【2026年最新情勢】ロシア人との国際結婚手続き・必要書類を行政書士が解説

近年、ロシア国内の急激な社会情勢の変化や将来への不安などを背景に、海外へ生活の拠点を移したいと考えるロシア人の方が非常に増えています。
特にウクライナ侵攻後、欧州諸国はロシア人に対するビザ規則を厳格化しました。それらの国に比べ、日本は一律の排除や発給制限を行っておらず、「欧州諸国と比べて相対的にビザ取得の門戸が開かれている国」となっています。そのため、日本を移住先に選び、来日するロシア人が増えているのです。
こうした背景もあり、今後は日本国内での出会いを経て、結婚を選択する日ロのカップルも増えていくことが予想されます。
そこで、本コラムでは,日本人とロシア人との国際結婚手続きについて,国際業務専門の行政書士が解説します。
2026年現在、ロシア人との国際結婚は、日ロ間の直行便停止や国際郵便の制限といった実務上の影響により、手続きの難易度がかなり高まっています。本文で詳述します。
Index
1.国際結婚手続きの用語解説
この段落では、国際結婚手続きにおける専門用語を解説していきます。
以降の内容をご参照いただくにあたり必要となる前提知識ですので、ご一読の上、次の段落に進んでください。
①国際結婚の成立とは?
国際結婚が有効に成立するには、双方の国籍国(本コラムでいうと日本とロシア)において、法的に有効な婚姻関係にあることが原則必要とされています。
日本で先に結婚手続きを行うことを日本方式と言い、ロシアで先に結婚手続きを行うことをロシア方式と言います。
②婚姻要件具備証明書とは?
外国人が、日本方式の婚姻を有効に成立させるためには、国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件(婚姻できる年齢に達していること、独身であることなど)を満たしていることが必要とされています。
もっとも、日本の市区町村役場で、外国人配偶者の国籍国の法律を全て審査することは現実的ではありません。
そこで、国際結婚においては、相手国が発給した婚姻要件具備証明書を提出することによって、国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていると判断することにしているのです。
なお、発行国によっては、独身証明書などと言われることがありますが、独身であることのみならず、国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていることが明らかになるものであれば、基本的には婚姻要件具備証明書と考えていただいて差支えありません。
2.ロシア人との国際結婚手続きで注意すること
ロシア人と日本人との国際結婚手続きの際、ご注意いただきたい事項を下記に記載いたします。
①適用法について
ロシアは連邦制を採用しておりますが、婚姻に関する事項は、政府が定める家族法に従うことになっています。もっとも、一部の婚姻要件については、地方自治体の立法により特別条項を設けることができるとされているため、ロシア方式に従った婚姻手続きを行う場合は、婚姻挙行地になる自治体の制度にも注意を払う必要があります。
たとえば、一部の自治体(モスクワ州の14歳など)では妊娠等の特別事情による婚姻年齢のさらなる引き下げを独自に認めているケースがあるほか、実務上も「ZAGS(ЗАГС)」と呼ばれるロシアの戸籍登録機関(役所)ならどこの窓口でも国際結婚ができるわけではなく、外国人の手続きに対応している「特定の指定されたZAGS」でしか受け付けないというローカルルールを設けている都市もあるため、事前の確認が必須です。
②婚姻要件具備証明書について
ロシアは婚姻要件具備証明書が発行される国です。日本方式で婚姻する場合は、在日ロシア大使館に婚姻両当事者が出頭して婚姻要件具備証明書を取得することになるため、ロシア人配偶者の来日が必要になります。
③婚姻可能な年齢について
ロシア人の婚姻可能な年齢は、男女ともに18歳以上と法定されています。
なお、婚姻締結地の立法によって、女子の妊娠など特別事情がある場合は婚姻を許可することができるとされている場合もあります。
④再婚禁止期間について
ロシアの家族法には、再婚禁止期間は定められていません。また、日本側でも民法改正(2024年4月1日施行)により、これまで女性に課されていた「100日間の再婚禁止期間」が完全に廃止されました。これにより、2026年現在は日ロ双方の法律において再婚禁止期間はなくなっており、お互いに前婚の離婚さえ正式に成立していれば、いつでもすぐに再婚手続きを進めることが可能です。
⑤国内・国外パスポートの違いと「20歳・45歳更新」ルールについて
ロシアには、海外渡航用の「国外パスポート(Заграничный паспорт)」とは別に、国内の身分証明書である「国内パスポート(Внутренний паспорт)」が存在し、結婚手続きではこの両方が必要になります。
注意すべきは、この国内パスポートには「20歳と45歳になったタイミングで必ず更新(再発行)しなければ失効する」という法律がある点です。
もし更新を忘れて失効していると、在日ロシア大使館での婚姻要件具備証明書の発行をはじめ、すべての手続きがストップしてしまいます。パートナーの年齢がこの節目に近い場合は、パスポートが今も有効な状態であるかを必ず最初に確認してください。
⑥ 結婚後の「苗字(改姓)」について
ロシアの法律では、結婚時に「同姓(相手の苗字にする)」「別姓(そのまま)」「結合姓(双方の苗字を合わせる)」を自由に選べます。しかし、日本方式で結婚する場合、「在日ロシア大使館・領事館では、結婚にともなう苗字の変更手続きを一切受け付けてくれない」という実態があります。
もしロシア人側が日本人の苗字に合わせたい場合、ロシア本国のZAGSまで本人が出向いて改姓手続きを行う必要があります。さらに、苗字が変わると「国内パスポート」「国外パスポート」「日本の在留カード」をすべてゼロから作り直さなければなりません。
