コラム

COLUMN

【事例解決】入管へのビザ申請の管轄とは?

1.全国の入管官署 入管の組織は,大きな区分として,全国8か所(札幌,仙台,東京,名古屋,大阪,広島,高松,福岡)に地方支局が設置されています。更に,特に外国人の出入国数が多い4つの主要空港と,横浜・神戸・那覇に計7つの支局が地方分局管下に置かれています。 札幌出入国在留管理局 仙台出入国在留管理局 東京出入国在留管理局 成田空港支局 羽田空港支局 横浜支局 名古屋出入国在留管理局 中部空港支局 大阪出入国在留管理局 関西空港支局 神戸支局 広島出入国在留管理局 高松出入国在留管理局 福岡出入国在留管理局 那覇支局 さらに全国で61箇所の出張所が設けられており,各都道府県に1つから5つの出張所が存在します。出張所はその設置された都道府県内を管轄していますが,それに加えて隣接の都府県を管轄に加えているところもあり,そのような場合には都府県をまたいだ出張所に申請をすることもできます。 このように,地方分局,支局,出張所が重畳的に管轄しており,管轄があれば地方分局にも支局にも出張所にも提出することができます。 2.入管の管轄のルール 在留資格に関する申請や届出は,地方出入国在留管理局に提出することになっており,管轄のある地方支局・分局・出張所に申請する必要があります。 実は管轄に関するルール(どこの官署に申請すべきか)は,入管法には規定されていません。審査要領に記載があるのですが,簡単にまとめると以下の地を管轄する地方分局,支局または出張所が申請を受け付ける管轄官署になります(空港支局では航空会社職員の申請のみを受付)。 在留諸申請の場合 → 申請人の住居地(住居地がない場合は宿泊先等の所在地) 在留資格認定証明書交付申請の場合 ①申請人本人が申請する場合 → 申請人の所在地 ②代理人が申請する場合 → 在留資格によって,所属機関の所在地や代理人となる親族の住居地 3.事例のあてはめ AさんはBさんの在留資格認定証明書を代理人として(Bさんの親族として)申請する予定ですので,Aさんの住居地を基準に管轄が決定されます。 Aさん夫婦は来日後,東京都内で生活する予定ですが,管轄は申請時の地点で決定されます。したがって,申請時点でのAさんの住所地である滋賀県が管轄決定の基準地になります。 滋賀県は,大阪出入国在留管理局が地方分局として管轄していますので,大阪入管に申請を提出することができます。 また,大津出張所が滋賀県内を管轄していますので,大津出張所にも提出することができます。 更に,隣接する京都府の京都出張所が滋賀県を管轄にしていますので,京都出張所にも申請をすることができます。 このように,Aさんは大阪入管,大津出張所,京都出張所の3つの官署のいずれにも申請を提出することができます。 4.入管へのビザ申請の管轄のまとめ…

入管ビザ申請の申請代理人の範囲について

1.入管ビザ申請は本人出頭が原則!?申請代理はできない!? 外国人が在留資格に関する諸申請を行う場合は,申請人となる外国人本人が,地方出入国在留管理局に出頭して申請するのが原則とされています。これを本人出頭原則と言います。 (参考)入管法61条の9の3第1項 外国人が次の各号に掲げる行為をするときは,それぞれ当該各号に定める場所に自ら出頭して行わなければならない。 (各号省略) すなわち,在留資格に関する申請を行うには,申請人である外国人本人が自ら入管に出向いてビザ申請をしなければなりません。しかし,この原則を貫くと,不合理なケースもあります。そこで,本人出頭原則の例外として,申請代理人制度が入管法に規定されています。 申請人となる外国人が日本にいる場合の申請(在留申請)と,海外から日本に入国するために行う申請(在留資格認定証明書交付申請)とでは,申請代理人の範囲が異なるため,以下ではそれぞれの申請に分けて解説します。 2.【事例1】在留申請の代理人の範囲 申請人となる外国人が日本にいる場合の申請(在留資格変更許可申請,在留期間更新許可申請,在留資格取得許可申請,永住許可申請等)では,申請人の法定代理人が申請代理人になることができます。法定代理人には,未成年者の親権者や成年後見人などが該当します。 (参考)入管法入管法61条の9の3第4項 第一項第三号に掲げる行為については,外国人の法定代理人が当該外国人に代わつてする場合その他法務省令で定める場合には,同項の規定にかかわらず,当該外国人が自ら出頭してこれを行うことを要しない。 その他に,法務省令(入管法施行規則59条の6第3項)には,疾病その他やむを得ない事情で申請人本人が出頭することができないと地方出入国在留管理局長が認める場合には,申請人の「親族又は同居者若しくはこれに準ずる者」が申請代理人になることもできると規定されています。この場合には,診断書等の出頭ができない理由を証明する資料を提出しなければなりません。 【事例1】のXちゃんのケースでは,Xちゃんは未成年ですので,親権者であるAさんとBさんがXちゃんの法定代理人です。したがって,AさんBさんいずれもXちゃんの在留期間更新許可申請の申請代理人になることができます。つまり,Xちゃんが入管に行かなくても,Aさん若しくはBさんが代わりに入管に行って申請を行うことができます。 3.【事例2】在留資格認定証明書交付申請の代理人の範囲 在留資格認定証明書交付申請は,海外にいる外国人が日本に入国するために行う申請手続きですので,申請人である外国人本人が日本にある入管に出頭して申請することはあまりありません。 入管法には,「当該外国人を受け入れようとする機関の職員その他の法務省令で定める者」が代理人として申請を行うことができると規定されています(7条の2第2項)。 これを受けて,入管法施行規則では,申請する在留資格ごとに代理人の範囲が規定されています。 (参考)入管法施行規則6条の2第3項 法第七条の二第二項に規定する代理人は,当該外国人が本邦において行おうとする別表第四の上欄に掲げる活動に応じ,それぞれ同表の下欄に掲げる者とする。 例えば,日本人の配偶者等の在留資格であれば,「本邦に居住する本人の親族」が,企業内転勤の在留資格であれば,「本人が転勤する本邦の事業所の職員」が代理人として定められています。 【事例2】のYさんのケースでは,Yさんが日本人と婚姻関係にありますので,日本人の配偶者等の在留資格で申請することができます。また,米国企業の日本支社への出向でもあることから,企業内転勤の在留資格にも該当します。いずれの在留資格で申請するかはYさんの選択によりますが,このようなケースでは,就労制限のない日本人の配偶者等の在留資格で申請する方が多いでしょう。 日本人の配偶者等の在留資格で申請する場合,代理人は「本邦に居住する本人の親族」が該当します。日本に住んでいる親族であれば,日本人でも外国人でも構いません。親族の範囲は民法725条に規定されており,6親等内の血族,配偶者,三親等内の姻族がこれに該当します。 Yさんのように夫婦で海外から移住してくるケースでは,奥様のCさんのご両親(二親等姻族)や兄弟姉妹(三親等姻族)に代理人になっていただくことが可能です。また,奥様のCさん(配偶者)も親族ですので,先にCさんが日本に帰国してYさんの在留資格認定証明書交付申請を行うこともできます。 仮に企業内転勤の在留資格で申請する場合は,「本人が転勤する本邦の事業所の職員」が申請代理人になりますので,Yさんの親族ではなく,日本支社の職員の方が申請代理人となって申請する必要があります。 4.入管ビザ申請の申請代理人の範囲についてのまとめ 本ページでは,入管ビザ申請についての申請代理人の範囲についてご紹介しました。 行政書士に申請手続きを依頼する場合でも,申請人本人が入管に出頭して申請しない場合には,申請代理人を立てなければなりません。行政書士による申請取次と代理人の違いは,入管手続における行政書士の役割で解説していますので,そちらも併せてご参照ください。…

