく民事不介入であるため,たとえ交際期間が前婚と重なっている場合でも,配偶者ビザの審査上は問題ないとも考えられます。 確かに,入管の審査は,不貞行為の有無を明らかにする事を目的にするものではありません。しかし,社会通念で判断する入管審査においては,前婚期間中の交際は,信憑性がないと判断される可能性があります。 そのため,仮に前婚の婚姻関係が実質的に破綻をしていたのであればその具体的事実を,また前婚が破綻はしていなかった場合であっても,どのような経緯で交際を開始し,前婚が離婚に至り,そして再婚にまで至ったのかを明らかにする必要があります。 1-7.インターネットで出会っている 情報通信網の発達もあり,国際結婚の局面においても,出会いの形は多様化しています。それに伴い,偽装結婚の手口も,複雑かつ巧妙化しているのが現状です。 これらの状況に鑑み,出会いの経緯については,入管は特に慎重な審査をしています。インターネットで男女が出会うことは決して悪いことではありませんが,配偶者ビザの入管審査では通常よりも高いレベルで,婚姻に至るまでの経緯を明確にする必要があります。 1-8.結婚紹介所を介して出会っている 上記のインターネットで出会っている場合と同様,結婚紹介所を介して出会っている場合も交際の実態に嫌疑を抱かれやすく,配偶者ビザが不許可となりやすい一類型と言えます。 また,日本人側の婚姻意思が明らかであったとしても,外国人の方が国際結婚をビザ取得のための便法としていることもあるため,注意が必要です。 結婚紹介所を介して出会っている場合には,それぞれについて,なぜ結婚紹介所に登録するに至ったかなどを赤裸々に説明すると共に,二人の交際実態を明らかにしていく必要があります。 1-9.今のビザの期限直前に配偶者ビザ申請をしている 就労ビザを保有する外国人が離職中でビザの期限が迫っている場合や,留学ビザを保有する外国人が退学や卒業をして,次の進路が決まっていない状態でビザの期限が迫っている場合は,配偶者ビザの不許可リスクが上がります。 その理由としては,日本に滞在を続ける理由として,配偶者ビザを申請していると見られてしまう可能性があるため,通常に比べると配偶者ビザの審査が難化する傾向にあるからです。 このような場合には,就労ビザや留学ビザでの活動を離脱するに至った経緯を説明することはもとより,ご夫婦の交際実態の立証を慎重におこなった上,配偶者ビザを申請する必要があります。…

結婚ビザと配偶者ビザの違いとは?

1.結婚ビザと配偶者ビザに違いはある? これまでに,結婚ビザと配偶者ビザの違いを尋ねられることが何度かありました。 はたして結婚ビザと配偶者ビザに違いはあるのでしょうか。 実は,いずれも国際結婚したことにより取得するビザであり,違いはありません。 もっとも,結婚ビザや配偶者ビザがどのビザを意味するかについては,一方配偶者の方のビザの種類や国籍によって異なります。 例えば,日本人と結婚した場合には,日本人の配偶者等というビザ,永住者と結婚した場合には,永住者の配偶者等というビザという具合に,結婚ビザや配偶者ビザといっても,実際に取得するビザの名称は異なることがわかります。 つまり,結婚ビザや配偶者ビザと言われるものは,国際結婚をしたことによって取得するビザの総称であって,具体的なビザの種類は,一方配偶者のビザや国籍により異なるということです。 次のチャプターでは,国際結婚の組み合わせと取得できるビザの種類をみていきましょう。 2.結婚することで取得できるビザは意外に多い!? 現在,入管法には大きく分類すると,33種類のビザがあります。 さらに,その中の1つである特定活動ビザでは49種類に,定住者ビザも8種類に分類されています。 ここでは,国際結婚をすることによって,取得できるビザをみていきます。 配偶者の属性 取得できるビザ 日本人 日本人の配偶者等ビザ 永住者 永住者の配偶者等ビザ 定住者 定住者ビザ(定住者告示5号) 教授,芸術,宗教,報道,高度専門職,経営・管理,法律・会計,医療,研究,教育,技術・人文知識・国際業務,企業内転勤,介護,興行,技能,特定技能2号,文化活動,留学(※1)のいずれかのビザをお持ちの方 家族滞在ビザ 外交 外交ビザ 公用 公用ビザ 高度専門職 家族滞在ビザ又は特定活動ビザ(特定活動告示33号) 特定活動 特定活動ビザ(※2) ※1 但し,基準省令第1号ハは家族滞在ビザの対象になりません。 ※2 但し,特定活動告示3号,4号,7号,18号,19号,23号,24号,30号,31号,38号,41号,45号,47号,49号のいずれかに該当する場合に限ります。 上記の表からもおわかりのとおり,国際結婚をすることで取得することができるビザの種類は多岐に亘ります。 上記の表に関連して補足をすると,同性婚のパートナーが取得できるビザもあります。 その内容については,同性婚のパートナーはビザを取得できる? で詳しく記載していますので,ぜひ参考にしてください。 次に,たとえ国際結婚をしても,家族滞在ビザを取得できないビザがあることには注意が必要です。…

