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スペイン人との国際結婚手続きを専門行政書士が解説!

1.国際結婚手続きの用語解説 本チャプターでは,国際結婚手続きにおける専門用語を解説していきます。 以降の内容をご参照いただくにあたり必要となる前提知識ですので,ご一読の上,次のチャプターに進んでください。 ①国際結婚の成立とは? 国際結婚が有効に成立するには,双方の国籍国(本事例でいうと日本とスペイン)において,法的に有効な婚姻関係にあることが原則必要とされています。 日本で先に結婚手続きを行うことを日本方式と言い,スペインで先に結婚手続きを行うことをスペイン方式と言います。 ②婚姻要件具備証明書とは? 外国人が,日本方式の婚姻を有効に成立させるためには,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件(婚姻できる年齢に達していること,独身であることなど)を満たしていることが必要とされています。 もっとも,日本の市区町村役場で,外国人の国籍国の法律を全て審査することは現実的ではありません。 そのため,国際結婚においては,婚姻要件具備証明書を提出することによって,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていると判断することにしているのです。 なお,発行国によっては,独身証明書などと言われることがありますが,独身であることのみならず,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていることが明らかになるものであれば,基本的には婚姻要件具備証明書と考えていただいて差支えありません。 2.スペイン人との国際結婚手続きで注意すること スペイン人と日本人との国際結婚手続きの際,ご注意いただきたい事項を下記に記載いたします。 ①婚姻の形式的要件について スペイン法によれば,スペイン国外で成立した婚姻は,スペイン法に規定される手続き(15日以上の公示,裁判官・市長・公務員の立ち合い,証人の出席)に従っていなければ無効とされます。日本方式で婚姻しようとする際は,在日スペイン公館で婚姻要件具備証明書を取得する際に,これらの手続きが求められます。 なお,日本の市区町村役場は婚姻要件具備証明書を取得していない場合でも,婚姻届を受理することができます。この場合,日本法上は婚姻が成立しますが,スペイン法上では,規定された手続きに従った婚姻ではないため,無効となります。改めてスペイン法に従った婚姻手続きをしようにも,既に日本法上は婚姻が成立しているため,日本人側の必要な書類が取得できず,スペイン側の手続きができなくなります(この状態を跛行と言います)。スペイン法上は独身と扱われますので,後々大きなトラブルになりかねない状態です。 したがって,スペイン人との婚姻で日本方式を選択した際には,必ず在日スペイン公館で適式な手続きを行って婚姻要件具備証明書を取得してください。 ②婚姻可能な年齢について スペイン人の婚姻可能な年齢は,男女ともに18歳以上です。ただし,裁判官の許可を受ければ,14歳以上の者も婚姻することができます。 もっとも,日本法では16歳未満の女性との婚姻は公序良俗に反するものとして無効な婚姻になりますので,スペインの裁判所の許可があったとしても,結局のところ16歳以上でなければ婚姻することはできません。 ③再婚禁止期間について スペイン法には再婚禁止期間は定められていません。もっとも,日本法では女性は離婚後100日間の再婚禁止期間があり(妊娠していないことの医師の証明書を提出すれば離婚後100日未満でも禁止されません),この規定はスペイン人との婚姻にも適用されます。 3.日本方式による婚姻手続き 本題の国際結婚手続きについて解説していきます。 ここからは,日本人とスペイン人が日本方式で婚姻をおこなう場合の必要書類を記載します。 なお,市区町村役場によって若干の相違があるため,事前に役所照会することをお勧めいたします。 ①日本の市区町村役場において必要となる書類 <日本人の方にご準備いただく書類> ・婚姻届書(日本人同士の場合と同様のものです) ・本人確認資料(運転免許証又はパスポート等) ・戸籍謄本(本籍地以外に婚姻届を提出する場合) <スペイン人の方にご準備いただく書類> ・婚姻要件具備証明書※(日本語訳を添付) ・パスポート ※ 在日スペイン大使館または領事館で取得が可能です。 婚姻要件具備証明書を取得する際には,大使館で15日間の公示がされた後,領事との面接があります。婚姻当事者双方が出席しなければならないため,スペイン人が日本に滞在していなければ婚姻要件具備証明書を取得することはできません。 ②スペインへの婚姻報告について 婚姻届が受理された後,在日スペイン公館で婚姻登録の手続きを行います。婚姻が登録されると,家族手帳が発行されます。 <必要書類>…

経営管理ビザと役員報酬の関係とは?

