依田 隼弥

配偶者ビザに添付する質問書のポイント

配偶者ビザを取得するためには,様々な書類を入管に提出する必要があります。
その中でも,“質問書”は,これまでのご夫婦の交際経緯などを示す書類として,特に重要視されています。
しかし,ほとんどの方にとって配偶者ビザを申請するのは初めてです。
そのため,重要であるはずの“質問書”を,そのポイントも分からないまま作成し,入管に提出しているのが実情ではないでしょうか。
そこで,本ページでは,配偶者ビザに添付する“質問書”のポイントを,専門の行政書士が徹底的に解説していきます。

1.配偶者ビザの質問書

(1)そもそも質問書とは?

質問書とは,配偶者ビザ申請の際に提出する重要な参考資料の一つです。
※ここでいう配偶者ビザは,日本人の配偶者等,永住者の配偶者等,定住者(5号)を意味します。

質問書の枚数は8ページにも亘り,ご夫婦が結婚に至った経緯や,夫婦間の意思疎通の方法,相手の国への渡航歴といった,婚姻の実体を確認するような質問12項目で構成されています。質問書では,その内容からも推察できるように,主にご夫婦の婚姻の実体や婚姻の信ぴょう性の審査に用いられます。

残念ながら,配偶者ビザを申請する方の全員が純粋に愛を育み,婚姻に至ったわけではなく,中には偽装結婚で在留資格の不正取得を企てる輩がいることも事実です。
そのため,入管は質問書の内容に矛盾が無いか,また社会通念に照らして適切か等,様々な観点から審査しているのです。

仮に,事実に反する記入をしたことが判明した場合には,申請に不利益な取り扱いを受けるほか,最悪の場合には,在留資格等不正取得罪(入管法70条1項)などの罪に問われる可能性もあります。

決して侮ることができない質問書です。ここから注意深く,続きを見ていきましょう。

(2)「質問書」を提出する必要がある申請種別

そもそも配偶者ビザの申請には,
①在留資格認定証明書交付申請(海外にいる配偶者を日本に呼び寄せるための申請)
②在留資格変更許可申請(現在持っているビザを配偶者ビザに変更する申請)
③在留期間更新許可申請(現在持っている配偶者ビザを延長する申請)
の3つが考えられます。

しかし,上記の①から③の全ての申請に質問書を添付する必要はなく,
①在留資格認定証明書交付申請(海外にいる配偶者を日本に呼び寄せるための申請)
②在留資格変更許可申請(現在持っているビザを配偶者ビザに変更する申請)
の申請に添付することで足ります。

そのため,
③在留期間更新許可申請(現在持っている配偶者ビザを延長する申請)
の際には,質問書は不要ですので,間違えないようにご注意ください。
※だたし,再婚して配偶者ビザを更新する際には,質問書が必要になります。

では次のチャプターでは,具体的な質問書の中身について見ていきましょう。

2.質問書の「申請人」「配偶者」とは一体誰のこと?

質問書は,最初に申請人情報(名前,国籍,性別)を記入し,それ以降はすべて「配偶者」の目線で記入していきます。

ところで,質問書を記入する際の「申請人」と「配偶者」とは,一体誰のことを指すのでしょうか?
まず,申請人とは,配偶者ビザを取ろうとしている外国人本人のことを指します。
そして,配偶者は,その申請人と婚姻している日本人または永住者(特別永住者を含む)もしくは定住者の在留資格を持っている外国人を指します。

申請人と配偶者を逆にして質問に答えないよう,質問書を記入する際は十分に気を付けましょう。

3.質問書の中でも特に重要な質問とは?

上述のとおり,質問書は全8ページあり,12項目ある質問のすべてに回答しなければなりません。12項目すべてが重要ですが,本のチャプターでは,その中でも特に重要である2つの質問について解説していきたいと思います!

(1)夫婦間の会話で使われる言語(質問3)

ここでは,夫婦が相互に意思疎通が可能な語学能力を有していることが確認されます。
お互いに母国語の理解が難しい場合は,正直に事実を記載し,翻訳アプリの利用や,簡単な単語への言い換えなど,実際に意思疎通を図っている方法を具体的に記載しましょう。
また,外国人の配偶者(申請人)が日本語を理解できる場合は,いつどのように学んだのか具体的に記載するようにしましょう。

(2)お互いの母国を訪れた回数と時期(質問7)

来日回数は特に慎重に審査されます。したがって,あいまいな日付や,事実とは異なる日付を記載してしまった場合は,入管からは虚偽申請とみなされ,申請が不許可になる可能性があります。そのため,パスポートを見て,日付を確認しながら正確に記載するようにしましょう。

相手の国を訪れた月まで覚えているけど,日付までは覚えていない・・・という方もいらっしゃると思います。そんなときは,日付まで記載しなくても構いません。日付を記載しなかったからと言って,不利益な扱いをされることはありませんのでご安心ください。反対に,実際に訪れていない日付を書いてしまうことは,不利益に扱われ,配偶者ビザが不許可になる要因となりますので,こちらについては気を付けましょう。

他にも質問書には,夫婦の親族や退去強制の有無などについて記載する必要があります。過去に退去強制事由に当たる行為を犯した外国人配偶者を日本に呼び寄せたい方は,正直にその事実を記載しなければなりません。

とにかく重要なのは,“虚偽の事実を記載しないこと”です!

