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ベトナム人との国際結婚|手続きの流れ,要件,注意点を専門家が解説

1.国際結婚とは? 国際結婚とは,その人が国籍を持つ国(日本人であれば日本ですね)以外の国(本稿ではベトナム)での結婚手続きが発生する結婚のことを言います。 ざっくり言うと,日本で日本人同士がする結婚以外の婚姻はすべて国際結婚なのです。 日本とベトナムのように国籍が違う人同士の結婚のほか,例えば日本人同士が海外で結婚すること,外国人同士が日本で結婚することも国際結婚の一類型です。 ①国際結婚の成立のために必要なこと 国際結婚の成立には,原則として各当事者の国籍国の法律で結婚が有効であることが必要です。 結婚に関する法律(婚姻条件)は世界各国で異なります。 ですから,ある国の法律で結婚が認められても,別の国の法律では認められないということも起こってしまうのです。 日本人同士が日本で結婚する時には,日本の役所は双方の戸籍に記載された情報から「双方が日本の法律上婚姻要件を満たしているか否か?」が判断できます。 しかし,例えば日本人とベトナム人が結婚する場合,あるいは日本で外国人同士が結婚手続きをする場合など,日本の役所では「あなたは婚姻要件を満たしていますか?」と確認をすることができません。 外国籍の方の婚姻届が提出されるたびに,日本の役所がその国の法律を調べて婚姻条件を満たしているか審査するなどということは現実的ではありませんよね? そこで必要になるのが,その国の政府が発効する「婚姻要件具備証明書」です。 簡単に言えば,ある国の法的な婚姻条件に照らし「この人は結婚できますよ」(婚姻できる年齢に達していること,独身であることなど)と証明する書類です。 発行国によっては「独身証明書」などと言われることもありますが,独身であるだけでなく,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていることが明らかになるものであれば,基本的には婚姻要件具備証明書と考えていただいて差支えありません。 国際結婚手続きのポイントは,結婚手続きをする国が自分の国籍国ではない方が,この婚姻要件具備証明書を取得しなければならないことです。 もっとも,婚姻要件具備証明書が発行されない国もありますので,国際結婚手続きを進める場合,婚姻要件具備証明書の発行可否は事前に確認することをおすすめいたします。 もう一点,日本人同士が日本で結婚する場合は,婚姻届が受理されれば自動的に双方の戸籍に「二人は結婚した」ということが記載され,法的に婚姻関係にあることが証明されます。 しかし国際結婚の場合,日本で結婚が法的に成立したとしても,日本の役所がそのことを外国の役所に通知して法的に処理されることはありません。逆も同じです。 ですから,特に国際結婚を考えている二人の片方もしくは両方が,結婚後は手続きをした国以外で暮らすことを考えているのであれば,ある国で国際結婚手続きをしたら,もう一方の国に「私達は結婚しました」と届け出る必要があります。 これが国際結婚手続きのもう一つのポイントです。 ②日本,ベトナム 婚姻要件の違い では,ベトナム人の婚姻要件はどうなっているのか? ベトナムの婚姻要件は 婚姻可能な年齢=男性満20歳以上,女性が満18歳以上。年齢によって父母の同意が求められることはありません 結婚の目的が問われます。ベトナム出国などを目的とした偽装結婚は禁止です 同性婚・既婚者との結婚はできません 再婚禁止期間の定めはありません などです。 日本と異なる点もありますので,参考にしてください。 例えば,ベトナムの法律には再婚禁止期間の定めはありません。 ただし,日本で婚姻手続きを行う場合は,日本の民法の再婚禁止期間が適用され,前婚の解消又は取消の日から100日を経過していることが要件とされています。 もっとも,ベトナム人女性が妊娠していないという医師の診断書を提出することによって100日を経過していない場合でも結婚することができます。 ③日本,ベトナム どちらを先にするべき? 日本人とベトナム人が結婚を考えている場合,日本とベトナム,どちらの国で先に手続きをすればよいのか? それが国際結婚を考えるお二人の関心事でしょう。 基本的には, 配偶者となるベトナム人がすでに日本で生活している場合先に日本→ベトナムで手続き 配偶者となるベトナム人がベトナムで生活している場合先にベトナム→日本で手続き…

台湾人との国際結婚手続きを専門行政書士が解説!

