コラム

COLUMN

外国人が起業して経営管理ビザを取得するメリット

1.外国人が日本で起業するメリット ①実力次第で高収入を得られる可能性がある 会社経営者は,成功すれば報酬は青天井です。 他方,失敗した時には会社経営者は全ての責任を負うことになります。 そのため,実力次第では高収入を得られます。反対に,失敗した時には苦境に立たされることになります。 努力や実力がそのまま反映されるのは,会社経営する醍醐味ではないでしょうか。 ②これまでになかった人脈形成ができる 外国人の方が起業すると,名刺にはCEOや代表取締役などの肩書が付きます。 会社代表者としての肩書が付くことで,周囲の見る目は変わり,これまでよりステイタスは高くなるでしょう。 また,経営者や外国人の経営者だけのコミュニティーもあります。 これまで知り合うことのなかった経営者の仲間ができることは,自分の知見を広げることに繋がりますし,成長できる環境に身を置くことは一生の財産になるでしょう。 ③自分のペースで自由な働き方ができる 一般的に会社勤めの場合,就業時間が決まっているかと思います。 会社経営者は,このような時間的な拘束は受けません。 経営管理ビザの審査の観点でも,何時から何時までの勤務を求めることはなく,事業の実態や決算内容を重視しています。 自らの行動にも全責任を負うことになりますが,自分のペースで自由な働き方ができるというのはメリットの一つに数えられるのではないでしょうか。 ④定年がない・早期リタイアも実現できる 早期リタイアの考えは様々かと思いますが,ご自身の考えと努力次第では早期リタイアも夢ではありません。 反対に,会社経営者に定年はないため,ご自身のお考え次第では何歳でも現役を続けることも可能です。 人生100年時代と言われる今,様々な選択肢を持てるのも経営者としての強みの一つです。 ⑤日本人にはない感性があるから日本市場で強い これは,私たち行政書士法人第一綜合事務所で経営管理ビザを取得した外国人経営者を見て思うところです。 日本人にはない外国人ならではの感性で,ブルーオーシャンの地位を築いておられる外国人経営者の方もおられます。 また,外国人経営者の方々は意思決定が日本人と比較して早い方が多く,それゆえビジネスチャンスをつかみ成功を手中に収めている方もいらっしゃいます。 外国人ならではの感性が活かせる日本市場は,外国人経営者の方にとってチャンスと言えるのはないでしょうか。 2.経営管理ビザを取得するメリット ⑥成果次第で高度専門職も狙える 経営管理ビザを保有している外国人経営者の方は,高度人材のポイント計算で70点以上取得すれば,高度経営管理活動として,高度専門職1号(ハ)のビザを取得できる可能性があります。 高度専門職1号(ハ)のビザを取得すると, ・複合的な在留活動の許容 ・在留期間「5年」の付与 ・在留歴に係る永住許可要件の緩和 ・配偶者の就労 ・一定の条件の下での親の帯同 ・一定の条件の下での家事使用人の帯同 ・入国・在留手続の優先処理 など,様々な優遇措置を受けることができます。 高度専門職ビザの詳細については,【事例解決】高度人材必見!高度専門職ビザの許可事例 に記載しておりますので,宜しければご覧ください。…

就労ビザから経営管理ビザへの変更方法を行政書士が解説!

