特定技能ビザコラム

COLUMN

【特定技能制度】登録支援業務はどこに頼む?行政書士法人第一綜合事務所の協議会加入状況について

1.特定技能制度の最新動向と全体像 特定技能制度は、2019年4月に創設された在留資格です。一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れることを目的としており、「特定技能1号」および「特定技能2号」の2段階が設けられています。 区分 特定技能1号 特定技能2号 在留期間 通算上限5年(条件により最長6年) 更新回数に制限なし 技能水準 試験等で確認(技能実習2号修了者は免除) 試験等で確認(熟練した技能) 日本語能力水準 試験(A2.2相当以上)等で確認 試験(B1相当以上)等で確認 家族帯同 基本的に不可 要件を満たせば可能(配偶者・子) 支援の対象 受入れ機関または登録支援機関による支援の対象 支援の対象外 受入れ対象分野は制度改定を経て拡大が進んでおり、介護、ビルクリーニング、リネンサプライ、工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、自動車運送業、鉄道、物流倉庫、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業、林業、木材産業、資源循環の19分野が指定されています。全分野の概要については【育成就労制度対応】「特定技能」業務区分と「技能実習」移行職種の関係性を行政書士が解説もご参照ください。 2.受入れ機関と「登録支援機関」の関係性 特定技能外国人を受け入れる企業・事業者(特定技能所属機関)には、1号特定技能外国人が日本で適正かつ円滑に活動できるよう、「1号特定技能外国人支援計画」を作成し、これに基づく支援を実施する法的義務が課されています。 (1)1号特定技能外国人支援計画で義務付けられる10の支援項目 受入企業は、以下の項目を含む支援を実施しなければなりません。 事前ガイダンス(労働条件・活動内容等の説明) 出入国時の送迎(空港等と事業所・住居間の送迎) 住居確保・生活に必要な契約支援(連帯保証人、口座開設、ライフライン等の補助) 生活オリエンテーション(日本のルール・マナー、防災等の説明) 公的手続き等への同行(住民登録、税・社会保障手続等の補助) 日本語学習の機会の提供(日本語教室の案内等) 相談・苦情への対応(母国語等による助言・指導) 日本人との交流促進(地域イベントや自治会活動等の案内) 転職支援(受入側都合の解雇時等における次の就労先探し) 定期的な面談・行政機関への通報(3ヶ月に1回以上の面談と法令違反時の通報) (2)登録支援機関の位置づけ これらの支援計画は受入企業が自力で実施することも可能ですが(自社支援)、専門知識や母国語での対応体制が必要となるため、出入国在留管理庁長官の登録を受けた「登録支援機関」へ支援計画の全部の実施を委託することが認められています。 受入企業が登録支援機関に支援の全部を委託する場合、受入企業自体に過去の中長期在留者受入実績等がなくても、外国人を受け入れるための支援体制要件を満たしているものとみなされます。…