1.役員報酬の考え方 ①役員報酬の決定には期限があります! 経営管理ビザを取得する際,多くの方は法人を設立します。 法人の役員報酬は,定期同額給与と言われ,法人設立から3ヶ月以内に,1期分の役員報酬を決めるルールになっています。 言い換えると,法人設立をしてから3ヶ月以内に,その期の売上を予測して,役員報酬を決める必要があるため,適正な売上シミュレーションを行うことが必要となってきます。 ところで,定期同額給与とは,1月以内の一定期間ごと,つまり毎月決められた日に同額の給与を支払うことを意味します。 この支払いの事実を証明するため,実務上は法人口座から個人口座に振り込むことで履歴を残すことが求められています。 それでは,なぜ法人設立から3ヶ月以内に役員報酬を決めることがルールとなっているのでしょうか。 法人の利益は,売上から経費を引いた金額になります。役員報酬も経費の一部となるのですが,例えば最初は役員報酬を低く設定して,儲かったら役員報酬を高くすることができてしまうと,課税額の操作が簡単にできてしまうことになってしまいます。 そのため,役員報酬は定期同額給与という考え方が取られ,そして厳格にルール運用されているのです。 仮に,このルールから逸脱して役員報酬を支給すると,法人は役員報酬を支出したにも関わらず,損金(法人税を計算する際に経費として差し引ける金額)に算入することができず,想定外の納税を迫られることに繋がります。 なお,第2期以降も,期首から3ヶ月以内に役員報酬を決める必要があり,定期同額給与の考えが取られています。 したがって,法人設立時のみならず第2期以降も,上記のことをしっかり理解した上で,適正な時期に役員報酬を決定して支給することが重要です。 ②役員報酬はどうやって決めれば良い? 役員報酬は,会社法において「定款又は株主総会によって定める」旨が規定されています。 そのため,定款に役員報酬の定めがない場合には,株主総会(合同会社の場合には社員総会)で役員報酬を決定する必要があります。 実務上は定款変更には労力がかかるので,定款では役員報酬は定めず,株主総会(合同会社の場合には社員総会)で役員報酬にかかる決議をすることがほとんどです。 ここで注意してもらいたいのは,役員報酬を決定した際の議事録の保管です。 たまに実務で遭遇するのは,役員報酬を決めた時の議事録がない…というケース。 なぜ議事録の保管が重要かというと,議事録などの役員報酬が決定された疎明資料がなければ,税務調査の際,役員報酬の損金算入を否認される可能性があるからです。 こうなってしまうと,追加で税金を納める必要がでてきます。 役員報酬は,法律で決められた方法で決定し,役員報酬を決定した際の議事録を保管するようにしましょう。 ③役員報酬とは別に賞与がもらえる方法がある? 実は,役員の報酬には,上記でご説明した「役員報酬」の他に,「役員賞与」があります。 そして,「役員賞与」には,損金として扱われない役員賞与と損金として扱われる役員賞与があるのです。 役員賞与を税務上の損金として扱われるためにも,実は厳しいルールが定められています。 具体的には,株主総会等で役員賞与額を決議した後、事前確定届出給与に関する届出書を納税地における所轄税務署へ期限内に提出すること。そして,届出内容の通りに役員賞与を支給するというルールです。 ここでも注意事項があります。 1点目は,事前確定届出給与に関する届出書には,役員ごとの役員賞与の支給金額,支給時期を明記する必要があるのですが,仮に,届出書に記載した対象外の役員に支給したり,届出書と異なる時期,あるいは異なる金額を支給した場合には,役員賞与の全額が損金算入できなくなる点です。 2点目は,税務署への届け出は,1日でも遅れると全額が損金に算入されないということです。 なお,事前確定届出給与に関する届出書は,次の(1)(2)のどちらか早い日までの届出が必要です。 (1)職務執行開始日,もしくは株主総会等の決議日のどちらか早い日から1ヶ月後 (2)事業年度が開始した日から4ヶ月後 新規で法人設立した場合には,事前確定届出給与に関する届出書は,法人設立後2ヶ月以内に提出する必要がありますので,上記とあわせてご確認ください。 2.経営管理ビザの取得のために役員報酬はいくらに設定すべき? 経営管理ビザも,就労ビザの一種と解されていますが,実は役員報酬を許可取得の要件としているのは,法律上,事業の「管理業務」に従事する場合のみです。 つまり,経営管理ビザで「経営活動」に従事する場合には,法律上,役員報酬を設定することは許可要件とはなっていないということです。 もっとも,上記のとおり,経営管理ビザは就労ビザの一種という理解から,経営活動を行う経営者においても役員報酬を設定するのが実務上の取り扱いです。 仮に,経営管理ビザで経営者としての活動をする場合で,役員報酬を設定しない際には,日本でどのように生活していくのか,明確な生活基盤の立証をすることが求められます。 では次に,経営管理ビザを取得する場合,実務上,役員報酬はいくらで設定するべきなのでしょうか。…

