【2026年10月施行】改正入管法による在留手数料の大幅値上げの影響を行政書士が解説

2026年5月29日に、日本の入国管理行政においてターニングポイントとなる「改正入管難民法」が成立し、8月25日には閣議決定により改定後の在留手数料および2026年10月1日からの施行が正式に確定しました。今回の法改正は、日本に在留するすべての外国人と、それを受け入れる企業にとって、決して見過ごすことのできない重大な変更を含んでいます。
「ビザの更新費用や永住申請のお金はいくらになるの?」という不安を抱えている方も多いでしょう。
このコラムでは、法改正による値上げについて、確定した具体的な在留手数料と救済措置について、入管行政の最新トレンドを交えながら、入管業務専門の行政書士の視点から分かりやすく解説します。今後の対策についても具体的にお伝えしますので、ぜひ最後までお読みください。
Index
1. 2026年10月1日施行の改正入管法による「手数料引き上げ」の全貌
(1) 2026年10月1日からの手数料について
今回の法改正における最大の変更点は、入管手続きの際に入国管理局へ支払う「手数料」の見直しです。法律で定められた「上限額」が大幅に引き上げられたことを受け、改定後の実際の徴収額が変更されました。
特に永住許可については、1万円から「20万円」まで引き上げられました。
具体的にいくらになるのかは、以下の入管公式サイト上の表の通りです。
入管公式サイト「令和8年10月1日付け在留許可手数料の額の改定等について」より抜粋
今回の改正により、手数料は許可される「在留期間」が長くなるほど高くなります。
(2) 実務上の注意点①新手数料が適用される基準は「受付日」
「10月1日以降に許可が出たら、新しい高い手数料を払わなければいけないの?」と不安に思う方も多いでしょう。
入管によると、新しい手数料が適用されるかどうかは「許可日」ではなく「申請の受付日」で判断されます。
- 2026年9月30日までに受付完了した申請: 許可が下りる日や手数料の納付が10月1日以降になっても、改定前の手数料(窓口6,000円〜10,000円)が適用されます
- 2026年10月1日以降に受け付けられた申請: 新手数料(改定後料金)が適用されます
つまり、改定後の高額な手数料負担を避けるためには、2026年9月30日までに申請手配を済ませ、入管での受付を完了させることがポイントとなります。
(3) 実務上の注意点②オンライン申請の手数料納付方法変更
2026年10月1日以降に申請する在留手続きについては、手数料の支払い方法も変わります。
従来の収入印紙による納付から、以下のように変更されます。
- 納付方法:コンビニ決済または銀行決済のみ(クレジットカード決済、QRコード決済には対応していません)
- 納付の流れ:
- 在留申請オンラインシステムから審査完了メールが届く
- 後日、案内用メールアドレス(no-reply@service-dgft.com)から決済案内メールが届く
- メールの案内に従ってコンビニまたは銀行で支払う(※紙の納入通知書は送付されません)
オンライン申請を行う際は、あらかじめ指定のメールアドレス(no-reply@service-dgft.com)からのメールを受信できるようドメイン設定を確認しておくこと、そして支払いにはクレジットカード決済やQRコード決済が使えないことに注意が必要です。
2.なぜ値上げされるのか?在留外国人「413万人時代」のトレンド
国がこれほどまでに手数料を引き上げ、適正な管理の手を強める背景には、日本における在留外国人の急増と、それに伴う行政コストの増大があります。
(1)過去最高を更新し続ける在留外国人数
出入国在留管理庁が発表した統計データによると、日本に暮らす中長期在留者や永住者などの外国人数は2025年末時点で4,125,395人(約413万人)に達し、過去最高を更新し続けています。日本の総人口が減少する一方で、特定技能などの就労ビザを持つ労働者や、日本に定住する永住者が急増しているのが2026年現在のトレンドです。
(2)政府が推進する「不法滞在者ゼロプラン」
外国人が増えることは日本社会の活性化につながる一方で、比例して増えるのが「不法滞在」や「不法就労」のリスクです。そこで政府(出入国在留管理庁)が掲げているのが、「不法滞在者ゼロプラン」という強力な行動計画です。
