コラム

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配偶者ビザの再申請の方法

1.配偶者ビザの審査はどのように行われる? 配偶者ビザとは,日本人もしくは永住者等と婚姻関係にある外国籍の配偶者の方に対し,一定の要件を満たす場合に日本への在留を認めるビザです。 ですから配偶者ビザは結婚すれば必ず認められるわけではありません。 入管は,関係法令をはじめ,ビザの申請人から提出された資料に沿って審査を行います。 入管の審査には,全国統一の基準である「審査要領」があります。 審査要領に則った基準が「審査基準」と呼ばれます。 入管の審査基準をクリアすれば,配偶者ビザの許可の可能性は高くなります。 逆に言えば審査基準に当てはまらなければ配偶者ビザが認められないことになります。 もっとも,この審査要領には,私たちが見られる公開審査要領と,見ることのできない非公開審査要領と言われるものがあります。 そして,非公開審査要領の方に,配偶者ビザ許可の審査ポイントが多く記載されています。 ですから,配偶者ビザの再申請には,この審査要領を読み解く力が必要不可欠です。 しかしながら,審査要領のほとんどは黒塗りになっていますので,弊社が考えるポイントを挙げてみます。 それは「実体ある婚姻生活」と「日本での生活の安定性」です。 入管の審査で重要なのは ①法的に「婚姻」関係にあるか? 内縁関係の配偶者は配偶者ビザの対象には含まれません。また,原則として日本人と配偶者の母国双方の法律に照らして婚姻が成立しているかも問われます。 「法の適用に関する通則法」24条では,「婚姻の成立は、各当事者につき、その本国法による」と定められています。同条3項では「当事者の一方の本国法に適合する方式は、有効とする」。「ただし、日本において婚姻が挙行された場合において、当事者の一方が日本人であるときは、この限りでない」とあります。つまり,外国籍の配偶者の国の法律をもって「婚姻」は成立するが,「日本で」夫婦として生活する場合は,日本の法律で婚姻が成立しなければ,日本では結婚した夫婦とは言えないということです。 従って,双方の国で法的に婚姻が成立していなければ日本では無条件に配偶者ビザは許可されないことになります。 ②実質的に「互いに協力・扶助し合い,社会通念上の夫婦の共同生活を営むという婚姻の実態が伴っているか」が問われます(平成14年最高裁判決)。 一言で言えば,継続性をもって「ほんとに夫婦として暮らすの?」ということが問われるのです。 ③日本で安定した生活が送れるか? 配偶者ビザにおいては,継続的に夫婦生活が送ることが求められますが,夫婦として共同生活を送るには,当然生活費となるお金が必要です。 したがって,どのようにして夫婦の生活費を賄うのかが審査において問われることになります。 実務上は細かな判断基準があります。詳しくは以下のコラムをご覧ください。 配偶者ビザ 不許可 はコチラ 2.配偶者ビザが認められなかった場合の再申請までの道のり 「配偶者ビザを申請したのに認められなくてがっかりです。再申請すれば許可が取れますか?」と,よくご相談を頂きます。 このようなご相談に対して,私達はすぐに回答することができません。 それは,お客様がなぜ,配偶者ビザの許可が認められなかったのか,理由が明確になっていないからです。 配偶者ビザの許可が認められなかったとしたら,必ず理由があります。 最初に行うことは「なぜ入管は配偶者ビザを認めなかったのか」という理由の把握です。 まずは配偶者ビザの申請を行った入管に出向き,配偶者ビザが認められなかった理由を尋ねて明らかにする必要があります。 法務省は「入国・在留に係る処分にあたっての留意事項」(平成16年10月1日・法務省管在5964号)という通達を出しています。 一部を抜粋しますと,「不利益処分を行うに当たっては,法令の定めるいずれの要件に適合しないかを明示しなければならない」との記載があります。 つまり入管は,不利益処分(本コラムの場合は配偶者ビザを許可しなかったこと)について理由を説明する義務があるのです。 しかし,入管への聴取には何点か注意事項があります。 ①入管への理由聴取は原則1度しかできない。 入管での理由聴取は申請を行った入管局で対面にて行います。電話やメールでの問い合わせは一切できません。…

