コラム

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観光ビザから配偶者ビザへの変更はできる?

1.観光ビザから配偶者ビザへ変更することはできるの? 観光ビザから配偶者ビザへ変更する場合,ある一定の条件をクリアすることで,変更することができます。 「在留資格を有する外国人は、その者の有する在留資格の変更を受けることができる。」 上記の通り,ビザの変更をできるのは正規の在留者である外国人に限定しているものの,観光ビザから変更することについて拒否する旨の規定は存在しません。 そのため,観光ビザから配偶者ビザへの変更も認められることになります。 では,なぜ観光ビザから配偶者ビザへの変更ができないといわれるのでしょうか。 2.観光ビザから配偶者ビザへの変更ができないといわれる理由は? 入管法第20条第3項但書には,以下の内容が記載されています。 「短期滞在の在留資格をもつて在留する者の申請については,やむを得ない特別の事情に基づくものでなければ許可しないものとする。」 但書きにある通り,「やむを得ない特別の事情」がない限り,観光ビザから他のビザへ変更をすることができないとされているのです。 なぜ,「やむを得ない特別の事情」が必要なのか説明する前に,配偶者ビザを取得する方法について,簡単に説明いたします。 3.配偶者ビザの取得方法 外国籍の方が配偶者ビザを取得するためには,大きく二つの方法があります。 ① 在留資格認定証明書交付申請を行い,配偶者ビザで日本に入国 ② 観光ビザで日本に入国後,配偶者ビザに在留資格変更許可申請 ① 在留資格認定証明書交付申請(=COE申請)を行い,配偶者ビザで日本に入国 まず,COE申請は,日本の入管で行います。 申請を行うことができる人にも限りがあり,上記申請で申請人となる方の親族で,かつ日本に住んでいる人に限定されます。 申請人は海外にいることがほとんどのため,申請人の配偶者や配偶者の両親に申請してもらうことが大半です。 そして,COE申請で許可が下りると,入管からCOEが発行されます。 その後,COEを海外の配偶者に送り(※1),海外にある日本大使館または領事館で査証(いわゆるビザ)の申請を行います。そして,大使館からのビザが発給された後に,日本に入国します。 なお,COEの有効期限の問題から,基本的にはCOEが発行された日から3ヶ月以内に日本に上陸しなければいけません。 日本に入国後は,到着した空港,海港で上陸審査を受けます。上陸審査を終えた後は,外国籍配偶者に在留カードが交付されます。 ※1:2023年3月17日より,在留資格認定証明書が電子メールで受け取ることができるようなりました。なお,これまで発行されてきた紙の在留資格認定証明書についても,写しを提出することでビザ申請を行うことができるようになりました。そのため,国際郵送にかかる手間や費用,時間を大幅に削減できるようになりました。 参考:https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/10_00136.html ② 観光ビザで日本に入国後,配偶者ビザに在留資格変更許可申請 まずは,外国籍配偶者が観光ビザで日本に入国します。 その後,外国籍配偶者が日本の入管で在留資格変更許可申請を行います。 在留資格変更許可申請の許可が下りると,入管からはがきサイズの許可通知書が発行されます。 この許可通知書を持って,入管で在留カードの交付手続きを行うことで,在留カードを受け取ることできます。 4.配偶者ビザにおける在留資格認定証明書の必要性 上記で紹介した2つの配偶者ビザの取得方法を見る限り,②の観光ビザで日本に入国後に配偶者ビザに切り替える手続きのほうが,簡単と思いませんでしたでしょうか。 しかし,入管は①の在留資格認定証明書を取得したうえで,入国することを原則としています。 その理由としては,配偶者ビザは観光ビザと違い中長期的な滞在を前提としているからです。 観光ビザは,短期間での出国を前提としているからこそ,ビザの取得が簡略化されていたり,査証免除国の人たちは観光ビザを取得することなく来日することができます。…

海外赴任中に配偶者ビザを取得,更新するには?

