【2026年最新】ミャンマー人との国際結婚手続きと必要書類を行政書士が解説

日本に中長期的に在留するミャンマー人は2025年12月末の政府統計では約182,567人、年々増加している国の一つとして挙げられます。数年前までは留学生が多くを占めていましたが、近年では技能実習等の就労資格で在留する方が増えており、日本人と接する機会も増えていると言えるでしょう。それに伴い、ミャンマー人と日本人の婚姻事例も増加の傾向にあります。
しかし、2021年のクーデターの緊迫した情勢に加え、現地での法的な手続きや運用の厳格化も進んだ結果、本国からの書類収集や婚姻手続きは極めて不安定で困難な状況が続いています。2026年現在は「日本方式」で進めることが鉄則となっているほか、その後の「配偶者ビザ」申請でも入管による緩和措置が取られるなど、他国にはない独自の注意点が存在します。
そこで本コラムでは、日本人とミャンマー人との国際結婚手続きについて、国際業務専門の行政書士がこれまでの経験をもとに、その手順、注意すべき事項について記載しています。
これからミャンマー人との国際結婚を考えられている方は、ぜひ参考にしてください。
Index
1.国際結婚手続きの用語解説
この段落では、国際結婚手続きにおける専門用語を解説していきます。
以降の内容をご参照いただくにあたり必要となる前提知識ですので、ご一読の上、次の段落に進んでください。
①国際結婚の成立とは?
国際結婚が有効に成立するには、双方(本コラムでいうと日本とミャンマー)の国籍国において、法的に有効な婚姻関係にあることが原則必要とされています。
日本で先に結婚手続きを行うことを日本方式と言い、ミャンマーで先に結婚手続きを行うことをミャンマー方式と言います。
②婚姻要件具備証明書とは?
外国人が日本方式の婚姻を有効に成立させるためには、国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件(婚姻できる年齢に達していること、独身であることなど)を満たしていることが必要とされています。
もっとも、日本の市区町村役場で、外国人の国籍国の法律を全て審査することは現実的ではありません。
そのため、国際結婚においては、国籍国の公的機関が発行する婚姻要件具備証明書を提出することによって、国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていると判断することにしています。
なお、発行国によっては、独身証明書などと言われることがありますが、独身であることのみならず、国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていることが明らかになるものであれば、基本的には婚姻要件具備証明書と考えていただいて差支えありません。
2.ミャンマー人との国際結婚手続きで注意すること
ミャンマー人と日本人との国際結婚手続きの際、ご注意いただきたい事項を解説していきます。
①宗教によって適用法が異なる
ミャンマーは信仰する宗教によって婚姻の際に適用される法律が異なり、法律ではなく慣習によって決まっているものもあります。ただし、ミャンマー人の90%が仏教を信仰しており、ここでは仏教徒に適用される法律に従って婚姻手続きを解説していきます。
②婚姻要件具備証明書について
ミャンマーには、婚姻要件具備証明書という名称の書類は存在しません。ただし、公証を受けたファミリーリスト(戸主を中心とした居住関係を示すものですが、婚姻状況等の身分事項も記載されています。)及び独身証明書が、日本では婚姻要件具備証明書に相当する書類として扱われています。
③婚姻可能な年齢について
以前は、「身体的に婚姻可能な年齢」が婚姻可能な年齢と定められ、裁判例によって男性は18歳以上、女性は16歳以上とされていましたが、2019年に法改正され、男女ともに18歳以上と定められることになりました。これは、法改正を経て男女とも18歳に統一された日本と同じ年齢基準となっています。
④再婚禁止期間について
