コラム

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永住者の配偶者等のビザとは?

1.永住者の配偶者等のビザの審査上のポイント 以下,永住者の配偶者等のビザの審査上のポイントを解説します。 (1)永住者の配偶者等のビザの対象者 ①永住ビザで在留する方又は特別永住者の配偶者 ②永住ビザで在留する方又は特別永住者の子として日本で出生し,その後引き続き日本で在留している方 ①でいう配偶者は,婚姻関係にある方を対象にしています。そのため,配偶者が死亡した場合や配偶者と離婚した場合には,永住者の配偶者等のビザの対象にはなりません。また,内縁関係,同性婚は対象外になっています。 次に,②について見ていきます。 ここでいう子は,実子を言い,婚姻関係にある男女から生まれた子のみならず,婚姻関係にない男女から生まれた子でも,認知がされていれば永住者の配偶者等のビザの対象になります。 注意が必要なのは養子についてです。養子は永住者の配偶者等のビザの対象にはなっていません。 まとめると,永住者の配偶者等のビザの対象となる子は, ・婚姻関係にある男女から生まれた子 ・婚姻関係にない男女から生まれた認知された子 ということになります。 (2)永住者の配偶者等のビザの子どもの出生地について 上記②のケースで,永住者の配偶者等のビザを取得するためには,出生地も関係します。 どういうことかと言うと,例えば母が永住ビザであっても,再入国許可を受けて外国で出産した場合には,永住者の配偶者等のビザの要件を満たさないことになります。本例の場合には,永住者の配偶者等のビザではなく,定住者ビザの対象になります。 そのため,父または母が永住ビザであっても,子の出生地によってビザの種類が異なるため注意が必要です。 (3)永住者の配偶者等のビザの配偶者について 法的に有効な婚姻手続きを履践していると,永住者の配偶者等のビザの要件を満たすのでしょうか。 ここでいう配偶者は,形式的に結婚をしている状態ではなく,実体の伴う結婚であることを意味します。すなわち,日本人の配偶者ビザの場合と同様に,交際経緯をはじめ,どのように結婚するに至ったのかという点について,入管で慎重に審査されることになります。 次に,上記の要件を満たし,実体のある配偶者であったとしても,婚姻生活の安定性,継続性を欠く場合には,永住者の配偶者等のビザは取得することが出来ません。 婚姻生活の安定性,継続性を図る指標として,代表的なものに経済基盤があげられます。つまり安定した所得がない場合には,婚姻生活の安定性,継続性が欠如しているものとして不許可になってしまう可能性があります。 なお,経済基盤が求められるのは,永住者の配偶者等のビザの子どもの場合も同様です。 2.永住者の配偶者等のビザQ&A 永住者の配偶者等のビザについて,ご質問の多い事項を以下にまとめています。 Q 本人が生まれた後,お父さん又はお母さんが永住ビザを失った場合,子どもの永住者の配偶者等のビザに影響はありますか? A 永住者の配偶者等のビザは,お子様の出生の時にお父様又はお母様が永住ビザである必要があります。その後,仮にお父様又はお母様が永住ビザを喪失した場合でも,永住ビザを持っている子として出生した事実は変わらないと考えられているため,お子様の永住者の配偶者等のビザに影響は与えません。 Q 本人が生まれる前にお父さんが亡くなってしまいました。この場合のビザの種類は何になりますか? A ご本人様がお生まれになる前に,永住ビザを持つお父様が亡くなってしまった場合でも,永住者の配偶者等のビザに該当します。そのため,今回の件は永住者の配偶者等のビザの対象になります。 Q 現在,短期滞在ビザを保有しています。短期滞在ビザから永住者の配偶者等のビザへ変更できますか? A 短期滞在ビザから永住者の配偶者等のビザへ変更するには,やむを得ない事情が必要となります。そのため,お客様の状況により個別に判断することになりますのでご相談下さい。 Q 特別永住者の子として日本で生まれました。出産後,多忙であったこともあり60日の申請期限を経過してしまいました。この場合のビザの種類は何になりますか。 A …