1.配偶者ビザとは? 配偶者ビザとは,国際結婚により日本人の配偶者となった外国人配偶者が日本で長期的に生活する時に取得するビザです。 この場合の国際結婚は,法律上両国で有効に成立している必要があるので,内縁の状態や海外で夫婦と同等に認められているパートナー制度だけでは日本の配偶者ビザは認められません。 配偶者ビザの要件やポイントに関しては以下で詳しく解説していますので参考にしてください。 >>配偶者ビザ 申請方法 はコチラ 2.海外赴任中に配偶者ビザを取得する際に抑えるべきポイント では,海外赴任をしていた夫婦が日本に戻ってくる場合はどのような手続きが必要になるのでしょうか。 前記させていただきました「1,配偶者ビザとは」で見ていただいた配偶者ビザを取るための要件(両国での婚姻)はクリアしているという前提で,その申請プロセスや注意するポイントを以下個別にみていきましょう。 ①日本に帰国しないと配偶者ビザは申請できない? 海外赴任中のご夫婦が日本で配偶者ビザの取得を目指す場合には,日本へ帰国しないとビザ申請ができないとお考えの方は多いのではないでしょうか。 実は,海外赴任中のご夫婦の場合,日本人配偶者が帰国をしなくても配偶者ビザの申請を行うことは可能です。 この場合,法務省令で定められている「申請代理人」が配偶者ビザの申請を行うことになります。 さらに誤解が多い点として,わたくしたち行政書士に依頼すれば申請代理人が不要になると勘違いをされている方がおられますが,行政書士に依頼した場合であっても,申請代理人は必要です。 というのもの,行政書士はこの申請代理人にはなれないからです。 ですが,行政書士に頼む意味が無いということではありません。 精度の高い資料や申請代理人とのやり取りをプロに任せることは,エラーや入管への追加の対応が起きないので,スムーズに申請まで行け,その分結果が出るのが早くなるメリットがあります。 ②海外赴任の夫婦の場合,配偶者ビザの申請代理人は誰がなるの? 上記「①日本に帰国しないと配偶者ビザは申請できない?」で見た通り,海外在住のご夫婦の配偶者ビザ申請には,申請代理人が必要です。 入管法施行規則別表第四で,配偶者ビザの申請代理人は「日本に居住する本人の親族」と定められています。 そして,親族の範囲は,民法で定められています。 民法では,配偶者,6親等内の血族,3親等内の姻族が親族と定められています。 上記の表の通り,申請代理人が認められる範囲は,意外と広範にわたることがご理解いただけたでしょうか。 ③日本で所得証明書を提出できない場合でも,配偶者ビザの取得は可能? 入管のホームページをみると,配偶者ビザの申請時,「日本での滞在費用を証明する資料」の提出が求められていることがわかります。 もちろんご夫婦が海外赴任中でも書類の提出が免除されるわけではありません。 一般的には,配偶者ビザ申請をする際には,所得課税証明書を入管に提出するのですが,海外赴任中のご夫婦の場合には,日本での所得がないことは珍しくありません。 国内での所得がない以上,役所では所得を把握することができないため,非課税証明書が発行されます。 しかし,これをそのまま提出してしまうと,一見して無職である(収入がない)ように見えてしまいます。 このような場合には,毎月の給与明細や預金通帳の写し,雇用予定証明書又は採用内定通知書,あるいは左記に準ずる資料を入管へ提出することになります。 3.海外赴任中に既に持っている配偶者ビザを更新する際に抑えるべきポイント 海外赴任中に既に持っている配偶者ビザを更新する場合も,上記で説明した申請代理人や収入を示す資料は必要です。 重複する部分に関しては,「2.海外赴任中に配偶者ビザを取得する際に抑えるべきポイント」を参照していただければと思います。 以下からは,更新時に見られるポイントを見ていきます。 ①日本人配偶者のみ海外赴任しており同居をしてない場合は更新できない? 夫婦共に日本で生活していた時に取得した配偶者ビザを更新する際,日本人パートナーのみが海外赴任している場合はどうでしょうか。 一口に海外赴任と言っても赴任期間や日本への帰国の頻度など様々です。 今まで日本で生活していたが,期限の決まった海外赴任であれば,パートナーを日本に残して出国されることも十分想定されます。…

