配偶者ビザの再申請の方法
外国籍の配偶者との国際結婚等で「配偶者ビザ」を取得するために申請したのに,許可が下りなかった――というご相談をよく受けます。
配偶者ビザが認められなかったら,お二人で描いた日本での生活の将来像が崩れてしまいますよね。
本コラムでは,そんなあなたにあきらめないでくださいとお伝えしたいと思います。
配偶者ビザの再申請の方法について,ご不安の解決になるような情報を紹介します。
Index
1.配偶者ビザの審査はどのように行われる?
配偶者ビザとは,日本人もしくは永住者等と婚姻関係にある外国籍の配偶者の方に対し,一定の要件を満たす場合に日本への在留を認めるビザです。
ですから配偶者ビザは結婚すれば必ず認められるわけではありません。
入管は,関係法令をはじめ,ビザの申請人から提出された資料に沿って審査を行います。
入管の審査には,全国統一の基準である「審査要領」があります。
審査要領に則った基準が「審査基準」と呼ばれます。
入管の審査基準をクリアすれば,配偶者ビザの許可の可能性は高くなります。
逆に言えば審査基準に当てはまらなければ配偶者ビザが認められないことになります。
もっとも,この審査要領には,私たちが見られる公開審査要領と,見ることのできない非公開審査要領と言われるものがあります。
そして,非公開審査要領の方に,配偶者ビザ許可の審査ポイントが多く記載されています。
ですから,配偶者ビザの再申請には,この審査要領を読み解く力が必要不可欠です。
しかしながら,審査要領のほとんどは黒塗りになっていますので,弊社が考えるポイントを挙げてみます。
それは「実体ある婚姻生活」と「日本での生活の安定性」です。
入管の審査で重要なのは
①法的に「婚姻」関係にあるか?
内縁関係の配偶者は配偶者ビザの対象には含まれません。また,原則として日本人と配偶者の母国双方の法律に照らして婚姻が成立しているかも問われます。
「法の適用に関する通則法」24条では,「婚姻の成立は、各当事者につき、その本国法による」と定められています。同条3項では「当事者の一方の本国法に適合する方式は、有効とする」。「ただし、日本において婚姻が挙行された場合において、当事者の一方が日本人であるときは、この限りでない」とあります。つまり,外国籍の配偶者の国の法律をもって「婚姻」は成立するが,「日本で」夫婦として生活する場合は,日本の法律で婚姻が成立しなければ,日本では結婚した夫婦とは言えないということです。
従って,双方の国で法的に婚姻が成立していなければ日本では無条件に配偶者ビザは許可されないことになります。
②実質的に「互いに協力・扶助し合い,社会通念上の夫婦の共同生活を営むという婚姻の実態が伴っているか」が問われます(平成14年最高裁判決)。
一言で言えば,継続性をもって「ほんとに夫婦として暮らすの?」ということが問われるのです。
③日本で安定した生活が送れるか?
配偶者ビザにおいては,継続的に夫婦生活が送ることが求められますが,夫婦として共同生活を送るには,当然生活費となるお金が必要です。
したがって,どのようにして夫婦の生活費を賄うのかが審査において問われることになります。
実務上は細かな判断基準があります。詳しくは以下のコラムをご覧ください。
>>配偶者ビザ 不許可 はコチラ
2.配偶者ビザが認められなかった場合の再申請までの道のり
「配偶者ビザを申請したのに認められなくてがっかりです。再申請すれば許可が取れますか?」と,よくご相談を頂きます。
このようなご相談に対して,私達はすぐに回答することができません。
それは,お客様がなぜ,配偶者ビザの許可が認められなかったのか,理由が明確になっていないからです。
配偶者ビザの許可が認められなかったとしたら,必ず理由があります。
最初に行うことは「なぜ入管は配偶者ビザを認めなかったのか」という理由の把握です。
まずは配偶者ビザの申請を行った入管に出向き,配偶者ビザが認められなかった理由を尋ねて明らかにする必要があります。
法務省は「入国・在留に係る処分にあたっての留意事項」(平成16年10月1日・法務省管在5964号)という通達を出しています。
一部を抜粋しますと,「不利益処分を行うに当たっては,法令の定めるいずれの要件に適合しないかを明示しなければならない」との記載があります。
つまり入管は,不利益処分(本コラムの場合は配偶者ビザを許可しなかったこと)について理由を説明する義務があるのです。
しかし,入管への聴取には何点か注意事項があります。