永住ビザのメリットとは?デメリットも合わせて解説

1.永住ビザを取得するメリット 永住ビザは,在留資格の中で最も取得するのが難しいビザです。 しかしながら,取得するメリットが数多くあります。 以下は,永住ビザを取得するメリットになります。 1ー①.永住ビザを取得すればビザ更新から解放される 在留期間の更新申請から解放されることが,永住ビザの最大のメリットに挙げられます。 在留資格にはそれぞれに在留期間が定められており,最長で5年とされています。 ビザが満了した場合にはビザの更新が必要ですが,更新や変更しなかった場合には帰国を選ばなければなりません。 永住ビザ(正確には在留資格「永住者」)も在留資格の一種ですが,永住ビザの在留期間は無期限とされています。 そのため,永住ビザを取得すれば,在留期間の更新申請を今後行う必要はなくなり,在留期限を気にする必要もなくなります。 外国人にとって,ビザは命の次に大切なものと言われており,ビザ更新の度に不安に駆られるものです。永住ビザを取得して,ビザ更新の不安から解放されることは,最大のメリットと言えるのではないでしょうか。 1ー②.永住ビザは活動制限がなくなる 在留資格にはそれぞれに活動内容が定められており,その活動を継続していなければなりません。 定められた活動を一定期間行っていない場合は,在留資格を取り消される可能性があります。 例えば,就労系の在留資格をお持ちの方が退職してしまうと,すぐに次の転職先を探さなければなりませんし,しかも在留資格に合った仕事でなければなりません。 配偶者系の在留資格をお持ちの方が離婚又は死別した場合は,再婚するか,他の在留資格に変更するか,それができなければ帰国を余儀なくされます。 永住ビザには,これらの活動制限がありません。 つまり,永住ビザを取得すれば,仕事内容を気にせずに転職先を自由に選べますし,離婚しても永住ビザが取り消されることもありません。 このように,永住ビザを取得すれば日本での活動制限がなくなりますので,これからの人生の選択肢が大きく広がることになります。 1ー③.永住ビザを持っていると在留特別許可が認められやすくなる あまり知られていませんが,永住ビザをお持ちの方は,在留特別許可が認められやすくなります。 在留特別許可とは,犯罪等により退去強制事由に該当する場合,本来は日本を退去されるべきではあるものの,法務大臣の裁決により特別に在留を認めるものです。 永住ビザを取得している場合は,在留特別許可を下すべきかどうかの場面において有利な事情として斟酌されます(入管法50条1項1号)。 なぜなら,永住ビザを既に取得しているという事実自体が,日本に高い定着性があるということを意味し,引き続き在留を認める必要性があるという評価になるからです。 万が一,法に触れるような行為を行ってしまった場合にも,永住ビザを取得していれば,強制的に退去させられる可能性を下げることができると言えるでしょう。 1ー④.永住ビザを取得すれば社会的な信用度が上がる 永住ビザを取得するためには,厳しい審査に通らなければなりません。 そのため,永住ビザを取得すれば,社会的な信用度も上がることになります。 社会的な信用度が増すことにより,就職や転職が有利になります。 また,不動産の賃貸も他の在留資格よりも容易に契約することができます。 さらに,外国人には難しい住宅ローンや銀行の融資なども日本人と同等の審査が受けられます。 1ー⑤.永住ビザを取得すれば在留資格の変更が必要なくなる 例えば,「日本人の配偶者等」のビザを保有している外国人が日本人の配偶者と離婚や死別をした場合,別のビザに変更しなければ日本に定住することはできません。 その場合は,他のビザへの変更や本国に帰国しなければなりません。 しかし,永住ビザを保有していた場合は,状況の変化が起こっても在留資格を変更する必要がありません。 2.永住ビザを取得するデメリット 永住ビザを取得することによるデメリットはほとんどありませんが,以下のようなデメリットが考えられます。 2ー①.永住ビザを取得すると高度専門職の優遇措置がなくなる 高度専門職ビザには,条件を満たした場合に親の帯同や家事使用人の帯同が認められるなどの優遇措置があります。 永住ビザに変更した場合には,高度専門職の優遇措置が認められなくなります。…

