コラム

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【解決事例】経営管理ビザの手続きの流れ

1.経営管理ビザの申請の流れ ① 会社の本店所在場所となる事業所の確保(個人名義での契約) ② 会社設立手続き ③ 会社設立後,税務署等への開業届出の手続き ④ 事業に必要な営業許可の申請 ⑤ 会社の本店所在場所となる事業所について会社名義へ名義変更 ⑥ 経営管理ビザ申請書類の準備 ⑦ 経営管理ビザの在留資格認定証明書交付申請/在留資格変更許可申請 (1)事業所の確保(個人名義での契約) 経営管理ビザを取得するには,事業主名義(法人形態の場合は法人名義)で事業所を確保することが必要になります。もっとも,会社設立前の段階では,会社そのものがまだありませんので,個人名義でしか事業所を確保することができません。契約したい物件が見つかれば,ひとまず個人名義で契約し,会社設立後に法人名義に変更する旨を賃貸人に伝えておきましょう。 (2)会社設立手続き 会社設立手続きについては,「【事例解決】外国人が起業(会社設立)をする場合に知っておくべき事項」について詳細に記載しておりますので,ご参照ください。 (3)税務署等への開業届出の手続き 会社は設立登記によって成立しますが,事業を開始するには登記をして終わりというわけではありません。設立登記完了後は,遅滞なく税務署,市区町村,都道府県に法人設立の届出を行う必要があります。経営管理ビザ申請にあたり,入管に事業を開始する準備が整っていることを示すため,これらの届出の完了後の書類の写しを提出します。 (4)事業に必要な営業許可の申請 日本で行う事業が宿泊業,飲食業,不動産業,中古商品の輸出販売業など許認可が必要なものであれば,旅館業営業許可,飲食店営業許可,宅地建物取引業免許,古物商許可など必要な許認可を事前に取得してください。 (5)事業所の賃貸借契約の会社名義への変更 (1)のとおり,事業所を個人名義で賃貸借契約を締結しましたので,会社設立登記が完了後,経営管理ビザ申請前までに,賃貸借契約者の賃借人名義を会社名義に変更します。事業所を確保していることを立証するために,賃貸借契約書を提出することになりますが,その名義を会社名義にすることによって,会社が事業所を使用する権原を証明することになります。 (6)経営管理ビザ申請書類の準備 後述する「2.経営管理ビザ申請の必要書類」を準備して,入管に在留資格変更許可申請を行います。審査期間は概ね1ヶ月かかります。 許可の場合は新しい在留カードが交付され,同時に在留期間が決定されます。経営管理ビザの在留期間は,最長で5年で,3年,1年,4月,3月のうちいずれかが付与されます。会社設立をして初めて経営管理ビザを取得する場合,その在留期間は通常,1年の在留期間が付与されます。 2.経営管理ビザ申請の必要書類 経営管理ビザを申請する場合の必要書類については,所属機関(会社形態の場合は会社,個人事業形態の場合は個人)に応じ,カテゴリー1から4に分けて定められています。 カテゴリー1 ①日本の証券取引所に上場している企業 ②保険業を営む相互会社 ③外国の国又は地方公共団体 ④日本の国・地方公共団体認可の公益法人 ⑤高度専門職省令第1条第1項各号の表の特別加算の項の中欄イ又はロの対象企業(イノベーション創出企業) ⑥一定の条件を満たす企業等 カテゴリー2…

教授ビザとは?

1.教授ビザに該当する範囲は? 教授ビザに該当する範囲は,以下のケースです。 学長,所長,校長,副学長,副校長,教頭,教授,准教授,講師,助手等が研究,研究の指導又は教育を行う場合に該当します。 なお,上記の職名はあくまでも例示列挙となっています。そのため,実質的に上記機関において研究,研究の指導又は教育をする活動に従事するか否かが,教授ビザ取得の分水嶺となります。 2.教授ビザを申請する場合の必要書類 教授ビザを申請する場合の必要書類は,以下のとおりです。 なお,常勤,非常勤の違いによって,必要な書類が異なります。 (在留資格認定証明書交付申請) 〇在留資格認定証明書交付申請書 〇写真(縦4cm×横3cm) 〇パスポートのIDページコピー 〇返信用封筒(簡易書留用) 〇非常勤の場合には,大学等又は大学等以外の機関が作成する,申請人の大学等における活動の内容,期間,地位及び報酬を証明する文書 〇その他,審査上必要となる資料 (在留資格変更許可申請) 〇在留資格変更許可申請書 〇写真(縦4cm×横3cm) 〇パスポート及び在留カード 〇入管所定の葉書 〇非常勤の場合には,大学等又は大学等以外の機関が作成する,申請人の大学等における活動の内容,期間,地位及び報酬を証明する文書 〇その他,審査上必要となる資料 (在留期間更新許可申請) 〇在留期間更新許可申請書 〇写真(縦4cm×横3cm) 〇パスポート及び在留カード 〇入管所定の葉書 〇非常勤の場合には,住民税の課税(又は非課税)証明書及び納税証明書(1年間の総所得及び納税状況が記載されたもの) 〇その他,審査上必要となる資料 3.教授ビザQ&A 教授ビザについて,ご質問の多い事項を以下にまとめています。 Q 大学の別科において,留学生向けの教育を行う予定としております。大学の別科は「日本の大学」と判断して良いのでしょうか。 A 教授ビザで規定する大学には,日本の4年制大学はもとより,大学の別科が含まれていますので,日本の大学と判断して問題ありません。 Q 警察大学校で教育活動を行う場合のビザは,教授ビザで間違いないでしょうか。 A 各省が所管している大学校は,教授ビザで来ている大学に準ずる機関には当たりません。したがって,教授ビザは取得することが出来ません。本件では,技術・人文知識・国際業務ビザなどを検討する必要があります。 Q 非常勤講師として大学院で勤める予定です。非常勤であっても,教授ビザは取得することが出来るのでしょうか。…