帰化申請の法務局管轄|東京・大阪などの主要都市について解説

1.帰化申請を扱う地方法務局・支局 先述の通り,帰化申請を行う際の法務局の窓口は自由に選べません。 原則として,「申請しようとする者」=外国籍であるあなた――の,「住所地」=あなたが今住んでいる(住民票がある)所を管轄する,「法務局又は地方法務局」です。 「都市部に職場があるので,そちらを管轄する地方法務局・支局で仕事帰りに手続きする方が便利だな」と思っても,それはできません。 また,帰化申請は原則として「申請者自らが」「窓口に出頭して」行わなければなりません。 地方法務局の窓口が開いているのは平日の昼間ですので,会社員の方ですと半休を取る必要があります。 実際,当社のお客様も半休を取られる方がほとんどです。 帰化申請をするにあたり作成・収集する書類の数も入管への在留資格取得手続きと比べて多いので,書類の間違いや抜けがあったら,管轄の法務局から再取得・再提出を命じられますし,場合によっては,書類取得に時間がかかり既に取得している書類の有効期限が切れたため,再取得をしなければならないなんてこともあります。 さらに言うと,法務局では作成した帰化申請書類の内容も厳しく確認され,帰化申請書類の修正の指示を受けた結果,次回に修正箇所の確認をされたりなど,何度も法務局に足を運ぶことになります。 こうした手間がかかるからこそ,無駄足を踏まないためにもご自分の帰化申請手続きはどの法務局・支局にすればよいか,事前に確認しておきましょう。 帰化申請の手続きでややこしいのは,「ご自分の住所地を管轄する地方法務局・支局」であっても,帰化申請手続きができないことがあることです。 帰化申請など国籍に関する業務を取り扱うのは,基本的に各地の法務局の「国籍課」もしくは「戸籍課」という部署です。 地方法務局支局・出張所によっては,帰化申請以外の業務(不動産登記等)は扱うが,帰化申請等の国籍に関する業務を取り扱っていないところもあります。 例えば,京都府舞鶴市に住んでいる方は,住所地における管轄は法務局舞鶴支局になりますが,帰化申請を行う場合は京都地方法務局本局へ提出することになります。 帰化申請における「受付」は,申請人の住所地を管轄する地方法務局・支局で行うけれど,相談業務や書類確認は別の地方法務局・支局で行うという取扱いをしている地方法務局・支局もあったりします。 さらに,帰化を考えている方が「転居(引っ越し)」を考えていると,またややこしくなります。 日本への帰化を考えている方の中には,将来を見据えて新しく就職・転職を考えることもあるでしょう。 あるいは,日本での結婚・出産などを見据えて,現住所以外の所に新居を構える計画を立てておられる方もあると思います。 基本的に,帰化申請後に転居した場合は,必ず管轄の地方法務局・支局に転居の事実を連絡する必要があります。その場合,帰化申請の審査期間が長引くことがあり得ますし,転居先が非常に遠方の場合は,管轄する地方法務局・支局そのものを変更する必要も生じます。 このような事情も踏まえ,ご自分がどのタイミングで,どの地方法務局・支局で帰化申請手続きを行えば最も効率的か,事前に調べて考えておきましょう。 帰化申請における申請者のご負担の最たるものは,「何度も都合をつけて法務局に行かなければならない」ことでしょう。 もちろん,私たち行政書士法人のような専門家が同行したり,必要な書類の作成・収集を代行したりしてサポートし,ご自分が法務局に行く手間を最小限に抑えることは可能です。 ご自分がどの地方法務局・支局に帰化申請をすればよいのかも含め,事前に私達のような専門家にご相談いただければ,助言・サポートをすることができますので,ご相談ください。 2.関西2府4県+三重県の法務局管轄表 弊社には大阪事務所と東京事務所があります。 この項では,大阪事務所で帰化申請の「受付」と言われる場に同行出来るサービスを提供できる関西2府4県と三重県の法務局管轄についてお知らせします。 大阪府 大阪府内に住所地を持つ方の帰化申請窓口は以下です。 法務局 管轄地域 大阪法務局民事行政部国籍課 (大阪市中央区) 大阪市(全区),池田市,豊中市,箕面市,枚方市,寝屋川市,交野市,守口市,門真市,大東市,四條畷市,豊能町,能勢町 大阪法務局北大阪支局 (大阪府茨木市中村町) 吹田市,高槻市,茨木市,摂津市,島本町 大阪法務局東大阪支局 (大阪府東大阪市高井田元町) 東大阪市,八尾市,柏原市 大阪法務局堺支局…