木材産業分野における特定技能1号の受入れ要件・業務内容、試験概要、注意点を行政書士が解説

1. 木材産業分野の受入れ要件 木材産業分野で特定技能外国人を受け入れるためには、企業(特定技能所属機関)および受け入れる事業所が、法令ならびに分野固有の上乗せ基準をすべて満たしている必要があります。 また、木材産業分野における特定技能1号の受入れ見込数は、令和10年度末までの5年間で最大4,500人と定められています。令和8年6月末時点の速報値で在留数はまだ74人ですが、受入れ枠に限りがある点も留意しておきましょう。 (1)受入れ機関が満たすべき要件 ① 対象業種の該当性(日本標準産業分類) 受け入れを行う事業所(工場や作業所等)は、日本標準産業分類に基づく以下のいずれかの対象業種を行っていることが必須条件です。 小分類121:製材業、木製品製造業(細分類1211 一般製材業、細分類1212 単板〈ベニヤ〉製造業、細分類1213 木材チップ製造業、細分類1219 その他の特殊製材業) 細分類1222:合板製造業(単板積層材〈LVL〉製造業を含む) 細分類1223:集成材製造業 細分類1224:建築用木製組立材料製造業(プレカット製造業) 細分類1227:銘木製造業 細分類1228:床板製造業 造作材製造業・建具製造業(細分類1221)、パーティクルボード製造業(細分類1225)、繊維板製造業(細分類1226)、木製家具製造業(中分類13)などは特定技能の対象外です。 ただし、事業の一部で対象業種に該当する製品(プレカット材や合板など)を製造・加工している場合は、その製造工程に限り受入れが可能です。 ② 雇用形態 特定技能外国人との契約は直接雇用に限られます。派遣雇用による受入れは一切認められていません。 ③ 法令遵守 過去1年以内に特定技能外国人と同種の業務に従事する労働者を会社都合で離職(非自発的離職・整理解雇など)させていないことや、雇用主側の理由で行方不明者を発生させていないこと、労働・社会保険・租税関係法令を遵守していることなどが求められます。 (2)木材産業特定技能協議会への事前加入 木材産業分野では、特定技能外国人を適正に受け入れ・保護するための枠組みとして、林野庁が事務局を務める「木材産業特定技能協議会」が設置されています。受入れ企業は、入管へ申請を行う前に、事業所ごとに協議会へ加入しなければなりません。 ① 協議会加入の手順 協議会への入会申請を行うには、分野固有の追加要件である「労働安全対策(作業安全規範)の点検」をクリアする必要があります。 具体的には、手続きは以下のステップで進めます。 STEP 1:安全規範の取組状況確認申請(全木連への申請) 木材産業は製造業の中でも労働災害発生率が高い分野です。そのため、農林水産省が定めた「農林水産業・食品産業の作業安全のための規範(個別規範:木材産業)」のチェックシートに基づき、事業所ごとの安全対策状況を点検・記入します。これにエビデンス資料(写真や安全診断の実施証拠など)を添付し、一般社団法人全国木材組合連合会(全木連)に提出します。適切に取り組まれていると認められると、全木連から「確認証」が交付されます。 点検項目の例 チェック 点検項目 点検内容 ☐…

航空分野における特定技能外国人の受入要件・業務内容・試験内容、注意点を解説

1.航空分野の受け入れ要件 特定技能外国人を採用・受入・雇用するためには、「受入企業(特定技能所属機関)に求められる基準」「外国人本人に求められる基準」、そして航空分野特有の「航空分野特定技能協議会への加入・協力義務」のすべてを満たす必要があります。 (1)受入企業の要件 特定技能外国人を受け入れる企業(特定技能所属機関)は、一般的な労働法令や社会保険関係法令の遵守に加え、航空分野特有の厳格な要件(告示基準)をクリアしなければなりません。 ① 事業者・事業場に関する要件(業務区分別) 航空分野では、業務区分(空港グランドハンドリング/航空機整備)ごとに受入企業が備えるべき許認可や事業場要件が明確に規定されています。 空港グランドハンドリング区分の場合 空港管理規則(昭和27年運輸省令第44号)第12条第1項若しくは第12条の2第1項の承認を受けた者(航空法第100条第1項の許可を受けた者を含む)、同規則第13条第1項の承認を受けた者、又はこれらに準ずる条例・規則等に基づき空港管理者により営業を行うことを認められた事業者であって、空港グランドハンドリングを営む者であること。 成田空港での特例措置: 国家戦略特別区域航空物流外国人材活用事業として、空港敷地外の保税蔵置場又は総合保税地域において空港グランドハンドリング(貨物取扱業務に限る)を行う事業者については、上記の空港管理規則に基づく営業承認要件の適用除外を受けます。ただしその場合は、千葉県及び成田国際空港株式会社が設置する「成田国際空港に関する国家戦略特別区域航空物流外国人材活用協議会」等の構成員に加入している必要があります。 航空機整備区分の場合 航空法(昭和27年法律第231号)第20条第1項第3号、第4号若しくは第7号の能力について同項の国土交通大臣の認定を受けた者(いわゆる「認定事業場」)、又は当該認定事業者から業務の委託を受けた者であること。 ② 雇用契約および待遇に関する要件 日本人と同等以上の報酬額: 特定技能外国人の報酬額は、同じ業務に従事する日本人従業員と同等以上でなければなりません。 直接雇用の原則(派遣不可): 航空分野における特定技能外国人の受入形態は、「直接雇用」のみ認められています。派遣形態による受入や、自社で雇用した特定技能外国人を他社へ派遣することは固く禁止されています。 在籍型出向の例外受入: 一方で、航空分野では密接な企業間での教育・研修や技能向上を目的として「在籍型出向」形態による受入が認められています。 「在籍型出向」とは 外国人が元の会社(出向元)と雇用関係を保ったまま、グループ会社や協力会社などの別の会社(出向先)に出向して勤務する形態です。 ただし、出向期間中の所定内賃金等の待遇を出向元と同等以上に維持・向上すること、出向期間(1号の場合は1年につき通算4か月を超えない範囲)の事前確認、出向元・出向先双方が適切に把握されていること等の厳しい条件が課されます。また、事前に入管・国土交通省への届出が必要となります。 ③ 適切な支援体制および法令遵守要件 1年以内に同種業務に従事する労働者を非自発的離職させていないこと、及び自社の責めに帰すべき事由による行方不明者を発生させていないこと。 1号特定技能外国人に対する「1号特定技能外国人支援計画」を作成し、事前ガイダンス、出送迎、住居確保、生活オリエンテーション、日本語学習機会の提供、定期面談(3か月に1回以上)等の支援を適切に実施すること。支援の全部を「登録支援機関」に委託することも可能です。 (2)「航空分野特定技能協議会」について 特定技能外国人を受け入れる企業(及び支援を委託される登録支援機関)にとって重要な法的要件が、「航空分野特定技能協議会」への事前加入および協力義務です。 ①航空分野特定技能協議会の目的と概要 航空分野特定技能協議会は、特定技能外国人の適正な受入及び保護を図ること、並びに各地域の特定技能所属機関が必要な特定技能外国人を受け入れられるよう、構成員相互の連絡や必要措置を講じることを目的に国土交通省によって設置されています。 ②航空分野特定技能協議会の活動内容 航空分野特定技能協議会規約の第3条において、以下のような活動内容が定められています。 受入制度の趣旨や優良事例の周知 受入に係る人権上の問題等への対応策の検討 特定技能所属機関及び登録支援機関に対する法令遵守の啓発 倒産時等における特定技能外国人への転職支援 就業構造や経済情勢の変化に関する情報の把握・分析 地域別の人手不足状況の把握・分析…