技能実習生と結婚して配偶者ビザを取る方法|必要書類,流れ,注意すべきポイントを解説

1.技能実習制度とは? ここ最近,新聞やテレビの報道等から“技能実習”という言葉を耳にする機会が増えているのではないでしょうか。 しかし,具体的にどのような制度なのかをご存じの方は少ない印象です。 では,技能実習制度とは,どのような制度なのでしょうか。 厚生労働省のホームページによると, 「我が国が先進国としての役割を果たしつつ国際社会との調和ある発展を図っていくため,技能,技術又は知識の開発途上国等への移転を図り,開発途上国等の経済発展を担う「人づくり」に協力することを目的としております。」と記載されています。 わかりやすく言うと,技能実習生には日本で技能・技術・知識を学んでもらい,日本で学んだ技能等を母国に持ち帰って,母国の経済発展を担ってもらうことが技能実習制度の趣旨ということです。 そのため,技能実習ビザは一般的な就労ビザとは異なり,技能実習過程を修了した後は母国へ帰り,学んだ技術や知識を教えたり,移転させる必要があるのです。 このような事情から,技能実習ビザは,技術の移転を願う送出機関と呼ばれるところや,その外国人の受け入れに協力してくれる日本の監理団体,実習実施機関など,様々な機関との関わりが強いビザということができます。 そして,配偶者ビザとの関係で重要な視点は,技能実習ビザは母国へ帰国することを想定しているということです。 技能実習ビザから他のビザへの変更が難しいと言われるのは,前記の通り技能実習ビザが母国への帰国を前提としているからなのです。 2.増加する技能実習生との国際結婚 2022年6月末に公表された出入国在留管理庁の統計によると,日本には技能実習生が32万人以上いると示されています。 参照:法務省 出入国在留管理庁 厚生労働省 人材開発統括官 技能実習ビザは,最も多い永住ビザに次ぐ在留人数です。 そして,技能実習生の国別の内訳を見ていくと,ベトナムが半数以上を占め,次にインドネシア,中国,フィリピンの順となっています。 参照:法務省 出入国在留管理庁 厚生労働省 人材開発統括官 本ページをご覧いただいている方の中にも,職場や取引先で外国人の方々を見かけたり接する機会は少なからずあるのではないでしょうか。 コロナ禍にあっても,なお在留人数の多さを誇る技能実習ビザ。 上記の在留データからもわかるとおり,技能実習生と日本人が出会い,結婚をするという事例が増えていることは容易に想像することができます。 一方で,何とか日本に残りたいという思いから,配偶者ビザを得るための便法として,国際結婚という手段を選ぶ技能実習生がいるのも事実です。 もちろん,このような真意に基づかない国際結婚は認められるべきではありません。 入管側もどんな在留資格であろうと,このような違法な在留を認めるべきではないと,目を光らせて審査しています。 次のチャプターでは,技能実習生が国際結婚して配偶者ビザへ変更する場合や一度帰国した元技能実習生が配偶者ビザを取得する場合, どのような点に気を付けて準備を進めていくべきか具体的に見ていきましょう。 3.技能実習生と結婚しても配偶者ビザに変更できない? 上記の1.技能実習制度とは?で説明した通り,技能実習生は母国へ帰ることが予定されています。 そのため,原則的には入管は技能実習ビザから他のビザへの変更を想定していません。 しかし,技能実習ビザからのビザ変更を入管は一律不許可にしているのかというと,そういう訳でもないのです。 例えば,技能実習生もしくはその配偶者が妊娠している場合や,すでに子どもを出産している場合など,夫婦(家族)の実体を総合的に判断し,法務大臣の裁量のもと技能実習ビザから配偶者ビザへの在留資格変更許可が認められる可能性があるのです。 では,どのようなケースで技能実習生からのビザ変更が認められているのか,場面分けをして具体的に見ていきましょう。 【技能実習中の場合】 技能実習中の場合には,先に説明した監理団体や実習実施機関において,母国での技術移転が難しくなることを背景に,在留資格変更許可申請に際して,技能実習ビザから配偶者ビザに変更することについて同意書を求められるのが一般的です。 場合によっては,海外の送出機関からの同意書を求められることもあります。…