1.国際結婚手続きの用語解説 本稿では,国際結婚手続きにおける専門用語を解説していきます。 以降の内容をご参照いただくにあたり必要となる前提知識ですので,ご一読の上,次の稿に進んでください。 ①国際結婚の成立とは? 国際結婚が有効に成立するには,双方の国籍国(本事例でいうと日本と台湾)において,法的に有効な婚姻関係にあることが原則必要とされています。 日本で先に結婚手続きを行うことを日本方式と言い,台湾で先に結婚手続きを行うことを台湾方式と言います。 ②婚姻要件具備証明書とは? 外国人が,日本方式の婚姻を有効に成立させるためには,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件(婚姻できる年齢に達していること,独身であることなど)を満たしていることが必要とされています。 もっとも,日本の市区町村役場で,外国人配偶者の国籍国の法律を全て審査することは現実的ではありません。 そこで,国際結婚実務においては,相手国が発給した婚姻要件具備証明書を提出することによって,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていると判断することにしているのです。発行国によっては,独身証明書などと言われることがありますが,独身であることのみならず,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていることが明らかになるものであれば,基本的には婚姻要件具備証明書と考えていただいて差支えありません。 なお,婚姻要件具備証明書を発行する条件や必要書類は,国によって異なり,そもそも婚姻要件具備証明書を発行していない国もあります。婚姻要件具備証明書を発行していない国の方との国際結婚においては,他の書類によって外国人配偶者が国籍国の法律に従って婚姻の成立要件を満たしていることを疎明することになります。比較的事例の多い国であれば,先例に従って判断されるのが戸籍実務ですが,事例の少ない国や先例のない国になると,相手国の法律から調査しなければならないこともあり,そうなると婚姻届を提出してから正式に受理されるまでに時間を要することもあります。 2.台湾人との国際結婚手続きで注意すること 台湾人と日本人との国際結婚手続きの際,ご注意いただきたい事項を下記に記載いたします。 ①婚姻要件具備証明書について 台湾は婚姻要件具備証明書が発行される国です。 日本方式で婚姻する際には,市区町村役場に婚姻要件具備証明書を原則提出しなければなりません。 ②台湾の領事事務について 1972年に日本国政府が中華人民共和国との国交を成立させましたが,台湾(中華民国)とは国としての国交を行っていないため,日本に台湾の大使館や領事館は存在しません。 もっとも,在日台湾人の領事事務を取り扱う機関が存在し,台北駐日経済文化弁事処という機関が在日台湾人の領事事務を取り扱っており,婚姻に際して在日台湾人の婚姻要件具備証明書の発行手続きを行っています。 また同様に,台湾に日本の大使館や領事館も存在しません。 在台湾日本人の領事事務は,日本台湾交流協会という機関が取り扱っています。 ③婚姻可能な年齢について 台湾人の婚姻可能な年齢は,男性は18歳以上,女性は16歳以上と法定されています。 ただし,未成年者(20歳未満)が婚姻をするには,法定代理人の同意を得なければならないとされています。 もっとも,法改正により2023年1月1日以降は,成人年齢が18歳に引き下げられ,婚姻可能な年齢も男女とも18歳になります。 ④再婚禁止期間について 台湾の民法には,再婚禁止期間は定められていません。 もっとも,日本法では女性は離婚後100日間の再婚禁止期間があり(妊娠していないことの医師の証明書を提出すれば離婚後100日未満でも禁止されません),この規定は台湾人女性との婚姻にも適用されます。 3.国際結婚手続きにおける必要書類(日本方式) 本題の国際結婚手続きについて解説していきます。 ここからは,日本人と台湾人が日本方式で婚姻をおこなう場合の必要書類を記載します。 ①台湾人配偶者の婚姻要件具備証明書の取得 まずは,日本にある台北駐日経済文化弁事処にて,台湾人配偶者の婚姻要件具備証明書を取得しましょう。 東京の本部の他に,札幌,横浜,大阪,福岡,那覇に分処があります。 <台湾人の方にご準備いただく書類> ・台湾の戸籍謄本 ・パスポート ・証明写真 なお,この後の手続きで必要になりますので,台湾の戸籍謄本を3通は用意しておきましょう。 ②日本の市区町村役場への婚姻届提出…

ウクライナ人との国際結婚手続きを専門行政書士が解説!

