行政書士法人第一綜合事務所

興行ビザのポイント解説!

興行ビザを保有する外国人は法務省公表の在留資格別在留外国人数のデータによると,日本で1,865人しかいません(2020年12月末時点)。
興行ビザはその範囲内で行える活動内容や職業を正しく理解すれば,日本国内で幅広く活動することができるビザの一つです。
一例として,皆さんがテレビで見ている外国人タレントも多くの方が興行ビザを取得して活躍しています。
本コラムでは,興行ビザの活動内容や入管へ必要な書類についてわかりやすく解説を行います。

1.興行ビザに該当する職種は?

興行ビザとは,特定の施設において公衆に対して行う活動や,興行を行う上で重要な役割を担う芸能活動などを行うための在留資格を指します。

代表的な職業は以下のとおりです。

  • アイドルグループ
  • ミュージシャン
  • 俳優(モデル含む)
  • 演奏家
  • プロスポーツ選手(eスポーツ選手含む)
  • バーやキャバレー,クラブ等に出演する歌手等
  • 振付師,演出家
  • 出演者が興行を行うために必要不可欠な補助員
    (舞台の演劇の照明係,サーカスの動物飼育員係,スポーツ選手のトレーナーなど)

ここでいう演奏家には,例えば,興行の形態(公衆に聴かせ又は見せることを目的とする形態)で行われるオーケストラの活動も含まれます。
※在留資格「芸術」と間違えるケースがあるので注意が必要です。

2.興行ビザは4つのカテゴリーに分けられている!?

まずは,興行ビザの趣旨について少し解説を行います。
興行ビザは,外国の文化に接する機会を提供し,文化交流を促進することにより,国際理解を増進し,また,日本の文化,スポーツの振興・向上等に寄与するために設けられたビザです。

また,興行ビザの活動内容は,演劇,演芸,演奏,スポーツ等の興行に係る活動又は,その他の芸能活動(在留資格「経営・管理」の活動を除く。)と規定されています。

要約すると,海外のエンターテインメントを日本国民にも味わってもらい,楽しんでもらうと共に,日本の文化やスポーツも豊かにするという趣旨になります。

次に,興行ビザを取得する上で重要な4つのカテゴリーを紹介します。
以下の表にまとめていますので,ご確認ください。

興行ビザ
(1号)
演劇,演芸,歌謡,舞踏又は演奏の活動を行おうとする場合。
※1日50万円未満の報酬で行われる興行。
※客席定員100人未満の施設での興行。
興行ビザ
(2号)
演劇,演芸,歌謡,舞踏又は演奏の活動を行おうとする場合。
※敷地面積10万㎡以上の施設で行われる興行。
※客席において飲食物を有償で提供せず,かつ,客の接待をしない施設(営利を目的としない本邦の公私の機関が運営するもの又は客席の定員が100人以上)で行われる興行。
※当該興行により得られる報酬の額(団体で行う場合は,当該団体が受ける総額)が1日につき50万円以上であり,かつ,15日を超えない期間に行われる興行(ex.ライブやコンサートなど。)
興行ビザ
(3号)
演劇,演芸,歌謡,舞踊又は演奏の興行以外の興行(スポーツなど)に係る活動を行おうとする場合(ex.プロスポーツ大会やサーカスなど)
興行ビザ
(4号)
以下に掲げる項目に該当する活動
1.商品又は事業の宣伝に係る活動
2.放送番組(有線放送番組を含む。)又は映画の製作に係る活動
3.商業用写真の撮影に係る活動
4.商業用のレコード,ビデオテープその他の記録媒体に録音又は録画を行う活動

3.興行ビザを取得するための要件とは?

興行ビザは上記のように4つのカテゴリーの活動内容に分類することができます。

また,4つのカテゴリーにおいても,カテゴリー別に取り扱いの数が異なります。
中でも興行ビザ(2号)カテゴリーの取り扱いが圧倒的に多く,その反面,興行ビザ(1号)の取り扱いはほとんどありません。

興行ビザ(1号)の取り扱いが少ない要因として,上記で示した,①1日50万円未満の報酬で行われる興行,及び②客席定員100人未満の施設での興行活動が,飲食店で働くホステスを主として想定しており、人身売買や不法就労、金銭的な搾取を防止する観点から非常に厳格な基準を設けていることが要因の一つです。

