2023.06.29 行政書士法人第一綜合事務所 配偶者ビザ結婚ビザ国際結婚日本人の配偶者等不許可交際歴日本語 配偶者ビザの不許可理由と対応策 1.配偶者ビザが不許可となる理由~交際に関すること~ 1-1.交際歴が短い 配偶者ビザを取得するためには,交際を経て,その関係が結婚にまで昇華したということを書面で立証していく必要があります。 自分たちは偽装結婚ではないから大丈夫!と考えられる方も多いのですが,交際歴が短い場合には,入管からあらぬ嫌疑を抱かれ,配偶者ビザが不許可になってしまうケースもあります。 では,どれくらいの交際歴が適正なのかという問いには,仮に身近なご友人が国際結婚をする場合,その交際歴で結婚をして大丈夫?と不安を感じるようであれば,配偶者ビザの不許可リスクは高まるとお考え下さい。 そのような場合には,通常よりも高度な婚姻実体の立証が必要となります。 1-2.年齢差が大きい 本来は,愛があれば年の差は関係ないはずです。 しかし,年の差婚の場合には,類型的に見ると日本人側が騙されてしまっている場合があり,入管もそういった事例を認識しています。 そのため,年の差婚で配偶者ビザを取得するためには,通常よりも慎重かつ丁寧な書面を作成し,夫婦としての実体を立証する必要があります。 1-3.コミュニケーションが取れていない 近時の配偶者ビザの審査で,入管が特に気にしているのが夫婦のコミュニケーションです。というのも,アプリを使ってコミュニケーションを図るケースや通訳者が別にいるケースは,夫婦のコミュニケーション不足から起きるトラブルも少なくないからです。 配偶者ビザの許可,不許可に関わらず,夫婦共通のコミュニケーション言語を持つことは,今後の夫婦関係はもちろんのこと,外国人配偶者の日本での生活を考えると非常に重要です。 1-4.親族が国際結婚をしたことを知らない 親,兄弟姉妹など,親族が結婚した事実を知らない場合には,配偶者ビザの不許可リスクが高まります。 実際,入管に提出する質問書という書類でも,親族が結婚の事実を知っているか否かは問われており,交際の信憑性を左右する一つの要素になっています。 そのため,両親に結婚を反対されていながらも結婚をしたケースなどでは,その経緯を丁寧に説明し,その他の交際実態の立証に注力することによって,真正婚であることを明らかにしていく必要があります。 1-5.一方の国でしか結婚をしていない 国際結婚は,当事者の双方の国籍国での手続きが完了していなければなりません。 そのため,一方国でのみ結婚を成立させた状態では,完全には国際結婚手続きを履践したとはいえず,婚姻の信憑性の判断において,不許可となる可能性があります。 「法務省における法令適用事前確認手続」(※注1)によれば,一方の国でしか結婚をしていない場合は,配偶者ビザが必ず不許可になるとは記載していないものの,相手国の婚姻証明書が提出されないことに起因して,婚姻実体の立証が不十分となることはあり得るとしています。 (※注1)法令適用事前確認手続とは,民間企業等が,実現しようとする自己の事業活動に係る具体的行為に関して,その行為が特定の法令の規定の適用対象となるかどうかをあらかじめその規定を所管する行政機関に確認し,その機関が回答を行うとともに,その回答を公表するものです(出典:法務省における法令適用事前確認手続~法務省におけるノーアクションレター制度について~)。 他方,日本人と外国人の結婚において,外国側の手続きが何らかの理由で履行できない場合であっても,婚姻届が受理され日本側の手続きを履行している場合には,入管に説明書を提出すれば,配偶者ビザの許可が下りる可能性はあります。 1-6.交際期間が前婚と重なっている 入管審査は,警察と同じく民事不介入であるため,たとえ交際期間が前婚と重なっている場合でも,配偶者ビザの審査上は問題ないとも考えられます。 確かに,入管の審査は,不貞行為の有無を明らかにする事を目的にするものではありません。しかし,社会通念で判断する入管審査においては,前婚期間中の交際は,信憑性がないと判断される可能性があります。 そのため,仮に前婚の婚姻関係が実質的に破綻をしていたのであればその具体的事実を,また前婚が破綻はしていなかった場合であっても,どのような経緯で交際を開始し,前婚が離婚に至り,そして再婚にまで至ったのかを明らかにする必要があります。 1-7.インターネットで出会っている 情報通信網の発達もあり,国際結婚の局面においても,出会いの形は多様化しています。それに伴い,偽装結婚の手口も,複雑かつ巧妙化しているのが現状です。 これらの状況に鑑み,出会いの経緯については,入管は特に慎重な審査をしています。インターネットで男女が出会うことは決して悪いことではありませんが,配偶者ビザの入管審査では通常よりも高いレベルで,婚姻に至るまでの経緯を明確にする必要があります。 1-8.結婚紹介所を介して出会っている 上記のインターネットで出会っている場合と同様,結婚紹介所を介して出会っている場合も交際の実態に嫌疑を抱かれやすく,配偶者ビザが不許可となりやすい一類型と言えます。 また,日本人側の婚姻意思が明らかであったとしても,外国人の方が国際結婚をビザ取得のための便法としていることもあるため,注意が必要です。 