2024.01.17 依田 隼弥 配偶者ビザ結婚ビザ国際結婚手続きカンボジア人日本語 カンボジア人と国際結婚する手続きの流れとは?婚姻要件についても紹介 1.カンボジア人と日本先行で国際結婚をする手続きの流れ まずは、,日本先行で国際結婚をする手続きの流れを紹介します。 先に日本側の婚姻手続きを行い,その後にカンボジア側の婚姻手続きを行うパターンです。 主な流れは以下の通りです。 1. カンボジア本国で必要書類の取得 2. 日本の市区町村で婚姻の手続き 3. カンボジア本国へ渡航し婚姻登録の手続き 4. 日本の入管局へ配偶者ビザの申請 外国側の婚姻手続きは,日本にある大使館で行える国も多いのですが,カンボジアは日本にある大使館で手続きをすることができません。このため,カンボジア本国へ向かい手続きをする必要があります。 カンボジア国内での手続きには時間と手間がかかるため,早くて3ヶ月,遅いと1年かかることもあります。 配偶者ビザの取得などを検討している場合は,早めに手続きを進めることをおすすめします。 次に,流れについて詳しく見ていきましょう。 ①カンボジア本国にて必要書類の取得 まずはカンボジア本国へ向かい,必要書類の取得と取得した書類の認証手続きを行います。 カンボジア本国の役所で,カンボジア人側の「出生証明書」と「独身証明書」を取得してください。 この出生証明書・独身証明書はクメール語で記載されているため,日本語の翻訳文も作成します。 次に,カンボジア外務省にて,取得した出生証明書・独身証明書とそれぞれの日本語翻訳文を認証してもらいます。 カンボジア本国で取得する書類はこれでOKです。 ②市区町村で婚姻の手続きを行う カンボジア本国での必要書類が取得できたら,日本の市区町村にて婚姻の手続きを行います。 カンボジア人と日本人それぞれの必要書類は以下の通りです。 カンボジア人側の必要書類 独身証明書と日本語翻訳 出生証明書と日本語翻訳 パスポート 在留カード ※交付されている場合 日本人側の必要書類 婚姻届 戸籍全部事項証明書(=戸籍謄本)※本籍地以外の市区町村へ提出する場合 市区町村で用意している「申述書」 提出する市区町村によっては,上記以外の書類も必要になる場合があります。 あらかじめ市区町村の戸籍担当者に確認しておくことをおすすめします。 大都市やカンボジア人が多く住んでいる地域の市区町村であれば,必要書類についてすぐに教えてもらえるでしょう。 ただ,カンボジア人との国際結婚に慣れていない市区町村も多くあります。その場合,必要書類の案内が数日後になる可能性があります。 必要書類が無事に提出できれば,1週間程度で戸籍謄本に結婚した旨が記載されます。日本側の婚姻手続きは,これで完了です。…
2024.01.15 松原 桃子 日本語条件帰化申請 帰化申請の条件とは?審査基準・手続きの流れ・注意すべき点を解説 1. 帰化申請とは 帰化申請とは,国籍を変更する手続きを言います。 言い換えると,「日本人になるための手続き」です。 帰化申請が許可されれば日本人となるので,日本の戸籍を持ち,ビザを更新することなく日本に住み続けられます。 また,世界でもトップクラスの信用度を誇る日本のパスポートを持つこともできます。 【帰化申請のメリット】 日本のパスポートが取得できる(ビザなしで多くの国に渡航できる) 日本への自由に出入りできる(再入国許可手続きが不要) 在留カードの更新 選挙権,被選挙権が与えられる 警察官など国家公務員になれる 住宅ローンなど金融機関からの融資が受けやすくなる 在留カードの更新など,外国人に定められた手続きがなくなる ただし,これからご紹介する帰化の条件が満たされていれば,必ず帰化が許可されるということではありません。これらの条件は,帰化が認められるための最小限の条件であり,帰化を許可するかどうかは,法務大臣の裁量で決定されます。 また,日本では二重国籍を認めていないので,帰化が許可されると,母国の国籍は失うことになります。 帰化に必要となる7つの条件については,日本国民と特別な血縁関係等があれば条件の一部が緩和されるように例外的なケースもあります。 この例外的なケースについても可能な限り触れていきますので,ご確認ください。 では帰化の条件をご紹介します。 2.帰化申請手続きの流れ 帰化申請の手続きの流れは,次のようになります。 ①法務局で初回相談(必要書類の案内) ▼ ②必要書類の収集、申請書の作成 ▼ ③法務局で書類確認 ▼ ④法務局で帰化申請の受付(帰化申請書類一式を提出) ▼ ⑤法務局で面談 ▼ ⑥帰化の許可(法務局から審査結果の通知) ▼ ⑦市区町村で帰化後の手続き 一般的に④から⑤までの間が約3ヶ月,⑤から⑥までの期間が約6ヶ月から8ヶ月かかると言われていれるため,法務局に帰化申請書類一式を提出してから帰化申請の結果が出るまでは約1年の時間を要します。 