依田 隼弥

特定技能ビザから配偶者ビザに変更はできる?1号・2号の違いと永住申請時のメリットを解説

特定技能ビザから配偶者ビザに変更はできる?1号・2号の違いと永住申請時のメリットを解説

「技能実習ビザから配偶者ビザへ変更することは難しい」というのが定説になりつつあります。

では仕事内容が似ている技能実習ビザと同様に、特定技能ビザについても配偶者ビザへの変更は難しいのでしょうか?

特定技能外国人の増加もあって、特定技能ビザから配偶者ビザへの変更についてのご質問を受ける機会が増えてきました。

このような疑問を解消するため、本コラムでは特定技能ビザから配偶者ビザへの変更における入管法上のルールをはじめ、特定技能1号・2号と配偶者ビザの違い、そして切り替えることで得られるメリットについて国際業務専門の行政書士が解説します。

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1.特定技能ビザとは?技能実習ビザとの「目的」の違い

特定技能ビザは、深刻化する日本の人手不足に対応するため、2019年4月に創設された就労資格です。発足してすぐの2019年末では1,621人だった特定技能ビザ保有者数は2025年末には390,296人にまで増えました。

日本の人手不足も相まって今後も増加が見込まれる特定技能ビザですが、仕事の種類が酷似する技能実習ビザとしばしば比較されます。

最大の違いは、技能実習ビザと特定技能ビザでは、その目的が大きく異なっていることです。

技能実習ビザは,日本の技能・技術・知識を学んでもらい、日本で学んだ技能等を母国に持ち帰って、母国の経済発展を担ってもらうことが目的です。(ただ、2027年4月には「育成就労」制度へ移行するのでこの目的も変質します。詳しくは育成就労の外部監査人は誰に頼む?外部役員廃止の注意点と第一綜合グループを選ぶメリットをご参照ください。)

これに対し、特定技能ビザは,日本の生産年齢人口の減少によって人材不足が深刻化する現場に対応することが目的とされています。

似通った業務に就く技能実習ビザ・特定技能ビザですが、それぞれの目的の違いによって、配偶者ビザへの変更の考え方は大きく異なります。

次の章で、その点を詳しく見ていきましょう。

2.特定技能ビザから配偶者ビザへの変更

技能実習ビザについては、結婚するには制限はないものの、当然に配偶者ビザへの変更が許可されるわけではありません。

なぜかと言うと、技能実習制度は日本で学んだ技能等を母国へ移転することを目的としているため、そのまま日本で生活することを想定していないからです。

この点については、技能実習生と結婚して日本で一緒に暮らしたい!配偶者ビザ取得の手続きと必要書類に記載していますのでご覧ください。

これに対して、特定技能ビザは、日本の人手不足に対応することを目的とするビザです。

技能実習ビザのように技術移転等の目的がないため、特定技能ビザを保有する外国人が日本人や永住者、定住者と結婚した場合、配偶者ビザへ変更することについて,入管法上の制限はありません。(なお、定住者の方と結婚した場合は、正確には「配偶者ビザ」ではなく「定住者」の資格のまま身分関係を変更する手続きになりますが、同様に制限なく切り替えが可能です。)

もちろん、特定技能ビザから配偶者ビザへの変更についても、一般的な許可要件は網羅する必要があります。

日本人、永住者、定住者と結婚したからといって,必ず配偶者ビザが許可されるわけではありませんので、誤解の無いようにしましょう。

まとめると、「技能実習ビザから配偶者ビザへの変更については,その制度趣旨から様々な規制はあるが、特定技能ビザから配偶者ビザへの変更については,入管法上の制限はない」とご理解ください。

3.特定技能ビザから配偶者ビザへ変更する3つのメリット

特定技能ビザを保有する外国人の方が、日本人や永住者、定住者と結婚した場合であっても,必ず配偶者ビザへ変更する必要はなく、特定技能ビザのままでも入管法上は問題ありません。

しかし、入管法における「就労ビザ(特定の活動を義務付ける在留資格)」から、身分系ビザである「配偶者ビザ(日本での身分や地位に基づく在留資格)」への切り替えは、外国人の方の日本生活において大きな変化をもたらします。一定の労働を行うことを前提とした就労資格から、家族としての身分に基づく資格へと変わると、それまで課されていた多くの制限がどのように解除・緩和されるのか、具体的な3つの変化を詳しく解説します。

なお、特定技能ビザは、1号と2号で在留期間や技能水準など様々な内容が異なります。

単に「特定技能ビザ」という表記の場合には、1号・2号共通事項としてご理解ください。

①在留期間の「通算5年」という上限制限がなくなる

特定技能ビザ1号で在留できる年数は、5年間が上限であることが入管法で定められています。

つまり、特定技能ビザ1号を保有する外国人は、5年を上限として本国へ帰国しなければならないのです。

そのため、たとえ日本人や永住者、定住者と結婚した場合であっても、特定技能ビザ1号のままでは、5年以上は日本で生活することはできません。

一方で、技能試験に合格して「特定技能2号」へステップアップできれば、1号のような通算5年という在留年数の上限は課されなくなります。以前は建設や造船など一部の業種に限られていた特定技能2号ですが、法制度の改正によって、介護を除くほぼすべての産業分野へと対象が大幅に拡大されました。ただ、特定技能2号に期間の上限がないとはいえ、それはあくまで「指定された産業分野で働き続けること」を前提とした就労ビザであることに変わりはありません。万が一、会社の倒産やケガ、病気などでその仕事を続けられなくなった場合には、ビザの維持が一気に難しくなるという就労資格ならではの不安定さがどうしても付きまといます。

