今西 祐希

短期滞在(観光)ビザから配偶者ビザへの変更はできる?「やむを得ない特別な事情」の立証を行政書士が解説

短期滞在(観光)ビザから配偶者ビザへの変更はできる?「やむを得ない特別な事情」の立証を行政書士が解説

「外国籍のパートナーが観光ビザで日本に滞在している間に、配偶者ビザに変更したい」と考え、情報収集を始められる方が多くいらっしゃいます。

しかし、インターネットの情報には、「観光ビザから配偶者ビザへの変更は原則として許可されない」という書き込みもあり、不安になって当社にご相談に来られるケースが多くあります。

観光ビザから配偶者ビザに変更したいというお問い合わせは、数多く当社に寄せられます。ご相談者様が特に不安に思われているのは、そもそも観光ビザから配偶者ビザに変更できるのかという点と、通常の配偶者ビザの審査より厳しくなってしまうのではないかという点です。

このコラムでは、短期滞在(観光)ビザから配偶者ビザへの変更許可申請について、上記の疑問を解消するために、詳しく解説をしていきます。

無料相談のお問い合わせ先

1.「観光ビザ」と「短期滞在ビザ」

一般的に呼ばれている「観光ビザ」は、法律上の正式名称である「短期滞在ビザ」という大きな枠組みの中に含まれている、一つの目的を指しています。

日本の入管法(出入国管理及び難民認定法)においては、「観光ビザ」という名前の在留資格は存在しません。すべて「短期滞在」という一つの在留資格として規定されています。

この「短期滞在ビザ」という正式名称の中に、以下のような来日目的がすべて含まれています。

  • 親族訪問・知人訪問(結婚相手に会いに来るなど)
  • 観光・保養・スポーツ(いわゆる一般的な観光旅行)
  • 短期のビジネス出張・商談・市場調査

そのため、お手元のパスポートに「Temporary Visitor(短期滞在)」とスタンプが押されていれば、それが観光目的であっても親族訪問目的であっても、すべて同じ「短期滞在ビザ」での在留となります。

なお、日本政府は出入国手続きのデジタル化を推進しており、2023年からは観光目的の短期滞在ビザを対象とした電子ビザシステム「JAPAN eVISA」の運用を本格的に開始しました。そのため、パスポートへの紙のスタンプやシールではなく、スマートフォンの画面で電子ビザを提示して入国されるケースも増えていますが、これらもすべて法律上は同様に「短期滞在ビザ」として扱われます。

本コラムでは、一般の方に馴染みのある「観光ビザ」という言葉も交えながら解説していきますが、役所や出入国在留管理庁(入管)の手続きにおいては、すべて「短期滞在ビザ」として扱われるという点をまずは押さえておきましょう。

それでは、この短期滞在(観光)ビザから、日本国内で直接「配偶者ビザ」への変更ができるのかどうか、本題を見ていきましょう。

2.観光ビザから配偶者ビザへ変更することはできるの?

短期滞在(観光)ビザから配偶者ビザへ変更する場合、ある一定の条件をクリアすることで、変更することができます。

入管法20条では、

「在留資格を有する外国人は、その者の有する在留資格の変更を受けることができる。」

と定められています。

上記の通り、ビザの変更をできるのは正規の在留者である外国人に限定しているものの、観光ビザから変更することについて拒否する旨の規定は存在しません。

そのため、法手続上は観光ビザから配偶者ビザへの変更も認められることになります。

では、なぜ観光ビザから配偶者ビザへの変更ができないといわれるのでしょうか。

3.観光ビザから配偶者ビザへの変更ができないといわれる理由は?