ベトナム人との国際結婚|手続きの流れ,要件,注意点を専門家が解説

1.国際結婚とは? 国際結婚とは,その人が国籍を持つ国(日本人であれば日本ですね)以外の国(本稿ではベトナム)での結婚手続きが発生する結婚のことを言います。 ざっくり言うと,日本で日本人同士がする結婚以外の婚姻はすべて国際結婚なのです。 日本とベトナムのように国籍が違う人同士の結婚のほか,例えば日本人同士が海外で結婚すること,外国人同士が日本で結婚することも国際結婚の一類型です。 ①国際結婚の成立のために必要なこと 国際結婚の成立には,原則として各当事者の国籍国の法律で結婚が有効であることが必要です。 結婚に関する法律(婚姻条件)は世界各国で異なります。 ですから,ある国の法律で結婚が認められても,別の国の法律では認められないということも起こってしまうのです。 日本人同士が日本で結婚する時には,日本の役所は双方の戸籍に記載された情報から「双方が日本の法律上婚姻要件を満たしているか否か?」が判断できます。 しかし,例えば日本人とベトナム人が結婚する場合,あるいは日本で外国人同士が結婚手続きをする場合など,日本の役所では「あなたは婚姻要件を満たしていますか?」と確認をすることができません。 外国籍の方の婚姻届が提出されるたびに,日本の役所がその国の法律を調べて婚姻条件を満たしているか審査するなどということは現実的ではありませんよね? そこで必要になるのが,その国の政府が発効する「婚姻要件具備証明書」です。 簡単に言えば,ある国の法的な婚姻条件に照らし「この人は結婚できますよ」(婚姻できる年齢に達していること,独身であることなど)と証明する書類です。 発行国によっては「独身証明書」などと言われることもありますが,独身であるだけでなく,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていることが明らかになるものであれば,基本的には婚姻要件具備証明書と考えていただいて差支えありません。 国際結婚手続きのポイントは,結婚手続きをする国が自分の国籍国ではない方が,この婚姻要件具備証明書を取得しなければならないことです。 もっとも,婚姻要件具備証明書が発行されない国もありますので,国際結婚手続きを進める場合,婚姻要件具備証明書の発行可否は事前に確認することをおすすめいたします。 もう一点,日本人同士が日本で結婚する場合は,婚姻届が受理されれば自動的に双方の戸籍に「二人は結婚した」ということが記載され,法的に婚姻関係にあることが証明されます。 しかし国際結婚の場合,日本で結婚が法的に成立したとしても,日本の役所がそのことを外国の役所に通知して法的に処理されることはありません。逆も同じです。 ですから,特に国際結婚を考えている二人の片方もしくは両方が,結婚後は手続きをした国以外で暮らすことを考えているのであれば,ある国で国際結婚手続きをしたら,もう一方の国に「私達は結婚しました」と届け出る必要があります。 これが国際結婚手続きのもう一つのポイントです。 ②日本,ベトナム 婚姻要件の違い では,ベトナム人の婚姻要件はどうなっているのか? ベトナムの婚姻要件は 婚姻可能な年齢=男性満20歳以上,女性が満18歳以上。年齢によって父母の同意が求められることはありません 結婚の目的が問われます。ベトナム出国などを目的とした偽装結婚は禁止です 同性婚・既婚者との結婚はできません 再婚禁止期間の定めはありません などです。 日本と異なる点もありますので,参考にしてください。 例えば,ベトナムの法律には再婚禁止期間の定めはありません。 ただし,日本で婚姻手続きを行う場合は,日本の民法の再婚禁止期間が適用され,前婚の解消又は取消の日から100日を経過していることが要件とされています。 もっとも,ベトナム人女性が妊娠していないという医師の診断書を提出することによって100日を経過していない場合でも結婚することができます。 ③日本,ベトナム どちらを先にするべき? 日本人とベトナム人が結婚を考えている場合,日本とベトナム,どちらの国で先に手続きをすればよいのか? それが国際結婚を考えるお二人の関心事でしょう。 基本的には, 配偶者となるベトナム人がすでに日本で生活している場合先に日本→ベトナムで手続き 配偶者となるベトナム人がベトナムで生活している場合先にベトナム→日本で手続き…

配偶者ビザの申請で必要になる収入はいくら?

