行政書士法人第一綜合事務所

【解決事例】技能実習生と国際結婚して配偶者ビザを取得する方法

ベトナム人女性Aさんは,技能実習生として来日しました。
Aさんは,同僚の日本人男性Bさんと出会い,交際を重ね,そして国際結婚するに至りました。
Bさんは,Aさんと結婚したものの,Aさんは技能実習生として来日しているため,実習課程を修了すると母国に帰らないといけない…という事は聞いていました。
しかしその一方で,国際結婚をした場合には,技能実習から配偶者ビザへの変更が認められているケースがある事も聞いていました。
Aさんとこのまま日本で暮らしたいと強く思うBさんは,配偶者ビザへの在留資格変更許可申請をして許可の可能性があるか尋ねるため,当社にご相談に来られました。
本ページでは,技能実習生と国際結婚して配偶者ビザを取得する方法について記載していきます。

1.増加する技能実習生との国際結婚

2019年6月現在,日本には技能実習生が28万人以上いるといわれています。
本ページをご覧いただいている方も,以前に比べて外国人の方々を見かける機会が増え,また接する機会も増えたと感じられているのではないでしょうか。
そんな中,技能実習生と日本人が出会い,結婚をするという国際結婚事例も増えています。

一方で,何とか日本に残りたいという思いから,配偶者ビザを得るための便法として,国際結婚という手段を選ぶ技能実習生がいるのも事実です。
もちろん,このような偽装,仮装の国際結婚は認められるべきではありません。
入管審査でもこのような違法な在留を認めるべきではないと,目を光らせて審査しています。
もっとも,配偶者ビザが真正なものか否かは,内心の問題であって,真実性の確認は容易ではありません。
このような玉石混合の中,出入国在留管理局はどのように審査しているのでしょうか。

技能実習生が国際結婚して配偶者ビザする場合, どのような点に気を付けて準備を進めていくべきか見ていきましょう。

2.技能実習制度とは

技能実習という言葉を聞いたことがある方は多くいらっしゃると思いますが,具体的にどのような制度なのかをご存じの方は少ないのではないでしょうか。

厚生労働省のホームページによると,「外国人技能実習制度は,我が国が先進国としての役割を果たしつつ国際社会との調和ある発展を図っていくため,技能,技術又は知識の開発途上国等への移転を図り,開発途上国等の経済発展を担う「人づくり」に協力することを目的としております。」と記載しています。

つまり,技能実習生には日本の技能・技術・知識を学んでもらい,日本で学んだ技能等を母国に持ち帰って,母国の経済発展を担ってもらうことが技能実習制度の趣旨です。

そのため,技能実習過程を修了した後は,母国へ帰ることが前提と解されます。

それでは,技能実習生が母国に帰らずに,配偶者ビザへの変更許可申請をすることは認められていないのでしょうか。
技能実習制度の趣旨に鑑みて,技能実習生からの在留資格変更許可申請を一律不許可としているのでしょうか。

次からのチャプターで具体的に見ていきましょう。

3.国際結婚しても技能実習生の配偶者ビザ申請は入管法で禁止されている!?

技能実習の趣旨からもわかるとおり,技能実習生は母国へ帰ることが予定されています。
そのため,原則的には技能実習からの在留資格変更許可申請は,本来は想定していません。

例外的に,技能実習生の配偶者が妊娠をしている場合や,すでに子どもを出産しているなど,人道的な配慮が必要なケースで,技能実習から配偶者ビザへの変更許可が認められる可能性はあります。

では,どのようなケースで認められているか,場面分けをして具体的に見ていきましょう。

【技能実習中の場合】
この場合には,監理団体,実習実施機関において,技能実習から配偶者ビザに変更することについて同意書を求められるのが一般的です。
場合によっては,海外の送出機関からの同意書を求められるケースもあります。

仮に,監理団体,実習実施機関,送出機関から,同意書が取得できない場合には,技能実習から配偶者ビザに変更することは難しくなるでしょう。つまり,技能実習中の場合には,監理団体,実習実施機関,送出機関から在留資格変更にかかる承諾書が取得できるかが分水嶺になるとお考えください。

【技能実習修了後の場合】
技能実習計画を修了している場合には,修了証が求められます。
修了証が発行されない場合には,これに代わる代替書面を提出します。
技能実習を良好に修了していないと入管に判断されれば,技能実習ビザから配偶者ビザの変更は難しくなります。
また,技能実習修了後であっても,監理団体,実習実施機関,送出機関から在留資格変更にかかる承諾書を取得できる場合には,配偶者ビザの申請に添付することをお勧めします。

このように,国際結婚した場合であっても,技能実習生の配偶者ビザ申請には,通常とは異なる書面が求められています。

なお,技能実習中,技能実習修了後のいずれであっても,国際結婚すること自体に制約はありません。
しかし,後のトラブルを避ける意味でも,監理団体,実習実施機関,送出機関には,国際結婚することを報告しておく方が賢明です。

4.技能実習中の活動内容は配偶者ビザに影響あり?

