コラム

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特定技能1号への移行準備のための特定活動ビザとは?

1.在留資格「特定技能」とは? 在留資格「特定技能」とは,2018年に成立した改正出入国管理法により創設され,2019年から受け入れ可能となった外国人労働者向けの在留資格です。 具体的には,人材が不足している産業などに即戦力となり得る外国人労働者を受け入れることを目的とした在留資格のことです。 在留資格「特定技能」は「特定技能1号」と「特定技能2号」の2つの在留資格に分かれていて,それぞれ特定の分野が受け入れ対象となっています。 1-1.特定技能1号 「特定技能1号」とは,「特定産業分野に属するために特相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人」向けの在留資格です。 「特定技能1号」の特徴は,以下になります。 在留期間:通算で上限5年(1年,6か月または4か月ごとの更新) 技能水準:各特定分野の試験などで確認(技能実習2号を修了した外国人や,資格更新時には試験などが免除される) 日本語能力水準:日本語能力を試験などで確認(技能実習2号を修了した外国人や,在留期間更新時には試験などが免除される) 家族の帯同:海外在住の家族の帯同は基本的に認められない 特定技能1号の受け入れ対象特定産業分野は,以下12分野です。 介護 ビルクリーニング業 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業 建設業 造船・舶用工業 自動車整備業 航空業 宿泊業 農業 漁業 飲食料品製造業 外食業 1-2.特定技能1号と2号との比較 特定技能1号と特定技能2号とは,在留期間,技能水準,家族の帯同,日本語能力水準試験の有無などが異なります。 特定技能2号を取得するためには,特定技能1号から移行しなければなりません。 また,特定技能2号の分野は現状「建設業」と「造船・舶用工業」の2分野しかありませんが,今後拡大予定です。 特定技能1号と2号との違いの詳細について,もっと詳しく知りたい方は以下のコラムをご参照ください。 >>特定技能1号と2号の違いは? 2.在留資格「特定技能1号」に変更申請をする場合の必要書類 在留資格「技能実習」や「留学」などから在留資格「特定技能1号」に変更するには,申請までの準備に時間がかかると言われています。 実際に必要な提出書類は,申請人に関する必要書類,所属機関に関する必要書類,特定産業分野に関する必要書類に分かれます。 申請人に関する必要書類は以下です。 在留資格変更許可申請書 特定技能外国人の報酬に関する説明書 (賃金規定に基づき報酬を決定した場合は賃金規定も添付要) 特定技能雇用契約書の写し 雇用条件書の写し…

外国人が会社設立を日本で行う方法|条件,手続きの流れ,必要書類,メリットなどを掲載

1.外国人が日本で会社設立するための条件 外国人が会社を設立する際の問題として,在留資格が挙げられます。 外国人が「永住者」「定住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」などの就労制限のない在留資格を保有している場合は,会社設立,経営が可能です。 一方,外国人の保有する在留資格が「留学」「技術・人文知識・国際業務」「家族滞在」などの活動に制限がある場合は,会社設立をすることはできても、いざ事業を経営することができません。 そのため,活動に制限のある在留資格を保有している外国人が会社を設立して事業を行うには,「経営・管理」の在留資格に変更する必要があります。 外国人が「経営・管理」ビザを取得するには,以下の条件が必要です。 会社の実態が伴っていて独立した事業所が確保されていること 資本金か出資の総額が500万円以上または従業員を2名以上雇い入れること 事業に安定性や継続性があり,経営者本人に経営能力があること >>詳しい経営管理ビザ 要件 はコチラ 外国人が会社を設立する場合,まずはご自身の在留資格を正確に確認してみてください。 2.外国人が日本で会社設立するための流れ 本チャプターでは,外国人が日本で株式会社や合同会社を設立するための大まかな手続の流れについて説明していきます。 (1)基本的事項の決定及び定款の作成 会社設立をしようとして会社に出資する人(お金を出す人)を発起人と呼びます。 発起人は一人でも複数でも構いません。 発起人は,会社の形態,会社の商号,本店所在場所,事業の目的,資本金の額など,設立しようとする会社の基本的な事項を決定します。 そして,発起人が決定した事項をもとに,定款を作成します。 (2)公証人による定款認証 株式会社を設立する場合は,(1)で作成した定款を公証人に認証してもらう必要があります。 他方,合同会社設立の場合には,公証人による定款の認証は不要です。 (3)出資金の払込み 会社を運営するにはお金が必要です。 株式会社設立の場合には,発起人による出資金の払込みは,発起人が定めた銀行口座に行う必要があります。 他方,合同会社設立の場合の出資金の払込みについては,発起人が定めた銀行口座に払い込む方法のほか,代表社員が発起人から出資金を受領して領収書を作成する方法も認められています。 (4)会社設立の登記 必要書類を揃えた上で,本店所在場所(会社の住所のこと)を管轄する法務局に会社設立の登記申請をします。 この会社設立の登記により,会社は法律上成立することになります。 なお,会社設立の登記が完了するまで,法務局の混雑状況にもよりますが,申請してから1週間から10日ほどかかります。 3. 外国人が日本で会社設立するための必要書類 外国人の会社設立の基本的な流れは,ご理解いただけましたでしょうか。 それでは次に,会社設立のために必要となる書類を見ていきましょう。 設立する会社の役員構成や機関構成により少し異なることはありますが,基本的には以下の書類が必要という認識で問題ありません。 株式会社設立の主な必要書類は,以下のとおりです。 1 登記申請書…

