依田 隼弥

インドネシア人との国際結婚|手続きの流れ,注意点,必要書類を行政書士が解説

インドネシア人との国際結婚|手続きの流れ,注意点,必要書類を行政書士が解説

インドネシアでは、5つの宗派が存在しています。インドネシア人との国際結婚をする場合、この宗教や地域によって手続きが異なるため、事前にしっかりと把握しておくことが大切です。
そこで今回は、インドネシア人と国際結婚をする際の手続きについて解説します。
下記のような悩みを解決できる内容になっていますので、ぜひ参考にしてください。

  • インドネシアは一夫多妻制と聞いたけど、日本でも手続きできるの?
  • 日本とインドネシア、どっちの国で先に手続きした方がいいの?
  • インドネシア人と結婚する際に必要な書類や手続きの具体的な流れが知りたい

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1.インドネシアと日本双方の国での国際結婚の手続きが必要

インドネシア人と結婚するには、日本とインドネシア双方の国での国際結婚の手続きが必要です。
日本で先に手続きする場合は「日本方式」、インドネシアで先に手続きする場合は「インドネシア方式」と呼ばれています。
基本的に、どちらの国から先に手続きを始めても問題ありません。

よりスムーズに国際結婚の手続きを行うためには、以下のように、配偶者の居住先や所持しているビザの種類等によって検討すると良いでしょう。

日本人配偶者 インドネシア人配偶者
日本方式が
おすすめ
日本に居住している
日本で一緒に暮らす予定
インドネシアに
渡航するのが難しい
就労ビザ、留学ビザ
などのビザを持っている
インドネシア方式
がおすすめ
インドネシアに居住している
インドネシアで一緒に暮らす予定
ビザを持っていない

また、日本方式で手続きを行う場合、インドネシアに行かずとも書類等の準備が可能であれば日本国内のみの手続きで済みます。

2.インドネシア人との国際結婚で注意すること

インドネシア人との国際結婚において、注意すべきことが4つあります。

①婚姻可能な年齢について
②再婚禁止期間について
③重婚について
④イスラム方式と非イスラム方式で手続きが異なる

実際に、国際結婚の手続きを行う前に確認しておきましょう。

①婚姻可能な年齢について

インドネシア人の婚姻可能な年齢は、男性が19歳女性が16歳です。
また、21歳に達していないインドネシア人が婚姻する場合には、両親の許可が必要になります。
男女ともに、婚姻可能な年齢が18歳とされている日本とは異なるので注意しましょう。

②再婚禁止期間について

インドネシアの再婚禁止期間は、死別と離婚で区別されています。
死別の場合は130日間、離婚の場合は90日間が再婚禁止期間です。
ただし、例外として、死別や離婚の婚姻解消時点で懐胎していた場合には、出産以後、再婚禁止期間は適用されません。
また、同一の夫婦による再婚は3回してはならないという制限があります。

③重婚について

インドネシアでは、日本と同様に原則は一夫一妻ですが、イスラム教徒は一夫多妻制が認められています。
ただし、日本方式で婚姻する場合は重婚禁止規定になってしまうため、一夫多妻の婚姻届は受理されません。

インドネシア方式によって婚姻をした場合は、重婚についてインドネシアは有効と判断されます。
一方,日本については、民法上は婚姻の取消事由ではあるものの無効事由とはされていません。
そのため、重婚であっても婚姻届は受理され、日本人の戸籍に婚姻の記載をせざるを得ないとされています。

④イスラム方式と非イスラム方式で手続きが異なる

インドネシアでは、無宗教は認められておらず、イスラム教、カトリック、プロテスタント、ヒンドゥー教、仏教が国教になっています。
夫婦同一宗教が原則なので、イスラム方式で国際結婚をする場合、同じ宗教に改宗する必要があります。
日本方式での手続きの場合は、改宗の必要はありません。

インドネシア方式の場合、各宗派に応じた結婚式(儀式)を行わなければなりません。
5つの宗派によって異なるため、事前に確認しておきましょう。

また、役所やKUA(イスラム宗教事務所)の地域差やローカルルールによっても手続きが異なります。
主に、イスラム方式なのか非イスラム方式なのかによって大きく異なりますが、細かいルールは一般化するのが難しいため、事前に日本大使館やインドネシア大使館・総領事館に確認しましょう。

3.日本で先に国際結婚の手続きをする場合【日本方式】

ここでは、日本方式で国際結婚手続きを行う場合の流れと、必要書類を解説します。

①日本方式で国際結婚の手続きをする流れ

日本方式で国際結婚の手続きを行う場合の流れは、以下の通りです。

(1)インドネシアで手続きに必要な書類を用意する
(2)インドネシア大使館で「婚姻要件具備証明書」を取得する
(3)日本の市役所に「婚姻届」を提出する
(4)インドネシア共和国大使館に「婚姻報告」をする