①入管への理由聴取は原則1度しかできない。
入管での理由聴取は申請を行った入管局で対面にて行います。電話やメールでの問い合わせは一切できません。
そのため,1度の対面で配偶者ビザの再申請に繋げられる情報をしっかり確認する必要があります。
②入管によって理由聴取可能な期間が決められている。
例えば東京入管では,配偶者ビザ不交付の通知発行後,20日間の営業日が経過しないと理由聴取ができません。各地の入管によってルールが異なりますのでご注意ください。
③理由を「分かりやすく」伝えてくれる審査官だけではない。
お客様のほとんどは,入管法や国籍法等すべてに精通してはおられないでしょう。
ところが,いざ入管で理由確認を行うとなった際,理由を全て分かりやすく説明してくれる審査官ばかりではありません。
入管に求められる説明義務は「法令の定めるいずれの要件に適合しないか」を明示するのみで足りるので,必ずしもお客様が納得行くまで全ての不許可理由を説明する義務はありません。
極端に言えば「〇〇法の〇〇条〇項に当てはまりません。以上!」で終わることもあり得ます。
ですから,せっかく入管で理由確認をしてもお客様だけでは分からないことも多いと思います。一度きりの貴重な機会を活かすためにも,弊社のような専門家にご相談ください。
弊社では数多くの配偶者ビザ申請を行った経験から,先述の審査要領の非公開部分にも習熟しています。
弊社の行政書士が再申請に向けて入管への理由聴取に同行させていただくことも可能です。むろん入管の審査官と直接再申請へ向けた打ち合わせまで行います。
ご希望の場合には,お気軽に当社までお問い合わせください。
無料相談のお問い合わせ先
上記のような過程を経て,許可に至らなかった理由を聴くわけですが,弊社の経験上,配偶者ビザ取得が認められなかったケースを大きく分けると,以下の3種類に分類することができます。
①配偶者ビザの許可要件に適合していない
先述1-①②③のいずれかに該当する方です。
この場合は,再申請したとしても同じ理由で引っかかる可能性があります。
まずは配偶者ビザの要件について理解し,「日本人の配偶者」としての要件に適合するよう,現実的な夫婦のあり様を見直すことが求められます。
②十分な立証ができていない
入管が知りたいことは「配偶者ビザの許可要件に合っているか?」です。
その立証は,配偶者ビザを申請する側(=お客様)が行う必要があります。
入管は原則として書類のみで審査を行います。
面接や自宅訪問による実体調査は滅多に行いません。
つまり,申請人側は書面のみで「私達は実質的に夫婦である」と立証しなければなりません。
「見に来て話を聴いてくれれば分かるのに」という願いはもっともですが,残念ながらそれは通用しないのです。
書類の書き方が不十分だったから配偶者ビザが認められなかった。
そんな時こそ,再申請には私達のような専門家に書類作成をご相談ください。
③イレギュラーな事情をフォローできていない
入管の審査は,「配偶者ビザ」の要件適合以外に,「その人は日本の法律を守って日本で暮らすにふさわしいの?」という部分も見ています。
例えば,入管法5条では外国人の上陸拒否理由をいくつか示しています。
過去にオーバーステイをしたことがあるとか,日本の法律で定める感染症に罹患しているとか,違法薬物に関わっているとかです。こういう場合はいかに日本人の配偶者であっても,日本への上陸が許可されません。
入管法5条にかかる案件ですと,必要な説明・資料も一筋縄ではいきません。
上陸特別許可について,専門の行政書士が解説しています。
>>上陸特別許可 行政書士 はコチラ
入管法5条に該当しなくても,配偶者ビザの要件以外で消極的な事実があると配偶者ビザの許可が降りにくい傾向にあります。
それが無いか確認し,フォローの必要がある場合には抜け漏れなく対応していく必要があります。
以上のように,配偶者ビザが認められない理由によって,再申請の準備が変わってきます。
配偶者ビザがなぜ許可されなかったか,理由が分かったら,再申請に向けて改めて配偶者ビザの要件に照らし合わせ,要件に合うように綿密に検証して行きます。
大まかな流れは以下のとおりです。
3.配偶者ビザの再申請の弊社実績
では,実際に弊社が暑かった配偶者ビザ再申請の事例をいくつかご紹介しましょう。
無事日本での結婚手続きを終えたAさんは,外国籍の奥様の来日を心待ちにしていました。ところが入管で配偶者ビザが認められず,落胆した様子で弊社にご相談頂きました。