結婚紹介所を介して出会っている場合には,それぞれについて,なぜ結婚紹介所に登録するに至ったかなどを赤裸々に説明すると共に,二人の交際実態を明らかにしていく必要があります。 1-9.今のビザの期限直前に配偶者ビザ申請をしている 就労ビザを保有する外国人が離職中でビザの期限が迫っている場合や,留学ビザを保有する外国人が退学や卒業をして,次の進路が決まっていない状態でビザの期限が迫っている場合は,配偶者ビザの不許可リスクが上がります。 その理由としては,日本に滞在を続ける理由として,配偶者ビザを申請していると見られてしまう可能性があるため,通常に比べると配偶者ビザの審査が難化する傾向にあるからです。 このような場合には,就労ビザや留学ビザでの活動を離脱するに至った経緯を説明することはもとより,ご夫婦の交際実態の立証を慎重におこなった上,配偶者ビザを申請する必要があります。…
2023.06.29 行政書士法人第一綜合事務所 日本語配偶者ビザ結婚ビザ国際結婚 結婚ビザと配偶者ビザの違いとは? 1.結婚ビザと配偶者ビザに違いはある? これまでに,結婚ビザと配偶者ビザの違いを尋ねられることが何度かありました。 はたして結婚ビザと配偶者ビザに違いはあるのでしょうか。 実は,いずれも国際結婚したことにより取得するビザであり,違いはありません。 もっとも,結婚ビザや配偶者ビザがどのビザを意味するかについては,一方配偶者の方のビザの種類や国籍によって異なります。 例えば,日本人と結婚した場合には,日本人の配偶者等というビザ,永住者と結婚した場合には,永住者の配偶者等というビザという具合に,結婚ビザや配偶者ビザといっても,実際に取得するビザの名称は異なることがわかります。 つまり,結婚ビザや配偶者ビザと言われるものは,国際結婚をしたことによって取得するビザの総称であって,具体的なビザの種類は,一方配偶者のビザや国籍により異なるということです。 次のチャプターでは,国際結婚の組み合わせと取得できるビザの種類をみていきましょう。 2.結婚することで取得できるビザは意外に多い!? 現在,入管法には大きく分類すると,33種類のビザがあります。 さらに,その中の1つである特定活動ビザでは49種類に,定住者ビザも8種類に分類されています。 ここでは,国際結婚をすることによって,取得できるビザをみていきます。 配偶者の属性 取得できるビザ 日本人 日本人の配偶者等ビザ 永住者 永住者の配偶者等ビザ 定住者 定住者ビザ(定住者告示5号) 教授,芸術,宗教,報道,高度専門職,経営・管理,法律・会計,医療,研究,教育,技術・人文知識・国際業務,企業内転勤,介護,興行,技能,特定技能2号,文化活動,留学(※1)のいずれかのビザをお持ちの方 家族滞在ビザ 外交 外交ビザ 公用 公用ビザ 高度専門職 家族滞在ビザ又は特定活動ビザ(特定活動告示33号) 特定活動 特定活動ビザ(※2) ※1 但し,基準省令第1号ハは家族滞在ビザの対象になりません。 ※2 但し,特定活動告示3号,4号,7号,18号,19号,23号,24号,30号,31号,38号,41号,45号,47号,49号のいずれかに該当する場合に限ります。 上記の表からもおわかりのとおり,国際結婚をすることで取得することができるビザの種類は多岐に亘ります。 上記の表に関連して補足をすると,同性婚のパートナーが取得できるビザもあります。 その内容については,同性婚のパートナーはビザを取得できる? で詳しく記載していますので,ぜひ参考にしてください。 次に,たとえ国際結婚をしても,家族滞在ビザを取得できないビザがあることには注意が必要です。…
2023.06.05 行政書士法人第一綜合事務所 定住ビザ定住者6号連れ子ビザ日本語配偶者ビザ国際結婚 国際結婚して連れ子を呼び寄せるビザとは?定住者の取得条件や必要書類,解決事例を公開! 1.国際結婚して連れ子を呼び寄せるビザとは? 国際結婚をして連れ子を呼び寄せるためには,連れ子の在留資格である「定住者」が必要です。 連れ子の在留資格の種類は個別の事情によって異なりますが,一般的なケースでは「定住者」が該当します。 定住者ビザは,個々の外国人に対して特別な理由を考慮して居住を認める在留資格です。 このビザは,連れ子を含む外国人や難民,日系人などのケースにおいて,出生や人道上の理由に基づいて取得されることが一般的です。 以下では,連れ子が定住者ビザを取得する場合の要件や,手続き方法について詳しく解説します。 (1)連れ子ビザ(定住者ビザ)の取得条件とは? 連れ子ビザ(定住者ビザ)の取得は,以下の条件を満たす必要があります。 ①親が配偶者ビザを保有している 連れ子が定住者ビザを取得するためには,まず親が「日本人の配偶者」ビザ,または「永住者の配偶者」を取得している必要があります。 そのためには,法律上の正式な婚姻関係が必要です。 ②親の実子である 連れ子は外国人の親の実子である必要があります。 養子や前の配偶者の連れ子の場合は,定住者ビザの取得要件を満たせません。 ③子供本人が未成年かつ未婚である 連れ子は未成年かつ未婚である必要があります。 未成年とは,日本の法律で定められた18歳未満のことを指します。 ④親の扶養を受けて生活する 連れ子は日本で養育されるために呼び寄せられるので,親の扶養を受けて生活することが条件です。 