海外在住夫婦が配偶者ビザを取得するための5つのポイント

1.海外在住者が取得する配偶者ビザとは? 海外在住の夫婦が日本に入国して生活をするためには、「日本人の配偶者等」の在留資格(配偶者ビザ)が必要です。 日本人の配偶者等のビザを取得できるのは、日本人の配偶者、日本人の子として出生した人、日本人の特別養子です。 また、日本人の配偶者とは、婚姻が法律上有効に成立していることが条件で、婚約者や恋人は該当しません。 日本人の配偶者等のビザの在留期間は、6か月、1年、3年、5年になります。 2.海外在住の夫婦が配偶者ビザを申請する際に注意すること 本チャプターでは,お客様からご質問の多い事項について解説を記載しています。 ①入管への配偶者ビザ申請は誰が行う? 配偶者ビザ申請は,日本にいる日本人配偶者が入管に申請するのが一般的です。 では,海外在住のご夫婦の場合,入管への配偶者ビザ申請は一体だれが行うのでしょうか。 海外在住の夫婦が配偶者ビザ申請をするには,日本人配偶者が先に帰国しなければならないのでしょうか。 ご相談の方から頻繁にご質問をいただく内容です。 実は,海外在住のままでも,配偶者ビザ申請を行う方法はあります。 具体的には,日本にいる親族(6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族)に協力をしてもらう方法です。 上記の方法を取れば,日本人配偶者が先に帰国することなく,入管での手続きを進めることが可能です。 なお,配偶者ビザの申請を行政書士へ依頼することで,日本の親族がわざわざ入管へ出向く必要もありません。 ②日本での所得がない場合にはどうすれば良い? 海外に生活拠点がある場合,日本で所得がない方も決して珍しくはありません。 日本に所得がない場合には,配偶者ビザの許可は取得できないのでしょうか。 過去の裁判例では,経済的な基盤があまりにも欠如している場合には,そもそも配偶者ビザで日本において生活をすること自体に,疑義が生じる可能性があると判示しています。 そのため,入管の審査では経済的な基盤について,慎重に審査がされます。 他方で,日本での所得がない場合であっても,以下のようなケースは多くの許可事例があります。 海外での継続的な収入が見込めるケース 同居の親族から支援が見込まれるケース 日本での勤務先確保などによって定期収入が見込まれるケース 日本で生活するだけの十分な預貯金があるケース 日本での生活基盤の判断は,お客様によって個別の判断をする必要があります。 個別判断をご用命の際には,行政書士法人第一綜合事務所までお問い合わせください。 ③日本の必要書類は誰に集めてもらえれば良い? 海外在住のご夫婦が配偶者ビザを申請する場合には,上記で見たとおり,日本にいるご親族に住民票,戸籍謄本,所得課税証明書や納税証明書などの書類収集をお願いしなければいけません。 高齢の両親には依頼しにくい… 兄弟にお願いしたけれど,なかなか無理を言えなくて… そのようなお悩みをお持ちの方は少なくないようです。 ご安心ください! 当社では,日本にいるご親族に極力ご負担をお掛けしないよう,全て当社にて公文書をご準備いたします。 そのため,ご親族の方へのご負担はお掛けしません。 なお,海外在住のお客様とは,EMSなどの国際郵便の手段を用いて,書類のやり取りを行います。 ④配偶者ビザはどのような行政書士へ依頼するべき? 海外在住のご夫婦の場合,実際に行政書士と面談することもできません。 また,複数の行政書士事務所との調整も思うように進まないことも多いかと思います。…

