【2026年3月末最新データ】特定技能の「受入見込数」と「充足率」を徹底解説!採用計画の重要ポイント

日本国内における生産年齢人口の減少が深刻化するなか、企業にとって外国人材の確保は事業継続を左右する重要な課題となっています。出入国在留管理庁の資料によると、令和7年末時点で「就労目的での在留が認められる外国人」(特定技能や技術・人文知識・国際業務など)の割合は全体の約33.7%を占めています。
特に、生産性向上や国内人材の確保のための取組みを行ってもなお人材を確保することが困難な産業分野に対して、即戦力となる外国人を受け入れるために創設された「特定技能制度」は、今や多くの企業に活用されています。
しかし、この制度は無制限に外国人を受け入れられるわけではありません。国は分野ごとに受入れの上限となる「受入見込数」を定めており、上限に達した分野では新たな外国人の受入れが制限される仕組みになっています。
本コラムでは、令和8年(2026年)3月末の最新速報値データをもとに、各分野の受入見込数とその「充足率」を詳しく解説するとともに、新制度「育成就労」を見据えたこれからの採用戦略について、最新の法令・政府方針を交えて深掘りします。
Index
1. 特定技能制度の「受入見込数」とは?
特定技能制度の意義は、人材を確保することが困難な状況にあるため外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野(特定産業分野)において、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れていく仕組みを構築することにあります。
制度の適正な運用を図るため、政府は「基本方針」および「分野別運用方針」を策定しており、この分野別運用方針の中で、原則として5年ごとに各分野の「受入見込数」が定められます。この受入見込数は、単なる目標値ではなく「外国人受入れの上限数」として厳格に運用される数字です。
(1)特定技能1号全体の受入見込数と2026年3月末時点での充足率
令和6年(2024年)3月の分野別運用方針の設定において、各産業分野における人手不足の状況が改めて精査されました。政府の方針として、単に人手不足だからといって安易に外国人を受け入れるのではなく、各分野において更なる生産性の向上や国内人材確保の取組みを行うことが強く求められています。
その結果、令和11年(2029年)3月末までの5年間を対象とした特定技能1号全体の受入見込数は805,700人と設定されました。そして、最新のデータ(令和8年3月末速報値)によると、特定技能1号全体の在留外国人数は404,527人となっています。受入見込数に対する全体の「充足率」は50.2%となり、制度全体としてはおおむね順調なペースで受入れが進んでいると言えます。
(2)「育成就労」の受け入れ見込み数
ちなみに、従来の技能実習制度に代わり2027年4月から新たに運用開始予定の「育成就労制度」においても、特定技能制度と同様に受入見込数が設定されました。全17分野で合計426,200人の上限が設けられています。育成就労制度は、原則3年間の就労を通じて「特定技能1号水準」の技能を持つ人材を育成することを目的としています。つまり、育成就労は、特定技能へ移行して長く活躍してもらうための「前段階(育成期間)」として明確に位置づけられた制度なのです。
これにより、特定技能1号の805,700人と合わせて、政府は2029年3月末までの5年間で合計1,231,900人の外国人材を受け入れる計画を立てたことになります。特定技能へのステップアップを前提としたこの巨大な育成・受入れ枠の動向は、今後の採用計画において注視していく必要があります。
2. 受入充足率が高い分野トップ3
特定技能1号全体の充足率は約50%ですが、産業分野別に見ると採用の進み具合には大きなばらつきが生じています。特に以下の3分野は充足率が非常に高く、今後の動向に最大限の警戒が必要です。
| 産業分野 | 受入見込数 | 在留外国人数 | 充足率 | 状況 | |
| 警戒 (トップ3) |
【停止中】外食業 | 50,000人 | 47,714人 | 95.4% | 一時的な交付停止措置中 |
| 飲食料品製造業 | 133,500人 | 96,367人 | 72.2% | 在留数は全分野で最多 | |
| 建設 | 76,000人 | 51,055人 | 67.2% | JAC加入やCCUS登録が必要 | |