「不法滞在者ゼロプラン」とは、日本の安全と利便性を両立させつつ、ルールに違反する外国人を徹底的に削減するために作られた国の基本方針です。具体的には、以下のような施策が盛り込まれています。
- 適切な在留管理と送還の手続き: ルールに則った厳格な運用を行い、非正規滞在の解消を進める
- 在留管理のデジタル化: オンライン申請などの推進により、手続きの透明性と利便性を高め、正確な在留データを把握する
(3)共生支援(日本語教育プログラムなど)の強化
単なる不法滞在の取り締まりや管理強化だけでなく、増収分は「外国人が日本社会に円滑に適応するための取組」にも充てられることが公式資料に明記されています。
具体的には、外国人が日本語や日本の制度・ルールを学習する新プログラムの創設検討や、多言語による情報発信・生活相談体制の強化など、「秩序ある共生社会」の実現に向けた支援施策の費用として還元される方針です。
この一連の動きは「お金と最新の技術(DX)を投じて不法滞在者を一掃する一方で、ルールを守って暮らす外国人への共生・教育支援を充実させていく」という、政府の姿勢の表れといえます。
3.今回の手数料値上げが外国人やその受入企業に与える「真のリスク」
単に「手続きのお金が高くなる」という表面的な問題だけではありません。プロの視点から見ると、今回の改正はより深い「真のリスク」をはらんでいます。
(1)外国人の方への影響:短期更新の繰り返しや家族滞在が「経済的リスク」に
実務上、非常に多く見られるのが、本来なら3年や5年の在留期間の取得が見込めるのに、書類の不備や説明不足が原因で「在留期間1年」の許可を毎年繰り返しているケースです。
2026年10月以降、1年更新の手数料は33,000円(オンライン27,000円)となるため、単身者であっても毎年約3万円の出費が続くことになります。さらに、妻や子供などを呼び寄せている「家族滞在」の世帯であれば、家族全員分の更新費用で毎年十数万円の出費という深刻な経済負担を受けるリスクがあります。
(2)永住権への影響:「永住許可取消制度(2027年4月施行)」との連動
今回の改正で、永住許可の手数料は約20万円に引き上げられます。それだけでなく、入管法では2027年に税金や社会保険料を未納・滞納した場合に永住権を取り消す制度の施行も控えています(詳しくは【2027年4月法改正】永住権取り消しの新基準とは?対処法を行政書士が解説をご参照ください)。
手数料が高くなるということは、それだけ「審査にかける人員と時間を増やし、厳格にチェックする」ということです。「一度永住権を取れば安心」という時代は終わり、申請時だけでなく取得後も、これまで以上に完璧な公的義務の履行が求められるようになります。
(3)企業への影響:手数料の会社負担による「ダイレクトな財務リスク」
企業側にとっての真のリスクは、財務面とビジネススピードの双方に及びます。
優秀な外国人材の離職を防ぐため、在留資格の変更や更新の手数料を「会社全額負担」にしている企業は少なくありません。従業員数が多い企業や、1年更新のスタッフを多く抱える企業では、手数料の値上げがそのまま企業のダイレクトなコスト負担増に直結します。
このように、今回の法改正は単なる手続きの手間や数千円の出費増というレベルに留まらず、企業のコスト管理や国際ビジネスのスピード感そのものに直結する経営上の重要課題へと発展しかねないリスクをはらんでいるのです。
4. 救済措置となる「在留許可手数料の減額ガイドライン」
大幅な値上げ案が示される一方で、入管は「在留資格の変更又は在留期間の更新の許可に係る手数料の減額対象者のガイドライン」も導入します。
手数料が完全に0円となる「免除」の対象は、「外交」や「公用」の在留資格を持つ外国人のみに限定されます。生活困窮などを理由とする免除措置はありません。
一方で、経済的事情などで納付が困難な方に対しては、審査のうえ以下の額に「減額」されます。
- 在留資格の変更・期間更新:一律 10,000円
- 永住許可:一律 20,000円
ガイドラインによると、減額の対象となるのは、原則として【①経済的困窮要件】のいずれかに該当し、かつ【②人道上の配慮要件】のいずれかに該当する方とされています。
- 生活保護の取扱いに準じた保護を受けている
- 難民認定申請者等に対する保護措置(保護費)を受けている
- 中国残留邦人等への支援給付を受けている
- 上記と同程度に生活に困窮していると個別に認められる(資産や在留状況から判断)
×(かつ/同時に満たす必要があります)