1.配偶者ビザ申請で収入が審査される理由 入管が配偶者ビザで審査する項目は,大きく分けると①婚姻の実体と②夫婦生活を送るための収入の有無の2つと言われています。 ①については,夫婦が結婚するまでの経緯や,結婚後の生活などを総合的に判断し,夫婦として同居し助け合いながら生活しているかの信憑性が判断されます。 詳しくは,配偶者ビザが不許可になる理由で解説していますので,ご覧ください。 ②については,ご夫婦の収入や資産状況を総合的に判断し,申請人(外国人配偶者)が日本に上陸後,公共の負担になることなく生活できるかということが判断されます。 なぜ,このような点が審査されるのかというと,配偶者ビザは日本に長期間在留するためのビザですので,その間,日本で生活するだけの収入(経済力)があるかを確認する必要があるからです。 そのため,「年収○○万円以上じゃないとダメ」という明確な基準はなく,各家庭の生活状況に即して判断されます。 なお,一概に収入と言っても給与や年金,不動産収入など種類があります。 収入面以外の配偶者ビザの申請方法については,配偶者ビザ申請 で詳しく記載していますので参考にしてみてください。 2.配偶者ビザ申請で収入として見てもらえるものは? それでは,入管が配偶者ビザの審査において,収入として見てくれるものを詳しく見てみましょう。 ① 給与収入・営業所得 給与は,皆さんが思うように勤務先から支給されるお給料のことです。 会社役員の方であれば役員報酬を指しますし,個人事業主の方であれば確定申告書B第一表の営業等利益を指します。 こちらを証明するには,一般的に直近年度の所得課税証明書を使用しますが,時期によっては源泉徴収票などで代用することもあります。 この給与収入について重要なことは,外国の給与であっても,外国で申告し,証明書等が取得できるのであれば入管は配偶者ビザの審査において収入として見てくれるということです。 例えば,外国にある会社でのリモートワークにより給与が支給されるのであれば,配偶者ビザで必要となる収入の基準をクリアする可能性は十分あります。 ② 預金 預金についても,日本だけに限定はされずに,海外でお持ちのものも含まれます。 預金を証明するためには,ひと昔前であれば銀行から残高証明書などを発行してもらっていました。 しかし,現在はネットバンク等が普及し,インターネット上で口座情報を確認出来るようになったため,口座情報が表示されている画面のスクリーンショットなどでも証明できるようになっています。 ③ その他 ①②の他には,年金や不動産収入のような定期的な収入や持ち家や有価証券などの資産も,生計基盤を形成する1つの要素として考慮してもらえます。 しかし,資産の中でも株式などの証券は上がり下がりがあるものなので,不安定な資産ということで,給与収入や預金に比べると評価はされません。 このように,入管は様々なものを収入として見てくれますが,実は審査するうえで,優先順位が存在します。 その優先順位は,先程紹介した順番(①→②→③)になります。 なぜ,このような優先順位が存在するかというと,中長期的に日本で生活するためには,預金などのように目減りするものではなく,定期的な収入がある方が良いと考えられているからです。 そのため,配偶者ビザの取得を考えられる方は,まずは,給与を始めとする定期的な収入があるか確認することをお勧めします。 3.配偶者ビザ申請における収入の判断方法 それでは,上記のように数多くある収入を,入管はどのように取り扱っているのでしょうか。 結論からいうと,配偶者ビザの審査において入管は申請人と同居する世帯構成員全員の合計収入で判断しています。 そのため,極端な話をしてしまえば,夫婦共に無職で収入がない場合でも,日本人配偶者の両親に収入があり,同居出来るのであれば,配偶者ビザ申請における収入要件を満たす可能性はあります。 ただし,世帯全員の合計収入を見たときに,世帯全員を養うことが出来ないような収入額では,配偶者ビザ申請を取得することが出来ない可能性が高まるということです。…

台湾人との国際結婚手続きを専門行政書士が解説!