留学ビザから経営管理ビザへの変更方法を行政書士が解説!

1.留学ビザから経営管理ビザ ~よくあるご質問~ 本チャプターでは,留学ビザから経営管理ビザへの変更を目指す留学生の方から,よくあるご質問をまとめています。 経営管理ビザの要件の詳細は,以下のコラムにまとめていますので,是非ご確認下さい。 >>経営管理ビザ 要件 はコチラ ① 経営管理ビザを取得するために事務所は必要? 経営管理ビザを取得するためには,事業所の確保が必要です。 事業所については,賃貸物件でも問題ないのですが,経営管理ビザの要件に適合した事業所を確保しなければ,経営管理ビザは取得できません。 では,経営管理ビザの事業所の要件とはどのような内容なのでしょうか。 以下の内容が,事業所に関する主な注意点となりますので,ご確認ください。 月単位の短期間賃貸スペースは要件に適合しません。 容易に処分可能な屋台等は要件に適合しません。 使用目的は,事業用,店舗,事務所等の事業目的である必要があります。 賃貸借契約の借主名義は,事業主名義(法人の場合は法人の名義)である必要があります。 住居兼事務所の場合には,貸主の同意や事業目的専用の部屋が必要になります。 ② 資本金500万円の要件は融資を受けて出資しても満たされる? 資本金の要件について,「経営管理ビザの取得のためには,必ず資本金として500万円の出資が必要」という誤った認識をなされている方が多いので,説明させていただきます。 経営管理ビザを取得するためには,下記の要件のいずれかが必要となります。 日本に居住する2人以上の常勤従業員を確保していること 資本金又は出資の総額が500万円以上であること 上記に準ずる規模であると認められるものであること 上記のような誤解があるのは,経営管理ビザの取得のために,「資本金又は出資の総額が500万円以上であること」という要件のクリアを目指すのが一般的だからでしょう。 行う事業によりますが,会社経営をスタートした当初から常勤従業員を2人以上雇用することは大変なのです。 では,現金が500万円あれば問題ないかというと,実はそういうわけではありません。 マネーロンダリング防止の観点や,見せ金を排除する観点から,500万円の出どころについても,入管では審査されます。 例えば,アルバイトで違法なオーバーワークをして形成した500万円で経営管理ビザを取得することはできません。 最後に,質問に対する回答となりますが,借り受けた500万円を資本金として出資しても問題ありません。 もっとも,安定した生計基盤が維持できるかという観点から,返済計画についても審査されることになりますので,生計の収支が問題にならないような返済計画を策定することが重要です。 ③ 許認可取得は経営管理ビザの取得前に必要? 原則として,経営管理ビザを申請するまでに,事業遂行に必要な許認可を取得しておく必要があります。 もっとも,留学ビザでは取得できない許認可もありますので,この場合には注意が必要です。 この場合には,経営管理ビザ取得後に,事業遂行に必要な許認可を取得する誓約をし,経営管理ビザの申請段階では,なぜ許認可が取得できないのかを根拠と共に入管に示す必要があります。 ④ 個人事業主で経営管理ビザは取得できる?…