帰化申請の許可後に使用する名前について

1.帰化申請の許可後の名前について 帰化申請の許可後の名前については,帰化申請する前の名前をそのまま名乗ることもできますし,これまで使用してきた通称名を名乗ることもできます。 一方,帰化申請を契機に,ご自身で定めた名前を名乗ることも可能です。 日本の名前は,「氏」と「名」で分かれています。 山田 太郎さんという名前であれば,山田が「氏」であり,太郎が「名」となります。 さて,ここで一つ疑問が生まれます。 帰化申請が許可された後に使用する名前はいつ決めるのでしょうか。 答えは,”帰化申請時”になります。 帰化申請を行う際には,管轄法務局へ帰化許可申請書を提出します。 帰化申請の管轄については,帰化申請の法務局の管轄について で記載していますのでご参照ください。 上記でも記載したとおり,帰化申請の許可後に使用する名前については,帰化申請時に帰化許可申請書に記載する欄があります。 そして,官報の告示によって帰化許可を確認後,告示の日から1ヶ月以内に帰化後の本籍地を管轄する市区町村役場へ帰化届を提出し,自身の名前の登録を行います。 なお,仮に帰化申請を行った後,帰化後の名前を変更したい場合は,官報で告示が出るまでの間に,管轄の法務局へ行き,変更の申出書(任意書式)を提出すれば変更は可能です。 変更の際に,法務局の担当官から何故名前を変更するのか,変更するに至った経緯などを確認される場合があります。 帰化申請してから名前を変更することがないように,帰化申請時にしっかり帰化後の名前を決めておくことが重要です。 2.帰化申請の許可後の名前を決める際の注意点! それでは,帰化申請が許可された後の名前はどのような名前でも良いのでしょうか。 日本では,名前を決める際の注意事項が2点あります。 まず1点目は,日本の法律上,名前に使用できる文字が決まっているということです。 戸籍法50条1項と2項では以下のように定められています。 「子の名には,常用平易な文字を用いなければならない。」 「常用平易な文字の範囲は,法務省令でこれを定める。」 常用平易な文字の範囲は,戸籍法施行規則60条で定められています。 戸籍法施行規則60条 一 常用漢字表(平成二十二年内閣告示第ニ号)に掲げる漢字(括弧書きが添えられているものについては,括弧の外のものに限る。) 二 別表第二に掲げる漢字 三 片仮名又は平仮名 そのため,これから帰化申請を考えている方は,帰化申請の許可後の名前が,上記の法律の範囲内かどうか確認する必要があります。 漢字圏の国籍の方は,名前で使用することができない漢字を選択するケースが多く見受けられますので注意が必要です。 名前に使用できない漢字を記載している帰化許可申請書は,残念ながら受理されません。 帰化許可後に使用する名前が,法律上,使用できる文字かどうかを確認することも重要です。 名前に使用できる漢字かどうかチェックできるサイトがありますので,こちらを参考にしてください。 参考URL:戸籍 

個人事業主として経営管理ビザを取得する方法は?入管申請の専門家が解説!

