2026.06.19 冨田 祐貴 就労ビザ特定活動ビザ 在留資格「特定活動」とは?種類一覧から要件・最新動向まで行政書士が徹底解説! 1. 入管法改正と「特定活動」の在り方 台湾や韓国をはじめとするアジア近隣国、さらには欧米諸国との外国人材獲得競争が激化する中、日本の入管法も大きな転換点を迎えています。2027年には現行の技能実習制度に代わり、就労を通じた人材育成と確保を目的とした「育成就労制度」が開始されます(詳しくは育成就労の外部監査人は誰に頼む?外部役員廃止の注意点と第一綜合グループを選ぶメリットをご参照ください。)。 このように周辺の制度が変わる中、他の在留資格に当てはまらない活動を柔軟にカバーできる「特定活動」の在留資格は、制度の歪みを埋める「受け皿」や、新しい在留資格へのスムーズな移行を支える「架け橋」として、かつて以上に重要な役割を担うようになっています。 近年でも、社会情勢の変化や国家的な一大プロジェクトの始動に合わせて以下のように在留資格が新設されています。 未来創造人材(51号):2023年4月新設…優秀な海外大学を卒業した者が就職活動や起業準備を行う活動 >>未来創造人材制度(J-Find)がわかるコラムをご参照ください。 デジタルノマド(53号):2024年4月新設…海外の企業等に所属しながら日本でリモートワークを行う活動 特定自動車運送業準備(55号):2024年12月新設…自動車運送業分野で特定技能への変更を目指し、講習や指導を受ける活動 >>特定技能「自動車運送業」と特定活動55号を徹底解説!採用フローや注意点は?をご参照ください。 令和9年国際園芸博覧会関係者(56号):2025年5月新設…2027年に横浜で開催される国際園芸博覧会の運営等に関わる活動 これらの動向からも分かるように、国は「特定活動」の枠組みを使って柔軟に制度を新設し、新たな人材の確保を図っています。 2.在留資格「特定活動」の特徴と基本ルール (1) 法務省「告示」による規定と各「号」の独立性 「特定活動」は、国会での審議が必要な「法律(入管法)」の本文ではなく、法務省の判断でスピーディーに新設・変更ができる「告示」というルールでその多くが定められています(前述したような最新情勢に対応したビザが次々と誕生するのもこのためです)。 そして、この「1号」から「57号」(2026年6月時点)まである一つ一つの「号」は、便宜上同じ「特定活動」ですが、実質的にはすべて要件も活動内容も異なる「独立した個別の在留資格」としての性質を持っています。 そのため、「特定活動のビザを持っていれば日本でどんな仕事でもできる」というわけではなく、指定された「号」のルールにそれぞれ縛られる点に注意が必要です。ただし、特定活動のすべてがこの「号」に当てはまるわけではなく、中には例外的な人道配慮などから個別に認められる「告示外」の枠組みもあります。 (2)「特定活動」の2つの枠組み:告示特定活動と告示外特定活動 「特定活動」は、大きく以下の2つの枠組みに分かれており、それぞれ「海外から呼び寄せられるか」などの基本ルールが異なります。 1. 告示特定活動 あらかじめ法務大臣が「告示」として定めている活動です。50種類以上の告示が存在し、あらかじめ要件が明確に定められています。こちらは、海外から新しく外国人を呼び寄せる手続き(在留資格認定証明書交付申請)の対象となります。 2. 告示外特定活動 告示には指定されていないものの、特別な事情により法務大臣が個別に許可するものです。例えば、難民認定手続中の滞在や、退去強制手続中における特別な事情による在留特別許可のほか、実務の現場で多く活用されている「特定技能1号への移行準備(詳しくは特定技能1号への移行準備のための特定活動ビザとは?をご参照ください)」を目的とした臨時の救済措置がこれに該当します。過去の判例や行政の裁量基準に対する深い知見が不可欠な領域です。 原則として「海外からの呼び寄せ手続き」はできません。基本的には、すでに日本に滞在している外国人が、国内で別の在留資格から切り替えることで取得するものであることに注意が必要です。 国際情勢と連動する「告示外特定活動」 この「告示外特定活動」の実例として、近年実務に大きな影響を与えているのが「本国情勢を踏まえた在留ミャンマー人への緊急避難措置」です。日本政府は人道的配慮から、政情不安により帰国困難となったミャンマー人に対し、個別に「特定活動(就労可)」への変更を認めてきました。しかし、技能実習生が実習先を意図的に抜け出して申請するような「制度の誤用・濫用」が見受けられたため、入管は運用を大きく見直し、厳格な適正化を行っています。 