ただし,帰化申請にかかるトータルの期間でいうと①から③の準備期間もあるので,帰化申請の準備を始めてから結果が出るまでとなると,確実に1年以上かかります。 また,東京など人口が集中している地域では,帰化する外国人の方が増えており,さらに日数がかかっています。そのため,帰化申請を短期間で終わらせるためには,①から③の準備期間をいかに短く終えるかという点が重要になるのです。 ご自身で帰化申請の準備をされる場合,申請書類の内容や収集した書類の確認のために,何度も足を運ぶことになります。 法務局は平日しか開庁していないため,土日休みの会社員の方だと平日に休みを取って法務局へ行く必要があります。また,現在はどこの法務局も帰化申請の相談は「事前予約」が必要となっており,仕事の空き時間に法務局へ立ち寄るといったこともできません。東京や大阪などの大都市圏では予約が数か月待ちになることもあります。また,帰化申請で提出する書類には,発行日から一定期間経過すると「無効」扱いになってしまうものもあるため,途中で期限が切れてしまうと,役所で再度取得することになります。申請の準備期間だけで1年以上かかってしまうというお話も聞きます。 平日にまとまったお時間が取りにくい方や,役所での書類取得に不安がある方は,帰化申請の専門家にサポートを依頼することもおすすめです。…
2023.11.13 依田 隼弥 家族滞在日本語就労ビザ家族の呼び寄せ国際結婚 家族滞在ビザの要件や取得方法を解説! 外国人が家族を呼ぶには? 1.家族滞在ビザとは? 家族滞在ビザは,家族関係にあれば誰でも取得できるわけではありません。 以下の要件を満たした場合に認められる在留資格です。 (1)認められるのは「配偶者と子」のみ 家族滞在ビザとは,「教授」,「芸術」,「宗教」,「報道」,「経営・経営管理」,「法律・会計業務」,「医療」,「研究」,「教育」,「技術・人文知識・国際業務」,「企業内転勤」,「興行」,「技能」,「文化活動」,「留学」,「高度専門職」,「介護」,「特定技能2号」のいずれかの在留資格を取得した方の扶養を受ける配偶者又は子に付与される在留資格です。 「家族滞在」という言葉から,親を本国から呼びたいというご相談をよくいただきますが,家族滞在ビザを取得できるのは,配偶者とお子様に限定されています。そのため,親を本国から呼び寄せたい場合には,家族滞在ビザの射程外となってしまいます。 扶養者の両親を本国から呼ぶことができる可能性のあるビザは,扶養者が「高度専門職」の在留資格を取得している場合,もしくは例外的な措置として告示外の特定活動の在留資格で呼ぶ場合(老親扶養ビザ)に限定されています。 >>老親扶養ビザ の詳細についてはこちら 高度専門職で親を呼び寄せる以外には,残念ながら親を呼ぶためのビザは原則として日本に存在しないとご理解下さい。 (2)家族滞在ビザ取得の要件 配偶者やお子様を家族滞在ビザで呼び寄せるには,以下の取得要件を満たす必要があります。 ① 扶養者が扶養の意思と扶養能力を有すること ② 扶養を受ける側の配偶者または子が扶養を受ける必要があり,又は現に扶養を受けていること ここでいう配偶者には,夫婦間の婚姻が日本の法律上有効に存続している必要があり,いわゆる内縁関係や外国で有効に成立した同性婚,パートナーシップは含まれません。 そして,ここでいう子には,実子の他に養子も含みます。また,未成年者に限られず,成人に達した子も対象になります。とはいえ,子が成人している場合には注意を要します。その理由として,子が成人している,あるいは成人年齢に近接している場合には,扶養を受ける必要性が薄弱と判断されてしまう可能性があるからです。 そのため,18歳以上の稼働年齢に達した子の家族滞在ビザの申請の場合は,来日の目的や扶養を受ける必要性を明確にする資料を提出するのが好ましいと言えるでしょう。 2.家族滞在ビザでは働けない? 家族滞在ビザは,就労活動が原則禁止されています。 例外として,資格外活動許可(いわゆるアルバイトの許可のことです。)を取得することによって,18歳以上で週28時間以内での就労活動が認められています。 資格外活動許可を取得せずに,家族滞在ビザで就労をしてしまうと資格外活動罪(入管法第24条4号イ,入管法第73条)に問われる可能性がありますので,就労活動をする場合には,必ず資格外活動許可を取得するようにしてください。 家族滞在ビザの資格外活動許可は,留学ビザと同様に,包括的なアルバイトの許可です。