未来創造人材制度(J-Find)がわかるコラム

1.未来創造人材とは? 未来創造人材とは,「海外のトップクラスの大学・大学院を卒業し,優秀かつ将来日本で活躍するポテンシャルを秘めた若い外国人材」です。 優秀であることの基準は,海外で「世界大学ランキング」の上位に入るような大学・大学院を卒業(修了)した若者ということです。 これらの若者たちは当然,「どの国で働けば自分の培って来た知識や技術を生かせるか」,あるいは「どの国で暮らせば自分も含めた『家族』が幸せに生きられるか」を考え,世界各国で就職・起業先を探しています。 一方,日本の企業等は,その生き残りと発展のため,常に日本人学生のみならず海外にも優秀な人材を求めています。 こうした学生側・企業側のニーズがあるにもかかわらず,従来は海外の若者が日本で就職活動をしたり起業をしたりする上で,日本に滞在するための資格(在留資格)がネックになっていました。 外国人の在留資格は通常,「何をするために日本に居るのか」によって細かく分かれています。 例えば日本で働くなら,「技能」「技術・人文知識・国際業務」「教育」など就労の内容によって細分化されていますし,日本で学ぶなら「留学」ビザです。 認められた活動内容と実際の活動内容が合わないと,在留資格が取り消される可能性もあります。 このため,従来は海外の優秀な若者が「日本で就職活動をしてみたい」「お試しで日本企業において働いてみたい」と思ったとしても,実現するには大きなハードルがありました。 つまり,優秀な外国人材が日本で余裕をもって自身の将来の進路選択をするには就職活動をすること,起業準備をすることに柔軟に対応できていない状況がありました。 そこで創設されたのが,今回ご紹介する未来創造人材制度です。 日本政府はこの度,特定活動の中に「未来創造人材」を新たに加えました。 未来創造人材と認められると,最長で2年間の在留が可能となります。 2.未来創造人材制度ができた背景 AI(人工知能)など,デジタル化の急速な発展,あるいは地球温暖化に対応するための脱炭素化が世界の潮流です。 将来はこれまで当たり前だった働き方や産業構造が大きく変わるでしょう。 世界ではこのことを踏まえて最先端の知識・技術を持った人材の「取り合い」が起こっています。 優秀な人材獲得のネックになっているのは1でも書いた通り,入国審査や在留資格であることはどの国も同じで,すでにフランス等の国々では在留資格を取得しやすくしたり,「我が国に来てくれるならその他の優遇措置もしましょう」という政策が取られています。 一方,日本では少子化高齢化が進んでいるのに,優秀な若者の海外流出が増えています。 これに危機感を覚えた日本政府が打ち出したのが未来創造人材制度です。 経済産業省は2022年5月に発表した「未来人材ビジョン」で,2030年,2050年を見据えた人材育成が必要だと示しました。 岸田首相は2022年9月の「教育未来創造会議」で,留学生を含む外国人の高度人材の受け入れに向けて,年度内に新たな制度の具体策をまとめるよう指示しました。 これを受けて創設されたのが未来創造人材制度です。 同時期に「特別高度人材制度」も創設されました。 特別高度人材制度(J-Skip) のご説明はコチラ 特別高度人材がすでに世界で活躍している優秀な大人だとしたら,未来創造人材は「未知の可能性を秘めたこれからが楽しみな若者」だとお考え下さい。 その両方の人材にどんどん日本に来てもらわなければ,これから大変なことになるという考え方が日本政府にはあるのです。 3.未来創造人材と認められる要件 未来創造人材だと判断されるためには,下記の3つの要件を全て満たす必要があります。 (1)3つの世界大学ランキング(クアクアレリ・シモンズ社公表の「QS・ワールド・ユニバーシティ・ランキングス」,タイムズ社公表の「ワールド・ユニバーシティ・ランキングス」,シャンハイ・ランキング・コンサルタンシー公表の「アカデミック・ランキング・オブ・ワールド・ユニバーシティズ」)の中で,2つ以上で100位以内にランキングしている大学を卒業。又はその大学の大学院の課程を修了して,学位又は専門職学位を授与されていること。 要するに海外のいろんな機関が間違いなく優秀な大学・大学院だと判断した学校を卒業して学位を得た人だということです。 対象となる大学は現在のところ以下です。 https://www.moj.go.jp/isa/content/001394994.pdf (出入国在留管理庁HPより引用) (2)上記の対象大学・大学院を卒業し,学位を授与されてから5年以内であること。 日本が求めているのは,旧来の発想では全く思いつかないような斬新さと今後の可能性を持った人材ですから,大学で学んだ最新の知識や技術を持っていることが前提です。「 高学歴だけど大学を卒業してずいぶん経つ」ような人は未来創造人材とはしないということです。 ただし,一つの大学で学んでから別の大学でMBA(経営学修士)を取るなど,学びを重ねることもあるでしょうから,年齢制限はありません。…

