特定技能1号と2号の違いとは?「育成就労」から移行する最新要件を行政書士が解説!

2019年4月に施行された「特定技能」ビザは、人手不足が深刻な業種を対象として、その労働力を補うために創設されました。
特定技能ビザで就労する外国人の人数は、2026年3月末時点で404,527人と2025年末から14,231人も増えており、右肩上がりの状況が続いています。
特定技能ビザには「1号」と「2号」が用意されていますが、その違いについてご存知でしょうか?「2号」は「1号」のステップアップに当たるビザなのですが、こちらも2026年3月末時点で12,420人となっており、2025年末からの3ヶ月で56.1%も増加しています。本コラムでは、特定技能1号・2号の違いについて、最新情報も踏まえて行政書士がわかりやすく解説します。
特定技能ビザで外国人材の起用を検討されている方は、ぜひ最後までお読みください。
Index
1.特定技能ビザとは?
前述の通り、特定技能ビザは人手不足が深刻な「建設」「農業」「介護」などの分野の労働力を確保するために創設されたものです。
就労ビザには他にも種類がありますが、特定技能ビザは就労できる業務内容の範囲が他の就労ビザよりも広く、単純労働を含めることができる点が大きな特徴です。
特定技能2号ビザは、1号よりも高度な技能を持っていることが認められた方向けのビザです。1号にはない、いわゆる「特典」があることが特徴です。詳しくは2章でご説明します。
特定技能ビザの対象となる分野を表にまとめました。下線を引いているものはその分野についてのコラムがあるものです。ぜひご参照ください。
| 特定技能1号(19分野) | 特定技能2号(11分野) |
| 介護 | (「介護」ビザへ移行) |
| 外食業 | 外食業 |
| 宿泊 | 宿泊 |
| 飲食料品製造業 | 飲食料品製造業 |
| 自動車整備 | 自動車整備 |
| 航空 | 航空 |
| 農業 | 農業 |
| ビルクリーニング | ビルクリーニング |
| 工業製品製造業 | 工業製品製造業 |
| 建設 | 建設 |
| 造船・船用工業 | 造船・船用工業 |
| 漁業 | 漁業 |
| 自動車運送業 | |
| 鉄道 | |
| 林業 | |
| 木材産業 | |
| リネンサプライ | |
| 物流倉庫 | |
| 資源循環 |
「リネンサプライ」「物流倉庫」「資源循環」は2026年1月で追加が閣議決定されたものです。今後本格的に運用が始まります。このように、特定技能制度では経済情勢や人手不足の状況に合わせて柔軟に対象分野が追加されています。
また、特定技能制度ではそれぞれの分野に受け入れ人数の上限があります。例えば、外食業分野はその上限に達しつつあるタイミングで在留資格の認定がストップされました。詳しくは【2026年3月末最新データ】特定技能の「受入見込数」と「充足率」を徹底解説!採用計画の重要ポイントをご参照ください。
2.特定技能1号と特定技能2号の違い
ここからは、特定技能1号と2号の違いについて解説していきます。
まずは、主な違いを表にまとめましたので見比べてみてください。
| 特定技能1号 | 特定技能2号 | |
| 在留期間の上限 | 通算で5年まで (3年を超えない範囲内で法務大臣が個々の外国人について指定する期間ごとの更新) |
上限なし (3年・2年・1年・6か月ごとの更新※2027年1月上旬より「5年」追加) |
| 必要な技能水準 | 相当程度の知識や経験を必要とする技能 (試験に合格 or 技能実習から移行) |
熟練した技能 (試験に合格) |
| 日本語能力 | 試験等で確認が必要 | 試験等での確認は不要※2027年4月より試験等で確認が必要になります |
| 外国人の支援 | 支援計画の策定と支援の実施が義務 | 支援計画の策定や支援の実施は不要 |
| 家族の帯同 | 基本的にできない | 条件を満たせばできる(配偶者・子) |
| 永住要件へのカウント | カウントされない | カウントされる |
表の内容について、6つに分けて以下で解説します。
(1)在留期間の上限が違う
特定技能1号ビザは、通算で最長5年まで在留することができます。
「通算で」となっている点に注意が必要です。
例えば、特定技能1号で1年間働いた後、本国帰国して1年働き、再度特定技能1号で来日する場合も、過去の1年はリセットされず「通算5年」のカウントに含まれます。ただし、妊娠・出産等に係る期間は、通算期間に含めません。また、特定技能2号の評価試験等に不合格になった場合には、一定の要件の下で最長1年の在留継続を認めるとしています。
一方の特定技能2号ビザには、このような上限規定はありません。更新手続きを行うことで長期的な就労が可能です。
(2)必要な技能水準が違う
特定技能1号と2号では、2号のほうがより高度な技能をもっていることが必要です。
その分野に関する、相当程度の知識や経験が必要な技能を持っている
(特定技能1号評価試験、技能検定3級等を想定)
【特定技能2号】
その分野に関する、熟練した技能を持っている
(特定技能2号評価試験、技能検定1級等を想定)
技能をもっているかどうかは、指定の試験で確認されます。
ただし、特定技能1号については、技能実習2号を良好に修了した場合は試験なしで特定技能1号ビザへ移行することができる仕組みになっています。
(3)必要な日本語能力水準が違う
