依田 隼弥

【2026年最新】スペイン人との国際結婚手続きと必要書類を行政書士が解説

【2026年最新】スペイン人との国際結婚手続きと必要書類を行政書士が解説

日本でもスペイン語圏の文化への関心が高まり、ワーキングホリデー制度の定着などもあって、近年ではスペイン人との国際結婚を選ぶカップルが増えています。
しかし、スペインの婚姻手続きは非常に厳格で複雑です。さらに2021年以降のデジタル化や、近年の日本側の法改正(婚姻年齢・待婚期間の変更)など、スペイン人の方との国際結婚を取り巻くルールはここ数年で激変しています。

そこで本コラムでは、日本人とスペイン人との国際結婚手続きについて、国際業務専門の行政書士が解説します。

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1.国際結婚手続きの用語解説

この段落では、国際結婚手続きにおける専門用語を解説していきます。
以降の内容をご参照いただくにあたり必要となる前提知識ですので、ご一読の上、次の段落に進んでください。

①国際結婚の成立とは?

国際結婚が有効に成立するには、双方の国籍国(本コラムでいうと日本とスペイン)において、法的に有効な婚姻関係にあることが原則必要とされています。
日本で先に結婚手続きを行うことを日本方式と言い、スペインで先に結婚手続きを行うことをスペイン方式と言います。

②婚姻要件具備証明書とは?

外国人が、日本方式の婚姻を有効に成立させるためには、国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件(婚姻できる年齢に達していること、独身であることなど)を満たしていることが必要とされています。
もっとも、日本の市区町村役場で、外国人の国籍国の法律を全て審査することは現実的ではありません。
そのため、国際結婚においては、婚姻要件具備証明書を提出することによって、国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていると判断することにしているのです。
なお、発行国によっては、独身証明書などと言われることがありますが、独身であることのみならず、国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていることが明らかになるものであれば、基本的には婚姻要件具備証明書と考えていただいて差支えありません。

2.スペイン人との国際結婚手続きで注意すること

スペイン人と日本人との国際結婚手続きの際、ご注意いただきたい事項を下記に記載いたします。

①婚姻の形式的要件について

スペイン法によれば、スペイン国外で成立した婚姻は、スペイン法に規定される手続き(15日以上の公示、裁判官・市長・公務員の立ち合い、証人の出席)に従っていなければ無効とされます。日本方式で婚姻しようとする際は、在日スペイン公館で婚姻要件具備証明書を取得する際に、これらの手続きが求められます。

なお、日本の市区町村役場は婚姻要件具備証明書を取得していない場合でも、婚姻届を受理することができます。この場合、日本法上は婚姻が成立しますが、スペイン法上では、規定された手続きに従った婚姻ではないため、無効となります。改めてスペイン法に従った婚姻手続きをしようにも、既に日本法上は婚姻が成立しているため、日本人側の必要な書類が取得できず、スペイン側の手続きができなくなります(この状態を跛行と言います)。スペイン法上は独身と扱われますので、後々大きなトラブルになりかねない状態です。

したがって、スペイン人との婚姻で日本方式を選択した際には、必ず在日スペイン公館で適式な手続きを行って婚姻要件具備証明書を取得してください。

②婚姻可能な年齢について

スペイン人の婚姻可能な年齢は、男女ともに原則18歳以上です。ただし、法的に親の保護から独立(未成年者の独立:Emancipación)しているなどの条件を満たせば、例外的に16歳から婚姻することが認められています(※かつて認められていた14歳への引き下げ特例は2015年に廃止されました)。
もっとも、日本法(民法)においては2022年の法改正により、婚姻年齢が男女一律で「18歳以上」に引き上げられました。日本の国際私法上、日本の婚姻年齢(18歳)に達していない未成年者との婚姻は、公序良俗に反するものとして日本側で無効と判断される可能性が極めて高いです。

③再婚禁止期間について

スペイン法には再婚禁止期間は定められていません。また、日本の民法では以前は女性に対して離婚後100日間の再婚禁止期間が設けられていましたが、2024年4月の法改正により、再婚禁止期間が完全に撤廃されています。 そのため、2026年現在では日本・スペインともに離婚後すぐに再婚手続きを進めることが可能です。

④個別面接について

スペインの婚姻手続き(日本方式における在日スペイン公館での面接、およびスペイン方式での面接)では、偽装結婚を防ぐために当事者を別々の部屋に分けて行う「個別面接(Audiencia Reservada)」が実施されます。 「相手の部屋の間取り」や「休日の過ごし方」、「お互いの家族のフルネーム」など、かなりプライベートで詳細な質問をされます。お互いの回答が一致しないと、婚姻の許可が下りないケースもあるため、事前に二人の記憶や認識をしっかりすり合わせておく必要があります。

⑤結婚後の「苗字」について

スペインは法律で完全な夫婦別姓が定められているため、国際結婚をしてもお互いの苗字は自動的には変わりません。もし日本人配偶者が「スペイン人の相手の苗字に変更したい(または二人の苗字を組み合わせた結合姓にしたい)」場合は、婚姻成立後6ヶ月以内に、日本の役所や大使館へ別途「氏の変更届」を提出する必要があります。

3.日本方式による婚姻手続き

本題の国際結婚手続きについて解説していきます。
ここからは、日本人とスペイン人が日本方式で婚姻をおこなう場合の必要書類を記載します。
なお、市区町村役場によって若干の相違があるため、事前に役所照会することをお勧めいたします。

①日本の市区町村役場において必要となる書類

<日本人の方にご準備いただく書類>

  • 婚姻届書(日本人同士の場合と同様のものです)
  • 本人確認資料(運転免許証又はパスポート等)