コロナ禍の影響を受けている留学生必見!~新型コロナウイルス感染症の感染拡大等を受けた留学生への対応について~

1.コロナ禍の留学生支援策①(教育機関において引き続き教育を受ける場合) 在留資格「留学」に係る在留期間更新許可を受け,引き続き教育を受ける活動を行うことが可能。 ⇒現在在籍している教育機関から転籍等して教育を受ける場合やこれまでの在籍していた教育機関でない教育機関で教育を受ける場合も更新可能。 ⇒専ら日本語教育を受ける場合は通常2年間の在留が認められるが,これを超えて更新可能。 ⇒資格外活動許可を受けた場合は,原則として1週につき28時間以内のアルバイトが認められる。 (出入国在留管理庁2020年10月19日公表「新型コロナウイルス感染症の感染拡大等を受けた留学生への対応について」から引用) 従来の内容から大きく変わった点は,以下の内容です。 ・専ら日本語教育を受ける場合は通常2年間の在留が認められるが,これを超えて更新可能 これまで日本語学校での学習期間は,2年間の在留が認められていました。 今回のコロナ禍の影響を受け,学習が遅れてしまった留学生や将来の予定変更を余儀なくされた留学生を救済するため,2年を超えて日本語学校に在籍し,学習を継続できるようになりました。 2.コロナ禍の留学生支援策②(教育を受ける活動を行わない場合) (1)「留学」の在留資格を有していた方が,帰国便の確保や本国国内の住居地への帰宅が困難であると認められる場合は,在留資格「特定活動(6か月)」への在留資格変更許可が可能。 ⇒就労を希望する場合は,資格外活動許可を受けなくとも,1週につき28時間以内のアルバイトが認められる。 ※10月19日より,卒業の時期や有無を問わない取扱いに変わりました。 (2)2020年に教育機関を卒業した留学生で「留学」の在留資格を有し,資格外活動の許可を受けている方が,帰国便の確保や本国国内の住居地への帰宅が困難であると認められる場合 ⇒卒業後であっても1週につき28時間以内のアルバイトが認められる。 (出入国在留管理庁2020年10月19日公表「新型コロナウイルス感染症の感染拡大等を受けた留学生への対応について」から引用) 上記同様,変更点を中心に解説していきます。 ・(1)就労を希望する場合は,資格外活動許可を受けなくとも,1週につき28時間以内のアルバイトが認められる。 これまでは卒業時期によって,取扱いに違いを設けていましたが,2020年10月19日の変更で,卒業時期を問わずに,帰国便の確保や本国国内の住居地への帰宅が困難であると認められる場合には,6ヶ月の特定活動ビザが付与されることになりました。 留学生にとって,非常に大きい変更点です。 付け加えて説明をすると,(1)の帰国便の確保が困難であるというのは,航空券の高騰なども考慮してもらうことができます。 そのため,現在は運航している場合であっても,航空券が高騰しているという事情を説明できれば,帰国便の確保が困難と評価してもらえる可能性があります。 次に,(1)の注意点です。 留学ビザとは異なり,ここで付与される特定活動ビザは,アルバイトの許可は不要です。 特定活動ビザは,法務大臣が個々の外国人に対して指定している特定の活動を意味します。 つまり,今回の帰国便の確保や本国国内の住居地への帰宅が困難であると認められた場合に付与される特定活動ビザは,別途アルバイトの許可を取得しなくとも,法務大臣からアルバイトをしても良いと指定を受けているとご認識ください。 関連して注意が必要なのは,上記の特定活動ビザをお持ちの場合です。 留学ビザの場合には,アルバイトの許可が必要となります。 その旨,誤解のないようにご認識ください。 3.コロナ禍の留学生支援策③(卒業後の就職が決定している場合) 要件を満たせば,在留資格「技術・人文知識・国際業務」等への在留資格変更が可能。 (出入国在留管理庁2020年10月19日公表「新型コロナウイルス感染症の感染拡大等を受けた留学生への対応について」から引用) 3の内容は,これまでと変更ありません。 また,コロナ禍の影響を受け,留学生からの就労ビザの要件が緩和された等の措置はありませんのでご注意ください。 留学ビザから就労ビザへの変更の要件は,留学ビザから就労ビザへの変更手続き で詳しく記載していますのでご参照ください。 4.コロナ禍の留学生支援策④(卒業後も引き続き本邦内において就職活動を行うことを希望する場合) 在留資格「特定活動」に係る在留資格変更許可を受け,卒業から1年間就職活動を行うことが可能。…

偽造在留カードと不法就労助長罪の関係について

1.偽造在留カードの摘発事例 2012年7月9日の入管法改正に伴い,外国人登録法は廃止され,現在の在留管理制度がスタートしました。 当時の公表資料によれば,偽造防止対策として在留カードには,ホログラムが印刷されており,また,出入国在留管理庁が提供する在留カード等番号失効情報照会を用いれば,その在留カードが有効なものか失効しているのかを確認することができるという,画期的な内容でした。 さらに,在留カードに埋め込まれているICチップ情報を読み込むことで,真正なカードと確認することができると謳われていたため,これで偽造在留カードの問題は無くなる,そんな期待を抱いたのでした。 しかし,そんな期待を裏切るかのように,次々と偽造在留カードの摘発が報道されるようになってきました。 年々偽造在留カードの摘発事例は増え,2019年には過去最高の摘発数を記録しています。 そして,近時の傾向としては,組織的に,また巧妙になっているのが特徴です。 2020年9月29日 神戸新聞より一部抜粋 「在留カードの偽造密売ビジネス化“1日に200枚作った”不法残留摘発4千件超」 捜査関係者によると,カード偽造容疑で逮捕された女は「1日に200枚作ったこともある。寝る間もないほど忙しかった」と話したといい,需要の高さをうかがわせた。兵庫県警が7月に手掛けた別の不法就労助長事件でも,不法残留者を違法に雇った疑いがある神戸市の会社から偽造カードのコピーが見つかった。 2020年9月9日 佐賀新聞より一部抜粋 「偽造在留カードを提供,ベトナム人の男を容疑で再逮捕8日,鳥栖署など」 再逮捕容疑は昨年11月26日,JR箱崎駅西側ロータリーで20代のベトナム人男性に,行使の目的で,この男性の名前や顔写真などが印刷された偽造在留カード1枚を提供した疑い。 同署によると,男は今年7月29日に同法違反(不法残留)の疑い=同罪で起訴済み=で現行犯逮捕されていた。ベトナム人男性とはSNSを通じて知り合い,カードは有償で手渡していた。カードの製造方法などを調べている。 2020年9月6日 朝日新聞デジタルより一部抜粋 「兵庫)偽造在留カード,需要増の背景は」 捜査本部は4月,製造拠点とみられる埼玉県川口市の集合住宅の一室を捜索。プリンターや材料のカード2千枚,ホログラム1万2千枚などを押収した。パソコンには約1800件の客に関するデータが入っていたという。 捜査関係者によると,偽造在留カードはSNSで注文を募り,ベトナム人らに1枚1万~2万円で販売。2人はほかにも運転免許証や健康保険証,年金手帳なども偽造し,4月までの約半年に400万円の報酬を受け取っていたとみられる。 2.なぜ偽造在留カードが出回るのか!?このタイミングの外国人雇用にご注意ください! 外国人を雇用される企業様には,偽造在留カードにまつわる裏側の世界を知っていただく必要があります。 裏側の世界を知っていただくことで,偽造在留カードを所持する外国人の雇用を防いでいただきたい,そんな風に私たちは考えています。 ところで,なぜ一部の外国人は偽造在留カードを手にしようとするのでしょうか。 それは,正規の在留資格を持たない外国人にとって,日本で働くことが難しくなっているからと考えられています。 換言すると,入管庁がかねてより案内してきた“外国人を雇用する際の在留カードの確認”が日本企業に浸透してきたと評価できるかも知れません。 正規の在留資格を持たない外国人は,このような適正手続きをおこなう日本企業からすり抜けるための便法として,偽造在留カードを行使しているのです。 このような日本の在留管理制度を揺るがす悪事は,断じて許すことはできません。 では,企業は外国人を雇用する際に,常にこの偽造在留カードの危険にさらされるのでしょうか。 結論から言うと,外国人を雇用する際には,偽造在留カードの問題を意識することは必要です。 なかでも,現実的に偽造在留カードが行使されている局面は,以下のようなケースです。 ・既に就労ビザをもっており貴社へ転職してくるケース ・留学や家族滞在のビザをもってアルバイトとして勤務するケース このようなケースでは,特に注意が必要です。 これらのケースに共通するのは,入管への申請を何らすることなく,就業を開始する局面です。 つまり,正規の在留資格を持たない外国人にとって,偽造在留カードを行使しやすい局面というになり,企業にとっては特に注意が必要な場面ということができます。 3.過失がない場合には不法就労助長罪に問われない!? 外国人を雇用する際に,企業で必要となる対応については,「知らなかったでは通用しない不法就労助長罪とは?

