【2026年最新】フランス人との国際結婚の手続きと必要書類を行政書士が解説

フランスは親日国の一つで、両国間の文化交流も盛んにおこなわれています。
国際結婚のお相手の国としてフランスは珍しい国ではなく、2026年6月末時点でフランス国籍の配偶者ビザ(日本で夫婦として暮らすための在留資格)保持者は2,623人もいらっしゃいます。しかし、インターネットではあまり情報が出回っていない印象を受けます。
そこで、本コラムでは、日本人とフランス人との国際結婚手続きについて、国際業務専門の行政書士が解説します。
Index
1.国際結婚手続きの用語解説
この段階では、国際結婚手続きにおける専門用語を解説していきます。
以降の内容をご参照いただくにあたり必要となる前提知識ですので、ご一読の上、次の項目に進んでください。
①国際結婚の成立とは?
国際結婚が有効に成立するには、双方の国籍国(本コラムでいうと日本とフランス)において、法的に有効な婚姻関係にあることが原則必要とされています。
日本で先に結婚手続きを行うことを日本方式と言い、フランスで先に結婚手続きを行うことをフランス方式と言います。
どちらの方式を選んでも、最終的には日本とフランスの両方の国に届出を行う必要があります。先に手続きをして婚姻を成立させる方を「創設的届出」、その後にもう一方の国へ報告する手続きを「報告的届出」と呼び、この二つの手続きが両方完了して初めて、双方の国で正式な夫婦となるのです。
②婚姻要件具備証明書とは?
外国人が、日本方式の婚姻を有効に成立させるためには、国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件(婚姻できる年齢に達していること、独身であることなど)を満たしていることが必要とされています。
もっとも、日本の市区町村役場で、外国人配偶者の国籍国の法律を全て審査することは現実的ではありません。
そこで、国際結婚においては、相手国が発給した婚姻要件具備証明書を提出することによって、国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていると判断することにしているのです。
なお、発行国によっては、独身証明書などと言われることがありますが、独身であることのみならず、国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていることが明らかになるものであれば、基本的には婚姻要件具備証明書と考えていただいて差支えありません。
③アポスティーユとは?
国際結婚の手続きを進める上で、非常によく登場するのが「アポスティーユ」という言葉です。
アポスティーユとは、日本の市区町村役場で発行された戸籍謄本などの公文書に対して、「この書類は日本政府が認めた本物の公文書である」ということを外務省が国際的に証明する外務省の公印確認手続きのことです。
日本が締結している「ハーグ条約」の加盟国(フランスを含む)に書類を提出する場合、日本の外務省でアポスティーユを取得しておけば、現地の駐日大使館での複雑な領事認証の手続きを経ることなく、そのまま相手国の役所に有効な公文書として提出することができます。
2.フランス人との国際結婚手続きで注意すること
フランス人と日本人との国際結婚手続きの際、ご注意いただきたい事項を下記に記載いたします。
①婚姻要件具備証明書について
フランスは婚姻要件具備証明書が発行される国ですので、日本方式で婚姻を行う場合は、在日フランス大使館発行の婚姻要件具備証明書が必要になります。
②婚姻可能な年齢について
フランス人の婚姻可能な年齢は、男女ともに18歳です。
なお、女子が妊娠しているなど重大な理由がある場合は、検事の承認と父母の同意により、18歳未満の者でも婚姻が可能になる場合があります。
③再婚禁止期間について
フランスでは、再婚禁止期間は定められていません。
日本でも、2024年4月の法改正により、再婚禁止期間の制限なく婚姻届を提出できます。よって男女ともに、離婚後いつでも制限なく婚姻届を提出することが可能です。
④フランス特有の「民事婚」について
フランス人と国際結婚をする上で、根本的な制度の違いとして知っておくべきなのが「民事婚(Mariage civil)」の原則です。
フランスは厳格な政教分離の国であり、法律上の婚姻はすべて、市役所(Mairie)において公務員の前で宣誓を行う「民事婚」でなければ有効になりません。日本のように「婚姻届を提出するだけ」で結婚が成立する仕組みとは異なり、フランス現地では市役所での挙式手続きそのものが法律婚となります。