特別高度人材制度(J-Skip)を徹底解説

1.特別高度人材とは? 特別高度人材とは,極めて優秀な外国人のことです。 この制度の前提となるのが「高度専門職」という在留資格です。 >>高度専門職 条件 はコチラ 高度専門職は,日本の経済成長を促すために2015年に創設されました。 我が国の産業に新たなイノベーションをもたらす 日本人との切磋琢磨を通じて専門的・技術的な労働市場の発展を促す 日本の労働市場の効率性を高めることが期待される 高度専門職のイメージは上記のような人材です。 要するに日本的な働き方や研究の仕方や企業活動に風穴を開ける存在として,優秀な外国人に日本に来てもらいたいということです。 今回の新制度創設は,これまでの高度専門職の制度とは異なり,「学歴または職歴」と「年収が一定の水準以上」であれば「高度専門職」の在留資格が付与されるようになったのが大きな特徴です。 2.特別高度人材制度創設の背景 2015年の高度専門職創設から8年で特別高度人材制度が創設された背景には,岸田首相をはじめ現政権が「新しい資本主義」への適応と,「コロナ後の新しい社会を見据えた人材への投資」を喫緊の課題として捉えていることが挙げられます。 世界最先端の知識・技能を持った優秀な人材は「世界中で取り合い」になります。 岸田首相は2022年,「シンガポール,インドネシア,ニュージーランドなどの国々ではより高度な人材を取り込むため,在留資格制度(の見直し)、優遇する制度を取り入れている。(中略)日本も高度な人材を集めようという努力は続けてきましたが,世界の状況を見る限り,まだまだ足りない」という趣旨の発言をしています。 (出入国在留管理庁ホームページより部分的に引用) そして「教育未来創造会議」において,関係閣僚に対し,「世界各国で人材獲得競争が進む中,留学生に限らず,高度人材受入れについて,世界に伍する水準の新たな制度の創設を含め,改革を進めていく必要があります。本会議と『新しい資本主義実現会議』及び『外国人材の受入れ・共生に関する関係閣僚会議』が連携して,年度内に具体化してください」と指示しました。(教育未来創造会議議事録より引用) これを受けて誕生したのが特別高度人材制度です。 3.特別高度人材と認められる要件 「高度専門職」制度は,活動内容を,「高度学術研究活動」(大学教授や研究者等),「高度専門・技術活動」(企業で働く技術者等),「高度経営・管理活動」(企業の経営者等)の3つに分類。その特性に応じて「学歴」,「職歴」,「年収」などの項目ごとにポイントを設け,ポイントの合計が70点以上であれば,高度外国人材と認められ,高度専門職ビザを付与する仕組みでした。 特別高度人材制度では,ポイント制とは別に,学歴または職歴と,年収が一定以上であれば,「特別高度人材」として高度専門職ビザが取得できるように要件を拡充したのです。 求められる職歴や年収は,「高度学術研究活動」の従事者(大学教授や研究者等),もしくは「高度専門・技術活動」の従事者(企業で新製品開発をする技術者,国際弁護士等)は, 学歴が修士号以上取得しており年収2,000万円以上 従事しようとする業務等の実務経験10年以上で年収2,000万円以上 のいずれかの条件を満たすことが必要です。 また,「高度経営・管理活動」の従事者(グローバルな事業展開を行う企業等の経営者等) であれば 事業の経営又は管理に係る実務経験5年以上で年収4,000万円以上 であることが条件です。 (出入国在留管理庁ホームページより) 4.特別高度人材に対する優遇措置とは 上記の表にある通り,特別高度人材と認められると,その人だけでなく家族にも優遇措置があります。 特別高度人材に最初に付与される在留資格は,原則として「高度専門職1号」です。 高度専門職1号の在留資格があると, 複合的な在留活動の許容 5年間の在留 永住許可要件の緩和(通常の在留資格では「引き続き」10年間の日本在留が必要だが,最短で1年に短縮される)…

観光ビザから配偶者ビザへの変更はできる?