連れ子を受け入れる家庭の経済状況や連れ子と夫婦の同居も審査の対象となります。 申請時には連れ子の年齢や親の扶養実績,交流の証拠などを提出する必要があります。 当事務所では,連れ子と外国人配偶者を同時に呼び寄せるための申請など様々なケースに対応していますので,ご相談ください。 (2)連れ子ビザ(定住者ビザ)のカテゴリーについて 定住者ビザのカテゴリーは,主に以下の5つに分類されていますが,本ページに記載している連れ子ビザは,④となります。 同じ定住者ビザではありますが,必要書類等を間違えないようにしてください。 ①外国人(申請人)の方が日系3世である場合 ②外国人(申請人)の方が日系2世の配偶者(夫又は妻)である場合 ③外国人(申請人)の方が日系3世の配偶者(夫又は妻)である場合 ④外国人(申請人)の方が「永住者」,「定住者」,「日本人の配偶者等」,「永住者の配偶者等」又は「特別永住者」のいずれかの方の扶養を受けて生活する,未成年で未婚の実子である場合 ⑤外国人(申請人)の方が「日本人」,「永住者」,「定住者」又は「特別永住者」のいずれかの方の扶養を受けて生活する,6歳未満の養子である場合 (3)連れ子との養子縁組は必ず必要ではない 国際結婚をして連れ子を呼び寄せる際に,連れ子との養子縁組が必要なのかという疑問を持つ方もいます。 しかし,定住者の在留資格で申請する場合, 日本人の父または母との養子縁組を行う必要はありません。 仮に,養子縁組が必要な場合には,外国法の手続きが複雑な場合もありますので大変です。 定住者ビザの申請においては,養子縁組をする必要はありませんので,安心して手続きを進めることができます。 (4)連れ子ビザ(定住者ビザ)も永住許可申請の対象になる 国際結婚をして連れ子を呼び寄せる際,連れ子ビザ(定住者ビザ)も永住許可申請の対象になります。 定住者ビザから永住許可を得ると,在留期間の定めがなくなり,ビザ更新の手間がなくなるので取得するのがおすすめです。 定住者ビザから永住許可を得るためには,以下の条件を満たす必要があります。…
2023.05.28 行政書士法人第一綜合事務所 配偶者ビザ結婚ビザ国際結婚日本人の配偶者等日本語 国際結婚手続きとは?婚姻要件具備証明書や要件,入管へのビザとの関係について行政書士が解説! 1.はじめに 近年の国際化に伴い日本人と外国人の国際結婚は,珍しくはないものになりつつあります。私たち日本人はビザがなくても短期間であれば簡単に海外に行くことができますし,最近では多くの外国人の方が日本に住んだり,観光に来たり,外国人と出会う機会は増加の一途をたどっています。また,インターネットを通じて世界中の人々と簡単につながることができるようにもなりました。その中で運命的な出会いをされ,国際結婚に至るカップルが増えています。 日本人の配偶者等のビザ(以下「配偶者ビザ」といいます。)を申請するためには,ビザ申請の前に,原則としてお互いの国で国際結婚手続きを済ませておく必要があります。しかし,いざ国際結婚の手続きをしようと思い至ったとき,どのように結婚をするのか?どのような手順で結婚手続きを進めていけばいいのか?といった問題に直面します。 日本人同士の結婚は,婚姻届に名前,住所,本籍地,証人などを記載すれば簡単に認められますが,国際結婚手続はこのような簡単な手続きで完了するものではありません。そこで,今回は,配偶者ビザを申請する前に必要となる国際結婚の手続きについてご説明したいと思います。 2.国際結婚手続とは? 国際結婚手続は,その成立要件として①婚姻年齢や再婚禁止期間などの「婚姻の実質的成立要件」と②公的機関への婚姻届や宗教婚などの婚姻のための手続きに関する「婚姻の形式的成立要件(方式)」の双方を満たす必要があります。 そこで,以下において「実質的成立要件」と「形式的成立要件」についてご説明いたします。 2-1.国際結婚の実質的成立要件 国際結婚の実質的成立要件とは,婚姻が有効に成立するために満たされなければならない要件のことです。例えば,婚姻適齢をはじめ,重婚の可否,再婚禁止期間などです。 この要件の準拠法として「法の適用に関する通則法」があり,第24条第1項において,婚姻の実質的成立要件につき,夫となる者,妻となる者それぞれが,各自の本国法上の要件を満たす必要があるとしています。 2-1-①.一方的要件 実質的成立要件の中で,一方の当事者のみ満たす必要がある要件を一方的要件といいます。 一方的要件は,それぞれの当事者に自らの本国法上の要件のみが適用されます。 どの実質的成立要件が一方的要件にあたるかは,各国の法律によって異なりますので注意が必要です。 多くの国では,婚姻適齢や,未成年者の婚姻の場合における保護者などによる第三者の同意は,一方的要件とされています。 上記の事例において考えてみると,日本における婚姻適齢は,男女ともに18歳以上です。 他方,ベトナムにおける婚姻適齢は,男性は20歳以上,女性は18歳以上とベトナムの婚姻家族法で定められています。 婚姻適齢は一方的要件のため,Bさんはベトナム法上の女性の婚姻適齢の要件を満たしていれば足り,またAさんは日本法上の男性の婚姻年齢の要件を満たしていれば足りるので,日本においてAさんとBさんの婚姻は認められることになります。 