1.個人事業主の経営管理ビザ取得要件 経営管理ビザには,在留資格該当性としての事業活動,その事業の適正性,安定性および継続性,上陸基準省令適合性としての事業所の存在および事業規模の基準が定められています。 法人事業形態と個人事業形態で異なるのは,実は事業規模の基準だけです。上陸基準省令の在留資格「経営・管理」の項には,以下のように事業規模の基準が定められています。 二 申請に係る事業の規模が次のいずれかに該当していること。 イ その経営又は管理に従事する者以外に本邦に居住する二人以上の常勤の職員(法別表第一の上欄の在留資格をもって在留する者を除く。)が従事して営まれるものであること。 ロ 資本金の額又は出資の総額が五百万円以上であること。 ハ イ又はロに準ずる規模であると認められるものであること。 上記のイからロまでのいずれかを満たしていればいいのですが,法人事業形態の場合は,ロの「資本金の額又は出資の総額が500万円以上であること」を証明するのが一般的です。資本金を500万円以上に設定して会社設立の登記をすれば足りるので,その証明は難しくありません。 一方で,個人事業形態で経営管理ビザを申請する場合は,個人事業には資本金の概念がないため,イ(常勤職員2名以上)またはハ(イ又はロに準ずる規模)で事業規模の基準を証明することになります。 2.個人事業主の場合の事業規模の証明方法 (1)常勤職員2名以上の意味とは? 経営管理に従事する外国人以外に,日本に居住する常勤職員が2名以上勤務する事業であることを要件とします。 ここでいう常勤職員は日本人・外国人のいずれでも構いませんが,外国人職員の場合は,特別永住者の他,「永住者」,「永住者の配偶者等」,「日本人の配偶者等」,「定住者」の在留資格をもった方が対象になります。常勤従業員との雇用契約の事実を証明(雇用契約書の提出)することによって,事業規模の基準を証明することになります。 新規事業の場合には,開業当初から2名以上の常勤職員を雇用することは,事業経営上なかなかハードルが高いため,この基準を使って経営管理ビザを申請するケースは実務上,あまり多くはありません。 (2)準ずる規模の意味とは? 個人事業形態での経営管理ビザを取得しようとする場合は,上記の資本金500万円以上または常勤職員2名以上に準ずる規模であることをもって,事業規模の基準を証明することになります。 準ずる規模とは,500万円以上を投資して事業が営まれるような規模を指します。この場合の500万円以上の投資とは,事業を営むために必要な人的・物的設備に投下された資金の総額を言います。 具体的には,以下のような資金が含まれます。 ①事業所を確保するための資金…敷金・礼金等の初期費用,改装費,機器の購入費等 ②事業所を維持するための資金…1年分の賃料,管理費等 ③職員の給与…1年分の給与・賞与等(非常勤職員の給与も含みます) これらの費用を積み上げて,事業に投下する資金が500万円以上であることを示すことになります。事業所の賃貸借契約書や職員の雇用契約書を提出する他,什器,パソコン,プリンター,細かいものではボールペンを購入した際のレシートなどを提出することもあります。 注意しなければならないのは,仕入れにあたる費用については投下資金には含まれないことです。例えば,貿易事業を経営する場合に,商品の購入費用は投下資金には含まれません。なぜなら,仕入れ費用は流動性が高く,事業規模を図る物差しにはならないからです。 3.個人事業主として経営管理ビザを取得する方法のまとめ 本ページでは,個人事業形態による経営管理ビザの取得について解説しました。 法人事業形態の場合と比較すると,個人事業主の場合には事業規模の基準を証明するのは容易ではありませんが,もちろん不可能ではありません。法人事業形態にも様々なメリットはありますが,初期コストの面では個人事業形態での事業の方がメリットは大きいでしょう。 その他,経営管理ビザの要件は, 経営管理ビザの要件① ~在留資格該当性~ 経営管理ビザの要件② ~上陸基準省令~  をご覧ください。 これから事業を立ち上げようとお考えの方は,事業の内容も大切ですが,事業の形態も意識してみてはいかがでしょうか。…