造船・舶用工業分野で外国人を雇用する要件・業務内容・試験内容を行政書士が解説

1.造船・舶用工業分野の要件 造船・舶用工業分野で特定技能外国人を受け入れる企業(特定技能所属機関)は、出入国管理及び難民認定法(入管法)や特定技能基準省令に基づく全分野共通の要件に加え、国土交通省の告示により定められた本分野固有の基準を厳格に満たす必要があります。 (1) 特定技能所属機関(受入企業)に求められる主な要件 受入企業は、単に雇用契約を結ぶだけでなく、自社および契約内容が法令基準に適合していることを証明しなければなりません。主に以下の4点と、次章で述べる「協議会への事前加入」が満たすべき要件となります。 ① 造船・舶用工業分野に係る事業者であることの確認 受入企業は、造船法第6条第1項の事業を営む者、小型船造船業法第2条第1項に規定する小型船造船業を営む者、あるいはその他の造船・舶用工業分野に係る事業を営む者であることが求められます。在留資格の申請前に、国土交通省海事局船舶産業課から「造船・舶用工業分野に係る事業を営む者であること」の確認を受け、確認通知書を取得する必要があります。 ② 雇用形態と労働条件の基準 直接雇用の限定: 特定技能外国人の雇用形態は「直接雇用」に限られます。労働者派遣事業者からの派遣受入や他社への派遣は一切認められていません。 日本人と同等以上の報酬待遇: 報酬額は、同じ業務に従事する日本人労働者と同等以上でなければなりません。また、外国人であることを理由とした差別的取扱いの禁止、所定労働時間の日本人と同等化、一時帰国希望時の有給休暇取得保障が義務付けられています。 法令遵守と適正な履行体制: 過去5年以内に労働法規や出入国関連法令の違反がないこと、過去1年以内に同種業務の日本人労働者を会社都合退職(非自発的離職)させていないこと、受入企業の責に帰すべき行方不明者を発生させていないことが求められます。また、報酬の支払いは預貯金口座への振込等で行う必要があります。 ③ 支援体制の整備と支援計画の策定(特定技能1号) 受入企業は、1号特定技能外国人が日本で安定的・円滑に生活・就労できるよう、「1号特定技能外国人支援計画」を作成し、実施しなければなりません。支援内容は、入国前の生活情報提供、入出国時の送迎、住居確保の支援・保証人の手配、生活オリエンテーションの実施、公的手続の同行、日本語学習機会の提供、定期面談の実施など10項目に及びます。受入企業自らが支援を行う場合は、過去2年間に中長期在留者(就労資格)の受入・管理実績があること等の条件を満たす必要があります。自社での支援体制構築が困難な場合は、入管に登録された「登録支援機関」へ支援計画の全部の実施を委託することが可能です(詳しくは【登録支援機関の総まとめ】行政書士の解説!をご参照ください)。 ④ 共生施策への協力(市区町村への「協力確認書」提出) 地域社会における外国人との共生を推進するため、受入企業は特定技能外国人が活動する事業所および居住地が属する市区町村に対し「協力確認書」を提出し、自治体が実施する防災、ゴミ出しルール、地域イベント等の共生施策に協力する旨を在留諸申請時に申告する必要があります。 (2) 「造船・舶用工業分野特定技能協議会」について 造船・舶用工業分野で特定技能外国人を受け入れる企業および登録支援機関には、「造船・舶用工業分野特定技能協議会(以下、協議会)」への加入と、協議会に対する必要な協力が義務付けられています。加入や協力を行わない場合、特定技能外国人の受入手続を行うことができません。 ① 協議会の設置目的と位置付け 協議会は、国土交通省海事局船舶産業課を事務局として設置された機関です。その目的は、構成員相互の緊密な連携と情報共有を図り、造船・舶用工業の実情に応じた特定技能および育成就労制度の適正な実施、ならびに外国人の保護に資する取組を推進することにあります。 ② 協議会の主な活動内容 協議会規約第3条に基づき、以下の活動が行われています。 制度趣旨・優良事例の周知と人権問題への対応: 制度の適正運用のための情報周知や、受入に伴う人権上の課題・予防策の検討。 法令遵守の啓発と公租公課納付の推進: 受入企業に対する労働・入管法令の遵守啓発、および外国人労働者・受入企業双方に対する税金・社会保険料(公租公課)の納付啓発。 倒産時等の転職支援: 受入企業が倒産等により雇用を継続できなくなった際、企業自らが支援義務を果たせない場合において、協議会が連携して情報提供や転職支援の協力を行う。 大都市圏等への集中回避・過度な引き抜きの防止(重要):…