そのため,本ページでは,最も取り扱いが多い興行ビザ(2号)の要件についてご説明いたします。

興行ビザ(2号)を取得するためには,次の(イ)から(ホ)のいずれかに該当する必要があります。

(イ)我が国の国若しくは地方公共団体の機関,我が国の法律により直接に設立された法人若しくは我が国の特別の法律により特別の設立行為をもって設立された法人が主催する演劇等の興行又は学校教育法に規定する学校,専修学校若しくは各種学校において行われる演劇等の興行に係る活動に従事しようとするとき。
⇒(イ)の場合は,下記2つのいずれかに該当すればOKです。
①演劇等の興行の主催者が特定されていること
②演劇等の興行が行われる場所が特定されていること

(ロ)我が国と外国との文化交流に資する目的で国,地方公共団体又は独立行政法人の資金援助を受けて設立された本邦の公私の機関が主催する演劇等の興行に係る活動に従事しようとするとき。
⇒(ロ)の場合は,下記2つのいずれかに該当すればOKです。
①我が国と外国との文化交流に資する目的で設立されたもの。
②国,地方公共団体又は独立行政法人の資金援助を受けて設立されたもの。

(ハ)外国の情景又は文化を主題として観光客を招致するために外国人による演劇等の興行を常時行っている敷地面積10万平方メートル以上の施設において当該興行に係る活動に従事しようとするとき。
⇒(ハ)の場合は,下記3つの全てに該当すればOKです。
①外国の情景又は文化を主題として外国人による演劇等の興行を常時行っている施設であること
②観光客を招致するために,このような演劇等の興行を常時行っていること
③敷地面積が10万平方メートル(テーマパークなど)以上の施設であること

(ニ)客席において飲食物を有償で提供せず,かつ,客の接待をしない施設(営利を目的としない本邦の公私の機関が運営するもの又は客席の定員が百人以上であるものに限る。)において演劇等の興行に係る活動に従事しようとするとき。
⇒(ニ)の場合は,下記3つの全てに該当すればOKです。
①客席において飲食物を有償で提供しない施設であること
②客の接待をしない施設であること
③営利を目的としない本邦の公私の機関が運営する施設又は客席の店員が100人以上の施設であること

<ポイント>
「客席において飲食物を有償で提供」とは,客席で注文を受けて飲食物を販売することを指しています。そのため,客席と離れた場所にある売店等での飲食物を販売するような場合は,該当しません。
なお,入場料に飲食物の提供についての料金が含まれるときは,「客席において飲食物を有償で提供」と判断されるので,注意が必要です。

(ホ)当該興行により得られる報酬の額(団体で行う興行の場合にあっては当該団体が受ける総額)が1日につき50万円以上であり,かつ,15日を超えない期間本邦に在留して演劇等の興行に係る活動に従事しようとするとき。

<ポイント>
「15日を超えない期間本邦に在留して」とは,当該活動に従事するために本邦に在留する期間が15日間を超えないことを意味しています。そのため,例えば,当該活動14日+余白期間2日の計16日間の滞在は認められています。

以上が,興行ビザ(2号)の要件となります。

上記要件を定める趣旨は, “外国人が興行活動を適法に行い,また,行い得えるものであることを確認するためであり,外国人を招聘することにより不正な利益を得ようとする団体が関与することを防止する”点にあると見ることができます。

4.興行ビザのポイント解説!のまとめ

興行ビザは,確認すべき事項はもとより,収集すべき書類が多いことから,準備に時間が掛かります。
そのため,日本で行うイベントの日程にビザ取得が間に合わないといった悩みも多く耳にします。
大切なのは,興行スケジュールから逆算し,手戻りが無いように計画的に進めていくことです。

当社の過去の実績では,200名規模の興行イベントや,クラシックコンサート,プロスポーツ選手の招聘など,様々な興行ビザの申請に関与させていただいております。
いずれの案件もスケジュール的に厳しい案件でしたが,最初に全体を俯瞰し,計画通りに進めることで,無事興行イベントに間に合わせることができました。

これからのインバウンドの再興や大阪万博開催を考えたときに,数多くの海外からのエンターテイナーが日本へ来ることが大いに予想されます。

当社では,お客様のスケジュールを事前に確認し,最善の手段で手続きを進めて参ります。これから興行ビザで外国人材の招聘をご検討されている方がいらっしゃいましたら,是非,行政書士法人第一綜合事務所までお問い合せください。