行政書士法人第一綜合事務所

【経営管理ビザの要件】必要知識を総まとめ!

当社では,毎年多くの経営管理ビザの申請を行っています。
経営管理ビザを取得するためには,多くの検討・確認事項があり,1つでもエラーがあると,申請が許可になりません。
本ページでは経営管理ビザの要件を出来るだけ簡単に解説しています。
ぜひ最後までお読み頂き,必要な知識をインプットして下さい。

1.経営管理ビザの要件【アウトライン】

経営管理ビザに限らず,就労ビザと呼ばれる多くの在留資格では,原則として2つの要件を満たす必要があります。

①行おうとする活動がその在留資格に該当するかどうか(在留資格該当性
②その在留資格について求められる基準に適合しているかどうか(上陸許可基準適合性

そして,上記①②を経営管理ビザに当てはめると,次のように分解できます。

①-1:事業の「経営」または「管理」業務を行うこと
①-2:事業が適正に行われること
①-3:事業が安定的・継続的に行われること
②-1:事業所が存在(もしくは確保)されていること
②-2:一定以上の事業規模があること
②-3:「管理」業務に従事する場合,3年の経験があること
②―4:「管理」業務に従事する場合,日本人と同等以上の報酬を受けること

当社へのご相談者の中には,どこから聞いたのか,「500万円あれば経営管理ビザが取れる」といった,誤った理解をされている方もいらっしゃいます。
しかし,その500万円の要件というのは,上記で言うところの「②-2 一定以上の事業規模があること」の一要素に過ぎず,経営管理ビザの理解としては不十分です。

次のチャプターからは,それぞれの要件を掘り下げて見てきましょう。

2.経営管理ビザの要件【①在留資格該当性】

まず解説をするのは,「在留資格該当性」です。
読んで字のごとく,行おうとする活動が在留資格に該当するか,という要件です。

ただし,実際には「在留資格該当性」があるかどうかの判断には,在留資格に活動がマッチしているだけでなく,その活動が適法に行われ,今後も安定的・継続的に行われることも審査されるので注意が必要です。

①-1:事業の「経営」または「管理」業務を行うこと

入管法では,経営管理ビザの活動内容を次のように規定しています。

本邦において貿易その他の事業の経営を行い又は当該事業の管理に従事する活動

上記の条文が意味するところは,
予定する活動が,事業の「経営を行う活動」または「管理に従事する活動」であるか,ということです。

ちなみに,「経営を行う活動」と「管理に従事する活動」がそれぞれ何を指すかというと,「経営を行う活動」とは,事業の経営に実質的に参画する者(代表取締役,取締役,監査役等の役員)として,事業を運営する活動を指します。

次に「管理に従事する活動」とは,企業の部門を統括する職員(部長,工場長,支店長等)として,当該部門における事業活動を管理する活動を指します。

まずは,これらの活動に従事するということ(信ぴょう性)を,十分に入管に立証しなければなりません。

①-2:事業が適正に行われること

次に立証が必要なのが,「事業の適正性」です。

経営管理ビザで行おうとする事業の内容には,入管法上は特に制限はありません。
しかし,その事業は法律に従い,適正に運営されなければなりません。

具体的には,許認可等が必要な事業を行う場合は,許認可の取得が要件になります。
例えば,宿泊事業をする際の旅館業法に基づく営業許可や,飲食店を営業する際の飲食店営業許可などです。

また,職員を雇用する場合には労働保険や社会保険に加入する,といった法に適合した対応が求められます。

①-3:事業が安定的・継続的に行われること

在留資格該当性の3つ目の要素としては,「事業の安定性・継続性」が求められます。

予定する活動が安定的・継続的に行われることは,経営管理ビザに限らず,どの在留資格においても求められます。
しかし,経営管理ビザにおいては,特にこれらの判断が事業の実態,業績と直接的に結びついており,会社が安定的に利益を出し,事業が継続的に行われていることが重要視されているのです。
これは,既に初回の決算報告を終えている既存の会社であれば,決算報告書によってその実績を証明することが出来ます。
しかし,特に設立間もない会社においては,将来に向かっての事業の継続性を示すには,事業計画書やその他任意書類によって主張する他なく,立証方法の良し悪しが経営管理ビザの許否を左右するといっても過言ではありません。