教育ビザとは?

1.教育ビザを申請する場合の必要書類 まずは,教育ビザに必要となる書類をみていきましょう。 教育ビザを申請する場合の必要書類は,以下の法務省ホームページをご覧ください。 (在留資格認定証明書交付申請) http://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/shin_zairyu_nintei10_10.html (在留資格変更許可申請) http://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/shin_henko10_09.html (在留期間更新許可申請) http://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/shin_zairyu_koshin10_10.html 2.教育ビザQ&A 教育ビザについて,ご質問の多い事項を以下にまとめています。 Q 入管法で規定するその他の教育とは,どのような教育内容を意味しますか? A 教育ビザは,「語学教育その他の教育をする活動」と入管法で規定されています。ここでいう語学教育は,あくまで例示であって,あらゆる教育が含まれます。そのため,教育ビザの活動内容は,語学教育に限定されるものではなく,幅広い教育活動が許容されています。 Q 高等専門学校(いわゆる高専のことです。)で教育ビザは取得できますか? A 高等専門学校は,高等教育機関と位置付けられています。そのため,高等専門学校において行う教育活動は,教育ビザではなく,教授ビザの対象となります。 Q 専修学校において教育活動は行わず,専ら研究活動に従事する予定です。この場合,教育ビザを取得できますか? A 専修学校において行う教育活動と不可分の関係にある研究,研究の指導を行う場合には,教育ビザを取得することが可能です。もっとも,今回のご質問のように専ら研究活動を行うということであれば,教育ビザの取得は困難です。この場合には,研究ビザの取得可能性があります。 Q 教育ビザの在留期間を教えてください。 A 5年,3年,1年,3月の在留期間が付与されます。 Q 教育ビザのカテゴリー1から3について教えて下さい。 A 教育ビザのカテゴリーは,以下のとおりです。なお,いずれのカテゴリーに該当するかによって,入管への提出書類が異なりますのでご注意下さい。 ①カテゴリー1・・・小学校,中学校,高等学校,中等教育学校,特別支援学校に常勤で勤務する場合 ②カテゴリー2・・・上記以外の教育機関に常勤で勤務する場合 ③カテゴリー3・・・非常勤で勤務する場合 Q 専門学校で教員として勤務することを希望しています。教育ビザを取得するためには,大学等の卒業が必要でしょうか? A 専門学校で教員の職に就かれるのであれば,入管法上の学歴要件は不要です。もっとも,以下の専修学校設置基準に基づく資格を有している必要があります。 (教員の資格) 第四十一条…

技能ビザとは?

1.技能ビザに該当する具体的な職業は? 技能ビザに該当する職業として,調理師,ソムリエ,外国特有の建築技術者,外国特有製品の製造又は修理,宝石・貴金属・毛皮加工,動物の調教,石油・地熱等掘削調査,パイロット,スポーツの指導者などがあげられます。 技能ビザの基準省令の1号から9号に,それぞれの内容及び要件が定められています。 2.技能ビザの実務経験は何年必要? 技能ビザを取得するためには,それぞれ行おうとする活動について,一定の実務経験が必要になります。 それぞれの職業別に,経験年数を下記の表でまとめていますので,ご確認ください。 基準省令 職業 経験年数 1号 調理師 10年以上[※1] 1号 タイ料理の調理師 5年以上[※2] 2号 外国特有の建築技術者 10年以上[※3] 3号 外国特有製品の製造又は修理 10年以上[※1] 4号 宝石・貴金属・毛皮加工 10年以上[※1] 5号 動物の調教 10年以上[※1] 6号 石油・地熱等掘削調査 10年以上[※1] 7号 パイロット(航空機操縦士) 250時間以上の飛行経歴 8号 スポーツの指導者 3年以上[※1] 9号 ソムリエ(ワイン鑑定等) 5年以上[※1] ※1 …