宿泊業の外国人雇用ガイド:ビザの違い・できる仕事・注意点を行政書士が徹底解説

1.宿泊業で外国人を雇用することはできる? 結論から申し上げますと、ホテルや旅館などの宿泊施設で外国人労働者を雇用することは十分に可能です。 ただし、注意が必要なのは、「ホテルならどの在留資格でも雇える」「フロントなら誰でも大丈夫」という単純な話ではない点です。 外国人を雇用する際は、必ず「外国人本人の在留資格」×「任せる業務内容」×「施設の営業許可」の3つが法的に適合しているかを確認しなければなりません。 自社で任せたい仕事に応じて、検討すべき主な在留資格は以下の通りです。 任せたい主な業務内容の例 検討すべき主な在留資格 ポイント 外国語を使ったフロント・企画・広報 技術・人文知識・国際業務/特定技能1号・2号/特定活動46号(N1特定活動)/ 特定活動9号(インターンシップ) 学歴・職歴や専門性を活かす仕事 接客全般・レストランサービス・館内業務 特定技能1号・2号/特定活動46号(N1特定活動)/特定活動9号(インターンシップ) 現場のマルチタスクに対応可能 客室清掃・ベッドメイキング中心 身分系ビザ/資格外活動(留学生等) 就労ビザ(技人国・特定技能)では専任不可 複数の従業員をまとめる管理・指導業務 技術・人文知識・国際業務/ 特定技能2号/特定活動46号(N1特定活動) 熟練した技能や実務経験が必要 それぞれ3章で詳しく解説します。 2.宿泊業で外国人が「できる仕事」と「できない仕事」 (1)任せられる主な業務ラインナップ 適切な在留資格を取得することで、以下のような幅広い業務を任せることができます。 フロント・レセプション業務 企画・広報・マーケティング 通訳・翻訳業務 接客・案内・ベルスタッフ レストラン・宴会場でのサービス提供 施設管理・安全衛生管理など (2)ホテル・旅館で「客室清掃・ベッドメイキング」のみを任せられる? 採用現場で最も多い誤解のひとつが「清掃作業」に関する取り扱いです。 「技術・人文知識・国際業務」の場合 客室清掃やベッドメイキングなどの単純作業・現場作業を専任で行わせることは認められません。 「特定技能(宿泊)」の場合 客室清掃は「関連業務(付随的業務)」として行うことは許可されていますが、「客室清掃のみ」を専任で行わせる雇用は認められません。フロントや接客などの「主たる業務」を行う中で、付随的に清掃を行う必要があります。 客室清掃のみを専任で任せたい場合は、就労制限のない「身分系ビザ(永住者や日本人の配偶者等)」を持つ外国人か、留学生等の「資格外活動許可(週28時間以内)」を得ているアルバイトを雇用する必要があります(次章で詳しく解説します)。 3.宿泊業で活用できる主な在留資格(ビザ)の種類…