2-1-②.双方的要件 実質的成立要件の中で,双方の当事者について満たす必要がある要件を双方的要件といいます。 双方的要件は,当事者双方の本国法上の要件が各当事者に適用されます。 どの実質的成立要件が双方的要件にあたるかは,一方的要件と同様に各国の法律によって異なりますので注意が必要です。 多くの国では,重婚,再婚禁止期間,近親婚の禁止などは双方的要件とされています。 2-2.婚姻の形式的成立要件(方式) 次に婚姻の形式的成立要件(方式)についてご説明いたします。 そもそも婚姻の形式的成立要件(方式)とは,婚姻を有効に成立させるために当事者がとるべき手続きのことをいいます。具体的には,役所への婚姻届けの提出,宗教婚,儀式婚などがこれにあたります。 この要件の準拠法として,実質的成立要件と同様に「法の適用に関する通則法」があり,第24条第2項・3項において,どこの国の婚姻の方式で行うかを規定しています。婚姻の方式は,結婚をする場所の国の法律に従うか,婚姻当事者の国の法律に従うと定められていますが,当事者の一方が日本人で,日本で結婚をする場合は,必ず日本法の方式(婚姻届の提出)によらなければなりません。 2-2-①.日本で先に国際結婚を行う場合の手続きと必要書類 上記の事例において考えてみましょう。 AさんとBさんは,日本で結婚をしようと考えています。また,Aさんが日本人であることから,Bさんと婚姻をするにあたり最寄りの市区町村窓口に婚姻届を提出することになります。 婚姻届を提出するのに必要な書類は,一般的には「婚姻届,パスポート,戸籍謄本,婚姻要件具備証明書」です。 一般的と記載するのは,国際結婚をするお相手の国籍によっては,必要となる書類が異なるがあるからです。 日本で婚姻が成立したら,相手の国でも結婚を有効にする必要があるため,相手国の在日大使館,領事館,又は相手の国の公的機関に婚姻報告をする必要があります。 2-2-②.相手の国で先に国際結婚を行う場合の手続きと必要書類 相手の国で先に国際結婚を行う場合は,相手の国の法律に則って国際結婚手続きをします。 必要な書類は,「パスポート,戸籍謄本,婚姻要件具備証明書」の他に,国や地域などによって必要な書類が異なります。 相手の国で国際結婚が成立したら,当該国の日本大使館・領事館または日本の市区町村役場へ婚姻をした旨を届け出る必要があります。 必要書類は,「婚姻届,戸籍謄本,結婚証明書,国籍証明書」などです。 3.婚姻要件具備証明書 国際結婚手続きをする際には,国際結婚の実質的成立要件を満たしていることを証明する書類が必要です。…
2023.05.23 行政書士法人第一綜合事務所 配偶者ビザ結婚ビザ海外在住国際結婚日本人の配偶者等英語 Five points for couples live in overseas to get a Spouse or Child of J 1. What is a Spouse visa for overseas residents? In order for a married couple residing overseas to enter Japan and live there, it is necessary to obtain the status of residence of “Spouse or Child of Japanese National” (Spouse…
2023.05.08 行政書士法人第一綜合事務所 日本人の配偶者等ビザ変更短期滞在ビザ観光ビザ日本語配偶者ビザ結婚ビザ国際結婚 観光ビザから配偶者ビザへの変更はできる? 1.観光ビザから配偶者ビザへ変更することはできるの? 観光ビザから配偶者ビザへ変更する場合,ある一定の条件をクリアすることで,変更することができます。 「在留資格を有する外国人は、その者の有する在留資格の変更を受けることができる。」 上記の通り,ビザの変更をできるのは正規の在留者である外国人に限定しているものの,観光ビザから変更することについて拒否する旨の規定は存在しません。 そのため,観光ビザから配偶者ビザへの変更も認められることになります。 では,なぜ観光ビザから配偶者ビザへの変更ができないといわれるのでしょうか。 2.観光ビザから配偶者ビザへの変更ができないといわれる理由は? 入管法第20条第3項但書には,以下の内容が記載されています。 「短期滞在の在留資格をもつて在留する者の申請については,やむを得ない特別の事情に基づくものでなければ許可しないものとする。」 但書きにある通り,「やむを得ない特別の事情」がない限り,観光ビザから他のビザへ変更をすることができないとされているのです。 なぜ,「やむを得ない特別の事情」が必要なのか説明する前に,配偶者ビザを取得する方法について,簡単に説明いたします。 3.配偶者ビザの取得方法 外国籍の方が配偶者ビザを取得するためには,大きく二つの方法があります。 ① 在留資格認定証明書交付申請を行い,配偶者ビザで日本に入国 ② 観光ビザで日本に入国後,配偶者ビザに在留資格変更許可申請 ① 在留資格認定証明書交付申請(=COE申請)を行い,配偶者ビザで日本に入国 まず,COE申請は,日本の入管で行います。 