依田 隼弥

ウクライナ人との国際結婚手続きを専門行政書士が解説!

ウクライナ人との国際結婚手続きを専門行政書士が解説!

本ページでは,日本人とウクライナ人との国際結婚手続きについて,国際業務専門の行政書士が解説します。

1.国際結婚手続きの用語解説

本稿では,国際結婚手続きにおける専門用語を解説していきます。
以降の内容をご参照いただくにあたり必要となる前提知識ですので,ご一読の上,次の稿に進んでください。

①国際結婚の成立とは?

国際結婚が有効に成立するには,双方の国籍国(本事例でいうと日本とウクライナ)において,法的に有効な婚姻関係にあることが原則必要とされています。
日本で先に結婚手続きを行うことを日本方式と言い,ウクライナで先に結婚手続きを行うことをウクライナ方式と言います。

②婚姻要件具備証明書とは?

外国人が,日本方式の婚姻を有効に成立させるためには,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件(婚姻できる年齢に達していること,独身であることなど)を満たしていることが必要とされています。
もっとも,日本の市区町村役場で,外国人配偶者の国籍国の法律を全て審査することは現実的ではありません。
そこで,国際結婚においては,相手国が発給した婚姻要件具備証明書を提出することによって,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていると判断することにしているのです。
なお,発行国によっては,独身証明書などと言われることがありますが,独身であることのみならず,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていることが明らかになるものであれば,基本的には婚姻要件具備証明書と考えていただいて差支えありません。

2.ウクライナ人との国際結婚手続きで注意すること

ウクライナ人と日本人との国際結婚手続きの際,ご注意いただきたい事項を下記に記載いたします。

①婚姻要件具備証明書について

ウクライナは婚姻要件具備証明書が発行される国です。日本方式で婚姻する場合は,在日ウクライナ大使館に婚姻両当事者が出頭して婚姻要件具備証明書を取得することになるため,ウクライナ人配偶者の来日が必要になります。

②婚姻可能な年齢について

ウクライナ人の婚姻可能な年齢は,男性は18歳以上,女性は17歳以上と法定されています。
14歳以上の未成年者が婚姻することも可能ですが,その場合は裁判所の許可が必要になります。

③再婚禁止期間について

ウクライナの家族法には,再婚禁止期間は定められていません。もっとも,日本法では女性は離婚後100日間の再婚禁止期間があり(妊娠していないことの医師の証明書を提出すれば離婚後100日未満でも禁止されません),この規定はウクライナ人との婚姻にも適用されます。

3.国際結婚手続きにおける必要書類(日本方式)

本題の国際結婚手続きについて解説していきます。
ここからは,日本人とウクライナ人が日本方式で婚姻をおこなう場合の必要書類を記載します。
なお,提出先の市区町村役場によって若干の相違があるため,事前に役所照会することをお勧めいたします。

①日本の市区町村役場において必要となる書類

<日本人の方にご準備いただく書類>
・婚姻届書(日本人同士の場合と同様のものです)
・本人確認資料(運転免許証又はパスポート等)
・戸籍謄本(本籍地以外に婚姻届を提出する場合)

<ウクライナ人の方にご準備いただく書類>
・婚姻要件具備証明書※(日本語訳を添付)
・出生証明書(日本語訳を添付)
・パスポート

※ 在日ウクライナ大使館で取得が可能です。取得するには,ウクライナ人配偶者の出生証明書,独身証明書が必要になります。

②ウクライナへの婚姻報告について

日本の市区町村役場で婚姻届が受理された後,戸籍謄本(婚姻事項が記載されたもの)と婚姻届受理証明書を外務省でアポスティーユ認証してもらい,夫婦揃って在日ウクライナ大使館に出頭し,婚姻の登録手続を行います。婚姻が登録されることにより,婚姻登録証明書が発行されます。通常はこの書類を入国管理局への申請の際に提出することになります。

4.国際結婚手続きにおける必要書類(ウクライナ方式)

次は,日本人とウクライナ人がウクライナ方式で婚姻をする場合についてです。

ウクライナ方式で婚姻手続きを行う際には,まず,日本人配偶者の書類の準備から始めます。

まずは戸籍謄本を取得して,法務局で婚姻要件具備証明書を取得してください。
戸籍謄本と婚姻要件具備証明書を外務省でアポスティーユ認証を受け,それぞれのウクライナ語翻訳を作成し,在日ウクライナ大使館で翻訳認証を受けます。

その後,ウクライナにある婚姻登録機関で,登録申請を行います。
書類に不備がなければ申請から1か月程度で婚姻登録が完了し,結婚登録証明書が発行されます。外国人の場合は,交渉すれば期間を短縮することもできるようです。

<日本人の方にご用意いただく書類>
・婚姻要件具備証明書(在日ウクライナ大使館の翻訳認証付き)
・戸籍謄本(在日ウクライナ大使館の翻訳認証付き)
・パスポート

<ウクライナ人の方にご準備いただく書類>
・出生証明書
・独身証明書
・パスポート

※ 提出先の機関によっては他の書類を求められることもありますので,あらかじめ提出先に必要書類を確認してください。

②日本への婚姻報告について

ウクライナで婚姻登録がされた後,在ウクライナ日本大使館または日本の市区町村役場にて婚姻届(報告的届出)を提出してください。

<ご用意いただく書類>
・婚姻届書
・本人確認資料(運転免許証又はパスポート等)
・戸籍謄本(本籍地以外に婚姻届を提出する場合)
・婚姻登録証明書及び日本語訳文
・ウクライナ人配偶者の国籍証明書及び日本語訳文
・ウクライナ人配偶者の出生証明書及び日本語訳文

5.まとめ

ウクライナは国際結婚において人気の国の一つであり,日本人男性とウクライナ人女性との婚姻は以前から多くあります。
ウクライナ人との婚姻手続きはそれほど複雑な手続きではありませんが,ウクライナ方式の婚姻は,ウクライナに渡って手続きを行う必要があるため,渡航前に必要書類を確認しておき,現地で遺漏のないように準備しておくことが重要になります。

本ページが,ウクライナ人との国際結婚をご検討されている方々のご参考になれば幸いです。

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この記事の監修者

行政書士法人第一綜合事務所

行政書士 依田 隼弥

・日本行政書士会連合会(登録番号第24081844号)
・東京都行政書士会(会員番号第15335号)
山梨県出身。東京オフィスに所属し,外国人ビザ申請,国際結婚手続き,永住権取得など国際業務を専門としている。

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