外国人が起業して経営管理ビザを取得するメリット

1.外国人が日本で起業するメリット ①実力次第で高収入を得られる可能性がある 会社経営者は,成功すれば報酬は青天井です。 他方,失敗した時には会社経営者は全ての責任を負うことになります。 そのため,実力次第では高収入を得られます。反対に,失敗した時には苦境に立たされることになります。 努力や実力がそのまま反映されるのは,会社経営する醍醐味ではないでしょうか。 ②これまでになかった人脈形成ができる 外国人の方が起業すると,名刺にはCEOや代表取締役などの肩書が付きます。 会社代表者としての肩書が付くことで,周囲の見る目は変わり,これまでよりステイタスは高くなるでしょう。 また,経営者や外国人の経営者だけのコミュニティーもあります。 これまで知り合うことのなかった経営者の仲間ができることは,自分の知見を広げることに繋がりますし,成長できる環境に身を置くことは一生の財産になるでしょう。 ③自分のペースで自由な働き方ができる 一般的に会社勤めの場合,就業時間が決まっているかと思います。 会社経営者は,このような時間的な拘束は受けません。 経営管理ビザの審査の観点でも,何時から何時までの勤務を求めることはなく,事業の実態や決算内容を重視しています。 自らの行動にも全責任を負うことになりますが,自分のペースで自由な働き方ができるというのはメリットの一つに数えられるのではないでしょうか。 ④定年がない・早期リタイアも実現できる 早期リタイアの考えは様々かと思いますが,ご自身の考えと努力次第では早期リタイアも夢ではありません。 反対に,会社経営者に定年はないため,ご自身のお考え次第では何歳でも現役を続けることも可能です。 人生100年時代と言われる今,様々な選択肢を持てるのも経営者としての強みの一つです。 ⑤日本人にはない感性があるから日本市場で強い これは,私たち行政書士法人第一綜合事務所で経営管理ビザを取得した外国人経営者を見て思うところです。 日本人にはない外国人ならではの感性で,ブルーオーシャンの地位を築いておられる外国人経営者の方もおられます。 また,外国人経営者の方々は意思決定が日本人と比較して早い方が多く,それゆえビジネスチャンスをつかみ成功を手中に収めている方もいらっしゃいます。 外国人ならではの感性が活かせる日本市場は,外国人経営者の方にとってチャンスと言えるのはないでしょうか。 2.経営管理ビザを取得するメリット ⑥成果次第で高度専門職も狙える 経営管理ビザを保有している外国人経営者の方は,高度人材のポイント計算で70点以上取得すれば,高度経営管理活動として,高度専門職1号(ハ)のビザを取得できる可能性があります。 高度専門職1号(ハ)のビザを取得すると, ・複合的な在留活動の許容 ・在留期間「5年」の付与 ・在留歴に係る永住許可要件の緩和 ・配偶者の就労 ・一定の条件の下での親の帯同 ・一定の条件の下での家事使用人の帯同 ・入国・在留手続の優先処理 など,様々な優遇措置を受けることができます。 高度専門職ビザの詳細については,【事例解決】高度人材必見!高度専門職ビザの許可事例 に記載しておりますので,宜しければご覧ください。…

就労ビザから経営管理ビザへの変更方法を行政書士が解説!

1.就労ビザから経営管理ビザ ~よくあるご質問~ 本チャプターでは,就労ビザから経営管理ビザへの変更を目指す方からのご質問をまとめています。 経営管理ビザの一般的な要件は, 経営管理ビザの要件① ~在留資格該当性~ 経営管理ビザの要件② ~上陸基準省令~ に記載しておりますので,ご活用ください。 ①経営管理ビザを取得するために事務所は必要? 経営管理ビザ取得のためには,事業所の確保が必要になります。 事業所については,賃貸物件でも問題ありません。 しかし,単に物件確保のみを求めているわけではなく,要件に適合した事業所を確保しなければ,経営管理ビザの取得はできません。 では次に,経営管理ビザ取得のための事業所要件とはどのような内容なのでしょうか。 以下の内容が,事業所についての主な注意点です。 ・月単位の短期間賃貸スペースは要件に適合しません。 ・容易に処分可能な屋台等は要件に適合しません。 ・使用目的は,事業用,店舗,事務所等の事業目的である必要があります。 ・賃貸借契約の借主名義は,事業主名義(法人の場合は法人の名義)である必要があります。 ・住居兼事務所の場合には,貸主の同意や事業目的専用の部屋が必要になります。 事務所の要件については,経営管理ビザ取得のための事務所の要件を行政書士が解説!  に詳細を記載しておりますので,ご活用ください。 ②資本金の準備方法 経営管理ビザを取得するためには,下記の要件のいずれかに該当する必要があります。 ・日本に居住する2人以上の常勤従業員を確保していること ・資本金又は出資の総額が500万円以上であること ・上記に準ずる規模であると認められるものであること 会社経営スタート当初に,従業員を雇用することは資金力の観点から多くはありません。 そのため,「資本金又は出資の総額が500万円以上であること」という要件の適合を目指すのが一般的です。 では,現金が500万円さえあれば問題ないかというと,実はそういうわけではありません。 マネーロンダリング防止の観点や,見せ金を排除する観点から,500万円の出どころについても,入管では審査されます。 そのため,これまでの稼働によって形成した貯金であることなど,資金の形成方法についても明らかにする必要があります。 上記に関連して,資本金は借りたお金でも良いかとご質問を受けることがありますが,借り受けた500万円であっても問題ありません。 もっとも,安定した生計基盤が維持できるかという観点から,返済計画についても審査されることになりますので,生計の収支が問題にならないような返済計画を策定することが肝要です。 資本金の要件については,経営管理ビザの資本金500万円の考え方  に詳細を記載しておりますので,ご活用ください。 ③許認可取得は経営管理ビザの取得前に必要? 原則として,経営管理ビザを申請するまでに,事業遂行に必要な許認可を取得しておく必要があります。…