申請を行うことができる人にも限りがあり,上記申請で申請人となる方の親族で,かつ日本に住んでいる人に限定されます。 申請人は海外にいることがほとんどのため,申請人の配偶者や配偶者の両親に申請してもらうことが大半です。 そして,COE申請で許可が下りると,入管からCOEが発行されます。 その後,COEを海外の配偶者に送り(※1),海外にある日本大使館または領事館で査証(いわゆるビザ)の申請を行います。そして,大使館からのビザが発給された後に,日本に入国します。 なお,COEの有効期限の問題から,基本的にはCOEが発行された日から3ヶ月以内に日本に上陸しなければいけません。 日本に入国後は,到着した空港,海港で上陸審査を受けます。上陸審査を終えた後は,外国籍配偶者に在留カードが交付されます。 ※1:2023年3月17日より,在留資格認定証明書が電子メールで受け取ることができるようなりました。なお,これまで発行されてきた紙の在留資格認定証明書についても,写しを提出することでビザ申請を行うことができるようになりました。そのため,国際郵送にかかる手間や費用,時間を大幅に削減できるようになりました。 参考:https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/10_00136.html ② 観光ビザで日本に入国後,配偶者ビザに在留資格変更許可申請 まずは,外国籍配偶者が観光ビザで日本に入国します。 その後,外国籍配偶者が日本の入管で在留資格変更許可申請を行います。 在留資格変更許可申請の許可が下りると,入管からはがきサイズの許可通知書が発行されます。 この許可通知書を持って,入管で在留カードの交付手続きを行うことで,在留カードを受け取ることできます。 4.配偶者ビザにおける在留資格認定証明書の必要性 上記で紹介した2つの配偶者ビザの取得方法を見る限り,②の観光ビザで日本に入国後に配偶者ビザに切り替える手続きのほうが,簡単と思いませんでしたでしょうか。 しかし,入管は①の在留資格認定証明書を取得したうえで,入国することを原則としています。 その理由としては,配偶者ビザは観光ビザと違い中長期的な滞在を前提としているからです。 観光ビザは,短期間での出国を前提としているからこそ,ビザの取得が簡略化されていたり,査証免除国の人たちは観光ビザを取得することなく来日することができます。…
2023.03.28 行政書士法人第一綜合事務所 配偶者ビザ結婚ビザ海外在住国際結婚日本人の配偶者等日本語 海外在住夫婦が配偶者ビザを取得するための5つのポイント 1.海外在住者が取得する配偶者ビザとは? 海外在住の夫婦が日本に入国して生活をするためには、「日本人の配偶者等」の在留資格(配偶者ビザ)が必要です。 日本人の配偶者等のビザを取得できるのは、日本人の配偶者、日本人の子として出生した人、日本人の特別養子です。 また、日本人の配偶者とは、婚姻が法律上有効に成立していることが条件で、婚約者や恋人は該当しません。 日本人の配偶者等のビザの在留期間は、6か月、1年、3年、5年になります。 2.海外在住の夫婦が配偶者ビザを申請する際に注意すること 本チャプターでは,お客様からご質問の多い事項について解説を記載しています。 ①入管への配偶者ビザ申請は誰が行う? 配偶者ビザ申請は,日本にいる日本人配偶者が入管に申請するのが一般的です。 では,海外在住のご夫婦の場合,入管への配偶者ビザ申請は一体だれが行うのでしょうか。 海外在住の夫婦が配偶者ビザ申請をするには,日本人配偶者が先に帰国しなければならないのでしょうか。 ご相談の方から頻繁にご質問をいただく内容です。 実は,海外在住のままでも,配偶者ビザ申請を行う方法はあります。 具体的には,日本にいる親族(6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族)に協力をしてもらう方法です。 上記の方法を取れば,日本人配偶者が先に帰国することなく,入管での手続きを進めることが可能です。 なお,配偶者ビザの申請を行政書士へ依頼することで,日本の親族がわざわざ入管へ出向く必要もありません。 ②日本での所得がない場合にはどうすれば良い? 海外に生活拠点がある場合,日本で所得がない方も決して珍しくはありません。 日本に所得がない場合には,配偶者ビザの許可は取得できないのでしょうか。 過去の裁判例では,経済的な基盤があまりにも欠如している場合には,そもそも配偶者ビザで日本において生活をすること自体に,疑義が生じる可能性があると判示しています。 そのため,入管の審査では経済的な基盤について,慎重に審査がされます。 他方で,日本での所得がない場合であっても,以下のようなケースは多くの許可事例があります。 海外での継続的な収入が見込めるケース 同居の親族から支援が見込まれるケース 日本での勤務先確保などによって定期収入が見込まれるケース 日本で生活するだけの十分な預貯金があるケース 日本での生活基盤の判断は,お客様によって個別の判断をする必要があります。 個別判断をご用命の際には,行政書士法人第一綜合事務所までお問い合わせください。 ③日本の必要書類は誰に集めてもらえれば良い? 