1.就労ビザから経営管理ビザ ~よくあるご質問~ 本チャプターでは,就労ビザから経営管理ビザへの変更を目指す方からのご質問をまとめています。 経営管理ビザの一般的な要件は, 経営管理ビザの要件① ~在留資格該当性~ 経営管理ビザの要件② ~上陸基準省令~ に記載しておりますので,ご活用ください。 ①経営管理ビザを取得するために事務所は必要? 経営管理ビザ取得のためには,事業所の確保が必要になります。 事業所については,賃貸物件でも問題ありません。 しかし,単に物件確保のみを求めているわけではなく,要件に適合した事業所を確保しなければ,経営管理ビザの取得はできません。 では次に,経営管理ビザ取得のための事業所要件とはどのような内容なのでしょうか。 以下の内容が,事業所についての主な注意点です。 ・月単位の短期間賃貸スペースは要件に適合しません。 ・容易に処分可能な屋台等は要件に適合しません。 ・使用目的は,事業用,店舗,事務所等の事業目的である必要があります。 ・賃貸借契約の借主名義は,事業主名義(法人の場合は法人の名義)である必要があります。 ・住居兼事務所の場合には,貸主の同意や事業目的専用の部屋が必要になります。 事務所の要件については,経営管理ビザ取得のための事務所の要件を行政書士が解説!  に詳細を記載しておりますので,ご活用ください。 ②資本金の準備方法 経営管理ビザを取得するためには,下記の要件のいずれかに該当する必要があります。 ・日本に居住する2人以上の常勤従業員を確保していること ・資本金又は出資の総額が500万円以上であること ・上記に準ずる規模であると認められるものであること 会社経営スタート当初に,従業員を雇用することは資金力の観点から多くはありません。 そのため,「資本金又は出資の総額が500万円以上であること」という要件の適合を目指すのが一般的です。 では,現金が500万円さえあれば問題ないかというと,実はそういうわけではありません。 マネーロンダリング防止の観点や,見せ金を排除する観点から,500万円の出どころについても,入管では審査されます。 そのため,これまでの稼働によって形成した貯金であることなど,資金の形成方法についても明らかにする必要があります。 上記に関連して,資本金は借りたお金でも良いかとご質問を受けることがありますが,借り受けた500万円であっても問題ありません。 もっとも,安定した生計基盤が維持できるかという観点から,返済計画についても審査されることになりますので,生計の収支が問題にならないような返済計画を策定することが肝要です。 資本金の要件については,経営管理ビザの資本金500万円の考え方  に詳細を記載しておりますので,ご活用ください。 ③許認可取得は経営管理ビザの取得前に必要? 原則として,経営管理ビザを申請するまでに,事業遂行に必要な許認可を取得しておく必要があります。…

介護ビザを申請するための要件

1.介護ビザとは? 介護ビザとは,2017年に施行されたビザで,介護職で就労する外国人に家族帯同や実質無期限の日本在留を認め,派遣契約での受入れも可能なビザです。 日本の介護分野は,特に人手不足が深刻であり,少子高齢化により今後も日本人の労働力だけでは,介護分野の人手不足を解消させることが困難であると考えられています。 そのような背景の中,介護分野へより多くの外国人を呼び込むために,既にある介護系のビザに加えて「介護ビザ」が新設されました。 また,介護職で外国人を受入れするためのビザは,後述するように介護ビザ以外にも主に3種類設けられており,このことからも,日本政府が介護分野での外国人労働力活用について,注力していることがわかります。 2.介護業界で仕事するには? 参照:厚生労働省(外国人介護人材受入れの仕組み) 外国人が介護分野で仕事をするためには,介護分野での就労が可能な上記4つのビザか,身分系のビザなどの就労制限のないビザを取得する方法が考えられます。 介護分野での就労が可能なビザには,本記事で紹介する「介護ビザ」以外にも,主に3種類のビザが用意されているので,それぞれ紹介します。 2-1.技能実習(1号・2号および3号) 技能実習制度を使うことで,最大で5年間,外国人を介護分野で受入れすることができます。 一方で,あくまでも「技能実習」を行うためのビザであるため,労働者としての受入れは認められていないことや,作業内容が細かく規定されているなど制度運用が簡単ではない 点などについては,技能実習ビザを使う前に知っておくべき必要があります。 また,後述する「特定技能」や「特定活動」と共に,訪問介護の現場では就労することができない点についても,注意が必要です。 2-2.特定技能(1号) 2019年に新設されたビザで,介護を含む日本の人手不足が深刻な12分野にて,人手不足解消のために外国人の受入れを認めたビザです。 特定技能1号では,最長で5年間の就労が認められており,技能実習ビザで介護職を経験した外国人については,特定技能試験などが免除されて特定技能ビザにて介護分野で就労することができます。 そのため,技能実習ビザと特定技能ビザを併せて最長10年の受入れを目指す介護施設も珍しくありません。 また,特定技能ビザではそれぞれの分野で設置されている特定技能試験に合格することで,簡単に別分野への転職もできるため,他分野から介護分野への転職者も少なくありません。 介護分野の特定技能ビザ はコチラ 2-3.特定活動(EPA介護福祉士候補者・介護福祉士) 日本とEPA(経済連携協定)を締結している国の外国人が,介護福祉士の資格取得を目指しながら介護分野で就労することを認めたビザです。 現在のところ,インドネシア・フィリピン・ベトナムの3ヶ国のみの外国人が,このビザを使って介護分野で就労することを認められていますが,年間の受入れ可能数は日本全体で各国それぞれ300人のみです。 また,ビザ取得要件は次の表のとおり3ヶ国それぞれで異なります。 国籍 要件 インドネシア 日本語能力試験N5以上+インドネシアの看護学校(3年以上)卒業または高等教育機関3年以上卒業,およびンドネシア政府による介護士認定 フィリピン 日本語能力試験N5以上+フィリピンの看護学校(4年)卒業または4年制大学卒業,およびフィリピン政府による介護士認定 ベトナム 日本語能力試験N3+3年制または4年制の看護課程修了 3.介護ビザの取得条件 介護ビザを取得するために重要な要件は次の3つです。 ①介護福祉士の資格 日本の国家資格である「介護福祉士」の資格取得が必要です。 海外でも介護系の資格がある国がありますが,あくまでも日本での資格が必要であるため,母国で資格をもつ場合でも日本の介護福祉士の資格を取り直す必要があります。 ②介護施設との適正な雇用契約 日本の介護施設と雇用契約を締結し,介護が必要な人に対して,食事,入浴,排せつなどの身体的介護および付随する介護全般業務を行うことが求められます。…

