依田 隼弥

家族滞在ビザで配偶者や子どもを呼ぶには?要件・手続き・アルバイト条件を解説

家族滞在ビザで配偶者や子どもを呼ぶには?要件・手続き・アルバイト条件を解説

日本で就労資格(技術・人文知識・国際業務など)や留学ビザを持って在留する外国人が、母国から配偶者やお子さんを呼び寄せて一緒に生活するためには、原則として「家族滞在」ビザの取得が必要です。
 
しかし、「家族であれば誰でも呼べるのか?」「アルバイトはできるのか?」「申請にはどのような要件や書類が必要なのか?」など、制度や運用ルールについて疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
 
本コラムでは、日本で就労ビザ等を持って働く外国人が家族を呼び寄せるための「家族滞在ビザ」の要件、取得手続き、そして2026年10月から開始のアルバイトの最新ルールについて、入管業務専門の行政書士が分かりやすく解説します。

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1.家族滞在ビザとは?

家族滞在ビザは、家族関係にあれば誰でも取得できるわけではありません。

以下の要件を満たした場合に認められる在留資格です。

(1)認められるのは「配偶者と子」のみ

家族滞在ビザとは、「教授」、「芸術」、「宗教」、「報道」、「経営・経営管理」、「法律・会計業務」、「医療」、「研究」、「教育」、「技術・人文知識・国際業務」、「企業内転勤」、「興行」、「技能」、「文化活動」、「留学」、「高度専門職」、「介護」、「特定技能2号」のいずれかの在留資格を取得した方の扶養を受ける配偶者又は子に付与される在留資格です。

「家族滞在」という言葉から、親を本国から呼びたいというご相談をよくいただきますが、家族滞在ビザを取得できるのは、配偶者とお子様に限定されています。そのため、親を本国から呼び寄せたい場合には、家族滞在ビザの射程外となってしまいます。

扶養者の両親を本国から呼ぶことができる可能性のあるビザは、扶養者が「高度専門職」の在留資格を取得している場合、もしくは例外的な措置として告示外の特定活動の在留資格で呼ぶ場合(老親扶養ビザ)に限定されています。詳しくは老親扶養ビザで親を呼ぶ方法をご参照ください。

高度専門職で親を呼び寄せる以外には、残念ながら親を呼ぶためのビザは原則として日本に存在しないとご理解下さい。

(2)家族滞在ビザ取得の要件

配偶者やお子様を家族滞在ビザで呼び寄せるには、以下の取得要件を満たす必要があります。

  1. 扶養者が扶養の意思と扶養能力を有すること
  2. 扶養を受ける側の配偶者または子が扶養を受ける必要があり、又は現に扶養を受けていること

ここでいう配偶者には、夫婦間の婚姻が日本の法律上有効に存続している必要があり、いわゆる内縁関係や外国で有効に成立した同性婚,パートナーシップは含まれません。

そして、ここでいう子には、実子の他に養子も含みます。また、未成年者に限られず、成人に達した子も対象になります。とはいえ、子が成人している場合には注意を要します。その理由として、子が成人している、あるいは成人年齢に近接している場合には、扶養を受ける必要性が薄弱と判断されてしまう可能性があるからです。

そのため、18歳以上の稼働年齢に達した子の家族滞在ビザの申請の場合は、来日の目的や扶養を受ける必要性を明確にする資料を提出するのが好ましいと言えるでしょう。

2.【事例】就労ビザを持つ外国人が母国から家族を呼び寄せたケース

ここでは、実際に家族滞在ビザを取得して母国からご家族を呼び寄せた具体的な事例をご紹介します。

【ご相談の背景】
X国出身のAさんは、就労ビザ(技術・人文・知識・国際業務ビザ)を取得して1年前に来日し、大手メーカーY会社の調達部門で海外資材の調達業務を担当しています。 AさんはX国でBさんと結婚していましたが、BさんはAさんが日本で働き始めた当時妊娠していたため、一緒に来日することを断念し、単身で来日していました。その後、生活が落ち着き「やはり日本で家族と一緒に暮らしたい」と考え、家族を呼び寄せる手続きを行うことになりました。