海外在住のご夫婦が配偶者ビザを申請する場合には,上記で見たとおり,日本にいるご親族に住民票,戸籍謄本,所得課税証明書や納税証明書などの書類収集をお願いしなければいけません。 高齢の両親には依頼しにくい… 兄弟にお願いしたけれど,なかなか無理を言えなくて… そのようなお悩みをお持ちの方は少なくないようです。 ご安心ください! 当社では,日本にいるご親族に極力ご負担をお掛けしないよう,全て当社にて公文書をご準備いたします。 そのため,ご親族の方へのご負担はお掛けしません。 なお,海外在住のお客様とは,EMSなどの国際郵便の手段を用いて,書類のやり取りを行います。 ④配偶者ビザはどのような行政書士へ依頼するべき? 海外在住のご夫婦の場合,実際に行政書士と面談することもできません。 また,複数の行政書士事務所との調整も思うように進まないことも多いかと思います。…
2023.03.03 行政書士法人第一綜合事務所 不交付日本語配偶者ビザ結婚ビザ国際結婚日本人の配偶者等不許可 配偶者ビザの再申請の方法 1.配偶者ビザの審査はどのように行われる? 配偶者ビザとは,日本人もしくは永住者等と婚姻関係にある外国籍の配偶者の方に対し,一定の要件を満たす場合に日本への在留を認めるビザです。 ですから配偶者ビザは結婚すれば必ず認められるわけではありません。 入管は,関係法令をはじめ,ビザの申請人から提出された資料に沿って審査を行います。 入管の審査には,全国統一の基準である「審査要領」があります。 審査要領に則った基準が「審査基準」と呼ばれます。 入管の審査基準をクリアすれば,配偶者ビザの許可の可能性は高くなります。 逆に言えば審査基準に当てはまらなければ配偶者ビザが認められないことになります。 もっとも,この審査要領には,私たちが見られる公開審査要領と,見ることのできない非公開審査要領と言われるものがあります。 そして,非公開審査要領の方に,配偶者ビザ許可の審査ポイントが多く記載されています。 ですから,配偶者ビザの再申請には,この審査要領を読み解く力が必要不可欠です。 しかしながら,審査要領のほとんどは黒塗りになっていますので,弊社が考えるポイントを挙げてみます。 それは「実体ある婚姻生活」と「日本での生活の安定性」です。 入管の審査で重要なのは ①法的に「婚姻」関係にあるか? 内縁関係の配偶者は配偶者ビザの対象には含まれません。また,原則として日本人と配偶者の母国双方の法律に照らして婚姻が成立しているかも問われます。 「法の適用に関する通則法」24条では,「婚姻の成立は、各当事者につき、その本国法による」と定められています。同条3項では「当事者の一方の本国法に適合する方式は、有効とする」。「ただし、日本において婚姻が挙行された場合において、当事者の一方が日本人であるときは、この限りでない」とあります。つまり,外国籍の配偶者の国の法律をもって「婚姻」は成立するが,「日本で」夫婦として生活する場合は,日本の法律で婚姻が成立しなければ,日本では結婚した夫婦とは言えないということです。 従って,双方の国で法的に婚姻が成立していなければ日本では無条件に配偶者ビザは許可されないことになります。 ②実質的に「互いに協力・扶助し合い,社会通念上の夫婦の共同生活を営むという婚姻の実態が伴っているか」が問われます(平成14年最高裁判決)。 一言で言えば,継続性をもって「ほんとに夫婦として暮らすの?」ということが問われるのです。 ③日本で安定した生活が送れるか? 配偶者ビザにおいては,継続的に夫婦生活が送ることが求められますが,夫婦として共同生活を送るには,当然生活費となるお金が必要です。 したがって,どのようにして夫婦の生活費を賄うのかが審査において問われることになります。 実務上は細かな判断基準があります。詳しくは以下のコラムをご覧ください。 配偶者ビザ 不許可 はコチラ 2.配偶者ビザが認められなかった場合の再申請までの道のり 「配偶者ビザを申請したのに認められなくてがっかりです。再申請すれば許可が取れますか?」と,よくご相談を頂きます。 このようなご相談に対して,私達はすぐに回答することができません。 それは,お客様がなぜ,配偶者ビザの許可が認められなかったのか,理由が明確になっていないからです。 配偶者ビザの許可が認められなかったとしたら,必ず理由があります。 最初に行うことは「なぜ入管は配偶者ビザを認めなかったのか」という理由の把握です。 まずは配偶者ビザの申請を行った入管に出向き,配偶者ビザが認められなかった理由を尋ねて明らかにする必要があります。 法務省は「入国・在留に係る処分にあたっての留意事項」(平成16年10月1日・法務省管在5964号)という通達を出しています。 一部を抜粋しますと,「不利益処分を行うに当たっては,法令の定めるいずれの要件に適合しないかを明示しなければならない」との記載があります。 つまり入管は,不利益処分(本コラムの場合は配偶者ビザを許可しなかったこと)について理由を説明する義務があるのです。 しかし,入管への聴取には何点か注意事項があります。 ①入管への理由聴取は原則1度しかできない。 入管での理由聴取は申請を行った入管局で対面にて行います。電話やメールでの問い合わせは一切できません。…
