【2026年最新】ウクライナ人との国際結婚の手続きと必要書類を行政書士が解説

「ウクライナ人女性と国際結婚をすることになったけど、どのような書類が必要で、手続きをどうすれば良いかわからない」と悩んでいる日本人男性の方も多いでしょう。
実際に、出入国在留管理庁の在留外国人統計(2024年12月時点)によると、日本国内で配偶者ビザを持つウクライナ人は全体で236人いらっしゃいます。そのうち女性が193人、男性が43人となっており、ウクライナ女性と日本人男性の結婚手続きのケースが多数を占めていることが分かります。
このコラムでは、国際業務を専門とする行政書士が、ウクライナ人の方の結婚について解説していきます。
このコラムではウクライナ人の方との婚姻方式に関して、「日本方式」「ウクライナ方式」の二つを解説します。
しかし、2026年現在、ウクライナ全土に退避勧告が出されているため、現地への渡航を伴う「ウクライナ方式」での婚姻は安全上の観点から現実的ではありません。
そのため、ウクライナ人配偶者を日本に呼び寄せる(またはすでに日本に在留している)状態で、安全かつ確実に進められる「日本方式」での手続きを強く推奨しています。
Index
1.国際結婚手続きの用語解説
この段落では、国際結婚手続きにおける専門用語を解説していきます。
以降の内容をご参照いただくにあたり必要となる前提知識ですので、ご一読の上、次の段落に進んでください。
①国際結婚の成立とは?
国際結婚が有効に成立するには、双方の国籍国(本コラムでいうと日本とウクライナ)において、法的に有効な婚姻関係にあることが原則必要とされています。
日本で先に結婚手続きを行うことを日本方式と言い、ウクライナで先に結婚手続きを行うことをウクライナ方式と言います。
なお、どちらの方式を選んでも、最終的には日本とウクライナの両方の国に届出を行う必要があります。
先に手続きをして婚姻を成立させる方を「創設的届出」、その後にもう一方の国へ報告する手続きを「報告的届出」と呼び、この二つの手続きが両方完了して初めて、双方の国で正式な夫婦となるのです。
②婚姻要件具備証明書とは?
外国人が、日本方式の婚姻を有効に成立させるためには、国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件(婚姻できる年齢に達していること、独身であることなど)を満たしていることが必要とされています。
もっとも、日本の市区町村役場で、外国人配偶者の国籍国の法律を全て審査することは現実的ではありません。
そこで、国際結婚においては、相手国が発給した婚姻要件具備証明書を提出することによって、国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていると判断することにしているのです。
なお、発行国によっては、独身証明書などと言われることがありますが、独身であることのみならず、国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていることが明らかになるものであれば、基本的には婚姻要件具備証明書と考えていただいて差支えありません。
2.ウクライナ人との国際結婚手続きで注意すること
ウクライナ人と日本人との国際結婚手続きの際、ご注意いただきたい事項を下記に記載いたします。
①「独身宣告書」について
ウクライナでは、一般的な「婚姻要件具備証明書」という名称の書類は発行されません。
その代わりに、在日ウクライナ大使館に婚姻当事者(ウクライナ人本人)が出頭し、「独身宣告書」と呼ばれる書類を取得することになります。
この独身宣告書が、日本の市区町村役場において「婚姻要件具備証明書」と同等の書類として扱われます。
取得にあたってはウクライナ人配偶者の来日と大使館への出頭が必要となるため、事前にスケジュールを組んでおく必要があります。
②婚姻可能な年齢について
婚姻可能年齢は、日本・ウクライナ双方とも男女ともに18歳以上となっています。
16歳以上の未成年者が婚姻することも可能ですが、その場合は裁判所の許可が必要になります。
③再婚禁止期間について
ウクライナの家族法には、再婚禁止期間は定められていません。
日本でも、2024年4月の法改正により、再婚禁止期間の制限なく婚姻届を提出できます。
よって男女ともに、離婚後いつでも制限なく婚姻届を提出することが可能です。
④健康状態の相互報告義務について
ウクライナ家族法には、「婚約者同士はお互いの健康状態を事前に報告し合わなければならない」という、日本の民法にはない非常にユニークな義務が定められています。
これは単なるマナーや努力義務ではなく、重大な疾患(精神疾患や遺伝性疾患、感染症など)を意図的に隠して結婚した場合、のちに婚姻の無効や取り消しを請求される法的な根拠となり得るほどの厳格なルールです。
日本で先に手続きを行う「日本方式」の場合、日本の市区町村役場から健康診断書などの提出を求められることは原則としてありません。
しかし、ウクライナ特有の重要な法律であることは間違いありませんので、お二人が安心して新しい生活をスタートさせるためにも、事前にお互いの健康状態について誠実に共有し、理解を深めておくことが大切です。
⑤結婚後の「苗字(姓)」の選択肢について
日本の法律では夫婦同姓が義務付けられていますが、ウクライナの家族法では結婚後の苗字の選択肢が非常に幅広いです。
具体的には、「夫婦同姓(どちらかの姓に合わせる)」「夫婦別姓(お互いに元の姓のまま)」に加えて、お互いの苗字をハイフン等で繋ぐ「結合姓(ダブルネーム)」を選択することも可能です。