帰化許可申請の面接について

1.帰化許可申請の面接を行うまでの流れ Ⅰ.担当官の決定 管轄法務局にて帰化許可申請を行い,法務局にて書類を受理後,数週間で申請者ごとに担当官が決定されます。帰化許可申請においては,この担当官が書類内容を精査し,申請人の状況と書類の整合性をチェックします。 Ⅱ.法務局担当官との面接日程調整 帰化許可申請を行ってから,3ヶ月程度で担当官から申請人へ面接の連絡があります。面接日程は申請人の融通を聞いてくれるケースが多いので,無理のない日程で予約しましょう。ただし,担当官を長く待たせ過ぎると,審査日程に影響を及ぼす可能性がありますので,なるべく早めに面接日を決めましょう。 面接は,15歳以上の申請人全員が受けることになります。平日に行われますので,勤務先との調整や,お子様の通学先の行事日程も確認しておきましょう。 また,面接の連絡と同時に追加提出の書類を求められることもあります。 2.帰化許可申請の面接でよくある質問事項 面接で質問される事項は公表されておらず,実のところ明確に決まっている質問事項はありません。申請人それぞれによって状況が異なるため,担当官は各申請人に合わせた質問をするからです。また,担当官独自の判断だけではなく,各都道府県の法務局本局や法務省本庁の審査部門から確認内容の指示を受けて質問をする場合もあります。 そのため,面接が30分以内で終わる方もいれば,2時間以上かかる方もいらっしゃいます。 以下では,これまでの案件で多くあった質問事項をご紹介しますので,参考にしてください。 a.申請内容の記載事項の確認に関する質問 帰化申請の際に提出した申請書の内容について,担当官から質問を受けることがあります。 ≪よくある質問事項≫ ・来日の経緯 ・日本に居住する意思の確認 ・日本国籍を取得する理由 ・日本人と結婚されている場合,配偶者との結婚に至るまでの経緯 ・両親や親族との身分関係に関すること ・家族以外の同居人がいる場合,その同居人との関係性や収入 ・過去に違法行為があればその経緯 b.生計状況に関する質問 申請人に応じて状況は異なりますが,申請人の生計の状況は厳格に審査され,面接においても詳細な質問がされています。また,適正に税金を納めているかどうかや,公的年金の保険料を納付しているかどうかも厳格に審査されます。そのため,納税意思や将来に向かっての年金保険料の納付意思も確認されることがあります。 ≪よくある質問事項≫ ・来日後の仕事の転職時期 ・現在の仕事の内容 ・現在の家計の支出状況(貯金や借金)や今後の見込み ・税金の支払状況および公的年金の加入状況 c.日本語能力の確認 これから日本人として生活をしていく上で,日本語の読み書きや日本語を話せることが必要になってきます。そのため,担当官は面接での受け答えから申請人の日本語能力の審査も行っています。一般的には小学校3年生レベルの日本語能力が必要とされています。簡単なペーパー試験を受けることもありますので,自信のない方は事前に勉強しておきましょう。 【面接でのポイント】 担当官との面接を行う上で,大切なポイントがあります。 それは,帰化許可申請で提出した申請書の内容と面接で答える内容に相違が無いかどうかです。申請人が面接の際に嘘をつくつもりが無くても,緊張や不安から間違ったことを言ってしまうこともあります。落ち着いて受け答えするように心がけてください。 当社では,少しでも自信を持って面接に臨んでもらえるように,事前に想定される質問を幾つかさせていただき,予習をしてもらいます。申請の不安を取り除くことも,専門士業の大切な役割と捉えています。 Ⅲ.面接実施 法務局担当官との面接は,申請人本人のみで受けることが原則とされています。 一方で,配偶者や同棲されている方など,申請者の生計や身分関係に大きく関わる人も一緒に同行するように求められるケースもあります。 当日の服装は基本的に自由です。私服でも問題ありません。しかし,見た目が印象を大きく左右するのも事実です。審査官の心象を悪くするような派手な服装やラフすぎる服装は避け,なるべく清潔感のある服装を心がけましょう。 3.まとめ 帰化の審査は基本的には書類審査ですが,担当官との面接内容も審査資料の一部になります。当社では,申請書類の作成に留まらず,担当官による面接において想定される質問内容や帰化面接における注意点を,お客様にご説明しております。…