2023.01.26 行政書士法人第一綜合事務所 日本語配偶者ビザ結婚ビザ国際結婚日本人の配偶者等技能実習 技能実習生と結婚して配偶者ビザを取る方法|必要書類,流れ,注意すべきポイントを解説 1.技能実習制度とは? ここ最近,新聞やテレビの報道等から“技能実習”という言葉を耳にする機会が増えているのではないでしょうか。 しかし,具体的にどのような制度なのかをご存じの方は少ない印象です。 では,技能実習制度とは,どのような制度なのでしょうか。 厚生労働省のホームページによると, 「我が国が先進国としての役割を果たしつつ国際社会との調和ある発展を図っていくため,技能,技術又は知識の開発途上国等への移転を図り,開発途上国等の経済発展を担う「人づくり」に協力することを目的としております。」と記載されています。 わかりやすく言うと,技能実習生には日本で技能・技術・知識を学んでもらい,日本で学んだ技能等を母国に持ち帰って,母国の経済発展を担ってもらうことが技能実習制度の趣旨ということです。 そのため,技能実習ビザは一般的な就労ビザとは異なり,技能実習過程を修了した後は母国へ帰り,学んだ技術や知識を教えたり,移転させる必要があるのです。 このような事情から,技能実習ビザは,技術の移転を願う送出機関と呼ばれるところや,その外国人の受け入れに協力してくれる日本の監理団体,実習実施機関など,様々な機関との関わりが強いビザということができます。 そして,配偶者ビザとの関係で重要な視点は,技能実習ビザは母国へ帰国することを想定しているということです。 技能実習ビザから他のビザへの変更が難しいと言われるのは,前記の通り技能実習ビザが母国への帰国を前提としているからなのです。 2.増加する技能実習生との国際結婚 2022年6月末に公表された出入国在留管理庁の統計によると,日本には技能実習生が32万人以上いると示されています。 参照:法務省 出入国在留管理庁 厚生労働省 人材開発統括官 技能実習ビザは,最も多い永住ビザに次ぐ在留人数です。 そして,技能実習生の国別の内訳を見ていくと,ベトナムが半数以上を占め,次にインドネシア,中国,フィリピンの順となっています。 参照:法務省 出入国在留管理庁 厚生労働省 人材開発統括官 本ページをご覧いただいている方の中にも,職場や取引先で外国人の方々を見かけたり接する機会は少なからずあるのではないでしょうか。 コロナ禍にあっても,なお在留人数の多さを誇る技能実習ビザ。 上記の在留データからもわかるとおり,技能実習生と日本人が出会い,結婚をするという事例が増えていることは容易に想像することができます。 一方で,何とか日本に残りたいという思いから,配偶者ビザを得るための便法として,国際結婚という手段を選ぶ技能実習生がいるのも事実です。 もちろん,このような真意に基づかない国際結婚は認められるべきではありません。 入管側もどんな在留資格であろうと,このような違法な在留を認めるべきではないと,目を光らせて審査しています。 次のチャプターでは,技能実習生が国際結婚して配偶者ビザへ変更する場合や一度帰国した元技能実習生が配偶者ビザを取得する場合, どのような点に気を付けて準備を進めていくべきか具体的に見ていきましょう。 3.技能実習生と結婚しても配偶者ビザに変更できない? 上記の1.技能実習制度とは?で説明した通り,技能実習生は母国へ帰ることが予定されています。 そのため,原則的には入管は技能実習ビザから他のビザへの変更を想定していません。 しかし,技能実習ビザからのビザ変更を入管は一律不許可にしているのかというと,そういう訳でもないのです。 例えば,技能実習生もしくはその配偶者が妊娠している場合や,すでに子どもを出産している場合など,夫婦(家族)の実体を総合的に判断し,法務大臣の裁量のもと技能実習ビザから配偶者ビザへの在留資格変更許可が認められる可能性があるのです。 では,どのようなケースで技能実習生からのビザ変更が認められているのか,場面分けをして具体的に見ていきましょう。 【技能実習中の場合】 技能実習中の場合には,先に説明した監理団体や実習実施機関において,母国での技術移転が難しくなることを背景に,在留資格変更許可申請に際して,技能実習ビザから配偶者ビザに変更することについて同意書を求められるのが一般的です。 場合によっては,海外の送出機関からの同意書を求められることもあります。…
2022.11.17 行政書士法人第一綜合事務所 配偶者ビザ結婚ビザ国際結婚日本人の配偶者等名前日本語 国際結婚をした場合の名前はどうなる? 1.国際結婚における名前のルール 日本の民法第750条には「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。」と規定されているため,日本の氏に関する考え方は,夫婦同姓が原則となっています。 ところが,国際結婚となれば事情が少々変わります。 なぜなら,氏に関する実務において,国際結婚の場合には,氏は夫婦それぞれに関する問題と考えられており,当事者の国籍国の法律によって判断されるべきとされているからです。 そうすると,日本人の氏については,「夫又は妻の氏を称する。」(民法第750条)ことになりそうですが,この民法第750条の対象は,日本人同士の婚姻のみであり,外国人・日本人間の婚姻には適用されず,日本人の氏は変わらないとされています。 