1.国際結婚手続きの用語解説 本稿では,国際結婚手続きにおける専門用語を解説していきます。 以降の内容をご参照いただくにあたり必要となる前提知識ですので,ご一読の上,次の稿に進んでください。 ①国際結婚の成立とは? 国際結婚が有効に成立するには,双方の国籍国(本事例でいうと日本と台湾)において,法的に有効な婚姻関係にあることが原則必要とされています。 日本で先に結婚手続きを行うことを日本方式と言い,台湾で先に結婚手続きを行うことを台湾方式と言います。 ②婚姻要件具備証明書とは? 外国人が,日本方式の婚姻を有効に成立させるためには,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件(婚姻できる年齢に達していること,独身であることなど)を満たしていることが必要とされています。 もっとも,日本の市区町村役場で,外国人配偶者の国籍国の法律を全て審査することは現実的ではありません。 そこで,国際結婚実務においては,相手国が発給した婚姻要件具備証明書を提出することによって,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていると判断することにしているのです。発行国によっては,独身証明書などと言われることがありますが,独身であることのみならず,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていることが明らかになるものであれば,基本的には婚姻要件具備証明書と考えていただいて差支えありません。 なお,婚姻要件具備証明書を発行する条件や必要書類は,国によって異なり,そもそも婚姻要件具備証明書を発行していない国もあります。婚姻要件具備証明書を発行していない国の方との国際結婚においては,他の書類によって外国人配偶者が国籍国の法律に従って婚姻の成立要件を満たしていることを疎明することになります。比較的事例の多い国であれば,先例に従って判断されるのが戸籍実務ですが,事例の少ない国や先例のない国になると,相手国の法律から調査しなければならないこともあり,そうなると婚姻届を提出してから正式に受理されるまでに時間を要することもあります。 2.台湾人との国際結婚手続きで注意すること 台湾人と日本人との国際結婚手続きの際,ご注意いただきたい事項を下記に記載いたします。 ①婚姻要件具備証明書について 台湾は婚姻要件具備証明書が発行される国です。 日本方式で婚姻する際には,市区町村役場に婚姻要件具備証明書を原則提出しなければなりません。 ②台湾の領事事務について 1972年に日本国政府が中華人民共和国との国交を成立させましたが,台湾(中華民国)とは国としての国交を行っていないため,日本に台湾の大使館や領事館は存在しません。 もっとも,在日台湾人の領事事務を取り扱う機関が存在し,台北駐日経済文化弁事処という機関が在日台湾人の領事事務を取り扱っており,婚姻に際して在日台湾人の婚姻要件具備証明書の発行手続きを行っています。 また同様に,台湾に日本の大使館や領事館も存在しません。 在台湾日本人の領事事務は,日本台湾交流協会という機関が取り扱っています。 ③婚姻可能な年齢について 台湾人の婚姻可能な年齢は,男性は18歳以上,女性は16歳以上と法定されています。 ただし,未成年者(20歳未満)が婚姻をするには,法定代理人の同意を得なければならないとされています。 もっとも,法改正により2023年1月1日以降は,成人年齢が18歳に引き下げられ,婚姻可能な年齢も男女とも18歳になります。 ④再婚禁止期間について 台湾の民法には,再婚禁止期間は定められていません。 もっとも,日本法では女性は離婚後100日間の再婚禁止期間があり(妊娠していないことの医師の証明書を提出すれば離婚後100日未満でも禁止されません),この規定は台湾人女性との婚姻にも適用されます。 3.国際結婚手続きにおける必要書類(日本方式) 本題の国際結婚手続きについて解説していきます。 ここからは,日本人と台湾人が日本方式で婚姻をおこなう場合の必要書類を記載します。 ①台湾人配偶者の婚姻要件具備証明書の取得 まずは,日本にある台北駐日経済文化弁事処にて,台湾人配偶者の婚姻要件具備証明書を取得しましょう。 東京の本部の他に,札幌,横浜,大阪,福岡,那覇に分処があります。 <台湾人の方にご準備いただく書類> ・台湾の戸籍謄本 ・パスポート ・証明写真 なお,この後の手続きで必要になりますので,台湾の戸籍謄本を3通は用意しておきましょう。 ②日本の市区町村役場への婚姻届提出…

ウクライナ人との国際結婚手続きを専門行政書士が解説!