| やや警戒 (50%超) |
介護 | 126,900人 | 74,745人 | 58.9% | 着実に受入れが進行 |
| 農業 | 73,300人 | 39,950人 | 54.5% | 派遣形態での受入れも可 | |
| 拡大期待 (低充足率) |
宿泊 | 14,800人 | 2,207人 | 14.9% | インバウンド回復で需要増 |
(1)【停止中】第1位:外食業(充足率:95.4%)
全分野の中で最も充足率が高いのが「外食業」分野です。受入見込数が50,000人に設定されているのに対し、令和8年3月末時点での在留外国人数はすでに47,714人に達しており、充足率は実に95.4%という極めて高い状況です。
外食業は技能実習制度の対象外のため、留学生のアルバイト(資格外活動)などに大きく依存してきた背景があります。特定技能制度の創設により即戦力としてフルタイムで雇用できるようになったことで、各社がこぞって採用を進めた結果、凄まじいスピードで枠が埋まりました。
この急速な増加と上限への到達見込みを受け、出入国在留管理庁では、外食業分野において4月13日以降、在留資格認定証明書の「一時的な交付停止措置」をとっています(詳しくは【2026年4月13日】特定技能の外食業分野受入停止と、これからの人材確保で大切にしたいことをご参照ください)。この措置は、分野別運用方針に基づいて、必要とされる人材が確保されたと認められる場合にとられる一時的な調整です。今後、必要に応じて再開される可能性もありますが、外食業で外国人材の新規採用を検討している企業は、国の発表する最新情報を常にチェックする必要があります。
(2)第2位:飲食料品製造業(充足率:72.2%)
第2位は「飲食料品製造業」分野です。受入見込数133,500人に対して、在留数は96,367人となっています。飲食料品製造業は、絶対数としては特定技能1号全体の中で最も多くの外国人が活躍している分野です。この分野では、技能実習制度から特定技能へ移行できる対象職種が「缶詰巻締」「食鳥処理加工業」「加熱乾製品製造」など多岐にわたり、技能実習2号を良好に修了した外国人が、試験を免除されて特定技能1号へとスムーズに移行しています。
また、育成就労制度の導入に伴い、業務区分が再編されており、「飲食料品製造業・水産加工業」として、技能実習からの円滑な移行措置が講じられています。食品メーカーなどでは工場における安定した労働力として外国人材への依存度が高まっており、他社との人材獲得競争を勝ち抜くためには、育成就労から特定技能1号、さらには特定技能2号へと続く長期的なキャリアパスを提示することが求められます。
(3)第3位:建設(充足率:67.2%)
第3位の「建設」分野は、受入見込数76,000人に対して、在留数は51,055人となっています。建設分野は、他の分野にはない特有のルールが存在することで知られています。
建設分野の特定技能所属機関(受入企業)は、単に協議会へ参加するだけでなく、国土交通省の登録を受けた特定技能外国人受入事業実施法人である「一般社団法人 建設技能人材機構(JAC)」への加入が必須とされています。JACへの加入(直接または建設業者団体経由)がなければ、受け入れに不可欠な「建設特定技能受入計画」の認定を受けることができません。独自の登録法人(JAC)への加入を義務付け、受入負担金の負担や、月給制の担保、建設キャリアアップシステム(CCUS)への登録による就労履歴の管理などを求める仕組みは、建設分野(や工業製品製造業分野など)に見られる特徴であり、厳格な独自規制となっています。
一方で、建設分野は「土木」「建築」「ライフライン・設備」といった業務区分において、早い段階から「特定技能2号」への移行が認められてきた分野でもあります。すでに特定技能2号の在留者も多数誕生しており、熟練した技能を持つ外国人を正社員と同等の立場で永く雇用し、家族帯同を認めることで定着を図るモデルケースとして機能しています。
(4)ほかの注意が必要な分野
ほかには、介護分野(見込数126,900人に対し74,745人、充足率58.9%)、農業分野(見込数73,300人に対し39,950人、充足率54.5%)、航空分野(見込数4,900人に対し2,577人、充足率52.6%)、自動車整備分野(見込数9,400人に対し4,925人、充足率52.4%)などもすでに充足率50%を超えており、各分野で着実に外国人の受入れが進んでいます。
3. これから採用拡大が期待される分野