(2024年の戸籍法改正により、本籍地以外の役所に提出する場合でも戸籍謄本の添付は不要となりました)

<スペイン人の方にご準備いただく書類>

  • 婚姻要件具備証明書※(日本語訳を添付)
  • パスポート
  • 出生証明書(日本語訳を添付)

※ 在日スペイン大使館または領事館で取得が可能です。
婚姻要件具備証明書を取得する際には、大使館で15日間の公示がされた後、領事との面接があります。婚姻当事者双方が出席しなければならないため、スペイン人が日本に滞在していなければ婚姻要件具備証明書を取得することはできません。

②スペインへの婚姻報告について

婚姻届が受理された後、在日スペイン公館で婚姻登録(Registro Civil)の手続きを行います。

かつては登録が完了すると紙の「家族手帳(Libro de Familia)」が交付されていましたが、スペインの新民事登録法への完全移行(デジタル化)に伴い、2021年4月末をもって新規発行が停止されました。
そのため2026年現在は、家族手帳の代わりにデジタル化された「婚姻証明書(Certificado de Matrimonio)」が交付されます。日本での「配偶者ビザ(日本人の配偶者等)」を申請する際も、家族手帳ではなく、この「婚姻証明書」の印刷書面(および日本語訳)を入管へ提出することになりますので、ご注意ください。

<必要書類>

  • 婚姻届受理証明書(スペイン語訳を添付)
  • 日本人の戸籍謄本(スペイン語訳を添付)

4.スペイン方式による婚姻手続き

次は、日本人とスペイン人がスペイン方式で婚姻をする場合についてです。
スペイン方式で婚姻手続きをする場合は、日本人がスペインに渡航する必要があります。

①スペインでの婚姻手続きについて

スペイン方式での婚姻は、二つの方法があります。

1. 「民事登録所(Registro Civil)」へ申し込む
まず民事登録所へ必要書類を提出し、挙式許可を申請します。申請後、民事登録所によって婚姻の公示が行われます。公示期間中に異議申し立てがない場合は、民事登録所で面接を受け、結婚式の日取りが決定されます。結婚式には当事者双方と証人が出頭し、婚姻の宣誓が行われます。その後、婚姻登録がされ、結婚証明書が発行されます。

2. 「公証人(Notario)」の前で婚姻手続きを行う
まず公証人役場へ必要書類を提出し、婚姻のための事前審査(挙式許可)を申請します。公証人によって書類の審査と、当事者双方および証人への面接(偽装結婚でないかの確認)が行われ、問題がなければ結婚式の日取りが決定されます。結婚式には当事者双方と証人が出頭し、公証人の前で婚姻の宣誓と公正証書への署名が行われます。その後、公証人から民事登録所へ婚姻のデータが電子的に送信されて婚姻登録がされ、結婚証明書が発行されます。

<日本人の方にご用意いただく書類>

  • 婚姻要件具備証明書※1
  • 婚姻告知不要証明※1
  • パスポート
  • 戸籍謄本※2(スペイン語訳を添付※3)
  • 住民票※2(スペイン語訳を添付※3)

※1 在スペイン日本大使館で取得します。
※2 日本外務省でアポスティーユを受けてください。
※3 スペインではご自身で翻訳したものは認められません。必ずスペイン政府公認の「公認翻訳士(Traductor Jurado)」によるスペイン語翻訳が必要です。

<スペイン人の方にご用意いただく書類>※

  • 出生証明書
  • 独身証明書(生命及び婚姻状況証明書:Certificado de Fe de Vida y Estado)
  • 過去2年間の住所を証明する書面
  • DNI(身分証明書)

※スペインは自治州や担当する役所・公証人によって、追加書類の要求などのローカルルールがある国です。上記の書類はあくまで基本事項であり、必ず事前にご自身が提出する予定の窓口へ必要書類の最終確認を行ってください。

②日本への婚姻報告について

スペインの民事登録所で婚姻登録がされた後、在スペイン日本大使館または日本の市区町村役場で、婚姻届(報告的届出)を提出してください。

<日本人の方にご用意いただく書類>

  • 婚姻届書(スペイン人の署名、証人欄の記入は不要)
  • 本人確認資料(運転免許証又はパスポート等)
<スペイン人の方にご用意いただく書類>

  • 結婚証明書※(日本語訳を添付)
  • 出生証明書※(日本語訳を添付)
  • パスポート

※スペイン外務省でアポスティーユを受けてください。

5.まとめ

本コラムでは、日本人とスペイン人の国際結婚手続きを見てまいりました。

スペインの婚姻手続きはローマ・カトリック教の文化が色濃く反映されており、他国と比較すると婚姻手続きに時間がかかる傾向にあります。
しかし2026年現在では、紙の家族手帳の廃止(デジタル化)や、民間スピードで進められる「公証人(Notario)ルート」の普及など、時代に合わせた大きな変化が起きています。このように、国際結婚のルールは数年単位で大きく変わります。最新の情報収集をして手続きに備えることが重要になりますので、少しでも不安がある方は、行政書士法人第一綜合事務所へお気軽にご相談ください。

本コラムが、スペイン人との国際結婚をご検討されている方々のご参考になれば幸いです。

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この記事の監修者

行政書士法人第一綜合事務所

行政書士 依田 隼弥

・日本行政書士会連合会(登録番号第24081844号)
・神奈川県行政書士会(会員番号第6892号)
山梨県出身。横浜オフィスに所属し,外国人ビザ申請,国際結婚手続き,永住権取得など国際業務を専門としている。

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