帰化許可後の手続き

1.帰化許可後の手続きについて 帰化が許可され日本国籍を取得した場合,帰化後には様々な手続きが必要になります。帰化が許可されると,法務局から身分証明書が交付され,市区町村役場への帰化届出や各種名義変更等,行わなければならない手続きが数多くあります。 以下においては,帰化許可後に必ずしなければならない手続きをご紹介します。 Ⅰ.市区町村役場への帰化届の提出 帰化が許可されると,官報に氏名と住所が掲載されます。その後,2週間程度で法務局から許可の連絡があり,法務局で「帰化者の身分証明書」が交付されます。これを帰化許可申請時に本籍地とした地を管轄する市区町村役場に,帰化届と一緒に提出してください。帰化届を提出する事で,戸籍が編製されます。 帰化届を提出する上で,気を付けなければならない点が提出期限です。帰化届は,官報掲載日から掲載日を含めて1ヶ月以内に提出しなければなりません。 帰化届の提出に必要な書類は以下の通りです。 ・帰化届書 ⇒日本人の配偶者がいる場合は,配偶者の署名・捺印が必要となります。 ・届出人の印章(ハンコ) ⇒日本人の配偶者がいる場合は,配偶者の印章も必要です。 ・帰化者の身分証明書 ⇒法務局から交付されます。 上記の必要書類は一般的なものになりますので,実際に帰化届を提出される場合は,管轄の市区町村役場へ事前に確認してください。 Ⅱ.在留カードもしくは特別永住者証明書の返納 帰化許可により日本国籍を取得した時点で,外国人ではなくなります。住所地を管轄する地方出入国在留管理局に在留カードを返納してください。特別永住者の場合は,市区町村役場に特別永住者証明書を返納してください。 なお,在留カードまたは特別永住者証明書の返納は,身分証明書の交付から14日以内に行わなければなりません。帰化届の提出期限よりも短いので,身分証明書が交付されてから速やかに返納するようにしましょう。 上記2つの手続きは帰化許可後,必ず行う手続きになります。 そのため,期限内に手続きを行わなければ,罰金刑を科されることがありますので,期限には十分に注意して手続きを行いましょう。 2.国籍による手続きの違いについて 帰化届の提出,在留カードまたは特別永住者証明書の返納以外にも,本国の国籍離脱の手続きを行う必要がある場合があります。 本国の国籍離脱手続きは国によって様々ですので,大使館または領事館に国籍離脱方法を事前に確認する必要があります。 以下では,帰化許可申請の主要国である韓国と中国の国籍離脱手続きをご紹介します。 【韓国の場合】 韓国の法律上,韓国の国籍を喪失した者は,法務部長官へ国籍喪失届を提出しなければならないと定められています。 具体的には,在日韓国大使館または総領事館へ国籍喪失届を提出します。国籍喪失届を提出しないまま放っておくと,韓国の登録簿に依然として韓国籍のまま記載が残ったままになり,相続等の際に大きな支障が生じることになります。 【中国の場合】 中国の場合は,帰化許可申請時に国籍証明書を法務局へ提出し,中国国籍の離脱意思があることを法務局に提出します。 国籍証明書は,管轄の在日中国大使館または領事館に,退出中華人民共和国国籍証書を申請して手に入れることができます。 中国は中国国籍法第9条で,「外国に定住している中国公民で,自己の意思によって外国の国籍に入籍し又は取得した者は自動的に中国国籍を失う。」と定めています。 つまり,中国も日本と同様に二重国籍を認めておらず,中国以外の国籍を取得した時点で自動的に中国国籍を失うことになります。 自動的に中国国籍を失うということは,国籍証明書以外の手続きは行わなくて良いのか?というとそういう訳ではありません。以前は国籍証明書を取得した時点で中国旅券(パスポート)が失効する扱いになっていましたが,平成28年5月以降から,国籍証明書を発行しても中国旅券(パスポート)は失効しなくなりました。つまり,帰化許可申請後も中国旅券を使用することが可能になりました。 これに伴って,帰化許可を取得した方は,中国旅券の失効手続きを行わなければならなくなりました。また,中国旅券の失効手続きと一緒に,中国国籍を離脱した報告を行うことで,中国側へ日本国籍を有していることを示すことになります。 このように,中国国籍の方の国籍離脱は平成28年以降から手続きが変わっていますので,注意してください。 3.帰化不許可時の対応について 次は,帰化許可申請の不許可時の対応をご紹介します。 実は,帰化許可申請の不許可は,あまり想定されていません。何故かと言うと,帰化の許可要件に適合しない事項があれば,「申請が受理されない」か「申請後に申請取り下げ」を法務局から指示されるからです。帰化許可申請は,審査に辿り着くまでの申請を事前に絞っているため,帰化許可申請の許可率は,入管での永住許可申請に比べると非常に高くなっています。 しかし,帰化許可申請後の審査中に,長期出国,交通事故および刑事犯罪などで消極的事由があるために,不許可になるケースもあります。 また,不許可理由の中で最も懸念されるのは,申請内容と実態との間に齟齬があった場合です。この場合は,もちろん今回の帰化許可申請は不許可処分となり,次回以降の帰化許可申請を検討するときも,書類審査のハードルが上がりますので,実態との齟齬のある申請は絶対に行わないようにしましょう。 また,帰化許可申請の不許可は,申請人の自宅への不許可通知書の郵送によって通知されます。…