入管への理由聴取の前にお話しをうかがったところ,Aさんは幸いにも当時の申請書類を保管しておられましたので,弊社での検討を経て入管で許可されなかった理由を聴取しました。
すると奥様側の結婚書類の提出がされてないからと言う結論に至りました。
Aさんから理由をうかがうと,奥様が前夫との結婚の取り消し裁判中であったために書類を提出できなかったとのことでした。
弊社では,奥様とも密に連絡を取り,現地での婚姻取消手続きの状況を共有。結婚証明書が発行されるタイミングで再申請し,無事許可を取れました。
留学生として来日していたBさんは,奥様と結婚し,配偶者ビザを申請しましたが許可が降りませんでした。弊社ではBさんご夫婦と一緒に申請書類を確認し,入管に許可されなかった理由を聴取しました。すると,「現地の結婚証明書が提出されていない」とのことでした。
詳しく調べると,書類の発行は可能だが,現地のシステムの影響で婚姻が反映されるまでに時差があり,公的機関から「最終的な発行は半年後」と言われたそうです。
弊社では,公的機関から書類の取得に時間を要する事を入管に伝え,その疎明資料として公的機関からの時間を要する旨の文書(問い合わせへの回答等)を提出したところ,次回更新時の提出という事で許可を得ることができました。
このように,配偶者ビザの申請時に何が足りないかを明確にした上で,何故その書類を提出できなかったのか経緯を確認し,当該資料を補う資料の取得を進めることができた場合,即座に再申請を進められる可能性もあります。何が足りないのかを明確にする事により,それを補う資料の取得を進めることができ,要件に沿った再申請を進めることができます。
日本入国から毎年問題なく自分で配偶者ビザの更新申請をしていたCさんは,今回更新が認められず,困惑した様子でした。話を聞いてみると,申請の数か月前からCさんが単身赴任で遠方に住むこととなり,住民票を移していたのが原因でした。転勤による別居が婚姻の実体に嫌疑を与えていたようです。
再申請にあたり,お勤め先から転勤の命令がわかる資料などを提出しました。また,ご夫婦の間で送金をした履歴を提出し,絶え間ない交際があった事を再申請で立証して,無事に配偶者ビザの更新許可を得ました。
Dさんは日本に留学中の学生。同じく学生である奥様と出会い,結婚を決めました。早く奥様と一緒になりたいという思いが先行し,入管のホームページを元にご自分達で資料を提出して配偶者ビザを申請。しかし,配偶者ビザは認められませんでした。
ご自分で入管へ配偶者ビザが降りなかった理由を聴取に行きましたが,結局何が理由で審査が通らなかったのか分からず,困り果てて弊社に相談されました。
詳しくお話を聞くと,ご夫婦の収入が原因ではないかと考えられました。
学生同士の国際結婚はもちろんできます。しかし,学生同士なので本分は勉強ということになります。配偶者ビザの許可のためには,日本で安定した生活を送るだけの収入があるかが問われます。
Dさんの場合は,ご両親にもご協力いただき,家族からの収入の援助があることを証明。さらに,Dさんが就職して将来自活するだけの収入を得られる見込み(内定通知書)も提出し,ご夫婦の収入の安定性を立証。無事に留学ビザからの変更許可が下りました。
この様に,「入管が何を見ているか」「どんな要件を必要とするのか」を明確に読み取ることができれば,再申請から許可への道のりを最短ルートで行うことができます。
4 配偶者ビザの再申請のまとめ
本ページでは,ご相談の多い配偶者ビザが認められなかった場合からの再申請をテーマに取り上げました。
日本での結婚生活を夢見て配偶者ビザを申請したのに,許可が降りなければご不安になるのは当然です。
ですが,将来を誓い合ったご夫婦がビザという障害だけで今後を諦めてはいけません。
繰り返しになりますが「なぜ,許可が降りなかったのか」「何が足りないのか」を明らかにして,同じような失敗を繰り返さないことが重要です。
入管にはその理由を明らかにする義務があります。
ただし,その機会は原則一度きり。かつ,万人に分かりやすく丁寧に説明してもらえるとは限りません。
それだけに,配偶者ビザの申請・再申請の経験豊富な弊社のような専門家にまずはご相談ください。
私達はお客様に伴走し,許可が降りなかった理由を検証し,問題になることがあれば誠実にお伝えします。
ご自身での配偶者ビザの不許可理由の検証が困難な方,配偶者ビザの再申請に向けて何から手をつけてよいかわからない方は,ご遠慮なく弊社までお問い合わせ下さい。