すでに上限に近づいている分野がある一方で、まだ国の受入れ枠に十分な余裕があり、これから本格的に採用市場が拡大していく分野も存在します。
(1)宿泊(充足率:14.9%)
特定技能制度自体が創設された2019年4月からある宿泊分野ですが、受入見込数14,800人に対し、在留数は2,207人にとどまっており、充足率は14.9%と低い水準にあります。コロナ禍で打撃を受けた後のインバウンド需要の急激な回復により、全国のホテルや旅館で深刻な人手不足が発生しています。特定技能「宿泊」分野では「宿泊(接客・衛生管理など)」の業務に従事することが可能ですので、ぜひ活用したいところです。
特定技能2号の対象分野でもあるため、優秀な人材を早期に確保し、支配人候補やリーダー層として長期的に育成する戦略が有効です。
(2)直近に追加された分野(自動車運送業、鉄道、林業、木材産業など)
2024年には、新たな特定産業分野として「自動車運送業」「鉄道」「林業」「木材産業」が追加されました。これらは本格的な運用が始まって間もないため全体の充足率は1〜2%台と低い水準にありますが、同じタイミングで追加された分野であっても、すでに受入れ状況には違いが出始めています。
新設分野の中で最も受入れが進んでいるのが自動車運送業分野です。深刻なドライバー不足に対応するために追加され、受入見込数22,100人に対し、在留数はすでに333人(充足率1.5%)に達しています。特筆すべき点として、乗客の命を預かるバス・タクシー運転者には、原則として「B1以上」の高い日本語能力が求められますが、一定の条件(日本語サポーターの同乗など)を満たせば「A2.2相当以上」に要件が緩和される特例措置も設けられています。詳しくは特定技能「自動車運送業」と特定活動55号を徹底解説!採用フローや注意点は?をご参照ください。
次いで動きが見られるのが鉄道分野で、受入見込数2,900人に対し59人(充足率2.0%)が在留しています。「軌道整備」「電気設備整備」「車両整備」「車両製造」「運輸係員」などの業務が含まれます。運輸係員については「B1相当以上」の高度な日本語能力が要求されるなど、安全運行に配慮した設計となっています。
一方で、同じ2024年追加分野であっても、林業分野は受入見込数900人に対し8人(充足率0.9%)、木材産業分野は受入見込数4,500人に対し34人(充足率0.8%)にとどまっています。これらは、まだ本格的な受入れには至っておらず、今後の市場の対応が待たれる立ち上がりフェーズにあります。
(3)新規追加される分野
さらに、特定技能1号のみの対象として「リネンサプライ分野(見込数4,300人)」「物流倉庫分野(見込数11,400人)」「資源循環分野(見込数900人)」が新たに追加されました。これらの分野は、所管省庁が定める上乗せ基準等のルール整備が進められており、運用開始に向けた準備段階であるため、現時点での在留数は0人です。これらの新規分野や充足率の低い分野に該当する企業にとっては、国が設定した受入れ枠が潤沢に残っている「今」が、他社に先駆けて優秀な外国人材を獲得する絶好のチャンスと言えます。
4. これからの外国人材採用戦略
以上で見てきたように、特定技能外国人の受入れ状況は分野ごとに大きく異なり、すでに上限に達しつつある分野もあれば、これから拡大が見込まれる分野もあります。さらに今後は、新たな「育成就労制度」の開始や入管法の改正により、外国人雇用を取り巻く環境は大きな転換期を迎えます。企業が安定的に人材を確保し事業を継続していくためには、最新の動向を踏まえた戦略的なアプローチが欠かせません。ここでは、これからの外国人採用において企業が意識すべき3つの重要ポイントについて解説します。
外国人材のキャリアアップについては、【令和8年3月末速報値】特定技能1号が40万人を突破!分野別人数とこれからの外国人材採用のポイントもご参照ください。
(1) 充足率上限到達による受入れ停止リスクへの備え
特定技能制度を利用して外国人材を採用する場合、自社が該当する分野の「受入見込数」と「最新の充足率」を常に意識して採用計画を立てることが不可欠です。外食業のように、充足率が上限に達して在留資格認定証明書の交付が一時停止されるという事態は、企業にとって採用活動の根底を揺るがす大きなリスクとなります。充足率が高い分野に属する企業は、予期せぬ行政措置に備え、余裕を持った早めの採用スケジュールの策定や、技能実習(育成就労へ移行予定)からの内部登用制度の強化を図る必要があります。