経営管理ビザが認められる事務所とは?

1.経営管理ビザを取得するために事務所は必要? この疑問を解消するためには,法務省令(いわゆる基準省令)を確認するのが理解の近道です。 それでは,さっそく法務省令を見てみましょう。 (出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令) 「法別表第一の二の表の経営・管理の項の下欄に掲げる活動」 一 申請に係る事業を営むための事業所が本邦に存在すること。ただし,当該事業が開始されていない場合にあっては,当該事業を営むための事業所として使用する施設が本邦に確保されていること。 まず前段を見ると,申請に係る事業を営むための事業所が本邦に存在することとなっており,経営管理ビザを取得するためには,事務所が必要という事がわかります。 次に後段を見ると,当該事業が開始されていない場合にあっては,当該事業を営むための事業所として使用する施設が本邦に確保されていることとなっています。 これらをまとめると, 事業が開始されていない場合であっても,事務所の「確保」は必要 既に事業を開始している場合については,事務所の「存在」が必要 ということになります。 いずれにしても,経営管理ビザを取得するためには,事務所を準備する必要がありそうです。 2.経営管理ビザ申請において事務所として認められたケース それでは,ここからは法務省が公表している「外国人経営者の在留資格基準の明確化について」より,経営管理ビザ申請において事務所として認められたケースを具体的にみていきましょう。 (事例1) Aは,本邦において個人経営の飲食店を営むとして在留資格変更許可申請を行ったが,事務所とされる物件に係る賃貸借契約における使用目的が「住居」とされていたものの,貸主との間で「会社の事務所」として使用することを認めるとする特約を交わしており,事業所が確保されていると認められたもの。 経営管理ビザを取得するための事務所は,賃貸物件の場合,使用目的が住居では要件を充足せず,事業に使用することを明確にする必要があるとされています。 仮に,本事例のように使用目的が住居になっているような場合には,事業に利用することを貸主が承諾していることを明示する必要があります。 本事例では,貸主から「会社の事務所」として使用することを認める特約を交わしていたことから,貸主から事業に利用することの承諾があったものとして扱われた事例です。 (事例2) Bは,本邦において水産物の輸出入及び加工販売業を営むとして在留資格認定証明書交付申請を行ったところ,本店が役員自宅である一方,支社として商工会所有の物件を賃借していたことから,事業所が確保されていると認められたもの。 本事例は,登記上の本店所在場所のみが事務所として認定されるわけではないとするケースです。 今回の事例では,登記上の本店は役員の自宅にしています。 これとは別に,支社として事務所の物件を賃貸していました。 このように,本店のみが事務所として認定されるわけではなく,たとえ本店は役員の自宅であったとしても,経営管理ビザの要件に該当する事務所が別に確保されているのであれば問題ありません。 (事例3) Cは,本邦において株式会社を設立し,販売事業を営むとして在留資格認定証明書交付申請を行ったが,会社事務所と住居部分の入り口は別となっており,事務所入り口には,会社名を表す標識が設置されていた。また,事務所にはパソコン,電話,事務机,コピー機等の事務機器が設置されるなど事業が営まれていることが確認され,事業所が確保されていると認められたもの。 本事例は,自宅兼事務所が問題となった事例です。 ポイントは,居住スペースと事業のために使用するスペースが明確に区分されているかという点です。 本事例は,会社事務所と住居部分の入り口は別になっていますので,明確に区分されていると見ることができます。 また,事務所入り口には,会社名を表す標識が設置されており,社会的標識を掲げていることから,外形上も事業のために使用するスペースであると認識できます。 さらに,事務所にはパソコン,電話,事務机,コピー機等の事務機器が設置されるなど事業が営まれていることが確認されていることから,実態として事務所があると評価された事例です。 上記に関連して,自宅兼事務所の場合には,上記以外に2つの注意事項があります。 1つ目は,公共料金等の共用費用の支払いに関する取決めです。 事業で使用したものか日常生活で使用したものか明確にしておく必要があります。 このように,自宅兼事務所の場合には,形式的にも居住と事業の区分を求めているのです。 2つ目は,物理的に区分された部屋を,事業用のみに使用する部屋として確保していなければなりません。 たとえば,1階は事務所,2階は住居といったように明確に区分することができるのであれば,事務所として使用できるでしょう。…

韓国人との国際結婚手続きを専門行政書士が解説!

