依田 隼弥

ロシア人との国際結婚手続きを専門行政書士が解説!

ロシア人との国際結婚手続きを専門行政書士が解説!

本ページでは,日本人とロシア人との国際結婚手続きについて,国際業務専門の行政書士が解説します。

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1.国際結婚手続きの用語解説

本稿では,国際結婚手続きにおける専門用語を解説していきます。
以降の内容をご参照いただくにあたり必要となる前提知識ですので,ご一読の上,次の稿に進んでください。

①国際結婚の成立とは?

国際結婚が有効に成立するには,双方の国籍国(本事例でいうと日本とロシア)において,法的に有効な婚姻関係にあることが原則必要とされています。
日本で先に結婚手続きを行うことを日本方式と言い,ロシアで先に結婚手続きを行うことをロシア方式と言います。

②婚姻要件具備証明書とは?

外国人が,日本方式の婚姻を有効に成立させるためには,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件(婚姻できる年齢に達していること,独身であることなど)を満たしていることが必要とされています。
もっとも,日本の市区町村役場で,外国人配偶者の国籍国の法律を全て審査することは現実的ではありません。
そこで,国際結婚においては,相手国が発給した婚姻要件具備証明書を提出することによって,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていると判断することにしているのです。

なお,発行国によっては,独身証明書などと言われることがありますが,独身であることのみならず,国籍国の法律が定めている婚姻の成立要件を満たしていることが明らかになるものであれば,基本的には婚姻要件具備証明書と考えていただいて差支えありません。

2.ロシア人との国際結婚手続きで注意すること

ロシア人と日本人との国際結婚手続きの際,ご注意いただきたい事項を下記に記載いたします。

①適用法について

ロシアは連邦制を採用しておりますが,婚姻に関する事項は,政府が定める家族法に従うことになっています。もっとも,一部の婚姻要件については,地方自治体の立法により特別条項を設けることができるとされているため,ロシア方式に従った婚姻手続きを行う場合は,婚姻挙行地になる自治体の制度にも注意を払う必要があります。

②婚姻要件具備証明書について

ロシアは婚姻要件具備証明書が発行される国です。日本方式で婚姻する場合は,在日ロシア大使館に婚姻両当事者が出頭して婚姻要件具備証明書を取得することになるため,ロシア人配偶者の来日が必要になります。

③婚姻可能な年齢について

ロシア人の婚姻可能な年齢は,男女ともに18歳以上と法定されています。
なお,婚姻締結地の立法によって,女子の妊娠など特別事情がある場合は婚姻を許可することができるとされている場合もあります。

④再婚禁止期間について

ロシアの家族法には,再婚禁止期間は定められていません。
もっとも,日本法では女性は離婚後100日間の再婚禁止期間があり(妊娠していないことの医師の証明書を提出すれば離婚後100日未満でも禁止されません),この規定はロシア人との婚姻にも適用されます。

3.国際結婚手続きにおける必要書類(日本方式)

本題の国際結婚手続きについて解説していきます。
ここからは,日本人とロシア人が日本方式で婚姻をおこなう場合の必要書類を記載します。
なお,提出先の市区町村役場によって若干の相違があるため,事前に役所照会することをお勧めいたします。

①日本の市区町村役場において必要となる書類

<日本人の方にご準備いただく書類>
・婚姻届書(日本人同士の場合と同様のものです)
・本人確認資料(運転免許証又はパスポート等)
・戸籍謄本(本籍地以外に婚姻届を提出する場合)

<ロシア人の方にご準備いただく書類>
・婚姻要件具備証明書※(日本語訳を添付)
・国外パスポート

※ 在日ロシア大使館または領事館で取得が可能です。取得するには,ロシア人配偶者の国外パスポートと国内パスポートが必要になります。

②ロシアへの婚姻報告について

ロシアでは,外国の法律に則って行われた婚姻手続きは,ロシア国内でも法的に有効とみなされており,日本で成立した婚姻をロシア側に届ける制度が存在しません。そのため,日本で成立した婚姻を大使館・領事館に届ける必要はありません。したがって,日本方式で婚姻した場合は,ロシアの婚姻証明書は発行されません。
もっとも,日本で婚姻が成立した旨の証明書(婚姻届受理証明書)を大使館・領事館に提出すれば,婚姻を確認した旨の書類を発行してもらうことができ,通常はこの書類を入国管理局への申請の際に提出することになります。

4.国際結婚手続きにおける必要書類(ロシア方式)

日本人とロシア人がロシア方式で婚姻をする場合についてです。
ロシア方式で婚姻手続きをする場合は,ロシア人配偶者が所属する自治体の機関(ZAGS)が窓口になっており,ZAGSで婚姻登録が行われることによって婚姻が成立します。

①ロシアでの婚姻手続きについて

ロシア方式で婚姻手続きを行う際には,まず,日本人配偶者の婚姻要件具備証明書を取得することから始まります。
戸籍謄本とパスポートを持参のうえ,在ロシア日本大使館・領事館にて婚姻要件具備証明書を取得してください。原則,申請日から2営業日で婚姻要件具備証明書が発行されます。
婚姻要件具備証明書が発行されましたら,ロシアの外務省で婚姻要件具備証明書の認証手続きを行ってください。この手続きは,婚姻要件具備証明書が正式に日本公館から発行されたものであることを証明するために必要な手続きです。

上記の手続きが完了すると,ZAGSで婚姻の手続きを行います。
書類に不備がなければ申請から1か月経過後の日付で挙式日程が指定され,挙式が終われば婚姻の事実が登録され,結婚証明書が発行されます。
挙式日程については,事情があれば1カ月を経過しない日付で指定を受けることもできることになっていますので,ロシアでの滞在日程が確保できない場合は,ZAGSで挙式日の日程を交渉してください。

<日本人の方にご用意いただく書類>※
・婚姻要件具備証明書
・パスポートおよびIDページのロシア語公認翻訳

<ロシア人の方にご準備いただく書類>※
・身分証

※ 提出先のZAGSによっては他の書類を求められることもありますので,あらかじめ提出先のZAGSに確認してください。

②日本への婚姻報告について

ロシアで婚姻登録がされた後,在ロシア日本大使館・領事館または日本の市区町村役場にて婚姻届(報告的届出)を提出してください。

<ご用意いただく書類>
・婚姻届書(ロシア人配偶者の署名,証人欄の記入は不要)
・本人確認資料(運転免許証又はパスポート等)
・戸籍謄本(本籍地以外に婚姻届を提出する場合)
・婚姻証明書及び日本語訳文
・ロシア人配偶者の国籍証明書及び日本語訳文
・ロシア人配偶者の出生証明書及び日本語訳文

5.ロシア人との国際結婚手続きを専門行政書士が解説のまとめ

ロシア人との国際結婚手続きは,比較的事例が多いため,それほど手続きに苦労しない国の一つです。
ただし,ロシア方式の婚姻は,ロシアに渡って手続きを行う必要があるため,渡航前に必要書類を確認しておき,現地で遺漏のないように準備しておくことをお勧めします。

本ページが,ロシア人との国際結婚をご検討されている方々のご参考になれば幸いです。
ご不明がございましたら,行政書士法人第一綜合事務所の無料相談をご利用ください。

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この記事の監修者

行政書士法人第一綜合事務所

行政書士 依田 隼弥

・日本行政書士会連合会(登録番号第24081844号)
・東京都行政書士会(会員番号第15335号)
山梨県出身。東京オフィスに所属し,外国人ビザ申請,国際結婚手続き,永住権取得など国際業務を専門としている。

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