コラム

COLUMN

タイの二国間協定の誓約事項と受入れフロー

1.特定技能の二国間協定が締結された目的 二国間協定が締結された目的は,それぞれの国の役割を明確にすることや,特定技能制度の運用を適正に実施して特定技能外国人の保護をするためです。 2.二国間で情報共有する内容 二国間協定の中では,次の事項について特に重視して,情報共有することが定められています。 特定技能外国人の財産管理 契約不履行時の違約金 特定技能外国人への人権侵害 違法な手数料の徴収 入管への偽装文書の提出 特定技能外国人が金銭的に搾取されることや人権侵害を受けることを防止する内容の情報共有が,密になされることがわかります。 また,特定技能ビザ取得のために,偽の内容の文書の提出防止についても徹底して監視されます。 3.タイ政府が誓約した重要事項 まずは,タイ政府が誓約した主な重要事項を紹介します。 無許可の人材紹介会社からの特定技能外国人送り出しを許可しない 特定技能外国人からの手数料徴収を法令の範囲内で認める タイ国内の特定技能試験の実施許可 雇用契約の審査・承認の実施 〇無許可の人材紹介会社からの特定技能外国人送り出しを許可しない 特定技能外国人をタイから受入れする際には,タイ政府より許可を得た職業紹介事業者またはタイ労働省からの人材斡旋のみを認めることが誓約されています。 なお,特定技能外国人が自身で受入れ機関へ申し込みすることは,認められています。 〇特定技能外国人からの手数料徴収を法令の範囲内で認める 特定技能外国人から職業紹介費などを徴収することは禁止されていませんが,本人からの同意を得た金額のみ徴収可能であることや,契約不履行に関する違約金などの契約はできないことが原則となっています。 〇タイ国内の特定技能試験の実施許可 タイ政府が実施可能と判断した特定技能の試験については,試験計画を承認して,タイ国内での実施許可を出すことが誓約されています。 〇雇用契約の審査・承認の実施 特定技能外国人の雇用契約を審査して,承認する手続きを行うことが誓約されています。 なお,タイの特定技能外国人との雇用契約について,日本国内にいるタイ人が特定技能ビザへの切り替え申請を行う場合には,入管への申請前に必ず駐日タイ大使館の認証手続きを経る必要があります。 4.日本政府が誓約した重要事項 次に,日本政府の誓約事項を紹介します。 駐日タイ大使館に認証された契約書のみを受け付けすること 契約内容や支援計画の内容の厳正な審査 日本での雇用情報の周知 〇駐日タイ大使館に認証された契約書のみを受け付けすること 入管では,駐日タイ大使館より承認を受けた雇用契約書のみを受理することが誓約されています。 そのため,雇用契約書については,駐日タイ大使館と入管の2つの機関の審査を経ることになります。 〇契約内容や支援計画の内容の厳正な審査 雇用契約内容や特定技能外国人に対する支援計画について,基準を満たしているか厳正に審査することが誓約されています。 特に,支援計画については,駐日タイ大使館での審査は無いため,入管のみで内容が確認されます。 〇日本での雇用情報の周知 特定技能外国人が安心して日本での就労開始ができるように,日本の雇用情報を周知することが誓約されています。…

