中国人との国際結婚手続きを専門行政書士が解説!
本ページでは,日本人と中国人との国際結婚手続きについて,国際業務専門の行政書士が解説しています。
Index
1.国際結婚手続きの用語解説
本チャプターでは,国際結婚手続きにおける専門用語を解説していきます。
以降の内容をご参照いただくにあたり必要となる前提知識ですので,ご一読の上,次のチャプターに進んでください。
①国際結婚の成立とは?
国際結婚が成立は,双方(本事例でいうと日本と中国)の国籍国において,法的に有効な婚姻関係にあることが原則必要とされています。
日本で先に結婚手続きを行うことを日本方式と言い,中国で先に結婚手続きを行うことを中国方式と言います。
②婚姻要件具備証明書とは?
外国人が,日本方式の婚姻を有効に成立させるためには,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件(婚姻できる年齢に達していること,独身であることなど)を満たしていることが必要とされています。
もっとも,日本の市区町村役場で,外国人の国籍国の法律を全て審査することは現実的ではありません。
そのため,国際結婚においては,婚姻要件具備証明書を提出することによって,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていると判断することにしています。
なお,発行国によっては,独身証明書などと言われることがありますが,独身であることのみならず,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていることが明らかになるものであれば,基本的には婚姻要件具備証明書と考えていただいて差支えありません。
2.中国人との国際結婚手続きで注意すること
中国人と日本人との国際結婚手続きの際,ご注意いただきたい事項を下記に記載いたします。
①婚姻要件具備証明書について
日本に滞在する中国人は,無配偶声明書を在日中国公館で取得することができます。
名称は異なりますが,無配偶声明書は婚姻要件具備証明書とご理解いただいて差支えありません。
婚姻要件具備証明書を取得できる状況にある場合は,必ず婚姻要件具備証明書を取得しなければなりません。
なお,日本国外にいる中国人は無配偶声明書を在日中国公館で取得できないため,無配偶声明書に代わる書類によって,中国人の婚姻要件充足を証明することになります。
②婚姻可能な年齢について
中国人の婚姻可能な年齢は,男性は満22歳以上,女性は満20歳以上です。
ただし,少数民族については,婚姻年齢の引き下げを認めているケースもあります。
③再婚禁止期間について
中国の法律には再婚禁止期間の定めはありません。ただし,日本方式で婚姻手続きを行う場合は,日本民法の再婚禁止期間が適用され,前婚の解消又は取消の日から100日を経過していることが要件とされています。もっとも,中国人女性が妊娠していないという医師の診断書を提出することによって,100日を経過していない場合でも婚姻することができます。
④結婚証について
中国方式で婚姻が成立した場合は,赤い「結婚証」という手帳が発行されますが,中国方式以外で結婚した場合は,結婚証が発行されません。
結婚証がどうしても欲しいという方は,中国方式による婚姻によらなければなりません。
3.国際結婚手続きにおける必要書類(日本方式)
本題の国際結婚手続きについて解説していきます。
ここからは,日本人と中国人が日本方式で婚姻をおこなう場合の必要書類を記載します。
なお,市区町村役場によって若干の相違があるため,事前に役所照会することをお勧めいたします。
①日本の市区町村役場において必要となる書類
<日本人の方にご準備いただく書類>
・婚姻届書(日本人同士の場合と同様のものです)
・本人確認資料(運転免許証又はパスポート等)
・戸籍謄本(本籍地以外に婚姻届を提出する場合)
<中国人の方にご準備いただく書類>
・在日中国公館発行の無配偶声明書
(中国人が日本に居住していない場合)
・出生公証書(日本語訳を添付)
・無婚姻宣言公証書(日本語訳を添付)
・パスポート※1
※1 中国人が在外にいる場合は,国籍公証書で代替可能です。
②中国への婚姻報告について
中国公安局発行の居民戸口簿の婚姻欄を,未婚から既婚に書き換える手続きがあります。
中国の管轄公安局にて手続きができます。
中国では,外国で成立した婚姻を有効な婚姻として認めており,日本で成立した婚姻を中国に報告しなくても,婚姻の有効性は否定されませんが,在留資格取得の際や相続等で問題になるケースがありますので,婚姻後早めに居民戸口簿の書き換えを行う事をお勧めします。
4.国際結婚手続きにおける必要書類(中国方式)
次は,日本人と中国人が中国方式で婚姻をする場合についてです。
中国方式で婚姻手続きをする場合は,日本人が中国に渡航する必要があります。
当事者二人揃って,民政局の婚姻登記処で婚姻登記を行います。
<日本人の方にご用意いただく書類>
・婚姻要件具備証明書※1
・パスポート
※在中国日本大使館・領事館で取得します。日本人の戸籍謄本と中国人の居民身分証・居民戸口簿をご持参の上,当事者二人で申請してください。原則,申請当日に発行されます。
婚姻が登記されると,赤い「結婚証」が当事者それぞれに発行されます。
②日本への婚姻報告について
中国で婚姻登記された後,在中国日本大使館または日本の市区町村役場で,婚姻届(報告的届出)を提出してください。
<日本人の方にご用意いただく書類>
・結婚証および日本語訳文
・本人確認資料(運転免許証又はパスポート等)
・戸籍謄本(本籍地以外に婚姻届を提出する場合)
<中国人の方にご用意いただく書類>
・出生公証書および日本語訳文
5.中国人との国際結婚手続きのまとめ
本ページでは,日本人と中国人の国際結婚手続きをご紹介しました。
日本方式で行う場合は,中国人は必ずしも来日する必要はありませんが,中国方式で行う場合は,日本人が中国に渡航する必要があります。また,中国は多くの少数民族が共存しており,多様な文化が存在します。文化が異なれば婚姻方式も異なります。
中国方式を選択して,中国で婚姻する際には,現地に行かれる前に,お相手の方に手続きについて事前確認をしていただいたうえで,ご準備される事をお勧めします。
本ページが,中国人との国際結婚をご検討されている方々のご参考になれば幸いです。