フィリピン人との国際結婚|手続きの流れや必要書類もご紹介

1.国際結婚の手続きは日本とフィリピンどっちが先? 国際結婚をする場合、自身と配偶者のどちらの国でも手続きが必要です。 国によって、結婚の決まり事や手続きが異なりますが、フィリピン人と結婚する場合はどうなのでしょう? 実は、婚姻関係を成立させるだけであれば、日本とフィリピンのどちらが先でも結果は変わりません。しかし、順番によって手続きの早さが変わるケースがあります。 ここでは、「早く手続きを完了させる」ために必要な条件や、手続きの順番によって異なるメリットやデメリットを説明します。 ①早く手続が完了する順番は、フィリピン人配偶者の滞在場所で変わる 手続きの早さは、フィリピン人配偶者の滞在場所によって変わります。 一般的には、以下のような順番で行うと国際結婚の手続きをスムーズに行うことができます。 フィリピン人配偶者が日本に滞在している場合:日本で先に手続きを行う フィリピン配偶者がフィリピンに滞在している:フィリピンで先に手続きを行う お二人で窓口に出向いて、国際結婚手続きを行わなければならないことが多いです。 そのため、フィリピン人配偶者が居住している国で先に手続きを行うのがスムーズでしょう。 しかし、事情はそれぞれ異なるため、一概には言えません。 自分たちに合った方法を検討したい方は、国際結婚手続きを専門とする行政書士に相談するのがおすすめです。 行政書士法人第一綜合事務所では無料相談を承っていますので、ぜひ下記フォームからお問い合わせください。 無料相談のお問い合わせ先 ②日本で先に国際結婚手続きをするメリット・デメリット フィリピン人との国際結婚手続きを日本で先に手続きをする場合の、メリットとデメリットを解説します。 (1)メリット 手続きがシンプルかつスムーズ 配偶者ビザへの変更申請が、婚姻成立後すぐにできる フィリピン人との国際結婚手続きを日本で先に手続きをする最大のメリットは、日本国内で手続きが完結するということ。日本の市町村役場と、フィリピン大使館・領事館の2カ所を往復するだけなので、住居地によっては移動の負担も少なくて済みます。 また、フィリピン人配偶者が日本に滞在している場合、婚姻成立後、すぐに配偶者ビザへの変更申請を行うことができます。 なお、フィリピン人配偶者がフィリピンに居住している場合でも、スムーズに行けば、1回の訪日短期滞在(観光ビザ)で婚姻手続きから配偶者ビザの取得まで可能です。 >>観光ビザから配偶者ビザへの変更 はコチラ (2)デメリット 短期滞在で一時来日をして手続きする場合、事前に現地日本公館で「90日の短期滞在ビザ」を取得する必要がある 短期滞在で一時来日をして手続きする場合、スケジュールにタイムリミットがある フィリピン国籍者は、日本へビザなしで渡航することが認められていません。そのため、フィリピン人配偶者の入国前に、事前に90日の短期滞在ビザを取得する必要があります。 90日の短期滞在ビザとは、日本人配偶者が「招へい人」としてフィリピン人を招聘する「短期滞在ビザ」で90日の在留期限を付与されたもののことです。 15日や30日の短期滞在ビザでは、婚姻手続きの完結に日数が不足したり、その後の配偶者ビザ変更の際にマイナスの影響がありますので、注意しましょう。 ③フィリピンで先に国際結婚手続きをするメリット・デメリット フィリピンで先に国際結婚手続きをする場合の、メリットとデメリットを解説します。 (1)メリット フィリピン人配偶者のビザを取得する必要がない フィリピン人配偶者が滞在している場合は、書類を揃えやすい フィリピン人配偶者を日本に招く必要がないため、短期滞在ビザを日本で取得する必要がありません。 また、フィリピン人配偶者がフィリピンに滞在している場合は現地で準備する書類が多いので、先にフィリピンで手続きを行うのがスムーズです。…