特定技能ビザで必要となる日本語能力水準は以下のとおりです。
日本語能力試験「N4」または国際交流基金日本語基礎テスト「A2.2」レベル以上
【特定技能2号】
試験などでのレベル確認は原則不要※2027年4月よりB1相当以上の証明が必要になります。
特定技能1号の介護分野では、これ以外に「介護日本語評価試験」にも合格する必要があります。
また、特定技能2号ですが、従来は「試験等による日本語能力の確認は原則不要」とされていましたが、2027年4月以降は試験に合格して「B1相当」の日本語能力の証明が必要になります。
(4)外国人支援の必要性が違う
特定技能1号では、その外国人が従事する業務や生活について、円滑に行えるよう支援することが義務付けられています。
この支援は、雇用する受入機関が直接行うか、受入機関が登録支援機関に委託して支援を代行してもらうか、どちらかになります。支援内容を計画書にまとめて、ビザ取得申請の際に提出します。また、受入機関(または登録支援機関)から入管へ定期的な報告も義務付けられています。
特定技能2号では、外国人個人に対する個別支援(生活支援計画の作成・実施)を行う義務は免除されますが、受入れ企業(特定技能所属機関)が負う「出入国在留管理庁への各種届出や定期的な報告の義務」は、特定技能2号を雇用する場合であっても一切免除されません。。
(5)家族の帯同可否が違う
特定技能2号では、扶養する配偶者や子を「家族滞在」ビザで帯同することが可能です。
家族の帯同は原則できない※1
【特定技能2号】
要件を満たせば家族(配偶者と子)の帯同が認められる。
※1:留学生だった人が特定技能1号に変更する場合、配偶者や子が「家族滞在」ビザで在留中であれば、「特定活動」ビザに変更することで例外的にそのまま帯同できる可能性はあります。
(6)永住ビザの取得可否が違う
入管が公開している「永住許可に関するガイドライン」を見てみましょう。
ア 原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし、この期間のうち、就労資格(在留資格「技能実習」及び「特定技能1号」を除く。)又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する。
ウ 現に有している在留資格について、出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること。
(出典:出入国在留管理庁ホームページ)
上記「ア」のとおり、特定技能1号で就労した期間は、永住権取得で必要な「就労5年」の年数にカウントされないのです。一方、特定技能2号であれば年数にカウントされ、永住権取得に必要な条件を満たせる可能性があります。
2027年1月上旬からは特定技能2号の在留期間に「5年」が追加されます。これは「ウ」で示されている「最長の在留期間」という永住許可の要件において、他の就労目的の在留資格との均衡を図ることを目的としています。従来の特定技能2号における最長在留期間は「3年」に留まっていたため、他の就労ビザ(最長在留期間が5年)に比べて、実質的に永住許可の要件が緩やかになっていました。
この不均衡を是正し、特定技能2号の永住要件が他の就労資格に比して緩やかとならないように均衡を図るとともに、在留期間更新手続きの頻度を減らして外国人の利便性向上を図るため、新たに「5年」の選択肢が追加されることとなりました。
3.特定技能1号ビザの取得要件とは?
特定技能1号ビザを取得するには、2つのパターンがあります。
(A)指定の試験に合格する
(B)技能実習(2027年4月からは育成就労)から移行する
それぞれについて見ていきましょう。
(A)指定の試験に合格する
指定の試験とは、大きく分けると「日本語試験」と「技能試験」の2種類です。
日本語試験には、「日本語能力試験」と「国際交流基金日本語基礎テスト」があり、どちらか一方でかまいません。日本語能力試験であれば「N4」レベル、国際交流基金日本語基礎テストであれば「A2」レベルが必要です。
技能試験は、特定技能の分野ごとに実施されています。実技を伴う試験(またはそれに代わる実技評価試験)が原則として課されます。出題内容や試験の実施回数は分野によって様々で、「介護」や「農業」など毎月実施される分野もあれば、「建設」や「ビルクリーニング」など、年に数回しか開催されない分野もあります。
特定技能ビザの試験については、別コラム「【特定技能ビザの試験内容】全12分野の解説」で分野ごとに解説していますので、受験を検討している方はお読みください。
(B)技能実習(2027年4月からは育成就労)から移行する
技能実習2号ビザを良好に修了した方は、下記の試験が免除されます。
- 特定技能1号の業務が技能実習と関連性があるもの:日本語試験と技能試験の両方免除
- 特定技能1号の業務が技能実習と関連性がない場合:日本語試験のみ免除
また、2027年4月からは「技能実習」制度は「育成就労」制度へ移行します。育成就労(原則3年間)を修了した外国人は、以下の要件をクリア(試験等により確認)することで、特定技能1号へ移行することができます。
- 技能水準:終了時点で特定技能1号水準に達していること(技能検定3級または特定技能1号評価試験等への合格・確認を想定)
- 日本語能力:終了時点で「日本語教育の参照枠」A2相当以上の能力
4.特定技能2号ビザの取得要件とは?