フィリピンの二国間協定の誓約事項と受入れフロー

1.特定技能の二国間協定が締結された目的 特定技能の二国間協定は,特定技能外国人の保護を中心とした特定技能制度の健全な運用を目的として,締結されています。 2.フィリピン政府が誓約した重要事項 まずは,二国間協定の中でフィリピン政府が誓約した主な重要事項について紹介します。 送り出し機関を厳正に審査 日本政府からの報告により送り出し機関への調査実施 特定技能制度運用のためのガイドラインの作成 日本政府からの情報をフィリピンで公表 〇送り出し機関を厳正に審査 決められた認定基準に則り送出し機関を審査して,基準を満たした送出し機関へのみ運営許可を与えることを誓約しています。 〇日本政府からの報告により送り出し機関への調査実施 日本政府より送出し機関の調査依頼があった場合は,当該送出し機関への調査を実施することが誓約されています。 入管は,特定技能の受入れ機関へも不定期で訪問をして,特定技能外国人から聞き取り調査などを実施します。 その際に,送出し機関からの不正な手数料徴収などが発覚した場合には,調査依頼の対象となり得ます。 受入れ後のトラブルを避けるためにも,特定技能ビザ申請前の事前ガイダンスで不当な扱いの有無などについて確認することが必要です。 〇特定技能制度運用のためのガイドライン作成 特定技能制度と二国間協定の内容を,適正に履行するためのガイドラインを作成することを誓約しています。 また,認定した送出し機関に対して,特定技能外国人の選定が適切に実施されるように指示することも誓約されています。 〇日本政府からの情報をフィリピンで公表 日本政府が実施した改善命令などの情報を,フィリピン国内でも公表することが誓約されています。 3.日本政府が誓約した重要事項 日本政府が誓約している主な重要事項は次の通りです。 入管法で特定技能外国人へ補償されている内容の審査 必要に応じて登録支援機関に対して指導や許可取り消しの実施 受入れ機関の労働基準法の遵守状況について指導・監督 日本国内の悪質なブローカーの排除 フィリピン政府より認定を受けた送り出し機関の公表 受入れ機関への改善命令などの情報をフィリピン政府へ報告 〇入管法で特定技能外国人へ補償されている内容の審査 受入れ機関と特定技能外国人との間で締結された雇用契約内容や支援計画書の内容などについて,入管法に沿った内容であるかを審査することが誓約されています。 また,特定技能外国人に対する報酬が同じ職場で就労している日本人と同等以上であることや,離職時の転職支援については,特に重要な審査事項と強調されています。 〇必要に応じて登録支援機関に対して指導や許可取り消しの実施 登録支援機関が適正な支援業務を実施しているか審査して,指導などを行い,悪質な登録支援機関に対しては必要に応じて許可取り消しを行うことが誓約されています。 〇受入れ機関の労働基準法の遵守状況について指導・監督 特定技能ビザの申請時に入管へ提出した雇用条件に従い,労働基準法を遵守した特定技能制度の運用がなされているか監督をして,必要に応じて指導などを行うことが誓約されています。 〇日本国内の悪質なブローカーの排除 特定技能外国人の就職先斡旋に際して,特定技能協議会でも禁止されている引き抜き行為や,不当な紹介手数料を特定技能外国人へ請求することは禁止されています。 また,それらに関わる日本国内の悪質なブローカーを排除することを誓約しています。 〇フィリピン政府より認定を受けた送り出し機関の公表 フィリピン政府より認定された送出し機関の情報を受け取った場合は,日本国内でも情報展開することが誓約されています。…

ベトナムの二国間協定の誓約事項と受入れフロー

1.特定技能の二国間協定とは 二国間協定が締結されている目的は,特定技能制度の運用に関しての誓約事項を定めることで,制度の運用を円滑にして,かつ特定技能外国人が不利益を被らないようルール決めをすることなどが主な目的です。 2.二国間で共有される主な情報内容 ベトナムとの二国間協定では,次の事項について情報共有されることが決定しています。 特定技能外国人やその親族から金銭を徴収する行為 人権侵害に該当する行為 手続き上の不正に関する行為 認められない手数料の徴収などの行為 これらの事項が定められている理由として,ベトナムでは特に外国人労働者から不当な金銭的搾取を行う事例などが多いことが挙げられます。 そのため,ベトナム技能実習生が借金苦を理由に失踪する原因にもなっています。 また,情報共有される事項は,全て入管法にも抵触する事項であるため,違反した場合は,情報共有されるだけでなく,特定技能外国人の受入れができなくなります。 3.ベトナム政府が誓約した重要事項 次の事項については,二国間協定でベトナム政府が誓約した主な内容です。 ベトナム送出し機関許認可に際しての厳密な審査 日本政府からの情報提供により送出し機関の調査実施 改善命令を行った受入れ機関や登録支援機関の情報をベトナムで公表 推薦者表の審査・発行 日本政府の依頼に応じて送出し機関の情報提供 それぞれ解説します。 〇ベトナム送出し機関許認可に際しての厳密な審査 ベトナム人を特定技能ビザで呼び寄せする際には,適格性などについて厳しく審査することが誓約されています。 ベトナムの送出し機関は,許認可を受けた後でも,営業停止などが発表されることが珍しくなく,特定技能の二国間協定でも許認可する際の審査の厳格化が約束されています。 特に,特定技能外国人採用に対しての受入れ機関へのキックバック有無などについては,厳しく確認を受けます。 〇日本政府からの情報提供により送出し機関の調査実施 特定技能外国人が,不当に金銭的な搾取などを受けていることが発覚した場合は,日本政府がベトナム政府へ送出し機関の調査依頼をする可能性があります。 ベトナム人の特定技能外国人を呼び寄せする場合は,送出し機関を仲介することが義務であるため,手続き上の不正などについても調査の対象とされます。 〇改善命令を行った受入れ機関や登録支援機関の情報をベトナムで公表 特定技能外国人にかかわる日本側の機関(受入れ機関・登録支援機関)への改善命令があった場合は,ベトナム政府へ報告され情報が公表されます。 〇推薦者表の審査・発行 ベトナム人が特定技能ビザを取得するためには,推薦者表が必要となります。 そのため,ベトナム政府は,国内外にいるベトナム人から申請を受けた場合は,申請書類の審査と推薦者表の発行をする義務があります。 〇日本政府の依頼に応じて送出し機関の情報提供 日本政府より依頼を受けた場合は,ベトナム送出し機関の情報提供をすることを誓約しています。 4.日本政府が誓約した重要事項 次の事項は,日本政府が誓約した主な重要事項です。 許可を得た送出し機関が仲介したベトナム人を受入れ ベトナム政府からの送出し機関の情報を日本国内で公表 改善命令を行った登録支援機関の情報をベトナム政府に報告 特定技能外国人が入居する寮の適正な運用 ベトナム政府からの要請により受入れ機関や登録支援機関の調査をする…