1.国際結婚手続きの用語解説 本稿では,国際結婚手続きにおける専門用語を解説していきます。 以降の内容をご参照いただくにあたり必要となる前提知識ですので,ご一読の上,次の稿に進んでください。 ①国際結婚の成立とは? 国際結婚が有効に成立するには,双方の国籍国(本事例でいうと日本とウクライナ)において,法的に有効な婚姻関係にあることが原則必要とされています。 日本で先に結婚手続きを行うことを日本方式と言い,ウクライナで先に結婚手続きを行うことをウクライナ方式と言います。 ②婚姻要件具備証明書とは? 外国人が,日本方式の婚姻を有効に成立させるためには,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件(婚姻できる年齢に達していること,独身であることなど)を満たしていることが必要とされています。 もっとも,日本の市区町村役場で,外国人配偶者の国籍国の法律を全て審査することは現実的ではありません。 そこで,国際結婚においては,相手国が発給した婚姻要件具備証明書を提出することによって,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていると判断することにしているのです。 なお,発行国によっては,独身証明書などと言われることがありますが,独身であることのみならず,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていることが明らかになるものであれば,基本的には婚姻要件具備証明書と考えていただいて差支えありません。 2.ウクライナ人との国際結婚手続きで注意すること ウクライナ人と日本人との国際結婚手続きの際,ご注意いただきたい事項を下記に記載いたします。 ①婚姻要件具備証明書について ウクライナは婚姻要件具備証明書が発行される国です。日本方式で婚姻する場合は,在日ウクライナ大使館に婚姻両当事者が出頭して婚姻要件具備証明書を取得することになるため,ウクライナ人配偶者の来日が必要になります。 ②婚姻可能な年齢について ウクライナ人の婚姻可能な年齢は,男性は18歳以上,女性は17歳以上と法定されています。 14歳以上の未成年者が婚姻することも可能ですが,その場合は裁判所の許可が必要になります。 ③再婚禁止期間について ウクライナの家族法には,再婚禁止期間は定められていません。もっとも,日本法では女性は離婚後100日間の再婚禁止期間があり(妊娠していないことの医師の証明書を提出すれば離婚後100日未満でも禁止されません),この規定はウクライナ人との婚姻にも適用されます。 3.国際結婚手続きにおける必要書類(日本方式) 本題の国際結婚手続きについて解説していきます。 ここからは,日本人とウクライナ人が日本方式で婚姻をおこなう場合の必要書類を記載します。 なお,提出先の市区町村役場によって若干の相違があるため,事前に役所照会することをお勧めいたします。 ①日本の市区町村役場において必要となる書類 <日本人の方にご準備いただく書類> ・婚姻届書(日本人同士の場合と同様のものです) ・本人確認資料(運転免許証又はパスポート等) ・戸籍謄本(本籍地以外に婚姻届を提出する場合) <ウクライナ人の方にご準備いただく書類> ・婚姻要件具備証明書※(日本語訳を添付) ・出生証明書(日本語訳を添付) ・パスポート ※ 在日ウクライナ大使館で取得が可能です。取得するには,ウクライナ人配偶者の出生証明書,独身証明書が必要になります。 ②ウクライナへの婚姻報告について 日本の市区町村役場で婚姻届が受理された後,戸籍謄本(婚姻事項が記載されたもの)と婚姻届受理証明書を外務省でアポスティーユ認証してもらい,夫婦揃って在日ウクライナ大使館に出頭し,婚姻の登録手続を行います。婚姻が登録されることにより,婚姻登録証明書が発行されます。通常はこの書類を入国管理局への申請の際に提出することになります。 4.国際結婚手続きにおける必要書類(ウクライナ方式) 次は,日本人とウクライナ人がウクライナ方式で婚姻をする場合についてです。 ウクライナ方式で婚姻手続きを行う際には,まず,日本人配偶者の書類の準備から始めます。…

ロシア人との国際結婚手続きを専門行政書士が解説!