経営管理ビザで飲食店経営する場合の注意点

1.経営管理ビザと飲食店営業許可の関係 経営管理ビザでは,日本で適法に行うことができる事業であれば,その業種は問われません。入管法には「本邦において貿易その他の事業の経営を行い」と規定されていますが(入管法別表1の2の表「経営・管理」の項の下欄),貿易は例示にすぎませんので,貿易に限られるわけではありません。 適法に行われる事業であれば,どのような事業でも行うことができますが,許認可が必要な事業は申請時に許認可を取得していなければなりません(少なくとも許認可の申請を行っていることが必要です)。飲食店を営業する場合は,食品衛生法に基づき,必ず事前に店舗所在地を管轄する保健所で飲食店営業許可を取得しなければなりません。 飲食店営業許可の許可要件はここでは詳細を記載しませんが,食品衛生責任者を選任する他,営業設備が基準を満たしていなければなりません。店舗物件を選ぶ際には,飲食店営業許可を取得できるような設備が揃っているか,設備が揃っていない場合は内装工事で設置が可能かどうかを確認しておきましょう。 なお,移動店舗(キッチンカー)や露店でも飲食店営業許可を取得することは可能ですが,移動可能な店舗や露店などの簡易に解体可能な設備では,経営管理ビザで求められる「事業所」には該当しません。そのため,経営管理ビザを取得して飲食店を経営する場合は,固定店舗で営業する形態に限られます。 2.飲食店経営で経営管理ビザを取得するためには従業員の雇用が必要になる!? 料理が得意なので,小さなお店でもいいので自分で料理を作ってお客さんに提供したい,そんな夢を思い描いておられる方もおられるでしょう。しかし,残念ながら,この形態では経営管理ビザは取得できません。小料理屋のおかみさんでは,経営管理ビザは取得できないのです。 経営管理ビザを含む活動類型の在留資格では,日本でどのような活動を行うかが審査において重要な視点となります。経営管理ビザは,外国人が日本で経営管理活動を行うために与えられるものですので,主たる活動内容が経営管理の活動でなければなりません。 この点,飲食店を経営する場合,日常的に調理・接客業務が発生します。店舗での調理・接客・販売等は現業活動と言われ,経営管理ビザの活動ではありません。そのため,経営管理ビザでは,オーナー自らが店舗に立って調理・接客・販売活動を行う現業活動は原則禁止されています。これらの現業活動は従業員に任せ,オーナーはその従業員を雇用管理する,これこそが経営管理ビザの活動になります。 従業員を雇用する際には,営業時間や営業日,客席数,従業員の稼働可能な時間帯等を考慮して,何人の雇用が必要かを検討しなければなりません。どうシフトを組んだとしてもオーナーが自ら店に立たざるを得ないようなシフトしか組めないのであれば,更に従業員を雇用しなければなりません。 また,外国人留学生などの就労時間の制限(週28時間以内)がある方を雇用する場合は,制限内に収まるようなシフトを組める人員体制にしておくことにも注意が必要です。 このように,飲食店を経営する場合は,従業員の雇用が必須になります。もっとも,現業が原則禁止されていると言っても,経営管理ビザの活動の一環として付随的に現業に従事することは差し支えありません。たとえば,従業員の勤怠管理のために短時間だけ現場の手伝いをする,急なシフト変更や欠員のためにやむなく一時的に現場の手伝いをするといったレベルであれば,経営管理ビザの活動の一環であると認められます。 3.飲食店経営で経営管理ビザを取得するための事業計画の立て方 経営管理ビザを申請する際には,事業計画書を提出しなければなりません。飲食店経営を事業とする場合,他の事業とは異なる観点から事業計画を立案する必要があります。 まず,売上計画を立てるには,客単価(顧客一人当たりの平均単価)と一日何人の来客が見込めるかを想定しなければなりません。客単価と来客数との積算が一日の売上見込みになります。どこまで詳細なものを計画するかによりますが,更に曜日ごとの売上見込み,時間帯ごとの売上見込みを計算していけば,より詳細な売上見込みになっていきます。 次に,事業計画に欠かせない観点が経費です。 料理を提供するには食材が必要になります。食材を調理するには,電気やガスで火をおこし,食器を洗うには水も必要でしょう。売上に占める食材費,水道光熱費を計算し,原価を割り出します。原価を基に,商品単価(メニューの値段)を決めるのが一般的です。 その他に,人件費や店舗の賃料,広告料も経費としてかかります。 特に飲食店経営には人件費がかさみます。上記でご説明したように,営業時間や営業日,客席数,従業員の労働可能な時間帯等を考慮した上で,人件費がいくら必要になるのかを計算してください。正社員を雇用する場合には,社会保険料なども考慮しておいた方が良いでしょう。 売上から経費を差し引いた金額が営業利益になります。無理のない現実的な事業計画を立てることが,経営管理ビザを取得する上でも,日本でのビジネスを成功させる上でも重要になります。 4.経営管理ビザで飲食店経営する場合の注意点のまとめ 飲食店経営を事業とする場合には,店舗の賃貸,内装,飲食店営業許可の取得,従業員の雇用,事業計画の立案等,他の事業と比べると開業準備に資金と時間がかかります。 一方で,飲食店経営は,店舗が実在し,許認可も取得しているため,経営実態を証明しやすいのが特徴です。そのため,しっかり準備をすれば,経営管理ビザを取得しやすい事業内容と言えるでしょう。 準備は大変ですが,本気で飲食店ビジネスを成功させたいと考えられているのであれば,是非チャレンジしてみてください。…