インドネシアの二国間協定の誓約事項と受入れフロー

1.特定技能の二国間協定とは 特定技能の二国間協定は,特定技能外国人の保護や特定技能制度の運用を円滑にすることなどを主な目的としています。 なお,二国間協定が締結されていない国の外国人が,特定技能ビザを取得することも可能です。 この点,誤解があるポイントなので注意してください。 2.インドネシア政府が誓約した重要事項 二国間協定で,インドネシア政府が誓約している次の重要事項について,解説していきます。 インドネシア労働市場情報システムにて求人・求職者情報の公開 インドネシア労働市場情報システムの使い方などについて公表 特定技能外国人へシステム利用・更新の周知 受入れ機関に対する改善命令情報などをインドネシア国内で公表 日本政府が作成した登録支援機関の一覧をインドネシアで公開 全ての特定技能外国人を海外労働者管理システムに登録するように周知 特定技能外国人に対する出国前説明会の実施 日本政府からの情報照会依頼に対応 日本に在留している特定技能外国人に対して推薦状の発行 それぞれ見ていきます。 〇インドネシア労働市場情報システムにて求人・求職者情報の公開 インドネシア政府は,政府が運用しているインドネシア労働市場情報システム(IPKOL)をインドネシアにいる特定技能外国人の求人・求職にも使用することを希望しています。 そのため,IPKOLに登録された求人情報や日本での就労を希望する特定技能外国人の情報を,システムで情報公開をすることが誓約されています。 一方で,特定技能外国人の求人や求職をする際に,IPKOLを使用することは義務ではないため,実際にIPKOLを使っての求人・求職は実例が多くないのが実情です。 〇インドネシア労働市場情報システムの使い方などについて公表 日本では認知度が低いIPKOLの使い方などについて,インドネシア政府が公表することが誓約されています。 しかし,IPKOLの使い方については公表されている情報が乏しく,システムもインドネシア語でのみ使用できるなど,日本向けのシステム利用や使い方についての広報が未だに進んでいないのが実情です。 なお,IPKOLのサイトについては「インドネシア労働市場情報システム(IPKOL)」よりアクセスが可能です。 〇特定技能外国人へシステム利用・更新の周知 特定技能外国人へのシステム利用・更新の周知をすることが,誓約されています。 一方で,新型コロナウイルス感染症の影響により,インドネシアにいる特定技能外国人の採用案件が低水準に留まっていたこともありシステム利用者が増えていません。 また,インドネシアにいる特定技能外国人を呼び寄せする場合は,以前技能実習を行っていた受入れ機関に戻る場合や,人材紹介会社を通して受入れ機関を探す場合も少なくないため,システム利用が進まない要因にもなっています。 〇受入れ機関に対する改善命令情報などをインドネシア国内で公表 受入れ機関が入管法などに抵触して,改善命令などを受けた場合はインドネシア国内でも情報を公表することが誓約されています。 そのため,不正を行った受入れ機関については,インドネシア人の特定技能外国人を採用することが難しくなる可能性がある点には,注意して下さい。 〇全ての特定技能外国人を海外労働者管理システムに登録するように周知 特定技能外国人となる全てのインドネシア人は,海外労働者管理システム(SISKOTKLN)へ登録する必要があります。 SISKOTKLNは,インドネシア国外で就労するインドネシア人がトラブルに巻き込まれた際などに,政府が当該インドネシア人の保護をする際などに役立つシステムです。 インドネシアにいる特定技能外国人が,日本へ出国する際は,事前にSISKOTKLNへ登録しておくことが義務となっている点には注意して下さい。 なお,SISKOTKLNのサイトについては「海外労働者管理システム(SISKOTKLN)」よりアクセスが可能です。…