なお,決算書が提出できる会社であっても,売上総利益の有無,営業利益の有無,財務状況等によってはビザの更新が出来なかったり,長期の在留期間が付与されないといった不利益が発生する可能性があります。

経営管理ビザの更新については,経営管理ビザ 更新 で詳しく解説をしていますので,初回の経営管理ビザ取得後のビザ更新の指針としてご参照ください。

3.経営管理ビザの要件【②上陸許可基準適合性】

「在留資格該当性」の次に解説をするのは,「上陸許可基準適合性」です。
あなたの活動が,前章で解説した項目に照らして,経営管理ビザの活動に該当するとなれば,次は,「経営・管理」の活動を行うために定められたいくつかの基準を満たさなければなりません。

②-1:事業所が存在(もしくは確保)されていること

経営管理ビザの上陸許可基準の一つとして,日本国内に「事業所が存在する(もしくは確保されている)」ことが求められます。
そして,「事業所が存在する(もしくは確保されている)」と言えるためには,専有の「独立したスペースが確保」されていること,そして,事業所として機能するために十分な「物的・人的設備が確保」されていることが求められます。

まず,事業所が「独立したスペース」であると言えるためには,それが固着した壁面で物理的・機能的に専有部分が区切られていなければなりません。
「固着した」とは,パーテーションのように容易に移動可能なものではなく,天井から床までしっかりと固定されているといったイメージです。

この事務所の独立性について,オフィス形態毎に具体例を示すと,例えば,バーチャルオフィスは一般的に専有スペースが存在しないため,事業所として認められません。
一方,シェアオフィスのように,共用部分とは別に,他の事業者が使用するスペースと明確に区分された専有スペースがあれば,要件を満たすことになります。

次に,「物的・人的設備が存在している(確保されている)」とは,事業を運営する上で必要な人やモノがあるということを意味します。
この判断は事業内容によって異なり,例えば,在庫をかかえないオンデマンドの貿易取引を事業とする場合には,事務設備が備わっていれば事業所として機能します。
対して,飲食店を経営する場合には,厨房設備はもちろん,カウンターや客席の設置も求められることになります。
基本的には,会社設立の準備をする際には,上記の基準を満たすように事務所を契約して設備を整えることになります。

よくあるケースとして,「自宅の一部を事務所として使用して良いか?」というご質問を受けることがあります。
考え方としては,新たに物件を借りる場合も,自宅兼事務所として使用する場合も同じです。

ただし,自宅兼事務所の場合に特に意識すべきは「独立したスペース」というポイントで,居住スペースと事業のために使用するスペースを明確に区分しなければなりません。
リビングの一画を事務所として使用する場合は専有部分が不明確ですので,事業所を確保しているとは認められません。
たとえば,1階は事務所,2階は住居といったように明確に区分することができるのであれば,事業所として使用できるでしょう。

経営管理ビザの事業所要件は論点を多く含み,上記以外にも数多くの注意事項があります。
詳しくは,経営管理ビザ 事務所 のページに記載していますので,ご覧ください。

②-2:一定以上の事業規模があること

次に解説をするのは「事業規模」に関する要件で,皆さんがよく聞く「500万円」の話です。

色々な方からの相談を受けていると,この「500万円」をめぐっては,多くの方が誤解を持っているように感じます。

例を挙げると,次の3つは要件理解として,全て誤りです。

  • 資本金が500万円ないといけない。
  • 必ず申請人が500万円を出資しないといけない。
  • 申請人1人につき500万円を出資しないといけない。

ではここから,事業規模に関する要件を詳しく見ていきましょう。

二 申請に係る事業の規模が次のいずれかに該当していること。
イ その経営又は管理に従事する者以外に本邦に居住する二人以上の常勤の職員(法別表第一の上欄の在留資格をもって在留する者を除く。)が従事して営まれるものであること。
ロ 資本金の額又は出資の総額が五百万円以上であること。
ハ イ又はロに準ずる規模であると認められるものであること。

上記の条文から分かる通り,上陸許可基準が求めているのは,あくまで「一定の事業規模を有していること」です。

そして,その一定の事業規模を示す方法の一つとして,500万円の資本金または出資が挙げられているに過ぎません。
つまり,イ)本邦に居住する2人以上の常勤従業員を確保していること,ロ)資本金又は出資の総額が500万円以上であること,もしくは,イ)又はロ)に準ずる規模であること,のいずれかによって,一定の事業規模であることを示すことが出来れば,本要件を満たすことになります。