介護ビザを申請するための要件

1.介護ビザとは? 介護ビザとは,2017年に施行されたビザで,介護職で就労する外国人に家族帯同や実質無期限の日本在留を認め,派遣契約での受入れも可能なビザです。 日本の介護分野は,特に人手不足が深刻であり,少子高齢化により今後も日本人の労働力だけでは,介護分野の人手不足を解消させることが困難であると考えられています。 そのような背景の中,介護分野へより多くの外国人を呼び込むために,既にある介護系のビザに加えて「介護ビザ」が新設されました。 また,介護職で外国人を受入れするためのビザは,後述するように介護ビザ以外にも主に3種類設けられており,このことからも,日本政府が介護分野での外国人労働力活用について,注力していることがわかります。 2.介護業界で仕事するには? 参照:厚生労働省(外国人介護人材受入れの仕組み) 外国人が介護分野で仕事をするためには,介護分野での就労が可能な上記4つのビザか,身分系のビザなどの就労制限のないビザを取得する方法が考えられます。 介護分野での就労が可能なビザには,本記事で紹介する「介護ビザ」以外にも,主に3種類のビザが用意されているので,それぞれ紹介します。 2-1.技能実習(1号・2号および3号) 技能実習制度を使うことで,最大で5年間,外国人を介護分野で受入れすることができます。 一方で,あくまでも「技能実習」を行うためのビザであるため,労働者としての受入れは認められていないことや,作業内容が細かく規定されているなど制度運用が簡単ではない 点などについては,技能実習ビザを使う前に知っておくべき必要があります。 また,後述する「特定技能」や「特定活動」と共に,訪問介護の現場では就労することができない点についても,注意が必要です。 2-2.特定技能(1号) 2019年に新設されたビザで,介護を含む日本の人手不足が深刻な12分野にて,人手不足解消のために外国人の受入れを認めたビザです。 特定技能1号では,最長で5年間の就労が認められており,技能実習ビザで介護職を経験した外国人については,特定技能試験などが免除されて特定技能ビザにて介護分野で就労することができます。 そのため,技能実習ビザと特定技能ビザを併せて最長10年の受入れを目指す介護施設も珍しくありません。 また,特定技能ビザではそれぞれの分野で設置されている特定技能試験に合格することで,簡単に別分野への転職もできるため,他分野から介護分野への転職者も少なくありません。 介護分野の特定技能ビザ はコチラ 2-3.特定活動(EPA介護福祉士候補者・介護福祉士) 日本とEPA(経済連携協定)を締結している国の外国人が,介護福祉士の資格取得を目指しながら介護分野で就労することを認めたビザです。 現在のところ,インドネシア・フィリピン・ベトナムの3ヶ国のみの外国人が,このビザを使って介護分野で就労することを認められていますが,年間の受入れ可能数は日本全体で各国それぞれ300人のみです。 また,ビザ取得要件は次の表のとおり3ヶ国それぞれで異なります。 国籍 要件 インドネシア 日本語能力試験N5以上+インドネシアの看護学校(3年以上)卒業または高等教育機関3年以上卒業,およびンドネシア政府による介護士認定 フィリピン 日本語能力試験N5以上+フィリピンの看護学校(4年)卒業または4年制大学卒業,およびフィリピン政府による介護士認定 ベトナム 日本語能力試験N3+3年制または4年制の看護課程修了 3.介護ビザの取得条件 介護ビザを取得するために重要な要件は次の3つです。 ①介護福祉士の資格 日本の国家資格である「介護福祉士」の資格取得が必要です。 海外でも介護系の資格がある国がありますが,あくまでも日本での資格が必要であるため,母国で資格をもつ場合でも日本の介護福祉士の資格を取り直す必要があります。 ②介護施設との適正な雇用契約 日本の介護施設と雇用契約を締結し,介護が必要な人に対して,食事,入浴,排せつなどの身体的介護および付随する介護全般業務を行うことが求められます。…