配偶者ビザの再申請の方法

1.配偶者ビザの審査はどのように行われる? 配偶者ビザとは,日本人もしくは永住者等と婚姻関係にある外国籍の配偶者の方に対し,一定の要件を満たす場合に日本への在留を認めるビザです。 ですから配偶者ビザは結婚すれば必ず認められるわけではありません。 入管は,関係法令をはじめ,ビザの申請人から提出された資料に沿って審査を行います。 入管の審査には,全国統一の基準である「審査要領」があります。 審査要領に則った基準が「審査基準」と呼ばれます。 入管の審査基準をクリアすれば,配偶者ビザの許可の可能性は高くなります。 逆に言えば審査基準に当てはまらなければ配偶者ビザが認められないことになります。 もっとも,この審査要領には,私たちが見られる公開審査要領と,見ることのできない非公開審査要領と言われるものがあります。 そして,非公開審査要領の方に,配偶者ビザ許可の審査ポイントが多く記載されています。 ですから,配偶者ビザの再申請には,この審査要領を読み解く力が必要不可欠です。 しかしながら,審査要領のほとんどは黒塗りになっていますので,弊社が考えるポイントを挙げてみます。 それは「実体ある婚姻生活」と「日本での生活の安定性」です。 入管の審査で重要なのは ①法的に「婚姻」関係にあるか? 内縁関係の配偶者は配偶者ビザの対象には含まれません。また,原則として日本人と配偶者の母国双方の法律に照らして婚姻が成立しているかも問われます。 「法の適用に関する通則法」24条では,「婚姻の成立は、各当事者につき、その本国法による」と定められています。同条3項では「当事者の一方の本国法に適合する方式は、有効とする」。「ただし、日本において婚姻が挙行された場合において、当事者の一方が日本人であるときは、この限りでない」とあります。つまり,外国籍の配偶者の国の法律をもって「婚姻」は成立するが,「日本で」夫婦として生活する場合は,日本の法律で婚姻が成立しなければ,日本では結婚した夫婦とは言えないということです。 従って,双方の国で法的に婚姻が成立していなければ日本では無条件に配偶者ビザは許可されないことになります。 ②実質的に「互いに協力・扶助し合い,社会通念上の夫婦の共同生活を営むという婚姻の実態が伴っているか」が問われます(平成14年最高裁判決)。 一言で言えば,継続性をもって「ほんとに夫婦として暮らすの?」ということが問われるのです。 ③日本で安定した生活が送れるか? 配偶者ビザにおいては,継続的に夫婦生活が送ることが求められますが,夫婦として共同生活を送るには,当然生活費となるお金が必要です。 したがって,どのようにして夫婦の生活費を賄うのかが審査において問われることになります。 実務上は細かな判断基準があります。詳しくは以下のコラムをご覧ください。 配偶者ビザ 不許可 はコチラ 2.配偶者ビザが認められなかった場合の再申請までの道のり 「配偶者ビザを申請したのに認められなくてがっかりです。再申請すれば許可が取れますか?」と,よくご相談を頂きます。 このようなご相談に対して,私達はすぐに回答することができません。 それは,お客様がなぜ,配偶者ビザの許可が認められなかったのか,理由が明確になっていないからです。 配偶者ビザの許可が認められなかったとしたら,必ず理由があります。 最初に行うことは「なぜ入管は配偶者ビザを認めなかったのか」という理由の把握です。 まずは配偶者ビザの申請を行った入管に出向き,配偶者ビザが認められなかった理由を尋ねて明らかにする必要があります。 法務省は「入国・在留に係る処分にあたっての留意事項」(平成16年10月1日・法務省管在5964号)という通達を出しています。 一部を抜粋しますと,「不利益処分を行うに当たっては,法令の定めるいずれの要件に適合しないかを明示しなければならない」との記載があります。 つまり入管は,不利益処分(本コラムの場合は配偶者ビザを許可しなかったこと)について理由を説明する義務があるのです。 しかし,入管への聴取には何点か注意事項があります。 ①入管への理由聴取は原則1度しかできない。 入管での理由聴取は申請を行った入管局で対面にて行います。電話やメールでの問い合わせは一切できません。…