これに対して、配偶者ビザは在留年数の上限がありません。

5年、3年、1年、6ヶ月のいずれかの在留期間の付与を受け、以後ビザ更新をすることで,引き続き日本で生活することができます。

特定技能1号の方はもちろんのこと、すでに2号への移行を果たしている方にとっても、生活と身分の安定性が向上するという点が、配偶者ビザへ変更する1つめのメリットとなります。

②就労制限がなくなる

特定技能ビザは、転職することはできるのですが、入管法で定められた仕事でしか働くことができません。

そのため、仕事を選ぶ場合には、産業分野の枠を超えた転職は原則として認められないため、常に入管法を意識しながら転職活動を行う必要があります。

一方、配偶者ビザは、就労制限がありません。

留学生のようなアルバイト時間の制限もありませんし、会社経営をすることだって自由にできます。

違法な仕事でない限りは、入管法の制限を受けることはありません。

そのため、配偶者ビザをお持ちの外国人については、入管法を気にすることなく、自由に仕事を選ぶことができるのです。

就労制限がなくなるというのが、配偶者ビザへ変更する2つ目のメリットです。

③永住ビザの取得条件が緩和される

「永住ビザ」を取得しようとする場合、原則として引き続き10年以上日本に在留しており、そのうち5年以上は適切な就労資格を持って働いていることが求められます。特定技能ビザも就労資格の一種ですから、この5年のカウントに含まれそうに思えるかもしれません。しかし、出入国在留管理庁が公表している公式の「永住許可に関するガイドライン」には明確な除外規定が設けられており、特定技能1号および技能実習の期間については、永住申請に必要な5年間の就労実績から除外するという見解が示されています。ちなみに、特定技能2号の期間は就労実績に含まれます。

もし特定技能1号のまま永住ビザを目指すのであれば、試験を突破して、就労実績としてカウントされる特定技能2号へ移行するか、他の一般的な就労ビザ(技術・人文知識・国際業務など)へ切り替えてさらに5年以上働き直すという、非常に長い道のりが必要になります。

一方、配偶者ビザを保有する外国人の方は、永住特例に該当します。

永住特例に該当すれば、日本に生活の本拠があるとして、永住要件の緩和という恩恵を受けることができます。

詳細は,「【2026年最新】永住権の条件と申請の流れを完全解説!必要書類から許可までのステップ」第3章の①「日本人,永住者及び特別永住者の配偶者またはその実子」、②「在留資格が定住者の人」に記載していますのでご覧ください。

外国人の方にとって、永住ビザを取得できるか否かは大きな違いです。

特定技能ビザ1号では永住ビザを取得できないのに対し、配偶者ビザを保有する外国人については、永住特例という恩恵まで受けることができるのです。

配偶者ビザへ変更することで、永住ビザが取得できるというのが3つ目のメリットです。

4.特定技能1号と2号の比較

ここまで解説した特定技能ビザの性質や制限の違いを、表に整理しました。

比較項目 特定技能1号 特定技能2号
在留期間の上限 通算5年(帰国リスク) 上限なし(要就労)
選べる仕事の範囲 指定された特定の産業分野のみ 指定された特定の産業分野のみ
転職の自由度 同一分野内でのみ可能 同一分野内でのみ可能
家族の呼び寄せ 原則不可 要件を満たせば可
永住権の申請要件へのカウント カウントされない カウントされる

5.特定技能から配偶者ビザへ切り替えて日本での安定した未来を築きましょう

本コラムの内容をまとめると、

  • 技能実習ビザと特定技能ビザは一見似ているが目的が異なる
  • 特定技能ビザから配偶者ビザへの変更については入管法上の制限はない
  • 特定技能ビザから配偶者ビザへ変更する方が多くのメリットがある
  • 特定技能ビザから配偶者ビザへ変更すれば在留年数の上限がなくなる
  • 配偶者ビザは就労制限がないので自由に仕事を選択できる
  • 特定技能ビザ1号は永住ビザを取得できないのに対し、配偶者ビザは可能である

今後も増加が見込まれる特定技能ビザ。
日本で社会生活を過ごす中で、恋愛し結婚するケースも増加することが予想されます。

そんな時には、ぜひ本コラムを思い出してください。

技能実習ビザから配偶者ビザへの変更が難しいという情報が多いため、特定技能ビザから配偶者ビザへの変更も難しいと考えられる方が多い印象です。

しかし、特定技能ビザから配偶者ビザへの変更については入管法上の制限はありません。
そのため、配偶者ビザの要件に合致すれば、ビザ変更が認められる可能性があります。

本コラムが、これから配偶者ビザへの変更を考えている方のご参考になれば幸いです。

この記事の監修者

行政書士法人第一綜合事務所

行政書士 依田 隼弥

・日本行政書士会連合会(登録番号第24081844号)
・神奈川県行政書士会(会員番号第6892号)
山梨県出身。横浜オフィスに所属し,外国人ビザ申請,国際結婚手続き,永住権取得など国際業務を専門としている。

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