1.国際結婚手続きの用語解説 本稿では,国際結婚手続きにおける専門用語を解説していきます。 以降の内容をご参照いただくにあたり必要となる前提知識ですので,ご一読の上,次の稿に進んでください。 ①国際結婚の成立とは? 国際結婚が有効に成立するには,双方の国籍国(本事例でいうと日本とロシア)において,法的に有効な婚姻関係にあることが原則必要とされています。 日本で先に結婚手続きを行うことを日本方式と言い,ロシアで先に結婚手続きを行うことをロシア方式と言います。 ②婚姻要件具備証明書とは? 外国人が,日本方式の婚姻を有効に成立させるためには,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件(婚姻できる年齢に達していること,独身であることなど)を満たしていることが必要とされています。 もっとも,日本の市区町村役場で,外国人配偶者の国籍国の法律を全て審査することは現実的ではありません。 そこで,国際結婚においては,相手国が発給した婚姻要件具備証明書を提出することによって,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていると判断することにしているのです。 なお,発行国によっては,独身証明書などと言われることがありますが,独身であることのみならず,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていることが明らかになるものであれば,基本的には婚姻要件具備証明書と考えていただいて差支えありません。 2.ロシア人との国際結婚手続きで注意すること ロシア人と日本人との国際結婚手続きの際,ご注意いただきたい事項を下記に記載いたします。 ①適用法について ロシアは連邦制を採用しておりますが,婚姻に関する事項は,政府が定める家族法に従うことになっています。もっとも,一部の婚姻要件については,地方自治体の立法により特別条項を設けることができるとされているため,ロシア方式に従った婚姻手続きを行う場合は,婚姻挙行地になる自治体の制度にも注意を払う必要があります。 ②婚姻要件具備証明書について ロシアは婚姻要件具備証明書が発行される国です。日本方式で婚姻する場合は,在日ロシア大使館に婚姻両当事者が出頭して婚姻要件具備証明書を取得することになるため,ロシア人配偶者の来日が必要になります。 ③婚姻可能な年齢について ロシア人の婚姻可能な年齢は,男女ともに18歳以上と法定されています。 なお,婚姻締結地の立法によって,女子の妊娠など特別事情がある場合は婚姻を許可することができるとされている場合もあります。 ④再婚禁止期間について ロシアの家族法には,再婚禁止期間は定められていません。 もっとも,日本法では女性は離婚後100日間の再婚禁止期間があり(妊娠していないことの医師の証明書を提出すれば離婚後100日未満でも禁止されません),この規定はロシア人との婚姻にも適用されます。 3.国際結婚手続きにおける必要書類(日本方式) 本題の国際結婚手続きについて解説していきます。 ここからは,日本人とロシア人が日本方式で婚姻をおこなう場合の必要書類を記載します。 なお,提出先の市区町村役場によって若干の相違があるため,事前に役所照会することをお勧めいたします。 ①日本の市区町村役場において必要となる書類 <日本人の方にご準備いただく書類> ・婚姻届書(日本人同士の場合と同様のものです) ・本人確認資料(運転免許証又はパスポート等) ・戸籍謄本(本籍地以外に婚姻届を提出する場合) <ロシア人の方にご準備いただく書類> ・婚姻要件具備証明書※(日本語訳を添付) ・国外パスポート ※ 在日ロシア大使館または領事館で取得が可能です。取得するには,ロシア人配偶者の国外パスポートと国内パスポートが必要になります。 ②ロシアへの婚姻報告について ロシアでは,外国の法律に則って行われた婚姻手続きは,ロシア国内でも法的に有効とみなされており,日本で成立した婚姻をロシア側に届ける制度が存在しません。そのため,日本で成立した婚姻を大使館・領事館に届ける必要はありません。したがって,日本方式で婚姻した場合は,ロシアの婚姻証明書は発行されません。 もっとも,日本で婚姻が成立した旨の証明書(婚姻届受理証明書)を大使館・領事館に提出すれば,婚姻を確認した旨の書類を発行してもらうことができ,通常はこの書類を入国管理局への申請の際に提出することになります。…

フランス人との国際結婚手続きを専門行政書士が解説!

