行政書士法人第一綜合事務所

ベトナム人との国際結婚手続きを専門行政書士が解説!

入管が2020年6月末時点に公表した在留外国人数に関する統計によると,日本に在留するベトナム人は,42万0415人にのぼり,国籍別の在留外国人数でも第3位になっています。
また,厚生労働省が2021年1月に公表したデータ(「外国人雇用状況」の届出状況まとめ)によると,2020年10月末現在の外国人労働者は,ベトナム人がこれまで1位だった中国を抜いて最も多くなり,その数は44万3998人にのぼり,外国人労働者数全体の25.7%となっています。
当社の事例においても,技能実習生のベトナム人との国際結婚手続きをはじめ,日本で在留するベトナム人との国際結婚は,増加の一途を辿っております。
そこで本ページでは,日本人とベトナム人との国際結婚手続きについて,国際業務専門の行政書士がこれまでの経験をもとに,その手順,注意すべき事項について記載しています。
これからベトナム人との国際結婚を考えられている方は,ぜひ参考にしてみてください。

1.国際結婚手続きの用語解説

本チャプターでは,国際結婚手続きにおける専門用語を解説していきます。
以降の内容をご参照いただくにあたり必要となる前提知識ですので,ご一読の上,次のチャプターに進んでください。

①国際結婚の成立とは?

国際結婚が有効に成立するには,双方(本事例でいうと日本とベトナム)の国籍国において,法的に有効な婚姻関係にあることが原則必要とされています。
日本で先に結婚手続きを行うことを日本方式と言い,ベトナムで先に結婚手続きを行うことをベトナム方式と言います。

②婚姻要件具備証明書とは?

外国人が,日本方式の婚姻を有効に成立させるためには,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件(婚姻できる年齢に達していること,独身であることなど)を満たしていることが必要とされています。
もっとも,日本の市区町村役場で,外国人の国籍国の法律を全て審査することは現実的ではありません。
そのため,国際結婚においては,婚姻要件具備証明書を提出することによって,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていると判断することにしています。

なお,発行国によっては,独身証明書などと言われることがありますが,独身であることのみならず,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていることが明らかになるものであれば,基本的には婚姻要件具備証明書と考えていただいて差支えありません。

2.ベトナム人との国際結婚手続きで注意すること

ベトナム人と日本人との国際結婚手続きの際,ご注意いただきたい事項を下記に記載いたします。

①婚姻要件具備証明書について

日本に中長期的に滞在するベトナム人は,婚姻要件具備証明書を在日ベトナム公館で取得することができます。
婚姻要件具備証明書を取得できる状況にある場合は,必ず婚姻要件具備証明書を取得しなければなりません。
日本国外にいるベトナム人は婚姻要件具備証明書が取得できないため,婚姻要件具備証明書に代わる書類によって,ベトナム人の婚姻要件充足を証明することになります。

②婚姻可能な年齢について

ベトナム人の婚姻可能な年齢は,男性は満20歳以上,女性は満18歳以上です。
年齢によって父母の同意が求められることはありません。

③再婚禁止期間について

ベトナムの法律には再婚禁止期間の定めはありません。ただし,日本方式で婚姻手続きを行う場合は,日本民法の再婚禁止期間が適用され,前婚の解消又は取消の日から100日を経過していることが要件とされています。もっとも,ベトナム人女性が妊娠していないという医師の診断書を提出することによって,100日を経過していない場合でも婚姻することができます。

3.国際結婚手続きにおける必要書類(日本方式)

本題の国際結婚手続きについて解説していきます。
ここからは,日本人とベトナム人が日本方式で婚姻をおこなう場合の必要書類を記載します。
なお,市区町村役場によって若干の相違があるため,事前に役所照会することをお勧めいたします。

①日本の市区町村役場において必要となる書類

<日本人の方にご準備いただく書類
・婚姻届書(日本人同士の場合と同様のものです)
・本人確認資料(運転免許証又はパスポート等)
・戸籍謄本(本籍地以外に婚姻届を提出する場合)