1.国際結婚手続きの用語解説 本稿では,国際結婚手続きにおける専門用語を解説していきます。 以降の内容をご参照いただくにあたり必要となる前提知識ですので,ご一読の上,次の稿に進んでください。 ①国際結婚の成立とは? 国際結婚が有効に成立するには,双方の国籍国(本事例でいうと日本とウクライナ)において,法的に有効な婚姻関係にあることが原則必要とされています。 日本で先に結婚手続きを行うことを日本方式と言い,ウクライナで先に結婚手続きを行うことをウクライナ方式と言います。 ②婚姻要件具備証明書とは? 外国人が,日本方式の婚姻を有効に成立させるためには,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件(婚姻できる年齢に達していること,独身であることなど)を満たしていることが必要とされています。 もっとも,日本の市区町村役場で,外国人配偶者の国籍国の法律を全て審査することは現実的ではありません。 そこで,国際結婚においては,相手国が発給した婚姻要件具備証明書を提出することによって,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていると判断することにしているのです。 なお,発行国によっては,独身証明書などと言われることがありますが,独身であることのみならず,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていることが明らかになるものであれば,基本的には婚姻要件具備証明書と考えていただいて差支えありません。 2.ウクライナ人との国際結婚手続きで注意すること ウクライナ人と日本人との国際結婚手続きの際,ご注意いただきたい事項を下記に記載いたします。 ①婚姻要件具備証明書について ウクライナは婚姻要件具備証明書が発行される国です。日本方式で婚姻する場合は,在日ウクライナ大使館に婚姻両当事者が出頭して婚姻要件具備証明書を取得することになるため,ウクライナ人配偶者の来日が必要になります。 ②婚姻可能な年齢について ウクライナ人の婚姻可能な年齢は,男性は18歳以上,女性は17歳以上と法定されています。 14歳以上の未成年者が婚姻することも可能ですが,その場合は裁判所の許可が必要になります。 ③再婚禁止期間について ウクライナの家族法には,再婚禁止期間は定められていません。もっとも,日本法では女性は離婚後100日間の再婚禁止期間があり(妊娠していないことの医師の証明書を提出すれば離婚後100日未満でも禁止されません),この規定はウクライナ人との婚姻にも適用されます。 3.国際結婚手続きにおける必要書類(日本方式) 本題の国際結婚手続きについて解説していきます。 ここからは,日本人とウクライナ人が日本方式で婚姻をおこなう場合の必要書類を記載します。 なお,提出先の市区町村役場によって若干の相違があるため,事前に役所照会することをお勧めいたします。 ①日本の市区町村役場において必要となる書類 <日本人の方にご準備いただく書類> ・婚姻届書(日本人同士の場合と同様のものです) ・本人確認資料(運転免許証又はパスポート等) ・戸籍謄本(本籍地以外に婚姻届を提出する場合) <ウクライナ人の方にご準備いただく書類> ・婚姻要件具備証明書※(日本語訳を添付) ・出生証明書(日本語訳を添付) ・パスポート ※ 在日ウクライナ大使館で取得が可能です。取得するには,ウクライナ人配偶者の出生証明書,独身証明書が必要になります。 ②ウクライナへの婚姻報告について 日本の市区町村役場で婚姻届が受理された後,戸籍謄本(婚姻事項が記載されたもの)と婚姻届受理証明書を外務省でアポスティーユ認証してもらい,夫婦揃って在日ウクライナ大使館に出頭し,婚姻の登録手続を行います。婚姻が登録されることにより,婚姻登録証明書が発行されます。通常はこの書類を入国管理局への申請の際に提出することになります。 4.国際結婚手続きにおける必要書類(ウクライナ方式) 次は,日本人とウクライナ人がウクライナ方式で婚姻をする場合についてです。 ウクライナ方式で婚姻手続きを行う際には,まず,日本人配偶者の書類の準備から始めます。…

ロシア人との国際結婚手続きを専門行政書士が解説!

1.国際結婚手続きの用語解説 本稿では,国際結婚手続きにおける専門用語を解説していきます。 以降の内容をご参照いただくにあたり必要となる前提知識ですので,ご一読の上,次の稿に進んでください。 ①国際結婚の成立とは? 国際結婚が有効に成立するには,双方の国籍国(本事例でいうと日本とロシア)において,法的に有効な婚姻関係にあることが原則必要とされています。 日本で先に結婚手続きを行うことを日本方式と言い,ロシアで先に結婚手続きを行うことをロシア方式と言います。 ②婚姻要件具備証明書とは? 外国人が,日本方式の婚姻を有効に成立させるためには,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件(婚姻できる年齢に達していること,独身であることなど)を満たしていることが必要とされています。 もっとも,日本の市区町村役場で,外国人配偶者の国籍国の法律を全て審査することは現実的ではありません。 そこで,国際結婚においては,相手国が発給した婚姻要件具備証明書を提出することによって,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていると判断することにしているのです。 なお,発行国によっては,独身証明書などと言われることがありますが,独身であることのみならず,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていることが明らかになるものであれば,基本的には婚姻要件具備証明書と考えていただいて差支えありません。 2.ロシア人との国際結婚手続きで注意すること ロシア人と日本人との国際結婚手続きの際,ご注意いただきたい事項を下記に記載いたします。 ①適用法について ロシアは連邦制を採用しておりますが,婚姻に関する事項は,政府が定める家族法に従うことになっています。もっとも,一部の婚姻要件については,地方自治体の立法により特別条項を設けることができるとされているため,ロシア方式に従った婚姻手続きを行う場合は,婚姻挙行地になる自治体の制度にも注意を払う必要があります。 ②婚姻要件具備証明書について ロシアは婚姻要件具備証明書が発行される国です。日本方式で婚姻する場合は,在日ロシア大使館に婚姻両当事者が出頭して婚姻要件具備証明書を取得することになるため,ロシア人配偶者の来日が必要になります。 ③婚姻可能な年齢について ロシア人の婚姻可能な年齢は,男女ともに18歳以上と法定されています。 なお,婚姻締結地の立法によって,女子の妊娠など特別事情がある場合は婚姻を許可することができるとされている場合もあります。 ④再婚禁止期間について ロシアの家族法には,再婚禁止期間は定められていません。 もっとも,日本法では女性は離婚後100日間の再婚禁止期間があり(妊娠していないことの医師の証明書を提出すれば離婚後100日未満でも禁止されません),この規定はロシア人との婚姻にも適用されます。 3.国際結婚手続きにおける必要書類(日本方式) 本題の国際結婚手続きについて解説していきます。 ここからは,日本人とロシア人が日本方式で婚姻をおこなう場合の必要書類を記載します。 なお,提出先の市区町村役場によって若干の相違があるため,事前に役所照会することをお勧めいたします。 ①日本の市区町村役場において必要となる書類 <日本人の方にご準備いただく書類> ・婚姻届書(日本人同士の場合と同様のものです) ・本人確認資料(運転免許証又はパスポート等) ・戸籍謄本(本籍地以外に婚姻届を提出する場合) <ロシア人の方にご準備いただく書類> ・婚姻要件具備証明書※(日本語訳を添付) ・国外パスポート ※ 在日ロシア大使館または領事館で取得が可能です。取得するには,ロシア人配偶者の国外パスポートと国内パスポートが必要になります。 ②ロシアへの婚姻報告について ロシアでは,外国の法律に則って行われた婚姻手続きは,ロシア国内でも法的に有効とみなされており,日本で成立した婚姻をロシア側に届ける制度が存在しません。そのため,日本で成立した婚姻を大使館・領事館に届ける必要はありません。したがって,日本方式で婚姻した場合は,ロシアの婚姻証明書は発行されません。 もっとも,日本で婚姻が成立した旨の証明書(婚姻届受理証明書)を大使館・領事館に提出すれば,婚姻を確認した旨の書類を発行してもらうことができ,通常はこの書類を入国管理局への申請の際に提出することになります。…