1.国際結婚手続きの用語解説 本チャプターでは,国際結婚手続きにおける専門用語を解説していきます。 以降の内容をご参照いただくにあたり必要となる前提知識ですので,ご一読の上,次のチャプターに進んでください。 ①国際結婚の成立とは? 国際結婚の成立には,双方(本事例でいうと日本と韓国)の国籍国において,法的に有効な婚姻関係にあることが原則必要とされています。 日本で先に結婚手続きを行うことを日本方式と言い,韓国で先に結婚手続きを行うことを韓国方式と言います。 ②婚姻要件具備証明書とは? 外国人が,日本方式の婚姻を有効に成立させるためには,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件(婚姻できる年齢に達していること,独身であることなど)を満たしていることが必要とされています。 もっとも,日本の市区町村役場で,外国人の国籍国の法律を全て審査することは現実的ではありません。 そのため,国際結婚においては,婚姻要件具備証明書を提出することによって,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていると判断することにしています。 なお,発行国によっては,独身証明書などと言われることがありますが,独身であることのみならず,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていることが明らかになるものであれば,基本的には婚姻要件具備証明書と考えていただいて差し支えありません。 ③日本方式と韓国方式とは? 先述のとおり,国際結婚手続きは,双方の国籍国で手続きを履践する必要があります。 この場合に,日本で先に結婚手続きを行うことを日本方式と言い,韓国で先に結婚手続きを行うことを韓国方式と言います。 2.韓国人との国際結婚手続きで注意すること 韓国人と日本人との国際結婚手続きの際,ご注意いただきたい事項を下記に記載いたします。 ①婚姻要件具備証明書について 韓国は,婚姻要件具備証明書が発行されない国です。そのため,韓国人との婚姻のおいては,婚姻要件具備証明書に代わる書類によって,韓国人の婚姻要件充足を証明することになります。 ②婚姻可能な年齢について 韓国人の婚姻可能な年齢は,男女ともに満18歳以上です。 ③再婚禁止期間について 韓国の法律には再婚禁止期間の定めはありません。ただし,日本方式で婚姻手続きを行う場合は,日本民法の再婚禁止期間が適用され,前婚の解消又は取消の日から100日を経過していることが要件とされています。ただし,韓国人女性が妊娠していないという医師の診断書を提出することによって,100日を経過していない場合でも婚姻することができます。 3.韓国人との国際結婚手続きにおける必要書類(日本方式) 本題の国際結婚手続きについて解説していきます。 ここからは,日本人と韓国人が日本方式で婚姻をおこなう場合の必要書類を記載します。 なお,市区町村役場によって若干の相違があるため,事前に役所照会することをお勧めいたします。 ①日本の市区町村役場において必要となる書類 <日本人の方にご準備いただく書類> ・婚姻届書(日本人同士の場合と同様のものです) ・本人確認資料(運転免許証又はパスポート等) ・戸籍謄本(本籍地以外に婚姻届を提出する場合) <韓国人の方にご準備いただく書類> ・婚姻関係証明書※1(日本語訳を添付) ・親族関係証明書※1(日本語訳を添付) ・基本証明書※1(日本語訳を添付) ・パスポート※2 ※1 在日韓国大使館または領事館でも取得が可能です。 ※2 韓国人が在外にいる場合は,コピーに自署したもので代替可能です。…

永住者の配偶者等のビザとは?

