インドネシア人との国際結婚手続きを専門行政書士が解説!
本ページでは,日本人とインドネシア人との国際結婚手続きについて,国際業務専門の行政書士が解説しています。
インドネシア人との国際結婚手続きをお考えの方はご参考ください。
Index
1.国際結婚手続きの用語解説
本チャプターでは,国際結婚手続きにおける専門用語を解説していきます。
以降の内容をご参照いただくにあたり必要となる前提知識ですので,ご一読の上,次のチャプターに進んでください。
①国際結婚の成立とは?
国際結婚の成立には,双方(本事例でいうと日本とインドネシア)の国籍国において,法的に有効な婚姻関係にあることが原則必要とされています。
②婚姻要件具備証明書とは?
外国人が,日本方式の婚姻を有効に成立させるためには,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件(婚姻できる年齢に達していること,独身であることなど)を満たしていることが必要とされています。
もっとも,日本の市区町村役場で,外国人の国籍国の法律を全て審査することは現実的ではありません。
そのため,国際結婚においては,婚姻要件具備証明書を提出することによって,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていると判断することにしているのです。
なお,発行国によっては,独身証明書などと言われることがありますが,独身であることのみならず,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていることが明らかになるものであれば,基本的には婚姻要件具備証明書と考えていただいて差し支えありません。
③日本方式とインドネシア方式とは?
先述のとおり,国際結婚手続きは,双方の国籍国で手続きを履践する必要があります。
この場合に,日本で先に結婚手続きを行うことを日本方式と言い,インドネシアで先に結婚手続きを行うことをインドネシア方式と言います。
2.インドネシア人との国際結婚手続きで注意すること
インドネシア人と日本人との国際結婚手続きの際,ご注意いただきたい事項を下記に記載いたします。
①婚姻要件具備証明書について
インドネシアは,婚姻要件具備証明書が発行される国です。なお,インターネット等の情報のなかには,婚姻要件具備証明書が発行されないとする記載がみられますが,これは以前インドネシアが婚姻要件具備証明書の不発行国であったことに起因するものと思われます。現在は,インドネシアは婚姻要件具備証明書を発行していますので,お間違いのないようにご注意ください。
②婚姻要件具備証明書の取得方法
婚姻要件具備証明書を取得するには,お住いの地域の管轄に応じて,
・駐日インドネシア共和国大使館
・在大阪インドネシア共和国総領事館
のいずれかで婚姻要件具備証明書の発行申請をする必要があります。
この際,ご注意いただきたいのは,結婚する当事者お二人で実際に大使館や総領事館に出向く必要があるということです。
仮に,日本にお相手の方がいない場合には,短期滞在ビザ等で来日していただく必要があります。
次の注意事項としては,原則としてインドネシアは非正規の滞在者に対しては婚姻要件具備証明書が発行されません。
そのため,オーバーステイなどの場合には,国際結婚の一般原則に基づき手続きをする必要があります。
③婚姻要件具備証明書の発行ための必要書類
日本人については,
・戸籍謄本
・住民票
・独身証明書
・離婚届受理証明書 ※1
・両親又は家族の同意書 ※2
・パスポートのコピー
・顔写真1枚(4cm×3cm,白背景のもの)
インドネシア人については,
・独身証明書 ※3
・出生証明書
・家族登録簿
・系統証明書
・両親証明書
・両親又は家族の同意書(6000ルピアの収入印紙貼付済みのもの)※2
・IDカード(KTP)又は在留カード ※4
・パスポートのコピー
・顔写真1枚(4cm×3cm,白背景のもの)
の書類が必要となります。
東京の大使館,大阪の総領事館によって,多少の差異があるようですので,事前に必ず必要書類の照会をするようにしてください。