1.観光ビザから配偶者ビザへ変更することはできるの? 観光ビザから配偶者ビザへ変更する場合,ある一定の条件をクリアすることで,変更することができます。 「在留資格を有する外国人は、その者の有する在留資格の変更を受けることができる。」 上記の通り,ビザの変更をできるのは正規の在留者である外国人に限定しているものの,観光ビザから変更することについて拒否する旨の規定は存在しません。 そのため,観光ビザから配偶者ビザへの変更も認められることになります。 では,なぜ観光ビザから配偶者ビザへの変更ができないといわれるのでしょうか。 2.観光ビザから配偶者ビザへの変更ができないといわれる理由は? 入管法第20条第3項但書には,以下の内容が記載されています。 「短期滞在の在留資格をもつて在留する者の申請については,やむを得ない特別の事情に基づくものでなければ許可しないものとする。」 但書きにある通り,「やむを得ない特別の事情」がない限り,観光ビザから他のビザへ変更をすることができないとされているのです。 なぜ,「やむを得ない特別の事情」が必要なのか説明する前に,配偶者ビザを取得する方法について,簡単に説明いたします。 3.配偶者ビザの取得方法 外国籍の方が配偶者ビザを取得するためには,大きく二つの方法があります。 ① 在留資格認定証明書交付申請を行い,配偶者ビザで日本に入国 ② 観光ビザで日本に入国後,配偶者ビザに在留資格変更許可申請 ① 在留資格認定証明書交付申請(=COE申請)を行い,配偶者ビザで日本に入国 まず,COE申請は,日本の入管で行います。 申請を行うことができる人にも限りがあり,上記申請で申請人となる方の親族で,かつ日本に住んでいる人に限定されます。 申請人は海外にいることがほとんどのため,申請人の配偶者や配偶者の両親に申請してもらうことが大半です。 そして,COE申請で許可が下りると,入管からCOEが発行されます。 その後,COEを海外の配偶者に送り(※1),海外にある日本大使館または領事館で査証(いわゆるビザ)の申請を行います。そして,大使館からのビザが発給された後に,日本に入国します。 なお,COEの有効期限の問題から,基本的にはCOEが発行された日から3ヶ月以内に日本に上陸しなければいけません。 日本に入国後は,到着した空港,海港で上陸審査を受けます。上陸審査を終えた後は,外国籍配偶者に在留カードが交付されます。 ※1:2023年3月17日より,在留資格認定証明書が電子メールで受け取ることができるようなりました。なお,これまで発行されてきた紙の在留資格認定証明書についても,写しを提出することでビザ申請を行うことができるようになりました。そのため,国際郵送にかかる手間や費用,時間を大幅に削減できるようになりました。 参考:https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/10_00136.html ② 観光ビザで日本に入国後,配偶者ビザに在留資格変更許可申請 まずは,外国籍配偶者が観光ビザで日本に入国します。 その後,外国籍配偶者が日本の入管で在留資格変更許可申請を行います。 在留資格変更許可申請の許可が下りると,入管からはがきサイズの許可通知書が発行されます。 この許可通知書を持って,入管で在留カードの交付手続きを行うことで,在留カードを受け取ることできます。 4.配偶者ビザにおける在留資格認定証明書の必要性 上記で紹介した2つの配偶者ビザの取得方法を見る限り,②の観光ビザで日本に入国後に配偶者ビザに切り替える手続きのほうが,簡単と思いませんでしたでしょうか。 しかし,入管は①の在留資格認定証明書を取得したうえで,入国することを原則としています。 その理由としては,配偶者ビザは観光ビザと違い中長期的な滞在を前提としているからです。 観光ビザは,短期間での出国を前提としているからこそ,ビザの取得が簡略化されていたり,査証免除国の人たちは観光ビザを取得することなく来日することができます。…