日本国籍取得について知りたい方|メリット・デメリット,難易度などを解説

1.日本国籍取得とは? 日本国籍とは,「日本」という国の構成員(国民)であるための資格です。 そして,日本国籍を取得するとは,「日本国民である」と日本国が認めることです。 どのような人をその国の国民として認めるかの要件は国ごとによって異なります。 日本では,日本国民であることの要件を国籍法で以下のように定めています。 国籍法第2条:出生による国籍取得 ①出生の時に父又は母が日本国民であるとき ②出生前に死亡した父が死亡の時に日本国民であったとき ③日本で生まれ,父母がともに不明のとき,又は無国籍のとき 国籍取得には大きく分けて「出生地主義」(両親の国籍に関係なく,子どもは生まれた国の国籍を得る)と「血統主義」(親の国籍を子どもが受け継ぐ)の2つの考え方があります。 日本は基本的に後者の血統主義を採用していますので,父又は母が日本国民であれば,その子は海外で生まれても,父が出生前に亡くなっていても,出生によって(出生届等の手続きは必要です)日本国籍を取得できます。 ここで言う「父」「母」とは,子どもの出生の時に法律上の親子関係がある父又は母のことです。 例えば父親が日本国籍で母親が外国籍の場合,結婚していなければ,あるいは父親が母親の妊娠中から認知(胎児認知)していなければ,日本国籍は取得できません。 また,例えば日本で子どもを出産したが母親が何らかの事情で行方不明で身元が分からず,父親も分からないといった場合,子どもが無国籍になる危険があります。 このような場合,できるだけ無国籍の子どもを出さないよう出生地主義を併用して(③の要件)日本国籍の取得を認めています。 国籍法第3条,第17条(届出による国籍取得) ①認知された子の国籍取得 ②国籍留保をしなかった方の国籍の再取得 ③その他の場合 一定の要件を満たす方は,法務大臣に届出ることによって,日本国籍を取得できる制度があります。 ①例えば,日本人の父と外国籍の母が結婚する前に生まれた子どもでも,出生後に父から認知された場合は, 届出の時に子どもが18歳未満である 認知した父が子どもの出生の時に日本国民である 認知した父が届出の時にも日本国民である などの要件を満たせば,届出によって日本国籍を取得することが可能です。 ②については,例えば日本人の父又は母の子どもが海外で生まれた場合,出生から3か月以内に在外日本大使館等を通じて日本側にも出生届を提出しなければなりません。 その際に「日本国籍を留保する」旨を届出なければ,日本国籍を出生時に遡って喪失することになります。 このような手続きを国籍留保と言い,その子が外国籍と日本国籍の両方を持てるようにしておくための手続きです。 ②の規定は,何らかの事情で国籍留保の届出をせず,日本国籍を喪失した子どもでも,国籍再取得の届出をすることで,日本国籍を取得できると定めたものです。 その際の要件とは, 国籍再取得の届出の時に18歳未満である 日本に「住所」(短期滞在等は不可)がある の2点です。 ③の「その他の場合」とは,「官報催告によって国籍を喪失した方の国籍再取得(国籍法第17条2項)」等の場合です。 官報催告とは聞きなれない言葉だと思います。 「日本国籍の留保」の届出をすれば,その子どもは日本を含め複数の国籍(重国籍)を持つことができますが,日本は重国籍を認めていませんから,基本的にその子が20歳に達するまで(重国籍になったのが18歳以上ならその時から2年以内)には,自分はどの国籍を選択するか決めなければなりません。 定められた期限までに国籍選択をしない時,法務大臣は書面で「どこかの国籍を選択してください」と「催告」し,定められた期間内にその人が日本国籍を選択しないと,日本国籍を喪失することになります。 なお,2022年4月1日より,民法改正に伴い日本の詩人年齢は18歳に引き下げられたことにより経過措置というものが取られていますので,ご自身がその経過措置に該当するか一度ご確認頂くことをお勧めします。 「催告」をする人がどこに居るか分からない場合等は,「官報」に掲載(官報催告)されることになります。官報は誰でも見ることが出来ますし,今ではインターネット上でも確認することが出来ます。しかし,官報は日本人でも見る機会がほぼほぼないものであり,自身で知らない内に日本国籍が剥奪されている可能性もあります。そのため,日本国籍を失ったことを知ったときから1年以内であれば,法務局に届出をすることで日本国籍を取得することができます。 また,地震や津波のような天災,もしくは,コロナウイルスなどにより外出することが出来なかったなど,申請人の責めに帰することが出来ない事由によって届出を出せなかった方は,その事由が消失した日から1ヶ月以内であれば,届出により日本国籍を取得することが出来ます。…