経営管理ビザが認められる事務所とは?

1.経営管理ビザを取得するために事務所は必要? この疑問を解消するためには,法務省令(いわゆる基準省令)を確認するのが理解の近道です。 それでは,さっそく法務省令を見てみましょう。 (出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令) 「法別表第一の二の表の経営・管理の項の下欄に掲げる活動」 一 申請に係る事業を営むための事業所が本邦に存在すること。ただし,当該事業が開始されていない場合にあっては,当該事業を営むための事業所として使用する施設が本邦に確保されていること。 まず前段を見ると,申請に係る事業を営むための事業所が本邦に存在することとなっており,経営管理ビザを取得するためには,事務所が必要という事がわかります。 次に後段を見ると,当該事業が開始されていない場合にあっては,当該事業を営むための事業所として使用する施設が本邦に確保されていることとなっています。 これらをまとめると, 事業が開始されていない場合であっても,事務所の「確保」は必要 既に事業を開始している場合については,事務所の「存在」が必要 ということになります。 いずれにしても,経営管理ビザを取得するためには,事務所を準備する必要がありそうです。 2.経営管理ビザ申請において事務所として認められたケース それでは,ここからは法務省が公表している「外国人経営者の在留資格基準の明確化について」より,経営管理ビザ申請において事務所として認められたケースを具体的にみていきましょう。 (事例1) Aは,本邦において個人経営の飲食店を営むとして在留資格変更許可申請を行ったが,事務所とされる物件に係る賃貸借契約における使用目的が「住居」とされていたものの,貸主との間で「会社の事務所」として使用することを認めるとする特約を交わしており,事業所が確保されていると認められたもの。 経営管理ビザを取得するための事務所は,賃貸物件の場合,使用目的が住居では要件を充足せず,事業に使用することを明確にする必要があるとされています。 仮に,本事例のように使用目的が住居になっているような場合には,事業に利用することを貸主が承諾していることを明示する必要があります。 本事例では,貸主から「会社の事務所」として使用することを認める特約を交わしていたことから,貸主から事業に利用することの承諾があったものとして扱われた事例です。 (事例2) Bは,本邦において水産物の輸出入及び加工販売業を営むとして在留資格認定証明書交付申請を行ったところ,本店が役員自宅である一方,支社として商工会所有の物件を賃借していたことから,事業所が確保されていると認められたもの。 本事例は,登記上の本店所在場所のみが事務所として認定されるわけではないとするケースです。 今回の事例では,登記上の本店は役員の自宅にしています。 これとは別に,支社として事務所の物件を賃貸していました。 このように,本店のみが事務所として認定されるわけではなく,たとえ本店は役員の自宅であったとしても,経営管理ビザの要件に該当する事務所が別に確保されているのであれば問題ありません。 (事例3) Cは,本邦において株式会社を設立し,販売事業を営むとして在留資格認定証明書交付申請を行ったが,会社事務所と住居部分の入り口は別となっており,事務所入り口には,会社名を表す標識が設置されていた。また,事務所にはパソコン,電話,事務机,コピー機等の事務機器が設置されるなど事業が営まれていることが確認され,事業所が確保されていると認められたもの。 本事例は,自宅兼事務所が問題となった事例です。 ポイントは,居住スペースと事業のために使用するスペースが明確に区分されているかという点です。 本事例は,会社事務所と住居部分の入り口は別になっていますので,明確に区分されていると見ることができます。 また,事務所入り口には,会社名を表す標識が設置されており,社会的標識を掲げていることから,外形上も事業のために使用するスペースであると認識できます。 さらに,事務所にはパソコン,電話,事務机,コピー機等の事務機器が設置されるなど事業が営まれていることが確認されていることから,実態として事務所があると評価された事例です。 上記に関連して,自宅兼事務所の場合には,上記以外に2つの注意事項があります。 1つ目は,公共料金等の共用費用の支払いに関する取決めです。 事業で使用したものか日常生活で使用したものか明確にしておく必要があります。 このように,自宅兼事務所の場合には,形式的にも居住と事業の区分を求めているのです。 2つ目は,物理的に区分された部屋を,事業用のみに使用する部屋として確保していなければなりません。 たとえば,1階は事務所,2階は住居といったように明確に区分することができるのであれば,事務所として使用できるでしょう。…