そのため実務上は、「まずは夫婦別姓のままで婚姻手続きを完了させ、日本での生活(配偶者ビザ取得)が落ち着いてから、将来的に改姓を検討する」のが最も安全です。
3.国際結婚手続きにおける必要書類(日本方式)
本題の国際結婚手続きについて解説していきます。
ここからは、日本人とロシア人が日本方式で婚姻をおこなう場合の必要書類を記載します。
なお、提出先の市区町村役場によって若干の相違があるため、事前に役所照会することをお勧めいたします。
①日本の市区町村役場において必要となる書類
- 婚姻届書(日本人同士の場合と同様のものです)
- 本人確認資料(運転免許証又はパスポート等)
(2024年3月の戸籍法改正にともない、本籍地以外の市区町村窓口で婚姻届を提出する場合であっても、日本人の戸籍謄本の添付は原則不要となりました。)
- 婚姻要件具備証明書(日本語訳を添付)※1
- 出生証明書(日本語訳を添付)※2
- 国外パスポート
※1 在日ロシア大使館または領事館で取得が可能です。取得するには、ロシア人配偶者の国外パスポートと国内パスポートが必要になります。
※2 日本の多くの市区町村役場では、婚姻要件具備証明書に加えて「出生証明書」の原本提示を求められますので必ず事前にご用意ください。
②ロシアへの婚姻報告について
ロシアでは、外国の法律に則って行われた婚姻手続きは、ロシア国内でも法的に有効とみなされており、日本で成立した婚姻をロシア側に届ける制度が存在しません。そのため、日本で成立した婚姻を大使館・領事館に届ける必要はありません。したがって、日本方式で婚姻した場合は、ロシアの婚姻証明書は発行されません。
もっとも、日本で婚姻が成立した旨の証明書(婚姻届受理証明書)を大使館・領事館に提出すれば、婚姻を確認した旨の書類を発行してもらうことができ,通常はこの書類を入国管理局への申請の際に提出することになります。
4.国際結婚手続きにおける必要書類(ロシア方式)
日本人とロシア人がロシア方式で婚姻をする場合についてです。
ロシア方式で婚姻手続きをする場合は、ロシア人配偶者が所属する自治体の機関(ZAGS)が窓口になっており、ZAGSで婚姻登録が行われることによって婚姻が成立します。
2026年現在、ロシア方式を選択する場合、婚姻当事者は渡航の手間と費用の負担に直面することになります。
直行便停止にともなう「遠回り」とコスト
安全上の理由や相互の領空閉鎖により日本からの直行便が止まっているため、2026年現在はドバイやトルコなどの第三国を経由する大回りルートしかありません。必然的に経由便を利用せざるを得ないため、往復の航空券代や移動にかかるコストは高騰しています。
現地での日程交渉の必要
ZAGSは書類提出から挙式まで「原則1ヶ月」の待機期間があります。滞在日程が限られる日本人が、現地でこの期間短縮の交渉を行うのは困難です。
そのため、どうしてもロシア現地で先に結婚しなければならない特別な事情がない限りは、まずは日本方式を検討することをお勧めいたします。
①ロシアでの婚姻手続きについて
ロシア方式で婚姻手続きを行う際には、まず、日本人配偶者の婚姻要件具備証明書を取得することから始まります。
戸籍謄本とパスポートを持参のうえ、在ロシア日本大使館・領事館にて婚姻要件具備証明書を取得してください。原則、申請日から2営業日で婚姻要件具備証明書が発行されます。
婚姻要件具備証明書が発行されましたら、ロシアの外務省で婚姻要件具備証明書の認証手続きを行ってください。この手続きは、婚姻要件具備証明書が正式に日本公館から発行されたものであることを証明するために必要な手続きです。
上記の手続きが完了すると、ZAGSで婚姻の手続きを行います。
書類に不備がなければ申請から1か月経過後の日付で挙式日程が指定され、挙式が終われば婚姻の事実が登録され、結婚証明書が発行されます。
挙式日程については、事情があれば1カ月を経過しない日付で指定を受けることもできることになっていますので、ロシアでの滞在日程が確保できない場合は、ZAGSで挙式日の日程を交渉してください。
- 婚姻要件具備証明書
- パスポートおよびIDページのロシア語公認翻訳
- 身分証
※ 提出先のZAGSによっては他の書類を求められることもありますので、あらかじめ提出先のZAGSに確認してください。
②日本への婚姻報告について
ロシアで婚姻登録がされた後、在ロシア日本大使館・領事館または日本の市区町村役場にて婚姻届(報告的届出)を提出してください。
- 婚姻届書(ロシア人配偶者の署名、証人欄の記入は不要)
- 本人確認資料(運転免許証又はパスポート等)
- 婚姻証明書及び日本語訳文
- ロシア人配偶者の国籍証明書及び日本語訳文
- ロシア人配偶者の出生証明書及び日本語訳文
5.ロシア人との国際結婚手続きのまとめ
ロシア人との国際結婚手続きは、比較的事例が多いため、手続きの流れ自体は一通り確立されている国の一つです。ただし、緊迫したロシア情勢や、直行便停止にともなうかつてない渡航難を考慮すると、日本人パートナーがロシアへ渡って手続きを行う「ロシア方式(現地婚)」は、もはや積極的にお勧めできる選択肢ではなくなりました。
物理的な移動コストやリスクが跳ね上がっているだけでなく、現地での手続きにおいても、外国人を扱う特定のZAGSの選定、国内パスポートの「20歳・45歳更新ルール」、さらには結婚後の苗字についてなど、特殊なハードルが多数潜んでいます。
したがって、2026年現在においては特別な事情がない限り、まずは安全かつ確実な「日本方式」から検討するのがおすすめです。
本コラムが、ロシア人との国際結婚をご検討されている方々のご参考になれば幸いです。
ご不明点がございましたら、行政書士法人第一綜合事務所の無料相談をご利用ください。