入管法第20条第3項但書には、以下の内容が記載されています。

「短期滞在の在留資格をもつて在留する者の申請については、やむを得ない特別の事情に基づくものでなければ許可しないものとする。」

但書きにある通り、「やむを得ない特別の事情」がない限り、短期滞在(観光)ビザから配偶者ビザを含めた他のビザへ変更をすることができないとされているのです。

なぜ、「やむを得ない特別の事情」が必要なのか説明する前に、配偶者ビザを取得する方法について、簡単に説明いたします。

4.配偶者ビザの2つの取得方法

外国籍の方が配偶者ビザを取得するためには、大きく二つの方法があります。

  1. 在留資格認定証明書交付申請(COE申請)を行い、配偶者ビザで日本に入国
  2. 観光ビザで日本に入国後、配偶者ビザに在留資格変更許可申請

①在留資格認定証明書交付申請(COE申請)を行い、配偶者ビザで日本に入国


まず、COE(Certificate of Eligibility)申請は、日本の入管で行います。

申請を行うことができる人にも限りがあり、上記申請で申請人となる方の親族で、かつ日本に住んでいる人に限定されます。

申請人は海外にいることがほとんどのため、申請人の配偶者や配偶者の両親に申請してもらうことが大半です。
そして、COE申請で許可が下りると、入管からCOEが発行されます。

その後、COEを海外の配偶者に送り(※1)、海外にある日本大使館または領事館で査証(いわゆるビザ)の申請を行います。そして、大使館からのビザが発給された後に、日本に入国します。

なお、COEの有効期限の問題から、基本的にはCOEが発行された日から3ヶ月以内に日本に上陸しなければいけません。
日本に入国後は、到着した空港、海港で上陸審査を受けます。上陸審査を終えた後は、外国籍配偶者に在留カードが交付されます。

※1:2026年現在では、在留資格認定証明書が電子メールで受け取ることができるようになっています。なお、これまで発行されてきた紙の在留資格認定証明書についても、写しを提出することでビザ申請を行うことができるようになりました。そのため、国際郵送にかかる手間や費用、時間を大幅に削減できるようになっています。
参考:https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/10_00136.html

②観光ビザで日本に入国後、配偶者ビザに在留資格変更許可申請


まずは、外国籍配偶者が観光ビザで日本に入国します。
その後、外国籍配偶者が日本の入管で在留資格変更許可申請を行います。

在留資格変更許可申請の許可が下りると、入管からはがきサイズの許可通知書が発行されます。
この許可通知書を持って、入管で在留カードの交付手続きを行うことで、在留カードを受け取ることができます。

5.配偶者ビザにおける在留資格認定証明書の必要性

上記で紹介した2つの配偶者ビザの取得方法を見る限り、②の観光ビザで日本に入国後に配偶者ビザに切り替える手続きのほうが、簡単と思いませんでしたでしょうか。

しかし、入管は①の在留資格認定証明書を取得したうえで、入国することを原則としています。
その理由としては、配偶者ビザは観光ビザと違い中長期的な滞在を前提としているからです。

短期滞在(観光)ビザは、短期間での出国を前提としているからこそ、ビザの取得が簡略化されていたり、査証免除国(ノービザ対象国)の人たちは観光ビザを取得することなく来日することができます。

それに対して、上記に述べた通り、配偶者ビザは中長期的な滞在を目的としたビザです。
そのため、日本政府としては、外国籍配偶者が日本に入国して問題ないかを、日本に入国する前に厳格な事前審査を行っています。

仮に、配偶者ビザを取得したい方の全員が、②の方法で配偶者ビザを取得しようと考えた際、入国前の厳格な審査を通ることなく上陸することになり、在留資格認定証明書の制度の形骸化及び出入国管理制度の根幹そのものを揺るがす恐れを招くことになってしまいます。

そのため、日本政府は、観光ビザから配偶者ビザへの変更が容易にならないように、条件として観光ビザから配偶者ビザへの切り替えに対して、「やむを得ない特別の事情」を求めているのです。

6.「やむを得ない特別な事情」とは?