永住ビザ申請に掛かる費用を徹底検証!

1.就労ビザから永住ビザ申請に掛かる費用(4人家族の場合) 本チャプターでは,ご家族4名で就労ビザから永住ビザ申請をするケースで掛かる費用をみていきましょう。 【モデルケース 大阪市北区在住】 会社員の夫(40歳):技術人文知識国際業務ビザを保有 アルバイトの妻(35歳):家族滞在ビザを保有 日本生まれの子ども(5歳,2歳):家族滞在ビザを保有 【発生する費用】 公文書 費用 1 住民票 300円/通 2 出生届受理証明書 350円/通×お子様2人分 3 ご主人様の所得課税証明書 300円/通×5年分 4 ご主人様の納税証明書 300円/通×5年分 5 奥様の所得課税証明書 300円/通×5年分 6 奥様の納税証明書 300円/通×5年分 7 ご主人様の源泉所得税及び復興特別所得税,申告所得税及び復興特別所得税,消費税及び地方消費税,相続税,贈与税に係る納税証明書(その3) 400円/通 8 奥様の源泉所得税及び復興特別所得税,申告所得税及び復興特別所得税,消費税及び地方消費税,相続税,贈与税に係る納税証明書(その3) 400円/通 9 役所までの交通費又は郵送費用 適宜 10 身元保証人の住民票 300円/通…

不法就労助長罪とは?罰則や企業がすべきことを専門家が解説!

1.不法就労活動とは? 不法就労助長罪を理解しようとした時,前提として不法就労活動の意味を理解する必要があります。 そのため,本チャプターでは,不法就労活動についてみていきます。 不法就労活動と一言にいっても,実は様々な不法就労の類型があるのをご存じでしょうか。 法務省出入国在留管理庁のページには,不法就労の類型として,以下の3つの場合が記載されています。 ①不法滞在者や被退去強制者が働くケース (例) ・密入国した人や在留期限の切れた人が働く ・退去強制されることが既に決まっている人が働く このケースが,一般的な不法就労のイメージと近いのではないでしょうか。 いわゆるオーバーステイなどの不法残留の外国人が就労するケースを想定しています。 また,オーバーステイの他に,不法に入国した外国人,不法に上陸した外国人なども対象とされています。 ②入国管理局から働く許可を受けていないのに働くケース (例) ・観光等短期滞在目的で入国した人が働く ・留学生や難民認定申請中の人が許可を受けずに働く 観光や親族訪問を目的に短期滞在ビザで入国した場合,収入を伴う活動に就くことはできません。なぜなら,短期滞在ビザは入管法で就労が禁止されているからです。 また,留学ビザや家族滞在ビザは,就労禁止が原則となっており,資格外活動許可(アルバイトの許可)を受けないと就労活動に就くことができません。 このルールを破って就労活動をおこなえば,不法就労活動に該当することになります。 ③入国管理局から認められた範囲を超えて働くケース (例) ・外国料理のコックや語学学校の先生として働くことを認められた人が工場・事業所で単純労働者として働く ・留学生が許可された時間数を超えて働く このケースの摘発事例が最も多くなっていきます。 とても重要な内容なので,上記の例を一つずつ説明しています。 外国料理のコックや語学学校の先生として働くことを認められた人が工場・事業所で単純労働者として働く 入管法の在留資格制度のもと,外国人の就労ビザは,活動類型ごとにカテゴリーされています。具体的にいうと,コックさんなら技能ビザ,語学学校の先生であれば技術人文知識国際業務ビザというような感じです。 要するに,コックさんとして技能ビザを取得しているのであれば,入管法で定められている技能ビザを超える活動によって報酬を受けられない,ということを意味しています。 そのルールを破った事例が,③の例で記載されている一つ目の内容です。 留学生が許可された時間数を超えて働く 次に,③の二つ目の事例を見ていきましょう。 先に記載したとおり,留学ビザを持っている留学生は,原則就労できません。もっとも,一定の職種制限,時間制限はあるものの,資格外活動許可(アルバイトの許可)を受けることによって,留学生も就労活動に就くことができます。 本事例は,留学ビザをお持ちの方のアルバイト時間上限(原則週28時間)を超えて就労活動をおこなってしまった事例です。 いかがでしたでしょうか。 不法就労活動が意外と身近にあることをご認識いただけたかと思います。 それでは,次のチャプターでは,不法就労活動をさせた場合に企業が問われる責任をみていきましょう。 2.不法就労助長罪とは? 上記では,不法就労活動についてみてきました。 本チャプターでは,企業が不法就労活動をさせた場合に問われる不法就労助長罪についてみていきましょう。 不法就労助長罪は,入管法73条の2にその規定があります。…