帰化申請の代行費用は?相場やパターン別の事例をご紹介!

1.帰化申請費用の相場とは? 帰化申請にかかる費用の相場は,以下2つのパターンによって異なります。 (1)帰化申請を代行してもらう場合 (2)帰化申請を自分で行う場合 基本的には,自分で帰化申請を行った場合の費用が安く,代行してもらう場合の費用が高くなります。 ただし,帰化申請を自分で行う場合は時間も手間もかかります。 それぞれのパターンの相場を確認して,どちらが自分に合っているか判断しましょう。 (1)帰化申請を代行してもらう場合にかかる費用(代行費用) 帰化申請を代行してもらう場合の費用(代行費用)は,一般的には,10万円~20万円が相場といわれています。 ただし,代行費用は個別のケースや行政書士によって異なるため,注意が必要です。 行政書士が登録をしている日本行政書士連合会では,全国的な報酬額統計調査を5年に一度おこなっています。 以下は,令和2年度の報酬額統計調査の結果です。 全国平均 最安値 最高値 帰化許可申請(被雇用者) 177,500円 44,000円 500,000円 帰化許可申請(個人事業主及び法人役員) 250,667円 70,000円 715,000円 帰化許可申請(簡易帰化) 172,167円 40,000円 500,000円 また,代表的な大手行政書士事務所の税別報酬を比較してみると,18万~20万円と相場の範囲に収まっていることがわかります。 基本料金 (会社員の場合) 同居の家族 3名家族の場合 基本料金 (会社役員の場合) 3名家族の場合 A社 19万円 5万円/人 29万円 23万円…

国際結婚して連れ子を呼び寄せるビザとは?定住者の取得条件や必要書類,解決事例を公開!