なお、教会(チャペル)などで行われる宗教的な結婚式には法的な効力が一切ありません。フランス方式で手続きを進める場合は、必ずこの「民事婚」のステップを踏む必要があることを覚えておきましょう。
⑤「PACS(民事連帯契約)」について
フランスには、婚姻(結婚)に準じる法的関係として「PACS(民事連帯契約)」という特有の制度があります。共同生活を送る上での権利や義務が認められるため、フランス国内では広く利用されている制度です。
しかし、日本での共同生活や、日本での配偶者ビザの取得を視野に入れている場合は注意が必要です。日本の法制度上、PACSは正式な法律婚としては認められないため、PACSの身分のままでは配偶者ビザを取得することができません。そのため、最終的に日本を拠点にする予定がある場合は、PACSではなく、双方の国で正式な法律婚(婚姻手続き)を行うのが一般的かつ確実な選択肢となります。
⑥夫婦財産契約(Contrat de mariage)について
フランスには、結婚前に夫婦の財産をどう扱うかを公証人のもとで契約する「夫婦財産契約」という重要な制度があります。
国際結婚の場合、結婚後にフランスに住む(または将来移住する可能性がある)ケースにおいて、この契約をしないと自動的にフランス法の法定財産制(結婚後に得た財産は原則共有)が適用されてしまいます。日本に住む場合は日本の法律(別産制:財産は各自のもの)が原則適用されますが、将来のフランス移住の可能性や日仏にまたがる資産のトラブルを防ぐため、事前に財産の扱いについて話し合っておくカップルが多いです。
⑦結婚後の「苗字(姓)」について
フランスでは、結婚しても法律上の姓(旧姓)は変わりません。ただし、日常生活やパスポート等の表記において、配偶者の姓を名乗る権利(Nom d’usage:使用姓)が認められています。日本側の戸籍上の名字をどうするか(そのままか、フランス人の姓に変えるか)も含めて、事前の確認が必要です。
⑧提出書類・届出の「3ヶ月ルール」について
フランスとの国際結婚手続きを進めるにあたり、注意すべきなのが「3ヶ月ルール」です。
まず、各種手続きのために日本国内から取り寄せる「戸籍謄本」などの公文書は、すべて発行から3ヶ月以内の原本でなければ日仏双方の役所や大使館で受け付けてもらえません。準備に時間をかけすぎると期限切れになるため注意が必要です。
また、フランス方式で婚姻が成立した後に、日本側(大使館または日本の役所)へ行う「報告的届出(婚姻届)」の提出期限も婚姻成立日から3ヶ月以内と法律で厳格に定められています。期限を過ぎると遅延理由書の提出が必要になるため、結婚後は速やかに次の手続きへ移るようにしましょう。
3.先に日本で国際結婚手続きをする場合【日本方式】
本題の国際結婚手続きについて解説していきます。
ここからは、日本人とフランス人が日本方式で婚姻をおこなう場合の必要書類を記載します。
日本方式では、日本の市区町村役場への届出が「創設的届出」となり、その後に在日フランス大使館へ行う手続きが「報告的届出」となります。
なお、提出先の市区町村役場によって若干の相違があるため、事前に役所照会することをお勧めいたします。
①フランス人の婚姻要件具備証明書の申請における必要書類
まずは、在日フランス大使館または領事館にて婚姻要件具備証明書(Certificat de Capacité à Mariage)を取得する必要があります。
大使館に当事者二人で出頭し、申請してください。
大使館への訪問は完全予約制となっていることが多いため、必ず事前にホームページ等で予約を取るようにしてください。
申請から4~6週間ほどで婚姻要件具備証明書が発行されます(郵送受取可)。
- パスポートのコピー
- 在留カードのコピー(在留カードをお持ちの場合)
- 住所証明書(在留カードをお持ちでない場合)
- 出生証明書
- 国籍証明書
- パスポートのコピー
- 戸籍謄本
※発行から3ヶ月以内のもの。日本の外務省でアポスティーユを受けてください。 - 戸籍謄本のフランス語訳文
②日本の市区町村役場において必要となる書類
婚姻要件具備証明書を取得した後は、日本の市区町村役場に婚姻届を提出します。
婚姻届が受理された時点で婚姻が成立します。
- 婚姻届書(日本人同士の場合と同様のものです)
- 本人確認資料(運転免許証又はパスポート等)
- 戸籍謄本
※2024年3月の戸籍法改正により、日本国内の市区町村役場への婚姻届提出時における戸籍謄本の添付は原則不要となりました。ただし、本籍地の正確な記載が必要なため、事前に確認しておくか、念のため用意しておくと安心です。
