行政書士法人第一綜合事務所

【解決事例】就労ビザの外国人が家族を呼ぶには?

X国出身のAさんは,就労ビザ(技術人文知識国際業務ビザ)をもって1年前に来日し,大手メーカーY会社の調達部門で海外資材の調達業務を担当しています。
AさんはX国でBさんと結婚していましたが,BさんはAさんが日本で働きだした当時妊娠していたため,一緒に来日することを諦めました。このような事情から単身来日をしたAさんでしたが,やはり日本に家族を呼びたいと考えるようになってきました。Aさんのように,就労ビザを持っている外国人が家族を呼ぶためには,どのようなビザが考えられるでしょうか。

本ページでは,日本で就労ビザを持って働く外国人が家族を呼び寄せるためのビザについてみていきます。

1.家族滞在ビザとは?

(1)認められるのは「配偶者と子」のみ

家族滞在ビザとは,「教授」,「芸術」,「宗教」,「報道」,「経営・経営管理」,「法律・会計業務」,「医療」,「研究」,「教育」,「技術・人文知識・国際業務」,「企業内転勤」,「興行」,「技能」,「文化活動」,「留学」のいずれかの在留資格をもって在留する方の扶養を受ける配偶者又は子に付与される在留資格です。

「家族滞在」という言葉から,親を本国から呼びたいというご相談をよくいただきますが,家族滞在ビザを取得できるのは,配偶者とお子様に限定されています。そのため,親を本国から呼び寄せたい場合には,家族滞在ビザの射程外となってしまいます。

扶養者の両親を本国から呼ぶことができる可能性のあるビザは,扶養者が「高度専門職」の在留資格で在留している場合,もしくは例外的な措置として告示外の特定活動の在留資格で呼ぶ場合(老親扶養特定活動ビザ)に限定されています。

高度専門職で親を呼び寄せる以外には,残念ながら親を呼ぶためのビザは原則として日本に存在しないとご理解下さい。

(2)家族滞在ビザの要件

配偶者やお子様を家族滞在ビザで呼び寄せるには,以下の要件を満たす必要があります。

① 扶養者が扶養の意思と扶養能力を有すること
② 扶養を受ける側の配偶者または子が扶養を受ける必要があり,又は現に扶養を受けていること

ここでいう配偶者には,夫婦間に婚姻が日本の法律上有効に存続している必要があり,いわゆる内縁関係や外国で有効に成立した同性婚,パートナーシップは含まれません。

そして,ここでいう子には,実子の他に養子も含みます。また,未成年者に限られず,成人に達した子も対象になります。とはいえ,子が成人している場合には注意を要します。その理由として,子が成人している,あるいは成人年齢に近接している場合には,扶養を受ける必要性が薄弱と判断されてしまう可能性があるからです。そのため,16歳以上の稼働年齢に達した子の家族滞在ビザの申請の場合は,来日の目的や扶養を受ける必要性を明確にする資料を提出するのが好ましいと言えるでしょう。

2.家族滞在ビザでは働けない?

家族滞在ビザは,就労活動が原則禁止されています。例外として,資格外活動許可(いわゆるアルバイトの許可のことです。)を取得することによって,週28時間以内での就労活動が認められています。

資格外活動許可を取得せずに,家族滞在ビザで就労をしてしまうと資格外活動罪(入管法第24条4号イ,入管法第73条)に問われる可能性がありますので,就労活動をする場合には,必ず資格外活動許可を取得するようにしてください。

家族滞在ビザの資格外活動許可は,留学ビザと同様に,包括的なアルバイトの許可です。そのため,特定の就労先が決まっていない段階でも取得することができます。アルバイトやパートで働きたい場合は,就業先が決まってから資格外活動の許可を取得するのではなく,うっかり忘れを防止するためにも,あらかじめ資格外活動許可を取得しておくことをお勧めします。

3.家族滞在ビザで在留中の子どもが大きくなったら?

子どもが成長し,独立した生計を立てることができるようになれば,親の扶養を受ける必要がなくなるため,家族滞在ビザには該当しなくなります。しかし,幼い頃に来日し,日本で教育を受け,長年日本で暮らしてきた子が,本国への帰国を余儀なくされるのは人道的な観点から好ましくありません。

そこで,日本で義務教育の大半を受け,日本の高校を卒業している場合(おおむね高校卒業までの10年以上の在学歴が必要となります。)には,日本への定着性の高さに鑑み,定住者ビザへの変更許可がされるケースがあります。

この定住者ビザは,あらかじめ法務省告示で定められているものではありませんが,近時の法務省の傾向としては,比較的容易に取得できる傾向にあります。

4.家族滞在ビザの扶養者が在留資格該当性を喪失した場合はどうなる?

家族滞在ビザの扶養者が離職などの事情で在留資格を喪失した場合には,家族滞在ビザで在留する配偶者やお子様も,その在留資格に該当しなくなります。なぜなら,家族滞在ビザは,本体者である扶養者が在留資格を有することを前提とするからです。

また,家族滞在ビザの扶養者が永住許可を受けた場合にも,その配偶者やお子様は家族滞在ビザの在留資格該当性を喪失することになります。その理由は,家族滞在ビザの対象となる扶養者の在留資格の種別には,永住者の在留資格は含まれていないからです。この場合,配偶者の方は永住者の配偶者等のビザとなり,お子様は永住者の配偶者等のビザもしくは定住者ビザへの変更申請を速やかに行う必要があります。

家族滞在ビザの扶養者が永住許可を受けた場合には,速やかにご家族の在留資格変更許可申請を入管で行うようにして下さい。

5.まとめ

Aさんは,Y会社から月額38万円程度の給与を受けています。また,Aさんは,X国で暮らすBさんに対して,毎月生活費を送金していました。

Aさんには,奥様との結婚証明書とお子様の出生証明書の取得,また送金履歴などを準備してもらいました。

家族滞在ビザを申請して約2か月後,無事にBさんとお子様の在留資格認定証明書が交付されました。現在,Aさんご家族は家族3人で幸せに日本で暮らしています。

親の呼び寄せが困難なことからもわかるとおり,日本の在留資格制度はまだまだ外国人家族を呼ぶための整備は十分とは言い難い状況です。しかし,家族である以上,一緒に生活することは当然の権利であると私たちは考えています。

日本の国際化が加速し,日本で就労する外国人が増加する中にあって,家族滞在ビザで在留する外国人も年々増加しています。その一方で,家族と生活することが叶わず,悩みを抱えておられる外国人もまた増加傾向にあります。

家族と一緒に生活したい!
そんな当然の権利を守るため,悩んでおられる方がおられましたら,お気軽に当社までご相談ください。