経営管理ビザからの永住ビザ申請のポイント

1.役員報酬について 永住ビザを取得するためには,「独立した生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」が求められます(入管法22条2項2号,独立生計要件)。申請人世帯の構成人数と世帯全体の収入,居住地域,世帯構成員の年齢等を総合考慮して,今後安定した生活を継続できると認められるかどうかが審査されます。 明確な基準はありませんが,就労系の在留資格からの永住申請の場合は,最低でも年収300万円は必要と言われています。この点,申請人が会社経営者の場合は,役員報酬が申請人の収入源となりますので,役員報酬を年間300万円以上(月間25万円以上)に設定しておくことが望ましいでしょう。 役員報酬はいつでも変更できるわけではなく,事業年度開始の日から3か月以内というルールがありますので,注意が必要です。 なお,2019年7月以降は,永住ビザ申請の際に直近5年度分の所得証明書の提出が求められるようになりました。会社の決算状況によりますが,ゆくゆく永住ビザを希望されているのであれば,永住ビザ申請が可能な時期(原則,在留10年以上,かつ,就労資格または居住資格を取得した日から5年以上)の5年以上前から役員報酬を年間300万円以上に設定しておいたほうが良いでしょう。 2.会社の安定性・継続性について 会社には法人格があり,法律上は経営者=会社ではありません。そのため,経営者である申請人個人が永住ビザ申請を行う際に,会社の経営状況の良し悪しは本来関係がないはずです。しかし,経営者の役員報酬は,会社の財務状況によって大きく左右されるのが一般的です。財務状況が悪くなれば,役員報酬を引き下げて欠損を圧縮することがあり得ます。最悪の場合,役員を解任されることもあり得るわけです。 そこで,経営管理ビザからの永住ビザ申請の場合は,安定した収入を確保できているかどうかという観点から,申請人が経営する会社の安定性・継続性も審査対象とされています。 会社の財務状況が債務超過(負債が資産を超えていること)にある場合には,経営者である申請人個人が安定した収入を確保できているとは言えません。また,債務超過にはなくとも,欠損が連続している場合には,これも役員報酬を引き下げられる可能性が高いため,安定収入の確保の観点から問題視される傾向にあります。直近2事業年度は経常損益が黒字で回っていることが望ましいでしょう。 3.会社の納税状況について 申請人である経営者個人の納税状況は当然ですが,永住ビザの審査においては会社の納税状況も審査対象になります。特に近年は,社会保険の加入の有無,社会保険料の適正納付は厳格に審査されています。 会社は社会保険(厚生年金保険および健康保険)の強制適用事業所とされ,役員一人だけの従業員がいない会社でも社会保険に加入する義務があります。また,社会保険料は労使折半とされ,会社が保険料の半分を負担しなければなりません。 経営者が永住ビザ申請を行う際には,年金事務所が発行する社会保険料納入証明書を提出しなければなりません。社会保険に加入していない場合や,社会保険料を納付していない,あるいは納期遅滞がある場合には,永住ビザの審査において大きなマイナス要因になります。必ず社会保険に加入し,社会保険料を適正に納付するようにしてください。 4.出国日数について 日本で経営者として活動している外国人の方には,日本以外の海外でも事業を展開し,グローバルに活躍されている方が沢山います。そういった方は,必然的に出国日数が多くなる傾向にあります。 永住ビザ申請においては出国状況も審査対象になり,その頻度や日数からみて日本に活動の本拠がないと評価されるような場合には,永住許可はされません。概ね1年の半分以上(=183日以上)を出国している場合には,永住許可の可能性は大きく下がります。 ただし,出国理由が合理的なものであり,かつ,出国の頻度や期間が相当と言える場合には,出国日数が多くても活動の本拠が日本にあると評価されるケースもあります。海外出国が多い場合には,海外での事業活動や出国理由を示す他,たとえば本社機能を日本に集中させているなど事業活動の本拠が日本にあることを積極的にアピールするようにしましょう。 5.経営管理ビザからの永住ビザ申請のポイントのまとめ 経営管理ビザからの永住ビザ申請の際には,他の在留資格とは異なった観点から審査対象となる項目が増えます。 しかし,適正に会社を運営し,利益を上げる体制を構築できていれば,何も恐れることはありません。 外国で事業活動を行うことはとても勇気がいることです。外国人経営者であれば,誰しも安心して事業を運営したいと思うのは当然のことです。 行政書士法人第一綜合事務所では,永住ビザ申請はもとより,外国人経営者が安心して経営活動に専念できるように,あらゆる方向から全力でサポートしています。 経営管理ビザをお持ちの方で永住ビザ申請をご検討中の方は,お気軽に行政書士法人第一綜合事務所までお問い合わせください。…