企業内転勤ビザとは?必要書類や活動内容,許可要件などを解説!

1.企業内転勤ビザに該当する範囲は? (1)企業内転勤ビザにより行うことができる活動内容 企業内転勤ビザにより行うことができる活動内容は,技術・人文知識・国際業務ビザの活動内容と同じです。 転勤者であれば,入管法に定めの無い法定外業務も従事できると勘違いされている方が多い印象ですが,企業内転勤ビザの活動内容には制限があります。 仮に,企業内転勤ビザのルールを知らずに,法定外業務に就かせると,企業は不法就労の罪に問われ,勤務している外国人は,資格外活動罪に問われてしまう可能性があります。 とても重要なことですので,下記コラムをご参照ください。 ・知らなかったでは通用しない不法就労助長罪とは? ・法定外活動の際に問われる資格外活動罪とは? (2)入管法の解説 (2)では,企業内転勤ビザの入管法の規定を,次の(3)では,企業内転勤ビザの上陸許可基準省令の規定をそれぞれ解説していきます。 内容的には,少し難しい内容です。 本邦に本店,支店その他の事業所のある公私の機関の外国にある事業所の職員が本邦にある事業所に期間を定めて転勤して当該事業所において行うこの表の技術・人文知識・国際業務の項の下欄に掲げる活動 ア.「本邦に本店,支店その他の事業所のある公私の機関」とは? 民間企業のみならず,公社,独立行政法人およびその他の団体(JETRO,経団連等)が含まれます。 外国の政府関係機関または外国の地方公共団体(地方政府を含みます。)の関係機関も含まれます。 ただし,外国の政府関係機関の場合に当該機関における活動が「外交」または「公用」の在留資格に該当するときは,企業内転勤ビザではなく,外交ビザか公用ビザが付与されることになります。 イ.「転勤」とは? 「転勤」は日常用語では,同一社内の異動を指すことが多いですが,企業内転勤ビザの「転勤」は,系列企業内の出向等も含まれます。 ここでいう「系列企業内」とは,財務諸表等の用語,様式および作成方法に関する規則(以下「財務諸表規則」といいます。)第8条にいう「親会社」,「子会社」,および「関連会社」を意味します。 財務諸表規則第8条の「親会社」,「子会社」,または「関連会社」にあたらない,単なる業務提携関係では,企業内転勤ビザは取得できませんので注意してください。 (3)上陸許可基準省令の解説 企業内転勤ビザは,在留資格該当性に加え,上陸許可基準適合性も求められる在留資格です。 上陸許可基準省令によれば,申請人が次のいずれにも該当していることとされています。 【上陸許可基準省令】 一 申請に係る転勤の直前に外国にある本店,支店その他の事業所において法別表第1の2の表の技術・人文知識・国際業務の項の下欄に掲げる業務に従事している場合で,その期間(企業内転勤の在留資格をもって外国に当該事業所のある公私の機関の本邦にある事業所において業務に従事していた期間がある場合には,当該期間を合算した期間)が継続して1年以上あること。 二 日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上の報酬を受けること。 転勤前の業務は,「技術・人文知識・国際業務」の項の下欄に掲げる業務であれば足り,転勤後,日本において従事する業務と同一または関連する業務であることまでは必要ではありません。 また,申請人が日本の本店,支店その他の事業所に転勤する直前に1年以上継続して勤務していたことが必要です。 ただし,直前の1年以内に外国の事業所等から転勤して日本にある事業所に企業内転勤ビザで在留していた期間がある場合は,その期間を含めることができます。 なお,「技術・人文知識・国際業務」の上陸許可基準で要求される学歴要件や実務要件は要求されていませんので,大卒者でない方や実務経験が浅い方でも企業内転勤ビザの対象になります。 報酬の支払主体については,企業内転勤ビザは「技術・人文知識・国際業務」のように雇用契約の締結主体に限定されません。 例えば,基本給は外国の本社が支払い,それに加えて,日本にある支社が住居費等の生活に伴う各種手当をいくらか補完して支払うという場合でも,その合計額が「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上」であれば,企業内転勤ビザは許可されています。 2.企業内転勤ビザを申請する場合の必要書類 企業内転勤ビザを申請する場合の必要書類は以下のとおりです。 下記に入管のホームページを記載しています。 なお,企業内転勤ビザのカテゴリーは,就労ビザのカテゴリーによって提出書類が変わる!? に記載していますので,ご確認ください。…