1.永住者の配偶者等のビザの審査上のポイント 以下,永住者の配偶者等のビザの審査上のポイントを解説します。 (1)永住者の配偶者等のビザの対象者 ①永住ビザで在留する方又は特別永住者の配偶者 ②永住ビザで在留する方又は特別永住者の子として日本で出生し,その後引き続き日本で在留している方 ①でいう配偶者は,婚姻関係にある方を対象にしています。そのため,配偶者が死亡した場合や配偶者と離婚した場合には,永住者の配偶者等のビザの対象にはなりません。また,内縁関係,同性婚は対象外になっています。 次に,②について見ていきます。 ここでいう子は,実子を言い,婚姻関係にある男女から生まれた子のみならず,婚姻関係にない男女から生まれた子でも,認知がされていれば永住者の配偶者等のビザの対象になります。 注意が必要なのは養子についてです。養子は永住者の配偶者等のビザの対象にはなっていません。 まとめると,永住者の配偶者等のビザの対象となる子は, ・婚姻関係にある男女から生まれた子 ・婚姻関係にない男女から生まれた認知された子 ということになります。 (2)永住者の配偶者等のビザの子どもの出生地について 上記②のケースで,永住者の配偶者等のビザを取得するためには,出生地も関係します。 どういうことかと言うと,例えば母が永住ビザであっても,再入国許可を受けて外国で出産した場合には,永住者の配偶者等のビザの要件を満たさないことになります。本例の場合には,永住者の配偶者等のビザではなく,定住者ビザの対象になります。 そのため,父または母が永住ビザであっても,子の出生地によってビザの種類が異なるため注意が必要です。 (3)永住者の配偶者等のビザの配偶者について 法的に有効な婚姻手続きを履践していると,永住者の配偶者等のビザの要件を満たすのでしょうか。 ここでいう配偶者は,形式的に結婚をしている状態ではなく,実体の伴う結婚であることを意味します。すなわち,日本人の配偶者ビザの場合と同様に,交際経緯をはじめ,どのように結婚するに至ったのかという点について,入管で慎重に審査されることになります。 次に,上記の要件を満たし,実体のある配偶者であったとしても,婚姻生活の安定性,継続性を欠く場合には,永住者の配偶者等のビザは取得することが出来ません。 婚姻生活の安定性,継続性を図る指標として,代表的なものに経済基盤があげられます。つまり安定した所得がない場合には,婚姻生活の安定性,継続性が欠如しているものとして不許可になってしまう可能性があります。 なお,経済基盤が求められるのは,永住者の配偶者等のビザの子どもの場合も同様です。 2.永住者の配偶者等のビザQ&A 永住者の配偶者等のビザについて,ご質問の多い事項を以下にまとめています。 Q 本人が生まれた後,お父さん又はお母さんが永住ビザを失った場合,子どもの永住者の配偶者等のビザに影響はありますか? A 永住者の配偶者等のビザは,お子様の出生の時にお父様又はお母様が永住ビザである必要があります。その後,仮にお父様又はお母様が永住ビザを喪失した場合でも,永住ビザを持っている子として出生した事実は変わらないと考えられているため,お子様の永住者の配偶者等のビザに影響は与えません。 Q 本人が生まれる前にお父さんが亡くなってしまいました。この場合のビザの種類は何になりますか? A ご本人様がお生まれになる前に,永住ビザを持つお父様が亡くなってしまった場合でも,永住者の配偶者等のビザに該当します。そのため,今回の件は永住者の配偶者等のビザの対象になります。 Q 現在,短期滞在ビザを保有しています。短期滞在ビザから永住者の配偶者等のビザへ変更できますか? A 短期滞在ビザから永住者の配偶者等のビザへ変更するには,やむを得ない事情が必要となります。そのため,お客様の状況により個別に判断することになりますのでご相談下さい。 Q 特別永住者の子として日本で生まれました。出産後,多忙であったこともあり60日の申請期限を経過してしまいました。この場合のビザの種類は何になりますか。 A …