技能実習生と結婚して配偶者ビザを取る方法|必要書類,流れ,注意すべきポイントを解説

1.技能実習制度とは? ここ最近,新聞やテレビの報道等から“技能実習”という言葉を耳にする機会が増えているのではないでしょうか。 しかし,具体的にどのような制度なのかをご存じの方は少ない印象です。 では,技能実習制度とは,どのような制度なのでしょうか。 厚生労働省のホームページによると, 「我が国が先進国としての役割を果たしつつ国際社会との調和ある発展を図っていくため,技能,技術又は知識の開発途上国等への移転を図り,開発途上国等の経済発展を担う「人づくり」に協力することを目的としております。」と記載されています。 わかりやすく言うと,技能実習生には日本で技能・技術・知識を学んでもらい,日本で学んだ技能等を母国に持ち帰って,母国の経済発展を担ってもらうことが技能実習制度の趣旨ということです。 そのため,技能実習ビザは一般的な就労ビザとは異なり,技能実習過程を修了した後は母国へ帰り,学んだ技術や知識を教えたり,移転させる必要があるのです。 このような事情から,技能実習ビザは,技術の移転を願う送出機関と呼ばれるところや,その外国人の受け入れに協力してくれる日本の監理団体,実習実施機関など,様々な機関との関わりが強いビザということができます。 そして,配偶者ビザとの関係で重要な視点は,技能実習ビザは母国へ帰国することを想定しているということです。 技能実習ビザから他のビザへの変更が難しいと言われるのは,前記の通り技能実習ビザが母国への帰国を前提としているからなのです。 2.増加する技能実習生との国際結婚 2022年6月末に公表された出入国在留管理庁の統計によると,日本には技能実習生が32万人以上いると示されています。 参照:法務省 出入国在留管理庁 厚生労働省 人材開発統括官 技能実習ビザは,最も多い永住ビザに次ぐ在留人数です。 そして,技能実習生の国別の内訳を見ていくと,ベトナムが半数以上を占め,次にインドネシア,中国,フィリピンの順となっています。 参照:法務省 出入国在留管理庁 厚生労働省 人材開発統括官 本ページをご覧いただいている方の中にも,職場や取引先で外国人の方々を見かけたり接する機会は少なからずあるのではないでしょうか。 コロナ禍にあっても,なお在留人数の多さを誇る技能実習ビザ。 上記の在留データからもわかるとおり,技能実習生と日本人が出会い,結婚をするという事例が増えていることは容易に想像することができます。 一方で,何とか日本に残りたいという思いから,配偶者ビザを得るための便法として,国際結婚という手段を選ぶ技能実習生がいるのも事実です。 もちろん,このような真意に基づかない国際結婚は認められるべきではありません。 入管側もどんな在留資格であろうと,このような違法な在留を認めるべきではないと,目を光らせて審査しています。 次のチャプターでは,技能実習生が国際結婚して配偶者ビザへ変更する場合や一度帰国した元技能実習生が配偶者ビザを取得する場合, どのような点に気を付けて準備を進めていくべきか具体的に見ていきましょう。 3.技能実習生と結婚しても配偶者ビザに変更できない? 上記の1.技能実習制度とは?で説明した通り,技能実習生は母国へ帰ることが予定されています。 そのため,原則的には入管は技能実習ビザから他のビザへの変更を想定していません。 しかし,技能実習ビザからのビザ変更を入管は一律不許可にしているのかというと,そういう訳でもないのです。 例えば,技能実習生もしくはその配偶者が妊娠している場合や,すでに子どもを出産している場合など,夫婦(家族)の実体を総合的に判断し,法務大臣の裁量のもと技能実習ビザから配偶者ビザへの在留資格変更許可が認められる可能性があるのです。 では,どのようなケースで技能実習生からのビザ変更が認められているのか,場面分けをして具体的に見ていきましょう。 【技能実習中の場合】 技能実習中の場合には,先に説明した監理団体や実習実施機関において,母国での技術移転が難しくなることを背景に,在留資格変更許可申請に際して,技能実習ビザから配偶者ビザに変更することについて同意書を求められるのが一般的です。 場合によっては,海外の送出機関からの同意書を求められることもあります。…

国際結婚をした場合の名前はどうなる?