留学ビザを専門行政書士が徹底解説!

1.留学ビザが認められる学校 (1)大学 ここにいう大学には,学部の他に,大学院,短期大学,大学の別科なども含まれます。いずれも通信制の課程は対象外とされています。また,大学院を除き,専ら夜間通学によるものは対象外とされています。 大学に準ずる機関として,水産大学校や防衛大学校などの省庁大学校の一部も対象になります。 海外大学の日本分校については,学校教育法上の認可を受けている場合は留学ビザの対象になりますが,認可を受けていない場合は文化活動ビザに該当することになります。 大学・大学院の研究生・聴講生も留学ビザを取得できますが,専ら聴講による教育を受ける場合には,1週間につき10時間以上の聴講をする必要があります。 (2)高等専門学校 全国に57校ある高等専門学校(いわゆる“高専”)も留学ビザの対象になります。そのほとんどが国公立ですが,私立の高等専門学校も対象です。 (3)専修学校 専門課程(専門学校),高等課程,一般課程の3つの課程がありますが,いずれの課程も留学ビザの対象になります。 専修学校において留学ビザを取得するには,日本語要件が定められており,(5)の日本語教育機関で6ヶ月以上の日本語教育を受けたことがあるか,日本語能力の試験による証明が必要になります。試験によって証明する場合は,以下のいずれかに該当しなければなりません。 ・日本語能力試験N2以上 ・日本留学試験200点以上 ・BJTビジネス日本語能力テスト400点以上 (4)各種学校 学校教育に類する教育を行う機関として,学校教育法上の認可を受けた学校を言います。大学進学予備校やインターナショナルスクールなどが多く,当該機関が学校教育法上の認可を受けていれば留学ビザの対象になります。 インターナショナルスクールを除く各種学校において留学ビザを取得するためには,専修学校と同様に日本語要件が定められており,日本語教育機関での6ヶ月以上の学習,又は試験による日本語能力の証明が必要になります。 (5)日本語教育機関(いわゆる日本語学校) 専修学校,各種学校,または施設および編成に関して各種学校に準ずる教育機関において,専ら日本語の教育を行う場合,留学ビザを取得するには,当該教育機関が法務大臣の告示(留学告示)によって定められていなければなりません。留学告示に定められていない日本語学校では,留学ビザは取得できません。 (6)高等学校 国公立・私立を問わず留学ビザの対象になりますが,定時制や通信制の学校は対象外とされています。中等教育機関の後期課程(中高一貫校の高等部)や特別支援学校の高等部も留学ビザの対象に含まれます。 ただし,原則として,20歳以下であり,かつ,教育機関において1年以上の日本語教育を受けたことが求められます。 (7)中学校 国公立・私立を問わず留学ビザの対象になります。中等教育機関の前期課程(中高一貫校の中等部)や特別支援学校の中学部も対象になります。 原則として,17歳以下の方が対象になります。 なお,対象者が低年齢であることから,日本において監護する方がいること,生活指導を担当する常勤職員が置かれていること,日常生活を支障なく営むことができる宿泊施設が確保されていることが求められます。日本において監護する者には,本人の在日親族の他,寄宿舎の寮母さんや,ホームステイ先のホストファミリーがこれに該当します。 (8)小学校 国公立・私立を問わず留学ビザの対象になります。特別支援学校の小学部も対象になります。 原則として,14歳以下の者が対象になります。 中学校の場合と同じように,日本において監護する方がいること,生活指導を担当する常勤職員が置かれていること,日常生活を支障なく営むことができる宿泊施設が確保されていることが求められます。 2.留学ビザの審査ポイント 留学ビザの主な審査ポイントとして,活動実態と経費支弁能力の2点が挙げられます。 (1)活動実態 留学ビザに限らず,活動実態はどのビザについても審査ポイントに挙げられますが,特に留学ビザの場合は厳格に審査される傾向にあります。 留学ビザは就労資格ではありませんので,原則として就労活動ができませんが,留学中の生活費や学費を賄うために,資格外活動許可を取得すれば,週28時間以内のアルバイトが認められます。これを奇貨として,所得水準の高い日本で働くための便法として,留学ビザが悪用されている実態があります。留学ビザを取得して来日したものの,実際には授業には出席せず,アルバイトに専念し,国許の家族に給料を送金しているようなケースです。 このように当初から就労目的をもって留学ビザを取得するのは言語道断ですが,週28時間の制限をオーバーしているケースや,出席率が悪いケース,成績が悪い,特に留年しているケースでは,留学の活動実態がないと評価され,在留期間の更新許可が認められないことがあります。他のビザと比較して,留学ビザは在留期間の更新不許可件数が格段に多いのが特徴です。 (2)経費支弁能力 留学ビザの上陸基準省令に,留学中の生活に要する費用を支弁する十分な資産,奨学金その他の手段を有することが定められています。留学中の生活に要する費用には,学費,教材費,住居費,交通費,食費,その他一切の生活費が含まれます。 多くの留学生は,自身の貯蓄やアルバイト収入だけでは留学中の生活に要する費用を支弁することは困難です。そのため,親族の援助も経費支弁能力として評価されます。 留学中に親が失業して仕送りがストップしてしまったようなケースでは,経費支弁能力がないと評価され,在留期間の更新が認められないことがあります。そのような状況に陥った場合は,奨学金を借りるなどして,留学中の経費を賄えるようにしなければなりません。…