- ①で取得した婚姻要件具備証明書及び日本語訳文
- パスポート
③フランスへの婚姻報告について
婚姻届が受理された後、在日フランス大使館に婚姻の報告手続きを行います。
概ね2ヶ月程度で、婚姻証明書(copie integrale d’acte de mariage)と家族手帳(Livret de Famille)が交付されます(郵送受取可)。
- 婚姻届記載事項証明書
※発行から3ヶ月以内のもの。日本の外務省でアポスティーユを受けてください。 - 婚姻届記載事項証明書のフランス語訳文
4.先にフランスで国際結婚手続きをする場合【フランス方式】
次は、日本人とフランス人がフランス方式で婚姻をする場合についてです。
フランス方式の場合は、日本方式の場合とは反対に、在フランス日本大使館または領事館にて日本人の必要書類を取得するところから始まります。
フランス方式では、フランスの市役所での婚姻手続きが「創設的届出(婚姻を成立させる手続き)」となり、その後3ヶ月以内に在フランス日本大使館または日本の市区町村役場へ行う手続きが「報告的届出」となります。
①日本人が婚姻手続きのための必要書類を取得する方法
まず、在フランス日本大使館または領事館へ以下の書類を提出します。
- 婚姻適齢(男女ともに18歳)以降の戸籍謄本および改正原戸籍謄本
※すべて発行から3ヶ月以内のもの。日本の外務省でアポスティーユを受けてください。
※婚姻歴や転籍歴がある方は、転籍前の除籍謄本も必要になります。 - 提出先のフランスの市役所から交付された必要書類リスト
- パスポート
必要書類に不備がなければ、大使館から以下の書類が発行されます。
- 出生証明書(EXTRAIT D’ACTE DE NAISSANCE)
- 独身証明書(CERTIFICAT DE CAPACITE MATRIMONIALE)
- 慣習証明書(CERTIFICAT DE COUTUME)
- 婚姻および離婚証明書(CERTIFICAT DE MARIAGE ET DE DIVORCE)
※再婚の場合のみ
②フランスの市役所での婚姻手続き
必要書類を提出して不備がなければ、市役所にて10日間の掲示が行われます。
これはフランス特有の「婚姻の事前掲示(Publication des bans)」という厳格な民事婚のステップです。
掲示期間内に婚姻について誰からも異議がなければ、インタビューを受け、結婚式の日取りが決定されます。
結婚式当日に、両当事者とあらかじめ市役所に登録した証人が市役所に出頭し、婚姻の宣言を行うことによって婚姻が成立し、婚姻証明書が発行されます。
- 居住証明書
- 出生証明書
- パスポート
- 婚姻適齢(男女ともに18歳)以降の戸籍謄本および改正原戸籍謄本
※すべて発行から3ヶ月以内のもの。日本の外務省でアポスティーユを受けてください。 - 上記戸籍謄本のフランス語訳文
- 出生証明書(EXTRAIT D’ACTE DE NAISSANCE)
- 独身証明書(CERTIFICAT DE CAPACITE MATRIMONIALE)
- 慣習証明書(CERTIFICAT DE COUTUME)
- 婚姻および離婚証明書(CERTIFICAT DE MARIAGE ET DE DIVORCE)
※再婚の場合のみ - パスポート
③日本への婚姻報告について
フランスの市役所で婚姻手続きが完了した後、在フランス日本大使館・領事館または日本の市区町村役場で、婚姻届(報告的届出)を提出してください。
- 婚姻届書(フランス人配偶者の署名、証人欄の記入は不要)
- 本人確認資料(運転免許証又はパスポート等)
- 戸籍謄本
※2024年3月の戸籍法改正により、日本国内の市区町村役場へ直接提出する場合は戸籍謄本の添付が原則不要となりました。ただし、在フランス日本大使館・領事館を経由して届け出る場合は、発行から3ヶ月以内の戸籍謄本が必要となりますのでご注意ください。 - 婚姻証明書(日本語訳を添付) ※フランス外務省でアポスティーユを受けてください。
5.まとめ
フランス人との国際結婚手続きは、厳格な「民事婚(政教分離)」の原則に則って市役所で行われるため、法的形式を守ることが何よりも大切になります。
手続きを始める前に、必要書類や手順を確認しておき、来日してから、あるいは渡仏してから遺漏がないように準備しておくことをお勧めします。
本コラムが、フランス人との国際結婚をご検討されている方々のご参考になれば幸いです。
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