【特定技能ビザ】自動車整備分野の協議会と試験概要

1.自動車整備分野で特定技能外国人を受入れる要件 自動車整備分野で,特定技能外国人を雇用するための外国人と受入れ企業の要件について,紹介していきます。 1-1外国人の要件 〇技能実習2号を良好に修了 自動車整備職種の技能実習2号を良好に修了した外国人は,特定技能ビザ申請の際の技能試験と日本語試験が免除されます。 技能実習2号を良好に修了とは,技能実習を2年10ヶ月以上修了した外国人を指し,特定技能ビザ申請の際には,証明書類として専門級の合格証書(実技試験のみ可)または技能実習生の評価調書を提出する必要があります。 〇技能試験と日本語試験に合格 自動車整備分野特定技能評価試験または自動車整備士技能検定3級と,日本語能力試験N4以上または国際交流基金日本語基礎テストA2レベル程度の結果を証明することで,自動車整備の特定技能ビザを申請するための要件を満たすことが出来ます。 技能試験については,自動車整備分野特定技能評価試験と自動車整備士技能検定3級の2つの選択肢がある点については,他分野と異なる点ですので注意して下さい。 なお,日本語試験については,開催回数が多く試験結果も当日に分かる国際交流基金日本語基礎テストがお勧めです。 1-2受入れ機関の主な要件 〇地方運輸局長の認証(限定認証や二輪のみも含む)を受けた事業場であること 特定技能外国人を受入れる事業所は,道路運送車両法第78条第1項に基づいた認証工場である必要があります。 そのため,特定技能ビザの申請までに許可を受けていない事業所での受入れは認められません。 〇日本人と同等額以上の報酬の支払い 特定技能外国人を安い労働力として雇用することは認められません。 そのため,特定技能外国人へ支払う報酬は,同じ職場で同程度の経験をもつ日本人従業員と同等額以上である必要があります。 〇特定技能外国人への支援体制確保 生活相談や行政の手続き補助などを含めた,特定技能外国人への支援業務を実施できる環境を整える必要があります。 なお,受入れ機関で支援業務を実施する体制を整えられない場合は,登録支援機関へ支援業務を委託することで特定技能外国人の受入れをすることが可能です。 〇非自発的離職者・行方不明者が1年以内にいないこと 1年以内に非自発的離職者と行方不明者が発生している場合には,特定技能外国人の雇用ができません。 非自発的離職者には外国人のみでなく,日本人従業員も含まれる点については,注意が必要です。 〇5年以内に法令違反をしていないこと 特定技能ビザ取得のためには,受入れ機関が直近5年以内に,入管法や労働法の違反が無いことが求められます。 また,受入れ機関の役員・支援責任者・支援担当者に関しても同様に,違反していない必要があります。 〇特定技能外国人と違法な契約が無いこと 特定技能外国人と締結する雇用契約に関しては,日本人と同様に労働基準法が適応されます。 そのため,労働基準法に抵触する契約内容は認められません。 また,契約満了前の退職に対して違約金や保証金の契約なども認められません。 2.特定技能外国人が従事可能な業務 自動車整備分野の特定技能外国人が従事可能な主たる業務は次の通りです。 自動車の日常点検整備 定期点検整備 分解整備 また,主たる業務とは別に次のような業務が関連業務として想定されており,付随的に従事することが可能です。 整備内容の説明,及び関連部品の販売 部品番号検索 部内発注作業 車枠車体の整備調整作業…