法律・会計業務ビザとは?

1.法律・会計業務ビザに該当する資格は? 法律・会計業務ビザは,法律上資格を持っている方が行う法律又は会計に係る業務とされ,資格を持っていない場合には従事できない業務が対象となります。 具体的には,下記の資格が法律・会計業務ビザの対象となります。 ①行政書士 ②外国法事務弁護士 ③外国公認会計士 ④弁護士 ⑤司法書士 ⑥土地家屋調査士 ⑦公認会計士 ⑧税理士 ⑨社会保険労務士 ⑩弁理士 ⑪海事代理士 あまり聞きなれない資格,②外国法事務弁護士,③外国公認会計士について解説します。 ②外国法事務弁護士とは,外国弁護士による法律事務の取扱いに関する特別措置法に基づき,日本において一定の範囲の法律事務を行うことが出来るとされている方をいいます。 ③外国公認会計士は,公認会計士法第16条の2に基づく特例として,日本の公認会計士と同様の業務を行うことが可能とされている方をいいます。 2.法律・会計業務ビザの注意点は? 上記2で記載をした「法律上資格を有している者が行うこととされている法律又は会計に係る業務」の判断が,法律・会計業務ビザの一番のポイントです。 法律・会計業務ビザは,業務独占の資格職業者のためのビザであるため,上記以外の資格ではビザを取得できません。 ※中小企業診断士の資格,不動産鑑定士の資格は含まれていないのでご注意下さい。 また,上記の資格を有している場合でも,資格がなくても出来る業務に就く場合,例えば,弁護士資格を有する方が企業に雇用されて法律知識を活かす業務に就く場合であっても,その業務が無資格でも行える業務である場合には,法律・会計業務ビザは取得することが出来ません。 3.法律・会計業務ビザを申請する場合の必要書類 法律・会計業務ビザを申請する場合の必要書類は,以下のとおりです。 日本の法律や会計に関する資格を有していることがビザ取得の要件となっているため,必要書類は他の就労ビザと比較して簡素化されています。 (在留資格認定証明書交付申請) 〇在留資格認定証明書交付申請書 〇写真(縦4cm×横3cm) 〇パスポートのIDページコピー 〇返信用封筒(簡易書留用) 〇日本の資格を有することを証明する文書(免許書,証明書等の写し) 〇その他,審査上必要となる資料 (在留資格変更許可申請) 〇在留資格変更許可申請書 〇写真(縦4cm×横3cm) 〇パスポート及び在留カード 〇入管所定の葉書 〇日本の資格を有することを証明する文書(免許書,証明書等の写し) 〇その他,審査上必要となる資料 (在留期間更新許可申請)…

文化活動ビザとは?

1.文化活動ビザの活動内容は? 文化活動ビザは,次のいずれかの活動に該当する必要があります。 ①収入を伴わない学術上の活動 ②収入を伴わない芸術上の活動 ③我が国特有の文化又は技芸について専門的な研究を行う活動 ④我が国特有の文化又は技芸について専門家の指導を受けてこれを修得する活動 例えば,外国の大学教授,助教授,講師などで,日本で収入を得ないで研究や調査を行う場合や,生け花,茶道,柔道など日本特有の文化,技芸を専門的に研究する場合,あるいは専門家から個人指導を受ける場合などが該当します。 2.文化活動ビザの注意点は? 文化活動ビザは,就労ビザと異なり収入を得ることは出来ません。そのため,就労することなく,日本で生活することが出来る生活基盤を示すことが入管審査では重要になってきます。 他に注意すべき事項としては,他のビザとの関係についてです。 文化活動ビザの要件に該当する場合であっても,他のビザの要件に該当する場合には下記のとおりの優先劣後の関係となります。 文化活動ビザ < 留学ビザを優先 文化活動ビザ < 研修ビザを優先 3.文化活動ビザを申請する場合の必要書類 文化活動ビザを申請する場合の必要書類は,以下のとおりです。 (在留資格認定証明書交付申請) 〇在留資格認定証明書交付申請書 〇写真(縦4cm×横3cm) 〇パスポートのIDページコピー 〇返信用封筒(簡易書留用) 〇具体的な活動の内容,期間及び当該活動を行おうとする機関の概要を明らかにする資料 ・申請人又は受入れ機関が作成した日本での活動内容及びその期間を明らかにする文書 ・申請人が当該活動を行おうとする機関の概要を明らかにする資料(パンフレット等) 〇次のいずれかで,学術上又は芸術上の業績を明らかにする資料 ・関係団体からの推薦状 ・過去の活動に関する報道 ・入賞,入選等の実績 ・過去の論文,作品等の目録 ・上記に準ずる文書 〇申請人が日本に在留した場合の経費支弁能力を証する文書 〇外国人の方が,専門家の指導を受けて我が国特有の文化又は技芸を修得しようとする場合については,当該専門家の経歴及び業績を明らかにする次のいずれかの資料 ・免許等の写し ・論文,作品集等 ・履歴書 〇その他,審査上必要となる資料 (在留資格変更許可申請)…

