行政書士法人第一綜合事務所

フィリピン人との国際結婚手続きを専門行政書士が解説!

厚生労働省が公表した「人口動態統計」によると,
・夫が日本人で妻がフィリピン人の夫婦は,国際結婚における国籍比(外国人妻の場合)で24.5%を占めており,第2位
・妻が日本人で夫がフィリピン人の夫婦は,国際結婚における国籍比(外国人夫の場合)で3.2%を占めており,第6位
となっています。
これらのデータからは,男女問わず,日本人とフィリピン人との国際結婚の事例は,たくさんあることがわかります。
本ページでは,日本人とフィリピン人との国際結婚手続きについて,国際業務専門の行政書士がこれまでの経験を踏まえて解説しています。
これからフィリピン人との国際結婚手続きを検討中の方は,ぜひ参考にしてみてください。

1.国際結婚手続きの用語解説

本チャプターでは,国際結婚手続きにおける専門用語を解説していきます。
以降の内容をご参照いただくにあたり必要となる前提知識ですので,ご一読の上,次のチャプターに進んでください。

①国際結婚の成立とは?

国際結婚が有効に成立するには,双方(本事例でいうと日本とフィリピン)の国籍国において,法的に有効な婚姻関係にあることが原則必要とされています。
日本で先に結婚手続きを行うことを日本方式と言い,フィリピンで先に結婚手続きを行うことをフィリピン方式と言います。

②婚姻要件具備証明書とは?

外国人が,日本方式の婚姻を有効に成立させるためには,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件(婚姻できる年齢に達していること,独身であることなど)を満たしていることが必要とされています。
もっとも,日本の市区町村役場で,外国人の国籍国の法律を全て審査することは現実的ではありません。
そのため,国際結婚においては,婚姻要件具備証明書を提出することによって,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていると判断することにしています。

なお,発行国によっては,独身証明書などと言われることがありますが,独身であることのみならず,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていることが明らかになるものであれば,基本的には婚姻要件具備証明書と考えていただいて差支えありません。

2.フィリピン人との国際結婚手続きで注意すること

フィリピン人と日本人との国際結婚手続きの際,ご注意いただきたい事項を下記に記載いたします。

①婚姻要件具備証明書について

日本に滞在するフィリピン人は,婚姻要件具備証明書を在日フィリピン公館で取得することができます。
婚姻要件具備証明書を取得できる状況にある場合は,必ず婚姻要件具備証明書を取得しなければなりません。
日本国外にいるフィリピン人は婚姻要件具備証明書が取得できないため,婚姻要件具備証明書に代わる書類によって,フィリピン人の婚姻要件充足を証明することになります。

②婚姻可能な年齢について

フィリピン人の婚姻可能な年齢は,男女とも満18歳以上です。
ただし,18歳以上20歳以下の場合は,父母の同意を得なければなりません。
また,21歳以上25歳以下の場合は,父母の承諾を得なければなりません。

③再婚禁止期間について

フィリピンの法律には再婚禁止期間の定めはありません(そもそも,フィリピン法には再婚という概念がありません)。ただし,日本方式で婚姻手続きを行う場合は,日本民法の再婚禁止期間が適用され,前婚の解消又は取消の日から100日を経過していることが要件とされています。もっとも,フィリピン人女性が妊娠していないという医師の診断書を提出することによって,100日を経過していない場合でも婚姻することができます。

3.国際結婚手続きにおける必要書類(日本方式)

本題の国際結婚手続きについて解説していきます。
ここからは,日本人とフィリピン人が日本方式で婚姻をおこなう場合の必要書類を記載します。
なお,市区町村役場によって若干の相違があるため,事前に役所照会することをお勧めいたします。

①日本の市区町村役場において必要となる書類

<日本人の方にご準備いただく書類>
・婚姻届書(日本人同士の場合と同様のものです)
・本人確認資料(運転免許証又はパスポート等)
・戸籍謄本(本籍地以外に婚姻届を提出する場合)

<フィリピン人の方にご準備いただく書類>
・在日フィリピン公館発行の婚姻要件具備証明書
・PSA発行の出生証明書(日本語訳を添付)
※PSA(Philippine Statistics Authorityの略,フィリピン国家統計局)とは,フィリピン人の出生・婚姻・縁組・死亡といった身分事項を記録する国家機関です。
・パスポート

(婚姻要件具備証明書が取得できない場合)
・PSA発行の出生証明書(日本語訳を添付)
・PSA発行の独身証明書(日本語訳を添付)
・婚姻要件具備証明書が取得できない旨の申述書
・パスポート
※フィリピン人が在外にいる場合は,パスポートのコピーで代替可能です。