配偶者には母国に一時帰国してもらい,その後,日本に呼ぶ手続きを選択しても,「技能実習課程を良好に修了したかどうか」という点をしっかり把握する必要があります。

入管の審査では,在留資格認定証明書交付申請を行う際も,過去の在留状況が審査に影響を及ぼします。
そのため,技能実習課程を修了しているかどうかは,配偶者ビザを取得するにあたって非常に重要なポイントです。

一方で,技能実習を途中で辞めた方,逃げ出した方はどうなるのでしょうか。将来を共に誓い合っても,技能実習を途中で辞めた,逃げ出したことを理由に,配偶者ビザは取得できないのでしょうか。

上記に記載のとおり,入管の審査では過去の在留状況も審査に影響があります。
そのため,技能実習を途中で辞めた方,逃げ出した方は,通常に比べ,厳格に審査されることになります。

そのため,この点をフォローしないと配偶者ビザの不許可リスクは高まります。

5.今回の技能実習生が国際結婚して配偶者ビザを取得するまでの道のり

今回の事例は,ご夫婦から話を聞くと,特に奥様が現状妊娠しているという事情は無いものの,十分な交際を経て婚姻に至ったことがわかりました。
また,ご夫婦のお話や立証資料を見て,真実の結婚であると確証を持つに至りました。
そのため,ご夫婦の希望のとおり帰国することなく,技能実習生から配偶者ビザへの変更申請を行うことにしました。

監理団体や実習実施機関への説明は,技能実習生であるベトナム人女性Aさんから行いました。
しかし,監理団体の方,実習実施機関の方からの理解を得られなかったため,当社担当の行政書士から詳細な説明を行いました。
その結果,監理団体の方,実習実施機関の方からのご理解を共に得ることができたことから,同意書を添付して配偶者ビザ申請に至りました。

その後,無事に配偶者ビザを取得し,現在は夫婦仲良く日本で生活しておられます。

本事例のように,帰国することなく技能実習ビザから配偶者ビザへ変更できるケースもありますが,監理団体や実習実施機関からの理解を得られない場合には,一時離れ離れになることを強いられることもあります。

そういった意味では,監理団体や実習実施機関への説明も極めて重要です。
基本的には,ご本人様で説明する方が良いと思いますが,監理団体や実習実施機関の方の理解を得られない時には,本事例のように行政書士から説明することも一つの手段です。
ここでエラーが生じると,離れる期間が長期化するなど,その代償は計り知れません。
そのため,計画的,かつ慎重な判断が求められます。

6.技能実習生と国際結婚して配偶者ビザを取得する方法のまとめ

本ページでは,技能実習生と配偶者ビザとの関係についてご紹介しました。

技能実習生の配偶者ビザは,通常よりも難しくなる?
技能実習先を途中で辞めてしまった場合には配偶者ビザは取得できない?
帰国することなく技能実習生は配偶者ビザに変更できない?

本ページの記載をまとめると,以下のようになります。

  • 技能実習生との国際結婚事例は年々増加している
  • 技能実習生の偽装結婚も増加しているので,配偶者ビザの入管審査は通常よりも厳しい
  • 技能実習ビザから配偶者ビザへの変更も可能(ただし条件あり)
  • 妊娠や出産が迫っている場合は,技能実習から配偶者ビザへの変更が認められる可能性が高くなる
  • 技能実習ビザから配偶者ビザへの変更は,監理団体,実習実施機関等の同意書が必要
  • 途中で技能実習を辞めた,あるいは逃げ出した場合には,配偶者ビザ取得が難しくなる
  • 条件が整わない場合には,一度帰国をして配偶者ビザを申請した方が良い

このように,技能実習生から配偶者ビザの申請する場合は,ケースバイケースで多くの検討を要します。
また,監理団体や実習実施機関等への説明を間違えると,協力を取り付けられない場合もあります。ご本人様だけでは監理団体との話が進まない事例も散見されますので,技能実習から配偶者ビザへの変更を希望される場合には,専門家を入れて検討されることを強くお勧めします。

配偶者ビザは特に失敗が許されないビザの一つです。
ご夫婦の希望が叶うよう,本ページがご参考になれば幸いです。