「特定技能」業務区分と「技能実習」移行職種の関係性

1.特定技能の業務区分とは 特定技能の全14分野では,それぞれ業務区分が設定されています。 特定技能外国人は,技能要件を満たした業務区分の業務への従事のみが認められています。 また,14分野のうち8分野では,同じ分野内に複数の業務区分があり,同じ分野内であっても技能要件を満たしていない他の業務区分の業務に,特定技能外国人が従事することは認められません。 一方で,技能実習2号を良好に修了した移行職種が,特定技能の業務区分に対応している場合には,試験を受けずに特定技能ビザ取得のための技能要件を満たします。 2.技能実習の移行職種とは 技能実習の移行職種とは,技能実習2号または3号への移行が認められる職種のことです。 特定技能ビザの取得要件のひとつに「技能実習2号を良好に修了」があり,特定技能の業務区分に対応する職種にて,技能実習を2年10ヶ月以上の期間修了した外国人は,当該業務区分の特定技能ビザ取得をする際に,改めて試験などを受験する必要はありません。 一方で,移行職種でない職種で技能実習ビザを取得した場合は,技能実習1号(1年間)のみの技能実習が認められるため,修了しても特定技能ビザ取得のための要件を満たすことはできません。 なお,宿泊業など,移行職種であっても特定技能ビザ取得要件を満たさない職種もあるので,特定技能ビザの取得予定がある際には要件の事前確認が肝心です。 また,移行職種は3年間の技能実習が修了する前に,専門級の技能試験(実技試験のみ可)の受験が義務である点も特徴です。 但し,専門級の技能試験(実技試験のみ可)に合格できなかった場合でも,評価調書を作成することで特定技能の技能要件を満たすことができる点には注意が必要です。 3.「特定技能」業務区分と「技能実習」移行職種の関係性 14分野それぞれの業務区分を紹介していきます。 技能実習の職種と作業が空欄の業務区分については,対応する移行職種がないため,特定技能ビザ申請のために必ず特定技能の技能試験合格が必須となります。 また,特定技能ビザの日本語要件は介護分野以外では共通のため,いずれかの職種で技能実習2号を修了することで,分野や業務区分の変更をする際にも改めて日本語試験を受験する必要はありません。 3-1介護分野 特定技能(業務区分) 技能実習(職種) 技能実習(作業) 身体介護等 介護 介護 介護職種の技能実習2号を修了した外国人は,介護分野の介護(身体介護等)の業務に従事するための特定技能ビザを取得できます。 技能実習2号修了者以外は,介護技能評価試験の合格と日本語能力試験N4または国際交流基金日本語基礎テストA2レベル以上の結果に加えて,介護日本語評価試験に合格することで特定技能ビザの取得要件を満たせます。 なお,特定技能外国人は訪問介護などの訪問系サービスへの従事はできない点には注意してください。 3-2ビルクリーニング分野 特定技能(業務区分) 技能実習(職種) 技能実習(作業) 建築物内部の清掃 ビルクリーニング ビルクリーニング ビルクリーニング職種の技能実習2号を修了した外国人は,ビルクリーニング分野での特定技能ビザ取得要件を満たします。 3-3素形材産業分野 特定技能(業務区分) 技能実習(職種) 技能実習(作業) 鋳造 鋳造…

台湾人との国際結婚手続きを専門行政書士が解説!