そのため,特定の就労先が決まっていない段階でも取得することができます。アルバイトやパートで働きたい場合は,就業先が決まってから資格外活動の許可を取得するのではなく,うっかり忘れを防止するためにも,あらかじめ資格外活動許可を取得しておくことをお勧めします。 3.家族滞在ビザで在留中の子どもが大きくなったら? 子どもが成長し,独立した生計を立てることができるようになれば,親の扶養を受ける必要がなくなるため,家族滞在ビザには該当しなくなります。しかし,幼い頃に来日し,日本で教育を受け,長年日本で暮らしてきた子が,本国への帰国を余儀なくされるのは人道的な観点から好ましくありません。 そこで,日本で義務教育の大半を受け,日本の高校を卒業している場合(おおむね高校卒業までの10年以上の在学歴が必要となります。)には,日本への定着性の高さに鑑み,定住者ビザへの変更許可がされるケースがあります。 この定住者ビザは,あらかじめ法務省告示で定められているものではありませんが,近時の法務省の傾向としては,比較的容易に取得できる傾向にあります。 4.家族滞在ビザの扶養者が在留資格該当性を喪失した場合はどうなる? 家族滞在ビザの扶養者が離職などの事情で在留資格を喪失した場合には,家族滞在ビザで在留する配偶者やお子様も,その在留資格に該当しなくなります。なぜなら,家族滞在ビザは,本体者である扶養者が在留資格を有することを前提とするからです。 また,家族滞在ビザの扶養者が永住許可を受けた場合にも,その配偶者やお子様は家族滞在ビザの在留資格該当性を喪失することになります。その理由は,家族滞在ビザの対象となる扶養者の在留資格の種別には,1(1)の通り永住者の在留資格は含まれていないからです。この場合,配偶者の方は永住者の配偶者等のビザとなり,お子様は永住者の配偶者等のビザもしくは定住者ビザへの変更申請を速やかに行う必要があります。 家族滞在ビザの扶養者が永住許可を取得したい場合には,速やかにご家族の在留資格変更許可申請を入管で行うようにして下さい。 5.家族滞在ビザを取得するメリット 日本で就労する外国人が,家族を呼び寄せてその家族が家族滞在ビザを取得すると,職場に定着しやすくなるメリットがあります。 現在,日本の就労ビザを取得している外国人で国籍で多いのは,ベトナム,フィリピン,インドネシアなどの出身者です。これらの国は,家族重視の国民性であるため,家族が一緒に暮らすことを希望しています。 したがって,日本で働く外国人は,いずれは本国から家族を呼び寄せたいと考えている方が多い傾向です。 企業の人事担当の方は,外国人従業員から「家族を呼びたい」という希望を聞いた場合には,ぜひ積極的に協力をしてあげてください。 6.家族滞在ビザ取得のための必要書類 家族滞在ビザを取得する際に,原則として必要となる書類は以下の通りです。…
2023.11.07 依田 隼弥 配偶者ビザ結婚ビザ国際結婚日本人の配偶者等日本語 国際結婚手続きの流れは?必要書類と注意点も解説 1.国際結婚の手続きで必要な書類 国際結婚の手続きを日本で行う場合に,基本的に必要となる書類は以下の4つです。 婚姻届 パスポート 戸籍謄本 婚姻要件具備証明書 外国で国際結婚の手続きを行う場合は、必要となる書類が異なりますので、手続きを行う国に従って下さい。 それでは、日本で国際結婚の手続きを行う場合にどんな書類なのか、詳しく紹介します。 ①婚姻届 まず必要となるのは、婚姻届です。 こちらは、市役所の窓口や法務省のホームページでダウンロードできる婚姻届で,日本人同士で結婚する際に記載するものと同じものになります。 日本人側は日本語で日本人同士の結婚と同様に記入します。 外国人側の指名や父母名はカタカナで記入し、アルファベットでの表記は避けてください。 最後の署名欄は各自直筆で記入し、それ以外の欄は代筆でも問題ありません。 外国方式で国際結婚手続きを行う場合には、外国人のサインは不要です。 また、婚姻届けには押印する場所がありますが、印鑑がない場合は直筆の署名を行ってください。 婚姻届の証人2名は日本に住民票があれば日本人でも外国人でも構いません。 ②パスポート パスポートは外国籍の相手のみで、国籍を証明するために必要です。 顔写真があるページのコピーとそのパスポートの日本語訳を提出します。 提出する書類は必ず、日本語訳されたものを用意してください。 日本語訳は自分たちで行う方法もありますが、必ず翻訳者の氏名と住所を文末に記入してください。 また、婚姻届の提出には本人確認書類の提示が必要になります。 婚姻届を提出する際には、日本国籍があってもマイナンバーカードなどの本人確認書類を用意しておいてください。 ③戸籍謄本 戸籍謄本は日本国籍がある方のうち、本籍地がある市区町村以外で婚姻届を提出する際に必要です。 例として、東京都世田谷区に本籍地がある方が世田谷区役所に婚姻届を提出する場合は戸籍謄本は不要です。 しかし、東京都世田谷区に本籍地がある方が世田谷区役所以外の自治体で婚姻届を提出する場合には戸籍謄本を婚姻届と一緒に提出します。 ただし、戸籍法の改正により、2024年以降は本籍地以外の自治体で婚姻届を提出する場合でも戸籍謄本の提出は不要になります。 ④婚姻要件具備証明書 日本人同士の結婚と国際結婚で大きく違う点が、婚姻要件具備証明書です。 婚姻要件具備証明書とは、外国籍の相手が独身であることや婚姻適齢にあることなどの婚姻要件を満たしていることを示す書類です。 婚姻要件は国によって異なります。 婚姻要件具備証明書の提出によって、「母国の婚姻に関する要件を満たしており日本での婚姻に問題がない」と証明してくれます。 婚姻要件具備証明書は在日大使館か領事館に請求してください。 請求する際に、身分証明書のみが必要な場合と出生証明書や独身証明書が必要な場合もあるため、あらかじめ在日大使館や領事館に確認しておきましょう。 また、婚姻要件具備証明書はペルーやインドなど一部の国では発行されない場合があります。 その場合は、婚姻要件具備証明書がない旨の申述書と独身証明書など別の書類で代用します。 2.国際結婚の手続きの流れ 次に国際結婚の手続きの流れを紹介します。…
2023.10.20 尾島 諒 配偶者ビザ結婚ビザ国際結婚手続き申請方法日本語 配偶者ビザを申請するには?必要書類や注意点について解説 1.配偶者ビザとは? 配偶者ビザとは,外国人の方が日本人の配偶者とともに日本で暮らしていくために必要なビザのことを言います。 正式には「日本の配偶者等」と言いますが,多くの場合「配偶者ビザ」または「結婚ビザ」などと呼ばれています。 外国人配偶者の居住地が,海外,日本,どちらのケースでも配偶者ビザの申請は可能です。 ただし外国人配偶者が海外,日本のどちらに居住しているかによって,配偶者ビザの申請の種別が異なります。 2.配偶者が海外に居住している場合の申請方法 配偶者が海外に居住している場合は,「在留資格認定証明書交付申請」を行う必要があります。 在留資格認定証明書交付申請とは,海外に居住している外国人配偶者を日本に呼び寄せるための申請のことをいいます。 申請の流れは以下のとおりです。 ①入管に配偶者ビザを申請する ②入管において審査を受ける ③入管から審査結果が送付される ④配偶者に在留資格認定証明書を郵送する ⑤在外日本大使館で配偶者ビザの交付を受ける ⑥3カ月以内に日本に来日する それぞれ順番に解説します。 ①入管に配偶者ビザを申請する まずは,入管に在留資格認定証明書交付申請を行います。 申請先は,申請代理人の住所地を管轄する入管です。 誰でも配偶者ビザを申請できるわけではなく,申請できる人は以下のように決められています。 日本にいる外国人配偶者の親族 行政書士,弁護士 上記の「行政書士,弁護士」とは,申請取次研修および試験を経て,地方出入国在留管理局長に届け出た行政書士または弁護士のみが対象です。 なお,行政書士法人第一綜合事務所には,複数の申請取次行政書士が在籍しています。 ②入管において審査を受ける 申請後,入管にて配偶者ビザの審査が行われます。 入管での審査は込み具合により変動しますが,概ね完了するまでに1カ月~3カ月程度かかります。 そのため,お子様の学校の都合等で入国日が決まっている場合には,計画的にスケジュールすることが肝要です。 ③入管から審査結果が送付される 配偶者ビザの審査が終わったら,以下のうちどちらかの書類が入管から送られてきます。 在留資格認定証明書 在留資格認定証明書不交付決定通知書 送られてきたのが「在留資格認定証明書」だった場合,配偶者ビザ取得のための最初のステップをクリアしたということになります。 一方,送られてきたのが「在留資格認定証明書不交付決定通知書」だった場合は,残念ながら配偶者ビザの申請許可が下りなかったということです。 このように,送られてくる書類によって大きく結果は異なります。 なお,配偶者ビザの申請が不許可になってしまったときの対処法については,以下のコラムにて解説しています。 今回は不許可になってしまったものの,再申請に挑みたいという方はぜひご覧ください。 >>配偶者ビザ 再申請の方法…