入管法の上陸拒否事由とは?

1.入管法5条で定める上陸拒否事由とは? どのような外国人を入国させるかということについては,各主権国家において決定することが国際法上,確立した原則となっています。つまり,日本にとって好ましくない外国人の入国を拒否したり又は一定の要件を備えている方のみ入国を許容することは,国際法上認められているのです。 日本においても,公衆衛生,公の秩序,国内の治安等,日本の国益を守る観点から,入管法第5条において上陸拒否の事由を定めています。 2.入管法の上陸拒否事由について(第1項) 入管法第5条第1項では,1号から14号の上陸拒否事由を定めています。そして,いずれかの上陸拒否事由に該当すれば,日本へ上陸することが出来ない旨を規定しています。 それでは,具体的に入管法第5条の上陸拒否事由をみていきましょう。 ①感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成十年法律第百十四号)に定める一類感染症,二類感染症,新型インフルエンザ等感染症若しくは指定感染症(同法第七条の規定に基づき,政令で定めるところにより,同法第十九条又は第二十条の規定を準用するものに限る。)の患者(同法第八条(同法第七条において準用する場合を含む。)の規定により一類感染症,二類感染症,新型インフルエンザ等感染症又は指定感染症の患者とみなされる者を含む。)又は新感染症の所見がある者 感染予防法の目的に鑑み,日本に病原菌等の侵入を防ぐことを目的として,上陸拒否者として規定されています。 ②精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者又はその能力が著しく不十分な者で,本邦におけるその活動又は行動を補助する者として法務省令で定めるものが随伴しないもの 従前は,精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に定める精神障害者の方を上陸拒否にしていました。しかし,一律の規定では障害者の方の社会活動を阻害してしまうケースも想定されることから,本号の見直しを行い,「本邦におけるその活動又は行動を補助する者として法務省令で定めるものが随伴しないもの」として,一定の要件のもと上陸拒否になることを定めたものです。 ③貧困者,放浪者等で生活上国又は地方公共団体の負担となるおそれのある者 外国から日本での援助を期待する外国人の入国が増加すれば,日本の財政上の観点からも問題が生じます。そのため本号は,国,地方公共団体の福祉負担を受けるおそれのある外国人の増加を防止するために設けられました。 ④日本国又は日本国以外の国の法令に違反して,一年以上の懲役若しくは禁錮又はこれらに相当する刑に処せられたことのある者。ただし,政治犯罪により刑に処せられた者は,この限りでない。 実務上,ご質問が多く,上陸拒否の事案としてご相談が多いのが本号です。本号は,日本の法令のみならず,外国の法令に違反した場合にも該当します。また,執行猶予付きの有罪判決を受けた場合であっても,一年以上の懲役若しくは禁錮の刑が確定した段階で,本号に該当することになります。さらに本号は,時の経過を考慮せず,一年以上の懲役若しくは禁錮の刑を受けていれば該当するため,本号該当者を長期拒否事由該当者,永久拒否事由該当者などと言います。 ⑤麻薬,大麻,あへん,覚醒剤又は向精神薬の取締りに関する日本国又は日本国以外の国の法令に違反して刑に処せられたことのある者 薬物事犯に関与して刑に処せられた外国人の上陸拒否事由が本号です。4号同様,本号は,日本の法令のみならず,外国の法令に違反した場合にも該当することになります。4号と異なるのは,刑の軽重による制限はなく,薬物事犯に関与して刑に処せられた場合には上陸拒否者に該当する点です。薬物事犯については,流入防止の観点,組織犯罪防止の観点から,上陸拒否事由の中でも厳格な運用がなされています。 5-2 国際的規模若しくはこれに準ずる規模で開催される競技会若しくは国際的規模で開催される会議(以下「国際競技会等」という。)の経過若しくは結果に関連して,又はその円滑な実施を妨げる目的をもつて,人を殺傷し,人に暴行を加え,人を脅迫し,又は建造物その他の物を損壊したことにより,日本国若しくは日本国以外の国の法令に違反して刑に処せられ,又は出入国管理及び難民認定法の規定により本邦からの退去を強制され,若しくは日本国以外の国の法令の規定によりその国から退去させられた者であつて,本邦において行われる国際競技会等の経過若しくは結果に関連して,又はその円滑な実施を妨げる目的をもつて,当該国際競技会等の開催場所又はその所在する市町村(特別区を含むものとし,地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあつては,区又は総合区)の区域内若しくはその近傍の不特定若しくは多数の者の用に供される場所において,人を殺傷し,人に暴行を加え,人を脅迫し,又は建造物その他の物を損壊するおそれのあるもの 2001年の入管法改正によって新設された規定です。ワールドカップなどの国際的な競技会や首脳会談や閣僚会議等において,暴行事件等を行うおそれのある外国人の上陸拒否を定めたのが本号です。 ⑥麻薬及び向精神薬取締法(昭和二十八年法律第十四号)に定める麻薬若しくは向精神薬,大麻取締法(昭和二十三年法律第百二十四号)に定める大麻,あへん法(昭和二十九年法律第七十一号)に定めるけし,あへん若しくはけしがら,覚せい剤取締法(昭和二十六年法律第二百五十二号)に定める覚せい剤若しくは覚せい剤原料又はあへん煙を吸食する器具を不法に所持する者 5号と同様に,薬物の流入防止の観点から,日本における薬物汚染を未然に防ぐために設けられました。本号は,刑に処せられたか否かは問わず,入国審査官が独自に本号の該当者と認定すれば,上陸拒否の措置がとられることになります。 ⑦売春又はその周旋,勧誘,その場所の提供その他売春に直接に関係がある業務に従事したことのある者(人身取引等により他人の支配下に置かれていた者が当該業務に従事した場合を除く。) 本号は,外国人による売春関係の行為を防止する観点で設けられた上陸拒否事由です。売春業務従事者の上陸を拒否する趣旨から,現に売春行為を行った者のみならず,勧誘や場所提供などを行った者についても上陸拒否者として規定しています。 7-2 人身取引等を行い,唆し,又はこれを助けた者 従前本号の規定がなく,人身取引等の加害者については,人身取引等を直接の理由として,上陸拒否者の対象とすることが出来ませんでした。そのため,人身取引の防止を目的として,平成17年の改正により設けられた規定です。 ⑧銃砲刀剣類所持等取締法(昭和三十三年法律第六号)に定める銃砲若しくは刀剣類又は火薬類取締法(昭和二十五年法律第百四十九号)に定める火薬類を不法に所持する者 銃砲刀剣類等,人に危害を加える危険物を不法に所持する外国人の上陸拒否を定める規定です。 ⑨次のイからニまでに掲げる者で,それぞれ当該イからニまでに定める期間を経過していないもの イ 第六号又は前号の規定に該当して上陸を拒否された者 拒否された日から一年 ロ 第二十四条各号(第四号オからヨまで及び第四号の三を除く。)のいずれかに該当して本邦からの退去を強制された者で,その退去の日前に本邦からの退去を強制されたこと及び第五十五条の三第一項の規定による出国命令により出国したことのないもの 退去した日から五年 ハ 第二十四条各号(第四号オからヨまで及び第四号の三を除く。)のいずれかに該当して本邦からの退去を強制された者(ロに掲げる者を除く。) 退去した日から十年 ニ 第五十五条の三第一項の規定による出国命令により出国した者 …