イ) 本邦に居住する2人以上の常勤従業員を確保していること
「経営・管理」活動に従事する外国人以外に,日本に居住する常勤の職員が2名以上勤務していることです。
この常勤従業員には,いわゆる「就労ビザ」で在留する外国人は除かれており,日本人,特別永住者の他,永住者,日本人の配偶者等,永住者の配偶者等,定住者の在留資格をもって在留する人でなければなりません。

また,「常勤」というためには,パートタイマーやアルバイトは該当せず,週5日以上で1週の所定労働時間が30時間以上である必要があります。

この要件を満たせば,500万円の資本金が無くても事業規模の要件をクリアすることになります。
これで「資本金が500万円ないといけない。」という理解が誤りであることがお分かりいただけましたね。

しかし,実務上は資本金500万円によってビザ申請をするケースがほとんどです。
なぜなら,仮に常勤職員2名を雇用した場合,それぞれの月給が20万円だと想定すると,従業員2名へ支払う給与及び社会保険料等の総額は,年間500万円を優に超えてしまいます。
つまり,常勤従業員の要件で事業規模を立証する場合は,会社設立当初にまとまったキャッシュがいらない代わりに,事業開始時から固定費を負わなくてはならないというデメリットがあるからです。

ロ) 資本金又は出資の総額が500万円以上であること
この要件は,事業が法人で営まれる場合を前提としています。
多い勘違いとして,出資者が経営管理ビザを取得しようとする外国人本人でないといけない,と思っている方がいらっしゃいます。
正しい理解としては,500万円の資本金は,申請人以外が出資した場合でも構いません。
これは,あくまで本要件が事業規模についての要件であって,申請人の出資を求める規定ではないからです。

ただし,出資の割合が事業を行う上での意思決定に大きく影響することから,事業の信ぴょう性という観点からは,「申請人=出資者」という構図は有利に働きます。

事業規模要件も事業所要件と同様に奥が深く,上記の他に「出資金をどのように形成したか」といった,大変重要な論点もございます。
詳しくは 経営管理ビザ 資本金 でご覧いただけますと幸いです。

②-3:「管理」業務に従事する場合,3年の経験があること

最後に,ここからは「経営」ではなく「管理」業務に従事する場合に特有の,上乗せ要件を解説していきます。

まず,何の実務経験・学歴も必要としない「経営」に対して,「管理」業務に従事する場合は,3年以上の実務経験を必要としています。
この実務経験には,実際に「経営・管理」にあたる業務に従事した期間に加えて,大学院で経営又は管理に係る科目を専攻した期間を含むことが出来ます。

そのため,「経営・管理」業務の実務経験が3年無くても,例えば,大学院のMBA課程に3年間在籍していた方は,この要件を満たすことになります。

②―4:「管理」業務に従事する場合,日本人と同等以上の報酬を受けること

次の上乗せ要件は,日本人が同業務に従事する場合に受ける報酬と同等以上の報酬を受けることです。
これは,国籍を理由とした不利益的取り扱いを禁止する趣旨で設定されています。
会社に賃金規程があれば,日本人同様にそれに従った報酬が支払われる必要がありますし,賃金規程が無ければ,その職務内容や責任の程度等から,比較対象となる日本人の報酬額を考慮し,合理的な金額の報酬を支払わなければなりません。

4. 経営管理ビザの要件【まとめ】

本コラムのまとめとして,経営管理ビザ申請を成功に導く秘訣をお教えいたします。

経営管理ビザ申請の成功の秘訣は,ずばり「事前準備」です。
では,何の事前準備が必要かというと,それは「事業の計画」と,「ビザ知識の把握」です。

事前に「事業の計画」を練らなければ,申請の際に具体的な事業計画や必要な資料を入管に示すことが出来ません。
また,事前にビザ知識を仕入れていなければ,会社設立の入り口の事務所契約でさえも失敗し,将来のビザ申請に大きな影を落とすことになります。

もっとも,事業計画がしっかりしており,要件に沿った準備が出来れば,経営管理ビザはそれほど難しいビザではありません。

当社では,外国人起業家の皆様が開業準備に集中できるよう,ビザの観点からリスクを察知し,最短ルートで経営管理ビザの取得をご案内致します。

英語,中国語,ベトナム語にも対応しておりますので,経営管理ビザのご相談をご希望の方は,当社の無料相談をご利用ください。