②婚姻要件具備証明書を取得するために必要な書類

<フィリピン人の方にご準備いただく書類>
・婚姻要件具備証明書の申請書(フィリピン公館にてフォーマットを取得)
・PSA発行の出生証明書
・PSA発行の独身証明書
・父母の同意書(18歳以上20歳以下の場合)
・父母の承諾書(21歳以上25歳以下の場合)
・在留カード
・パスポート

<日本人の方にご準備いただく書類>
・戸籍謄本
・離婚の事実が記載された戸籍謄本(離婚歴がある場合のみ)
・パスポート

③フィリピンへの婚姻報告について

フィリピンでは婚姻登録制度があります。日本の役所に婚姻届を提出した後,在日フィリピン公館で婚姻報告手続き(Report of Marriage)を行ってください。なお,婚姻日から30日以内に報告する義務があります。報告が遅れた場合は,遅延供述書を提出することになります。

<フィリピン人の方にご準備いただく書類>
・Report of Marriageの申請書(在日フィリピン公館にてフォーマットを取得)
・パスポート

<日本人の方にご準備いただく書類>
・婚姻届書記載事項証明書(婚姻届を提出された市区町村役場にて取得)
・パスポート

婚姻報告手続きが完了すると,在日フィリピン公館からPSAに情報が送られ,PSAで婚姻証明書を取得できるようになります。ただし,これには3~4カ月かかります。

4.国際結婚手続きにおける必要書類(フィリピン方式)

次は,日本人とフィリピン人がフィリピン方式で婚姻をする場合についてです。
フィリピン方式で婚姻手続きをする場合は,日本人がフィリピンに渡航する必要があります。
フィリピンはカトリック教国ですので,カトリックのルールに則って手続きが行われます。

①在フィリピン日本公館にて婚姻要件具備証明書を取得

まずは,日本人の婚姻要件具備証明書をフィリピンにある日本大使館または領事館にて取得します。通常は申請日の翌開庁日に発行されます。

<日本人の方にご準備いただく書類>
・申請書(現地の日本公館にて取得)
・戸籍謄本(発行日から3か月以内のもの)
・パスポート

<フィリピン人の方にご準備いただく書類>
・PSA発行の出生証明書
・父母の同意書(20歳未満の場合)

②フィリピン人の居住地の市役所にて挙式許可証を取得

次に,フィリピンの市役所で挙式許可を受ける必要があります。
必要書類を提出すると,婚姻当事者の情報が掲示されます。10日の間に異議を申し出る者がいなければ,挙式許可証が発行されます。

<フィリピン人の方にご用意いただく書類>
・PSA発行の出生証明書
・PSA発行の独身証明書
・バランガイクリアランス(フィリピンの住民票のようなもの)

<日本人の方にご用意いただく書類>
・婚姻要件具備証明書
・パスポート

③挙式

資格のある挙式執行者の面前にて宣誓し,書類にサインをします。この際,2名以上の成人の証人が必要です。フィリピン人側のご家族やご友人が証人になることが多いようです。

挙式後,PSAに婚姻記録が登録され,結婚証明書を取得できるようになります。

④日本への婚姻報告

フィリピンで婚姻記録が登録された後,在フィリピン日本大使館または日本の市区町村役場で,婚姻届(報告的届出)を提出してください。

<日本人の方にご用意いただく書類>
・PSA発行の結婚証明書(Certificate of Marriage)および日本語訳文
・本人確認資料(運転免許証又はパスポート等)
・戸籍謄本(本籍地以外に婚姻届を提出する場合)

<フィリピン人の方にご用意いただく書類>
・PSA発行の出生証明書および日本語訳文

5.フィリピン人との国際結婚手続きのまとめ

本ページでは,日本人とフィリピン人の国際結婚手続きをご紹介しました。

上記でご説明したのは,フィリピン人の方が初婚の場合の婚姻手続きです。フィリピンは厳格なカトリック教の国で,実は離婚という制度がありません。ただし,一度結婚すると二度と結婚できないわけではなく,再婚する方法はあります。
例えば,日本人と日本で離婚し,また日本人と再婚することは可能です。その場合の手続きや必要書類は,上記とは全く異なります。離婚歴のあるフィリピン人の方とご結婚を検討されている方は,別途ご相談ください。

本ページが,フィリピン人との国際結婚をご検討されている方々のご参考になれば幸いです。