簡易帰化および大帰化について

1.簡易帰化について 簡易帰化とは,一定の身分や条件を満たす場合に,帰化許可の7つの要件(ここでは「普通帰化」と定義します。)が一部緩和される申請を指します。 つまり,該当する条件によりますが,一定の身分や条件を満たす場合には普通帰化の7つの要件を全て満たさなくても帰化許可される可能性があります。 簡易帰化は申請人のそれぞれの身分や条件によって,緩和される要件が異なりますので,自分がどの身分や条件を満たしているのかを確認し,同時にどの要件が緩和されるのかを把握する必要があります。 簡易帰化には9つのパターンがありますので,それぞれの要件を順に確認していきましょう。 Ⅰ.住所要件のみ緩和される場合 a.日本国民であった者の子(養子を除く)で,引き続き3年以上日本に住所又は居所を有する者 ⇒もともと日本国籍を有していた方が,再度日本国籍を取得する場合は,本来5年以上日本に住所又は居所を有しなければならないところ,これが3年以上に緩和されます。 b.日本で生まれた者で3年以上日本に住所又は居所を有し又はその父もしくは母(養父母を除く)が日本で生まれた者 ⇒特別永住者の方がこの条件に該当するケースが多いです。 この場合も,5年以上の住所要件が緩和され,3年以上に緩和されます。 c.引き続き10年以上日本に居所を有する者 ⇒特別永住者,永住者および留学から日本に引き続き在留している方がこの条件に該当するケースが多いです。 また,普通帰化の場合は,5年以上の日本在留のうち3年間以上の就労が必要ですが,引き続き日本に10年以上在留している場合は1年以上の就労で住所要件を満たすことになります。 <ポイント> 簡易帰化では,住所と居所の使い分けがあります。 住所とは,日本で生活の本拠を意味し,原則3ヶ月を超えて在留する外国人には住所を届け出る義務があります。 居所とは,生活の本拠ではないものの,人がある期間継続して滞在する場所をいいます。短期滞在者等の日本における居所がこれにあたります。 Ⅱ.住所要件および能力要件を緩和 d.日本国民の配偶者たる外国人で,引き続き3年以上日本に住所又は居所を有し,かつ,現に日本に住所を有する者 ⇒日本人と婚姻関係にある方が該当します。 また,ここでのポイントは,日本人配偶者との婚姻期間は必ずしも3年以上必要ではないということです。つまり,日本に3年以上住んでいた方が日本人と結婚した時点で,この要件に該当するということです。 この要件に該当する場合,住所要件に加えて能力要件が緩和され,20歳未満であっても帰化許可申請を行うことができます。 e.日本人の配偶者で婚姻から3年以上経過し,かつ,1年以上日本に住所を有する者 ⇒日本人と結婚をして,海外で2年以上夫婦生活を送ったあと,日本に生活の本拠を移し,1年以上日本人配偶者と共に生活を送った場合にこの要件に該当します。 この要件に該当する場合にも,住所要件に加えて能力要件が緩和され,20歳未満であっても帰化許可申請を行うことができます。 Ⅲ.住所要件,能力要件および生計要件を緩和 f.日本国民の子(養子を除く)で日本に住所を有する者 ⇒父又は母が先に帰化許可申請を行い日本国籍に帰化をして,その後子が帰化許可申請をする場合が該当します。 また,国際結婚を経た両親(日本人と日本以外の国籍者)の子で,国籍選択のときに日本国籍を選択しなかったが,後に帰化する場合も該当します。 この要件に該当する場合は,日本に住所を有する年数は問われず,能力要件および生計要件も緩和されます。 g.日本国民の養子で引き続き1年以上日本に住所を有し,かつ,縁組の時本国法により未成年であった者 ⇒親が日本人と結婚し,未成年の当時に継父母と養子縁組をした連れ子が該当します。 この場合,引き続き1年以上日本に住所を有し,かつ,縁組の時に未成年であれば要件を満たすことになります。 h.日本の国籍を失った者(日本に帰化した後日本の国籍を失った者を除く)で日本に住所を有する者 ⇒元は日本人だったものの日本国籍を喪失した方が,再度日本国籍を取得する場合はこの要件に該当します。 ただし,一度帰化を行い日本国籍の取得をしている者が,日本国籍を喪失後に更にもう一度帰化許可申請を行う場合は,この要件に該当しません。 i.日本で生まれ,かつ,出生の時から国籍を有しない者でその時から引き続き3年以上日本に住所を有する者 ⇒日本で生まれ,何らかの理由により無国籍の状態になっている方が,出生から引き続き3年以上日本で住所を有している場合に該当します。 以上が簡易帰化の9つの類型になります。…

仮放免許可申請とは?

