仲野 翔悟

【解決事例】資料提出通知書(追加資料の要求)が届いた時

日本人Aさんと結婚し,配偶者ビザを持つ中国人妻のBさんには,中国に高齢の父親がいます。母親は数年前に他界をしており,Bさんの父親は中国に頼れる身寄りがありません。ある日,Bさんは父親の友人から連絡をもらい,父親が倒れ入院したとの連絡を受けました。Bさんは,急きょ中国に帰国し,父親の看病のため,長期間,中国に滞在することになりました。中国に長期間滞在する中,Bさん自身の在留期限が迫ってきていることから,Bさんは一旦日本に帰国し,在留期間更新許可申請を行いました。

その後,入管から「日本を長期間不在にしていた理由について説明した文書を提出してください。」と記載された「資料提出通知書(追加資料の要求)」が自宅に郵送されてきました。

この書類を受け取ったBさんは,書き方がまったくわからず,このままでは配偶者ビザが不許可となるのではないかとの不安に駆られ,当社へご相談に来られました。

1.はじめに

入管へビザ申請を行った後,「資料提出通知書」という書類が届くことがあります。

入管から資料提出通知書(追加資料の要求)が届いた場合,どのような書類を準備したらいいのか,説明文の書き方がわからないといったお悩みを抱えている方は多くいらっしゃると思います。今回は,その資料提出通知書についてご説明致します。

2.資料提出通知書とは?

資料提出通知書は,審査過程において不明点が発生した場合に,不明点を明らかにするために入管が求めるものです。例えば,提出した書類に不備がある場合,提出した書類では明らかとなっていない事項がある場合,提出した書類に疑義がある場合など,様々なケースが想定されます。

何もやましい事がなくても資料提出通知書が送られてくると,「不許可になるのではないか」,「何を提出したらいいのかわからない」,「求められた説明文をうまく作成できない」など,混乱してしまう方も少なくありません。

しかし,適切な対応をすれば許可の可能性は十分にありますので,まずは落ち着いて対応することが重要です。

3.資料提出通知書が届いた場合,どう対応すべきか?

資料提出通知書で求められる追加資料や説明文は,ビザ申請の許可・不許可を分ける重要な資料となります。そのため,入管からの追加資料・説明文の提出要求に対して,無視をしたり,適当な回答や的外れの回答を行うと不許可のリスクが非常に高まります。真摯に入管対応していれば許可となっていた可能性があったにもかかわらず,このような不誠実な対応で不許可となるのは非常にもったいないです。

当社においても,資料提出通知書の対処方法を間違えて不許可となってしまったという相談が多数ございます。そして,その多くが適切に対応をしていれば許可となっていたのではないかと想定されるケースです。また,不適切な対応をとってしまったがために不許可となったケースで再度申請するとなると,入管は不許可となった申請の資料を保管しているため,再申請にも悪影響を与えることになってしまいます。

このような不幸な事態を招かないためには,資料提出通知書が届いた場合に,慌てることなく,資料を求めている入管の意図を知ることに努めてください。この作業は,非常に高度な知識を要するため,ご自身での分析が困難と判断された場合には,早めにビザ申請の専門家に相談することをお勧めします。

4.資料提出通知書の提出期限

また,資料提出通知書には提出期限が設けられています。通常,2週間程度の期限が設けられているので,時間との勝負になります。仮に,期限内に追加資料を提出することができない場合には,すでに提出された書類のみで審査を完了する旨の記載がされています。そのため,提出期限の遵守についても意識をする必要があります。

もっとも,外国から資料を取り寄せなければならない場合や,求められた提出資料が期限内に作成できない場合などは,入管に事情を説明し,期限の延長を求める連絡をしてください。決して,連絡なしに資料提出通知書の提出期限を超過してはいけません。

5.資料提出通知書の対応の重要性

資料提出通知書を入管から受け取ると,追加資料提出までは入管での審査は通常ストップしています。資料提出通知書に基づき追加書類や説明文を入管に提出した後,審査が再開されます。しかし,提出した書類や説明文に更に不明な点や提出した書類に不備があった場合には,再度の資料提出通知書が送られてくることもあります。そのため,最初の資料提出通知書の対応は非常に重要です。

ただ,入管申請の専門家でない場合には,入管の担当審査官が求めている意図を理解し,その意図に沿った詳細な説明をし,説明に合致した証拠を提出することは困難を伴います。このような場合は,一人で悩まずにビザ申請に特化している行政書士に相談されることが解決までの一番の近道です。

6.今回の事例における対処方法

配偶者ビザの審査要領には,社会通念上の夫婦の共同生活を営むといえるためには,特別な理由がない限り,同居して生活していることを要すると記載があります。

夫婦としての共同生活の実体を判断する上で,同居の有無が重要な考慮事情となるとしても,今回の事例のように夫婦によって種々の事情があります。

今回の事例では,Bさんは中国に兄弟姉妹や頼れる親戚がおらず,Bさんしか父親の看病をする人がいませんでした。また,Bさんが中国に滞在中,夫のAさんは2,3週間に1度,Bさんが滞在する中国に渡り,Bさんの父親の看病をBさんと一緒にしていました。

そこで,お父様の入院記録,ご主人様の渡航歴を示す資料と共に,具体的な理由を記載した説明文を提出しました。通常の在留期間更新許可申請の審査期間に比べると,審査期間は長くかかりましたが,結果的に無事に更新許可を得ることができました。

7.さいごに

本ページでは,資料提出通知書についてご説明しました。

資料提出通知書で求められる提出書類や説明文は,ビザ申請の許可・不許可を分ける重要なポイントになります。

場合によっては,入管との行政交渉も必要とすることから,資料提出通知書で迷っているのであれば,ビザ専門の行政書士へ早期にご相談ください。入管申請の専門家である行政書士が,お客様の状況をヒアリングしたうえで,資料提出通知書に沿った書類提出をサポートいたします。

この記事の監修者

行政書士法人第一綜合事務所

行政書士 仲野 翔悟

・日本行政書士会連合会(登録番号第23260654号)
・大阪府行政書士会(会員番号第8637号)
大阪府出身。大阪オフィスに所属し,外国人ビザ申請,永住権取得,国際結婚手続き,帰化許可申請など国際業務を専門としている。

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