1.国際結婚して連れ子を呼び寄せるビザとは? 国際結婚をして連れ子を呼び寄せるためには,連れ子の在留資格である「定住者」が必要です。 連れ子の在留資格の種類は個別の事情によって異なりますが,一般的なケースでは「定住者」が該当します。 定住者ビザは,個々の外国人に対して特別な理由を考慮して居住を認める在留資格です。 このビザは,連れ子を含む外国人や難民,日系人などのケースにおいて,出生や人道上の理由に基づいて取得されることが一般的です。 以下では,連れ子が定住者ビザを取得する場合の要件や,手続き方法について詳しく解説します。 (1)連れ子ビザ(定住者ビザ)の取得条件とは? 連れ子ビザ(定住者ビザ)の取得は,以下の条件を満たす必要があります。 ①親が配偶者ビザを保有している 連れ子が定住者ビザを取得するためには,まず親が「日本人の配偶者」ビザ,または「永住者の配偶者」を取得している必要があります。 そのためには,法律上の正式な婚姻関係が必要です。 ②親の実子である 連れ子は外国人の親の実子である必要があります。 養子や前の配偶者の連れ子の場合は,定住者ビザの取得要件を満たせません。 ③子供本人が未成年かつ未婚である 連れ子は未成年かつ未婚である必要があります。 未成年とは,日本の法律で定められた18歳未満のことを指します。 ④親の扶養を受けて生活する 連れ子は日本で養育されるために呼び寄せられるので,親の扶養を受けて生活することが条件です。 連れ子を受け入れる家庭の経済状況や連れ子と夫婦の同居も審査の対象となります。 申請時には連れ子の年齢や親の扶養実績,交流の証拠などを提出する必要があります。 当事務所では,連れ子と外国人配偶者を同時に呼び寄せるための申請など様々なケースに対応していますので,ご相談ください。 (2)連れ子ビザ(定住者ビザ)のカテゴリーについて 定住者ビザのカテゴリーは,主に以下の5つに分類されていますが,本ページに記載している連れ子ビザは,④となります。 同じ定住者ビザではありますが,必要書類等を間違えないようにしてください。 ①外国人(申請人)の方が日系3世である場合 ②外国人(申請人)の方が日系2世の配偶者(夫又は妻)である場合 ③外国人(申請人)の方が日系3世の配偶者(夫又は妻)である場合 ④外国人(申請人)の方が「永住者」,「定住者」,「日本人の配偶者等」,「永住者の配偶者等」又は「特別永住者」のいずれかの方の扶養を受けて生活する,未成年で未婚の実子である場合 ⑤外国人(申請人)の方が「日本人」,「永住者」,「定住者」又は「特別永住者」のいずれかの方の扶養を受けて生活する,6歳未満の養子である場合 (3)連れ子との養子縁組は必ず必要ではない 国際結婚をして連れ子を呼び寄せる際に,連れ子との養子縁組が必要なのかという疑問を持つ方もいます。 しかし,定住者の在留資格で申請する場合, 日本人の父または母との養子縁組を行う必要はありません。 仮に,養子縁組が必要な場合には,外国法の手続きが複雑な場合もありますので大変です。 定住者ビザの申請においては,養子縁組をする必要はありませんので,安心して手続きを進めることができます。 (4)連れ子ビザ(定住者ビザ)も永住許可申請の対象になる 国際結婚をして連れ子を呼び寄せる際,連れ子ビザ(定住者ビザ)も永住許可申請の対象になります。 定住者ビザから永住許可を得ると,在留期間の定めがなくなり,ビザ更新の手間がなくなるので取得するのがおすすめです。 定住者ビザから永住許可を得るためには,以下の条件を満たす必要があります。…