1.国際結婚における名前のルール 日本の民法第750条には「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。」と規定されているため,日本の氏に関する考え方は,夫婦同姓が原則となっています。 ところが,国際結婚となれば事情が少々変わります。 なぜなら,氏に関する実務において,国際結婚の場合には,氏は夫婦それぞれに関する問題と考えられており,当事者の国籍国の法律によって判断されるべきとされているからです。 そうすると,日本人の氏については,「夫又は妻の氏を称する。」(民法第750条)ことになりそうですが,この民法第750条の対象は,日本人同士の婚姻のみであり,外国人・日本人間の婚姻には適用されず,日本人の氏は変わらないとされています。 したがって,国際結婚の場合は,夫婦別姓が原則となるのです。 2.国際結婚した場合の名前の決め方に関する手続きとは? 上記1で記載した通り,国際結婚の名前について夫婦別姓が原則となります, そのため,外国人の方と氏を一緒にしようと思うと,日本人同士の結婚のように,婚姻届の提出だけでは夫もしくは妻の氏に自動的に変更はされず,決められた手続きを踏む必要があります。 こちらの手続きについて,①日本人が外国人の氏を名乗るケースと,②外国人が日本人の氏を名乗るケースの2パターンが考えられます。 どちらの方法を選択しても,配偶者の方と同じ氏になるという点で結果は同じですが,手続きの内容はまるで違うので注意が必要です。 ①日本人が外国人の苗字を名乗るケース このケースですと,日本人と外国人が結婚しても,国際結婚では夫婦別性が原則ですので,しかるべき手続きを踏まなければ,外国人の氏に変更することが出来ません。 このしかるべき手続きとは,婚姻届をご覧になられた方ならご存じかと思いますが,婚姻届にある「氏」の欄で夫または妻のどちらかを選択するというものではありません。 実は,この手続きは戸籍法第107条第1項,第2項に規定があります。 戸籍法第107条第1項,第2項の内容を簡単にご説明すると,ポイントになるのは国際結婚の日から6ヶ月以内かどうかです。 日本人が国際結婚の日から6ヶ月を経過してから外国人の氏に変更を希望した場合,家庭裁判所の許可を得て変更の届出をしなければなりません。 しかし,日本人が国際結婚の日から6ヶ月以内に外国人の氏に変更を希望した場合,家庭裁判所の許可を得ることなく変更の届け出をすることが出来ます。 どちらが手続きとして簡単かと言えば,家庭裁判所の許可が不要となる国際結婚の日から6ヶ月以内に変更の届出をする方ですよね。 そのため,日本人が外国人の氏にされることをご希望の場合は,是非とも「6ヶ月以内」というキーワードを覚えておいてください。 ②外国人が日本人の苗字を名乗るケース このケースの場合,先述した通り,氏は夫婦それぞれに関する問題と考えられており,当事者の国籍国の法律によって判断されるべきとされているため,戸籍法上に根拠規定はありません。 国の制度によっては,日本人と外国人の氏を合わせた複合氏(例えば,クルム伊達公子さん)を名乗れたりしますが,今回は外国人が日本人と同じ苗字になるケースについてフォーカスすると,夫婦別姓を採用している国の場合は,そもそも婚姻によって氏を変更する制度が存在しないため,日本人と結婚しても日本人の氏に変更することは出来ないのが一般的です。 他方,婚姻によって氏を変更することが出来る国は,その国の手続きに従って氏を変更することが出来ます。 では,婚姻によって氏を変更することが出来る国で,本国法に則り外国人が日本人の氏と同じになったからといって,日本人の戸籍に,氏の変更の事実が自動的に反映されるかというとそんなことはなく,戸籍上も外国人の氏を日本人と同じにしようとすると,戸籍の記載事項を変更する旨の申し出を市町村役場にし,戸籍の訂正をする必要があります。 この訂正手続きについて,行政機関内で通達が存在します。 その内容を簡単に要約すると,外国人が日本人と国際結婚をし,外国人が日本人の氏に変更した場合,外国人の本国における権限を有する役所発行した氏の変更が明らかな身分証明書を市町村役場に日本人が提出し,その変更の申出をすることによって,外国人の氏を変更することが出来るというものです。 この「氏の変更が明らかな身分証明書」とは,例えば変更した氏の記載のある外国人のパスポートのコピーなどで証明することができます。 実際に当社で対応をしたケースにおいても,多くの役所で外国人の変更後の氏が記載されたパスポートで手続きをする事が出来ています。 なお,氏の変更に必要となる書類は各市町村役場によって違いますので,事前にご確認されることをお勧め致します。 3.国際結婚したけど離婚した場合の名前はどうなるの? 次は,残念ながら結婚生活が順風満帆とは言えず,離婚した場合に,離婚後の氏がどうなるかということについてご説明します。 外国人の氏の変更は本国法によるので,ここでは,日本人の氏について,外国人の氏から変更するための手続きにフォーカスします。 結論として,離婚した場合は氏を元に戻すことが出来ます。 しかし,国際結婚のとき同様,離婚したらといって自動的に氏が変更されるのではなく,しかるべき手続きを踏む必要があります。 そして,そのしかるべき手続きを判断するにあたり,実は氏の変更手続きの方法が重要となります。 離婚による氏の変更は戸籍法第107条第3項に規定があります。 こちらの条文の内容を簡単にご説明すると,戸籍法第107条第2項で氏の変更をした日本人は,離婚の日もしくは外国人が死亡した日(以下「離婚等の日」といいます。)から3ヶ月以内であれば,家庭裁判所の許可を得ることなく変更の届出をすることが出来ますが,戸籍法第107条第2項で氏の変更をしなかった日本人,及び,離婚の日もしくは外国人が死亡した日から3ヶ月を経過した日本人は,家庭裁判所の許可を得なければ氏の変更を届出ることが出来ないということになります。 ここでポイントとなるのは「戸籍法第107条第2項(裁判所許可を得ない氏の変更届)」と「3ヶ月以内」です。 例えば,「山田 …