定住者ビザからの永住ビザ申請のポイント

1.在留年数について 永住許可を受けるには,原則として10年以上日本に在留していることが求められます(本邦在留要件)。この本邦在留要件には例外があり,日本社会と相当強い関係性が認められる類型に該当する場合には,期間が短縮されています。 定住者ビザをお持ちの外国人は,定住者ビザを付与された後,引き続き5年以上日本に在留している場合には,本邦在留要件を満たすとされています。「定住者ビザを付与された後」,引き続き5年以上ですから,他のビザから変更した場合は,変更許可を受けた日から5年をカウントすることになります。 もっとも,例えば日本人と結婚して「日本人の配偶者等」の在留資格で在留していた方が,日本人と離婚して定住者ビザに変更した場合には,「日本人の配偶者等」の在留資格で在留していた年数と定住者ビザで在留している年数を合わせて5年以上であれば,期間短縮の特例に適合します。 2.年収について 永住許可を受けるためには,「独立した生計を営むに足りる資産又は技能を有すること」が求められます(入管法22条2項2号,独立生計要件)。申請人世帯の構成人数と世帯全体の収入,居住地域,世帯構成員の年齢等を総合考慮して,今後安定した生活を継続できると認められるかどうかが審査されます。 明確な基準はありませんが,就労系の在留資格からの永住ビザ申請の場合は,最低でも年収300万円は必要と言われています。一方で,定住者ビザを含む身分系の在留資格の場合は,就労系の在留資格からの永住申請と比較すると,独立生計要件の基準は低いと言われています。 ただし,生活保護を受給している場合は,独立生計要件を満たさないと判断される可能性が非常に高くなります。年収の基準が低くなると言っても,概ね250万円程度の年収がなければ永住許可は厳しい傾向にあります(生活保護を受給しているという事実,年収が250万円未満という事実,それのみをもって永住ビザが不許可とされるわけではありません)。 3.親族の扶養義務について 次に,見落としがちなポイントとして,親族の扶養義務が挙げられます。 定住者ビザで在留されている外国人は,親族も日本に住んでいるケースが多い傾向にあります。特に,日系外国人の方は,親族も日本に住んでいるという方がほとんどです。 親族が日本に住んでおり,親族が生活保護を受給している場合には,申請人の扶養義務が問題になります。 日本の民法では,直系血族(祖父母,父母,子,孫など血の繋がった家族のこと)及び兄弟姉妹に扶養義務があります(民法877条1項)。つまり,血の繋がった親兄弟が生活に困っている場合には扶け合わなければなければなりません。直系血族及び兄弟姉妹が生活保護を受給している場合には,申請人本人が生活保護を受給していなくても,扶養義務を果たしていないと評価されて永住ビザ申請に影響を与える場合があります。 もっとも,直系血族及び兄弟姉妹が生活保護を受給しているという一事をもって永住ビザ申請が不許可となるわけではありません。申請人本人の収入の他,親族に毎月いくら支弁しているのか,その他の親族の支弁状況等から判断して,申請人が扶養義務を果たしていると評価できる場合には,親族が生活保護を受給していても永住ビザが許可されています。 4.素行について 定住者ビザで在留している方は,幼少の頃から日本に住んでいる,あるいは日本で生まれたという方が多い傾向にあります。そういった方は,同じ国の出身者で形成されたコミュニティー内で生活していることが多く,薬物事犯や強暴事犯などの犯罪に巻き込まれやすい環境にあります。 もしも刑罰法規に触れる行為を行った場合,刑罰を受けてから5年(執行猶予付判決を受けた場合は,執行猶予期間を満了してから5年)は永住が許可されないことになっています。 犯罪歴がある場合にはその時期や刑罰内容にも注意して,永住ビザの申請時期を検討する必要があります。 5.定住者ビザからの永住ビザ申請のポイントのまとめ 冒頭に述べたように,定住者ビザは特別な理由を考慮して日本での居住を認めるのが相当な外国人を受け入れるために設けられたもので,日本と所縁の深い方に与えられています。そのため,日本に長く住みたいと考えておられる方がほとんどではないでしょうか。 本ページでは,定住者ビザからの永住ビザ申請のポイントを中心に見てまいりました。 いかがでしたでしょうか。 行政書士法人第一綜合事務所では,定住者ビザの方が安心して日本で暮らすことができるように永住ビザ申請をサポートしております。 永住ビザ取得をご検討の際には,ご遠慮なくご相談ください。…

法定外活動の際に問われる資格外活動罪とは?

