永住ビザのメリット
日本に在留する外国人の多くは,将来永住ビザを取得したいと考えているかと思います。しかし,多くの方は,永住ビザを取得した場合のメリットを正しく理解できていないのではないでしょうか。
そこで,本ページでは,永住ビザのメリットをご説明いたします。
Index
1.永住ビザを取得すればビザ更新から解放される
第一に,在留期間の更新申請から解放されることが,永住ビザの最大のメリットに挙げられます。
在留資格にはそれぞれに在留期間が定められており,最長で5年とされています。永住ビザ(正確には在留資格「永住者」)も在留資格の一種ですが,永住ビザの在留期間は無期限とされています。そのため,永住ビザを取得すれば,在留期間の更新申請を今後行う必要はなくなり,在留期限を気にする必要もなくなります。
外国人にとって,ビザは命の次に大切なものと言われており,ビザ更新の度に不安に駆られるものです。永住ビザを取得して,ビザ更新の不安から解放されることは,最大のメリットと言えるのではないでしょうか。
2.永住ビザは活動制限がなくなる
在留資格にはそれぞれに活動内容が定められており,その活動を継続していなければなりません。定められた活動を一定期間行っていない場合は,在留資格を取り消される可能性があります。
例えば,就労系の在留資格をお持ちの方が退職してしまうと,すぐに次の転職先を探さなければなりませんし,しかも在留資格に合った仕事でなければなりません。配偶者系の在留資格をお持ちの方が離婚又は死別した場合は,再婚するか,他の在留資格に変更するか,それができなければ帰国を余儀なくされます。
永住ビザには,これらの活動制限がありません。つまり,永住ビザを取得すれば,仕事内容を気にせずに転職先を自由に選べますし,離婚しても永住ビザが取り消されることもありません。
このように,永住ビザを取得すれば日本での活動制限がなくなりますので,これからの人生の選択肢が大きく広がることになります。
3.永住ビザを持っていると在留特別許可が認められやすくなる
あまり知られていませんが,永住ビザをお持ちの方は,在留特別許可が認められやすくなります。
在留特別許可とは,犯罪等により退去強制事由に該当する場合,本来は日本を退去されるべきではあるものの,法務大臣の裁決により特別に在留を認めるものです。
永住ビザを取得している場合は,在留特別許可を下すべきかどうかの場面において有利な事情として斟酌されます(入管法50条1項1号)。
なぜなら,永住ビザを既に取得しているという事実自体が,日本に高い定着性があるということを意味し,引き続き在留を認める必要性があるという評価になるからです。
万が一,法に触れるような行為を行ってしまった場合にも,永住ビザを取得していれば,強制的に退去させられる可能性を下げることができると言えるでしょう。
4.永住ビザと帰化との比較
ご相談の中には,帰化と永住のどちらが良いか,という質問をよく受けます。
そこで,簡単に帰化と永住の違いを説明しましょう。
帰化は日本国籍を取得することを意味します。
日本国籍を取得するという事は,日本人になることと同じですので,法律上は外国人とは扱われません。仕事は自由に選べますし,離婚しても帰国しなければならないなんてことは当然ありません。刑罰法規に触れる罪を犯したとしても,国外追放なんてことは絶対にありえません。
また,日本人ですので,日本のパスポートを取得できます。日本は68ヶ国とビザ免除協定を結んでおり,協定国に観光で旅行に行く際には,ビザを取得する必要がありません。それに加えて,日本のパスポートは世界一信頼できる公文書と言われており,海外に行く際には大きな信用になります。海外によく行く方は,この点をメリットと感じていただけるかもしれませんね。
ここまでの話を聞くと,帰化の方が良いようにも思えます。しかし,日本は帰化による二重国籍を認めていませんので,帰化する際には出身国の国籍を放棄しなければなりません。出身国からすれば外国人という扱いになりますので,日本と査証免除協定を結んでいる国でない限り,出身国に帰省するたびにビザを取得しなければならないこともあり得ます。
一方で永住ビザは,国籍を変えるわけではありませんので,日本法上はあくまで外国人として扱われます。日本で外国人として扱われることによるデメリットはもちろんありますが,国籍は変わりませんので,出身国に帰省する際にビザを取得するようなことにはなりません。
帰化と永住ビザ,それぞれ異なる観点からメリットがあります。国籍を変えるかどうかという選択はアイデンティティに関わる重要なことですので,よく考えて選択してください。
5.永住ビザのメリットのまとめ
ここまでご紹介した永住ビザのメリットは,法的なメリットに過ぎません。
他にも,実生活上のメリットとして,永住ビザを取得した場合は,社会的な信用が高くなることが挙げられます。社会的信用が高くなるということは,ローンの融資が通りやすくなり,金利も低くなるので,夢のマイホームに一歩近づきます。
また,就労制限がなくなることから,企業側も雇用の際に業務内容を気にせずに雇入れることができる結果,転職がしやすくなります。
このように,永住ビザを取得すれば,法的にも実生活上も多くのメリットを享受することができます。これからも日本で暮らしたいと考えている場合は,いち早く永住ビザを取得されることをお勧めします。
行政書士法人第一綜合事務所にご相談いただければ,最短で永住ビザを取得できる方法をご案内いたします。