依田 隼弥

【解決事例】留学生と国際結婚して配偶者ビザを取得する方法

【解決事例】留学生と国際結婚して配偶者ビザを取得する方法

【事例】
留学生である韓国人男性Kさん(23歳)は,日本人女性Jさん(23歳)と国際結婚しました。Kさんは日本語学校に通っている留学生ですが,徐々に授業についていけなくなり,ここ半年はほとんど学校に行けていません。

ご夫婦は当初,日本語学校を卒業後に留学ビザから配偶者ビザへの変更申請を考えていました。しかし,Kさんが日本語学校を卒業できるか雲行きが怪しくなってきたことから,当初の計画を早め,今回結婚をするに至ったという事案です。

はたして,このような状況でも留学ビザから配偶者ビザの変更許可はされるのでしょうか。
本ページでは,留学生と国際結婚して配偶者ビザを取得する方法を事例を交えながら記載していきます。

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1.増加する留学生との国際結婚

2008年,当時日本の首相であった福田康夫氏が「留学生30万人計画」を発表し,目標の2020年より前倒しで目標達成を果たすほど,留学生の増加は顕著です。そして,留学生の増加に伴い,留学生と国際結婚をされる方も増えています。

本記事は,増加傾向にある留学生との国際結婚をした事案ですが,今回の事案で特に注意すべきポイントを中心に以下で見ていきます。

2.配偶者ビザに変更前にチェック!留学ビザとは?

留学ビザは,簡単に説明すると「本邦の指定する教育機関において教育を受ける活動」をするためのビザです。つまり,教育を受ける活動をしていなければ,留学ビザの要件には適合しないと判断されます。

留学ビザから他のビザに変更する際にも,留学ビザに該当する活動を行っていたかを審査されます。そのため,留学ビザから配偶者ビザへの変更申請を進めていく上で,一方配偶者である留学生がしっかり教育を受ける活動をしているかどうかを判断することは非常に重要です。

では,出入国在留管理局では「教育を受ける活動」をどういう視点で見ているのでしょうか。

3.留学ビザの時の出席率や成績,アルバイトも配偶者ビザ変更に関係がある

留学ビザの際に特に問題になりやすいのは,

①出席率
②成績
③アルバイト

以上の3点です。

留学生が学校に行っていない場合や留年をしている場合には,留学ビザから配偶者ビザへの変更申請の際,「単に日本に残るために,結婚したのではないか。」,「学校を辞めて日本で働きたいから配偶者ビザへ変更するのではないか。」と嫌疑を抱かれる可能性があります。

そのため当社では,進級あるいは卒業に必要な単位数と現在の単位数を照らし合わせ,検証をすることにしています。場合によっては,出席証明書や成績証明書に加えて,成績不良についての経緯説明書を添付し,事情を説明することもあります。

①の出席率,②の成績については,一見すると配偶者ビザと直接関係がないように感じますが,留学ビザから配偶者ビザへ変更申請をする際には,欠かすことの出来ないポイントの一つになります。

次に,最近の傾向で重視されている点が③のアルバイトです。

留学生にとって,アルバイトは学費や生活費を得るための手段として認識されています。
もっとも,アルバイトに夢中になり,学業が疎かになってしまっては本末転倒です。そこで入管法では,留学生が学業とアルバイトの両立を図れるように,アルバイトに一定の制約を設けています。

実は留学ビザは,原則就労活動が認められていません。資格外活動許可を取得した場合に限り,法定時間内(原則週28時間以内)においてアルバイトに従事することを認められているに過ぎません。

それにも拘わらず,資格外活動許可を受けずにアルバイトをしている事例,資格外活動許可は受けてはいるものの,大幅に法定時間を超過してアルバイトをしている事例が散見されます。

そのため入管審査においても,資格外活動許可を得ていること,アルバイトの法定時間を遵守していることは,留学ビザから配偶者ビザへ変更申請する局面において注視されています。

4.計画的に進める必要あり!留学ビザから配偶者ビザへの変更のポイント

さらに,留学ビザから配偶者ビザへの変更の場合,気を付けなければならないポイントがあります。

それは,教育機関に在籍しているかどうかという点です。既に学校を退学してしまい教育機関に在籍していない状態が一定期間続いていると,配偶者ビザの審査が厳しくなってしまいます。

上記の内容は,入管法第22条の4に定める在留資格の取消事由と関係します。留学ビザの場合は,留学の在留資格に係る活動を継続して3ヶ月以上行っていない場合,法務大臣はその在留資格を取り消すことができると入管法は定めています。

つまり,学校に行っていない状態が3ヶ月以上続く場合には,留学ビザが取り消される可能性があります。また,留学ビザが取り消されていない場合であっても,取消事由に該当するような配偶者ビザ申請については,消極的な事由として大きなマイナス点となります。

そのため,このような状況に陥ることがないように,計画的に留学ビザから配偶者ビザの申請準備をすることが肝要です。

5.今回の事例の結論は…

今回の事例では,Kさんは留学ビザの取消事由に該当していたため,不登校に至った経緯について丁寧に入管に説明をしました。また,その間の活動内容を具体的に示し,疎明資料と共に説明文を添付しました。
さらに,Kさんのアルバイト状況について,入管審査上,必要となる情報を全て提示しました。

一方,Jさんは新卒入社であったため,直近の所得課税証明書が非課税であり,収入の証明に不安を抱えていました。そこで,所得課税証明書の他に,配偶者ビザ申請段階でのJさんの安定所得を示す資料を提出しました。

その結果,申請から1ヶ月を待たずに,留学ビザから配偶者ビザへの許可通知書を受け取ることが出来ました。

6.留学生と国際結婚して配偶者ビザを取得する方法のまとめ

本ページでは,留学生と国際結婚して配偶者ビザを取得する方法をテーマに取り上げました。

上述の通り,留学生の場合は検討しなければならないポイントがたくさんあります。
これらは,配偶者ビザの許否判断をするにあたって,いずれも重視されている内容です。

留学生との国際結婚を考えている方,留学ビザから配偶者ビザへの変更申請を検討されている方は,まず上記のポイントに照らして,リスクの有無を確認してみてください。

配偶者ビザへの変更をご検討されている方で,これからどのように手続きを進めたらよいか不安を抱えている方は,一度当社までお問い合わせ下さい。

お話をお伺いし,最適な解決方法をご提案いたします。

この記事の監修者

行政書士法人第一綜合事務所

行政書士 依田 隼弥

・日本行政書士会連合会(登録番号第24081844号)
・東京都行政書士会(会員番号第15335号)
山梨県出身。東京オフィスに所属し,外国人ビザ申請,国際結婚手続き,永住権取得など国際業務を専門としている。

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