出国命令制度とは?ビザ専門の国際行政書士が徹底解説!

1.出国命令制度の対象者になるには? 出国命令制度の対象となる外国人は,下記の①~⑤全ての要件を満たす必要があります。 ①速やかに日本から出国する意思をもって,自ら入国管理官署に出頭したこと。 ②不法残留以外の退去強制事由に該当しないこと。 ③入国後に窃盗罪等の所定の罪により懲役又は禁錮に処せられていないこと。 ④過去に退去強制されたこと又は出国命令を受けて出国したことがないこと。 ⑤速やかに日本から出国することが確実と見込まれること。 それぞれ,詳しく見ていきましょう。 ①速やかに日本から出国する意思をもって,自ら入国管理官署に出頭したこと。 出国命令制度の対象者の認定を受けるためには,入管や警察から摘発される前に自ら入管へ出頭する必要があります(これを「出頭申告」と言います)。入管や警察から摘発された後では,出頭申告とは見られず,出国命令制度の対象者になりません。 ②不法残留以外の退去強制事由に該当しないこと。 出国命令制度の対象者は,いわゆる「オーバーステイ」で日本に滞在している外国人に限定されています。 具体的には, 入管法第24条2号の3(在留資格取消後の猶予期間経過) 入管法第24条4号(在留期間経過) 入管法第24条6号(特例上陸の期間経過) 入管法第24条7号(在留資格取得未了の場合の在留期間経過) のいずれかに該当する場合です。 そのため,不法上陸事案,刑事処分を受けた事案などは,不法残留以外の退去強制事由に該当するため,出国命令制度の対象にはなりません。 ③入国後に窃盗罪等の所定の罪により懲役又は禁錮に処せられていないこと。 日本へ入国後,下記の罪により懲役又は禁錮に処せられた場合には,出国命令制度の対象者にはなりません。 刑法第二編 ・第十二章 住居侵入等 ・第十六章から第十九章まで 通貨偽造等,文書偽造等,有価証券偽造等,支払用カード電磁的記録不正作出等,印章偽造等 ・第二十三章 賭博等 ・第二十六章 殺人等 ・第二十七章 傷害等 ・第三十一章 逮捕及び監禁等 ・第三十三章 略取,誘拐及び人身売買等 ・第三十六章 窃盗及び強盗等 ・第三十七章 詐欺及び恐喝等…

就労ビザの許可事例・不許可事例の徹底検証!