ミャンマーの法律には再婚禁止期間の規定がありません。 また、日本側でも民法改正(2024年4月1日施行)により、これまで女性に課されていた「100日間の再婚禁止期間」は完全に廃止されました。そのため、2026年現在は男女ともに離婚後すぐに再婚手続きを進めることが可能です。
⑤「苗字(姓)がない」名前の文化と婚姻届の書き方について
ミャンマー人には家族や一族を区別する「苗字(姓・ファミリーネーム)」が存在せず、全員が「名(ファーストネーム)」のみを持ちます。そのため、日本の婚姻届を記入する際、「姓」の欄の扱いについて市区町村役場の窓口ごとに判断が分かれ、手続きがスムーズに進まないトラブルになりがちです。また、国際結婚では「夫婦別姓」が原則となるため、苗字を統一したい場合は日本側で別途手続き(氏の変更届など)が必要となります。
⑥緊迫した現地情勢による書類収集の長期化・入手困難化について
2021年のクーデター以降、ミャンマー現地の裁判所や役所の機能、外務省の認証手続きが不安定になっています。そのため、婚姻手続きに必須となる(後述)「独身証明書」や「ファミリーリスト」をミャンマー本国から取り寄せるのに数ヶ月単位の時間がかかったり、治安悪化によりそもそも書類の取得自体が困難になるケースが発生しています。
3.国際結婚手続きにおける必要書類(日本方式)
本題の国際結婚手続きについて解説していきます。
ここからは、日本人とミャンマー人が日本方式で婚姻をおこなう場合の必要書類を記載します。
なお、提出先の市区町村役場によって若干の相違があるため、事前に役所照会することをお勧めいたします。
①日本の市区町村役場において必要となる書類
- 婚姻届書(日本人同士の場合と同様のものです)
- 本人確認資料(運転免許証又はパスポート等)
(※2024年3月の戸籍法改正にともない、本籍地以外の市区町村窓口で婚姻届を提出する場合であっても、戸籍謄本の添付は原則不要となりました。)
- 独身証明書(日本語訳を添付)
※ミャンマーには政府発行の独身証明書がないため、公証弁護士の前で作成する「宣誓供述書(ビルマ語:ကျမ်းကျိန်လွှာ / 英語:Affidavit)」がその代わりとなります。ミャンマー外務省の認証が必要です。 - ファミリーリスト(日本語訳を添付)
※家族関係や本人の婚姻状況が記載された、日本の住民票や戸籍のような書類です(ビルマ語:အိမ်ထောင်စုစာရင်း / 英語:Family List)。ミャンマー外務省の認証が必要です。 - 国民登録証(日本語訳を添付)
※ミャンマー国民が必ず所持している、身分証明書です(ビルマ語:မှတ်ပုံတင် / 英語:National Registration Card)。 - パスポート
※ミャンマー人が在外にいる場合は、パスポートのコピーで代替可能です。なお、就労用(PJ)パスポートの場合、駐日ミャンマー大使館での手続き(パスポート更新等)に際して本国への納税証明を求められるケースがあるため要注意です。
翻訳はA4の別紙に作成し、末尾に翻訳者の氏名・住所・連絡先を署名(または捺印)する必要があります。翻訳者は本人や配偶者、あるいは友人でも構いませんが、ミャンマー独自の「ビルマ文字」の翻訳や、名前(苗字なし)の表記、NRC番号の転写はミスが起きやすいため、確実性を期す場合は専門の翻訳業者へご依頼いただくのがおすすめです。
②ミャンマーへの婚姻報告について
ミャンマー側に婚姻の成立を報告していなくても、婚姻の効力が否定されるわけではありませんし、日本の配偶者ビザの申請も問題なく進められます。なお、日本にあるミャンマー大使館では手続きができませんので、本来は夫婦そろってミャンマーに行く必要があります。手続きはミャンマー人配偶者の住所地を管轄する裁判所で行い、判事の面前で夫婦が宣言・署名した「結婚宣言書」が結婚証明書として扱われています。
しかし、現地の情勢やビザ運用の厳格化(次章参照)を考えると、危険な現地へ渡航する必要はありません。日本に住み続けるために必要な配偶者ビザも、入管へ「情勢により渡航しての報告が困難である」という理由書を添えることで、ミャンマー側の証明書がなくても審査が行われますのでご安心ください。まずは安全な日本国内での手続きを最優先に進めていきましょう。