1.仮放免とは? 仮放免とは,収容令書又は退去強制令書によって収容されている外国人について,請求又は職権によって一時的に収容を停止し,身柄の拘束を仮に解く措置のことをいいます。 刑事事件における「保釈」をイメージして下さい。 入管法第54条には,以下のとおり定められています。 (1)収容令書若しくは退去強制令書の発付を受けて収容されている者又はその者の代理人,保佐人,配偶者,直系の親族若しくは兄弟姉妹は,法務省令で定める手続により,入国者収容所長又は主任審査官に対し,その者の仮放免を請求することができる。 (2)入国者収容所長又は主任審査官は,前項の請求により又は職権で,法務省令で定めるところにより,収容令書又は退去強制令書の発付を受けて収容されている者の情状及び仮放免の請求の理由となる証拠並びにその者の性格,資産等を考慮して,三百万円を超えない範囲内で法務省令で定める額の保証金を納付させ,かつ,住居及び行動範囲の制限,呼出しに対する出頭の義務その他必要と認める条件を付して,その者を仮放免することができる。 (3)入国者収容所長又は主任審査官は,適当と認めるときは,収容令書又は退去強制令書の発付を受けて収容されている者以外の者の差し出した保証書をもつて保証金に代えることを許すことができる。保証書には,保証金額及びいつでもその保証金を納付する旨を記載しなければならない。 下記,順にみていきましょう。 2.仮放免許可申請を出来る人は? 仮放免許可申請を出来るのは,下記の方々です。 ①収容されている外国人本人 ②収容されている外国人の代理人 ③収容されている外国人の保佐人 ④収容されている外国人の配偶者 ⑤収容されている外国人の親や子などの直系親族 ⑥収容されている外国人の兄弟姉妹 3.仮放免許可申請の必要書類 仮放免許可申請を行う局面は,収容令書によって収容されている場合の他,退去強制令書によって収容されている場合があります。 前者は,収令仮放免や退令前仮放免と呼ばれ,後者は退令仮放免と呼ばれます。 それぞれの局面により,仮放免許可申請に添付する書類は異なります。 そのため,本ページでは一般的な必要書類を記載しています。 ①仮放免許可申請書(別記第六十六号様式(第四十九条関係)) ②仮放免許可理由書 ③身元保証書 ④誓約書(身元保証人用) ⑤誓約書(被収容者用) ⑥身元保証人の住民票(本籍地記載,マイナンバーの記載がないもの) ⑦身元保証人の収入関係証明(EX:在職証明書,課税証明書など) ⑧委任状(代理人が申請をする場合) その他に提出する書面としては, ・収容場では治療困難な病気を患っていることを示す資料 ・ご家族の状況によって収容困難であることを示す資料 などが考えられます。 また,退令前仮放免の場合には, ・在留特別許可が認められる可能性が高いことを示す資料 退令仮放免の場合には, ・長期収容により心身が疲弊していることを示す資料 なども有効な提出資料の一つです。 4.仮放免の許可要件 実は入管法には,仮放免許可の要件についての定めはありません。入管のホームページにも,…