ただし、ウクライナ側で結合姓等を選択した場合、日本の戸籍(日本人側)の氏の変更手続きや、ウクライナ人のパスポート更新手続きが少々複雑になる実務上の注意点があります。
どのような名前で暮らしていくか、事前によく話し合っておく必要があります。
3.先に日本で国際結婚手続きをする場合【日本方式(推奨)】
本題の国際結婚手続きについて解説していきます。
ここからは、日本人とウクライナ人が日本方式で婚姻をおこなう場合の必要書類を記載します。
日本方式では、日本の市区町村役場への届出が「創設的届出」となり、その後に在日ウクライナ大使館へ行う手続きが「報告的届出」となります。
なお、提出先の市区町村役場によって若干の相違があるため、事前に役所照会することをお勧めいたします。
①日本の市区町村役場において必要となる書類
<日本人の方にご準備いただく書類>
- 婚姻届書(日本人同士の場合と同様のものです)
- 本人確認資料(運転免許証又はパスポート等)
- 戸籍謄本
※戸籍法改正(2024年3月施行)により、現在は本籍地以外の市区町村役場に婚姻届を提出する場合であっても、原則として戸籍謄本の添付は不要となっています
<ウクライナ人の方にご準備いただく書類>
- 独身宣告書(日本語訳を添付)
※在日ウクライナ大使館で取得が可能です(ただし、現在は領事部へのオンライン事前予約が必須となっているため、あらかじめ大使館公式HPから予約システム(e-consular等)を利用して手続きを行う必要があります)。
取得するには,ウクライナ人配偶者の出生証明書、独身証明書が必要になります(これらはウクライナ本国からあらかじめ取り寄せでおく必要があります。2026年現在の情勢下では国際郵送に時間がかかるケースがあるため、余裕を持って準備しましょう)。 - 出生証明書(日本語訳を添付)
- パスポート(日本語訳を添付)
- 離婚証明書または離婚判決書※過去に離婚歴がある場合のみ
②ウクライナへの婚姻報告について(報告的届出)
日本の市区町村役場で婚姻届が受理された後、戸籍謄本(婚姻事項が記載されたもの)と婚姻届受理証明書を外務省でアポスティーユ認証してもらい、夫婦揃って在日ウクライナ大使館に出頭し、婚姻の登録手続を行います。
婚姻が登録されることにより、婚姻登録証明書が発行されます。
通常はこの書類を出入国在留管理局(入管)への申請の際に提出することになります。
4.先にウクライナで国際結婚手続きをする場合【ウクライナ方式(非推奨)】
次は、日本人とウクライナ人がウクライナ方式で婚姻をする場合についてです。
ウクライナ方式では、ウクライナ現地の婚姻登録機関への申請が「創設的届出」となり、その後に日本側へ行う手続きが「報告的届出」となります。
※先述の通り、2026年現在は安全上の観点から渡航を伴う手続きはおすすめできませんが、本来の標準的な流れを知るための参考として解説いたします。
①ウクライナの婚姻登録機関において必要となる書類
ウクライナ方式で婚姻手続きを行う際には、まず、日本人配偶者の書類の準備から始めます。
まずは戸籍謄本を取得して、法務局で婚姻要件具備証明書を取得してください。
戸籍謄本と婚姻要件具備証明書を外務省でアポスティーユ認証を受け、それぞれのウクライナ語翻訳を作成し、在日ウクライナ大使館で翻訳認証を受けます。
その後、ウクライナにある婚姻登録機関で、登録申請を行います。
書類に不備がなければ申請から1か月程度で婚姻登録が完了し、結婚登録証明書が発行されます。
外国人の場合は、交渉すれば期間を短縮することもできるようです。
<日本人の方にご用意いただく書類>
※提出先の機関によっては他の書類を求められることもありますので、あらかじめ提出先に必要書類を確認してください。
- 婚姻要件具備証明書(在日ウクライナ大使館の翻訳認証付き)
- 戸籍謄本(在日ウクライナ大使館の翻訳認証付き)
- パスポート
<ウクライナ人の方にご準備いただく書類>
※提出先の機関によっては他の書類を求められることもありますので、あらかじめ提出先に必要書類を確認してください。
- 出生証明書
- 独身証明書
- パスポート
- 離婚証明書または離婚判決書
※過去に離婚歴がある場合。ウクライナでは「子供の有無や離婚の経緯」によって、婚姻登録機関が発行する「離婚証明書」か、裁判所が発行する「離婚判決書」か、提出する書類の性質が全く異なります。これらを紛失している場合、現在の情勢下で現地から再発行を取り寄せるのは極めて時間がかかります。
②日本への婚姻報告について(報告的届出)
ウクライナで婚姻登録がされた後、在ウクライナ日本大使館または日本の市区町村役場にて婚姻届(報告的届出)を提出してください。
<ご用意いただく書類>
- 婚姻届書
- 本人確認資料(運転免許証又はパスポート等)
- 戸籍謄本
※戸籍法改正(2024年3月施行)により、現在は本籍地以外の市区町村役場に婚姻届を提出する場合であっても、原則として戸籍謄本の添付は不要となっています - 婚姻登録証明書及び日本語訳文
- ウクライナ人配偶者の国籍証明書及び日本語訳文
- ウクライナ人配偶者の出生証明書及び日本語訳文
5.まとめ
ウクライナは国際結婚において人気の国の一つであり、日本人男性とウクライナ人女性との婚姻は以前から多くあります。
ウクライナ人との婚姻手続きはそれほど複雑な手続きではありませんが、2026年現在は現地の情勢を考慮し、日本国内で手続きを行う「日本方式」が強く推奨されます。
法改正による手続きの変更点などもあらかじめ確認しておき、遺漏のないように準備しておくことが重要になります。
本コラムが、ウクライナ人との国際結婚をご検討されている方々のご参考になれば幸いです。