【ご相談の結果】
AさんはY会社から月額38万円程度の安定した給与を受けており、X国で暮らすBさんに対しても毎月生活費を送金していました。 そこで当事務所では、奥様との結婚証明書とお子様の出生証明書に加え、扶養能力と送金の実態を証する資料(給与明細や送金履歴など)を精緻に整えて申請を行いました。

申請から約2か月後(家族滞在ビザの平均的な審査期間は約70日です)、無事にBさんとお子様の「在留資格認定証明書(COE)」が交付され、現在はご家族3人で幸せに日本で生活されています。

【不許可を防ぐためのポイント】
入管の審査では、扶養者(本体者)の収入状況や納税義務(住民税や社会保険料の未納がないか)が厳しく確認されます。収入が低い場合や未納がある場合は不許可リスクが高まるため事前に解消しておく必要があります。また、来日直後で給与実績(課税証明書等)がない段階でも申請自体は可能ですが、実務上は来日から数ヶ月〜半年程度経過し、日本での安定した給与振込実績(給与明細等)を提示できる状態になってから申請すると、扶養能力の立証がスムーズになり不許可リスクを下げることができます。

3.家族滞在ビザでは働けない?(資格外活動のルール)

(1)原則は就労禁止!アルバイトには「資格外活動許可」が必要

家族滞在ビザは,就労活動が原則禁止されています。ただし例外として、「資格外活動許可」を取得することによって、週28時間以内でのアルバイト・パート等の就労活動が認められます(18歳以上の方のみ)。

一般的な資格外活動許可(包括許可)は特定のアルバイト先を指定せずに取得できるため、コンビニ、飲食店、スーパーなど一般的な職場であれば自由に働くことができます。不法就労を防ぐためにも,就職前にあらかじめ資格外活動許可(包括許可)を取得しておきましょう。

(2)包括許可では「風俗営業」での就労が禁止

一般的なアルバイトが可能になる包括許可ですが、どんな仕事でも自由にできるわけではありません。風営法に規定される「風俗営業」関連の店舗で働くことは、包括許可では一律禁止されています。

具体的には、以下のような店舗が対象です。

  • キャバクラ、スナック、ホストクラブ、バー(接待飲食等営業)
  • 店舗型・無店舗型性風俗(ソープランド、デリヘル等)
  • 深夜に客に遊興させ、酒類を提供するクラブやライブハウス等
  • パチンコ店、スロット店、麻雀店、ゲームセンター等(遊技場営業)

これらは職種を問わず適用されるため、接客だけでなくホール清掃や調理補助であっても、包括許可のまま店舗内で働くことは不法就労となってしまいます。

なお、このうち「パチンコ店、スロット店、麻雀店、ゲームセンター等(遊技場営業)」については、2026年10月1日よりルールが変更されました。

(3)【2026年10月1日解禁】パチンコ店等でのアルバイトが可能に(個別許可制度)

これまで一律禁止されていた風俗営業店舗のうち、「パチンコ店、スロット店、麻雀店、ゲームセンター等(遊技場営業)」に限り、令和8年(2026年)10月1日より就労ルールが緩和されました。

事前に申請を行い、入管から「個別の資格外活動許可(個別許可)」を受けることで、これらの店舗でもアルバイトすることが可能となります。

ただし、以下の点に注意が必要です。

  • すでに「包括許可」を持っている人であっても自動的にパチンコ店等で働けるわけではありません。事前に勤務先店舗を指定して「個別許可」をあらためて申請・取得する必要があります。
  • キャバクラやスナックなど(接待飲食等営業)や性風俗店は、個別許可であっても引き続きとして就労不可です。
  • 申請にあたっては、勤務先店舗の営業許可証や、事業者・本人双方による「誓約書」の提出が必要です。
  • 他のアルバイトと合算して「週28時間以内」とする労働時間制限を厳守しなければなりません。

なお、入管から個別の許可が交付される前にフライングで働かせてしまうと「不法就労」となります。必ず許可が交付されてから勤務を開始してください(詳しくは【2026年10月1日から】家族滞在の方がパチンコ店で働けるように?「個別許可」の要件を行政書士が解説をご参照ください)。

4.家族滞在ビザで在留中の子どもが大きくなったら?