タイ人との国際結婚|手続きの流れ,注意点,必要書類を行政書士が解説

1.日本とタイどっちで先に国際結婚の手続きをすればいいの? 国際結婚の手続きはお互いの国で行う必要があります。 手続きの順番に制限はないため,基本的に日本での手続きが先でも,タイでの手続きが先でも問題ありません。 しかし,配偶者の居住場所やビザの状況,結婚後にどちらの国で暮らすかなどによって,国際結婚の手続きのしやすさなどが異なります。 どういう場合にどちらの国で先に手続きをした方がよりスムーズなのか,詳しく解説します。 ①日本で先に国際結婚の手続きをした方が良い場合【日本方式】 日本で先に国際結婚の手続きをする方法は,「日本方式」と呼ばれています。 以下のような状況の方は,日本方式で国際結婚の手続きを行った方が効率的です。 配偶者の内どちらかがタイに渡航する余裕がない 結婚後は,日本で一緒に暮らす予定がある場合 タイ人配偶者が中長期の在留資格を持っていて,日本に居住している場合 日本で一緒に生活する場合は,最終的に「配偶者ビザ」が必要になります。 配偶者ビザは,日本の出入国在留管理局で申請する必要があります。 そのため,日本で一緒に生活する予定がある場合は,「日本方式」で国際結婚の手続きをするのがスムーズです。 ②タイで先に国際結婚の手続きをした方が良い場合【タイ方式】 タイで先に国際結婚の手続きをする方法は「タイ方式」と呼ばれています。 以下のような状況の方は,タイ方式で国際結婚の手続きを行った方が効率的です。 日本人配偶者が,就労ビザやリタイアメントビザを持っていてタイに居住している場合 結婚後,タイで一緒に暮らす予定がある場合 日本人配偶者がタイに居住していない場合,必要な書類を準備してもタイの市区町村役場で受理されないケースが多く報告されています。 そのため,就労ビザやリタイアメントビザを持っていない場合は,日本方式で手続きすることが望ましいでしょう。 また,タイに居住している場合でも,将来的に日本で共に暮らす予定がある場合は,国際結婚の手続きは日本方式で行うことをお勧めします。 2.タイ人との国際結婚で注意すること タイ人との国際結婚において,注意すべきことは以下の4つです。 ①婚姻可能な年齢について ②再婚禁止期間について ③タイでは婚姻要件具備証明書が発行されない ④結婚後の夫婦の名字は選択可能 ⑤重婚,近親者婚,精神障害による婚姻は禁止されている 実際に,国際結婚の手続きを行う前に確認しておきましょう。 ①婚姻可能な年齢について タイ人の婚姻可能な年齢は,男女ともに17歳以上です。 ただし,17歳未満であっても,裁判所の婚姻許可があれば婚姻することは可能です。 タイの成人年齢は男女ともに20歳以上になります。20歳未満の未成年者が結婚する場合は,父母の同意が必要です。 しかし,日本では男女ともに18歳以上でなければ結婚できないため,注意しましょう。 ②再婚禁止期間について 再婚禁止期間とは,女性が前婚から再婚までの結婚ができない期間を指します。 この期間は,待婚期間とも呼ばれます。 タイの場合,再婚禁止期間は前婚から310日必要です。 この期間は,再婚禁止期間が100日の日本よりも長くなります。…

インドネシア人との国際結婚|手続きの流れ,注意点,必要書類を行政書士が解説

1.インドネシアと日本双方の国での国際結婚の手続きが必要 インドネシア人と結婚するには、日本とインドネシア双方の国での国際結婚の手続きが必要です。 日本で先に手続きする場合は「日本方式」、インドネシアで先に手続きする場合は「インドネシア方式」と呼ばれています。 基本的に、どちらの国から先に手続きを始めても問題ありません。 よりスムーズに国際結婚の手続きを行うためには、以下のように、配偶者の居住先や所持しているビザの種類等によって検討すると良いでしょう。 日本人配偶者 インドネシア人配偶者 日本方式がおすすめ 日本に居住している 日本で一緒に暮らす予定 インドネシアに渡航するのが難しい 就労ビザ、留学ビザなどのビザを持っている インドネシア方式がおすすめ インドネシアに居住している インドネシアで一緒に暮らす予定 — ビザを持っていない また、日本方式で手続きを行う場合、インドネシアに行かずとも書類等の準備が可能であれば日本国内のみの手続きで済みます。 2.インドネシア人との国際結婚で注意すること インドネシア人との国際結婚において、注意すべきことが4つあります。 ①婚姻可能な年齢について ②再婚禁止期間について ③重婚について ④イスラム方式と非イスラム方式で手続きが異なる 実際に、国際結婚の手続きを行う前に確認しておきましょう。 ①婚姻可能な年齢について インドネシア人の婚姻可能な年齢は、男性が19歳、女性が16歳です。 また、21歳に達していないインドネシア人が婚姻する場合には、両親の許可が必要になります。 男女ともに、婚姻可能な年齢が18歳とされている日本とは異なるので注意しましょう。 ②再婚禁止期間について インドネシアの再婚禁止期間は、死別と離婚で区別されています。 死別の場合は130日間、離婚の場合は90日間が再婚禁止期間です。 ただし、例外として、死別や離婚の婚姻解消時点で懐胎していた場合には、出産以後、再婚禁止期間は適用されません。 また、同一の夫婦による再婚は3回してはならないという制限があります。 ③重婚について インドネシアでは、日本と同様に原則は一夫一妻ですが、イスラム教徒は一夫多妻制が認められています。 ただし、日本方式で婚姻する場合は重婚禁止規定になってしまうため、一夫多妻の婚姻届は受理されません。 インドネシア方式によって婚姻をした場合は、重婚についてインドネシアは有効と判断されます。 一方,日本については、民法上は婚姻の取消事由ではあるものの無効事由とはされていません。 そのため、重婚であっても婚姻届は受理され、日本人の戸籍に婚姻の記載をせざるを得ないとされています。…