具体的には、技能実習を修了していない(在留期間が残っている)ミャンマー人が、自己都合(本人の責めに帰すべき事情)で実習を離脱した場合は、特定活動への変更を原則認めない方針へと舵を切りました。これには「人道支援の枠組みではあるが、安易な就労目的の切り替えは許さない」という入管の強い姿勢が現れており、受入れ企業や監理団体にとっても実務において重要な動向となっています。 また、こうした人道配慮による告示外特定活動はミャンマーに留まりません。ウクライナからの避難民は、2022年の開戦当時、「特定活動」への変更を認める措置が取られました(2026年現在は特定の条件を満たした場合「定住者」への変更も可能になっています)。ガザ地区の情勢緊迫化に関しては、在留パレスチナ人に対し、本国情勢が落ち着くまでの個別的な人道配慮として、就労可能な「特定活動」への変更が認められ始めています。 このように、「告示外特定活動」は、国際情勢の緊迫化に合わせた「最後の砦」としての運用が続いています。…
2026.06.12 渡邉 直斗 行政書士法無資格 【行政書士法改正】「報酬」規定を徹底解説!無資格業者が陥る「3つの違法類型」や「グレーゾーン」と対策 1.「報酬」規定の厳格化と理由 (業務の制限) 第十九条 行政書士又は行政書士法人でない者は、他人の依頼を受けいかなる名目によるかを問わず報酬を得て、業として第一条の三に規定する業務を行うことができない。ただし、他の法律に別段の定めがある場合及び定型的かつ容易に行えるものとして総務省令で定める手続について、当該手続に関し相当の経験又は能力を有する者として総務省令で定める者が電磁的記録を作成する場合は、この限りでない。 改正行政書士法第19条第1項において、資格を持たない者が他人の依頼を受けて「官公署に提出する書類」を作成すること(第一条の三で規定)は原則として禁止されています。この規制が適用されるには、「業として」かつ「報酬を得て」という2つの要件を満たす必要があります。 今回の法改正の背景と、それぞれの要件が実務上どう解釈されるのかを整理しておきましょう。「報酬を得て」の部分に関しては第2章以降で詳述します。 (1) ビジネスに組み込んだ時点で該当する「業として」とは 法的な解釈における「業として」とは、「反復継続して、または反復継続する意思を持って行為を行うこと」を指します。 「1回しかやっていないから業ではない」という論理は通用しません。自社のサービスメニューや規約に「書類作成をサポートします」と組み込んでいる時点で、それは「反復継続する意思がある」とみなされ、自動的に「業として」の要件を満たすことになります。 (2) 改正の背景:横行する「申請代行コンサル」への規制強化 近年の深刻な社会問題として、民間コンサルティング会社やITベンダーなどが「補助金申請代行」や「各種許認可の取得サポート」を謳い、実質的な書類作成を無資格で行うケースが多発していました。これに伴い、不適切な申請や高額な手数料トラブルが相次いだことが、今回の法改正の直接的な契機となっています。 こうした「抜け穴」を利用した違法ビジネスを根絶するため、今回の改正では条文内に「いかなる名目によるかを問わず」という文言が明記されるに至りました。これにより、行政や警察側は「名目(建前)ではなく、実態としてお金が動いているか」だけで違法性を判断できるようになりました。 2.「報酬」に該当する3つの典型類型 前提として、行政書士の独占業務は「建設業許可」「宅建業免許」「飲食店営業許可」などの許認可申請や、「補助金申請」に伴う事業計画書等の官公署提出書類が該当します。以下に改正法において違反とみなされる主な3つのパターンを解説します。 (1)手数料型 「手数料型」は、事業者が顧客に代わって書類作成を行い、その対価として「書類作成料」とは明示せずに、「事務手数料」や「代行料」といった名目で費用を徴収するケースです。 (例) 「申請書作成は無料ですが、事務手数料として1万円いただきます」 「システム利用料(または代行料)として費用を頂戴します」 名目が何であれ、実質的に書類作成の対価として金銭を徴収していると判断されるため、明確な違法行為となります。 (2)本来業務対価一体型 「本来業務対価一体型」に該当するのは、コンサルティング会社、不動産業者、設備機器業者などが、自社のメインサービスの一環として書類作成を行うケースです。 書類作成自体を「無償」と謳っていても、以下のような名目で金銭を受け取っていれば、業務全体の対価として「報酬を得て」いるとみなされます。 業種 受け取っている名目例 なぜ違法とみなされるか コンサルティング会社 コンサルタント料、顧問料 顧問契約の中に書類作成業務が実質的に含まれているため 不動産業者 仲介手数料、業務委託費 仲介という本来業務と書類作成が一体化し、利益を得ているため 設備機器・工事業者 設置工事費、システム導入費 工事や導入の対価として実質的に書類作成費用が内包されているため 以上のような該当事業者は、顧客に対し、「官公署に提出する書類その他権利義務又は事実証明に関する書類の作成は、行政書士の法定独占業務なので所要の官公署提出書類その他権利義務・事実証明書類作成業務については、顧客自らが行政書士に依頼しなければならない」ということを説明する必要があります。 (3) 会費(サブスクリプション)型…