1.国際結婚手続きの用語解説 本稿では,国際結婚手続きにおける専門用語を解説していきます。 以降の内容をご参照いただくにあたり必要となる前提知識ですので,ご一読の上,次の稿に進んでください。 ①国際結婚の成立とは? 国際結婚が有効に成立するには,双方の国籍国(本事例でいうと日本と台湾)において,法的に有効な婚姻関係にあることが原則必要とされています。 日本で先に結婚手続きを行うことを日本方式と言い,台湾で先に結婚手続きを行うことを台湾方式と言います。 ②婚姻要件具備証明書とは? 外国人が,日本方式の婚姻を有効に成立させるためには,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件(婚姻できる年齢に達していること,独身であることなど)を満たしていることが必要とされています。 もっとも,日本の市区町村役場で,外国人配偶者の国籍国の法律を全て審査することは現実的ではありません。 そこで,国際結婚実務においては,相手国が発給した婚姻要件具備証明書を提出することによって,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていると判断することにしているのです。発行国によっては,独身証明書などと言われることがありますが,独身であることのみならず,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていることが明らかになるものであれば,基本的には婚姻要件具備証明書と考えていただいて差支えありません。 なお,婚姻要件具備証明書を発行する条件や必要書類は,国によって異なり,そもそも婚姻要件具備証明書を発行していない国もあります。婚姻要件具備証明書を発行していない国の方との国際結婚においては,他の書類によって外国人配偶者が国籍国の法律に従って婚姻の成立要件を満たしていることを疎明することになります。比較的事例の多い国であれば,先例に従って判断されるのが戸籍実務ですが,事例の少ない国や先例のない国になると,相手国の法律から調査しなければならないこともあり,そうなると婚姻届を提出してから正式に受理されるまでに時間を要することもあります。 2.台湾人との国際結婚手続きで注意すること 台湾人と日本人との国際結婚手続きの際,ご注意いただきたい事項を下記に記載いたします。 ①婚姻要件具備証明書について 台湾は婚姻要件具備証明書が発行される国です。 日本方式で婚姻する際には,市区町村役場に婚姻要件具備証明書を原則提出しなければなりません。 ②台湾の領事事務について 1972年に日本国政府が中華人民共和国との国交を成立させましたが,台湾(中華民国)とは国としての国交を行っていないため,日本に台湾の大使館や領事館は存在しません。 もっとも,在日台湾人の領事事務を取り扱う機関が存在し,台北駐日経済文化弁事処という機関が在日台湾人の領事事務を取り扱っており,婚姻に際して在日台湾人の婚姻要件具備証明書の発行手続きを行っています。 また同様に,台湾に日本の大使館や領事館も存在しません。 在台湾日本人の領事事務は,日本台湾交流協会という機関が取り扱っています。 ③婚姻可能な年齢について 台湾人の婚姻可能な年齢は,男性は18歳以上,女性は16歳以上と法定されています。 ただし,未成年者(20歳未満)が婚姻をするには,法定代理人の同意を得なければならないとされています。 もっとも,法改正により2023年1月1日以降は,成人年齢が18歳に引き下げられ,婚姻可能な年齢も男女とも18歳になります。 ④再婚禁止期間について 台湾の民法には,再婚禁止期間は定められていません。 もっとも,日本法では女性は離婚後100日間の再婚禁止期間があり(妊娠していないことの医師の証明書を提出すれば離婚後100日未満でも禁止されません),この規定は台湾人女性との婚姻にも適用されます。 3.国際結婚手続きにおける必要書類(日本方式) 本題の国際結婚手続きについて解説していきます。 ここからは,日本人と台湾人が日本方式で婚姻をおこなう場合の必要書類を記載します。 ①台湾人配偶者の婚姻要件具備証明書の取得 まずは,日本にある台北駐日経済文化弁事処にて,台湾人配偶者の婚姻要件具備証明書を取得しましょう。 東京の本部の他に,札幌,横浜,大阪,福岡,那覇に分処があります。 <台湾人の方にご準備いただく書類> ・台湾の戸籍謄本 ・パスポート ・証明写真 なお,この後の手続きで必要になりますので,台湾の戸籍謄本を3通は用意しておきましょう。 ②日本の市区町村役場への婚姻届提出…