② 人道上の配慮要件(どれか1つ)
- 「定住者」のうち、難民認定を受けた方、第三国定住難民、インドシナ難民、中国残留邦人等およびその親族
- 身分系ビザ:「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」などで、引き続き在留することが相当と認められる方
- 難民認定や本国の情勢不安などを理由に「定住者」や「特定活動」のビザを持つ方
- 人身取引の被害に遭った方、または児童養護施設等に入所している外国人のお子様
- 指定難病の患者・重度障害者、またはこれらの方を看病・養育している方 など
実際に減額が適用されるかどうかは、本人の資産状況、働ける状態にあるか、世帯の収入などを踏まえ、入管によって厳格に個別判断されます。
5.【対策】負担を最小限に抑えるために、今すべきこと
法改正によるリスクを回避し、日本で安定して暮らす・ビジネスを続けるためには、今から先回りの対策が必要です。
(1)外国人の方:一度の申請で「3年・5年」の長期ビザ、または「永住権」を目指す
無駄な更新回数(=無駄な手数料の支払い)を減らす最大の対策は、「入管から信頼に値する在留資格者であると認められ、3年や5年の長期ビザを一度の申請で取得すること」です。
- 過去の申請書と今回の申請書の内容に「矛盾」や「書き間違い」はないか
- 住民税、所得税、国民健康保険、年金などの支払いに「1日でも遅れ」はないか
- 会社の経営状況(決算書)が悪い場合、そのリカバリープランを理由書で説明できているか
入管の審査が厳格化するこれからの時代、精度の低い書類による申請は不許可になる危険性が高まります。手数料が高くなるからこそ、最初の申請で確実に長期ビザや永住権を勝ち取る戦略が必須です。
(2)受入企業:社内規定(手数料負担)の見直しと長期ビザ取得へのサポート
外国人を雇用する企業側も、コンプライアンスの強化とコスト管理のアップデートが急務です。
万が一、雇用している外国人が不法就労状態(在留期限切れなど)になっていた場合、企業側は「不法就労助長罪」に問われ、過失であっても5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金(またはその両方)という非常に重い罰則を受ける可能性があります。
また、今回の法改正を機に、「ビザ更新費用は会社がどこまで負担するのか」の社内規定(就業規則など)の見直しが必要です。一律で会社負担にしている場合、今後は予期せぬコスト増を招くため、「初回は会社負担、本人の不備による1年更新の繰り返しは一部自己負担」とするなどの設計が必要になるケースもあります。
何より、外国人社員が最初の申請で確実に長期ビザ(3年・5年)を取得できるよう、会社側が確実な就労実態の証明や決算書類の手配をプロと連携してバックアップすることが、結果として企業のコスト削減につながります。
6.複雑化する在留資格の手続きは、行政書士法人第一綜合事務所へご相談ください
2026年10月からの手数料引き上げ、そして2027年4月からの永住取消制度や育成就労制度の開始など、これからの入管行政は「コストも審査も、過去にないほど厳しくなる時代」に突入します。
「自分のビザは次も更新できるだろうか…高い手数料を何度も払いたくない」
「自社の外国人社員のビザ更新、コストを抑えて一度の申請で長期を取らせたい」
そうした不安を抱えている方は、ぜひ一度、行政書士法人第一綜合事務所へご相談ください。
- 最長期間(3年・5年)のビザ取得を見据えた戦略的サポート
単に現在のビザを更新するだけでなく、無駄な更新回数(と将来の手数料負担)を減らすため、最初から長期ビザや永住権の取得を視野に入れ、要件を的確に満たした申請書類・理由書を作成します - 最新の法改正・行政トレンドへの即時対応
日々変わる入管の内部審査基準や、今後の政令の動きをいち早くキャッチし、お客様の個別の状況に合わせた最適なリーガルアドバイスを提供します - 企業のコンプライアンス(不法就労防止)を完全バックアップ
多忙な経営者・人事担当者様に代わり、雇用時の在留資格チェックから、定期的な期限管理、新制度への対応まで伴走いたします
法改正の波にのまれて「不許可」や「高額な更新費用」のスパイラルに陥ってからでは、取り返しのつかない事態になりかねません。制度が大きく変わる今だからこそ、まずは確かな実績を持つ専門家に安心してお任せください。皆様からのご相談をお待ちしております。