2023.10.19 尾島 諒 ビザ海外大学生日本語インターンシップ インターンシップビザ(特定活動ビザ)の取得方法,メリット,条件,必要手続きなどを解説 1.海外の大学生が対象となる「インターンシップ」とは? インターンシップとは,実際に大学生が仕事を体験する制度のことです。「就労体験」や「就業体験」と言われることもあります。 6月頃から始まる「サマーインターンシップ」と,10月頃から始まる「秋冬インターンシップ」が一般的ですが,開催時期は企業によって異なります。 海外の大学生が行うインターンシップについては,入管のガイドラインで以下のように定義されています。 インターンシップとは,一般的に,学生が在学中に企業等において自らの専攻及び将来のキャリアに関連した実習・研修的な就業体験を行うものであることから,インターンシップ生を受け入れる企業等においては,産学連携による人材育成の観点を見据えた広い見地からの対応が求められるとともに,適正な体制を整備した上で,インターンシップ生が所属する大学とも連携しながら,教育・訓練の目的や方法を明確化するなど,効果的なインターンシップ計画を立案することが重要です。 参考:出入国在留管理庁「外国の大学の学生が行うインターンシップに係るガイドライン」 海外の大学生にとってのインターンシップ制度は,仕事の内容や自身の適正を理解することが目的です。 インターンシップビザで海外の大学生を受け入れる企業は,きちんとした教育体制・実習計画の元,目的に沿った対応が求められます。 2. インターンシップビザを取得して海外の大学生を受け入れるメリット 海外の大学生におけるインターンシップには,学生側にも企業側にもメリットがあります。 ①学生側のメリット インターンシップ先の企業が,将来の就職先になる可能性がある 日本の文化や生活,働き方を体感できる 大学生のうちから,社会人としての教養や常識を身につけることができる インターンシップビザを取得すれば,報酬を得ながらアルバイトではできない社会経験を積むこともできます。 大学以外での社会活動を通して,日本の文化や生活などにも触れられるという点でも,インターンシップのメリットは大きいです。 ②企業側のメリット 海外の人材を受け入れる企業の体制作りや,社員の育成に役立つ 在学中の優秀な海外の大学生などに自社をアピールできる 部下のマネジメント能力,多言語での語学力など,社員教育の一環として役立つ インターンシップビザを取得して,多くの海外の大学生を受け入れることで,優秀な人材を将来雇用できる可能性が高まります。 また,インターンシップビザを取得するための準備を通じて,外国人の受入れ体制を整えたり,学ぶことができるのは,今後増加が予想される外国人雇用について,企業の大きな強みになるはずです。 3. インターンシップビザで海外の大学生を受け入れる条件を確認 インターンシップビザで海外の大学生を招く場合,インターンシップの法令上の条件を満たしている必要があります。 インターンシップを労働力の確保として利用したり,不十分な指導体制にも関わらず多数の学生をインターンシップビザで受け入れたりという事例が発生しているため,厳格に審査が行われています。 しかし,恐れる必要はありません。 適切な受け入れ体制を準備すれば,インターンシップ制度を有効活用することはできます。 ここからは,インターンシップビザの入管の審査基準を見ていきましょう。 ①対象となるインターンシップの条件 (1)海外の大学の学生であること インターンシップビザを取得するためには,海外の大学に在籍している大学生であることが大前提です。 学位の授与される教育課程であれば,「短期大学」「大学院」の学生も対象になります。 また,日本入国時に18歳以上であることも必要です。 注意が必要なのは,通信教育を行う大学に在籍している場合はインターンシップビザの対象とはなりません。 この点,誤解が多いのでご注意ください。 (2)インターンシップの業務内容が大学の専攻に関係していること インターンシップは,あくまで大学の教育課程の一部です。 そのため,業務内容が大学の専攻に関連していることが必要になります。…
2023.10.19 渡邉 直斗 配偶者ビザ結婚ビザ国際結婚日本人の配偶者等上陸特別許可上陸拒否日本語 上陸特別許可を専門行政書士が解説 1.上陸特別許可についての入管法の規定 外国人が日本に上陸しようとする場合,上陸しようとする空港または海港で必ず上陸審査を受けて上陸許可を受けなければなりません。上陸許可の要件は大きく分けて4つ法定されており(入管法7条1項),そのなかの一つに上陸拒否事由に該当していないことが定められています。 Aさんの場合,入管法第5条第1項9号ロの上陸拒否事由に該当するため,5年間日本への上陸を拒否されることになります。上陸拒否事由には,代表的なものとして薬物事犯,売春防止法違反,1年以上の懲役刑の有罪判決(執行猶予付判決を含む)を受けたことなどが定められています。 (参考条文) ・入管法第7条第1項4号 入国審査官は,前条第二項の申請があつたときは,当該外国人が次の各号…に掲げる上陸のための条件に適合しているかどうかを審査しなければならない。 四 当該外国人が第五条第一項各号のいずれにも該当しないこと(以下略) ・入管法第5条第1項9号ロ 次の各号のいずれかに該当する外国人は,本邦に上陸することができない。 九 次のイからニまでに掲げる者で,それぞれ当該イからニまでに定める期間を経過していないもの ロ 第二十四条各号…のいずれかに該当して本邦からの退去を強制された者で,その退 去の日前に本邦からの退去を強制されたこと…のないもの 退去した日から五年 もっとも,上陸拒否事由に該当する場合でも,法務大臣が相当と認める場合には,上陸を許可することができるとされています。法務大臣の裁決の特例として,入管法では以下のように定められています。 (参考条文) 入管法第12条第1項 法務大臣は,前条第三項の裁決に当たって,異議の申出が理由がないと認める場合でも,当該外国人が次の各号のいずれかに該当するときは,その者の上陸を特別に許可することができる。 一 再入国の許可を受けているとき。 二 人身取引等により他人の支配下に置かれて本邦に入ったものであるとき。 三 その他法務大臣が特別に上陸を許可すべき事情があると認めるとき。 実務上,もっとも多く上陸特別許可が認められる類型が,3号の「法務大臣が特別に上陸を許可すべき事情があると認めるとき」です。 このように,入管法は上陸を認めることができない事由を定める一方で,特例として上陸を認める場合があることを定め,個別の事案で救済を図っているのです。 上陸拒否事由については,入管法の上陸拒否事由とは? で解説していますので,ご参照ください。 それでは,次のチャプターで,どのような場合に上陸特別許可が認められているか見ていきましょう。 2.上陸特別許可が認められるケース では,どのような場合に,上陸特別許可が認められるのでしょうか。 上陸拒否事由を定めておきながら,あまりにも広く特例を認めてしまうと,上陸拒否事由を定めた意味がありません。そこで,実務上は,人道上配慮すべき特別な事情がある場合に限り特例を認めるという,かなり限定的な運用がされています。しかも,この要件を満たしていれば特例を認めるというように要件が法定されているわけではなく,法務大臣の相当広範な裁量によって決定されます。 ただ,入管当局も上陸特別許可の運用を明確にするために,毎年1度,許可事例と不許可事例を公表しており,また,実務運用の積み重ねによってある程度の基準が明らかになってきています。それが以下の4つの基準です。 ①日本人,特別永住者,永住者,定住者と法的に婚姻が成立しており,婚姻の信憑性の立証が十分になされていること ②在留資格認定証明書交付時において,婚姻後1年以上が経過していること ③在留資格認定証明書交付時において,退去強制後2年以上経過していること ④執行猶予付き有罪判決を受けた後に退去強制された場合は,執行猶予期間をおおむね経過していること…
2023.10.18 今井 幸大 就労ビザ日本語取得方法 就労ビザの取得要件|企業の注意点や必要書類,審査期間を解説 1.就労ビザとは? 就労ビザとは,正式には「就労できる在留資格」の事を意味しており,外国人が日本で働くために入管が許可する資格の事を言います。 ビザ(査証)とは別のもので,ビザ(査証)は,日本が発行する入国許可証で,在留資格を意味するビザは,日本に滞在することを許可する資格です。 「就労できる在留資格」すなわち就労ビザは,日本で就労を希望する外国人は取得する必要があります。 一方,文化活動や研修,短期滞在や留学,家族滞在等を目的とした外国人は,就労不可のビザに該当します。 就労系の在留資格は,外国人が日本で行う活動内容によって19種類に分類されています。 >>就労ビザ 種類 はこちらをご覧ください。 2.就労ビザの取得要件 就労ビザの取得要件は,簡単に説明すると,以下のとおりです。 ビザの種類に適合するような業務に就く 業務に関連のある学部や学科を卒業している 日本人と同等以上の報酬を得られる 就労先の企業に継続性や安定性がある 就労ビザの代表格となる技術人文知識国際業務ビザでは、理学,工学その他の自然科学に関する業務、法律学,経済学,社会学その他の人文科学に関する業務、’国際的な分野に関する業務などに従事することが可能です。 技術人文知識国際業務ビザの要件には学歴要件、実務経験、資格などがそれぞれ必要となりますので、申請の際は、事前に確認しましょう。 