2026.05.29 依田 隼弥 改正入管法手数料値上げ 2026年5月29日成立の改正入管法による「在留手数料の大幅値上げ」の影響を専門家が解説 1. 2026年5月29日成立の改正入管法による「手数料引き上げ」の全貌 今回の法改正における最大の変更点は、入管手続きの際に入国管理局へ支払う「手数料」の見直しです。法律で定められた「上限額」が大幅に引き上げられるとともに、法務省から「実際の金額の目安」もあわせて公表されました。 特に永住許可については、現行の1万円から30倍となる「30万円」まで法定上限が引き上げられ、実際の負担額も跳ね上がる見込みです。 具体的にいくら変わるのか、2026年現行の改正前の手数料、法改正後の「上限額」、そしてケアすべき「7月3日に公表された手数料案」を以下の表にまとめました。 手続きの種類 現行の手数料(窓口) 改正後の「法定上限額」 7月3日公表の手数料案(窓口)※ 7月3日公表の手数料案(オンライン)※ 在留資格変更許可 6,000円 10万円 75,000円 65,000円 在留期間更新許可 6,000円 10万円 75,000円 65,000円 永住許可 10,000円 30万円 20万円 (窓口申請のみ) ※これらはあくまで政府が公表した「政令の案」であり、2026年7月時点でこの金額に確定したわけではありません。広く意見を募るパブリックコメントの段階ですが、政府は2026年10月1日からの施行を目指して方針を固めています。また、経済的に困難な世帯や難民申請者などを対象とした、手数料の減額・免除措置に関するガイドライン案の策定も並行して進められています。 実務上の注意点一律料金から「期間に応じた負担」へ 今回の改正により、実際の金額は許可される「在留期間」が長くなるほど高くなる見込みです。 在留期間が3か月以下:1万円程度 在留期間が5年:7万円程度 永住許可:20万円程度 これまでは一律だった手数料が、今後は「長く日本にいる権利を得る人ほど、相応のコストを負担する(受益者負担)」という形へシフトします。 2026年7月3日公表の手数料案(確定ではありません)でも、 在留期間が3か月以下:1万円 在留期間が3か月超6か月未満:窓口18,000円・オンライン15,000円 在留期間が6か月超1年未満:窓口25,000円・オンライン21,000円 在留期間が1年:窓口33,000円・オンライン27,000円 在留期間が1年超3年未満:窓口48,000円・オンライン42,000円 在留期間が3年超5年未満:窓口64,000円・オンライン56,000円 在留期間が5年以上:窓口75,000円・オンライン65,000円…
2026.05.08 依田 隼弥 特定技能自動車運送業特定活動55号 特定技能「自動車運送業」と特定活動55号を徹底解説!採用フローや注意点は? 1. なぜ特定技能「自動車運送業」と「特定活動55号」が必要なのか 日本の経済を支える物流(トラック)と、地域住民の足となる旅客(タクシー・バス)。それらの担い手であるドライバーの有効求人倍率は全産業平均を大きく上回り続けています。 (1)「2024年問題」と外国人材への期待 2024年4月から、トラックドライバー等の時間外労働に年960時間の上限が適用されました。これにより、1人のドライバーが運べる荷物の量が減少し、さらなる人員確保が急務となっています。この課題に対し、政府は「特定技能」の対象に自動車運送業を追加することを決定しました。 (2)免許制度という「最大の壁」を突破するための「特定活動55号」 他分野(外食や建設など)の特定技能と決定的に異なるのは、「日本の公道を運転するためには、日本の運転免許が必要」という点です。「入国してから日本の運転免許を取得するまでの空白期間」を埋めるために設計されたのが、「特定活動55号」なのです。 ちなみに、「国際運転免許証」を持っていたとしても運転できるのは自家用車のみで、仕事に使うことはできません。この「特定活動55号」期間中に日本の運転免許を正式に取得することが、特定技能としてプロのドライバーの道を歩むための、避けては通れない必須条件となります。 