医療滞在ビザとは?取得のための要件や流れ,必要書類,同伴者についても解説

1.医療滞在ビザとは? 医療滞在ビザは,簡単に説明すれば,日本に相当期間滞在して,医療を受けるためのビザです。 医療滞在ビザの許可を得れば,特定活動ビザの在留カードと、医療を受ける目的で日本に滞在できる旨の「指定書」が交付されることになります。 このように,厳密に言えば「医療滞在」という名前のビザはなく,「特定活動」というビザの中に医療滞在目的のビザがあるのです。 なお,ワーキング・ホリデーやインターンシップなど聞きなれたビザも,「特定活動」ビザの一種です。 ①医療を受けるための短期滞在ビザについて 日本で医療を受けるためのビザは,実は医療滞在ビザだけではありません。 観光ビザという名前で認識されている方も多いと思いますが,「短期滞在」ビザも治療目的での日本における滞在を認めています。 以下,出入国管理及び難民認定法別表第一の三の「短期滞在」ビザの内容となりますので,ご確認ください。 本邦に短期間滞在して行う観光,保養,スポーツ,親族の訪問,見学,講習又は会合への参加,業務連絡その他これらに類似する活動 このように日本で医療を受けるためのビザには,「医療滞在」ビザと「短期滞在」ビザがあるところ,この2つのビザの主な違いは,日本での在留期間(日本に滞在できる期間)です。 つまり,希望する在留期間が90日を超える場合には「医療滞在」ビザを,90日以内の場合には「短期滞在」ビザを検討することになります。 なお,「短期滞在」ビザには,有効期間内(短期滞在査証発給から3ヶ月)に一度だけ来日可能な1次ビザ(シングルビザ)と有効期限内(最大3年)であれば何度でも来日可能な数次ビザ(マルチビザ)があるところ,医療機関が必要と判断した場合には,数次ビザ(1回の滞在期間は最大90日です)を申請できます。 ただし,この数次ビザを申請する際には,医師による「治療予定表」の提出が必要となります。 2.医療滞在ビザの要件 ここまでの説明で,日本での予定する治療期間により,検討すべきビザが異なることをご理解いただけたと思います。 そこで,本チャプターでは,短期滞在ビザよりも要件が厳格な医療滞在ビザの要件を説明します。 まず,医療滞在ビザの根拠となる規定(特定活動告示25号)をご確認ください。 本邦に相当期間滞在して,病院又は診療所に入院し疾病又は傷害について医療を受ける活動および当該入院の前後に当該疾病又は傷害について継続して医療を受ける活動 この規定から医療滞在ビザの要件を読み取ることができるところ,その要件は大きく分けると以下の3つに分解できます。 ア.本邦での活動が「病院又は診療所に入院し疾病又は傷害について医療を受ける活動」,及び「当該入院の前後に当該疾病又は傷害について継続して医療を受ける活動」であること このように医療滞在ビザの対象になる活動は,病院又は診療所に入院して医療を受ける活動です(前段)。そのため,ホテルや知人宅に滞在して病院に通院するだけでは,医療滞在ビザは許可されません。 また,相当期間入院した後に,継続治療のために退院後も通院を続ける場合には,この退院後の医療を受ける活動も医療滞在ビザの活動に含まれます(後段)。 「継続して医療を受ける活動」とは,入院前・入院中・退院後の一連の医療が連続的・継続的に行われることを意味し,医療の連続性が要求されます。 この医療の連続性は,医師の診断書により判断されます。 例えば,抗がん剤治療のために入院していたケースで,退院後も予後観察のために通院する場合には医療の連続性がありますが,全く関係のない事故で傷害を負って治療を受ける場合には医療の連続性は否定されるでしょう。 「疾病又は傷害」には,出産も含まれます。 そのため,外国人が日本で出産する場合にも,(他の在留資格に該当しない場合には)医療滞在ビザが検討対象になります。 なお,治療を受けるための「短期滞在」ビザの場合には,入院までは求められていませんので,入院を予定していない場合は,短期滞在ビザを検討すべきです。 イ.「本邦に相当期間滞在」すること 「相当期間」とは,90日を超える期間を意味します。 なお,日本での治療に要する期間は,医師の診断書から判断されます。 上述したように,90日以内に治療を終える場合には,「短期滞在」ビザの対象となります。 ウ.日本での滞在費用および治療費を支弁する能力を有すること こちらが医療滞在ビザの最後の要件となるところ,注意をしていただきたいポイントがあります。 それは,医療滞在ビザで滞在される方は,「国民健康保険」に加入できず,「健康保険の被扶養者」になることもできないという点です。 これは,医療滞在ビザがあくまでも医療のために一時的に日本に滞在することを目的とするものであり,日本に居住することを目的としていないためです。 公的医療保険は居住国で賄うべきというのが,日本の医療保険制度の建前なのです。 なお,一般的には民間医療保険に加入することが多いでしょう。 このように健康保険に加入できず医療費が自己負担にとなるため,医療滞在ビザの要件として,医療費を含む日本での一切の滞在費用を支弁する能力が求められるのです。…

海外赴任中に配偶者ビザを取得,更新するには?