子どもが成長し、独立した生計を立てることができるようになれば、親の扶養を受ける必要がなくなるため、家族滞在ビザには該当しなくなります。しかし、幼い頃に来日し、日本で教育を受け、長年日本で暮らしてきた子が、本国への帰国を余儀なくされるのは人道的な観点から好ましくありません。

そこで、日本で義務教育の大半を受け、日本の高校を卒業している場合(おおむね高校卒業までの10年以上の在学歴が必要となります。)には、日本への定着性の高さに鑑み、定住者ビザへの変更許可がされるケースがあります。

この定住者ビザは、あらかじめ法務省告示で定められているものではありませんが、近時の法務省の傾向としては、比較的容易に取得できる傾向にあります。

5.家族滞在ビザの扶養者が在留資格該当性を喪失した場合はどうなる?

家族滞在ビザの扶養者が離職などの事情で在留資格を喪失した場合には、家族滞在ビザで在留する配偶者やお子様も、その在留資格に該当しなくなります。なぜなら,家族滞在ビザは、本体者である扶養者が在留資格を有することを前提とするからです。

また、家族滞在ビザの扶養者が永住許可を受けた場合にも、その配偶者やお子様は家族滞在ビザの在留資格該当性を喪失することになります。その理由は、家族滞在ビザの対象となる扶養者の在留資格の種別には、1(1)の通り永住者の在留資格は含まれていないからです。この場合、配偶者の方は永住者の配偶者等のビザとなり,お子様は永住者の配偶者等のビザもしくは定住者ビザへの変更申請を速やかに行う必要があります。

家族滞在ビザの扶養者が永住許可を取得したい場合には、速やかにご家族の在留資格変更許可申請を入管で行うようにして下さい。

6.家族滞在ビザを取得するメリット

日本で就労する外国人が、家族を呼び寄せてその家族が家族滞在ビザを取得すると、職場に定着しやすくなるメリットがあります。

現在、日本の就労ビザを取得している外国人で国籍で多いのは、ベトナム、フィリピン、インドネシアなどの出身者です。これらの国は、家族重視の国民性であるため、家族が一緒に暮らすことを希望しています。

したがって、日本で働く外国人は、いずれは本国から家族を呼び寄せたいと考えている方が多い傾向です。

企業の人事担当の方は、外国人従業員から「家族を呼びたい」という希望を聞いた場合には、ぜひ積極的に協力をしてあげてください。

7.家族滞在ビザ取得のための必要書類

家族滞在ビザを取得する際に、原則として必要となる書類は以下の通りです。

新しく入国する場合の必要書類

  • 在留資格認定証明書交付申請書 1通
  • 写真 1葉
  • 返信用封筒1通
  • 申請人と扶養者との身分関係を証する文書
  • 扶養者の在留カード又は旅券の写し 1通
  • 扶養者の職業及び収入を証する文書
既存の在留資格変更の場合の必要書類

  • 在留資格変更許可申請書 1通
  • 写真 1葉
  • パスポート及び在留カード 提示
  • 申請人と扶養者との身分関係を証する文書
  • 扶養者の在留カード又は旅券の写し 1通
  • 扶養者の職業及び収入を証する文書

8.家族滞在ビザ要件・取得方法のまとめ

いかがだったでしょうか。

親の呼び寄せが困難なことからもわかるとおり、日本の在留資格制度はまだまだ外国人家族を呼ぶための整備は十分とは言い難い状況です。しかし、家族である以上,一緒に生活することは当然の権利であると私たちは考えています。

日本の国際化が加速し、日本で就労する外国人が増加する中にあって、家族滞在ビザで在留する外国人も年々増加しています。その一方で、家族と生活することが叶わず、悩みを抱えておられる外国人もまた増加傾向にあります。

「家族と一緒に生活したい!」

そんな当然の権利を守るため、悩んでおられる方がおられましたら、お気軽に行政書士法人第一綜合事務所までご相談ください。

この記事の監修者

行政書士法人第一綜合事務所

行政書士 依田 隼弥

・日本行政書士会連合会(登録番号第24081844号)
・神奈川県行政書士会(会員番号第6892号)
山梨県出身。横浜オフィスに所属し,外国人ビザ申請,国際結婚手続き,永住権取得など国際業務を専門としている。

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