1.就労ビザが認められるためには? 就労ビザが認められるためには,在留資格該当性と上陸許可基準適合性をそれぞれ満たす必要があります。 では,在留資格該当性,上陸許可基準適合性を満たすためには,どのような要件をクリアすれば良いのでしょうか。 日本の在留資格(一般的なビザ)は,活動内容ごと,身分,地位ごとにカテゴリーされているのですが,あらかじめ入管法で類型化された活動内容や身分,地位に該当すれば,在留資格該当性を有すると判断され,反対に該当しなければ在留資格該当性を有しないと判断されます。 つまり,入管法があらかじめ定めていない活動内容は,就労ビザを取得することは出来ません。 次に,上陸許可基準適合性について説明をすると,経済や国民生活に及ぼす影響を勘案し,入管政策上の観点から調整を要する外国人の活動について,在留資格該当性に加えて,法務省令において定められている基準のことを上陸許可基準といいます。就労ビザの場合には,学歴や職歴,また保有する資格などが要件とされています。 この基準に適合すれば上陸許可基準適合性を有し,反対に適合しない場合には,上陸許可基準に不適合とされ,就労ビザを取得することは出来ません。 このように,就労ビザが許可されるか否かは,在留資格該当性と上陸許可基準適合性の有無に掛かっているのです。 2.就労ビザの許可事例 本チャプターでは,法務省が公表している「「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について」,「留学生の在留資格「技術・人文知識・国際業務」への変更許可のガイドライン」の2つのガイドラインをもとに,就労ビザの許可事例を掲載しています。 (1)最高学歴が大学の場合の就労ビザの許可事例 ①工学部を卒業した者が,電機製品の製造を業務内容とする企業との契約に基づき,技術開発業務に従事するもの。 ②経営学部を卒業した者が,コンピューター関連サービスを業務内容とする企業との契約に基づき,翻訳・通訳に関する業務に従事するもの。 ③法学部を卒業した者が,法律事務所との契約に基づき,弁護士補助業務に従事するもの。 ④教育学部を卒業した者が,語学指導を業務内容とする企業との契約に基づき,英会話講師業務に従事するもの。 ⑤本国において工学を専攻して大学を卒業し,ソフトウェア会社に勤務した後,本邦のソフトウェア会社との契約に基づき,月額約35万円の報酬を受けて,ソフトウェアエンジニアとしてコンピューター関連サービスに従事するもの。 ⑥本国において経済学,国際関係学を専攻して大学を卒業し,本邦の自動車メーカーとの契約に基づき,月額約20万円の報酬を受けて,本国と日本との間のマーケティング支援業務として,市場,ユーザー,自動車輸入動向の調査実施及び自動車の販売管理・需給管理,現地販売店との連携強化等に係る業務に従事するもの。 ⑦経営学を専攻して本邦の大学を卒業し,本邦の航空会社との契約に基づき,月額約25万円の報酬を受けて,国際線の客室乗務員として,緊急事態対応・保安業務のほか,乗客に対する母国語,英語,日本語を使用した通訳・案内等を行い,社員研修等において語学指導などの業務に従事するもの。 (2)最高学歴が専門学校の場合の就労ビザの許可事例 ①マンガ・アニメーション科において,ゲーム理論,CG,プログラミング等を履修した者が,本邦のコンピューター関連サービスを業務内容とする企業との契約に基づき,ゲーム開発業務に従事するもの。 ②自動車整備科を卒業した者が,本邦の自動車の点検整備・配送・保管を業務内容とする企業との契約に基づき,サービスエンジニアとしてエンジンやブレーキ等自動車の基幹部分の点検・整備・分解等の業務に従事するとともに,自動車検査員としての業務に従事することとなるもの。 ③美容科を卒業した者が,化粧品販売会社において,ビューティーアドバイザーとしての活動を通じた美容製品に係る商品開発,マーケティング業務に従事するもの。 ④国際ビジネス学科において,観光概論,ホテル演習,料飲実習,フードサービス論,リテールマーケティング,簿記,ビジネスマナー等を履修した者が,飲食店経営会社の本社事業開発室において,アルバイトスタッフの採用,教育,入社説明資料の作成を行うもの。 ⑤観光・レジャーサービス学科において,観光地理,旅行業務,セールスマーケティング,プレゼンテーション,ホスピタリティ論等を履修した者が,大型リゾートホテルにおいて,総合職として採用され,フロント業務,レストラン業務,客室業務等についてもシフトにより担当するとして申請があったため,業務内容の詳細を求めたところ,一部にレストランにおける接客,客室備品オーダー対応等「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に該当しない業務が含まれていたが,申請人は総合職として採用されており,主としてフロントでの翻訳・通訳業務,予約管理,ロビーにおけるコンシェルジュ業務,顧客満足度分析等を行うものであり,また,他の総合職採用の日本人従業員と同様の業務であることが判明したもの。 3.就労ビザの不許可事例 本チャプターでは,「留学生の在留資格「技術・人文知識・国際業務」への変更許可のガイドライン」に掲載されている就労ビザ不許可事例の一部を掲載しています。 ※<コメント>は,当社の行政書士が記載しています。 (1)最高学歴が大学の場合の就労ビザの不許可事例 ①経済学部を卒業した者から,会計事務所との契約に基づき,会計事務に従事するとして申請があったが,当該事務所の所在地には会計事務所ではなく料理店があったことから,そのことについて説明を求めたものの,明確な説明がなされなかったため,当該事務所が実態のあるものとは認められず,「技術・人文知識・国際業務」の在留資格に該当する活動を行うものとは認められないことから不許可となったもの。 <行政書士のコメント> 在留資格該当性(活動内容)が重視される就労ビザの審査にあって,実態がない会社での勤務ということになれば,就労ビザは当然不許可となります。仮に,嘘がばれることなく就労ビザが許可されてしまった場合でも,後に大きなペナルティーを受けることになってしまいますので,虚偽申請は絶対にしないようにして下さい。 (参考) 虚偽申請を取り締まるため,「在留資格等不正取得罪」が平成29年1月1日に創設されました。 偽りその他不正の手段で就労ビザを取得した場合には,3年以下の懲役若しくは禁固若しくは3百万円以下の罰金に処し,又はその懲役若しくは禁固若しくは罰金を併科するとしています(入管法第70条第1項2号の2)。 ②教育学部を卒業した者から,弁当の製造・販売業務を行っている企業との契約に基づき現場作業員として採用され,弁当加工工場において弁当の箱詰め作業に従事するとして申請があったが,当該業務は人文科学の分野に属する知識を必要とするものとは認められず,「技術・人文知識・国際業務」の該当性が認められないため不許可となったもの。 <行政書士のコメント> 技術・人文知識・国際業務ビザの在留資格該当性がないと判断された事例です。就労ビザを取得するためには,学術的な知識を要する業務や外国人の思考,感受性を活かせる業務が必要とされているところ,弁当加工工場における弁当の箱詰め作業は,いわゆる単純作業と判断されています。 技術・人文知識・国際業務ビザは,反復継続して習得できるものや,知識やスキルを必要としない業務は,在留資格該当性を有さないと判断されますので,業務内容の精査は必要不可欠とお考え下さい。 ③工学部を卒業した者から,コンピューター関連サービスを業務内容とする企業との契約に基づき,月額13万5千円の報酬を受けて,エンジニア業務に従事するとして申請があったが,申請人と同時に採用され,同種の業務に従事する新卒の日本人の報酬が月額18万円であることが判明したことから,報酬について日本人と同等額以上であると認められず不許可となったもの。 <行政書士のコメント>…