1.国際結婚手続きの用語解説 本ページでは,国際結婚手続きにおける専門用語を解説していきます。 以降の内容をご参照いただくにあたり必要となる前提知識ですので,ご一読の上,次の項目に進んでください。 ①国際結婚の成立とは? 国際結婚が有効に成立するには,双方の国籍国(本事例でいうと日本とフランス)において,法的に有効な婚姻関係にあることが原則必要とされています。 日本で先に結婚手続きを行うことを日本方式と言い,フランスで先に結婚手続きを行うことをフランス方式と言います。 ②婚姻要件具備証明書とは? 外国人が,日本方式の婚姻を有効に成立させるためには,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件(婚姻できる年齢に達していること,独身であることなど)を満たしていることが必要とされています。 もっとも,日本の市区町村役場で,外国人配偶者の国籍国の法律を全て審査することは現実的ではありません。 そこで,国際結婚においては,相手国が発給した婚姻要件具備証明書を提出することによって,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていると判断することにしているのです。 なお,発行国によっては,独身証明書などと言われることがありますが,独身であることのみならず,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていることが明らかになるものであれば,基本的には婚姻要件具備証明書と考えていただいて差支えありません。 2.フランス人との国際結婚手続きで注意すること フランス人と日本人との国際結婚手続きの際,ご注意いただきたい事項を下記に記載いたします。 ①婚姻要件具備証明書について フランスは婚姻要件具備証明書が発行される国ですので,日本方式で婚姻を行う場合は,在日フランス大使館発行の婚姻要件具備証明書が必要になります。 ②婚姻可能な年齢について フランス人の婚姻可能な年齢は,男女ともに18歳です。 なお,女子が妊娠しているなど重大な理由がある場合は,検事の承認と父母の同意により,18歳未満の者でも婚姻が可能になる場合があります。 ③再婚禁止期間について フランスでは,再婚禁止期間は定められていません。 もっとも,日本法では女性は離婚後100日間の再婚禁止期間があり(妊娠していないことの医師の証明書を提出すれば離婚後100日未満でも禁止されません),この規定はフランス人との婚姻にも適用されます。 3.国際結婚手続きにおける必要書類(日本方式) 本題の国際結婚手続きについて解説していきます。 ここからは,日本人とフランス人が日本方式で婚姻をおこなう場合の必要書類を記載します。 なお,提出先の市区町村役場によって若干の相違があるため,事前に役所照会することをお勧めいたします。 ①フランス人の婚姻要件具備証明書の申請における必要書類 まずは,在日フランス大使館または領事館にて婚姻要件具備証明書(Certificat de Capacité à Mariage)を取得する必要があります。 大使館に当事者二人で出頭し,申請してください。申請から4~6週間ほどで婚姻要件具備証明書が発行されます(郵送受取可)。 <フランス人の方にご準備いただく書類> ・パスポートのコピー ・在留カードのコピー(在留カードをお持ちの場合) ・住所証明書(在留カードをお持ちでない場合) ・出生証明書 ・国籍証明書 <日本人の方にご準備いただく書類> ・パスポートのコピー…

ミャンマー人との国際結婚手続きを専門行政書士が解説!