4.国際結婚手続きにおける必要書類(ミャンマー方式)
次は、日本人とミャンマー人がミャンマー方式で婚姻をする場合についてです。
2026年現在、ミャンマー連邦最高裁判所が発令した通達(仏教徒との婚姻に関するDirective No. 1/2025、およびキリスト教徒に関するDirective No. 1/2026)により、外国人との婚姻手続きが厳格化されています。 この最新通達では、婚姻を行う外国人に「30日を超える滞在ビザ」の保有が義務付けられたため、滞在日数が28日間に限られる通常の「観光ビザ」での現地婚姻手続きは一律で拒絶される運用となっています。そのため、すでに現地でビジネスビザ等を取得して長期滞在している場合を除き、これから結婚手続きのために日本から渡航してミャンマー方式で進めることは、ビザ取得や日本での書類認証のハードルも含めて実務上、極めて困難な状況となっています。
なお、この最高裁通達による厳格な審査(30日を超える滞在ビザの保有義務など)は、日本人側の宗教(仏教、キリスト教、無宗教など)に関わらず、すべての外国人に一律で適用されます。
上記のような事情もありますので、この章は、すでに現地に駐在等で長期滞在されている日本人の方向けになります。
ミャンマー方式で婚姻手続きをする場合は、日本人が現地(裁判所等)に赴く必要があります。
当事者が1部ずつ結婚誓約書を購入し、二人揃って現地の裁判所で婚姻登録を行います。
①結婚誓約書を準備する
ミャンマー方式の婚姻手続きは、まず各当事者が結婚誓約書を用意しなければなりません。結婚誓約書は現地の裁判所や指定の売店等で購入します。結婚宣言書には、弁護士や公職者の保証人のサインが必要になります。
②ミャンマー人の居住地を管轄する裁判所で結婚誓約書の交換
- 結婚誓約書
- 婚姻要件具備証明書(日本人が女性の場合は求められることが多い)
- パスポート
日本人側の準備書類注意点
前述の最高裁通達に基づき、上記のほか「住所」「職業」「収入」「素行(無犯罪)」を証明する書類(すべて英訳・認証済みのもの)の提出が厳格に求められます。現地勤務の方は在職・給与証明や在留証明で対応可能ですが、「無犯罪証明書」のみ日本からの取り寄せ(または大使館経由で取得に数ヶ月)となるため、スケジュールには細心の注意が必要です。
- 結婚宣言書
- 国民登録証
判事の面前にて結婚誓約書を交換し、判事が署名することによって、結婚証明書が発行されます。
③日本への婚姻報告について
ミャンマーで婚姻登録された後、在ミャンマー日本大使館または日本の市区町村役場で、婚姻届を提出してください。
- 結婚証明書および日本語訳文
- 本人確認資料(運転免許証又はパスポート等)
(※2024年3月の戸籍法改正にともない、在ミャンマー日本大使館、または日本の市区町村窓口のどちらへ提出する場合であっても、戸籍謄本の添付は原則不要となりました。)
- 国民登録証および日本語訳文
5.ミャンマー人との国際結婚手続きのまとめ
本コラムでは、日本人とミャンマー人との国際結婚手続きをご紹介しました。
2026年現在、ミャンマー人との国際結婚は、2021年のクーデター以降続く緊迫した情勢に加え、最新の最高裁通達による現地婚の厳格化など他国にはない独自の実務が次々と導入されています。そのため、「日本方式」で進めることが鉄則ですが、婚姻届の受理は通過点に過ぎません。その後に控える「配偶者ビザ」申請でも、この複雑な情勢が影響します。ミャンマーへの婚姻報告が滞った場合、入管の「緩和措置」を利用できますが、それには事情を論理的に説明した「理由書」が不可欠です。ご自身での作成が難しい場合はぜひ行政書士法人第一綜合事務所にご相談ください。
本コラムが、ミャンマー人との国際結婚をご検討されている方々のご参考になれば幸いです。
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