詳しくは,技術人文知識国際業務ビザ に記載しておりますので,ぜひあわせてご覧ください。 3.就労ビザを取得するための必要書類 就労ビザの取得には,多くの書類が必要になります。 また,必要な書類は,勤務する会社の属するカテゴリーによって変わります。 提出書類は、勤務する会社の事業概要や職務を証明する書類、外国人の学歴や実務経験を証明する書類になります。 以下は主な書類です。 申請書 申請人の写真(4×3センチ) 返信用封筒または返信ハガキ 採用・招へい理由書・職務内容説明書 申請人の履歴書 最終学歴の証明書(卒業証書) 職歴を証明する文書 などになります。 勤務する会社の属するカテゴリーの詳細については,以下の記事をご覧ください。 >>就労ビザ カテゴリーはこちら 4.海外から外国人を呼び寄せて採用する場合の就労ビザの取得方法…
2023.10.16 仲野 翔悟 配偶者ビザ結婚ビザ更新手続き日本語 配偶者ビザの更新!必要書類や不許可にならないためのポイント解説 1.配偶者ビザの更新期間 配偶者ビザの更新は,在留期間が満了する3ヶ月前から,住所地を管轄する入管に申請することができます。ただし,入院や長期出張などの特別な事情が認められる場合は,3ヶ月以上前から更新申請することができる場合もあります。 一般的に在留期間の更新申請を行った際の審査期間は,2週間から1ヶ月程度とされており,その後に付与される配偶者ビザの在留期間は,「6月」,「1年」,「3年」,「5年」と定められています。 「6月」の在留期間は,離婚調停又は離婚訴訟が係属している方が該当するので,初回の配偶者ビザの更新申請では,付与される在留期間は「1年」となる方が多い印象です。 一方,提出された書類を総合的に判断して初回から「3年」や「5年」の在留期間を付与される方もいらっしゃいます。 初回から「3年」や「5年」の在留期間を付与される方は,婚姻後の同居期間が3年を超えている方や,既にお子様がいらっしゃって小学校及び中学校に通われている方など,婚姻の実体が安定・継続している方が対象となります。 配偶者ビザの更新については,前回の申請時と生活状況等に変更がある場合には,更新申請の必要書類や審査の難易度が大きく異なる事になるので注意が必要です。 2.配偶者ビザ更新時の審査ポイント 配偶者ビザの更新は,婚姻が継続している事実のみをもって当然に許可されるわけではありません。 本チャプターでは,配偶者ビザの更新時の審査ポイントについてご説明します。 ①婚姻生活が安定・継続していること 夫婦が同居・扶助・協力して,生計を共にしていることが必要です。 しかし,やむを得ない事情で週に1回しか同居していない場合や,外国人である配偶者が長期間日本に不在であった場合でも,理由によっては,配偶者ビザの更新が許可されることもあります。 では,配偶者ビザの更新許可をもらえる理由とは一体どのような理由なのでしょうか。 それは,単身赴任等の仕事上の理由や,病気,本国にいる両親の介護等が代表例です。 ここでご注意いただきたいのは,例にあげた合理的な理由があったとしても,それを入管に立証できなければ,配偶者ビザの更新許可はされないということです。 たとえば,自宅と単身赴任先を行き来していることを証明できる資料(高速道路を利用した領収書や,新幹線のチケットや領収書など)や,両親の介護が必要であることを明らかにする書類(医師の診断書など)や,日本人夫が服役中の場合は在監証明書を必要書類と共に提出することが,入管審査の観点からは重要な書類となります。 ②素行が不良でないこと 法律を犯すことなく,また税金の支払い等の公的義務を履行していることが求められます。 よくあるのが,住民税などの税金に関して納付期限を過ぎても支払いをしていないケースです。 配偶者ビザの更新前に,公的義務の履行状況は確認するようにしてください。 ③婚姻生活を営むための経済的基盤があること 扶養者である配偶者の収入が低かったり,夫婦どちらも無職の場合には,配偶者ビザの更新申請が不許可になってしまう可能性があります。 しかし,上記のような状況にあっても,例えば日本にいる両親や親族から生活費の援助を受けている場合や,夫婦どちらか一方の就職先が決まっており安定した収入を見込める場合は,配偶者ビザの更新申請前に,生活費の援助を受けていることが分かる資料や,内定先の雇用契約書や内定通知書等を必要書類と共に提出することで,配偶者ビザの更新申請が認められる可能性もあります。 収入については,直近の1年間の収入額が,本人に被扶養者を加えた人数に78万円を乗じた金額(国民年金の基礎年金の年間受給額が参考とされています。)以上であるか否かが,目安とされています。 ④入管法に定める届出等の義務を行っていること 中長期在留者は,在留カードの記載事項に係る届出,所属機関等に関する届出などの義務を履行しなければなりません(入管法第19条の7から第19条の13まで,第19条の15及び第19条の16)。 配偶者ビザをお持ちの方も中長期在留者に該当するので,引っ越しにより住居地に変更が あった場合などは,住居地を定めた日から14日以内に従前の住所地を管轄する役所への転出届と,引越先の住所地を管轄する役所に転入届を提出する必要があります。 以上が,配偶者ビザの更新時の審査ポイントとなります。 なお,配偶者ビザの更新において不利な事情があるからといって,虚偽の内容を記載することは絶対にしてはいけません。 実務上では,虚偽申請を行ったことの一事をもって不許可になる事例が多く発生しています。 例えば,配偶者と婚姻後日本で同居の事実がないにも関わらず,その事実を隠して入管に更新許可申請を行い不許可になる,といったものです。 配偶者ビザの更新申請にご不安のある方は,まずは弊社の無料相談をご利用ください。 ご相談は無料です。お気軽にご相談ください。 3.配偶者ビザの更新申請する際の必要書類 申請人の方が,日本人の配偶者である場合には, 在留期間更新許可申請書 1通 証明写真(縦4cm×横3cm) …
2023.07.31 今井 幸大 日本語興行ビザ解説 興行ビザのポイントを徹底解説! 1.興行ビザとは? 「興行」とは,特定の施設において公衆に対して演劇,演芸,演奏,スポーツ,サーカス,その他のショー等を見せ又は聞かせることをいい,バー,キャバレー,クラブ等に出演する歌手等としての活動もこれに含まれます。 興行ビザは,外国の文化に接する機会を提供し,文化交流を促進することにより,国際理解を増進し,また,日本の文化,スポーツの振興・向上等に寄与するために設けられたビザです。 興行ビザは就労ビザの一つで,エンターテイメントビザや芸能ビザと呼ばれることもあります。 テレビなどのメディアで目にする俳優やモデル,歌手,プロスポーツ選手の多くが興行ビザで活躍しています。 興行ビザは,これらの職業の外国人が,コンサート講演やテレビ出演,映画の撮影や音楽のレコーディング,宣伝活動などを報酬を得て行う場合に必要となるビザです。 2.興行ビザに該当する職種 以下に,興行ビザに該当する代表的な職種をご紹介します。 ミュージシャン 俳優,モデル 演奏家,オーケストラ プロスポーツ選手,e-スポーツ選手 振付師,演出家 出演者が興行を行うために必要不可欠な補助員 (舞台の演劇の照明係,カメラマン,マネージャー,サーカスの動物飼育係,スポーツ選手のトレーナーなど) 幅広い活動で,興行ビザが認められています。 3.興行ビザは3つのカテゴリー どのような活動を行うかにより,興行ビザは以下の3つのカテゴリーに分類されます。 どのカテゴリーに該当するかにより,興行ビザの取得の要件や必要書類も異なります。 3-1.興行ビザ1号 演劇,演芸,歌謡,舞踊,演奏等の興行活動が「興行ビザ1号」に該当します。 興行ビザ1号に分類される例として,小規模なライブハウスやクラブなどで行われる興行のほか,規模が大きく,かつ,短期間で行われるコンサートやフェスなどの興行も該当します。 また,テーマパークで行われる演劇等も興行ビザ1号に含まれます。 ※飲食の提供を伴う施設で興行活動を行う場合や,実際に飲食の提供を伴わなくても,提供できる設備で興行活動を行う場合には,興行ビザ1号に該当する可能性があります。 3-2.興行ビザ2号 プロスポーツや格闘技の大会,サーカスなどが該当します。 また,監督,コーチ,トレーナーなど選手と一体不可分な関係にある者の活動も,興行ビザ2号に該当します。 3-3.興行ビザ3号 ファッション・ショーに参加するファッション・モデルとしての活動,番組・映画に出演する芸能人,俳優,歌手等の活動が該当します。 興行ビザ3号は,興行ビザ1号及び2号と異なり,興行の形態で行われない芸能活動を規定しています。 4.興行ビザを取得するための要件を解説 興行ビザは上記のように3つのカテゴリーの活動内容に分類されます。 今回の改正により,「興行ビザ1号」の要件が大幅に変更されました。 以下では,興行ビザ1号を中心に,それぞれの要件についてご説明いたします。 4-1.興行ビザ1号 興行ビザ1号は,演劇等の興行活動に従事しようとする場合が対象となります。 かねてから演劇等の興行活動は,その性格上生じうる不法就労や金銭的な搾取が問題とされていました。 そのため,今般の改正では, (1)適正に実施している実績がある招へい機関が受け入れる場合, (2)新たに受け入れる場合であっても問題が生じるおそれが少ない場合…