1.国際結婚手続きの用語解説 本チャプターでは,国際結婚手続きにおける専門用語を解説していきます。 以降の内容をご参照いただくにあたり必要となる前提知識ですので,ご一読の上,次のチャプターに進んでください。 ①国際結婚の成立とは? 国際結婚が有効に成立するには,双方(本事例でいうと日本とミャンマー)の国籍国において,法的に有効な婚姻関係にあることが原則必要とされています。 日本で先に結婚手続きを行うことを日本方式と言い,ミャンマーで先に結婚手続きを行うことをミャンマー方式と言います。 ②婚姻要件具備証明書とは? 外国人が日本方式の婚姻を有効に成立させるためには,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件(婚姻できる年齢に達していること,独身であることなど)を満たしていることが必要とされています。 もっとも,日本の市区町村役場で,外国人の国籍国の法律を全て審査することは現実的ではありません。 そのため,国際結婚においては,国籍国の公的機関が発行する婚姻要件具備証明書を提出することによって,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていると判断することにしています。 なお,発行国によっては,独身証明書などと言われることがありますが,独身であることのみならず,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていることが明らかになるものであれば,基本的には婚姻要件具備証明書と考えていただいて差支えありません。 2.ミャンマー人との国際結婚手続きで注意すること ミャンマー人と日本人との国際結婚手続きの際,ご注意いただきたい事項を下記に記載いたします。 ①宗教によって適用法が異なる ミャンマーは信仰する宗教によって婚姻の際に適用される法律が異なり,法律ではなく慣習によって決まっているものもあります。ただし,ミャンマー人の90%が仏教を信仰しており,ここでは仏教徒に適用される法律に従って婚姻手続きを解説していきます。 ②婚姻要件具備証明書について ミャンマーには,婚姻要件具備証明書という名称の書類は存在しません。ただし,裁判所指定の公証弁護士が作成したファミリーリスト(戸主を中心とした居住関係を示すものですが,婚姻状況等の身分事項も記載されています。)及び独身証明書が,日本では婚姻要件具備証明書に相当する書類として扱われています。 ③婚姻可能な年齢について 以前は,「身体的に婚姻可能な年齢」が婚姻可能な年齢と定められ,裁判例によって男性は18歳以上,女性は16歳以上とされていましたが,2019年に法改正され,男女ともに18歳以上と定められることになりました。 ④再婚禁止期間について ミャンマーの法律には再婚禁止期間は定められていませんが,再婚禁止期間についてはミャンマー人女性についても日本民法が適用されることになります。すなわち,離婚したミャンマー人女性は,離婚後100日間は原則として再婚することができません。 3.国際結婚手続きにおける必要書類(日本方式) 本題の国際結婚手続きについて解説していきます。 ここからは,日本人とミャンマー人が日本方式で婚姻をおこなう場合の必要書類を記載します。 なお,提出先の市区町村役場によって若干の相違があるため,事前に役所照会することをお勧めいたします。 ①日本の市区町村役場において必要となる書類 <日本人の方にご準備いただく書類> ・婚姻届書(日本人同士の場合と同様のものです) ・本人確認資料(運転免許証又はパスポート等) ・戸籍謄本(本籍地以外に婚姻届を提出する場合) <ミャンマー人の方にご準備いただく書類> ・裁判所指定の公証弁護士が作成した独身証明書(日本語訳を添付)  ※ミャンマー外務省の認証が必要です。 ・裁判所指定の公証弁護士が作成したファミリーリスト(日本語訳を添付)  ※ミャンマー外務省の認証が必要です。 ・パスポート  ※ミャンマー人が在外にいる場合は,パスポートのコピーで代替可能です。 ②ミャンマーへの婚姻報告について ミャンマー側に婚姻の成立を報告していなくても,婚姻の効力が否定されるわけではありませんが,報告の制度は存在します。なお,日本にあるミャンマー大使館では手続きができませんので,夫婦そろってミャンマーに行く必要があります。手続きはミャンマー人配偶者の住所地を管轄する裁判所で行い,判事の面前で夫婦が宣言・署名した結婚宣言書が結婚証明書として扱われています。 4.国際結婚手続きにおける必要書類(ミャンマー方式)…

アメリカ人との国際結婚手続きを専門行政書士が解説!