「やむを得ない特別の事情」とは、入国後の事情変更により、当初の在留目的が変更したことに合理的理由があり、かつ、いったん本邦から出国して新たな入国手続をとらせるまでもなく引き続き本邦在留を認めるのが相当であると認められるような事情をいう。
(『出入国管理及び難民認定法逐条解説<改訂第4版>』坂中英徳/齋藤利男著)

上記を簡単に記載すると、大きく2点に分けることができます。

  1. 短期滞在(観光)ビザを変更することに合理的な理由があること
  2. 引き続き日本への在留を認めるのが相当であること

この2点を満たすものの具体例として、下記のようなケースが考えられます。

  1. 観光ビザで来日中に婚姻が成立した
  2. 結婚が成立している夫婦に子どもがいること、または妊娠している
  3. 人道上配慮されるべき事情がある

1のケースの場合、婚姻が成立したばかりの新婚夫婦が、直ぐに離れ離れになることはあまり芳しくありません。
そのため、観光ビザから配偶者ビザへの変更が「やむを得ない特別な事情」であると斟酌される可能性が高いです。

2のケースの場合、子供の年齢や妊娠時期によっては、配偶者のサポートが必要であり、在留資格認定証明書を取得したうえで、来日となると時間が掛かりすぎることが予想されます。
そのため、観光ビザから配偶者ビザへの変更が「やむを得ない特別な事情」であると斟酌される可能性が高いです。

3のケースについては、例えば外国籍配偶者の本国でクーデターや紛争等が発生しており、一度帰国をした後、再度来日できるかどうか先行きが不透明な場合に当てはまります。
そのため、観光ビザから配偶者ビザへの変更が「やむを得ない特別な事情」であると斟酌される可能性が高いです。

上記のケースはあくまでも一例です。
そのため、ご自身に当てはまるケースがなかったとしても諦めず、一度当社までご相談ください。
行政書士法人第一綜合事務所では、初回相談を無料で行っています。

ご相談は無料です。
お気軽にご相談ください。

7.観光ビザでも結婚をすれば必ず配偶者ビザに変更できる?

では、結婚が成立している状態、かつ「やむを得ない特別の事情」が存在していれば、観光ビザから配偶者ビザへの変更が必ず認められるかというと、決してそういうわけではありません。

「やむを得ない特別な事情」が存在するのはもちろんのこと、ベースとなる配偶者ビザの要件を満たさなければ、観光ビザから配偶者ビザへの変更は認められません。

したがって、観光ビザ自体に特別な要件を課される訳ではないのですが、観光ビザから配偶者ビザへの変更については、通常の配偶者ビザの要件に加え、「やむを得ない特別な事情」の有無を問われることから、難しいという印象を持たれる方が多いのではないでしょうか。

8.配偶者ビザの要件を簡単にご紹介

改めてここで、配偶者ビザの要件について簡単におさらいしておきましょう。
まず、配偶者ビザの要件は、大きく2つです。

  1. 夫婦の婚姻が実体を伴うものであること
  2. 婚姻生活を営むための経済的基盤の有無

上記2つに加え、前提条件として、夫婦それぞれの国籍において、法的に夫婦関係であることが求められます。
詳しくは、日本で外国人と国際結婚に必要な書類とは?手続きの流れ、注意点など解説をご参照ください。

1の夫婦の婚姻が実体を伴うものであることにおいては、夫婦の間に法律上の婚姻関係は成立しているが、合理的な理由なく別居していたり、夫婦の婚姻関係が社会生活上の実質的基礎を失っている場合、いわゆる第三者から見て、夫婦として活動していないと見受けられる場合においては、夫婦の婚姻が実体を伴わないと判断される可能性があります。

2の経済的基盤の有無においては、例えば、夫婦ともに収入源がなく、将来において夫婦が自立して生活ができない場合に、夫婦としての活動が安定的及び継続的でないと判断され、配偶者ビザの要件を満たさない可能性があります。

配偶者ビザの基本要件
配偶者ビザの基本要件

9.観光ビザの日数にも気を付ける必要がある!