1.資格外活動罪とは? 我が国の在留資格(一般的にビザと呼ばれるもの。)は,外国人が本国に入国・在留して行うことのできる活動等を類型化したものと定義されます。簡単にいうと,調理師で勤務するなら技能ビザ,会社経営をするなら経営管理ビザ,大学教授の職に就くのであれば教授ビザといった具合です。 言い換えると,どの活動類型にも該当しない場合には法定外活動と評価され,ビザを取得することはできません。実務的にいうと,通訳として勤務するとして就労ビザを取得したにも関わらず,活動実態は倉庫内での単純作業や飲食店での接客などを行っている場合には,どの活動類型にも該当せず,法定外活動として入管法違反になることを意味します。 この際に問われるのが,資格外活動罪です。 先に述べたとおり,外国人は予め類型化した活動を行うことを予定して在留資格を付与されます。にもかかわらず,本来の在留資格の活動以外の活動で,かつ,収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動に従事する場合に,資格外活動罪に問われる可能性が出てきます。 つまり,外国人の方は,在留資格の活動範囲内でしか収入を得ることができないことを意味し,このルールを破った場合に,資格外活動罪に問われることになります。 上記に関連して一点補足をすると,収入を伴わない活動については,資格外活動罪の対象にならないということです。例えば,昼間は会社勤めしている外国人が,夜間の学校へ通う場合を例にあげてみましょう。一見すると,就労ビザを持っている外国人が,留学という別の活動を行うためには,入管で何らかの許可を取得しなければならないように感じられる方もいるのではないでしょうか。 今回の事例では,留学の活動において収入は得ていません。そのため,資格外活動罪が成立する余地はないというのが正しい結論です。 2.専従資格外活動罪の正しい理解 実は資格外活動罪は,専従資格外活動罪と非専従資格外活動罪に分類されます。 本チャプターでは,専従資格外活動罪の詳細をみていきましょう。 専従資格外活動罪については,入管法70条1項4号にその規定があります。 入管法70条抜粋 次の各号のいずれかに該当する者は,三年以下の懲役若しくは禁錮若しくは三百万円以下の罰金に処し,又はその懲役若しくは禁錮及び罰金を併科する。 ④第十九条第一項の規定に違反して収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を専ら行っていると明らかに認められる者 本条文を簡単に説明すると,違法な資格外活動(法定外活動)を専ら,かつ,明らかに行っている場合,刑罰を科すとしています。 ここでいう「専ら」とは,違法な資格外活動(法定外活動)を主たる活動として行っている場合を指します。換言すると,本来の在留資格の活動が実質的に変更したと言える程度まで,違法な資格外活動(法定外活動)に従事していたということを意味します。 具体的な事例でいうと,旅館やホテルなどでフロントとして採用され,就労ビザを取得したにも関わらず,客室の清掃や料飲部門で接客のみを行っていた場合などが該当します。もう一例をあげると,飲食店でマーケティング等を行うために就労ビザを取得したにも関わらず,飲食店舗で接客のみを行っている場合などが該当します。 次に,ここでいう「明らかに認められる」というのは,本人や関係者の供述や証拠資料によって,違法な資格外活動(法定外活動)に従事していたことが明白であることを意味します。 上記を併せ検討すると,「専ら」,「明らかに」違法な資格外活動(法定外活動)に従事し,その活動によって「報酬を受ける場合」には,専従資格外活動罪に問われるということがわかります。 それでは,「専ら」と言えない程度に資格外活動を行っていた場合には,どうなるのでしょうか。 このような場合に登場するのが,非専従資格外活動罪です。 3.非専従資格外活動罪の正しい理解 まずは,非専従資格外活動罪の規定をみていきましょう。 入管法第73条 第七十条第一項第四号に該当する場合を除き,第十九条第一項の規定に違反して収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行った者は,一年以下の懲役若しくは禁錮若しくは二百万円以下の罰金に処し,又はその懲役若しくは禁錮及び罰金を併科する。 先の例にならい本条文に説明を加えていきます。 第七十条第一項第四号とは,上記でみた専従資格外活動罪のことを指しています。つまり,専従資格外活動罪に該当する場合以外で,違法な資格外活動(法定外活動)を行った場合が本条文の射程範囲であることがわかります。 そのため,非常に広い範囲で,非専従資格外活動罪が成立することになります。 では,通訳として就労ビザを取得している外国人は,在留資格の範囲内でしか活動することができず,一切の例外はないのでしょうか。 ここで,参考になる考え方をご紹介します。 法務省が平成27年12月に公表したガイドラインによれば,日本で従事しようとする活動が,入管法に規定される在留資格に該当するものであるか否かは,在留期間中の活動を全体として捉えて判断するとしています。 そのため,例えば入社当初に研修があり,その研修期間,研修目的が合理的な場合には,本来の在留活動から離脱する期間があったとしても,それをもって直ちに資格外活動罪には問われないということです。 次に,本来の在留資格の活動を一時的に離脱し,資格外活動(法定外活動)を行った場合です。上記のガイドラインでは,フロント業務に従事している最中に団体客のチェックインがあり,急遽,宿泊客の荷物を部屋まで運搬することになった場合などが例にあげられています。 この場合でも,直ちに違法性は帯びないとしています。もっとも,このような場合であっても,宿泊客の荷物を部屋まで運搬することが一時的な本来の活動の離脱にとどまらず,主たる活動となっているような場合には,資格外活動罪の成立の余地はあるとしています。 4.強制退去もあり得る資格外活動罪の罰則とは? 上記では,専従資格外活動罪,非専従資格外活動罪についてみてきました。 それでは,このような資格外活動罪が成立した場合,どのようなペナルティーがあるのでしょうか。 本チャプターでは,それぞれの罰則をみていきます。 (1)専従資格外活動罪に問われた場合…