なお、それぞれの段階で必要な書類に関しては、後術する「②日本方式で必要な書類一覧」でご確認ください。
では、それぞれ詳しく解説します。

(1)インドネシアで手続きに必要な書類を用意する
配偶者の居住場所に関わらず、インドネシア人配偶者が必要な書類を準備しましょう。
配偶者がインドネシアに居住している場合は、本人が現地で書類を準備します。
配偶者が日本に滞在している場合は、インドネシアの親族に書類を準備してもらうと、インドネシアに帰国せずに手続きを行えます。

ただし、必要書類を日本で全て準備できない場合は、一度インドネシアに帰国し、書類を揃える必要があるので注意しましょう。
必要な書類に関しては、次の章で説明する「②日本方式で必要な書類一覧」でご確認ください。

(2)インドネシア大使館で「婚姻要件具備証明書」を取得する
駐日インドネシア共和国大使館・在大阪インドネシア共和国総領事館のいずれかで、インドネシア人配偶者の「婚姻要件具備証明書」を取得します。
この際、大使館・領事館の窓口には二人揃って来館する必要があるので注意しましょう。
申請に必要な書類に関しては、「②日本方式で必要な書類一覧」で確認してください。

申請後、不備がなければ当日に「婚姻要件具備証明書」が発行されます。

(3)日本の市役所に「婚姻届」を提出する
「婚姻要件具備証明書」が発行されたら、日本の市役所に「婚姻届」を提出します。
婚姻届は、窓口での記入が可能ですが、他の必要書類に関しては自治体ごとに若干違いがあります。
婚姻届を提出する前に、事前に居住地域の自治体に確認しておきましょう。

(4)インドネシア共和国大使館に「婚姻報告」をする
日本側への結婚報告後は、インドネシア側に結婚報告を行います。
駐日インドネシア共和国大使館・在大阪インドネシア共和国総領事館に、必要書類を提出することで「婚姻報告」は完了です。
来館の際は、婚姻当事者二人で来庁しましょう。

届出が受理された後に、「婚姻証明書」が発行されます。

日本で一緒に暮らす際に必要な「配偶者ビザ」の申請で必要になるので、大切に保管しておきましょう。

配偶者ビザの申請方法については,以下のコラムで詳しく記載していますので,ご参照ください。

>>配偶者ビザ 申請方法 はコチラ

②日本方式で必要な書類一覧

下記は、日本方式で国際結婚の手続きを行う場合に必要な書類を、各手続きごとにまとめた一覧表です。
書類を準備する際に参考にしてみてください。

日本人側が準備する書類等 インドネシア人側が準備する書類等
婚姻要件具備証明書の
申請で必要な書類等
戸籍謄本 婚姻要件具備証明書の申請書
(大使館で記入)
住民票 独身証明書
(婚姻履歴のある方は離婚証明書
又は死亡証明書のコピーが必要)
独身証明書 出生証明書
離婚届受理証明書
(離婚歴のある方のみ)
家族登録簿
両親又は家族の同意書
(婚姻履歴のある方は、
両親又は家族の同意書は不要)
系統証明書
パスポートのコピー 両親証明書
顔写真:1枚(4cm×3cm、背景は白) 両親又は家族の同意書:
6000ルピアの収入印紙貼付済みのもの
(婚姻履歴のある方は、
両親又は家族の同意書は不要)
IDカード(KTP)又は在留カード
(短期滞在ビザの方は上陸許可の証印ページを提示)
パスポートのコピー
顔写真1枚
(4cm×3cm、白背景のもの)
日本への婚姻届提出に
必要な書類
婚姻届 婚姻要件具備証明書
(和訳文も必要)
本人確認資料
(運転免許証又はパスポート等)
パスポート
戸籍謄本
(本籍地以外に婚姻届を提出する場合)
在留カード(あれば)
インドネシアへの
婚姻報告で必要な書類
パスポート
婚姻成立後の戸籍謄本
(インドネシア語への訳文、外務省の認証は不要)
婚姻届受理証明書
(インドネシア語への訳文が必要)

日本への婚姻届提出や、インドネシアの婚姻報告の際には、地域で若干異なる場合もあるので、事前に確認しておきましょう。

4.インドネシアで先に国際結婚の手続きをする場合【インドネシア方式】

インドネシア方式で国際結婚の手続きをする場合の、流れと必要書類を解説します。
インドネシアは、イスラム教徒とその他の宗派で手続きを行う役所や必要書類が異なるので注意が必要です。

①インドネシア方式で国際結婚の手続きをする流れ

インドネシア方式で国際結婚の手続きを行う場合の流れは、以下の通りです。

(1)日本で必要書類を準備し、インドネシアに渡航する
(2)在インドネシア日本大使館で「婚姻要件具備証明書」を取得する
(3)インドネシアの民事登録局またはKUA宗教事務所で「婚姻手続き」をする
(4)インドネシアで結婚式を行う
(5)日本大使館または市役所に婚姻届を提出する

なお、それぞれの段階で必要な書類に関しては、後述する「②インドネシア方式で必要な書類一覧」でご確認ください。
では、それぞれ詳しく解説します。

(1)日本で必要書類を準備し、インドネシアに渡航する
日本にいる場合は、国内で国際結婚の手続きに必要な書類を準備します。
すでにインドネシアに居住している場合は、日本にいる親族に書類を準備してもらいましょう。