【2026年3月末最新データ】特定技能の「受入見込数」と「充足率」を徹底解説!採用計画の重要ポイント

1. 特定技能制度の「受入見込数」とは? 特定技能制度の意義は、人材を確保することが困難な状況にあるため外国人により不足する人材の確保を図るべき産業上の分野(特定産業分野)において、一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人を受け入れていく仕組みを構築することにあります。 制度の適正な運用を図るため、政府は「基本方針」および「分野別運用方針」を策定しており、この分野別運用方針の中で、原則として5年ごとに各分野の「受入見込数」が定められます。この受入見込数は、単なる目標値ではなく「外国人受入れの上限数」として厳格に運用される数字です。 (1)特定技能1号全体の受入見込数と2026年3月末時点での充足率 令和6年(2024年)3月の分野別運用方針の設定において、各産業分野における人手不足の状況が改めて精査されました。政府の方針として、単に人手不足だからといって安易に外国人を受け入れるのではなく、各分野において更なる生産性の向上や国内人材確保の取組みを行うことが強く求められています。 その結果、令和11年(2029年)3月末までの5年間を対象とした特定技能1号全体の受入見込数は805,700人と設定されました。そして、最新のデータ(令和8年3月末速報値)によると、特定技能1号全体の在留外国人数は404,527人となっています。受入見込数に対する全体の「充足率」は50.2%となり、制度全体としてはおおむね順調なペースで受入れが進んでいると言えます。 (2)「育成就労」の受け入れ見込み数 ちなみに、従来の技能実習制度に代わり2027年4月から新たに運用開始予定の「育成就労制度」においても、特定技能制度と同様に受入見込数が設定されました。全17分野で合計426,200人の上限が設けられています。育成就労制度は、原則3年間の就労を通じて「特定技能1号水準」の技能を持つ人材を育成することを目的としています。つまり、育成就労は、特定技能へ移行して長く活躍してもらうための「前段階(育成期間)」として明確に位置づけられた制度なのです。 これにより、特定技能1号の805,700人と合わせて、政府は2029年3月末までの5年間で合計1,231,900人の外国人材を受け入れる計画を立てたことになります。特定技能へのステップアップを前提としたこの巨大な育成・受入れ枠の動向は、今後の採用計画において注視していく必要があります。 2. 受入充足率が高い分野トップ3 特定技能1号全体の充足率は約50%ですが、産業分野別に見ると採用の進み具合には大きなばらつきが生じています。特に以下の3分野は充足率が非常に高く、今後の動向に最大限の警戒が必要です。 産業分野 受入見込数 在留外国人数 充足率 状況 警戒 (トップ3) 【停止中】外食業 50,000人 47,714人 95.4% 一時的な交付停止措置中 飲食料品製造業 133,500人 96,367人 72.2% 在留数は全分野で最多 建設 76,000人 51,055人 67.2% JAC加入やCCUS登録が必要 やや警戒(50%超) 介護 126,900人 74,745人 58.9%…