<ベトナム人の方にご準備いただく書類>
・在日ベトナム公館発行の婚姻要件具備証明書
・出生証明書(日本語訳を添付)
・パスポート

(婚姻要件具備証明書が取得できない場合)
・出生証明書(日本語訳を添付)
・人民委員会発行の婚姻状況証明書(日本語訳を添付)
・パスポート
※ベトナム人が在外にいる場合は,パスポートのコピーで代替可能です。

②婚姻要件具備証明書を取得するために必要な書類

<ベトナム人の方にご準備いただく書類>
・婚姻要件具備証明書の申請書(ベトナム公館にてフォーマットを取得)
・履歴書(ベトナム公館にてフォーマットを取得)
・人民委員会発行の婚姻状況証明書
※必ず,使用目的が婚姻と記載され,相手方の氏名等が記載されたものが必要になります。
・出生証明書
・住民票もしくは在留カードのコピー
・婚姻届出の記録がない証明書(お住まいの市区町村役場で取得)
・パスポート

<日本人の方にご準備いただく書類>
・住民票
・パスポート

③ベトナムへの婚姻登録について

ベトナムでは婚姻登録制度があります。日本の役所に婚姻届を提出した後,在日ベトナム公館で婚姻登録手続きを行ってください。

<ベトナム人の方にご準備いただく書類>
・婚姻登録申請書(在日ベトナム公館にてフォーマットを取得)
・パスポート

<日本人の方にご準備いただく書類>
・婚姻届受理証明書(婚姻届を提出された市区町村役場にて取得)
・パスポート

婚姻登録が完了すると,婚姻登録通知済証明書(結婚証明書)が発行されます。

4.国際結婚手続きにおける必要書類(ベトナム方式)

次は,日本人とベトナム人がベトナム方式で婚姻をする場合についてです。
ベトナム方式で婚姻手続きをする場合は,日本人がベトナムに渡航する必要があります。
当事者二人揃って,現地の人民委員会で婚姻登録を行います。

①ベトナムの人民委員会において必要となる書類

<日本人の方にご用意いただく書類>
・婚姻要件具備証明書※
※在ベトナム日本大使館・領事館で取得します。日本人の戸籍謄本とベトナム人の身分証と婚姻状況証明書をご持参の上,当事者二人で申請してください。原則,申請当日に発行されます。
・現地の公立病院で受診した健康診断書
・パスポート

婚姻が登記されると,婚姻登録証明書(結婚証明書)が交付されます。

②日本への婚姻報告について

ベトナムで婚姻登記された後,在ベトナム日本大使館または日本の市区町村役場で,婚姻届(報告的届出)を提出してください。

<日本人の方にご用意いただく書類>
・婚姻登録証明書(結婚証明書)および日本語訳文
・本人確認資料(運転免許証又はパスポート等)
・戸籍謄本(本籍地以外に婚姻届を提出する場合)

<ベトナム人の方にご用意いただく書類>
・出生証明書および日本語訳文

5.ベトナム人との国際結婚手続きのまとめ

本ページでは,日本人とベトナム人の国際結婚手続きをご紹介しました。

ベトナム人との婚姻手続きの際には,注意すべきことがあります。
婚姻手続きを含め,ベトナムの行政手続きでは,柔軟な対応の見返りに金銭を支払う習慣があります(アジア圏ではよくあります)。これが絶対悪というわけではなく,それぞれの国の文化風習に則った慣行というべきものなのでしょう。いわゆる,「袖の下」文化です。

ただし,これは日本では違法です。実際に,婚姻手続の見返りに金銭を受け取った在日ベトナム領事館の職員と,金銭を支払った民間人が逮捕されています。相手が見返りを求めてきた場合は,絶対に支払わないようにしましょう。

本ページが,ベトナム人との国際結婚をご検討されている方々のご参考になれば幸いです。