必要書類が準備できたら、インドネシアに渡航します。
インドネシアでの滞在が30日以内になるのであれば、VOA(到着ビザ)の取得が可能です。
VOAは、現地の空港にて取得可能なので、到着時にビザを取得することができます。

申請には、以下の条件があるため事前に把握しておきましょう。

1. 帰路のチケット、または第3国へのチケットが必要 (往復チケット)
2. パスポートの残存有効期間が6ヶ月以上
3. ビザ料金 Rp 500.000 (現金のみ)

30日の延長も可能ですが、実際に手続きを行う前に現地の入国管理局に確認が必要です。

(2)在インドネシア日本大使館で「婚姻要件具備証明書」を取得する
在インドネシア日本大使館に必要書類等を持参して、日本人の「婚姻要件具備証明書」を取得します。
大使館の窓口には、本人が出頭しなければならないため注意しましょう。
また、来館する際には、事前に予約が必要です。駐車場も使用できますが、こちらも予約が必要なので、事前に連絡しておきましょう。

申請後、問題がなければ即日から翌営業日に「婚姻要件具備証明書」が交付されます。

(3)インドネシアの民事登録局またはKUA宗教事務所で「婚姻手続き」をする
インドネシアでは、イスラム教徒とその他の宗派で手続きを行う役所が異なります。
インドネシア人配偶者がイスラム教徒の場合は「KUA宗教事務所」、それ以外の宗教の場合は「民事登録局」にて手続きを行いましょう。

必要書類が受理された後、10日間の告知期間があります。
必要書類等に関しては、「②インドネシア方式で必要な書類一覧」に記載しておりますが、正確な必要書類等は宗教や地域ごとに異なるため、事前に確認しましょう。

(4)インドネシアで結婚式を行う
インドネシアでは、結婚式の中で婚姻が成立するため、必ず結婚式を行う必要があります。
イスラム方式の場合は結婚式を挙げた日、その他の宗教の場合は婚姻登録された日が婚姻の成立日になります。

結婚式の内容は、各宗派によって異なりますが、婚姻登録簿に署名する人物は共通しています。

  • 婚姻当事者2名
  • 婚姻当事者の後見人(一般的には、婚姻当事者のそれぞれの父親)
  • 2名の証人
  • 登録官

(5)日本大使館または市役所に婚姻届を提出する
婚姻成立後は、日本側に結婚の報告をする必要があります。
結婚の報告は、婚姻届を日本大使館か日本の市役所に提出することで完了します。

戸籍への反映には、日本大使館の場合は2ヶ月程度、日本の市役所の場合は1週間前後かかるとされています。
自治体によっては、国際結婚の受理件数がゼロという場合もあり、手間がかかる可能性もあるので事前に専門家に相談するのがおすすめです。

②インドネシア方式で必要な書類一覧

下記は、インドネシア方式で国際結婚の手続きを行う場合に必要な書類を、各手続きごとにまとめた一覧表です。
書類を準備する際に参考にしてみてください。

日本人側が
準備する書類等
インドネシア人側が
準備する書類等
婚姻要件具備証明書の
申請で必要な書類等
婚姻要件具備証明書の申請書
(大使館で記入)
出生証明書
パスポート:原本+コピー 身分証明書
戸籍謄本:原本
(3か月以内に発行したもの)
戸籍謄本の内容をローマ字と
英語で記入した書類
家族のパスポートコピー
(証明書に記載が必要)
インドネシアでの
婚姻手続きで必要な書類
婚姻要件具備証明書 本人確認書類
(出生証明書など)
パスポート:原本+コピー
その他、役所で求められるもの
(入信証明書や洗礼証明書など)
日本への婚姻報告で
必要な書類
婚姻届:3通 婚姻証明書:原本
戸籍謄本 出生証明書:原本
婚姻要件具備証明書のコピー 各種証明書の日本語訳文
(翻訳者の署名と連絡先)
パスポート

日本への婚姻届提出や、インドネシアでの婚姻手続きの際には、地域や宗教で異なるため事前に確認しておきましょう。

5.インドネシア人との国際結婚手続きのまとめ

インドネシア人との国際結婚においては、配偶者の居住場所やビザの有無などによって、どちらの国で先に手続きをした方がスムーズか異なります。
また、インドネシア方式で国際結婚の手続きを行う場合、宗教や地域によって必要書類などが変わってくるので注意しましょう。

これからインドネシア人と国際結婚を考えている方にとって、本ページがご参考になれば幸いです。
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この記事の監修者

行政書士法人第一綜合事務所

行政書士 依田 隼弥

・日本行政書士会連合会(登録番号第24081844号)
・東京都行政書士会(会員番号第15335号)
山梨県出身。東京オフィスに所属し,外国人ビザ申請,国際結婚手続き,永住権取得など国際業務を専門としている。

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