【令和8年3月末速報値】特定技能1号が40万人を突破!分野別人数とこれからの外国人材採用のポイント

1. 【令和8年3月末速報値】特定技能在留外国人数の現状 国内人材の確保がますます困難になる中、特定技能制度を活用して即戦力となる外国人材を受け入れる企業は業種を問わず増えています。まずは、令和8年3月末時点の最新データから、日本における外国人材の受入れ状況の全体像を把握しておきましょう。 (1)特定技能1号は「404,527人」まで増加 特定技能制度の利用は年々右肩上がりで増加しており、令和8年3月末現在の速報値では、特定技能1号の在留外国人数は404,527人(令和7年末時点では382,341人)に達しました。また、より熟練した技能を要し、家族帯同や在留期間の更新に上限がない「特定技能2号」についても12,420人(令和7年末時点では7,955人)となっており、外国人材の長期的な定着が着実に進んでいます。 (2)分野別人数ランキング:どの業界で採用が進んでいるのか? 2026年現在、特にどの業界で特定技能外国人が活躍しているのでしょうか。特定技能1号において、人数の多い上位5分野は以下の通りです。 順位 産業分野名 特定技能1号 在留外国人数 1 飲食料品製造業 96,367人 2 介護 74,745人 3 工業製品製造業 59,038人 4 建設 51,055人 5 農業 39,950人 これら上位の業界では、すでに多くの企業が外国人材を事業運営の「貴重な戦力」として位置づけており、他社に先んじた人材獲得競争が激化しています。 2. 令和8年追加の「新規分野」の動向とトレンド 特定技能制度の大きな特徴は、経済情勢や人手不足の状況に合わせて柔軟に対象分野が追加される点にあります。直近の令和8年1月の閣議決定でも新たな分野の追加が発表され、大きな話題を呼びました。この章では、新たに追加された分野の2026年最新の受入れ数データと、これから本格化する新規分野の動向について述べます。 (1)自動車運送業や林業などの最新状況 2024年に追加が閣議決定された自動車運送業(333人)、鉄道(59人)、木材産業(34人)、林業(8人)など、新たな分野ですでに受入れの実績が出始めています。 特定技能「自動車運送業」については、特定技能「自動車運送業」と特定活動55号を徹底解説!採用フローや注意点は?で詳しく解説しています。ぜひご参照ください。 (2)これから始まる「特定技能1号のみ」の3分野 2026年1月の閣議決定ではさらに、特定技能1号に「リネンサプライ」「物流倉庫」「資源循環」の3分野が新規に追加されました。これらの新分野については、各分野の省庁による独自の追加ルール(上乗せ基準)が正式に定められ、準備が整い次第、運用が開始される予定であり、速報値でも在留者数が0人ですが、今後の動向に大きな注目が集まっています。 新規分野での在留資格申請は、行政側の審査要領や運用ルールも手探りの部分が多く、入管の審査官も慎重に審査を行います。「必要書類の不備」や「要件の解釈違い」によって、予期せぬ不許可や度重なる追加資料要求となり、採用計画が大幅に遅れるケースが発生しやすいのが実務上の盲点です。 これら新規分野での採用は、早期の情報収集と専門家による綿密な要件確認が成功の鍵を握ります。 3.…

特定技能1号への移行準備のための特定活動ビザとは?

1.在留資格「特定技能」とは? 在留資格「特定技能」とは,2018年に成立した改正出入国管理法により創設され,2019年から受け入れ可能となった外国人労働者向けの在留資格です。 具体的には,人材が不足している産業などに即戦力となり得る外国人労働者を受け入れることを目的とした在留資格のことです。 在留資格「特定技能」は「特定技能1号」と「特定技能2号」の2つの在留資格に分かれていて,それぞれ特定の分野が受け入れ対象となっています。 1-1.特定技能1号 「特定技能1号」とは,「特定産業分野に属するために特相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人」向けの在留資格です。 「特定技能1号」の特徴は,以下になります。 在留期間:通算で上限5年(1年,6か月または4か月ごとの更新) 技能水準:各特定分野の試験などで確認(技能実習2号を修了した外国人や,資格更新時には試験などが免除される) 日本語能力水準:日本語能力を試験などで確認(技能実習2号を修了した外国人や,在留期間更新時には試験などが免除される) 家族の帯同:海外在住の家族の帯同は基本的に認められない 特定技能1号の受け入れ対象特定産業分野は,以下12分野です。 介護 ビルクリーニング業 素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業 建設業 造船・舶用工業 自動車整備業 航空業 宿泊業 農業 漁業 飲食料品製造業 外食業 1-2.特定技能1号と2号との比較 特定技能1号と特定技能2号とは,在留期間,技能水準,家族の帯同,日本語能力水準試験の有無などが異なります。 特定技能2号を取得するためには,特定技能1号から移行しなければなりません。 また,特定技能2号の分野は現状「建設業」と「造船・舶用工業」の2分野しかありませんが,今後拡大予定です。 特定技能1号と2号との違いの詳細について,もっと詳しく知りたい方は以下のコラムをご参照ください。 >>特定技能1号と2号の違いは? 2.在留資格「特定技能1号」に変更申請をする場合の必要書類 在留資格「技能実習」や「留学」などから在留資格「特定技能1号」に変更するには,申請までの準備に時間がかかると言われています。 実際に必要な提出書類は,申請人に関する必要書類,所属機関に関する必要書類,特定産業分野に関する必要書類に分かれます。 申請人に関する必要書類は以下です。 在留資格変更許可申請書 特定技能外国人の報酬に関する説明書 (賃金規定に基づき報酬を決定した場合は賃金規定も添付要) 特定技能雇用契約書の写し 雇用条件書の写し…