したがって,国際結婚の場合は,夫婦別姓が原則となるのです。 2.国際結婚した場合の名前の決め方に関する手続きとは? 上記1で記載した通り,国際結婚の名前について夫婦別姓が原則となります, そのため,外国人の方と氏を一緒にしようと思うと,日本人同士の結婚のように,婚姻届の提出だけでは夫もしくは妻の氏に自動的に変更はされず,決められた手続きを踏む必要があります。 こちらの手続きについて,①日本人が外国人の氏を名乗るケースと,②外国人が日本人の氏を名乗るケースの2パターンが考えられます。 どちらの方法を選択しても,配偶者の方と同じ氏になるという点で結果は同じですが,手続きの内容はまるで違うので注意が必要です。 ①日本人が外国人の苗字を名乗るケース このケースですと,日本人と外国人が結婚しても,国際結婚では夫婦別性が原則ですので,しかるべき手続きを踏まなければ,外国人の氏に変更することが出来ません。 このしかるべき手続きとは,婚姻届をご覧になられた方ならご存じかと思いますが,婚姻届にある「氏」の欄で夫または妻のどちらかを選択するというものではありません。 実は,この手続きは戸籍法第107条第1項,第2項に規定があります。 戸籍法第107条第1項,第2項の内容を簡単にご説明すると,ポイントになるのは国際結婚の日から6ヶ月以内かどうかです。 日本人が国際結婚の日から6ヶ月を経過してから外国人の氏に変更を希望した場合,家庭裁判所の許可を得て変更の届出をしなければなりません。 しかし,日本人が国際結婚の日から6ヶ月以内に外国人の氏に変更を希望した場合,家庭裁判所の許可を得ることなく変更の届け出をすることが出来ます。 どちらが手続きとして簡単かと言えば,家庭裁判所の許可が不要となる国際結婚の日から6ヶ月以内に変更の届出をする方ですよね。 そのため,日本人が外国人の氏にされることをご希望の場合は,是非とも「6ヶ月以内」というキーワードを覚えておいてください。 ②外国人が日本人の苗字を名乗るケース このケースの場合,先述した通り,氏は夫婦それぞれに関する問題と考えられており,当事者の国籍国の法律によって判断されるべきとされているため,戸籍法上に根拠規定はありません。 国の制度によっては,日本人と外国人の氏を合わせた複合氏(例えば,クルム伊達公子さん)を名乗れたりしますが,今回は外国人が日本人と同じ苗字になるケースについてフォーカスすると,夫婦別姓を採用している国の場合は,そもそも婚姻によって氏を変更する制度が存在しないため,日本人と結婚しても日本人の氏に変更することは出来ないのが一般的です。 他方,婚姻によって氏を変更することが出来る国は,その国の手続きに従って氏を変更することが出来ます。 では,婚姻によって氏を変更することが出来る国で,本国法に則り外国人が日本人の氏と同じになったからといって,日本人の戸籍に,氏の変更の事実が自動的に反映されるかというとそんなことはなく,戸籍上も外国人の氏を日本人と同じにしようとすると,戸籍の記載事項を変更する旨の申し出を市町村役場にし,戸籍の訂正をする必要があります。 この訂正手続きについて,行政機関内で通達が存在します。 その内容を簡単に要約すると,外国人が日本人と国際結婚をし,外国人が日本人の氏に変更した場合,外国人の本国における権限を有する役所発行した氏の変更が明らかな身分証明書を市町村役場に日本人が提出し,その変更の申出をすることによって,外国人の氏を変更することが出来るというものです。 この「氏の変更が明らかな身分証明書」とは,例えば変更した氏の記載のある外国人のパスポートのコピーなどで証明することができます。 実際に当社で対応をしたケースにおいても,多くの役所で外国人の変更後の氏が記載されたパスポートで手続きをする事が出来ています。 なお,氏の変更に必要となる書類は各市町村役場によって違いますので,事前にご確認されることをお勧め致します。 3.国際結婚したけど離婚した場合の名前はどうなるの? 次は,残念ながら結婚生活が順風満帆とは言えず,離婚した場合に,離婚後の氏がどうなるかということについてご説明します。 外国人の氏の変更は本国法によるので,ここでは,日本人の氏について,外国人の氏から変更するための手続きにフォーカスします。 結論として,離婚した場合は氏を元に戻すことが出来ます。 しかし,国際結婚のとき同様,離婚したらといって自動的に氏が変更されるのではなく,しかるべき手続きを踏む必要があります。 そして,そのしかるべき手続きを判断するにあたり,実は氏の変更手続きの方法が重要となります。 離婚による氏の変更は戸籍法第107条第3項に規定があります。 こちらの条文の内容を簡単にご説明すると,戸籍法第107条第2項で氏の変更をした日本人は,離婚の日もしくは外国人が死亡した日(以下「離婚等の日」といいます。)から3ヶ月以内であれば,家庭裁判所の許可を得ることなく変更の届出をすることが出来ますが,戸籍法第107条第2項で氏の変更をしなかった日本人,及び,離婚の日もしくは外国人が死亡した日から3ヶ月を経過した日本人は,家庭裁判所の許可を得なければ氏の変更を届出ることが出来ないということになります。 ここでポイントとなるのは「戸籍法第107条第2項(裁判所許可を得ない氏の変更届)」と「3ヶ月以内」です。 例えば,「山田 …