行政書士法人第一綜合事務所

高度専門職ビザの取得条件とは?

高度専門職ビザは,経済成長や新たな需要と雇用の創造に資することが期待される高度な能力や資質を有する外国人(高度外国人材)の受入れを促進するために2015年に創設されました。
高度外国人材を積極的に受け入れるために,高度専門職ビザには,在留期間「5年」の付与や複合的な在留活動が許容されるなどの優遇措置があります。
また,高度専門職ビザの入国・在留手続は優先的に処理されるため,受入れ企業側にとってもメリットがあります。
高度専門職ビザでの在留者数は年々増加しており,2020年末時点で約1万6,500人の外国人が高度専門職のビザで在留しています。
本ページでは,高度専門職ビザの条件についてご説明いたします。

1.高度専門職ビザに該当する職種・具体例

高度専門職ビザは,「高度専門職1号」と「高度専門職2号」に大別され,高度専門職1号は活動内容に応じてさらにイ・ロ・ハに分類されます。

高度専門職1号に該当する職種と具体例は以下の通りです。

高度専門職1号イ
高度学術研究と呼ばれ,本邦の公私の機関との契約に基づいて行う研究,研究の指導または教育をする活動が該当します。
具体的には,大学等の教育機関で教育をする活動や,民間企業の研究所で研究をする活動がこれに当たります。
また,これらの活動と併せて,教育や研究の成果を活かして事業を立ち上げ自ら事業経営をすることも可能です。
高度専門職1号ロ
高度専門・技術と呼ばれ,本邦の公私の機関との契約に基づいて行う自然科学または人文科学の分野に属する知識または技術を要する業務に従事する活動が該当します。
具体的には,所属する企業において,技術者として製品開発業務に従事する活動,企画立案業務,ITエンジニアとしての活動などの専門的な職種がこれに当たります。
また,これらの活動と併せて,関連する事業を立ち上げ自ら事業経営をすることも可能です。
技術・人文知識・国際業務ビザの活動内容と重なる部分が多いですが,技術・人文知識・国際業務ビザのうち国際業務に該当する活動は高度専門職1号ロには該当しないため注意が必要です。
高度専門職1号ハ
高度経営・管理と呼ばれ,本邦の公私の機関において事業の経営を行いまたは管理に従事する活動が該当します。
具体的には,会社の経営や,弁護士事務所・税理士事務所などを経営・管理する活動がこれに当たります。
また,これらの活動と併せて,活動内容と関連する会社や事業所を立ち上げ,自ら事業経営することも可能です。

上記のように,高度専門職1号は他のビザとは異なり,複合的な在留活動が許容されている点に特徴があります。
また,在留期間は現行の制度で最長の「5年」が一律に付与されます。
これは安定的に高度外国人材を雇用する企業側に大きなメリットとなります。

2.高度専門職2号

高度専門職2号は,高度専門職1号で3年以上活動を行っていた方が対象になります。
高度専門職1号の活動と併せてほとんどすべての就労活動を行うことができます。

具体的には,高度専門職1号イ・ロ・ハのいずれか,またはこれらの複数の活動と併せて以下のビザに対応する活動も行うことができます。

  • 「教授」
  • 「芸術」
  • 「宗教」
  • 「報道」
  • 「法律・会計業務」
  • 「医療」
  • 「教育」
  • 「技術・人文知識・国際業務」
  • 「介護」
  • 「興行」
  • 「技能」
  • 「特定技能2号」

高度専門職2号のビザの在留期間は,高度専門職ビザに該当する活動を行っている限りにおいて「無期限」です。
また,複数のビザにまたがる活動ができる点に特徴があります。

3.高度専門職ビザのポイント計算

高度専門職ビザを取得するための条件として,前述の高度専門職各号に対応する活動を行うことが必要です。
その他に,「ポイント計算」により一定点数をクリアする必要があります。
これを「高度人材ポイント制」と呼びます。

高度人材ポイント制は,就労ビザを取得できる外国人の中で特に優れた人材を優遇的に取り扱う制度です。
就労ビザの決定の対象となる外国人の中で,学歴・職歴・年収・日本語能力などの項目ごとにポイントを付け,その合計が70点以上に達した人が高度外国人材と認められ,高度専門職ビザが付与されることになります。

なお,高度外国人材として在留している期間,常に70点以上を維持することまでは求められていません。
しかし,在留期間更新許可申請時にポイントの合計が70点に満たない場合には,高度専門職ビザの在留期間更新許可を受けることができない点については,注意が必要です。

以下は,出入国在留管理庁が公表しているポイント計算表の概要です。

ポイント計算表概要

ポイント計算表は,学歴,職歴,年収,年齢,研究実績,資格,特別加算の各項目からなり,それぞれにポイントが付されています。

では,ここからはポイント計算表の各項目について補足の説明をしていきます。

①学歴

「大学」には短期大学が含まれます。
高等専門学校を卒業した方,専修学校の専門課程を卒業した方(「高度専門士」)は「大学と同等以上の教育を受けた者」として取り扱われ,これらは学歴ポイントの対象となります。
他方,専修学校の専門課程を修了して「専門士」の称号を受けた方については,学歴ポイントの対象とはなりません。