フランス人との国際結婚手続きを専門行政書士が解説!

1.国際結婚手続きの用語解説 本ページでは,国際結婚手続きにおける専門用語を解説していきます。 以降の内容をご参照いただくにあたり必要となる前提知識ですので,ご一読の上,次の項目に進んでください。 ①国際結婚の成立とは? 国際結婚が有効に成立するには,双方の国籍国(本事例でいうと日本とフランス)において,法的に有効な婚姻関係にあることが原則必要とされています。 日本で先に結婚手続きを行うことを日本方式と言い,フランスで先に結婚手続きを行うことをフランス方式と言います。 ②婚姻要件具備証明書とは? 外国人が,日本方式の婚姻を有効に成立させるためには,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件(婚姻できる年齢に達していること,独身であることなど)を満たしていることが必要とされています。 もっとも,日本の市区町村役場で,外国人配偶者の国籍国の法律を全て審査することは現実的ではありません。 そこで,国際結婚においては,相手国が発給した婚姻要件具備証明書を提出することによって,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていると判断することにしているのです。 なお,発行国によっては,独身証明書などと言われることがありますが,独身であることのみならず,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていることが明らかになるものであれば,基本的には婚姻要件具備証明書と考えていただいて差支えありません。 2.フランス人との国際結婚手続きで注意すること フランス人と日本人との国際結婚手続きの際,ご注意いただきたい事項を下記に記載いたします。 ①婚姻要件具備証明書について フランスは婚姻要件具備証明書が発行される国ですので,日本方式で婚姻を行う場合は,在日フランス大使館発行の婚姻要件具備証明書が必要になります。 ②婚姻可能な年齢について フランス人の婚姻可能な年齢は,男女ともに18歳です。 なお,女子が妊娠しているなど重大な理由がある場合は,検事の承認と父母の同意により,18歳未満の者でも婚姻が可能になる場合があります。 ③再婚禁止期間について フランスでは,再婚禁止期間は定められていません。 もっとも,日本法では女性は離婚後100日間の再婚禁止期間があり(妊娠していないことの医師の証明書を提出すれば離婚後100日未満でも禁止されません),この規定はフランス人との婚姻にも適用されます。 3.国際結婚手続きにおける必要書類(日本方式) 本題の国際結婚手続きについて解説していきます。 ここからは,日本人とフランス人が日本方式で婚姻をおこなう場合の必要書類を記載します。 なお,提出先の市区町村役場によって若干の相違があるため,事前に役所照会することをお勧めいたします。 ①フランス人の婚姻要件具備証明書の申請における必要書類 まずは,在日フランス大使館または領事館にて婚姻要件具備証明書(Certificat de Capacité à Mariage)を取得する必要があります。 大使館に当事者二人で出頭し,申請してください。申請から4~6週間ほどで婚姻要件具備証明書が発行されます(郵送受取可)。 <フランス人の方にご準備いただく書類> ・パスポートのコピー ・在留カードのコピー(在留カードをお持ちの場合) ・住所証明書(在留カードをお持ちでない場合) ・出生証明書 ・国籍証明書 <日本人の方にご準備いただく書類> ・パスポートのコピー…

ミャンマー人との国際結婚手続きを専門行政書士が解説!