芸術ビザとは?

1.芸術ビザに該当する具体的な職業は? 芸術ビザの活動内容は,収入を伴う音楽,美術,文学その他の芸術上の活動と入管法で定められています。 具体的な職業としては,下記の方が対象とされています。 ①創作活動を行う作曲家,作詞家,画家,彫刻家,工芸家,著述家および写真家等の芸術家 ②音楽,美術,文学,写真,演劇,舞踏,映画その他の芸術上の活動についての指導者 なお,上記はあくまで一例で,その他の芸術上の活動に該当するのであれば,芸術ビザを取得できる可能性はあります。 2.芸術ビザの入管審査のポイントは? 芸術ビザを取得するためには,以下のポイントが重要です。 一つ目のポイントは,芸術上の活動のみにより,日本で安定した生活を営むことができるという点です。入管審査においても,社会生活を送ることが可能な収入を得ることという点は,許可と不許可を分けるポイントとして認識されています。 二つ目のポイントは,芸術上の活動において,安定した収入を得ることができる実績があるということです。これまでの芸術上の活動での実績,例えばコンクールでの入賞,展覧会での入選など,安定収入を得られることを予見させる実績を示す必要があります。仮に,実績が全くない場合には,芸術上の活動で安定収入を得る信憑性が低いとして,芸術ビザが不許可になってしまう可能性もあります。 三つ目のポイントは,他の在留資格との関係です。行う業務内容,活動拠点,収入の有無によって,芸術ビザになるのか,はたまた他のビザになるのかという点が重要です。4.芸術ビザQ&A に具体的事例を記載していますのでご確認ください。 3.芸術ビザを申請する場合の必要書類 芸術ビザを申請する場合の必要書類は以下のとおりです。 ※リンク先は,法務省出入国在留管理庁ホームページ (在留資格認定証明書交付申請) http://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/shin_zairyu_nintei10_02.html (在留資格変更許可申請) http://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/shin_henko10_02.html (在留期間更新許可申請) http://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/shin_zairyu_koshin10_03.html 4.芸術ビザQ&A 芸術ビザについて,ご質問の多い事項を以下にまとめています。 Q 大学に所属して芸術に関する研究の指導を行う予定なのですが,この場合のビザは芸術ビザになるのでしょうか? A 大学における芸術上の研究の指導又は教育を行う活動については,芸術ビザではなく,教授ビザに該当します。 Q 芸術ビザの在留期間を教えてください。 A 5年,3年,1年,3月の在留期間が付与されます。 Q 日本で写真家として活動する予定としています。しかし,過去に芸術上の活動での実績がありません。そのため,最初は無報酬で業務を請け負うつもりなのですが,このような場合でも芸術ビザは取得することが出来ますか? A 芸術上の活動のみによって,日本で安定した生活を営むことが出来ない場合には,芸術ビザは取得することが出来ません。もっとも,本件のように収入を伴わない芸術上の活動を行う場合には,文化活動ビザに該当する可能性はあります。 Q オペラ指揮者の仕事で来日を予定しています。この場合のビザは,芸術ビザで間違いないでしょうか。 A 収入を伴う芸術上の活動であっても,活動内容が興行ビザに該当する場合には,芸術ビザではなく,興行ビザが優先適用されることになります。…