2. 特定技能「自動車運送業」の3つの区分と業務内容 自動車運送業の特定技能1号には、大きく分けて3つの区分が存在します。それぞれの業務内容と、求められる役割を整理します。 (1)トラック区分(貨物自動車運送事業) 主に積載量や用途に応じたトラックを運転し、貨物を輸送する業務です。 主な業務: 運転業務、荷役作業(積み降ろし)、荷受人との連絡調整。 期待される役割: 物流センター間の長距離輸送や、ラストワンマイルの配送。 (2)タクシー区分(一般乗用旅客自動車運送事業) タクシーを運転し、乗客を目的地まで運ぶ業務です。 主な業務: 旅客の運送、接客、代金決済、車両の清掃。 期待される役割: 観光客対応や、移動困難な高齢者のサポート。 (3)バス区分(一般乗合旅客・一般貸切旅客自動車運送事業) 路線バスや観光バスを運転し、多数の旅客を運送する業務です。 主な業務: 旅客の運送、車内安全の確保、観光案内(付随業務)。 期待される役割: 地域の路線維持や、インバウンド観光需要への対応。 3. 特定活動55号と特定技能1号の違い この2つはセットで運用されますが、法的性質やできる業務は全く異なります。まずは以下の比較表で、その違いを正確に把握してください。 比較項目 特定活動55号(準備期間) 特定技能1号(就労期間) 正式名称 特定自動車運送業準備活動 特定技能1号(自動車運送業) 主な目的 日本の運転免許取得・研修…
2026.05.07 渡邉 直斗 育成就労監査人 育成就労の外部監査人は誰に頼む?外部役員廃止の注意点と第一綜合グループを選ぶメリット 1. 技能実習から「育成就労」へ:何が変わるのか? 技能実習制度が「国際貢献」を掲げていたのに対し、新設される育成就労制度は「人材確保・育成」に主眼を置いています。この大転換に伴い、監理・支援体制の「透明性」がこれまで以上に厳格に審査されます。 最大の変更点は、監理支援機関(現:監理団体)における外部役員の廃止と外部監査人の完全義務化です。 項目 技能実習制度(旧) 育成就労制度(新) 監督体制の選択肢 「外部役員」または「外部監査人」 「外部監査人」のみ(必須) 外部役員の扱い 認められていた 認められない (中立性欠如とみなされる) 主な目的 形式的な適正運営の確認 実効性のある中立・独立した監視 新制度の許可申請(国の事前登録申請受付は2026年9月、JITCOの施行日前申請受付は2026年4月15日より開始)において、監理支援機関は新たに外部監査人を設置しなければ許可を受けることができません。 「本人意向の転籍」の解禁と監理支援機関の責任強化 もう一つの大きな変更点が「転籍ルールの緩和」です。「転籍」とは、いわゆる転職のことで、外国人材が現在の受入れ企業(勤務先)を変更して別の企業に移ることを指します。原則としてこの「転籍」が認められなかった技能実習制度と異なり、育成就労制度では、以下の要件を満たせば「本人意向による転籍(同一業務区分内)」が可能になります。 同一機関での就労期間: 1〜2年(分野ごとに設定)を超えていること 試験要件: 技能検定試験(基礎級等)および一定水準以上の日本語試験(A1〜A2相当等)に合格していること 転籍先の適正性: 転籍先企業が適切な要件を満たしていること 転籍が柔軟になることで外国人材の権利が保護される反面、受入れ企業間での人材引き抜きトラブルや、労働環境を巡る不満が生じやすくなるリスクも孕んでいます。監理支援機関はこれまで以上に企業と外国人材の間に立ち、適切なサポートを行うことが求められます。こうした支援体制が適正に機能しているかを客観的に評価し、行政に報告するのが、他ならぬ「外部監査人」なのです。 2. 育成就労における「外部監査人」の役割 新制度における外部監査人は、監理支援機関が受入れ企業と癒着せず、適正な支援を行っているかを監視する「防波堤」です。その役割は多岐にわたり、専門的な判断が求められます。国の運用要領等で定められている主な監査業務は以下の通りです。 外部監査人の主な業務 3か月に1回以上の実地監査: 監理支援機関の事業所に赴き、業務が適正に行われているかを直接確認します。 外国人材との直接面談: 受け入れている育成就労外国人の4分の1以上(最低2名以上)と直接面談し、人権侵害や労働環境のトラブルがないかヒアリングします。 帳簿書類や設備の確認: 法令に基づいた書類が正しく作成・保管されているか、相談設備が整っているかをチェックします。 宿泊施設の環境確認: 外国人材が生活する宿泊施設が、定められた基準を満たしているかを確認します。 監査報告書の作成と提出:…