韓国人との国際結婚手続きを専門行政書士が解説!

1.国際結婚手続きの用語解説 本チャプターでは,国際結婚手続きにおける専門用語を解説していきます。 以降の内容をご参照いただくにあたり必要となる前提知識ですので,ご一読の上,次のチャプターに進んでください。 ①国際結婚の成立とは? 国際結婚の成立には,双方(本事例でいうと日本と韓国)の国籍国において,法的に有効な婚姻関係にあることが原則必要とされています。 日本で先に結婚手続きを行うことを日本方式と言い,韓国で先に結婚手続きを行うことを韓国方式と言います。 ②婚姻要件具備証明書とは? 外国人が,日本方式の婚姻を有効に成立させるためには,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件(婚姻できる年齢に達していること,独身であることなど)を満たしていることが必要とされています。 もっとも,日本の市区町村役場で,外国人の国籍国の法律を全て審査することは現実的ではありません。 そのため,国際結婚においては,婚姻要件具備証明書を提出することによって,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていると判断することにしています。 なお,発行国によっては,独身証明書などと言われることがありますが,独身であることのみならず,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていることが明らかになるものであれば,基本的には婚姻要件具備証明書と考えていただいて差し支えありません。 ③日本方式と韓国方式とは? 先述のとおり,国際結婚手続きは,双方の国籍国で手続きを履践する必要があります。 この場合に,日本で先に結婚手続きを行うことを日本方式と言い,韓国で先に結婚手続きを行うことを韓国方式と言います。 2.韓国人との国際結婚手続きで注意すること 韓国人と日本人との国際結婚手続きの際,ご注意いただきたい事項を下記に記載いたします。 ①婚姻要件具備証明書について 韓国は,婚姻要件具備証明書が発行されない国です。そのため,韓国人との婚姻のおいては,婚姻要件具備証明書に代わる書類によって,韓国人の婚姻要件充足を証明することになります。 ②婚姻可能な年齢について 韓国人の婚姻可能な年齢は,男女ともに満18歳以上です。 ③再婚禁止期間について 韓国の法律には再婚禁止期間の定めはありません。ただし,日本方式で婚姻手続きを行う場合は,日本民法の再婚禁止期間が適用され,前婚の解消又は取消の日から100日を経過していることが要件とされています。ただし,韓国人女性が妊娠していないという医師の診断書を提出することによって,100日を経過していない場合でも婚姻することができます。 3.韓国人との国際結婚手続きにおける必要書類(日本方式) 本題の国際結婚手続きについて解説していきます。 ここからは,日本人と韓国人が日本方式で婚姻をおこなう場合の必要書類を記載します。 なお,市区町村役場によって若干の相違があるため,事前に役所照会することをお勧めいたします。 ①日本の市区町村役場において必要となる書類 <日本人の方にご準備いただく書類> ・婚姻届書(日本人同士の場合と同様のものです) ・本人確認資料(運転免許証又はパスポート等) ・戸籍謄本(本籍地以外に婚姻届を提出する場合) <韓国人の方にご準備いただく書類> ・婚姻関係証明書※1(日本語訳を添付) ・親族関係証明書※1(日本語訳を添付) ・基本証明書※1(日本語訳を添付) ・パスポート※2 ※1 在日韓国大使館または領事館でも取得が可能です。 ※2 韓国人が在外にいる場合は,コピーに自署したもので代替可能です。…