1.国際結婚手続きの用語解説 本稿では,国際結婚手続きにおける専門用語を解説していきます。 以降の内容をご参照いただくにあたり必要となる前提知識ですので,ご一読の上,次の稿に進んでください。 ①国際結婚の成立とは? 国際結婚が有効に成立するには,双方の国籍国(本事例でいうと日本とアメリカ)において,法的に有効な婚姻関係にあることが原則必要とされています。 日本で先に結婚手続きを行うことを日本方式と言い,アメリカで先に結婚手続きを行うことを米国方式と言います。 ②婚姻要件具備証明書とは? 外国人が,日本方式の婚姻を有効に成立させるためには,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件(婚姻できる年齢に達していること,独身であることなど)を満たしていることが必要とされています。 もっとも,日本の市区町村役場で,外国人配偶者の国籍国の法律を全て審査することは現実的ではありません。 そこで,国際結婚においては,相手国が発給した婚姻要件具備証明書を提出することによって,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていると判断することにしているのです。 なお,発行国によっては,独身証明書などと言われることがありますが,独身であることのみならず,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていることが明らかになるものであれば,基本的には婚姻要件具備証明書と考えていただいて差支えありません。 2.アメリカ人との国際結婚手続きで注意すること アメリカ人と日本人との国際結婚手続きの際,ご注意いただきたい事項を下記に記載いたします。 ①適用法について 米国は連邦制を採用しており,婚姻に関する事項は州が管轄することになっています。州により異なる婚姻法が定められていることから,米国方式に従った婚姻手続きを行う場合は,婚姻挙行地になる州の婚姻法に従った手続きを行う必要があります。 ②婚姻要件具備証明書について 在日米国領事の面前で,その者の所属する州法により婚姻適齢に達していること,日本人と結婚することについて法律上の障害がないことを宣言した旨の宣誓供述書(Affidavid)が,婚姻要件具備証明書として取り扱われています。宣誓供述書は在日米国大使館・領事館に両当事者が出頭して取得するため,米国人配偶者の来日が必要になります。 もっとも,米国人配偶者の来日が困難な場合は,その者の所属する州の公証人の面前で宣言した宣誓供述書が婚姻要件具備証明書として取り扱われますので,米国人配偶者が来日しない場合でも婚姻手続きは可能です。 ③婚姻可能な年齢について アメリカ人の婚姻可能な年齢は,ネブラスカ州とミシシッピ州以外は,男女ともに18歳以上と定められています。ネブラスカ州は男女とも17歳以上,ミシシッピ州は男性17歳以上,女性15歳以上が婚姻適齢として法定されています。 なお,父母の同意や裁判所の許可を受ければ,婚姻適齢に達していない者が婚姻できる州もあります。もっとも,日本法では16歳未満の女性との婚姻は公序良俗に反するものとして無効な婚姻になりますので,アメリカの裁判所の許可があったとしても,結局のところ16歳以上でなければ婚姻することはできません。 ④再婚禁止期間について 米国のどの州法にも,再婚禁止期間は定められていません。もっとも,日本法では女性は離婚後100日間の再婚禁止期間があり(妊娠していないことの医師の証明書を提出すれば離婚後100日未満でも禁止されません),この規定はアメリカ人との婚姻にも適用されます。 3.国際結婚手続きにおける必要書類(日本方式) 本題の国際結婚手続きについて解説していきます。 ここからは,日本人とアメリカ人が日本方式で婚姻をおこなう場合の必要書類を記載します。 なお,市区町村役場によって若干の相違があるため,事前に役所照会することをお勧めいたします。 ①日本の市区町村役場において必要となる書類 <日本人の方にご準備いただく書類> ・婚姻届書(日本人同士の場合と同様のものです) ・本人確認資料(運転免許証又はパスポート等) ・戸籍謄本(本籍地以外に婚姻届を提出する場合) <アメリカ人の方にご準備いただく書類> ・宣誓供述書※(日本語訳を添付) ・パスポート ※ アメリカ人配偶者が日本に在留している場合は,在日アメリカ大使館または領事館で取得が可能です。日本に在留していない場合は,所属の州の公証役場で取得してください。 ②米国への婚姻報告について 米国では,外国の法律に則って行われた婚姻手続きは,通常米国内でも法的に有効とみなされており,日本で成立した婚姻を合衆国政府にも州政府にも届ける制度が存在しません。そのため,日本で成立した婚姻を大使館・領事館に届ける必要はありません。 4.国際結婚手続きにおける必要書類(米国方式)…

ネパール人との国際結婚手続きを専門行政書士が解説!