2026.04.20 渡邉 直斗 特定技能外食業分野 【2026年4月13日】特定技能の外食業分野受入停止と、これからの人材確保で大切にしたいこと 特定技能とは 「特定技能」は、人材を確保することが困難な状況にあり、外国人によって不足する人材の確保を図るべき産業上の分野(特定産業分野)において、一定の技能を要する業務に従事するために設けられた在留資格です。政府が分野ごとに基本方針や分野別運用方針を定め、受入れ見込数を設定して運用されています。 特定技能には、1号と2号があります。 特定技能1号 「特定技能1号」は、特定産業分野に属する「相当程度の知識又は経験を必要とする技能」を要する業務に従事する外国人の方が対象です。外食業分野や介護分野、建設分野など16分野があります。在留期間についてですが、通算で原則5年(妊娠、出産、育児その他のやむを得ない事情がある場合は特例で6年)と定められているため、1号の資格のまま5年を超えて日本に在留することはできません。このコラムで解説する「受け入れ停止」は、原則としてこの特定技能1号が対象となります。(厳密に言えば、後述する特定技能2号も分野ごとの「受入れ見込数」の中に含まれています。しかし、実務上は2号には上限はないと考えて差し支えありません。) 特定技能2号 「特定技能2号」は、「熟練した技能」を要する業務に従事する外国人が対象で、11分野があります。1号の滞在期間5年の間に必要な技能を身につけ、「特定技能2号」へのステップアップ(在留資格の変更)ができれば、5年経過後も引き続き日本で働き続けることが可能となります。 なぜ「外食分野」だけが、いち早く上限に達したのでしょうか? 特定技能制度の歩みと制度全体の上限数の変化 特定技能制度は、2019年度から開始され、制度開始時の全体の受入れ見込数は34万5、150人と設定されていました。その後、コロナ禍の影響による大きな経済情勢の変化を踏まえ、2022年8月に各分野の受入れ見込数の見直しが行われましたが、全体の総数(34万5、150人)は維持されたまま運用されてきました。 制度開始時に設定した5年間の期限が2023年度末に到来したことに伴い、2024年3月29日に閣議決定が行われ、2024年4月からの5年間の新たな受入れ見込数が再設定されました。5年後の産業需要や人手不足数(生産性向上や国内人材確保の取組を差し引いた数)を踏まえ、新たな受入れ見込数は82万人へと大幅に拡大されました。 期間 全体の上限 (見込み数) 状況 第1期 (2019年4月から5年間) 345、150人 制度の認知が広がり、徐々に活用が進んだ時期。 第2期 (2024年4月から5年間) 820、000人 人手不足の深刻化により枠が大幅拡大。 外食分野の上限 特定技能制度の開始当初、外食業分野の5年間の受入れ見込数は53、000人に設定されていました。しかし、コロナ禍の影響など大きな経済情勢の変化を踏まえて2022年8月に見直しが行われ、令和5年度末までの受入れ見込数は30、500人へと下方修正されて運用されました。年度が変わり令和6年4月には、5年間における新たな受入れ見込数が設定され、再び当初と同じ53、000人の受入れ枠が設けられました。 期間 全体の上限 (見込み数) 状況 第1期 (2019年4月から5年間) 30、500人 制度開始の翌年からコロナ禍となり、外食産業は休業や時短営業を余儀なくされました。人手不足が一時的に和らいだうえ、入国制限で海外からの新規入国がストップしたため、枠が埋まるペースは非常に緩やかでした。 第2期 (2024年4月から5年間) 53、000人 コロナ明けで客足が戻り、外食産業の人手不足がかつてないほど深刻化しました。国内で人を採用できない企業が、一斉に「特定技能」の活用に踏み切ったため、第1期とは比較にならないスピードで人数が増えています。 「外食業の受入れ見込数は閣議決定で53、000人とされていますが、実際には在留者が5万人に迫った段階で停止措置が取られました。 これは、現在進行中の審査分や発表後の駆け込み申請を含めると、実質的に枠が埋まってしまうためです。 出入国在留管理庁は、2026年4月13日以降の受け入れを停止し、それ以降の新たな申請に対しては、ビザの取得に必要な証明書を原則として交付しない措置をとると明らかにしました。これより前に申請されたものは順番に審査するとしていますが、上限を超えた場合は証明書が交付されないということです。…