介護分野の特定技能ビザの活用方法|要件・必要書類、訪問介護の解禁まで解説

1.特定技能の介護とは? 特定技能ビザは19分野において取得が認められており、特に介護は政府が最も特定技能ビザ取得を推進している分野のひとつです。 従来ある介護分野での就労が可能な「技能実習」や「EPA」と違い、特定技能では転職が可能であり、介護技能評価試験などに合格することで特定技能ビザを取得できます。 そのため、他分野で就労していた元技能実習生などが試験に合格をして、介護職に転職するケースも見られるようになりました。 今後も介護分野の特定技能ビザは高いニーズがあると予想されます。 2.介護分野での特定技能ビザ取得状況 入管の公表資料によると、2026年3月末現在(速報値)における1号特定技能外国人の総数は全分野で404,527人に達しています。 このうち、介護分野の特定技能1号在留外国人数は74,745人となっており、全19分野の中で飲食料品製造業(96,367人)に次ぐ第2位の受入れ実績を誇っています。 また、政府が設定する今後5年間の受入れ見込数(2029年3月末までの期間で設定)においても、介護分野単独で126,900人(全分野合計805,700人)と大規模な受入れ枠が確保されています。 今後も日本政府によって、介護分野での積極的な外国人材受入れが行われていくことが予想されます。 3.介護分野の特定技能ビザ取得要件 介護分野で特定技能ビザを取得するには、特定技能ビザを希望する外国人と受入れ機関のそれぞれが満たさなければならない要件があります。 (1)外国人の主な要件 介護分野で特定技能ビザを取得するために外国人が満たすべき要件を紹介します。 ①技能実習2号を良好に修了 介護分野において技能実習を2年10ヶ月以上修了した外国人については、技能実習2号を良好に修了した外国人として、介護分野の特定技能ビザ申請をすることができます。 技能実習を2年10ヶ月以上修了した上で、介護技能実習評価試験の専門級(実技試験のみ可)の合格証明書を特定技能ビザ申請の際に提出すると、技能実習2号を良好に修了したとみなされます。 仮に、介護技能実習評価試験の専門級に合格できなかった場合でも、技能実習中の実習評価について、受入れ機関と監理団体に評価調書を発行してもらうことで、技能実習2号を良好に修了したとみなされます。 ②技能試験と日本語試験に合格 介護技能評価試験、介護日本語評価試験、および日本語能力検定N4以上に合格(国際交流基金日本語基礎テスト合格を含む)することで、介護分野の特定技能ビザ申請をすることができます。 特に、介護分野では、日本語能力検定N4以上に加えて「介護日本語評価試験」の受験も必須である点は、他分野と異なるため注意が必要です。 そのため、既に他職種の「技能実習2号良好修了者」が介護分野で特定技能ビザを取得するためには、「介護技能評価試験」と「介護日本語評価試験」の合格が必要となります。 介護分野での最新の試験情報については、【特定技能ビザの試験内容】全12分野の解説もご確認ください。 ③介護福祉士養成施設を修了 介護福祉士養成施設を修了した場合でも、介護分野の特定技能ビザ申請をすることができます。 介護福祉施設に通う期間については、入学前の学歴によっても期間が変わります。 ④EPA介護福祉士候補者として在留期間(4年間)満了 EPA介護福祉士候補者として在留期間を満了した場合には、介護分野の特定技能ビザ申請をすることができます。 在留期間の満了をしていない場合でも、EPA介護福祉士候補者として就労・研修を3年10ヶ月以上修了し、直近の介護福祉士試験の結果で5割以上の点数をとることができれば、介護分野の特定技能ビザ申請が可能です。 ただし、EPA介護福祉士候補者は、フィリピン、インドネシア、ベトナムと日本が締結している経済連携協定に基づいて日本の介護施設で就労・研修をしながら介護福祉士の資格を目指す制度であるため、上記3ヶ国の外国人のみが該当します。 (2)受入れ機関の主な要件 介護分野で特定技能ビザの外国人を雇用したい機関は、主に下記の受入れ要件を満たす必要があります。 ①介護の特定技能協議会への加入 初めて介護分野で特定技能外国人を受入れ後、4ヶ月以内に介護分野の特定技能協議会へ加入する必要があります。 介護分野の特定技能協議会は、厚生労働省が運営しており、厚生労働省公式サイト(外部リンク)の案内に従い、加入手続きを行う必要があります。 加入手続きの主な流れは次のとおりです。…

【登録支援機関の総まとめ】行政書士の解説!