コロナ禍の影響を受けている留学生必見!~新型コロナウイルス感染症の感染拡大等を受けた留学生への対応について~

1.コロナ禍の留学生支援策①(教育機関において引き続き教育を受ける場合) 在留資格「留学」に係る在留期間更新許可を受け,引き続き教育を受ける活動を行うことが可能。 ⇒現在在籍している教育機関から転籍等して教育を受ける場合やこれまでの在籍していた教育機関でない教育機関で教育を受ける場合も更新可能。 ⇒専ら日本語教育を受ける場合は通常2年間の在留が認められるが,これを超えて更新可能。 ⇒資格外活動許可を受けた場合は,原則として1週につき28時間以内のアルバイトが認められる。 (出入国在留管理庁2020年10月19日公表「新型コロナウイルス感染症の感染拡大等を受けた留学生への対応について」から引用) 従来の内容から大きく変わった点は,以下の内容です。 ・専ら日本語教育を受ける場合は通常2年間の在留が認められるが,これを超えて更新可能 これまで日本語学校での学習期間は,2年間の在留が認められていました。 今回のコロナ禍の影響を受け,学習が遅れてしまった留学生や将来の予定変更を余儀なくされた留学生を救済するため,2年を超えて日本語学校に在籍し,学習を継続できるようになりました。 2.コロナ禍の留学生支援策②(教育を受ける活動を行わない場合) (1)「留学」の在留資格を有していた方が,帰国便の確保や本国国内の住居地への帰宅が困難であると認められる場合は,在留資格「特定活動(6か月)」への在留資格変更許可が可能。 ⇒就労を希望する場合は,資格外活動許可を受けなくとも,1週につき28時間以内のアルバイトが認められる。 ※10月19日より,卒業の時期や有無を問わない取扱いに変わりました。 (2)2020年に教育機関を卒業した留学生で「留学」の在留資格を有し,資格外活動の許可を受けている方が,帰国便の確保や本国国内の住居地への帰宅が困難であると認められる場合 ⇒卒業後であっても1週につき28時間以内のアルバイトが認められる。 (出入国在留管理庁2020年10月19日公表「新型コロナウイルス感染症の感染拡大等を受けた留学生への対応について」から引用) 上記同様,変更点を中心に解説していきます。 ・(1)就労を希望する場合は,資格外活動許可を受けなくとも,1週につき28時間以内のアルバイトが認められる。 これまでは卒業時期によって,取扱いに違いを設けていましたが,2020年10月19日の変更で,卒業時期を問わずに,帰国便の確保や本国国内の住居地への帰宅が困難であると認められる場合には,6ヶ月の特定活動ビザが付与されることになりました。 留学生にとって,非常に大きい変更点です。 付け加えて説明をすると,(1)の帰国便の確保が困難であるというのは,航空券の高騰なども考慮してもらうことができます。 そのため,現在は運航している場合であっても,航空券が高騰しているという事情を説明できれば,帰国便の確保が困難と評価してもらえる可能性があります。 次に,(1)の注意点です。 留学ビザとは異なり,ここで付与される特定活動ビザは,アルバイトの許可は不要です。 特定活動ビザは,法務大臣が個々の外国人に対して指定している特定の活動を意味します。 つまり,今回の帰国便の確保や本国国内の住居地への帰宅が困難であると認められた場合に付与される特定活動ビザは,別途アルバイトの許可を取得しなくとも,法務大臣からアルバイトをしても良いと指定を受けているとご認識ください。 関連して注意が必要なのは,上記の特定活動ビザをお持ちの場合です。 留学ビザの場合には,アルバイトの許可が必要となります。 その旨,誤解のないようにご認識ください。 3.コロナ禍の留学生支援策③(卒業後の就職が決定している場合) 要件を満たせば,在留資格「技術・人文知識・国際業務」等への在留資格変更が可能。 (出入国在留管理庁2020年10月19日公表「新型コロナウイルス感染症の感染拡大等を受けた留学生への対応について」から引用) 3の内容は,これまでと変更ありません。 また,コロナ禍の影響を受け,留学生からの就労ビザの要件が緩和された等の措置はありませんのでご注意ください。 留学ビザから就労ビザへの変更の要件は,留学ビザから就労ビザへの変更手続き で詳しく記載していますのでご参照ください。 4.コロナ禍の留学生支援策④(卒業後も引き続き本邦内において就職活動を行うことを希望する場合) 在留資格「特定活動」に係る在留資格変更許可を受け,卒業から1年間就職活動を行うことが可能。…

