行政書士法人第一綜合事務所

配偶者ビザの更新ポイント!

配偶者ビザを取得し日本に滞在している方は,在留期間が満了するまでに,ビザの更新手続きを行わなければなりません。
では,どうやって配偶者ビザの更新手続きを行えばよいのでしょうか。
本ページでは,配偶者ビザの更新手続きと配偶者ビザ更新時の審査ポイントについて解説していきます。

1.配偶者ビザとは?

配偶者ビザとは,国際結婚をしたことにより取得するビザの総称のことを指します。

たとえば,日本人と外国人が結婚して取得する「日本人の配偶者等」や,永住者(特別永住者)と外国人が結婚して取得する「永住者の配偶者等」などがあげられます。

他にも配偶者ビザと呼ばれるビザがあるので,「結婚ビザと配偶者ビザの違いとは?」をご参照ください。

今回のコラムでは,「日本人の配偶者等」と「永住者の配偶者等」に焦点を絞って,在留期間の更新手続きについてご説明していきます。

2.配偶者ビザの更新手続き

配偶者ビザの更新手続きは,在留期間が満了するおおむね3ヶ月前から,住所地を管轄する地方出入国在留管理局に申請することができます。ただし,入院や長期出張などの特別な事情が認められる場合は,3ヶ月以上前から申請することができる場合もあります。

また,一般的に在留期間の更新申請を行った際の審査期間は,2週間から1ヵ月程度とされており,その後付与される在留期間は,「6月」,「1年」,「3年」,「5年」と定められています。

「6月」の在留期間は,離婚調停又は離婚訴訟が係属している方が該当するので,初回の更新申請では付与される在留期間が「1年」となる方が多い印象です。一方,提出された書類を総合的に判断して初回から「3年」や「5年」の在留期間を付与される方もいらっしゃいます。

初回から「3年」や「5年」の在留期間を付与される方は,婚姻後の同居期間が3年を超えている方や,既にお子様がいらっしゃって小学校及び中学校に通われている方など,婚姻の実体が安定・継続している方が対象となります。

3.配偶者ビザ更新時の審査ポイント

配偶者ビザの更新は,婚姻が継続している事実のみをもって当然に許可されるわけではありません。本チャプターでは,配偶者ビザの更新時の審査ポイントについてご説明します。

①婚姻生活が安定・継続していること

夫婦が同居・扶助・協力して,生計を共にしていることが必要です。
しかし,やむを得ない事情で週に1回しか同居していない場合や,外国人である配偶者が長期間日本に不在であった場合でも,理由によっては,配偶者ビザの更新が許可されることもあります。

では,配偶者ビザの更新許可をもらえる理由とは一体どのような理由なのでしょうか。それは,単身赴任等の仕事上の理由や,病気,本国にいる両親の介護等があげられます。

ここでご注意いただきたいのは,例にあげた合理的な理由があったとしても,それを入管に立証できなければ,配偶者ビザの更新許可はされないということです。

たとえば,自宅と単身赴任先を行き来していることを証明できる資料(高速道路を利用した領収書や,新幹線のチケットや領収書など)や,両親の介護が必要であることを明らかにする書類(医師の診断書など)を必要書類と共に提出することが,入管審査の観点からは必要となります。

②素行が不良でないこと

法律を犯すことなく,また税金の支払い等の公的義務を履行していることが求められます。
よくあるのが,住民税などの税金に関して納付期限を過ぎても支払いをしていないケースです。

配偶者ビザの更新前に,公的義務の履行状況は確認するようにしてください。

③独立の生計を営むに足りる資産を有していること

扶養する配偶者の収入が低かったり,夫婦どちらも無職の場合は注意が必要です。

しかし,日本にいる両親や親族から生活費の援助を受けている場合や,夫婦どちらか一方の就職先が決まっており安定した収入を見込める場合は,配偶者ビザの更新申請前に,生活費の援助を受けていることが分かる資料や,内定先の雇用契約書や内定通知書等を必要書類と共に提出することが必要となります。

④入管法に定める届出等の義務を行っていること

中長期在留者は,在留カードの記載事項に係る届出,所属機関等に関する届出などの義務を履行しなければなりません(入管法第19条の7から第19条の13まで,第19条の15及び第19条の16)。

配偶者ビザをお持ちの方も中長期在留者に該当するので,引っ越しにより住居地に変更が
あった場合などは,住居地を定めた日から14日以内に従前の住所地を管轄する役所への転出届と,引越先の住所地を管轄する役所に転入届を提出する必要があります。

以上が,配偶者ビザの更新時の審査ポイントとなります。

また,不利な事情があるからといって,虚偽の内容を申請書に書くことは絶対にしてはいけません。実務上では,虚偽申請を行ったことの一事をもって不許可になる事例が多く発生しています。

例えば,配偶者と婚姻後日本で同居の事実がないにも関わらず,その事実を隠して入管に更新許可申請を行い不許可になる,といったものです。

4.配偶者ビザから永住ビザへ

これまで,配偶者ビザの更新申請についてご説明してきました。配偶者ビザは,更新したとしても新たに在留期間が定められるため更新申請をし続ける必要があり,更新申請を行う度に不許可になるかもしれないという不安に駆られる方もいらっしゃるかもしれません。

そういった不安に駆られることなく家族と共に日本に継続的に滞在したい方は,永住ビザをおススメします。
配偶者ビザから永住ビザへ変更する最大のメリットは,更新手続きが不要になることです。

では,永住ビザを申請するためには,どのような要件があるのでしょうか。

永住を申請するためには,現に有している配偶者ビザについて最長(5年)の在留期間をもっていることが要件の一つとなります。したがって,3年の配偶者ビザをお持ち方は永住許可の要件に当てはまらないように思われます。

しかし,法務省公表の「永住許可に関するガイドライン」によれば,3年の在留期間を有する場合は,当面の間,最長の在留期間をもって在留していると取り扱うとされています。

よって,現在,3年の在留期間の配偶者ビザをお持ちの方は,永住ビザの取得を視野に入れることができます。

ビザの更新をする度に不許可になるかもしれないという不安に駆られることなく,日本に継続的に滞在したい方は,一度永住申請を検討してみてはいかがでしょうか。

永住申請には在留期間の要件だけでなくほかにも様々な要件がありますので,永住ビザを希望される方は,当社で無料診断を承っておりますので,お気軽にお問い合わせください。

5.配偶者ビザの更新ポイントのまとめ

今回は,配偶者ビザの更新手続きについて記載してきました。

不同居期間があったり,収入が低いなど審査ポイントに抵触している場合,立証不十分な状態で申請をしてしまうと,不許可になる可能性もあります。審査ポイントに抵触する事項があり,それに合理的な理由がある場合は,諦めずに万全の準備を整えて進めるようにしてください。

そして,配偶者ビザの更新は,一見簡単そうにみえて意外と見るべきポイントが多い申請となります。
今まで述べてきた配偶者ビザの更新ポイントをしっかり押さえて,矛盾や説明不足のない書類を提出しましょう。

本ページが,配偶者ビザの在留期間更新手続きを行う方々のご参考になれば幸いです。