1. 登録支援機関とは? 登録支援機関とは,特定技能制度で義務付けられている特定技能外国人への支援業務を受入れ機関からの委託を受けて実施する機関です。 登録支援機関は,特定技能外国人の日本での生活をサポートすることを主な業務としています。 登録支援機関の登録が認められた機関は,既に日本全国で,7,500件以上(2022年10月時点)あり,個人事業主でも登録が認められることから,登録支援機関の数は現在でも増え続けています。 2.登録支援機関は儲かる? 正しい知識をもち上手に運用をすることで,登録支援機関としての業務で大きな利益を出している機関もあります。 ただし,登録支援機関の業務の多くは,日本語レベルが高いとは言えない外国人労働者の日本での生活サポートをすることであるため,多くの手間暇がかかり簡単な業務ではありません。 そのため,上手に運用している登録支援機関は,少ない数の受入れ機関(事務所近辺だとなお良い)に,1社あたり数十人~数百人など多くの外国人を受入れする機関と契約をしている場合が多いと言えるでしょう。 事故や怪我などの突発的な対応も支援業務のひとつであるため,遠方にある受入れ機関の支援や数人程度の受入れ機関と多く契約することは,支援業務を遂行する上で大きな負担となるため,あまりお勧めできません。 また,既に技能実習生などの受入れ実績が豊富な機関であれば,そのノウハウを生かして,登録支援機関となることも可能です。 登録支援機関は技能実習生とは違い,株式会社でも許可取得ができるため,グループ企業の支援業務を担う登録支援機関設立や,関係先の特定技能外国人を支援する目的でも要件さえ満たせば許可を得ることができます。 このように,登録支援機関としての業務は,単に利益を得るためだけでなく,支援業務を通じて関係先との距離を縮めることもできるため,金銭的な利益以外のメリットを得ることもできるのではないでしょうか。 3.登録支援機関が行う支援内容とは? 登録支援機関に実施義務のある特定技能外国人への支援内容は次のとおりです。 事前ガイダンス 出入国の際の送迎 住居確保・生活に必要な契約支援 生活オリエンテーション 公的手続きへの同行 日本語学習の機会提供 相談・苦情への対応 日本人との交流促進 転職支援(受入れ機関都合での解雇時) 定期面談・行政機関への通報 一見難しく見えますが,技能実習生を受入れしたことのある機関であれば既に馴染の多い内容も多いのではないでしょうか。 内容は主に,特定技能外国人が日本で生活するのに困らないためのサポートであるため,ガイダンスなど母国語の通訳が必要な支援もありますが,送迎や公的手続きのサポートなど基本的には,専門的な知識を要する支援でないものが多いです。 4.登録支援機関の登録要件は? 登録支援機関の登録認定を得るためには,最低でも次の要件を全て満たしている必要があります。 支援責任者及び1名以上の支援担当者を選任していること 以下のいずれかに該当すること ・登録支援機関になろうとする個人又は団体が,2年以内に中長期在留者の受入れ実績があること ・登録支援機関になろうとする個人又は団体が,2年以内に報酬を得る目的で,業として,外国人に関する各種相談業務に従事した経験を有すること ・選任された支援担当者が,過去5年間に2年以上中長期在留者の生活相談業務に従事した経験を有すること ・上記のほか,登録支援機関になろうとする個人又は団体が,これらと同程度に支援業務を適正に実施できると認められていること 1年以内に責めに帰すべき事由により特定技能外国人又は技能実習生の行方不明者を発生させていないこと 支援の費用を直接又は間接的に外国人本人に負担させないこと 刑罰法令違反による罰則(5年以内に出入国又は労働に関する法令により罰せられたなど)を受けていないこと 5年以内に出入国又は労働に関する法令に関し著しく不正又は不当な行為を行っていないこと 上記をわかりやすく説明すると,下記の内容となります。…