特定技能2号ビザを取得するには、2号用の試験に合格する必要があります。
特定技能1号と違って、2026年8月現在、特定技能2号には日本語試験がありません。技能試験のみとなります。
ただし、2027年4月以降は日本語試験を受けて「B1相当」以上の日本語能力であることを示す必要があります。
また、特定技能1号より高い技能をもっていることが試験で確認されれば、特定技能1号以外のビザからでも特定技能2号ビザを取得することが可能になっています。
ただし、分野によっては追加の条件があり、特定技能1号として就労していないと受験が難しいケースもあります。
5.「育成就労」から特定技能2号、そして永住へのロードマップ
これまで日本の外国人雇用は、「技能実習(国際貢献・研修)」 と「特定技能(日本国内の人手不足への対応・就労)」 という目的の異なる制度に分かれていました。しかし、2027年4月から新たに創設される「育成就労」制度により、日本の外国人受入れ体制は「未経験からスタートして、日本の永住権取得まで地続きでステップアップできるキャリアロードマップ」へと一本化されます。
(ただし、永住権は今後厳格化される方針です。詳しくは永住許可要件が厳格化へ!年収・厚生年金30年水準・遡及適用のポイントと対策を行政書士が解説をご参照ください。)
【これからの外国人材ステップアップ・ロードマップ(2027年4月~)】
(1) 育成就労ビザ(原則3年間)
未経験(就労開始前は「日本語教育の参照枠」A1相当以上の日本語能力が必要)から入国し、日本での就労を通じて「特定技能1号」に求められる技能を3年間で修得します。 なお、育成就労期間中には、本人の意向による転籍(転職)も、分野ごとに定められた一定の要件(1年〜2年の制限期間経過など)のもとで認められます。※終了時の試験に不合格となった場合でも、再受験のため最長1年間の在留期間延長が認められる場合があります。
(2)特定技能1号ビザ(通算最長5年間)
育成就労を良好に修了(技能は1号水準、日本語はA2相当以上を試験等で確認)するか、直接評価試験等に合格して移行します。相当程度の知識又は経験を必要とする技能を持って即戦力として現場を支える在留資格です。ただし、前述の通り、この1号の期間は家族の帯同が原則認められず、永住権取得に必要な就労年数(引き続き5年以上の在留)にもカウントされません。
(3)特定技能2号ビザ(上限なし・家族帯同・永住へ)
1号の在留期間(5年)が満了する前に、熟練した技能(技能検定1級相当)の評価試験に合格してステップアップします。また、2号移行時には、試験等によって「日本語教育の参照枠」B1相当以上の日本語能力を確認することも義務付けられる方針です。2号になると在留期間の上限がなくなり、配偶者や子供を日本に呼び寄せて一緒に暮らすことが可能になります。さらに、2号での在留期間は永住申請の就労年数としてカウントされるため、日本で長期的なキャリアと生活基盤を築くための道が正式に開かれます。
6.まとめ:特定技能1号と2号の違いとは?
特定技能1号と2号について違いを解説してきましたが、いかがでしたか?
特定技能制度は運用開始から時間が経ち、難しいとされている2号の保持者も2027年に入り1万人を超えています。「育成就労」への移行もあり、インターネット上には新旧の情報が入り混じっています。最新の情報は、入管庁公式サイトなどで公開されているものでご確認ください。また、特定技能ビザ申請に強い行政書士などの専門家にご相談いただくこともおすすめです。
外国人と企業の双方にメリットの高い特定技能2号への移行を実現できるよう、準備をすすめていきましょう。
特定技能2号が拡大されたことで、特定技能で働く外国人にも、永住ビザを取得するなど長期キャリアパスが描けるようになりました。特定技能ビザは、「いつか帰国しなければいけない期間限定のビザ」から,「いつまでも日本で働ける家族と暮らせるビザ」へ変わろうとしています。
特定技能ビザの申請のみならず、外国人雇用の人事設計構築も労働人口減少時代には重要になってきます。
行政書士法人第一綜合事務所は、国際業務の専門事務所として、企業様の外国人雇用のお手伝いをしております。
ご相談は無料で承っていますので、お気軽にお問い合わせください。