2026.04.20 依田 隼弥 出国命令制度在留特別許可不法滞在 入管への「出頭申告」とは?オーバーステイ(不法滞在)で自首するメリットと手続きの流れを解説 1.入管への「出頭申告」とは? 「出頭申告」とは、在留資格の期限が切れた「オーバーステイ(不法残留)」や、有効なパスポート等を持たずに入国した「不法入国・不法上陸」などの不法滞在状態にある外国人が、自発的に入管(出入国在留管理局)へ赴き、自らの違反事実を申し出る手続きのことを指します。 日本に在留する外国人は、法律によって在留期間が定められており、その期限内で活動することが義務付けられています。「うっかり期限を忘れていた」「忙しくて手続きを怠っていた」など、どのような事情があったとしても、在留期間を1日でも過ぎて日本に留まり続ければ、入管法上は自動的に「不法残留(オーバーステイ)」という違法状態が成立します。 不法滞在(不法残留・不法入国)は、日本では明確な法令違反(犯罪行為)として扱われます。そのため、刑事罰や強制送還の対象となります。(なお、不法滞在全般における法律上のペナルティや、会社・雇用主側が問われるリスクなどの全体像について詳しく知りたい方は、オーバーステイ(不法滞在)とは?罰則や強制送還のリスク、解決策を専門家が解説のコラムをご確認ください。) しかし、この違法状態を放置せず、自らの意思で正して解決へと向かうために用意されている唯一の自発的な窓口が「出頭申告」です。自ら違反を申告するという誠意ある行動を起こすことで、その後に科されるペナルティの程度を大きく変え、安全かつ合法的に次のステップ(帰国、または日本への在留)へ進むための重要な制度です。 2.出頭申告の「4つの大きなメリット」 不法滞在が発覚するのを恐れて隠し続けるのではなく、自ら出頭申告を行うことには、具体的にはこの表のようなメリットがあります。 項目 自ら「出頭申告」をした場合 放置して「摘発」された場合 刑事罰(拘禁刑・罰金) 軽減 科されるリスクが高い 日本への上陸拒否期間 1年(出国命令制度) 原則5年〜10年(退去強制処分) 身柄の収容 違反調査が在宅で行われることが大半 原則入管施設へ収容 日本に残る手続きへの影響 プラス評価 マイナス評価(逃亡の恐れあり) それぞれ説明していきます。 (1)身柄の逮捕や刑事罰(拘禁刑・罰金)の免除・軽減 不法滞在は入管法第70条に定められた明確な犯罪行為であり、警察や入管に摘発されて裁判にかけられた場合、本来であれば「3年以下の拘禁刑(※従来の懲役刑・禁錮刑が一本化されたものです)もしくは300万円以下の罰金(またはその両方)」という非常に重い刑事罰が科されるリスクがあります。 しかし、警察に捕まる前に自ら入管に出頭申告をした場合は、原則として身柄を逮捕されて刑事裁判にかけられることはなく、これらの重い刑事罰は事実上「免除」または「軽減」されます。 前科がつくような刑事手続ではなく、入管法上の行政手続(出国命令手続きや退去強制手続き)のみで処理されるため、心理的・社会的なリスクを最小限に抑えて、安全に解決へ進むことができるのは出頭申告の非常に大きなメリットです。 (2)【帰国前提】「出国命令制度」の適用により、日本への上陸拒否期間が「1年」に短縮 一度母国へ帰国することを前提として出頭申告を行う場合、「出国命令制度」という救済措置の対象となります。 もし放置して摘発されてしまった場合は「退去強制処分(強制送還)」となり、原則として5年間(過去に違反歴がある場合は10年間)は日本へ再入国することができなくなります。 しかし、自ら出頭申告を行い、以下の条件を満たして「出国命令」を受けた場合は、日本への上陸拒否期間がわずか「1年間」へと大幅に短縮されます。 出国命令の条件 自ら入管に出頭し、速やかに日本から出国する意思を表明したこと 速やかに日本から出国することが確実と見込まれること 過去に退去強制の対象になったり、出国命令の対象になったりしたことがないこと 特定の罪で拘禁刑に処せられたことがないこと 不法就労助長などのその他の重大な入管法違反に該当しないこと かつては摘発されると即座に退去強制の手続きに進んでいましたが、2024年6月の入管法改正により、万が一摘発された後であっても、早い段階で自ら速やかに帰国する意思を示し、かつ上記の出頭以外の条件を満たしていれば、出国命令制度の対象となり、退去強制による送還を回避できる運用となりました。とはいえ、摘発される前に「自ら出頭申告する」のが最も安全であることに変わりはありません。…