また、観光ビザでの在留期限も観光ビザから配偶者ビザに変更する際には、とても重要なファクターになります。

観光ビザには、15日、30日、90日と付与される在留期間の種類があります。
そのうち、実務上、観光ビザから配偶者ビザに変更できるのは、90日のみとなります。

滞在ビザの「付与日数」による変更手続きの可否の図

滞在ビザの付与日数による変更手続きの可否の図
理由は、15日、30日のみでは入管の審査は完了せずに、在留期限が到来してしまうからです。
配偶者ビザへの在留資格変更許可申請は、入管が定期的に公表するデータに基づくと、おおよそ40日程度ほどかかっているのが実状です。
観光ビザで入国する前には、観光ビザの在留期間にも気を付ける必要があります。

10.当事務所における実際の解決事例をご紹介

短期滞在(観光)ビザからの変更手続きがいかに厳格に審査されるかを説明してきましたが、ここで、行政書士法人第一綜合事務所が過去に実際にサポートし、厳しい状況から無事に配偶者ビザへの変更許可を認められた具体的な成功事例をひとつご紹介します。

私たちが担当したあるご夫婦のケースでは、ご主人様の母国で紛争が発生しており、今回の滞在中に配偶者ビザが取得出来ず、帰国をすると徴兵され、夫婦が今後いつ会えるか分からなくなるシビアな状況でした。そのため、全体を俯瞰して見ながら、時間的ロスの無いように手続きを進めていきました。

90日の観光ビザで入国されていたため、特例期間の適用はありましたが、結果的には特例期間には入ることなく、早期に配偶者ビザの許可受領をする事ができました。
帰国を覚悟していたお客様ご夫妻には、とても喜んでいただけました。

このように、一見すると「一度帰国しなければいけないのではないか」と思われるような難しい状況であっても、入管に対して「日本国内でビザを切り替えるべき合理的な理由(やむを得ない特別な事情)」を論理的に主張・立証することができれば、日本でそのまま一緒に暮らすことのできる可能性はあります。

※特例期間・・・観光ビザの在留期間が終わるまでに、入管に配偶者ビザの変更申請をしていた場合、入管の審査が終わらずに観光ビザの在留期間を過ぎたとしても、本来の在留期間から最長2ヶ月まで観光ビザが有効である期間のことです(結果を受領した場合は、その日まで有効です。)。

なお、観光ビザの在留期間が30日以下の場合には、特例期間の制度は適用されません。

11.短期滞在(観光)ビザから配偶者ビザへの変更のまとめ

本コラムでは、当社でも特にご相談の多い短期滞在(観光)ビザから配偶者ビザへの変更について紹介してきました。
入管の審査では明確な判断基準が公表されておらず、一般の方では曖昧で理解しづらい部分もあるため、観光ビザから配偶者ビザへの変更はご不安に感じられるかも知れません。

また、短い在留期限という時間的制約もあり、余計に心配されることでしょう。
しかし、正しい情報を得て、必要なポイントを主張し立証することができれば、観光ビザから配偶者ビザへの変更は、決して不可能ではありません。

観光ビザから配偶者ビザへの変更をご希望の方は、ぜひお気軽に行政書士法人第一綜合事務所までお問い合わせください。
お客様のお話をお伺いしながら、ベストな解決までの道のりをご提案いたします。

この記事の監修者

行政書士法人第一綜合事務所

行政書士 今西 祐希

・日本行政書士会連合会(登録番号第25095159号)
・神奈川県行政書士会(会員番号第6891号)
兵庫県出身。横浜オフィスに所属し,外国人ビザ申請,国際結婚,就労ビザ関連の顧問業務や,帰化許可申請などの国際業務を専門としている。

ご相談は無料です。
お気軽にご相談ください。