医療滞在のための特定活動ビザ

1.医療滞在のための特定活動告示 日本の入管制度は,あらかじめ法律で定めた類型(在留資格)に該当する外国人だけを,日本での在留を認めるという制度を採用しています。しかし,日本での在留を認めるべき外国人のすべてを,あらかじめ類型化するのは現実的には不可能です。そこで入管法は,個々の外国人の事情に鑑みて個別救済を図るために,「特定活動」という在留資格を設けています。 特定活動の在留資格は,その活動内容が「法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動」と規定されており,入管法は法務大臣の指定に委ねています。これを受けて,法務大臣は特定活動ビザで許される活動内容がいくつか告示という方式で指定しています(特定活動告示)。 医療滞在のための特定活動ビザも特定活動告示に挙げられており,以下のように規定されています。 (参考)特定活動告示25号 「本邦に相当期間滞在して,病院又は診療所に入院し疾病又は傷害について医療を受ける活動および当該入院の前後に当該疾病又は傷害について継続して医療を受ける活動」 では,次項で医療滞在のための特定活動ビザの要件を見ていきましょう。 2.医療滞在のための特定活動ビザの要件 医療滞在のための特定活動ビザの要件は,大きく分けると4つに分解できます。 ①本邦での活動が「病院又は診療所に入院し疾病又は傷害について医療を受ける活動」および「当該入院の前後に当該疾病又は傷害について継続して医療を受ける活動」であること 対象になる活動は,病院又は診療所に入院して医療を受ける活動です。そのため,ホテルや知人宅に滞在して,病院に通院するだけでは,特定活動ビザは許可されません。 もっとも,相当期間入院した後に,継続治療のために退院後も通院を続ける場合には,この退院後の医療を受ける活動も含まれています。「継続して医療を受ける活動」とは,入院前・入院中・退院後の一連の医療が連続的・継続的に行われることを意味し,医療の連続性が要求されます。例えば,抗がん剤治療のために入院していたケースで,退院後も予後観察のために通院する場合には医療の連続性がありますが,全く関係のない事故で傷害を負って治療を受ける場合には医療の連続性は否定されるでしょう。 なお,「疾病又は傷害」には,出産も含まれます。そのため,外国人が日本で出産する場合にも,(他の在留資格に該当しない場合には)医療滞在のための特定活動ビザも検討対象になるでしょう。 ②「本邦に相当期間滞在」すること 「相当期間」とは90日を超える期間を意味します。医師の診断書から,日本での治療に要する期間が判断されます。 90日以内に治療を終える場合には,「短期滞在」の在留資格が当てはまります。 ③日本での滞在費用および治療費を支弁する能力を有すること 医療滞在の特定活動ビザで滞在する外国人は,国民健康保険に加入することができません。医療滞在の特定活動ビザは,あくまで医療のために一時的に日本に滞在することを目的とするものであって,日本に居住することを目的としていないためです。公的医療保険は居住国で賄うべきというのが,日本の医療保険制度の建前です。 国民健康保険に加入することができないため,医療費は自己負担になります。医療費の他に,退院後の滞在費を含め,日本に滞在する間に必要な一切の費用を支弁できる能力がなければなりません。この点,外国人本人に貯蓄等がない場合でも,親族が滞在費等を負担できるのであれば,それも滞在費の支弁能力に含まれます。一般的には民間医療保険に加入することが多いでしょう。 3.医療滞在同伴者のための特定活動ビザ Aさんの母親のように,医療を受ける方の付き添いをする外国人も,特定活動告示に規定されています。 (参照)特定活動告示26条 「前号に掲げる活動を指定されて在留する者の日常生活上の世話をする活動(収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を除く。)」 「日常生活上の世話をする活動」とは,入院中の身の回りの世話や,入院の前後における病院への送迎,付き添い等を意味します。対象となる方は,治療を受ける方の親族に限られませんが,親族以外の方が申請する場合には,活動内容との信憑性の観点から,治療を受ける方との関係性が慎重に審査されます。 なお,カッコ書きにあるように,報酬を受けて付添いをすることは資格外活動になりますので,家政婦さんは対象にはなりません。 4.医療滞在のための特定活動ビザの必要書類 医療滞在のための特定活動ビザを申請するには,以下の書類が必要になります。 ①申請書(在留資格認定証明書交付申請書または在留資格変更許可申請書) ②日本の病院等が発行した受入れ証明書 ③在留中の活動予定を説明する資料 (1)入院先の病院等に関する資料(パンフレット,案内等) (2)治療予定表 (3)入院前あるいは退院後の滞在先を明らかにする資料 ④次のいずれかで,滞在に必要な一切の費用を支弁できることを証する資料 (1)病院等への前払金,預託金等の支払済み証明書 (2)民間医療保険の加入証書及び約款の写し(加入している医療保険等により,治療等に要する経費を支弁することが立証されるもの) (3)預金残高証明書 (4)スポンサーや支援団体等による支払保証書 日本の病院等が発行した受入れ証明書が必要になりますので,海外で受診している医療機関が日本の医療機関との連携がない場合には,短期滞在ビザで来日して日本の病院で受診し,その後に在留資格変更許可申請を申請する方法が考えられます。 また,付添人の申請には,以下の書類が必要になります。…