1.国際結婚手続きの用語解説 本チャプターでは,国際結婚手続きにおける専門用語を解説していきます。 以降の内容をご参照いただくにあたり必要となる前提知識ですので,ご一読の上,次のチャプターに進んでください。 ①国際結婚の成立とは? 国際結婚が有効に成立するには,双方(本事例でいうと日本とミャンマー)の国籍国において,法的に有効な婚姻関係にあることが原則必要とされています。 日本で先に結婚手続きを行うことを日本方式と言い,ミャンマーで先に結婚手続きを行うことをミャンマー方式と言います。 ②婚姻要件具備証明書とは? 外国人が日本方式の婚姻を有効に成立させるためには,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件(婚姻できる年齢に達していること,独身であることなど)を満たしていることが必要とされています。 もっとも,日本の市区町村役場で,外国人の国籍国の法律を全て審査することは現実的ではありません。 そのため,国際結婚においては,国籍国の公的機関が発行する婚姻要件具備証明書を提出することによって,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていると判断することにしています。 なお,発行国によっては,独身証明書などと言われることがありますが,独身であることのみならず,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていることが明らかになるものであれば,基本的には婚姻要件具備証明書と考えていただいて差支えありません。 2.ミャンマー人との国際結婚手続きで注意すること ミャンマー人と日本人との国際結婚手続きの際,ご注意いただきたい事項を下記に記載いたします。 ①宗教によって適用法が異なる ミャンマーは信仰する宗教によって婚姻の際に適用される法律が異なり,法律ではなく慣習によって決まっているものもあります。ただし,ミャンマー人の90%が仏教を信仰しており,ここでは仏教徒に適用される法律に従って婚姻手続きを解説していきます。 ②婚姻要件具備証明書について ミャンマーには,婚姻要件具備証明書という名称の書類は存在しません。ただし,裁判所指定の公証弁護士が作成したファミリーリスト(戸主を中心とした居住関係を示すものですが,婚姻状況等の身分事項も記載されています。)及び独身証明書が,日本では婚姻要件具備証明書に相当する書類として扱われています。 ③婚姻可能な年齢について 以前は,「身体的に婚姻可能な年齢」が婚姻可能な年齢と定められ,裁判例によって男性は18歳以上,女性は16歳以上とされていましたが,2019年に法改正され,男女ともに18歳以上と定められることになりました。 ④再婚禁止期間について ミャンマーの法律には再婚禁止期間は定められていませんが,再婚禁止期間についてはミャンマー人女性についても日本民法が適用されることになります。すなわち,離婚したミャンマー人女性は,離婚後100日間は原則として再婚することができません。 3.国際結婚手続きにおける必要書類(日本方式) 本題の国際結婚手続きについて解説していきます。 ここからは,日本人とミャンマー人が日本方式で婚姻をおこなう場合の必要書類を記載します。 なお,提出先の市区町村役場によって若干の相違があるため,事前に役所照会することをお勧めいたします。 ①日本の市区町村役場において必要となる書類 <日本人の方にご準備いただく書類> ・婚姻届書(日本人同士の場合と同様のものです) ・本人確認資料(運転免許証又はパスポート等) ・戸籍謄本(本籍地以外に婚姻届を提出する場合) <ミャンマー人の方にご準備いただく書類> ・裁判所指定の公証弁護士が作成した独身証明書(日本語訳を添付)  ※ミャンマー外務省の認証が必要です。 ・裁判所指定の公証弁護士が作成したファミリーリスト(日本語訳を添付)  ※ミャンマー外務省の認証が必要です。 ・パスポート  ※ミャンマー人が在外にいる場合は,パスポートのコピーで代替可能です。 ②ミャンマーへの婚姻報告について ミャンマー側に婚姻の成立を報告していなくても,婚姻の効力が否定されるわけではありませんが,報告の制度は存在します。なお,日本にあるミャンマー大使館では手続きができませんので,夫婦そろってミャンマーに行く必要があります。手続きはミャンマー人配偶者の住所地を管轄する裁判所で行い,判事の面前で夫婦が宣言・署名した結婚宣言書が結婚証明書として扱われています。 4.国際結婚手続きにおける必要書類(ミャンマー方式)…