なお,提出書類に不備がない場合には,婚姻要件具備証明書の即日発行が可能です。
※1…離婚歴のある方は離婚届受理証明書が必要になります。
※2…婚姻履歴のある方は,両親又は家族の同意書は不要です。
※3…婚姻履歴のある方は離婚証明書又は死亡証明書のコピーが必要です。
※4…短期滞在ビザの方は上陸許可の証印ページを提示してください。
④婚姻可能な年齢について
インドネシア人の婚姻可能な年齢は,男性19歳,女性16歳とされています。なお,21歳に達していないインドネシア人が婚姻する場合には,両親の許可が必要とされています。
⑤再婚禁止期間について
インドネシアの再婚禁止期間は,死別と離婚で区別されています。
死別の場合には,130日間,離婚の場合には90日間とされています。
例外として,死別や離婚の婚姻解消時点で懐胎していた場合には,出産以後,再婚禁止期間は適用されません。
⑥重婚について
一夫一妻を原則としつつ,一定の条件を満たした場合には,一夫多妻婚も可能としています。
もっとも,日本方式で婚姻をする場合については,重婚禁止規定に抵触することになるため,その届出は受理されません。
他方,インドネシア方式によって婚姻をした場合については,インドネシアについては有効と判断され,日本の民法においても重婚は婚姻の取消事由であって,無効事由とはされていないことから,市区町村役場では重婚状態にあったとしても,その婚姻届は受理し,日本人の戸籍に婚姻の記載をせざるを得ないとされています(大正15・11・26民事8355号回答,昭和26年7・28民事甲1544号回答)。
3.インドネシア人との国際結婚手続きにおける必要書類(日本方式)
本題のインドネシア人との国際結婚手続きについて解説していきます。
ここからは,日本人とインドネシア人が日本方式で婚姻をおこなう場合の必要書類を記載します。
なお,市区町村役場によって若干の相違があるため,事前に役所照会することをお勧めいたします。
①日本の市区町村役場において必要となる書類
<日本人の方にご準備いただく書類>
・婚姻届(日本人同士の場合と同様のものです)
・本人確認資料(運転免許証又はパスポート等)
・戸籍謄本(本籍地以外に婚姻届を提出する場合)
<インドネシア人の方にご準備いただく書類>
・婚姻要件具備証明書※1
・パスポート
※1…婚姻要件具備証明書の訳文は,東京の大使館,大阪の総領事館でご準備いただけます。
②インドネシアへの婚姻報告について
日本で成立した婚姻について,東京の大使館,大阪の総領事館へ下記の書類を提出※1することで,日本,インドネシアの両国での婚姻手続きが完了となります。
<日本人の方にご準備いただく書類>
・婚姻成立後の戸籍謄本 ※2
・婚姻受理証明書 ※3
<インドネシア人の方にご準備いただく書類>
・パスポート
※1…郵送対応が可能です。
※2…インドネシア語への訳文,外務省の認証は不要です。
※3…インドネシア語への訳文が必要です。※2同様,外務省の認証は不要です。
4.インドネシア人との国際結婚手続きにおける必要書類(インドネシア方式)
次は,日本人とインドネシア人がインドネシア方式で婚姻をする場合についてです。
在インドネシア日本国大使館・在ジャカルタ日本国総領事館のサイトに詳細が記載しておりますので,ご覧ください。
※ 参考サイト
在インドネシア日本国大使館・在ジャカルタ日本国総領事館
https://www.id.emb-japan.go.jp/visaJ_6_1.html
5.インドネシア人との国際結婚手続きのまとめ
本ページでは,日本人とインドネシア人の国際結婚手続きを見てまいりました。
インドネシア人との国際結婚手続きは,必要書類も多く,書類の収集だけでも骨の折れる作業です。
もっとも,日本人とインドネシア人との国際結婚の事例は少なくないことから,国際結婚手続きに関する情報量は多い国です。
また,領事館等から明確な情報が提供されているため,情報は比較的入手しやすいと思われます。
本ページが,日本人とインドネシア人の国際結婚をご検討されている方々のご参考になれば幸いです。