1.配偶者ビザとは? 配偶者ビザとは,国際結婚により日本人の配偶者となった外国人配偶者が日本で長期的に生活する時に取得するビザです。 この場合の国際結婚は,法律上両国で有効に成立している必要があるので,内縁の状態や海外で夫婦と同等に認められているパートナー制度だけでは日本の配偶者ビザは認められません。 配偶者ビザの要件やポイントに関しては以下で詳しく解説していますので参考にしてください。 >>配偶者ビザ 申請方法 はコチラ 2.海外赴任中に配偶者ビザを取得する際に抑えるべきポイント では,海外赴任をしていた夫婦が日本に戻ってくる場合はどのような手続きが必要になるのでしょうか。 前記させていただきました「1,配偶者ビザとは」で見ていただいた配偶者ビザを取るための要件(両国での婚姻)はクリアしているという前提で,その申請プロセスや注意するポイントを以下個別にみていきましょう。 ①日本に帰国しないと配偶者ビザは申請できない? 海外赴任中のご夫婦が日本で配偶者ビザの取得を目指す場合には,日本へ帰国しないとビザ申請ができないとお考えの方は多いのではないでしょうか。 実は,海外赴任中のご夫婦の場合,日本人配偶者が帰国をしなくても配偶者ビザの申請を行うことは可能です。 この場合,法務省令で定められている「申請代理人」が配偶者ビザの申請を行うことになります。 さらに誤解が多い点として,わたくしたち行政書士に依頼すれば申請代理人が不要になると勘違いをされている方がおられますが,行政書士に依頼した場合であっても,申請代理人は必要です。 というのもの,行政書士はこの申請代理人にはなれないからです。 ですが,行政書士に頼む意味が無いということではありません。 精度の高い資料や申請代理人とのやり取りをプロに任せることは,エラーや入管への追加の対応が起きないので,スムーズに申請まで行け,その分結果が出るのが早くなるメリットがあります。 ②海外赴任の夫婦の場合,配偶者ビザの申請代理人は誰がなるの? 上記「①日本に帰国しないと配偶者ビザは申請できない?」で見た通り,海外在住のご夫婦の配偶者ビザ申請には,申請代理人が必要です。 入管法施行規則別表第四で,配偶者ビザの申請代理人は「日本に居住する本人の親族」と定められています。 そして,親族の範囲は,民法で定められています。 民法では,配偶者,6親等内の血族,3親等内の姻族が親族と定められています。 上記の表の通り,申請代理人が認められる範囲は,意外と広範にわたることがご理解いただけたでしょうか。 ③日本で所得証明書を提出できない場合でも,配偶者ビザの取得は可能? 入管のホームページをみると,配偶者ビザの申請時,「日本での滞在費用を証明する資料」の提出が求められていることがわかります。 もちろんご夫婦が海外赴任中でも書類の提出が免除されるわけではありません。 一般的には,配偶者ビザ申請をする際には,所得課税証明書を入管に提出するのですが,海外赴任中のご夫婦の場合には,日本での所得がないことは珍しくありません。 国内での所得がない以上,役所では所得を把握することができないため,非課税証明書が発行されます。 しかし,これをそのまま提出してしまうと,一見して無職である(収入がない)ように見えてしまいます。 このような場合には,毎月の給与明細や預金通帳の写し,雇用予定証明書又は採用内定通知書,あるいは左記に準ずる資料を入管へ提出することになります。 3.海外赴任中に既に持っている配偶者ビザを更新する際に抑えるべきポイント 海外赴任中に既に持っている配偶者ビザを更新する場合も,上記で説明した申請代理人や収入を示す資料は必要です。 重複する部分に関しては,「2.海外赴任中に配偶者ビザを取得する際に抑えるべきポイント」を参照していただければと思います。 以下からは,更新時に見られるポイントを見ていきます。 ①日本人配偶者のみ海外赴任しており同居をしてない場合は更新できない? 夫婦共に日本で生活していた時に取得した配偶者ビザを更新する際,日本人パートナーのみが海外赴任している場合はどうでしょうか。 一口に海外赴任と言っても赴任期間や日本への帰国の頻度など様々です。 今まで日本で生活していたが,期限の決まった海外赴任であれば,パートナーを日本に残して出国されることも十分想定されます。…