中国人との国際結婚|手続きの流れ,注意点,必要書類を行政書士が解説

1.日本と中国どっちで先に国際結婚の手続きをすればいいの? 国際結婚をする場合,双方の国での手続きが必要です。 日本人と中国人の国際結婚においても同様ですが,どちらの国で先に手続きすれば良いのか悩まれる方も多いでしょう。 結論,どちらの国で先に手続きしても問題はありません。 しかし,配偶者のビザの有無や現在の居住場所,結婚後にどちらの国で一緒に暮らすかなどの状況によって,手続きのしやすさは変わってきます。 どちらの国で先に手続きした方が良いのか,状況によって判断すると,よりスムーズな手続きが可能になるでしょう。 ①日本で先に国際結婚の手続きをした方が良い場合【日本方式】 日本で先に国際結婚の手続きをする方法は,「日本方式」と呼ばれています。 以下のような状況の方は,日本方式で国際結婚の手続きを行った方が効率的です。 中国人配偶者が中長期ビザで日本に居住している 配偶者の内どちらかが中国に渡航する余裕がない 中国の親族に書類を代理取得して送ってもらえる 結婚後は,日本で一緒に暮らす予定 配偶者がすでに日本に居住していても,中国の親族に書類を送ってもらえる場合は,中国に帰国する手間が省けます。 ②中国で先に国際結婚の手続きをした方が良い場合【中国方式】 中国で先に国際結婚の手続きをする方法は,「中国方式」と呼ばれています。 以下のような状況の方は,中国方式で国際結婚の手続きを行った方が効率的です。 中国人配偶者が中国に居住している場合 配偶者の内どちらかが日本に渡航する余裕がない 結婚後は,中国で一緒に暮らす予定 このような場合には,日本人配偶者が中国に渡航し,中国方式で国際結婚の手続きをした方がスムーズでしょう。 2.中国人との国際結婚で注意すること 中国人との国際結婚において,注意すべきことが4つあります。 ①婚姻可能な年齢について ②再婚禁止期間について ③日本方式での国際結婚手続きの場合は「結婚証」が発行されない ④中国人の戸籍簿の婚姻状況欄を「既婚」に変更する手続きが必要 実際に,国際結婚の手続きを行う前に確認しておきましょう。 ①婚姻可能な年齢について 中国人の婚姻可能な年齢は, 男性は満22歳以上,女性は満20歳以上です。日本では男女とも18歳以上ですが,有効な婚姻を成立させるためには,日本人においても中国の婚姻法の要件を満たす必要があります。 ただし,日本で暮らしている中国人の場合は,在日中国公館・領事館で「中国法定婚姻年齢に満たない者の婚姻要件具備証明書申請」が可能です。 日本の法律により,日本の市区町村役場で結婚手続きを行えば,中国側は反対しないという申請になるため,中国の婚姻可能年齢に達していない場合でも婚姻を成立させることが可能になります。 ②再婚禁止期間について 中国の法律には,再婚禁止期間の定めがありません。 ただし,日本方式で婚姻手続きを行う場合は,日本民法の再婚禁止期間が適用されます。 日本再婚禁止期間は,前婚の解消又は取消の日から100日を経過していることが要件です。 中国人女性が妊娠していないという医師の診断書を提出することによって,100日を経過していない場合でも婚姻することも可能です。 ③日本方式での国際結婚手続きの場合は「結婚証」が発行されない 中国方式で婚姻が成立した場合は,「結婚証」という手帳が発行されます。…