では最後に,次のチャプターでは,質問書の中で最も重要である「交際に至った経緯(いきさつ)」について,説明したいと思います。

4.結婚に至った経緯(いきさつ)とは?

質問2では,外国人配偶者(申請人)と初めて出会ってから結婚に至るまでのいきさつを,時系列に沿ってできるだけ具体的に記載します。

自作の交際経緯説明書をお持ち込み頂くお客様の中には,箇条書きの方法で記入をされている方もいらっしゃいます。
しかし,交際から結婚に至るまでの気持ちの変化を説明するためにも,当事務所では文章で書くことをオススメします。

とはいえ,時系列に沿って具体的に記載すると言っても,どこまで詳しく書けば良いのか分からない,という方もいらっしゃるかと思います。
そこで,ここからは結婚に至った経緯(いきさつ)に記載すべき内容を,3つに分けて解説していきたいと思います。

では1つ目,まずは「外国人配偶者と出会い,交際至るまでの経緯」を記載しましょう。
外国人配偶者(申請人)と,いつ,どこで,どのように出会い交際に至ったのかを,日付も入れて具体的に書きましょう。特に,外国人配偶者(申請人)とどのように出会ったかは,婚姻の信ぴょう性を審査する上で特に重要になります。

次に2つ目,「交際してから結婚に至るまでの経緯」を記載しましょう。
交際を開始してから結婚に至るまでの経緯を,当時の心情の変化なども交えながら説明しましょう。また,その際には,旅行やプロポーズといった,2人にしか語り得ない具体的なエピソードも盛り込むと有効です。この部分については,交際を開始してから結婚するまでの期間が短い人ほど,より詳細に説明する必要があります。

そして最後に3つ目,「生計基盤」について記載しましょう。
配偶者ビザの申請では,結婚の信ぴょう性と同時に,日本で安定して生活することができるだけの生計基盤の有無が審査されます。そのため,経済基盤についても文章化をして記載をしておきましょう。
(質問書上の)配偶者側が,正社員として安定した収入を得ている場合は,在職の事実や,勤務状況,収入状況について説明することで,夫婦で経済的に安定して生活できることの説明は難しくないでしょう。しかし,「配偶者」側がアルバイトであったり,就職して間もないといった事情がある場合には,入管からは生計面が安定していないと判断される可能性が高いです。その場合は通常の書類・説明では足りませんので,個々の対応が必要となります。

以上が,おおまかな交際経緯説明書の書き方の説明です。

上記で説明した事項は,交際経緯説明書に最低限記載するポイントです。

本当の結婚であっても,交際開始から結婚までの期間が短い方や,結婚相談所や出会い系アプリでお相手と出会った方などは,それだけで通常よりも婚姻の信ぴょう性を疑われてしまいます。
そのため,交際経緯説明書には,上記に加えて,お互いの長所,共通の趣味,友人への紹介,将来の家族計画など,交際状況をより詳細に記載する必要があることも覚えておきましょう。

また,しつこいようですが,交際経緯説明書にも,必ず“事実のみ”を記載してください。たとえば,出会い系アプリで出会ったのにも関わらず,その事実を記載せず虚偽の事実を記載することは絶対にしてはいけません。
交際経緯説明書に書かれた内容で,事実では無い場合が判明した場合,配偶者ビザの申請が不許可になる可能性が非常に高くなります。
大切なパートナーのためにと思ってしたことが,かえって二人を引き裂いてしまっては元も子もありません。慎重な対応を心がけましょう。

5.配偶者ビザに添付する質問書のポイントのまとめ

以上が,配偶者ビザにおける質問書,及び,その重要な項目の記載方法の説明でした。

当社に依頼されたお客様で,過去の申請の際,質問書に虚偽の事実を書いてしまったことが原因で2回続けて不許可になってしまった方がいらっしゃいました。
そのお客様は,悪意をもって虚偽の事実を書いたのではなく,曖昧な記憶のまま質問書に記載してしまったことが原因だったようです。

当社の対応としては,過去2回の質問書に記載した事実が間違いだったことに加えて,今回提出した質問書に記載されていることが真実であることを詳細に記載しました。さらに,それを裏付ける資料を提出することで,3回目の申請でようやく配偶者ビザを取得することが出来ました。

このように,質問書はとても重要な参考資料です。本コラムが,皆様の質問書の重要性への気付きや,質問書の書き方のご参考になれば幸いです。

当社では書類は全て,お客様から十分にヒアリングを行った上で作成しております。自分で文章を書けるか不安な方や,どうやって書けばいいのか分からない方がいらっしゃいましたら,その際にはビザの申請を含めお気軽に当社までご相談くださいませ。

この記事の監修者

行政書士法人第一綜合事務所

行政書士 依田 隼弥

・日本行政書士会連合会(登録番号第24081844号)
・東京都行政書士会(会員番号第15335号)
山梨県出身。東京オフィスに所属し,外国人ビザ申請,国際結婚手続き,永住権取得など国際業務を専門としている。

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