②職歴

職歴として認められるのは,従事する業務についての実務経験年数に限ります。

③年収

高度専門職1号ロ(高度専門・技術),及び高度専門職1号ハ(高度経営・管理),並びにそれらに相当する高度専門職2号での高度専門職ビザの取得を希望する場合には,年収が300万円以上であることが必要です。
仮に年収以外のポイント計算の合計が70点以上に達していたとしても,年収が300万円に満たない場合には高度専門職ビザの条件に該当しないため注意が必要です。
また,ポイント計算表の年収は,過去の年収ではなくこれから高度専門職ビザでの活動をすることにより得られる予定の年収を意味します。
基本給のほか,ボーナス(賞与),勤勉手当,調整手当等が含まれますが,通勤手当,扶養手当,住宅手当等の実費弁償の性格を有するもの(課税対象となるものを除く。)は含まれません。
また,残業代については,超過勤務の実績により支給されるものであるため,ポイント計算表の年収には含まれません。
※定額の残業代(固定残業代)については,残業の有無にかかわらず,あらかじめ割増賃金を一定額,固定して支払う残業代であるため,ポイント計算表の年収には含まれます。

④年齢

年齢が若いことは,高度外国人材としての能力・資質を示すものではありませんが,日本企業では年功序列的な賃金体系が残っているため,若年層はなかなか高収入を得ることができません。
その結果,年収ポイントで高得点を期待することが難しくなり,結果的に年齢が若いことが不利に働くことになるため,これを補正するために年齢に応じてポイントが付与されています。

⑤研究実績

発明者として特許を受けた発明が1件以上ある場合や,学術論文データベースに登載されている学術雑誌に掲載された論文が3本以上ある場合,その他一定の研究実績をもとにポイントが付与されます。

⑥資格

従事しようとする業務に関連する日本の国家資格(業務独占資格または名称独占資格)を保有していることが必要です。
したがって,民間資格の保有はこれに該当しません。
比較として,いわゆるIT告示に掲げられている情報処理技術に関する試験・資格も対象になります。

⑦特別加算

特別加算項目について,実務上お問い合わせの多い項目と新たに特別加算の項目に加わった金融人材についてご説明します。

まず,日本の大学を卒業または大学院の課程を修了することでポイントが付与されます。また,日本語専攻で外国の大学を卒業または日本語能力試験N2合格以上でポイントが付与されます。

次に,出入国在留管理庁が公表する以下の一覧に掲げる大学を卒業した方については,ポイントが加算されます。

最後に,高度専門職1号ロ(高度専門・技術)及び高度専門職1号ハ(高度経営・管理)を行う高度外国人材のうち,金融商品取引法に規定する第二種金融商品取引業,投資助言・代理業または投資運用業に係る業務を行う方については,新たに高度人材ポイント制の特別加算の対象となりました。

4.高度専門職ビザのケーススタディー

具体的にイメージするために,事例をもとにポイント計算表を当てはめて高度人材ビザの条件を満たすかどうかを検討してみましょう。

【事例】
中国籍のAさん(29歳)は,日本の大学の商学部を卒業後,23歳で現在の食品メーカーに就職しました。入社以来マーケティング業務に携わり,実務経験は5年6ヶ月となりました。向こう1年間の年収は480万円となる見込みです。なお,Aさんは大学在学中に日本語能力試験N1に合格しています。
Aさんは,現在の技術・人文知識・国際業務のビザから高度専門職1号ロ(高度専門・技術)への変更を希望しています。

【検討】
ポイント表に当てはめると,以下の項目でポイントが付与されることにあります。

学歴・・・大学卒業(10点)
職歴・・・5年以上7年未満(10点)
年収・・・30歳未満,400~500万円(10点)
年齢・・・30歳未満(15点)
特別加算・・・日本の大学を卒業(10点),日本語能力試験N1合格(15点)

ポイント計算の結果,Aさんのポイントの合計点は70点に達したため,高度専門職ビザの条件をクリアし,高度専門職ビザの申請を検討することになりました。
※ Aさんの卒業した大学が上記の加算対象となる大学一覧に掲載されている場合には,さらに10点が加算されることになります。

5.高度専門職ビザの条件のまとめ

以上が高度専門職ビザの概要と高度専門職ビザ取得の条件です。

高度専門職ビザは,日本政府が受け入れをより一層促進するために,上記に記載をした在留機関決定の措置以外にも優遇措置が実施されています。
例えば,“永住許可要件の緩和”や“関係者に係る優遇措置”(配偶者の就労,家事使用人の帯同,親の帯同)に見られます。

今後も引き続き安定的に日本での居住を検討し,高度専門職ビザの取得を検討している方は,どのような職種・活動が高度専門職ビザに該当するのか,ポイント計算により高度専門職ビザ取得の条件をクリアしているかの2点が大きなカギとなります。

これら2点について,実際には外国人の方ご自身であるいは企業の担当者様の側では判断がつきにくいことも多く,当社にご相談いただくケースがございます。

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