日本の永住権は難しい?永住ビザ申請についてよくあるご質問

Q1.転職が多いのですが,永住権を取得するのは難しいですか。 A1.転職回数は,永住ビザ申請の結果に影響を与える可能性があります。例えば,転職が多い場合は,再就職までの期間を検証する必要があります。たとえ就労ビザの保有期間が5年を経過したとしていても,5年の期間に転職活動の期間を含んでいる時には注意を要します。また,転職してから安定的な就労状況にあるかという点も永住権では審査されます。転職してから時間が経過していない場合には,安定性がないとして永住権の申請が不許可になってしまうリスクがあると言えるでしょう。 Q2.貯金はどれくらいあれば,永住権の申請で有利になりますか。 A2.永住権の審査において,貯金額の基準は定められていません。そのため,貯金がいくらあるから永住権が許可されるというわけではないのです。 上記に関連してご説明すると,入管実務では,実は貯金額よりも年収の方が重視されています。もっとも,就労ビザで勤務する中で,所得に応じた貯金を形成している事実は,生活状況,経済基盤の安定性を示すものとして,永住権の審査上,積極的な一事情に数えられます。 Q3.家族滞在ビザを持っている配偶者や子供も一緒に永住ビザ申請した方が良いですか。 A3.配偶者やお子様が永住権の要件を満たしているようであれば,一緒に永住権の申請をするのが良いでしょう。仮に,何らかの理由があり,単独で永住権を取得した場合には,配偶者やお子様は,永住者の配偶者ビザや定住者ビザに変更をする必要があります(詳細は【解決事例】夫が永住ビザを取得したら妻の家族滞在ビザはどうなる? をご覧ください。)。別々に申請すると,ビザの申請回数が増え,申請毎にそれぞれ書類を用意しなければなりません。やはり,永住権の要件を満たしているのであれば,家族一緒に永住権の申請をするほうが手続上のメリットがあるといえるでしょう。 Q4.交通違反を何度かしてしまいました…。永住権を取得するのは難しいですか。 A4.まずは,交通違反の度合いを検証する必要があります。1,2回程度の軽微な違反であれば,永住権の申請に大きく影響することはないといってよいでしょう。しかし,繰り返し交通違反を行っている場合は,永住権の審査に影響する可能性があります。 なお,交通違反をしてしまって罰金を支払った経歴のある方は,罰金を支払った日から5年を経過しなければ永住許可が認められない可能性が高くなります。 いずれにしても,永住権の審査の如何に関わらず,日頃より安全運転を心掛けることは重要です。 Q5.これまで年金を払ったことがありません。今から年金を払って永住権は取得できますか。 A5.国民年金は,最大25ヶ月間を遡って支払うことができます。入管局によって取扱いが多少異なりますが,過去2年内に支払遅延や未払いがある場合には,永住権が許可される可能性は非常に低くなります。 上記の交通違反のお話と同様に,永住権の審査に関わらず,年金の支払いは公的義務の一つであるため,期限までに支払うことが永住権の許可への近道であることは間違いありません。 Q6.私は仕事の都合で日本を出国することが多いのですが,永住権を取得することはできませんか。 A6.日本からの出国日数が多い場合には,永住権の審査に影響があります。ただし,理由を問わず出国の事実がマイナスに影響するわけではありません。出国の理由を明らかにし,出国理由が合理的なもので,出国の頻度や期間が相当である事を説明するようにしましょう。 実際,当社の事例でも,仕事の都合で1年の半分以上を日本から出国していたケースで,永住権の許可を取得できた案件もございます。 そのため,合理的な出国であることが立証できるケースでは,永住権の許可の可能性はあると判断されます。 Q7.永住権の申請の身元保証人は,収入が少ない人でも大丈夫ですか。 A7.身元保証人の責任からして,理論的には身元保証人世帯が生活するに足る収入+αの収入が必要と言えます。もっとも,身元保証人の年収が低いことで永住権の申請が不許可になる事案は,当社の過去の事例ではありません。 比較として,永住権の身元保証人がいない場合にはどうでしょうか。 この場合には,永住権を取得することはできないと判断されます。 あまり重視されてないと思われる永住権の申請における身元保証人ですが,やはり日本で永住するにあたって,身元保証人は必要と考えられています。なぜなら,身元保証人を誰にもお願いできないとなると,日本の社会に馴染めていないと判断されてしまうからです。 上記の内容をまとめると,永住権の申請における身元保証人は必要であるものの,それほど高いハードルがあるわけではなく,定期的な収入がある方であれば,身元保証人として適格ありと判断して良いでしょう。 Q8.永住ビザ申請の身元保証人には,どのような責任がありますか。 A8.永住許可申請時の身元保証人は,以下の3点を保証することになります。 ①滞在費 ②帰国旅費 ③法令の遵守 身元保証人の保証責任は法的拘束力がなく,道義的責任であると考えられています。 仮に身元保証をした外国人が滞在費や帰国旅費の準備が出来ない場合でも,身元保証人が代わりに支払うことを求められるわけではなく,直ちに法的な責任追及をされるわけではありません。ここでいう身元保証は,民法上の身元保証契約を指しているわけではなく,在留制度独自のものと解釈されています。 永住ビザの身元保証人の詳細については,永住ビザの身元保証人とは  でもご説明しておりますので,ご興味のある方はご覧ください。 Q9.過去の永住権の申請の不許可は,再申請の永住権の申請に影響しますか。 A9.虚偽の内容や事実に相違がある書類を入管へ提出していないのであれば,過去の永住権の申請の不許可が影響することは通常ありません。 もっとも,不許可理由を何らリカバーしないままでは,何度永住権の申請をしても結論は変わりません。そのため,永住権が不許可になった場合には,不許可理由の確認はもとより,不許可となった原因への対応が重要となります。 詳細は,…