依田 隼弥

スペイン人との国際結婚手続きを専門行政書士が解説!

本ページでは,日本人とスペイン人との国際結婚手続きについて,国際業務専門の行政書士が解説します。

1.国際結婚手続きの用語解説

本チャプターでは,国際結婚手続きにおける専門用語を解説していきます。
以降の内容をご参照いただくにあたり必要となる前提知識ですので,ご一読の上,次のチャプターに進んでください。

①国際結婚の成立とは?

国際結婚が有効に成立するには,双方の国籍国(本事例でいうと日本とスペイン)において,法的に有効な婚姻関係にあることが原則必要とされています。
日本で先に結婚手続きを行うことを日本方式と言い,スペインで先に結婚手続きを行うことをスペイン方式と言います。

②婚姻要件具備証明書とは?

外国人が,日本方式の婚姻を有効に成立させるためには,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件(婚姻できる年齢に達していること,独身であることなど)を満たしていることが必要とされています。
もっとも,日本の市区町村役場で,外国人の国籍国の法律を全て審査することは現実的ではありません。
そのため,国際結婚においては,婚姻要件具備証明書を提出することによって,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていると判断することにしているのです。
なお,発行国によっては,独身証明書などと言われることがありますが,独身であることのみならず,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていることが明らかになるものであれば,基本的には婚姻要件具備証明書と考えていただいて差支えありません。

2.スペイン人との国際結婚手続きで注意すること

スペイン人と日本人との国際結婚手続きの際,ご注意いただきたい事項を下記に記載いたします。

①婚姻の形式的要件について

スペイン法によれば,スペイン国外で成立した婚姻は,スペイン法に規定される手続き(15日以上の公示,裁判官・市長・公務員の立ち合い,証人の出席)に従っていなければ無効とされます。日本方式で婚姻しようとする際は,在日スペイン公館で婚姻要件具備証明書を取得する際に,これらの手続きが求められます。

なお,日本の市区町村役場は婚姻要件具備証明書を取得していない場合でも,婚姻届を受理することができます。この場合,日本法上は婚姻が成立しますが,スペイン法上では,規定された手続きに従った婚姻ではないため,無効となります。改めてスペイン法に従った婚姻手続きをしようにも,既に日本法上は婚姻が成立しているため,日本人側の必要な書類が取得できず,スペイン側の手続きができなくなります(この状態を跛行と言います)。スペイン法上は独身と扱われますので,後々大きなトラブルになりかねない状態です。

したがって,スペイン人との婚姻で日本方式を選択した際には,必ず在日スペイン公館で適式な手続きを行って婚姻要件具備証明書を取得してください。

②婚姻可能な年齢について

スペイン人の婚姻可能な年齢は,男女ともに18歳以上です。ただし,裁判官の許可を受ければ,14歳以上の者も婚姻することができます。
もっとも,日本法では16歳未満の女性との婚姻は公序良俗に反するものとして無効な婚姻になりますので,スペインの裁判所の許可があったとしても,結局のところ16歳以上でなければ婚姻することはできません。

③再婚禁止期間について

スペイン法には再婚禁止期間は定められていません。もっとも,日本法では女性は離婚後100日間の再婚禁止期間があり(妊娠していないことの医師の証明書を提出すれば離婚後100日未満でも禁止されません),この規定はスペイン人との婚姻にも適用されます。

3.日本方式による婚姻手続き

本題の国際結婚手続きについて解説していきます。
ここからは,日本人とスペイン人が日本方式で婚姻をおこなう場合の必要書類を記載します。
なお,市区町村役場によって若干の相違があるため,事前に役所照会することをお勧めいたします。

①日本の市区町村役場において必要となる書類

<日本人の方にご準備いただく書類>
・婚姻届書(日本人同士の場合と同様のものです)
・本人確認資料(運転免許証又はパスポート等)
・戸籍謄本(本籍地以外に婚姻届を提出する場合)

<スペイン人の方にご準備いただく書類>
・婚姻要件具備証明書※(日本語訳を添付)
・パスポート

※ 在日スペイン大使館または領事館で取得が可能です。
婚姻要件具備証明書を取得する際には,大使館で15日間の公示がされた後,領事との面接があります。婚姻当事者双方が出席しなければならないため,スペイン人が日本に滞在していなければ婚姻要件具備証明書を取得することはできません。

②スペインへの婚姻報告について

婚姻届が受理された後,在日スペイン公館で婚姻登録の手続きを行います。婚姻が登録されると,家族手帳が発行されます。

<必要書類>
・婚姻届受理証明書(スペイン語訳を添付)
・日本人の戸籍謄本(スペイン語訳を添付)

4.スペイン方式による婚姻手続き

次は,日本人とスペイン人がスペイン方式で婚姻をする場合についてです。
スペイン方式で婚姻手続きをする場合は,日本人がスペインに渡航する必要があります。

①スペインでの婚姻手続きについて

スペイン方式での婚姻は,まず民事登録所へ必要書類を提出し,挙式許可を申請します。申請後,民事登録所によって婚姻の公示が行われます。公示期間中に異議申し立てがない場合は,民事登録局で面接を受け,結婚式の日取りが決定されます。結婚式には当事者双方と証人が出頭し,婚姻の宣誓が行われます。その後,婚姻登録がされ,結婚証明書が発行されます。

<日本人の方にご用意いただく書類>
・婚姻要件具備証明書※1
・婚姻告知不要証明※1
・パスポート
・戸籍謄本※2(スペイン語訳を添付)
・住民票※2(スペイン語訳を添付)

※1 在スペイン日本大使館で取得します。
※2 日本外務省でアポスティーユを受けてください。

<スペイン人の方にご用意いただく書類>
・出生証明書
・独身証明書
・過去2年間の住所を証明する書面
・DNI(身分証明書)

②日本への婚姻報告について

スペインの民事登録所で婚姻登録がされた後,在スペイン日本大使館または日本の市区町村役場で,婚姻届(報告的届出)を提出してください。

<日本人の方にご用意いただく書類>
・婚姻届書(スペイン人の署名,証人欄の記入は不要)
・本人確認資料(運転免許証又はパスポート等)
・戸籍謄本(本籍地以外に婚姻届を提出する場合)

<スペイン人の方にご用意いただく書類>
・結婚証明書※(日本語訳を添付)
・出生証明書※(日本語訳を添付)
・パスポート

※スペイン外務省でアポスティーユを受けてください。

5.まとめ

本ページでは,日本人とスペイン人の国際結婚手続きを見てまいりました。

スペインの婚姻手続きはローマ・カトリック教の文化が色濃く反映されており,他国と比較すると婚姻手続きに時間がかかる傾向にあります。
特に,スペイン国外で婚姻する際には,スペイン法に従った手続きがされていなければ,スペイン法上は婚姻が無効と判断されることになるため注意が必要です。事前に情報収集をして,手続きに備えることが重要になります。

本ページが,スペイン人との国際結婚をご検討されている方々のご参考になれば幸いです。

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この記事の監修者

行政書士法人第一綜合事務所

依田 隼弥

・令和3年度行政書士試験合格
山梨県出身。東京オフィスに所属し,外国人ビザ申請,国際結婚手続き,永住権取得など国際業務を専門としている。

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