偽造在留カードと不法就労助長罪の関係について

1.偽造在留カードの摘発事例 2012年7月9日の入管法改正に伴い,外国人登録法は廃止され,現在の在留管理制度がスタートしました。 当時の公表資料によれば,偽造防止対策として在留カードには,ホログラムが印刷されており,また,出入国在留管理庁が提供する在留カード等番号失効情報照会を用いれば,その在留カードが有効なものか失効しているのかを確認することができるという,画期的な内容でした。 さらに,在留カードに埋め込まれているICチップ情報を読み込むことで,真正なカードと確認することができると謳われていたため,これで偽造在留カードの問題は無くなる,そんな期待を抱いたのでした。 しかし,そんな期待を裏切るかのように,次々と偽造在留カードの摘発が報道されるようになってきました。 年々偽造在留カードの摘発事例は増え,2019年には過去最高の摘発数を記録しています。 そして,近時の傾向としては,組織的に,また巧妙になっているのが特徴です。 2020年9月29日 神戸新聞より一部抜粋 「在留カードの偽造密売ビジネス化“1日に200枚作った”不法残留摘発4千件超」 捜査関係者によると,カード偽造容疑で逮捕された女は「1日に200枚作ったこともある。寝る間もないほど忙しかった」と話したといい,需要の高さをうかがわせた。兵庫県警が7月に手掛けた別の不法就労助長事件でも,不法残留者を違法に雇った疑いがある神戸市の会社から偽造カードのコピーが見つかった。 2020年9月9日 佐賀新聞より一部抜粋 「偽造在留カードを提供,ベトナム人の男を容疑で再逮捕8日,鳥栖署など」 再逮捕容疑は昨年11月26日,JR箱崎駅西側ロータリーで20代のベトナム人男性に,行使の目的で,この男性の名前や顔写真などが印刷された偽造在留カード1枚を提供した疑い。 同署によると,男は今年7月29日に同法違反(不法残留)の疑い=同罪で起訴済み=で現行犯逮捕されていた。ベトナム人男性とはSNSを通じて知り合い,カードは有償で手渡していた。カードの製造方法などを調べている。 2020年9月6日 朝日新聞デジタルより一部抜粋 「兵庫)偽造在留カード,需要増の背景は」 捜査本部は4月,製造拠点とみられる埼玉県川口市の集合住宅の一室を捜索。プリンターや材料のカード2千枚,ホログラム1万2千枚などを押収した。パソコンには約1800件の客に関するデータが入っていたという。 捜査関係者によると,偽造在留カードはSNSで注文を募り,ベトナム人らに1枚1万~2万円で販売。2人はほかにも運転免許証や健康保険証,年金手帳なども偽造し,4月までの約半年に400万円の報酬を受け取っていたとみられる。 2.なぜ偽造在留カードが出回るのか!?このタイミングの外国人雇用にご注意ください! 外国人を雇用される企業様には,偽造在留カードにまつわる裏側の世界を知っていただく必要があります。 裏側の世界を知っていただくことで,偽造在留カードを所持する外国人の雇用を防いでいただきたい,そんな風に私たちは考えています。 ところで,なぜ一部の外国人は偽造在留カードを手にしようとするのでしょうか。 それは,正規の在留資格を持たない外国人にとって,日本で働くことが難しくなっているからと考えられています。 換言すると,入管庁がかねてより案内してきた“外国人を雇用する際の在留カードの確認”が日本企業に浸透してきたと評価できるかも知れません。 正規の在留資格を持たない外国人は,このような適正手続きをおこなう日本企業からすり抜けるための便法として,偽造在留カードを行使しているのです。 このような日本の在留管理制度を揺るがす悪事は,断じて許すことはできません。 では,企業は外国人を雇用する際に,常にこの偽造在留カードの危険にさらされるのでしょうか。 結論から言うと,外国人を雇用する際には,偽造在留カードの問題を意識することは必要です。 なかでも,現実的に偽造在留カードが行使されている局面は,以下のようなケースです。 ・既に就労ビザをもっており貴社へ転職してくるケース ・留学や家族滞在のビザをもってアルバイトとして勤務するケース このようなケースでは,特に注意が必要です。 これらのケースに共通するのは,入管への申請を何らすることなく,就業を開始する局面です。 つまり,正規の在留資格を持たない外国人にとって,偽造在留カードを行使しやすい局面というになり,企業にとっては特に注意が必要な場面ということができます。 3.過失がない場合には不法就労助長罪に問われない!? 外国人を雇用する際に,企業で必要となる対応については,「知らなかったでは通用しない不法就労助長罪とは?