2026.04.15 依田 隼弥 取消し在留特別許可退去強制 在留資格取消しが不安な方へ。日本で暮らし続けるための具体的な対策 1.在留資格の取消しは増加傾向?2026年最新の入管動向 2024年の入管法改正、そして2025年からの本格運用を経て、日本政府の姿勢は明確になりました。それは、「ルールを守る外国人は手厚く保護し、守らない外国人は速やかに排除する」という方針です。 (1)実数で見る、在留資格取消件数の推移 出入国在留管理庁が公表している「在留資格取消し件数」の統計をみると、2024年に1184件だった在留資格取り消し件数は2025年には1446件と22.1%の増加となっています。特に「技能実習」、次いで「留学」「技術・人文知識・国際業務」の3つで全体の多くを占めており、身近な在留資格ほど厳しくチェックされていることがわかります。 (2)2024年改正法の影響 かつては「よほど悪質なケース」でなければ取り消されないという空気感もありましたが、2026年の現在は違います。デジタル庁とのシステム連携により、外国人の居住実態や納税状況が各種行政データとの連携が進み把握が容易になり、「バレないだろう」という考えは通用しなくなっています。 2.なぜ在留資格が取り消されるのか?在留資格の取消事由5選 入管庁の公式資料に基づき、実務上、特によく見られる5つのケースを整理しました。 取消事由(入管法第22条の4) 具体的な内容 1.偽りその他不正の手段 学歴・職歴の詐称、偽造書類の提出(経歴詐称)。 2.活動の不継続 正当な理由なく、3か月以上仕事をしていなかったり、学校に通わないでいる。(原則は3か月以上です。ただし高度専門職の一部や「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」の在留資格の場合は6か月以上となります。) 3.居住地の届出不履行 引越し後90日以内に住所を届け出ない、または嘘の住所。 (届出をしないことにつき正当な理由がある場合を除く。) 4.虚偽の在留申請 実体のない会社での就労(偽装就労)や、実態のない結婚(偽装結婚)。 5上陸拒否事由の隠蔽・虚偽 過去の犯罪歴や退去強制歴を隠して、嘘の手段で入国した。 入管庁が公表している実際の取消事例 事例A:「留学」の在留資格を持つ者が、学校から除籍された後も、正当な理由なく3ヶ月以上日本に留まり続け、実際にはアルバイトばかりしていたケース。 →入管法第22条の4第1項第5号 「入管法別表第1の在留資格をもって在留する者が、正当な理由なく在留資格に応じた活動を行っておらず、かつ、他の活動を行い又は行おうとして在留していること」に該当します。 事例B:「技術・人文知識・国際業務」の者が、申請時に提出した職歴が全くの虚偽であることが判明したケース。 →入管法第22条の4第1項第3号 「第1号及び第2号に掲げるもののほか、不実の記載のある文書又は図画の提出又は提示 により、上陸許可等を受けたこと」に該当します。 事例C:在留資格「日本人の配偶者等」をもって在留している者が、日本人配偶者と離婚した後も引き続き、6か月以上本邦に在留していた。 →入管法第22条の4第1項第7号 『「日本人の配偶者等」又は「永住者の配偶者等」の在留資格を有する者が、正当な理由なく在留資格に応じた活動を6月以上行わないで在留していること』に該当します。 3.「在留資格取消し」と「退去強制」 (1)取消しから退去強制までの流れ 1. 取消しの通知 入管から、取消しの原因となる事実や意見聴取の期日・場所が記載された「意見聴取通知書」が送達されます(※急を要する場合は口頭で通知されることもあります)。 2. 意見聴取 入管がいきなり資格を消すことは、原則としてありません。事前に「意見聴取」という手続きが行われます。これは、対象者の言い分を聞く、取り消し前の最後のチャンスです。…
2026.02.25 依田 隼弥 特定技能物流倉庫物流倉庫 特定技能「物流倉庫」追加!2027年開始の要件と派遣禁止の注意点を行政書士が解説 1.特定技能に「物流倉庫」分野が追加!【2027年4月施行予定】 特定技能制度は全19分野へと拡大されることになりました。物流倉庫での外国人材の受け入れを検討する際,まず把握すべきは「いつから,どれくらいの規模で」制度が始まるのかという全体像です。 (1)2026年1月閣議決定から就労開始までの流れ 2026年1月23日の閣議決定を経て,現在は2027年春の本格始動に向けた準備フェーズに入っています。 具体的なタイムラインは以下の通りです。 時期 内容 2026年1月23日 【完了】閣議決定。物流倉庫分野の追加が正式決定。 2026年度中 省令・告示の整備。技能試験および日本語試験の開始。 2027年4月 【施行】実際の就労開始(入国・配属)。 ここで注意が必要なのは,2027年4月になってから動くのでは遅いという点です。 特定技能ビザを取得するには,雇用契約の締結や登録支援機関との連携,入管への申請など,多くの準備期間が必要です。 ※入管への申請期間の目安は他分野の実績から2〜3ヶ月程度ですが,新設分野のため余裕を持った体制整備が欠かせません。 (2)受入上限は3年間で11,400人。早期準備が鍵となる理由 政府は,2026年度からの3年間で,物流倉庫分野における受入上限数を「11,400人」と設定しました。 全国の倉庫業・運送業の事業所数を考えると,決して余裕のある枠ではありません。 このため,早い段階で「枠」の争奪が予想されます。 「育成就労制度」との連携: 新設される育成就労制度(旧・技能実習に代わる制度)からの移行も見込まれており,限られた枠を争うことが予想されます。 物流DXへの対応: 今回の改正の目的には「物流の効率化(DX)」が含まれています。ITシステムの利活用という要件に対応できる「質の高い人材」は限られているため,早期に受け入れ体制を整えた企業による確保競争が激化することが予想されます。 枠が埋まってしまえば,どれほど人手が足りなくてもビザの許可は下りません。まずは制度を正しく理解し,自社が要件を満たせるか確認することが,2027年4月のスタートダッシュを決める絶対条件です。 2.自社は対象?受入可能な企業・事業所の要件とは? 「うちは大手倉庫の一部を借りて作業している下請けだけど,対象になるの?」「運送免許はあるけれど,倉庫業の登録はしていない……」 こうした疑問をお持ちの経営者・人事担当者の方は多いはずです。今回の特定技能「物流倉庫」分野は,門戸が広がった一方で,どの箱(事業形態)で申請するかが非常に厳格に定められています。 (1)倉庫業者・運送業者・受託事業者の3区分を徹底解説 新制度において,特定技能外国人を受け入れられる企業は,大きく以下の3つのいずれかに該当する必要があります。 1. 倉庫業者: 倉庫業の登録を受けた倉庫業者で,倉庫作業を自ら実施する事業者。 2. 貨物自動車運送業者: 自ら運送業の許可を持ち,その事業に附帯して倉庫内作業を行っている事業者。 3. 受託事業者: 上記1の「倉庫業者」から委託を受けて, 当該倉庫業者の占有する倉庫において作業を実施する事業者(いわゆる構内荷役会社など)。…
2026.02.12 德永 武道 特定在留カードマイナンバーカード 【2026年6月】特定在留カードで在留更新の「二度手間」を解消!入管のあとに市役所へ行く必要がなくなる本当のメリット 1.30秒でわかる!特定在留カードで変わること 忙しい方のために,まず結論をまとめました。 項目 これまでの仕組み 特定在留カードの仕組み カードの枚数 2枚(在留カード+マイナンバーカード) 1枚に集約 更新の手続き 2段階(入管の後に役所へ行く) 1段階(入管だけで完了) 役所への訪問 マイナンバーの更新のために必要 原則不要 2.「物理的な軽さ」より「手続きの軽さ」 専門家として断言できるのは,このカードの価値は「財布が軽くなること」だけではありません。「行政手続きの『はしご』が不要になること」にあります。 これまで多くの中長期在留者の方が,ビザ(在留資格)の更新のたびに「入管の手続きが終わった足で,役所の窓口にも並ばなければならない」という精神的・時間的な負担を強いられてきました。 特定在留カードへ切り替えると,入管でカードを受け取った時点でマイナンバー機能も自動的に更新されるため,「役所に行くためだけに会社を休む」必要がなくなります。 3.特定在留カードの概要と「物理的メリット」 「特定在留カード」は,簡単に言うと「在留カードにマイナンバー機能をインストールした新しいカード」です。まずは基本情報を整理しましょう。 (1)基本情報:いつから?誰が対象? 基本情報をまとめました。 運用開始日 2026年6月14日(この日は日曜日なので実際に交付されるのは15日からでしょう) 取得の義務 なし(任意)。これまで通り「2枚別々」に持つことも可能です。 対象者 中長期在留者(永住者,配偶者,高度専門職,技術・人文知識・国際業務など)や特別永住者。 (2)見た目の変化:カードの表面はどうなる? 1枚に統合されることで,券面(表面)のデザインも整理されます。 情報の集約 表面に在留資格情報(氏名,国籍,在留期間の満了日など),裏面にマイナンバー(個人番号)が記載されます。 ICチップ化の促進 プライバシー保護のため,これまで印字されていた「許可年月日」や「在留期間(○年などの長さ)」などの一部情報は,券面から消えてICチップ内のみの記録となります。 4.最大の利点:手続きの「はしご」を解消 特定在留カードを持つことで,これまでの手続きがどのように変わるのか,具体的に見てみましょう。 (1)これまでの不便:避けて通れなかった「2段階の手続き」 現在,多くの方が経験している流れは以下の通りです。 1. 【ステップ1】出入国在留管理局(入管)へ行く…