1.国際結婚手続きの用語解説 本チャプターでは,国際結婚手続きにおける専門用語を解説していきます。 以降の内容をご参照いただくにあたり必要となる前提知識ですので,ご一読の上,次のチャプターに進んでください。 ①国際結婚の成立とは? 国際結婚が有効に成立するには,双方(本事例でいうと日本とネパール)の国籍国において,法的に有効な婚姻関係にあることが原則必要とされています。 日本で先に結婚手続きを行うことを日本方式と言い,ネパールで先に結婚手続きを行うことをネパール方式と言います。 ②婚姻要件具備証明書とは? 外国人が日本方式の婚姻を有効に成立させるためには,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件(婚姻できる年齢に達していること,独身であることなど)を満たしていることが必要とされています。 もっとも,日本の市区町村役場で,外国人配偶者の国籍国の法律を全て審査することは現実的ではありません。 そのため,国際結婚においては,国籍国の公的機関が発行する婚姻要件具備証明書を提出することによって,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていると判断することにしています。 なお,発行国によっては,独身証明書などと言われることがありますが,独身であることのみならず,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていることが明らかになるものであれば,基本的には婚姻要件具備証明書と考えていただいて差支えありません。 2.ネパール人との国際結婚手続きで注意すること ネパール人と日本人との国際結婚手続きの際,ご注意いただき事項を下記に記載いたします。 ①婚姻要件具備証明書について ネパールは,婚姻要件具備証明書を発行しない国です。 そのため,婚姻要件具備証明書に代わる書類によって,ネパール人の婚姻要件の充足を証明することになります。 ②婚姻可能な年齢について ネパール人の婚姻可能な年齢は,男女ともに20歳以上です。 なお、以前は婚姻当事者の年齢差が20歳を超えてはならないとされていましたが、現在はその制約は撤廃され、年齢差のある当事者も婚姻が可能になりました。 ③再婚禁止期間について ネパールの法律には再婚禁止期間の規定がありません。 ただし,日本方式で婚姻手続きを行う場合は,日本民法の再婚禁止期間が適用され,前婚の解消又は取消の日から100日を経過していることが要件とされています。もっとも,ネパール人女性が妊娠していないという医師の診断書を提出することによって,100日を経過していない場合でも婚姻することができます。 3.国際結婚手続きにおける必要書類(日本方式) 本題の国際結婚手続きについて解説していきます。 ここからは,日本人とネパール人が日本方式で婚姻をおこなう場合の必要書類を記載します。 なお,市区町村役場によって若干の相違があるため,事前に提出先の役所に照会してください。 ①日本の市区町村役場において必要となる書類 <日本人の方にご準備いただく書類> ・婚姻届書(日本人同士の場合と同様のものです) ・本人確認資料(運転免許証又はパスポート等) ・戸籍謄本(本籍地以外に婚姻届を提出する場合) <ネパール人の方にご準備いただく書類> ・独身証明書(日本語訳を添付) ※ネパール外務省にて認証後,在日ネパール大使館にて認証を受ける必要があります。 ・出生証明書(日本語訳を添付) ・パスポート ※ネパール人が在外にいる場合は,パスポートのコピーで代替可能です。 ・申述書 ②ネパールへの婚姻登録について ネパールでは婚姻登録制度があります。配偶者ビザの申請の際には,ネパール大使館が発行するレターを入管に提出すれば足りますが,ネパール側で正式に婚姻を登録するには、夫婦二人でネパールに渡航し,ネパール本国で手続きが必要になります。日本の役所に婚姻届を提出した後,ネパールの役場で婚姻登録手続きを行ってください。…