経営管理ビザで飲食店経営する場合の注意点

1.経営管理ビザと飲食店営業許可の関係 経営管理ビザでは,日本で適法に行うことができる事業であれば,その業種は問われません。入管法には「本邦において貿易その他の事業の経営を行い」と規定されていますが(入管法別表1の2の表「経営・管理」の項の下欄),貿易は例示にすぎませんので,貿易に限られるわけではありません。 適法に行われる事業であれば,どのような事業でも行うことができますが,許認可が必要な事業は申請時に許認可を取得していなければなりません(少なくとも許認可の申請を行っていることが必要です)。飲食店を営業する場合は,食品衛生法に基づき,必ず事前に店舗所在地を管轄する保健所で飲食店営業許可を取得しなければなりません。 飲食店営業許可の許可要件はここでは詳細を記載しませんが,食品衛生責任者を選任する他,営業設備が基準を満たしていなければなりません。店舗物件を選ぶ際には,飲食店営業許可を取得できるような設備が揃っているか,設備が揃っていない場合は内装工事で設置が可能かどうかを確認しておきましょう。 なお,移動店舗(キッチンカー)や露店でも飲食店営業許可を取得することは可能ですが,移動可能な店舗や露店などの簡易に解体可能な設備では,経営管理ビザで求められる「事業所」には該当しません。そのため,経営管理ビザを取得して飲食店を経営する場合は,固定店舗で営業する形態に限られます。 2.飲食店経営で経営管理ビザを取得するためには従業員の雇用が必要になる!? 料理が得意なので,小さなお店でもいいので自分で料理を作ってお客さんに提供したい,そんな夢を思い描いておられる方もおられるでしょう。しかし,残念ながら,この形態では経営管理ビザは取得できません。小料理屋のおかみさんでは,経営管理ビザは取得できないのです。 経営管理ビザを含む活動類型の在留資格では,日本でどのような活動を行うかが審査において重要な視点となります。経営管理ビザは,外国人が日本で経営管理活動を行うために与えられるものですので,主たる活動内容が経営管理の活動でなければなりません。 この点,飲食店を経営する場合,日常的に調理・接客業務が発生します。店舗での調理・接客・販売等は現業活動と言われ,経営管理ビザの活動ではありません。そのため,経営管理ビザでは,オーナー自らが店舗に立って調理・接客・販売活動を行う現業活動は原則禁止されています。これらの現業活動は従業員に任せ,オーナーはその従業員を雇用管理する,これこそが経営管理ビザの活動になります。 従業員を雇用する際には,営業時間や営業日,客席数,従業員の稼働可能な時間帯等を考慮して,何人の雇用が必要かを検討しなければなりません。どうシフトを組んだとしてもオーナーが自ら店に立たざるを得ないようなシフトしか組めないのであれば,更に従業員を雇用しなければなりません。 また,外国人留学生などの就労時間の制限(週28時間以内)がある方を雇用する場合は,制限内に収まるようなシフトを組める人員体制にしておくことにも注意が必要です。 このように,飲食店を経営する場合は,従業員の雇用が必須になります。もっとも,現業が原則禁止されていると言っても,経営管理ビザの活動の一環として付随的に現業に従事することは差し支えありません。たとえば,従業員の勤怠管理のために短時間だけ現場の手伝いをする,急なシフト変更や欠員のためにやむなく一時的に現場の手伝いをするといったレベルであれば,経営管理ビザの活動の一環であると認められます。 3.飲食店経営で経営管理ビザを取得するための事業計画の立て方 経営管理ビザを申請する際には,事業計画書を提出しなければなりません。飲食店経営を事業とする場合,他の事業とは異なる観点から事業計画を立案する必要があります。 まず,売上計画を立てるには,客単価(顧客一人当たりの平均単価)と一日何人の来客が見込めるかを想定しなければなりません。客単価と来客数との積算が一日の売上見込みになります。どこまで詳細なものを計画するかによりますが,更に曜日ごとの売上見込み,時間帯ごとの売上見込みを計算していけば,より詳細な売上見込みになっていきます。 次に,事業計画に欠かせない観点が経費です。 料理を提供するには食材が必要になります。食材を調理するには,電気やガスで火をおこし,食器を洗うには水も必要でしょう。売上に占める食材費,水道光熱費を計算し,原価を割り出します。原価を基に,商品単価(メニューの値段)を決めるのが一般的です。 その他に,人件費や店舗の賃料,広告料も経費としてかかります。 特に飲食店経営には人件費がかさみます。上記でご説明したように,営業時間や営業日,客席数,従業員の労働可能な時間帯等を考慮した上で,人件費がいくら必要になるのかを計算してください。正社員を雇用する場合には,社会保険料なども考慮しておいた方が良いでしょう。 売上から経費を差し引いた金額が営業利益になります。無理のない現実的な事業計画を立てることが,経営管理ビザを取得する上でも,日本でのビジネスを成功させる上でも重要になります。 4.経営管理ビザで飲食店経営する場合の注意点のまとめ 飲食店経営を事業とする場合には,店舗の賃貸,内装,飲食店営業許可の取得,従業員の雇用,事業計画の立案等,他の事業と比べると開業準備に資金と時間がかかります。 一方で,飲食店経営は,店舗が実在し,許認可も取得しているため,経営実態を証明しやすいのが特徴です。そのため,しっかり準備をすれば,経営管理ビザを取得しやすい事業内容と言えるでしょう。 準備は大変ですが,本気で飲食店ビジネスを成功させたいと考えられているのであれば,是非チャレンジしてみてください。…