(2)「本人意向転籍可能」時代に求められる「選ばれる企業」像
一方で、これから始まる「育成就労制度」では、外国人材の権利保護を強化する観点から、一定の要件下での「本人意向による転籍(転職)」が認められるようになります。同一機関での就労期間(分野ごとに1〜2年に設定)、技能検定基礎級等の合格、A1〜A2相当の日本語試験の合格、さらに転籍先企業が適切であることなどの要件を満たした外国人は、同一業務区分内で他社へ移籍することが可能になります。これは、企業側から見れば「自社でせっかく育てた人材が流出してしまうリスク」がある一方で、「他社で経験を積んだ優秀な人材を採用できるチャンス」でもあります。今後は、単に外国人を「労働力」として受け入れるのではなく、日本人社員と同等以上の適正な報酬・待遇を用意し、登録支援機関や監理支援機関と連携しながら、住居の確保や日本語学習機会の提供、地域社会との交流といった「手厚い支援」を実施することで、「選ばれる企業」になることが極めて重要です。
(3) 厳罰化に備えたコンプライアンスの徹底
また、育成就労法の創設を含む入管法改正では、外国人に不法就労活動をさせる等の「不法就労助長罪」の法定刑が「拘禁刑3年以下又は罰金300万円以下(併科可)」から「5年以下又は500万円以下(併科可)」へと厳罰化されています。
法令遵守(コンプライアンス)の徹底は絶対条件であり、過去5年以内に出入国・労働関係法令に違反した企業は「欠格事由」に該当し、外国人の受入れが一切できなくなります。さらに、特定技能外国人を雇用した後に各種届出を怠ったり、支援計画を適正に実行しなかったりした場合は、出入国在留管理庁長官から改善命令などの行政処分を受けることになります。
5.このコラムに関するQ&A
A1:国内外で実施される「技能評価試験」と「日本語能力試験(JFT-Basicまたは日本語能力試験N4以上など)」の両方に合格した外国人を採用する「試験合格ルート」があります。
このルートを利用すれば、国内の留学生や、海外にいる優秀な外国人を特定技能1号として直接採用し、新規に入国させることが可能です。
A2:原則として育成就労制度や特定技能制度は企業による直接雇用が前提です。
しかし、農業分野や漁業分野といった「季節的業務に従事させる必要がある分野」に限っては、特例として労働者派遣の形態での受入れが認められています。
A3:受入れ企業に代わって、特定技能外国人に対する「1号特定技能外国人支援計画」の全部を実施する機関です。
外国人が十分理解できる言語での支援体制を有していることや、法令違反がないことなどの要件を満たし、出入国在留管理庁長官の登録を受けることで活動できます。自社に外国人支援のノウハウがない場合は、この登録支援機関に業務を委託することが実務上の一般的な対応となります。
A4:日本政府は、特定技能外国人の適正な送出し・受入れを確保するため、ベトナム、フィリピン、インドネシアなど多数の国と「二国間取決め(MOC)」を締結しています。これにより、保証金の不当な徴収や人権侵害を行う悪質な仲介事業者の情報を両国政府間で共有し、問題是正のための連携を行う仕組みが構築されています。
A5:受入れ企業(特定技能所属機関)には、特定技能雇用契約の変更や受入れが困難になった場合の「随時の届出」のほか、外国人の活動状況(報酬の支払状況等)や支援実施状況を報告する「定期の届出」が義務付けられています。
定期の届出は、毎年4月1日から翌年3月31日までの状況を、翌年の4月1日から5月31日までの間に出入国在留管理庁へ提出する必要があります。これらの届出を怠ると、指導や罰則の対象となるため注意が必要です。
6. まとめ:行政書士法人第一綜合事務所は「充足率」に応じた採用戦略をサポートします
「自社がどの産業分野に該当するのか正確に知りたい」「現在の充足率や最新の法令動向を踏まえて、確実な採用計画を相談したい」「育成就労制度の開始に向けて、いまから社内体制をどう整備すべきか知りたい」など、外国人材の受入れに少しでも不安や疑問がある場合は、専門家の知見に頼ることをお勧めします。
外国人雇用は、制度変更のスピードが速く、実務上の運用ルールも非常に複雑です。
行政書士法人第一綜合事務所では、特定技能制度をはじめ、最新の入管法や育成就労制度の動向に精通した専門家が、貴社の状況に合わせた最適な採用スケジュールと確実な在留資格申請のサポートを提供いたします。ぜひご相談ください。