入管手続きにおける行政書士の役割

1.行政手続における行政書士の役割 入管手続きにおける行政書士の役割を見ていく前に,まずは行政手続全般における行政書士の役割を見ていきましょう。 行政書士の他に「士業」(さむらいぎょう,しぎょうと言われる○○士と名前のつくもの)と言われる職業には,弁護士,司法書士,税理士などがあります。ざっくり分類すると,弁護士は刑事手続や民事紛争に関する訴訟手続などを,司法書士は不動産や法人に関する登記手続などを,税理士は税に関する手続を業務としています。 では,行政書士はと言うと,「官公署に提出する書類の作成,手続の代理」がその業務とされています(他にも行政書士の権限とされている業務がありますが,ここでは割愛します。)。 つまり行政書士は,役所に提出する書類を作成し,提出する権限があります。 業務独占資格と言って,行政書士以外の者が,他人からお金をもらって役所に提出する書類を作成した場合は,行政書士法違反になります。 そのため,行政書士と弁護士以外の人から,報酬をくれれば入管手続きを引き受けると言われても,それ自体が法律違反になることから,絶対に依頼しないようにしましょう。 行政書士は依頼人に代わって提出書類を作成し提出することによって,難解複雑な行政手続きを迅速かつ円滑に行うことが期待されています。 依頼者にとって便利であることはもちろんですが,行政側にとってもスムーズに手続を進めることができる点でメリットがあります。 つまり,行政書士には,行政機関と申請人の橋渡しをすることによって,両者の利便性を図る役割があるのです。 2.行政書士の独占業務「入管業務」とはどのような手続きか? 入管業務とは,適法に外国人が日本に滞在できるように,在留審査のための書類を作成して地方出入国在留管理局へ提出する業務のことを言います。 具体的には,外国人が日本の企業に就職するための在留資格の変更や,国際結婚をして日本で結婚生活を送る場合の在留資格の申請などが代表例です。 法的に入管業務ができる資格者は,行政書士と弁護士だけです。 3.申請取次行政書士とは? 入管手続きの申請ができる行政書士のことを申請取次行政書士といいます。 申請取次行政書士は,行政書士が所属する都道府県ごとの行政書士会を経由して地方出入国在留管理局長に届け出ることによって登録されます。 届出だけなので行政書士なら誰でも登録できるように思われますが,日本行政書士会連合会が主催する出入国管理に関する研修を受け,さらに効果測定と呼ばれる試験を受けて合格した行政書士のみが登録ができる制度になっています。 有効期間は3年で,更新の度に研修・効果測定を受けることになります。 申請取次行政書士は,めまぐるしく変わる入管法を勉強し,研鑽を積まなければなりません。 これによって,入管業務に必要な知識を行政書士が備えていることを制度上担保しているわけです。 ①申請取次行政書士のできる手続き 入管手続きも行政機関の一つですので,行政書士が申請書類を作成し,入管に提出することができます。 どの行政書士でも申請書類を作成することはできるのですが,入管にその書類を提出することができるのは,一部の行政書士に限られています。 それが,申請取次行政書士です。 入管業務を専門にしている行政書士であれば,ほとんどが申請取次行政書士として登録していると思いますが,中には登録していない行政書士の方もおられます(当事務所では,もちろん所属行政書士全員が申請取次行政書士として登録しています。)。 申請取次行政書士でない行政書士に依頼した場合には,申請書類は作成してもらえるのですが,申請をするには自分で入管に行かなければならないということになってしまいますので,相談の際に申請取次行政書士かどうかは確認するようにしましょう。 ②申請取次行政書士に依頼するメリット 申請取次行政書士に依頼すると,様々なメリットがあります。 まずは,申請取次行政書士に依頼することにより,申請人である外国人が自ら出入国在留管理局に行く必要がなくなります。 そのため,煩わしい入管手続きの時間を,学業や仕事などに当てることができるのです。 また,日本語がよくわからなくても,申請取次行政書士に依頼することによりスムーズに入管手続きを進めることができます。 4.行政書士は申請人を代理できない!? では,申請取次行政書士に申請を依頼した場合,依頼を受けた行政書士は申請人の代理人か?と問われると,答えはNOです。 弁護士は訴訟代理人と言われるように,依頼人の代理人となるわけですが,申請取次行政書士は,申請「代理」ではなく,申請「取次」なのです。 代理というのは,代理人が本人に代わって本人のために行為をすることをいい,代理人が行なった行為は本人に効果が及びます。 入管法でも在留資格ごとに申請代理権が定められており,例えば「日本人の配偶者等」の場合は,日本にいる外国人本人の親族と定められています。 海外にいる外国人は,日本にいる親族に申請をお願いできるわけです。 しかし,行政書士は,入管法に代理人として規定されていません。 その点は,誤解が多いので注意してください。…