【特定技能ビザ】転職の要件と必要な手続き

1.特定技能外国人が転職できる要件 まず始めに,特定技能外国人が転職できる要件について紹介します。 1-1技能要件 特定技能外国人は,要件さえ満たせば,特定技能の他分野への転職も認められています。 転職を希望する場合は,必ず転職先の「分野・業務区分」で求められる技能要件を満たしている必要があるため,事前に必要な技能要件については,確認をしておくことが肝要です。 例えば,農業分野で特定技能ビザを取得して就労していた外国人が,宿泊業分野へ転職する場合は,事前に宿泊業の特定技能の技能試験に合格している必要があります。 また,製造業分野など,分野内に複数の業務区分が設置されている場合は,業務区分ごとに特定技能の技能試験が設置されています。 そのため,同じ分野内でも他の業務区分の業務へ従事,または転職する場合は原則として特定技能の技能試験に合格する必要がある点は,誤解が多いところになりますので,注意が必要です。 加えて,介護分野へ転職する際には,介護分野における日本語能力を証明するために「介護日本語評価試験」についても合格しておく必要がある点は,留意して下さい。 1-2在留期間 特定技能(1号)ビザでは,外国人が日本で在留可能な期間は,最長5年間と定められています。 最長5年間の在留期間に関しては,転職前に特定技能ビザにて就労していた期間も含まれます。 そのため,特定技能外国人と締結する雇用契約の期間を決定する際には,残りの在留可能期間を確認しておく必要があります。 なお,既に残りの在留期間が数ヶ月のみのような場合は,転職先で就労するためのビザの切り替えができない可能性もある点には注意が必要です。 2.入管への必要な届出手続き 2-1特定技能外国人 在留資格変更許可申請(ビザ切り替え申請手続き) 〇在留資格変更許可申請(ビザ切り替え申請手続き) 特定技能外国人が転職をする場合は,特定技能ビザの切り替え申請をする必要があります。 申請には多くの書類を準備・作成する必要があり,1ヶ月以上の審査期間も想定する必要があるため,早めの準備が必要です。 また,転職先の機関にて特定技能外国人として就労できるのは,特定技能ビザの切り替え申請後,新しい特定技能ビザを取得してからとなります。 この点,間違いがないようにしてください。 なお,特定技能外国人が同じ受入れ機関で就労を継続しながら,従事する業務区分を変更・追加する場合は,「特定技能所属機関による特定技能雇用契約に係る届出」の提出のみで 足りる点は,誤解が多いところになりますので、注意が必要です。 特定技能ビザの切り替え方法について詳しい内容は,特定技能ビザ 切り替え のページをご確認ください。 2-2受入れ機関 受入れ機関は次の4つの届出を,入管へ提出する必要があります。 特定技能所属機関による受入れ困難に係る届出 特定技能所属機関による特定技能雇用契約に係る届出 特定技能所属機関による支援計画変更に係る届出 特定技能所属機関による支援委託契約に係る届出 〇特定技能所属機関による受入れ困難に係る届出 受入れ機関または特定技能外国人の都合により,特定技能外国人の受入れ継続が困難となった際に提出義務のある書類です。 受入れ継続が困難となった日から14日以内に入管へ提出する義務があり,特定技能外国人が転職する場合は,次の内容について入管へ報告します。 転職する特定技能外国人の情報 転職理由 特定技能外国人の現状…

【特定技能ビザ】飲食料品製造業の協議会と試験概要

1. 特定技能「飲食料品製造業」について まずは,飲食料品製造業の特定技能で従事可能な業務内容について紹介します。 次の表では,特定技能制度と技能実習制度のそれぞれで認められている業務内容を比較しています。 1-1従事可能な業務内容 特定技能(業務区分) 技能実習(職種) 技能実習(作業) 飲食料品製造全般 (畜産食料品製造業,水産食料品製造業,野菜缶詰・果実缶詰・農産保存食料品製造業,調味料製造業,糖類製造業,精穀・精粉業,パン・菓子製造業,動植物油脂製造業,その他の食料品製造業,清涼飲料製造業,茶・コーヒー製造業(清涼飲料を除く),製氷業,菓子小売業(製造小売),パン小売業(製造小売),豆腐・かまぼこ等加工食品小売業) 缶詰巻締 缶詰巻締 食鳥処理加工業 食鳥処理加工 加熱性水産加工 食品製造業 節類製造 加熱乾製品製造 調味加工品製造 くん製品製造 非加熱性水産加工 食品製造業 塩蔵品製造 乾製品製造 発酵食品製造 水産練り製品製造 かまぼこ製品製造 牛豚食肉処理加工 業 牛豚部分肉製造 ハム・ソーセージ・ ベーコン製造 ハム・ソーセージ・ ベーコン製造 パン製造 パン製造 そう菜製造業 そう菜加工 農産物漬物製造業 農産物漬物製造…