依田 隼弥

アメリカ人との国際結婚手続きを専門行政書士が解説!

本ページでは,日本人とアメリカ人との国際結婚手続きについて,国際業務専門の行政書士が解説します。

1.国際結婚手続きの用語解説

本稿では,国際結婚手続きにおける専門用語を解説していきます。
以降の内容をご参照いただくにあたり必要となる前提知識ですので,ご一読の上,次の稿に進んでください。

①国際結婚の成立とは?

国際結婚が有効に成立するには,双方の国籍国(本事例でいうと日本とアメリカ)において,法的に有効な婚姻関係にあることが原則必要とされています。
日本で先に結婚手続きを行うことを日本方式と言い,アメリカで先に結婚手続きを行うことを米国方式と言います。

②婚姻要件具備証明書とは?

外国人が,日本方式の婚姻を有効に成立させるためには,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件(婚姻できる年齢に達していること,独身であることなど)を満たしていることが必要とされています。
もっとも,日本の市区町村役場で,外国人配偶者の国籍国の法律を全て審査することは現実的ではありません。
そこで,国際結婚においては,相手国が発給した婚姻要件具備証明書を提出することによって,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていると判断することにしているのです。
なお,発行国によっては,独身証明書などと言われることがありますが,独身であることのみならず,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていることが明らかになるものであれば,基本的には婚姻要件具備証明書と考えていただいて差支えありません。

2.アメリカ人との国際結婚手続きで注意すること

アメリカ人と日本人との国際結婚手続きの際,ご注意いただきたい事項を下記に記載いたします。

①適用法について

米国は連邦制を採用しており,婚姻に関する事項は州が管轄することになっています。州により異なる婚姻法が定められていることから,米国方式に従った婚姻手続きを行う場合は,婚姻挙行地になる州の婚姻法に従った手続きを行う必要があります。

②婚姻要件具備証明書について

在日米国領事の面前で,その者の所属する州法により婚姻適齢に達していること,日本人と結婚することについて法律上の障害がないことを宣言した旨の宣誓供述書(Affidavid)が,婚姻要件具備証明書として取り扱われています。宣誓供述書は在日米国大使館・領事館に両当事者が出頭して取得するため,米国人配偶者の来日が必要になります。
もっとも,米国人配偶者の来日が困難な場合は,その者の所属する州の公証人の面前で宣言した宣誓供述書が婚姻要件具備証明書として取り扱われますので,米国人配偶者が来日しない場合でも婚姻手続きは可能です。

③婚姻可能な年齢について

アメリカ人の婚姻可能な年齢は,ネブラスカ州とミシシッピ州以外は,男女ともに18歳以上と定められています。ネブラスカ州は男女とも17歳以上,ミシシッピ州は男性17歳以上,女性15歳以上が婚姻適齢として法定されています。
なお,父母の同意や裁判所の許可を受ければ,婚姻適齢に達していない者が婚姻できる州もあります。もっとも,日本法では16歳未満の女性との婚姻は公序良俗に反するものとして無効な婚姻になりますので,アメリカの裁判所の許可があったとしても,結局のところ16歳以上でなければ婚姻することはできません。

④再婚禁止期間について

米国のどの州法にも,再婚禁止期間は定められていません。もっとも,日本法では女性は離婚後100日間の再婚禁止期間があり(妊娠していないことの医師の証明書を提出すれば離婚後100日未満でも禁止されません),この規定はアメリカ人との婚姻にも適用されます。

3.国際結婚手続きにおける必要書類(日本方式)

本題の国際結婚手続きについて解説していきます。
ここからは,日本人とアメリカ人が日本方式で婚姻をおこなう場合の必要書類を記載します。
なお,市区町村役場によって若干の相違があるため,事前に役所照会することをお勧めいたします。

①日本の市区町村役場において必要となる書類

<日本人の方にご準備いただく書類>
・婚姻届書(日本人同士の場合と同様のものです)
・本人確認資料(運転免許証又はパスポート等)
・戸籍謄本(本籍地以外に婚姻届を提出する場合)

<アメリカ人の方にご準備いただく書類>
・宣誓供述書※(日本語訳を添付)
・パスポート
※ アメリカ人配偶者が日本に在留している場合は,在日アメリカ大使館または領事館で取得が可能です。日本に在留していない場合は,所属の州の公証役場で取得してください。

②米国への婚姻報告について

米国では,外国の法律に則って行われた婚姻手続きは,通常米国内でも法的に有効とみなされており,日本で成立した婚姻を合衆国政府にも州政府にも届ける制度が存在しません。そのため,日本で成立した婚姻を大使館・領事館に届ける必要はありません。

4.国際結婚手続きにおける必要書類(米国方式)

次は,日本人とアメリカ人が米国方式で婚姻をする場合についてです。
米国方式で婚姻手続きをする場合は,アメリカ人配偶者が所属する州法に従った手続きを行う必要がありますが,多くの州では,婚姻許可状を取得した上で,婚姻の挙式をおこなうことによって婚姻が成立します。

①婚姻許可状ならびに婚姻証明書の取得について

まず,婚姻許可状は郡の公務員が発行する州がほとんどですが,裁判所書記官や市の書記官に発行権限をもたせている州もあるようです。また,血液検査が必要な州や性病罹患歴の申告,精神的障害の有無の申告を義務付けている州もあるようですので,事前に調べておきましょう。

婚姻許可状の発給を受けた後,当事者は州によって認められた挙式主催者の面前に出頭し,挙式主催者による挙式を行います。欧州諸国にみられるような伝統的なキリスト教の教義に則った儀式を想像されるかもしれませんが,現在では非常に簡易的で,婚姻の宣言をして書類にサインをするだけで済むようです。

挙式主催者が婚姻許可状に挙式の事実を記載し,婚姻許可状が郡の登録官に送付され,郡の婚姻登録簿に婚姻の事実が登録されると,婚姻証明書が発行されるようになります。

<日本人の方にご用意いただく書類>
・婚姻要件具備証明書※
・パスポート
※ 在米国日本大使館・領事館で取得できます。

②日本への婚姻報告について

郡登録所で婚姻登録がされた後,在米国日本大使館・領事館または日本の市区町村役場で,婚姻届(報告的届出)を提出してください。

<ご用意いただく書類>
・婚姻届書(アメリカ人配偶者の署名,証人欄の記入は不要)
・本人確認資料(運転免許証又はパスポート等)
・戸籍謄本(本籍地以外に婚姻届を提出する場合)
・婚姻証明書※(日本語訳を添付)
※米国外務省でアポスティーユを受けてください。

5.アメリカ人との国際結婚手続きのまとめ

アメリカ人との国際結婚手続きは,件数が多く,比較的簡便なため,それほど手続きに苦労しない国の一つです。
ただし,米国方式の婚姻は,州法に基づいた手続きになるため,州によってルールが異なります。
渡米前に手続きや必要書類を確認しておき,現地で遺漏のないように準備しておくことをお勧めします。

本ページが,アメリカ人との国際結婚をご検討されている方々のご参考になれば幸いです。

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この記事の監修者

行政書士法人第一綜合事務所

依田 隼弥

・令和3年度行政書士試験合格
山梨県出身。東京オフィスに所属し,外国人ビザ申請,国際結婚手続き,永住権取得など国際業務を専門としている。

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